以下、本発明の一実施形態に係る飛来物除去装置について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る飛来物除去装置1は、図1〜図5に示すように、電線Wを挿通可能な挿通部3が形成された本体部2を備え、本体部2は、挿通された電線Wに掛止可能な掛止部4と、電線W上の飛来物Tを分断可能な分断手段5であって、少なくとも挿通部3を介して掛止部4に対向する対向分断部51を含む分断手段5と、を有し、掛止部4及び対向分断部51のうちの少なくとも一方は、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整可能に構成されている。本実施形態では、掛止部4が該掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整可能に構成されている。また、本体部2は、掛止部4と対向分断部51とが対向する方向、且つ挿通部3への電線Wの挿通方向に直交する方向において、挿通部3を介して対向する一対の側部21aを備える。
以下、挿通部3への電線Wの挿通方向を前後方向、掛止部4と対向分断部51とが対向する方向を上下方向、前後方向及び上下方向に直交する方向を左右方向とする。前後方向のうちの分断手段5が位置する側を前方とし、上下方向のうちの掛止部4が位置する側を上方とし、左右方向のうちの前進方向の右側を右方とし、図面には、それぞれの方向に対応する座標軸が必要に応じて図示されている。
本実施形態に係る飛来物除去装置1は、掛止部4が電線Wに掛止された状態で分断手段5よりも下方に位置する回収部7と、分断手段5の電源となる電源部8と、本体部2を電線Wに対して安定させるための錘部9と、本体部2を電線Wに沿って移動させるための移動手段10と、を更に備える。
飛来物Tとしては、ルアーの付いた釣糸、ビニール袋、テープやひも等の、長尺で容易に変形する物が考えられる。
本実施形態の本体部2は、図3及び図4に示すように、分断手段5が設けられた前方部21と、前方部21よりも後方に位置する後方部22とを有する。
前方部21には、電線Wを挿通するための前挿通部3aが形成されている。前挿通部3aは、前方部21を前後方向に貫通している。前挿通部3aは、前後方向に並ぶ第一挿通部3a1と第二挿通部3a2とから成る。
前方部21は、第一挿通部3a1及び電線Wを第一挿通部3a1へ誘導する誘導部23が形成された前面部211と、前面部211よりも後方に位置する延出部212とを有する。
前面部211は、所定の厚さを有する板状に形成されている。本実施形態の前面部211は、円板状に形成されている。前面部211は、第一挿通部3a1の内周面を形成する内壁部31を有する。
内壁部31は、挿通された電線Wの右側に位置する右側壁部32と、挿通された電線Wの左側に位置する左側壁部33と、右側壁部32及び左側壁部33に連続して最も上方に位置する中央壁部34とを有する。
第一挿通部3a1は、板厚方向に前面部211を貫通する孔である。図1及び図2に戻って示すように、本実施形態では、第一挿通部3a1は、丸孔状に形成されている。
第一挿通部3a1は、前面部211の中心Cから前面部211の外周縁側にずれた位置に形成されている。第一挿通部3a1は、前面部211の中心Cよりも上方に形成されている。本実施形態の第一挿通部3a1は、第一挿通部3a1の中心と前面部211の中心Cとが上下方向で並ぶように形成されている。
掛止部4は、図2に示すように、対向分断部51に対向し、且つ挿通された電線Wに当接可能な基礎受面411を有する基礎部41と、対向分断部51に対向し、且つ挿通された電線Wに当接可能な着脱受面422を有する着脱部42であって、基礎受面411よりも着脱受面422が対向分断部51側に配置されるように、基礎部41に対して着脱可能な着脱部42と、を備える。
掛止部4は、挿通部3を介して対向分断部51と上下に対向している。即ち、挿通部3は、掛止部4よりも下方に位置している。
掛止部4は、前面部211に設けられた前掛止部45と、前掛止部45よりも後方に位置する後述する後掛止部46とを有する。本実施形態では、前掛止部45が基礎部41と、着脱部42とを備える。
前掛止部45は、前面部211の内壁部31に設けられている。具体的には、前掛止部45は、中央壁部34に位置している。本実施形態では、中央壁部34が基礎部41である。中央壁部34の内壁面が基礎受面411である。そのため、本実施形態では、前掛止部45は、第一挿通部3a1を介して対向分断部51と上下に対向している。
着脱部42は、内壁部31に対して着脱可能に構成されている。具体的には、着脱部42は、中央壁部34に対して着脱可能に構成されている。着脱部42は、中央壁部34に着けるための取付部(図示しない)を有する。取付部は、着脱受面422とは反対側に位置している。
本実施形態の着脱部42は、半円状に形成されている。円弧部に取付部が設けられ、直径部分に着脱受面422が形成されている。着脱部42が中央壁部34に着けられると、着脱受面422は、基礎受面411よりも対向分断部51側に位置する。
分断手段5は、上述のように、対向分断部51と、一対の側部21aのうちの少なくとも一方に位置する側方分断部52と、を有する。分断手段5は、対向分断部51の上方に位置する上方分断部53を更に有する。本実施形態では、分断手段5は、一対の側部21aの双方に側方分断部52を有する。このため、分断手段5は、第一挿通部3a1を囲むように配置されている。本実施形態の分断手段5は、熱溶断手段である。
対向分断部51は、第一挿通部3a1の下方に位置している。即ち、電線Wは対向分断部51よりも上に挿通される。そのため、電線Wが挿通部3に挿通されると、対向分断部51は、電線Wの下側に位置する。
対向分断部51は、分断部511と、該分断部511を前面部211に対して固定するための固定部512を有する。分断部511は、複数の電熱線をより合わせて細長く形成されている。本実施形態の電熱線は、ニクロム線である。
固定部512は、分断部511の両端に設けられている。固定部512は、分断部511を直線状に張った状態で(湾曲しないように)分断部511を前面部211に対して固定している。本実施形態の固定部512は、ネジである。具体的には、ネジ山を前面部211に対して所定の深さまでねじ込むと共に、ネジの頭部と前面部211との間にあるネジ山にニクロム線を巻付けることによって、分断部511は、前面部211に対して固定されている。
側方分断部52は、右方に位置する第一分断部521と、左方に位置する第二分断部522とを有する。第一分断部521、第二分断部522及び上方分断部53はそれぞれ、分断部521a,522a,531と、該分断部521a,522a,531を前面部211に対して固定するための固定部521b,522b,532を有する。各固定部521b,522b,532は、各分断部521a,522a,531を直線状に張った状態で(湾曲しないように)前面部211に対して固定している。分断部521a,522a,531は、複数の電熱線をより合わせて細長く形成されている。本実施形態の電熱線は、ニクロム線である。
誘導部23は、長孔状に形成されている。誘導部23は、第一挿通部3a1から前面部211の径外方向に延びて、前面部211の外周縁上で開口している。誘導部23は、第一挿通部3a1から下方に延びる接続部232と、左右方向に延びる導入部231とから構成されている。前面部211の外周縁上には、誘導部23の開口Pを形成する一対の突出部213が設けられている。
接続部232は、左右方向の長さが、上下方向の長さよりも長く形成されている。接続部232は、左右方向が一対の側面233によって閉じられている。一対の側面233は、右方に位置する右側面234と、左方に位置する左側面235とを有する。
導入部231は、前面部211の中心Cを通る左右方向に延びる。導入部231は、左右方向に延びる一対の側壁部24と、上下方向に延びる終壁部25とによって形成されている。一対の側壁部24は、上方に位置する第一側壁部241と、下方に位置する第二側壁部242とを有する。第一側壁部241の一端241aと終壁部25の一端25aとは、間隔を開けて配置されている。
第一側壁部241の一端241aは、右側面234と連続している。終壁部25の一端25aは、左側面235と連続している。そのため、本実施形態では、接続部232と導入部231とは、L状をなしている。
図3及び図4に示すように、延出部212には、電線Wを挿通する第二挿通部3a2が形成されている。第二挿通部3a2は、延出部212を前後方向に貫通している。延出部212は、筒状の部材によって形成されている。延出部212には、一端から他端に亘ってスリットS1が形成されている。延出部212は、前面部211の外周縁から後方に延びている。前面部211と延出部212とは、誘導部23の開口Pと延出部212のスリットS1を対応させた状態で互いに固定されている。
後方部22には、電線Wを挿通するための後挿通部3bが形成されている。後挿通部3bは、後方部22を前後方向に貫通している。後方部22は、筒状の部材によって形成されている。後方部22には、一端から他端に亘ってスリットS2が形成されている。
後掛止部46は、後方部22に設けられている。そのため、後掛止部46は、対向分断部51に対して後方にずれた位置で、挿通部3を介して対向分断部51と上下に対向している。具体的には、後掛止部46は、前挿通部3a及び後挿通部3bを介して対向分断部51と上下に対向している。後掛止部46は、スリットS2を避けた位置に設けられている。
後方部22は、延出部212から後方に延びている。後方部22は、延出部212に対して回転可能に構成されている。後方部22は、外径が延出部212の内径と略同一となるように形成されている。このため、後方部22は、延出部212に対して一端を嵌め込み可能に形成されている。
後方部22が延出部212に嵌め込まれることによって、前方部21と後方部22とが連結されると、前方部21の前挿通部3aと後方部22の後挿通部3bとが連続する。このように、連続した前挿通部3aと後挿通部3bとは、本体部2の前後方向に貫通する挿通部3となる。
回収部7は、本体部2に取り付けられている。本実施形態の回収部7は、図4及び図5に示すように、回収目的物を受ける回収体71と、該回収体71を本体部2に吊り下げるための吊下体72とを有する。回収体71は、掛止部4が電線Wに掛止されると、分断手段5の下方に水平方向に広がるように構成されている。本実施形態の回収体71は網である。
吊下体72は、本体部2に掛けられる。本体部2には、吊下体72を掛けるための第一取付部61が取り付けられている。本実施形態の吊下体72は、ロープである。吊下体72は、三角形を構成する三点において回収体71を本体部2に吊り下げている。そのため、回収部7は、掛止部4が電線Wに掛止されると、分断手段5の下方で水平方向に広がる。
電源部8は、本体部2に取り付けられている。本実施形態の電源部8は、本体部2の外側における延出部212の外周面に取り付けられている。具体的には、前面部211の中心Cを介して掛止部4と上下に対向する位置に取り付けられている。
錘部9は、重心と掛止部4とが上下方向に配列されるように本体部2に取り付けられている。即ち、掛止部4が電線Wに掛止されると、上下方向と鉛直方向とが略一致し、錘部9の重心は、掛止部4の略真下に位置する。本実施形態では、電源部8が錘部9として機能している。
移動手段10は、本体部2に固定される固定手段101と、本体部2を電線Wの軸線方向に移動させるための操作部102とを有する。本体部2には、固定手段101を固定するための第二取付部62が取り付けられている。本実施形態の移動手段10は、ロープである。固定手段101によってロープの一端を第二取付部62に固定し、操作部102を引っ張ることによって、本体部2を電線Wに対して移動させる(図5参照)。
本実施形態にかかる飛来物除去装置1の説明は以上であり、次に、飛来物除去装置1の使用方法について説明する。
まず、電線Wの太さを確認した上で、必要に応じて着脱部42を基礎部41に対して取り付ける。具体的には、電線Wが太い場合には、着脱部42を取り付けずに使用するか、又は取付部と着脱受面422との幅が狭い着脱部42を基礎部41に対して取り付ける。電線Wが細い場合には、取付部と着脱受面422との幅が広い着脱部42を基礎部41に対して取り付ける。
次に、後方部22を延出部212に対して嵌め合わせる。後方部22を延出部212に対して回転させることで、後方部22のスリットS2と延出部のスリットS1とが前後方向で一致するように位置合わせする。そして、前面部211が飛来物Tを向くように、位置合わせしたスリットS1,S2から誘導部23に電線Wを案内し、電線Wを挿通部3に挿通させる。
電線Wを掛止部4に掛止させ、飛来物除去装置1を電線Wに載せる。この状態で、分断手段5を所定の位置に配置することによって、対向分断部51を電線Wの下方に、側方分断部52を電線Wの側方に、上方分断部53を電線Wの上方に位置させる。このように、電線Wを分断手段5によって囲む。
電源部8の電源を入れることによって、分断手段5を加熱する。そして、移動手段10の操作部102を操作することによって(ロープを引っ張ることによって)、飛来物除去装置1を電線Wに沿って移動させる。分断手段5が飛来物Tに接触すると、飛来物除去装置1の移動が規制される。このとき、飛来物除去装置1の進行方向に少しロープを引く。これにより、飛来物Tが分断されると、飛来物除去装置1は進行方向に移動するため、飛来物Tが分断されたことを確認する。
以上のように構成された飛来物除去装置1は、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dが調整可能に構成されているため、電線Wの太さに応じて、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整することができる。これにより、様々な太さの電線Wに対して、電線Wに対する対向分断部51の位置を一定に設定することができる。よって、対向分断部51の位置を何度も調整しなくても、対向分断部51は、電線W上の飛来物Tを分断することができる。
また、上記構成の飛来物除去装置1では、掛止部4の電線Wに対する掛止位置を調整すれば、様々な太さの電線Wに対して、対向分断部51の位置を一定に設定することができる。従って、かかる構成によれば、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを容易に調整することができる。
また、挿通部3に挿通される電線Wが細い場合、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを小さくすることにより、電線Wの下端面近くに対向分断部51を位置させることができる。これにより、電線Wの下方に回収目的物が位置している場合、該回収目的物と電線Wとの間で飛来物Tを確実に分断することができる。そのため回収目的物を容易に回収することができる。
また、着脱受面422は、基礎受面411よりも対向分断部51側に配置されるため、着脱部42が基礎部41に着けられると、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを短く設定することができる。従って、着脱部42が基礎部41に対して着脱されるだけで、電線Wの太さに応じて掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整することができる。
上記構成の飛来物除去装置1は、掛止部4が電線Wに掛止されると、分断手段5よりも下方に位置する回収部7を備えている。そのため、飛来物Tが回収を要する回収目的物を含んでいる場合に、分断手段5で分断された飛来物Tが回収目的物を含んで落下しても、回収部7によって回収することができる。
上記構成の飛来物除去装置1では、掛止部4が電線Wに掛止されると、側方分断部52は、電線Wの側端側における少なくとも一方に位置する。そのため、側方分断部52は、電線Wの側端側に位置する飛来物Tを分断することができる。
また、分断手段5が熱溶断手段であるため、分断手段5は、熱を加えることによって溶ける熱可塑性のある材料で形成された飛来物Tを容易に分断(溶断)することができる。
また、掛止部4が前掛止部45と後掛止部46とを有しているため、本体部2は、電線Wに対して二点で掛止される。よって、本体部2は、電線Wに対して安定する。また、前掛止部45は、前方部21における前面部211に設けられ、後掛止部46は、後方部22に設けられている。即ち、前掛止部45と後掛止部46とは前後方向において間隔をあけて設けられているため、本体部2は、前後方向に揺れ難くなり、電線Wに対して更に安定する。従って、かかる構成によれば、飛来物除去装置1の電線W上での取扱いが容易となる。
また、後方部22は、前方部21に対して回転可能に構成されている。電線Wが挿通部3に挿通された状態で後方部22を回転することによって、延出部212のスリットS1と後方部22のスリットS2との位置をずらすことができる。これにより、電線Wを挿通部3に誘導するための隙間の一部が塞がれ、本体部2が電線Wから外れるのを防止することができる。
かかる構成の飛来物除去装置1では、対向分断部51の固定部512は、分断部511を直線状に張った状態で(湾曲しないように)分断部511を前面部211に対して固定している。そのため、分断部511は、変形し難く、本体部2が電線Wに沿って移動しても、分断部511と電線Wとの位置関係が変化し難い。従って、かかる構成の飛来物除去装置1では、分断部511は、電線Wに対して絡んだ飛来物Tの絡み部分を通過することができ、飛来物Tを除去することができる。
かかる構成の飛来物除去装置1では、移動手段10は、固定手段101を本体部2に固定し、操作部102を操作するだけで、本体部2を電線Wに対して移動させることができる。そのため、簡易な手段で、本体部2を飛来物Tに接近させることができる。
かかる構成の飛来物除去装置1では、錘部9は、重心と掛止部4とが上下方向に配列されるように本体部2に取り付けられている。そのため、掛止部4が電線Wに掛止されると、掛止部4は必ず上方に位置する。従って、かかる構成の飛来物除去装置1は、安定して使用することができる。
また、かかる構成の飛来物除去装置1では、誘導部23の接続部232が、第一挿通部3a1から下方に延びているため、操作中に本体部3が挿通された電線Wに対して回転しても、電線Wが挿通部3から脱落し難い。また、導入部231は左右方向に延びるとともに、前面部211の外周縁上で開口しているため、電線Wに対して本体部2を横から接近させることができる。そのため、かかる構成の飛来物除去装置1は、電線Wに容易に載せることができる。
また、かかる構成の飛来物除去装置1では、前面部211の外周縁上に、誘導部23の開口Pを形成する一対の突出部213が設けられている。これにより、前面部211の左右方向の重さのバランスをとることができ、電線Wに対して安定して使用することができる。即ち、誘導部23が形成されたことによって前面部211の右側の重量が軽くなるに伴い、一対の突出部213を設けることにより、誘導部23部分の重量を補うことができる。
尚、本発明の飛来物除去装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態では、分断手段5は、熱溶断手段である場合について説明したが、これに限定されるものではない。分断手段5は、刃、ナイフ、ハサミ等の切断手段であってもよい。
上記実施形態では、回収体71は網である場合について説明したが、これに限定されるものではない。回収体71は、掛止部4が電線Wに掛止されると、分断手段5の下方に水平方向に広がるものであればよく、板、布、箱、袋等であってもよい。
上記実施形態では、分断手段5は、対向分断部51、第一分断部521、第二分断部522及び上方分断部53を有することによって、第一挿通部3a1が分断手段5によって囲まれている場合について説明したが、これに限定されるものではない。分断手段5は、図6(a)に示すように、対向分断部51のみを有していてもよい。また、図6(b)に示すように、対向分断部51、第一分断部521及び第二分断部522を有していてもよい。
上記実施形態では、対向分断部51の固定部512は、分断部511を直線状に張った状態で(湾曲しないように)分断部511を前面部211に対して固定している場合について説明したが、これに限定されるものではない。図7(a)に示すように、対向分断部51の分断部511は、湾曲した状態で前面部211に固定されていてもよい。また、図7(b)に示すように、対向分断部51、第一分断部521、第二分断部522及び上方分断部53における各分断部511,521a,522a,531は、電線Wの外周を湾曲して囲んでいてもよい。
上記実施形態では、誘導部23の導入部231と接続部232とがL状をなしている場合について説明したが、これに限定されるものではない。図8に示すように、誘導部23は、導入部231のみを有し、導入部231が直接第一挿通部3a1から前面部211の径外方向に延びていてもよい。
また、図8に示すように、導入部231は、第一挿通部3a1から上方に延びていてもよい。この場合、掛止部4は、後方部22や延出部212に設けられていてもよい。即ち、前面部211に前掛止部45を設けることができない場合には、前掛止部45は、延出部212に設けられ、後掛止部46は、後方に22に設けられていてもよい。また、前掛止部45及び後掛止部46の双方が、延出部212、又は後方部22の一方に設けられていてもよい。何れの場合でも、掛止部4は、対向分断部51に対して後方にずれた位置で、挿通部3を介して対向分断部51と上下に対向することとなる。
上記実施形態では、着脱部42を中央壁部34に対して着脱することによって、掛止部4は、該掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整可能である場合について説明したが、これに限定されるものではない。図9に示すように、基礎部41の基礎受面411が上下方向にスライド可能に構成されることによって、掛止部4は、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整してもよい。
また、着脱部42を上下方向に延伸可能に構成することによって、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整可能にしてもよい。
上記実施形態では、後掛止部46は、後方部22に設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。後掛止部46は、前掛止部45よりも後方に設けられていればよく、延出部212に設けられていてもよい。
上記実施形態では、前掛止部45が、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整する場合について説明したが、後掛止部46が、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整してもよい。
上記実施形態では、掛止部4が、該掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整可能である場合について説明したが、これに限定されるものではない。図10(a)に示すように、対向分断部51が上下方向にスライド可能に構成されることによって、対向分断部51が、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整するものであってもよい。
また、図10(b)に示すように、対向分断部51は、上下方向に複数の固定部512を有し、分断部511を固定する固定部512を選択可能に構成されることによって、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整するものであってもよい。即ち、分断部511を掛止部4に近い固定部512aに固定することによって、対向距離Dを短くすることができる。また、分断部511を掛止部4から遠い固定部512に固定することによって、対向距離Dを長くすることができる。即ち、対向分断部51の位置を変更するだけで、掛止部4と対向分断部51との対向距離Dを調整することができる。
上記実施形態では、対向分断部51、第一分断部521、第二分断部522、及び上方分断部53における各分断部511,521a,522a,531は、複数の電熱線(ニクロム線)をより合わせて細長い棒状に形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。各分断部511,521a,522a,531は、飛来物Tを分断可能であればどのような形状であってもよい。また、電熱線には、タングステン等のその他の材料が使用されてもよい。更に、熱溶断手段は、電熱線に限られず、レーザーや、その他の手段であってもよい。
上記実施形態では、着脱部42を中央壁部34に着ける方法について特に言及しなかったが、例えば、中央壁部34にスリットを形成し、且つ取付部を該スリットに嵌め込み可能な構成とすることによって、着脱部42を中央壁部34に着けてもよい。また、取付部を雄ネジとし、中央壁部34に雌ネジを形成することによって、取付部と中央壁部34とを螺着させてもよい。
上記実施形態では、錘部9が本体部2に取り付けられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。錘部9は、回収部7に取り付けられていてもよい。これにより、風の影響で回収部7が揺れ、本体部2が不安定になるのを防止することができる。また、回収部7が揺れ難くなることによって、回収目的物を確実に回収することができる。
上記実施形態では、電源部8が本体部2の外側に取り付けられ、電源部8が錘部9として機能している場合について説明したが、電源部8は、本体部2に内蔵されていてもよく、錘部9は、電源部8とは別に設けられていてもよい。