以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態によるウォーターフェンス用シート5は、図1に示すように、ウォーターフェンス10を覆うように設置されるように構成されている。
(ウォーターフェンスの構成)
ウォーターフェンス10は、建物への浸水を防いだり、工事現場などにおいて水を長時間せき止めたり、流れを有する河川などをせき止めたりするために用いられる。ウォーターフェンス10は、図2および図3に示すように、ウォーターフェンス本体部1と、設置力増強部材2とを備えている。また、ウォーターフェンス本体部1には、自吸機能を有した自吸ポンプ(以下「ポンプ」と称す)3が接続されている。また、ポンプ3は、急な増水に対しても信頼性の高い水没使用が可能な防水構造を有するポンプとすることが望ましい。また、ウォーターフェンス本体部1には、重りとしてペットボトル4が配置されている。
ウォーターフェンス本体部1は、第1部材11と、第2部材12と、連結部材13とを含んでいる。第1部材11は、吸水装置取付部111と、吸水口部112(図4参照)と、溝部113(図4参照)と、連結用係合部114(図5参照)と、嵌合部115(図5参照)とを有している。第2部材12は、重り取付部121(図2参照)と、溝部122(図4参照)と、連結用係合部123(図5参照)と、嵌合部124(図5参照)とを有している。
設置力増強部材2は、図3および図5に示すように、第1設置力増強部材21と、第2設置力増強部材22とを含んでいる。
ウォーターフェンス本体部1は、浸水を防止するための堰を形成している。具体的には、ウォーターフェンス本体部1は、図2に示すように、第1部材11のX方向の両端に、それぞれ、第2部材12が連結されている。つまり、ウォーターフェンス本体部1は、複数に分割可能に構成されている。第1部材11と第2部材12とは、ゴム製の連結部材13により互いに連結されている。詳しくは、図5に示すように、第1部材11の連結用係合部114と、第2部材12の連結用係合部123とが隣接して配置された状態で、連結部材13が、連結用係合部114および連結用係合部123の両方に係合している。連結部材13は、第1部材11および第2部材12の側面(Y1方向側およびY2方向側の側面)と、上面(Z1方向側の面)とに跨って係合するように構成されている。
第1部材11は、水を透過させない素材により形成されている。第1部材11は、たとえば、ゴムや樹脂或いは金属などにより形成されている。第1部材11の吸水装置取付部111には、図2に示すように、ポンプ3が連結されるように構成されている。吸水装置取付部111は、ウォーターフェンス本体部1の底面1a側(Z2方向側)に設けられた吸水口部112(図4参照)と連通している。つまり、ウォーターフェンス本体部1の底面1aと設置面との間の水が、ポンプ3により吸水口部112および吸水装置取付部111を介して吸水される。また、吸水装置取付部111に、異物除去用のフィルターを設けてもよい。これにより、ポンプ3によって吸い込み、排出される水からゴミなどの異物を除去することができるので、緊急時の水として活用することも可能である。なお、フィルターは吸込みから排出までの間に設けられれば良いので、ポンプ3の吸水用ホースなどに設けてもよい。
吸水口部112は、スリットや突起やバースクリーン等を設けるように端面部が凹凸状に形成されている。これにより、吸水口部112端部の周方向から吸水することが可能になるので、吸水口部112が地面に接したとしてもスリットや、突起やバースクリーンの隙間から吸水することが可能である。つまり、第2設置力増強部材22がウォーターフェンス本体部1から、たとえば数mm程度出るように取り付けられた場合、吸水口部112も同様にウォーターフェンス本体部1から数mm程度出る長さにまで構成することが可能である。また、バースクリーンの隙間から吸水することにより、異物の混入を抑制することができるので、ポンプ3に異物が吸い込まれるのを抑制することが可能である。
図4に示すように、第1部材11の下面側(Z2方向側)には、溝部113が設けられている。溝部113には、設置力増強部材2が嵌り込むように配置される。また、溝部113は、吸水口部112をY方向に挟み込むように、1対設けられている。また、溝部113は、第1部材11に連結される第2部材12の溝部122とつながるように形成されている。
図5に示すように、第1部材11の底面部(Z2方向側部)には、第2部材12側に凸状に突出する嵌合部115が設けられている。嵌合部115は、第2部材12の嵌合部124に嵌合するように構成されている。また、嵌合部115は、平面視において(Z方向から見て)、第2部材12とオーバーラップするように配置されている。つまり、嵌合部115は、第1部材11および第2部材12を底面を上にして組立てた場合に、図4に示すように、第2部材12に覆いかぶさるように、嵌合部124に嵌合する。
図2に示すように、第2部材12は、直方体の箱型形状を有している。また、第2部材12は、X方向に延びるように形成されている。また、第2部材12は、水を透過させない素材により形成されている。第2部材12は、たとえば、発泡スチロールやゴムや樹脂或いは金属などにより形成されている。第2部材12の重り取付部121には、重りとしてのペットボトル4が取り付けられるように構成されている。第2部材12の重り取付部121にペットボトル4が取り付けられることによりウォーターフェンス10に加わる荷重を増すことが可能なように構成されている。なお、重り取付部121に、水、石、砂、土などを入れて重りとしてもよい。
図4に示すように、第2部材12の下面側(Z2方向側)には、溝部122が設けられている。溝部122には、設置力増強部材2が嵌り込むように配置される。また、溝部122は、U字形状に形成されている。また、溝部122は、第2部材12に連結される第1部材11の溝部113とつながるように形成されている。つまり、第1部材11の溝部113と、第2部材12の溝部122とが連結されて、長方形のロ字形状の溝部が形成される。
図5に示すように、第2部材12の底面部(Z2方向側部)には、第1部材11の嵌合部115が嵌合する嵌合部124が設けられている。具体的には、嵌合部124は、凹状に形成されており、凸状の嵌合部115が嵌合するように構成されている。嵌合部115および嵌合部124が嵌合することにより、第1部材および第2部材を組み立てる際に、第1部材および第2部材がY方向およびZ方向にずれることを抑制することができるとともに、第1部材の向きと第2部材の向きとを間違えることなく容易に位置決めを行うことができるので、組み立て作業を容易に行うことが可能である。
図3に示すように、設置力増強部材2は、ウォーターフェンス本体部1の底面1aに配置され、ウォーターフェンス本体部1の設置面への設置性を向上させるように構成されている。つまり、ウォーターフェンス本体部1の設置時の自重と、ポンプ3が吸水することとによって、設置力増強部材2は、弾性圧縮変形するとともに、外部の水を所定量透過させることにより、ウォーターフェンス本体部1の設置面内の圧力を低圧安定させるように構成されている。
具体的には、設置力増強部材2は、ウォーターフェンス本体部1の自重と、ポンプ3が吸水することにより生じる負圧とにより、水の透過率が所定の値となることにより、ウォーターフェンス本体部1の底面1aと設置面との間に外部からの水を所定量透過させてポンプ3の自吸水を確保するように構成されている。
図5に示すように、設置力増強部材2は、第1設置力増強部材21と、第2設置力増強部材22とが積層されている。第1設置力増強部材21は、設置面側(Z2方向側)に配置されている。第2設置力増強部材22は、ウォーターフェンス本体部1側に配置されている。第1設置力増強部材21および第2設置力増強部材22は、接着層(接着剤や接着テープなど)を介して貼り合わされている。
第1設置力増強部材21は、半連続気泡構造を有しており、圧縮変形されることにより水の透過率が変化するように構成されている。第1設置力増強部材21は、たとえば、半連続気泡構造の気孔率50%〜60%程度のやわらかいスポンジにより形成されている。また、第1設置力増強部材21は、半連続気泡構造のスポンジが圧縮されることによりスポンジの孔が小さくなり、水の透過率が変わるように構成されている。ポンプ3が駆動された場合、半連続気泡構造のスポンジは50〜80%程度圧縮されることが望ましい。
また、第1設置力増強部材21は、ウォーターフェンス本体部1の自重と、重り取付部121に取り付けられたペットボトル4の重さと、ポンプ3の吸引力によって生じる負圧とにより圧縮されるように構成されている。また、ポンプ3は空気を混じって吸うと空運転となってしまうので、第1設置力増強部材21を透過させる水はポンプ3を空運転させない水量となるように構成されている。
第2設置力増強部材22は、第1設置力増強部材21よりも硬い材料により形成されている。第2設置力増強部材22は、たとえば、硬質のスポンジ材やゴム材により形成されている。第2設置力増強部材22は、ウォーターフェンス本体部1の自重やポンプ3の吸引力による負圧によって圧縮されない程度の硬さを有する。また、第2設置力増強部材22は、ウォーターフェンス本体部1の底面1aに、ウォーターフェンス本体部1から、たとえば数mm程度出るように取り付けられている。その結果、点字ブロックなどの設置面の凸部がウォーターフェンス本体部1に直接当たることに起因してウォーターフェンス本体部1が傾いて設置されるのを抑制することが可能である。これにより、吸水口部112が吸水面から離脱して空気中に配置されるのを抑制することができるので、ポンプ3が空運転するのを効果的に抑制することが可能である。
また、第2設置力増強部材22は、は、ウォーターフェンス本体部1の底面1aの溝部113および122の幅より若干大きい幅を有するように形成されている。これにより、第2設置力増強部材22は、溝部113および122に圧入されることによりウォーターフェンス本体部1の底面1aに取り付けられるように構成されている。その結果、設置力増強部材2が経年劣化などにより交換が必要となった場合でも容易に取替えることが可能である。
ポンプ3は、ウォーターフェンス本体部1の底面1aと設置面との間の水を吸い取るように構成されている。また、ポンプ3は、水深が浅い水を吸水可能に構成されている。よって、ポンプ3は、設置面とウォーターフェンス本体部1の底面1aとの間に浸水した少量の水を効果的に排水することができる。
図6を参照して、設置力増強部材2(第1設置力増強部材21および第2設置力増強部材22)の特性の一例について説明する。
図6に示すように、第1設置力増強部材21は、たとえば、見掛け密度が130kg/m3であり、引張強さが100kPaであり、伸びが550%である。また、第1設置力増強部材21は、圧縮硬さが、圧縮率が25%の場合、3.9kPaであり、圧縮率が50%の場合、6.0kPaである。第2設置力増強部材22は、見掛け密度が110kg/m3であり、引張強さが1480kPaであり、伸びが120%である。また、第2設置力増強部材22は、たとえば、圧縮硬さが、圧縮率が25%の場合、275kPaであり、圧縮率が50%の場合、400kPaである。つまり、第1設置力増強部材21よりも第2設置力増強部材22の方が硬い材料により形成されている。
図7を参照して、第1設置力増強部材21の特性(水透過)の一例について説明する。
図7に示すように、水透過について、第1設置力増強部材21は、圧縮率が60%の場合、水深100mmの水頭圧(100mmH2O=0.01kgf/cm2≒0.98kPa)に対して、10分を超えて30分以内に水漏れがあった。また、第1設置力増強部材21は、圧縮率が70%、80%および90%の場合、水深100mmの水頭圧(100mmH2O=0.01kgf/cm2≒0.98kPa)に対して、30分間水漏れしなかった。なお、水透過について、10分を超えて30分以内に水漏れがあった場合、「△」と示し、30分間水漏れしなかった場合、「○」と示している。
第1設置力増強部材21に用いる気孔率50%〜60%程度の半連続気泡構造のやわらかいスポンジは、図7に示す一例のように、圧縮率に応じた透過率となる。また、第1設置力増強部材21は、50%以上80%以下の圧縮率になるように圧縮抑制することにより、半連続気泡構造のスポンジを透過する水量をポンプ3の呼び水として適度な透過水量に抑えることが可能である。また、第1設置力増強部材21(スポンジ)を透過した水をポンプ3で排水するのでウォーターフェンス本体部1を越えて浸水させないようにすることが可能である。つまり、ポンプ3を駆動させた場合に、第1設置力増強部材21の圧縮率が50%以上80%以下になることが好ましい。
(ウォーターフェンス用シートの構成)
図1および図8〜11を参照して、ウォーターフェンス10を覆うウォーターフェンス用シート5について説明する。
図1に示すように、ウォーターフェンス用シート5は、ウォーターフェンス10を覆うように構成されている。また、ウォーターフェンス用シート5は、ウォーターフェンス10の背面側のたとえば、柱50や壁或いは扉(図示せず)などに取り付けられている。ウォーターフェンス用シート5は、水を透過させない素材により形成されている。たとえば、ウォーターフェンス用シート5は、ポリ塩化ビニルにより形成されている。また、ウォーターフェンス用シート5は、たとえば、約0.5mmの厚みを有する。また、ポンプ3を駆動させることにより、ウォーターフェンス用シート5が背面側(Y1方向側)の柱50や壁および設置面に吸着するように構成されている。
また、ウォーターフェンス用シート5をウォーターフェンス10を覆うように設置することにより、ウォーターフェンス10の背面(Y1方向側)に回りこむ水をせき止めながら、ポンプ3により排水を行うことが可能に構成されている。
ウォーターフェンス用シート5は、図1に示すように、カバー部51と、背面部52と、側面底部53と、包囲状壁部54とを備えている。カバー部51は、図8および図9に示すように、カバー前面511と、カバー上面512と、カバー背面513と、カバー側面514と、カバー背側面515とを含んでいる。
カバー部51は、ウォーターフェンス10を覆うように構成されている。カバー部51は、ウォーターフェンス10よりもわずかに大きい直方体形状を有している。つまり、カバー部51は、長手方向(X方向)において、ウォーターフェンス10の長手方向(X方向)と略同じ長さを有している。また、カバー部51は、奥行方向(Y方向)において、ウォーターフェンス10の奥行方向(Y方向)と略同じ長さを有している。また、カバー部51は、高さ方向(Z方向)において、ウォーターフェンス10の高さ方向(Z方向)と略同じ長さを有している。
カバー部51のカバー前面511は、ウォーターフェンス10の前面側(Y2方向側)を覆うように構成されている。カバー前面511は、長方形形状に形成されている。また、図8に示すように、カバー前面511には、ポンプ3に接続されるホースを通すための孔部511aが設けられている。
カバー上面512は、ウォーターフェンス10の上面側(Z1方向側)を覆うように構成されている。カバー上面512は、長方形形状に形成されている。カバー背面513は、ウォーターフェンス10の背面側(Y1方向側)を覆うように構成されている。カバー背面513は、長方形形状に形成されている。
カバー側面514は、ウォーターフェンス10の側面側(X1方向側およびX2方向側)を覆うように構成されている。カバー側面514は、カバー部51のX方向の両端に一対設けられている。カバー側面514は、長方形形状に形成されている。カバー側面514には、複数の係合部514aが設けられている。係合部514aは、高さ方向(Z方向)に延びるように形成されている。係合部514aは、包囲状壁部54の係合部54aと係合するように構成されている。係合部514aは、たとえば、面ファスナーにより構成されている。
カバー背側面515は、カバー側面514と、背面部52とを接続するように設けられている。カバー背側面515には、複数の係合部515aが設けられている。係合部515aは、高さ方向(Z方向)に延びるように形成されている。係合部515aは、包囲状壁部54の係合部54aと係合するように構成されている。係合部515aは、たとえば、面ファスナーにより構成されている。
カバー前面511、カバー上面512、カバー背面513、カバー側面514、カバー背側面515および背面部52の辺は、それぞれ、縫製により接合されている。なお、それぞれの接合部分は、防水加工を施してもよい。
背面部52は、ウォーターフェンス10の側面(X方向)から背面側(Y1方向側)に回り込む水を止めるために設けられている。具体的には、背面部52は、図1に示すように、カバー部51の背面側(Y1方向側)に設けられている。背面部52は、前面から見て(Y2方向から見て)カバー部51よりも大きい投影面積を有している。具体的には、背面部52は、X方向において、カバー部51よりも大きい長さを有している。また、背面部52は、Z方向において、カバー部51よりも大きい長さを有している。つまり、背面部52は、上端がカバー部51よりも高い位置に配置されるように構成されている。図8および図9に示すように、背面部52には、フックや吸盤等を利用することで背面側(Y1方向側)の壁や柱などに背面部52を取り付けるための複数の孔部521が設けられている。複数の孔部521は、背面部52のX方向における両端の上側(Z1方向側)に設けられている。つまり、孔部521には、フックがかけられたり、吸盤が取り付けられるように構成されている。
側面底部53は、カバー部51の側面外側(X1方向側およびX2方向側)に設けられている。また、側面底部53は、ウォーターフェンス10が設置される面に接するように構成されている。つまり、側面底部53は、ウォーターフェンス10の側面(X方向)から回り込む水を止めるために設けられている。
ここで、本実施形態では、包囲状壁部54は、背面部52の一部とともに、側面底部53の上側(Z1方向側)に配置された収容部5aを構成している。収容部5aには、少なくとも背面部52を背面側(Y1方向側)に押圧する押圧部材6が収容可能に構成されている。具体的には、図10に示すように、収容部5aには、背面部52を背面側(Y1方向側)に押圧するとともに、側面底部53を設置面(Z2方向側)に押圧する押圧部材6が収容可能に構成されている。また、図1に示すように、収容部5a(包囲状壁部54)は、カバー部51の長手方向(X方向)の両端に設けられている。
また、包囲状壁部54は、背面部52とカバー部51のカバー側面514およびカバー背側面515とに接続されている。これにより、背面部52、包囲状壁部54、カバー側面514およびカバー背側面515により、環状の囲いが形成される。また、包囲状壁部54は、自立可能なように構成されている。具体的には、包囲状壁部54には、芯となる板材が入れられている。また、包囲状壁部54は、カバー部51のカバー側面514に対して着脱可能に構成されている。具体的には、包囲状壁部54の係合部54aと、カバー側面514の係合部514aおよびカバー背側面515の係合部515aとが着脱可能に係合している。係合部54aは、水平方向に延びるように形成されている。これにより、包囲状壁部54と、カバー側面514およびカバー背側面515とのY方向における係合位置を調整することが可能に構成されている。つまり、収容部5aは、水平方向(XY方向)の面積を変更可能に構成されている。
図11に示すように、カバー部51と背面部52との間には、水溜り部5bが設けられている。水溜り部5bは、ウォーターフェンス10を越えた水を溜めることが可能に構成されている。水溜り部5bに溜まった水はウォーターフェンス10に接続されたポンプ3により排水させることが可能である。また、包囲状壁部54の一部は、水溜り部5bの側壁により構成されている。
押圧部材6としては、たとえば、袋に入れた水が用いられる。袋は、ビニール袋のように柔軟性があるものが好ましい。これにより、袋が中の水により変形して、背面部52を背面側(Y1方向側)に容易に押圧することが可能である。
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、背面部52により壁面の一部が形成されるとともに、側面底部53の上側(Z1方向側)に配置された収容部5aを構成する包囲状壁部54を設ける。これにより、収容部5aに背面部52を背面側(Y1方向側)に押圧する押圧部材6を収容することができるので、背面部52を背面側の壁や柱などに密着させることができる。これにより、ウォーターフェンス10の側面を回り込んで背面に水が侵入するのを抑制することができる。また、収容部5aに側面底部53を設置面側(Z2方向側)に押圧する押圧部材6を収容することができるので、側面底部53を設置面に密着させることができる。これにより、設置面に対しての水密性を向上させることができる。これらの結果、設置面に対しての水密性を向上させるとともに、背面への水の回り込みを抑制して、浸水を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、収容部5aを、少なくとも背面部52を背面側(Y1方向側)に押圧する押圧部材6を収容可能に構成する。これにより、押圧部材6による押圧により背面部52を背面側の壁や柱などに容易に密着させることができるので、背面への水の回り込みを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、包囲状壁部54を、背面部52とカバー部51のカバー側面514とに接続する。これにより、収容部5aを、背面部52と、ウォーターフェンス10の側面との両方に隣接して配置することができる。
また、本実施形態では、上記のように、包囲状壁部54を、カバー部51の側面に対して着脱可能に構成する。これにより、包囲状壁部54のカバー部51のカバー側面514に対する装着位置を変更させることができるので、収容部5aの大きさを容易に調整することができる。これにより、背面部52を背面側(Y1方向側)に押圧する押圧部材6を収容部5aに収容する場合に、押圧部材6を確実に背面部52に押し当てることができるので、背面部52を背面側に確実に押圧することができる。
また、本実施形態では、上記のように、収容部5aを、カバー部51の長手方向(X方向)の両端に設ける。これにより、ウォーターフェンス10の長手方向の側面両端から回り込んで背面に水が侵入するのを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、カバー部51と背面部52との間に、水溜り部5bを設ける。これにより、水溜り部5bに溜まった水により、ウォーターフェンス用シート5を設置面および背面の壁や柱などに対して密着させることができるので、ウォーターフェンス10の背面への水の回り込みをより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、包囲状壁部54の一部を、水溜り部5bの側壁により構成する。これにより、水溜り部5bの側壁を用いて、収容部5aを容易に形成することができる。
また、本実施形態では、上記のように、背面部52を、上端がカバー部51よりも高い位置に配置されるように構成する。これにより、ウォーターフェンス10を越えた水を、背面部52により止めることができるので、背面部52の背面への浸水を効果的に抑制することができる。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ウォーターフェンスが直線的に形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ウォーターフェンスが折れ曲がるように形成されていてもよい。この場合、ウォーターフェンス用シートをウォーターフェンスに沿って曲げて被せてもよい。
また、上記実施形態では、押圧部材として、袋に入れた水を用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、袋に入れた砂や石などを押圧部材として用いてもよい。また、ペットボトルなどの容器に入れた水や砂などを押圧部材として用いてもよい。また、バーベルや石などを押圧部材として用いてもよい。
また、上記実施形態では、ウォーターフェンス用シートを縫製により接合する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ウォーターフェンス用シートを接着により接合してもよいし、接合しないで立体的に形成してもよい。
また、上記実施形態では、ウォーターフェンスに入れる重り部材としてペットボトルを用いた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ペットボトル以外の部材を重り部材として用いてもよい。たとえば、バーベルや石などを重り部材として用いてもよい。
また、上記実施形態では、設置力増強部材が、第1設置力増強部材および第2設置力増強部材の2層により形成されている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、設置力増強部材を1層により形成してもよいし、3層以上により形成してもよい。
また、上記実施形態では、吸水装置として自吸式のポンプを用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、自吸式に限らず、吸水機能を有するポンプであれば特に限定されない。また、真空ポンプや掃除機などの真空吸引方式の吸引装置を用いてもよい。
また、上記実施形態では、ウォーターフェンスおよびウォーターフェンス用シートにより浸水を防ぐ例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ウォーターフェンスおよびウォーターフェンス用シートに加えて、土嚢や水嚢を周辺に配置して、浸水を防いでもよい。これにより、押し寄せる水の量が多い場合でも、ウォーターフェンスの周囲に土嚢や水嚢を設置することによって、ウォーターフェンスの背面から回り込もうとする水をせき止めるとともに、回り込もうとする水をウォーターフェンスの側面側の設置力増強部材から吸引することができる。
また、上記実施形態では、ウォーターフェンス本体部の第1部材と第2部材とを連結部材により係合させて連結する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ウォーターフェンス本体部の第1部材と第2部材とをボルトにより締結して連結してもよい。