JP6485029B2 - 電解めっき方法及び電解めっき装置 - Google Patents
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Description
このSn−Ag系合金を電解めっきする場合、アノードにSnを用いると、AgがSnより貴であるために、アノード面にAgが置換析出する。これを避けるため、Pt等の不溶性アノードを用いて電解めっきする場合が多いが、アノード面に水素が発生し、電解を損なうおそれがある。このため、可溶性アノードにおいてAgを置換析出させないようにする工夫が試みられている。
を再生処理する再生工程を有し、該再生工程は、前記アノード室内に再生用電極を設置し、該再生用電極によってカソード室側めっき液と前記アノード室側めっき液との間を遮蔽するとともに、前記再生用電極と前記可溶性電極との間で通電して前記アノード室側めっき液中の前記金属イオンを還元して前記可溶性電極に析出させる。
再生工程後、アノード室側めっき液の金属イオン濃度は低下するので、再生された可溶性電極によって再び電解めっき処理することが可能になる。
図1及び図2は、本発明をSn−Ag合金めっき、Sn−Cu合金めっき等のSn系合金めっきのための電解めっき装置に適用した一実施形態を示している。このSn合金電解めっき装置は、めっき槽1の上下方向の中間位置に水平に陽イオン交換膜2が設けられていることにより、めっき槽1内が上下に区画されており、陽イオン交換膜2の下方の空間がアノード室3、上方の空間がカソード室4として構成されている。
アノード室3は、別に設けられたタンク5に接続され、アノード室3内のめっき液(アノード室側めっき液という)をポンプ6によって循環することができるように構成されている。カソード室4は、アノード室3と同様に別に設けたタンク7に接続され、カソード室4内のめっき液(カソード室側めっき液という)をポンプ8によって循環することができるように構成されている。
この場合、ウエハ12はカソード室側めっき液の液面付近に水平に配置され、タンク7からカソード室4の下方にノズル15によって供給されるカソード室側めっき液の噴流が破線で示すようにウエハ12の下面に供給されるようになっており、めっき槽1の上方を覆う蓋体16がウエハ12に上方から錘として作用している。ウエハ12の下面に供給されたカソード室側めっき液はめっき槽1からオーバーフロー流路17に導かれ、タンク7に戻される。
なお、陽イオン交換膜2としては、例えば、デュポン株式会社のナフィオン424を用いることができる。
この再生用電極21としては、例えば、チタン(Ti)を基体として白金(Pt)をめっきしてなる不溶性電極が用いられる。また、この再生用電極21は、めっき処理時には用いられないが、再生処理時に、図2に示すように、めっき槽1の陽イオン交換膜2の直下にめっき槽1を横断するように挿入される。この再生用電極21の挿入のため、めっき槽1は陽イオン交換膜2の直下で上下に分離可能であり、再生処理時には、これらの間に再生用電極21を配置した状態に組み立てられる。したがって、この再生用電極21によってアノード室3とカソード室4との間でめっき液を遮蔽した状態とすることができ、本実施形態では、この再生用電極21がカソード室側めっき液とアノード室側めっき液との間を遮蔽する遮蔽手段を構成している。
また、再生用電源22は、再生用電極21をアノードとし、Sn製電極11をカソードとするように接続される。本発明の再生用通電手段は、この再生用電源22及びこれをSn製電極11及び再生用電極21に接続する配線経路を指す。
<めっき工程>
このSn−Ag合金のためのめっき液(カソード室側めっき液)としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸といったアルキルスルホン酸等の酸と、めっき金属イオン(Sn2+,Ag+)の他、平滑化等のための酸化防止剤や界面活性剤等の添加剤、錯化剤等が配合される。本実施形態で使用されるSn−Ag合金のカソード室側めっき液は、例えば以下の配合で構成される。
Sn2+;40〜90g/L
Ag+;0.1〜3.0g/L
錯化剤;180〜220g/L
添加剤;40〜60ml/L
なお、アノード室側めっき液としては、カソード室側めっき液と同じ酸に、Sn2+の金属イオン、平滑化等のための添加剤が配合される。
この電解めっき処理において、前述したように、陽イオン交換膜2の透過効率が100%でないことから、アノード室側めっき液にSnイオンが徐々に蓄積し、アノード室側めっき液のSnイオン濃度が上昇する。このSnイオン濃度が高くなり過ぎると電解めっきが困難になる。そこで、アノード室側めっき液のSnイオン濃度が例えば120g/Lを超えたら、電解めっきを終了し、アノード室側めっき液の再生処理を行う。
アノード室側めっき液の再生工程においては、図2に示すように、まず、アノード室3内に再生用電極21を設置する。この再生用電極21が設置されると、めっき液は、アノード室3とカソード室4との間で遮蔽された状態となる。このため、カソード室4からアノード室3への金属イオンの通過が妨げられ、電解めっきされていないときのSn製電極11上でのAgイオンの置換析出は抑制される。
この再生処理において、アノード室側めっき液に前述したように平滑化のための添加剤を添加しておいたことにより、Sn製電極11上でデンドライト状に析出することが抑制され、良好な表面のSn製電極11に再生することができる。
なお、以上のめっき工程と再生工程とを複数回繰り返すと、Sn製電極11の量が少なくなるため、Sn製電極(アノード)11は交換或いは補充する必要がある。
また、アノード室3のめっき液は、再生工程を行わない場合は、所定のSn濃度に達した段階で廃液処理される必要があるが、本再生工程を行う場合においては、アノード室3のめっき液も継続して使用できるため、例えば、4回の再生工程を行うと廃液量は従来の1/4に削減されることとなる。
これを用いて電解によってSn−Agめっきを約4000AHの電解量分処理したところ、アノード専用液のSn2+濃度は約160g/Lに上昇していた。その際の純Sn電極重量は約21kgであった。
その後、純Sn製電極をアノードとして再度Sn−Agめっき処理を行ったところ、Sn−Agめっきのめっき性も従来と変わらない性能を得ることが出来た。
例えば、上記実施形態では、再生処理時に挿入する再生用電極によってアノード室とカソード室とのめっき液を遮蔽したが、再生用電極とは別に遮蔽手段を設けてもよい。その遮蔽手段としては、めっき液に対して耐性を有する合成樹脂等からなる板、陰イオン交換膜などにより構成することができる。
これらの板や膜を配置することに代えて、アノード室のアノード室側めっき液を一部排出して、その液面を陽イオン交換膜に接触させないようにすることにより、カソード室側めっき液とアノード室側めっき液との間を遮蔽するようにしてもよい。
また、めっき槽を上下に分割可能にして、再生工程では再生用電極を挿入する構成としたが、この再生用電極をめっき槽内に駆動シリンダ等によって出し入れできる機構をめっき槽に設けておくことも可能である。さらに、再生用電極を格子状に形成してめっき液が上下に流通できる形状とすることにより、めっき槽の陽イオン交換膜の下に常時設置しておくことも可能である。
また、Sn系合金めっき以外にも、Cu合金の電解めっきに本発明を適用することもできる。Cu合金の電解めっきに適用する場合も、上記実施形態と同様に、陽イオン交換膜にてめっき槽をアノード室とカソード室とに区画し、アノード室にCu製電極を設置し、カソード室内の被めっき物に電解めっきし、再生処理においては、アノード室内に挿入した再生用電極とCu製電極との間で通電し、Cu製電極の表面で還元してCuを析出させる。この再生処理時に、めっき液中に含有される添加剤が再生処理中にCu製電極を侵食しないようにするために、アノード室とカソード室との間でめっき液を遮蔽することが行われる。
2 陽イオン交換膜
3 アノード室
4 カソード室
11 Sn製電極(可溶性電極)
12 ウエハ(被めっき物)
13 ワーク支持部
14 電源
15 ノズル
16 蓋体
21 再生用電極(遮蔽手段)
22 再生用電源
Claims (2)
- 陽イオン交換膜により区画されためっき槽のカソード室内に設置した被めっき物とアノード室内に設置した可溶性電極との間で通電することにより前記可溶性電極からアノード室側めっき液に金属イオンを供給しつつ被めっき物にめっき膜を形成する電解めっき方法であって、電解めっきに使用した前記アノード室側めっき液を再生処理する再生工程を有し、該再生工程は、前記アノード室内に再生用電極を設置し、該再生用電極によってカソード室側めっき液と前記アノード室側めっき液との間を遮蔽するとともに、前記再生用電極と前記可溶性電極との間で通電して前記アノード室側めっき液中の前記金属イオンを還元して前記可溶性電極に析出させることを特徴とする電解めっき方法。
- 陽イオン交換膜によりアノード室とカソード室とに区画されためっき槽と、前記アノード室内に設置された可溶性電極と、前記可溶性電極と前記カソード室内に設置した被めっき物との間で通電して前記可溶性電極からアノード室側めっき液に金属イオンを供給させつつ前記被めっき物にめっき膜を形成するためのめっき用通電手段と、カソード室側めっき液と前記アノード室側めっき液との間を遮蔽可能な遮蔽手段と、前記遮蔽手段により遮蔽された前記アノード室側めっき液中に設置可能な再生用電極と、該再生用電極と前記可溶性電極との間で通電して前記アノード室側めっき液中の金属イオンを前記可溶性電極上で還元するための再生用通電手段とを備え、
前記再生用電極は前記遮蔽手段を構成していることを特徴とする電解めっき装置。
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