JP6458601B2 - 杭継手装置 - Google Patents
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Description
一方、特許文献2が開示する杭頭結合構造は、既製杭の上端板に固定される基板と、基板から突設された補強鉄筋とを有する。
一方、特許文献2が開示する杭頭結合構造では、基板及び補強鉄筋によって、上部構造体と杭との間の接合強度が増大されており、地震時には杭に大きな曲げモーメントが作用する。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、例えば地震時に、杭に作用する曲げモーメントを低減可能な新規な杭継手装置を提供することにある。
環形状を有し、杭の端部に固定可能な第1固定部材と、
環形状を有し、前記第1固定部材と同軸に配置可能な第2固定部材と、
前記第1固定部材及び前記第2固定部材の外周に沿って配置可能な複数の連結部材と、
前記第1固定部材から径方向に突出する第1係合部と、
前記第2固定部材から径方向に突出する第2係合部と、
を備え、
前記複数の連結部材の各々は、
前記第1係合部と係合可能な第3係合部と、
前記第2係合部と係合可能な第4係合部と、
を有し、
前記第2係合部及び前記第4係合部はそれぞれ鉤形の断面形状を有し、前記第2固定部材の径方向及び軸線方向にて相互に係合可能であり、
前記第1係合部及び前記第3係合部は、前記第1固定部材の軸線方向にて相互に係合可能であり、
前記第3係合部と前記第4係合部の間隔は、前記第1固定部材及び前記第2固定部材の軸線方向での前記第1係合部及び前記第2係合部の合計長さよりも長い。
前記第1係合部及び前記第3係合部はそれぞれ鉤形の断面形状を有し、前記第1固定部材の径方向及び軸線方向にて相互に係合可能である。
前記第1係合部と前記第3係合部との間に配置可能であり、前記第1固定部材と前記第2固定部材との間の距離又は角度が大きくなるほど大きな反力を発生させる弾性部材を更に備える。
前記弾性部材はエラストマによって構成されている。
上記構成(4)によれば、エラストマによって構成された弾性部材を第1係合部と第3係合部の間に配置することで、第1係合部と第3係合部の間が異物で満たされることが防止される。これによって、第1係合部に対する第3係合部の相対的な変位が、異物によって阻害されることが防止される。
前記杭の端部は、前記杭の中間部よりも小さい外径を有し、
前記連結部材は、前記杭の径方向にて前記杭の中間部の外周よりも内側に配置可能である。
上記構成(5)によれば、連結部材が杭の径方向にて杭の中間部の外周よりも内側に配置されるので、杭を孔に挿入するときに、孔の壁面と連結部材が摺動して連結部材が外れることが防止される。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
複数の杭2は、例えば、鉛直方向に配列されて列をなし、複数の杭2によって構成される列が水平方向に離間して並列に配置されている。
なお本明細書において、括弧の前の符号は、括弧内の符号のうち1つ以上を指すときに用いられる。
第1固定部材12は、例えば鋼製であり、環形状を有し、杭2の端部に固定可能である。なお、第1固定部材12が杭2の端部に固定可能であるとは、第1固定部材12が杭2の端部を構成している場合も含むものとする。
第2固定部材14は、例えば鋼製であり、環形状を有し、第1固定部材12と同軸に配置可能である。なお、第2固定部材14も、杭2の端部を構成していてもよい。
第2係合部20は、第2固定部材14の径方向に沿って、第2固定部材14から突出している。
第1係合部18及び第3係合部22は、第1固定部材12の軸線方向にて相互に係合可能である。
そして、第3係合部22と第4係合部24の間隔Gは、第1固定部材12及び第2固定部材14の軸線方向での第1係合部18及び第2係合部20の合計長さLよりも大きい(G>L)。なお、間隔Gは、第3係合部22及び第4係合部24によって規定される連結部材16の凹部の開口幅である。
一方、第3係合部22と第4係合部24の間隔Gが、第1固定部材12及び第2固定部材14の軸線方向での第1係合部18及び前記第2係合部20の合計長さLよりも大きいので、第1固定部材12と第2固定部材14が相互に同軸に当接し、且つ、第2係合部20と第4係合部24が相互に係合した状態では、第1係合部18と第3係合部22との間に隙間25が存在する。この隙間25の存在により、第1固定部材12は、第1固定部材12の軸線方向にて連結部材16に対し相対変位可能である。このため、第1固定部材12と第2固定部材14が連結部材16を介して相互に連結された状態で、第1固定部材12と第2固定部材14との間の距離又は角度が変化可能である。すなわち、第1固定部材12に対して第2固定部材14が離れることができ、又は、図6に例示したように、第1固定部材12に対し第2固定部材14が傾くことができる。このため、例えば地震時に、杭2に作用する引き抜き力又は曲げモーメントを低減することができる。
なお引き抜き力は、上部構造体3が倒れようとするときに一部の列の杭2に作用し、曲げモーメントは、上部構造体3が水平方向に変位するときに全ての列の杭2に作用する。
なお、杭継手装置10の通常の使用態様では、第1固定部材12及び第2固定部材14は上下方向に配列され、第1固定部材12が下方に配置され、第2固定部材14が上方に配置される。
この場合、図5に例示したように、杭継手装置10a〜10dによって相互に連結された2つの杭2が相互に離れたり又は傾くことができ、例えば地震時に、第1固定部材12及び第2固定部材14が固定された2つの杭2に作用する引き抜き力や曲げモーメントを低減することができる。
この構成では、例えば地震時に、上部構造体3が倒れようとしても第2固定部材14に対し第1固定部材12が離れることができ、第1固定部材12が固定された杭2に作用する引き抜き力を低減することができる。
またこの構成では、例えば地震時に、上部構造体3が水平方向に揺れても第2固定部材14に対し第1固定部材12が傾くことができ、第1固定部材12が固定された杭2、第2固定部材14が固定されたパイルキャップ4a、及び、パイルキャップ4aに接合された基礎梁4bに作用する曲げモーメントを低減することができる。
そして、図5に示したように、第4係合部24は、連結部材16の側板部26から径方向内側に一体に突出する環状の第4鍔部32と、第4鍔部32の内周縁から軸線方向下側に一体に突出する第4環状部34によって構成される。
この場合、第2固定部材14の軸線と直交する面にそれぞれ沿う第2環状部30の環状面30aと第4鍔部32の環状面32aが当接することによって、第2係合部20と第4係合部24が軸線方向に係合する。そして、第2固定部材14の軸線方向及び周方向に延在する第2環状部30の内周面30bと、同じく軸線方向及び周方向に延在する第4環状部34の外周面34aが相互に当接することによって、第2係合部20と第4係合部24が径方向に係合する。更に、第2固定部材14の軸線方向及び周方向に延在する第2環状部30の外周面30cと、同じく軸線方向及び周方向に延在する側板部26の内周面26aが相互に当接することによって、第2係合部20と第4係合部24が径方向に係合する。
そして、図3及び図5に示したように、第3係合部22は、側板部26から径方向内側に突出する第3鍔部38によって構成される。
この場合、第1鍔部36と第3鍔部38が当接することによって、第1係合部18と第3係合部22が軸線方向に係合する。
上記構成によれば、第2係合部20及び第4係合部24が第2固定部材14の径方向及び軸線方向にて相互に係合可能であるとともに、第1係合部18及び第3係合部22が第1固定部材12の径方向及び軸線方向にて相互に係合可能であるので、第1固定部材12及び第2固定部材14を、連結部材16を介して相互に確実に連結可能である。
そして、図7に示したように、第3係合部22は第4係合部24と同じ形状を有し、鉤形の断面形状を有している。すなわち、第3係合部22は、側板部26から径方向内側に突出する第3鍔部38と、第3鍔部38の内周縁から軸線方向に一体に突出する第3環状部42によって構成される。
この構成によれば、第1係合部18及び第3係合部22が鉤形の断面形状を有するので、第1係合部18及び第3係合部22が第1固定部材12の軸線方向及び径方向にて確実に係合可能である。
この構成によれば、第1係合部18のテーパ面と第3係合部22のテーパ面、すなわち第1鍔部36の環状面36aと第3鍔部38の環状面38aが相互に当接することで、第1係合部18及び第3係合部22が第1固定部材12の軸線方向及び径方向にて確実に係合可能である。
この構成によれば、エラストマによって構成された弾性部材44を第1係合部18と第3係合部22との間の隙間25に配置することで、隙間25が異物で満たされることが防止される。これによって、第1係合部18に対する第3係合部22の相対的な変位が、異物によって阻害されることが防止される。
幾つかの実施形態では、弾性部材44はばねによって構成される。
上記構成によれば、連結部材16が杭の径方向にて杭の中間部52の外周よりも内側に配置されるので、杭2を孔に挿入するときに、孔の壁面と連結部材16が摺動して連結部材16が外れることが防止される。
この構成によれば、連結部材16が外れることが確実に防止される。
幾つかの実施形態では、図11に示したように、杭2がSC杭2aの場合、補強バンド65に代えて、コンクリート60の全体が外殻鋼管68によって覆われ、端板62が外殻鋼管68に溶接される。
なお、既製杭2の構成は上記構成に限定されることはない。
2 杭(既製杭)
2a SC杭
2b PRC杭
2c PHC杭
3 上部構造体
4a パイルキャップ
4b 基礎梁
5 上部構造体
10(10a〜10e) 杭継手装置
12 第1固定部材
14 第2固定部材
16 連結部材
18 第1係合部
20 第2係合部
22 第3係合部
24 第4係合部
25 隙間
26 側板部
26a 内周面
27 鉄筋
28 第2鍔部
30 第2環状部
30a 環状面
30b 内周面
30c 外周面
32 第4鍔部
32a 環状面
34 第4環状部
34a 外周面
36 第1鍔部
36a 環状面
38 第3鍔部
38a 環状面
40 第1環状部
42 第3環状部
44 弾性部材
46 外れ止め部材
49 鋼管
50 杭の端部
52 杭の中間部
60 コンクリート
62 端板
64 PC鋼棒
65 補強バンド
68 外殻鋼管
Claims (5)
- 環形状を有し、杭の端部に固定可能な第1固定部材と、
環形状を有し、前記第1固定部材と同軸に配置可能な第2固定部材と、
前記第1固定部材及び前記第2固定部材の外周に沿って配置可能な複数の連結部材と、
前記第1固定部材から径方向に突出する第1係合部と、
前記第2固定部材から径方向に突出する第2係合部と、
を備え、
前記複数の連結部材の各々は、
前記第1係合部と係合可能な第3係合部と、
前記第2係合部と係合可能な第4係合部と、
を有し、
前記第2係合部及び前記第4係合部はそれぞれ鉤形の断面形状を有し、前記第2固定部材の径方向及び軸線方向にて相互に係合可能であり、
前記第1係合部及び前記第3係合部は、前記第1固定部材の軸線方向にて相互に係合可能であり、
前記第3係合部と前記第4係合部の間隔は、前記第1固定部材及び前記第2固定部材の軸線方向での前記第1係合部及び前記第2係合部の合計長さよりも長い
ことを特徴とする杭継手装置。 - 前記第1係合部及び前記第3係合部はそれぞれ鉤形の断面形状を有し、前記第1固定部材の径方向及び軸線方向にて相互に係合可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の杭継手装置。 - 前記第1係合部と前記第3係合部との間に配置可能であり、前記第1固定部材と前記第2固定部材との間の距離又は角度が大きくなるほど大きな反力を発生させる弾性部材を更に備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の杭継手装置。 - 前記弾性部材はエラストマによって構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の杭継手装置。 - 前記杭の端部は、前記杭の中間部よりも小さい外径を有し、
前記連結部材は、前記杭の径方向にて前記杭の中間部の外周よりも内側に配置可能である
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の杭継手装置。
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