JP6452089B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体レーザ装置に関する。
近年の通信需要の増大によって、アクセスネットワークでも大容量化と高速化が進んでいる。次世代光通信ネットワークとして、1本の光ファイバケーブルに100波長以上を多重する波長多重光通信(WDM:Wavelength Division Multiplex)システムが検討されている。WDMシステムの光源として、量子ドットを利得媒質とした量子ドットレーザの研究が注目されている。量子ドットレーザは、温度による光出力の変動が小さいという特徴を有する。量子ドットレーザと外部共振器を組み合わせ、外部共振器中にエタロンフィルタを挿入して多波長の同時発振を実現する外部共振器型半導体レーザが提案されている(たとえば、非特許文献1及び2参照)。量子ドットを利得媒質とする場合、離散的な状態密度によって個々の量子ドットの発振波長が安定し、外部共振器の共振器長で決まる縦モード間隔をチャンネル間隔とする安定発振が期待できる。縦モード間隔が100GHz間隔の8チャンネルのD−WDM(Dense WDM)用レーザや、波長間隔800GHzのLAN−WDM(Local Area Network WDM)用、またはC−WDM(Coarse WDM)用のレーザも研究されている。これらの波長間隔はエタロンフィルタの膜厚を変化させることで制御できる。複数の波長の光を同時に発振することで光源デバイスの数を低減し、集積の簡素化、装置の小型化が可能になる。
量子ドットレーザでは、ドットサイズの不均一性を利用して波長帯域を拡げることができる。量子ドットのサイズや組成を同一層内で分布させ、個々の量子ドットの発光波長を制御することで、目標の波長帯域を達成する。現在主流であるD−WDMは波長間隔が40〜200GHzと狭いため、既存の成長条件で4チャンネル以上を実現できる。
「THz周波数間隔を持つ量子ドット2波長レーザ」、赤羽浩一(Kouichi Akahane)他、応用物理学会講演予稿集17a-E15-5、2014年春 「量子ドットコムレーザによる多波長光発生と光強度安定性の検討」、山本直克(Naokatsu Yamamoto)他、応用物理学会講演予稿集17p-PA2-1、2014年春
LAN−WDM、C−WDMの波長間隔は800GHz〜3600GHzと広く、一つの層内での量子ドットのばらつきだけで広帯域化を目指すのは難しい。現状の結晶成長技術では、同一面内でのドットサイズの不均一性を大きくして波長帯域を拡げようとしても40nmが限界である。一方、ドットサイズの不均一性を増大させて、さらなる広帯域化を目指す場合、結晶品質が劣化して所望の利得が得られず、多波長の同時発振が実現できないという問題もある。
そこで、広い波長レンジで多波長発振が可能な半導体レーザ装置の提供を課題とする。
一つの態様として、半導体レーザ装置は、
第1のフォトルミネッセンスピーク波長を有する第1量子ドットと、前記第1のフォトルミネッセンスピーク波長と異なる第2のフォトルミネッセンスピーク波長を有する第2量子ドットを利得媒質とする量子ドット利得素子と、
前記利得媒質の光軸方向の一端面をひとつの反射面とする外部共振器と、
前記外部共振器中に挿入されて特定の周波数の光を選択する光学的フィルタと、
を有し、
前記第1のフォトルミネッセンスピーク波長をλ1、前記第2のフォトルミネッセンスピーク波長をλ2、前記第1量子ドットのフォトルミネッセンススペクトルの半値全幅をλFWHM1、前記第2量子ドットのフォトルミネッセンススペクトルの半値全幅をλFWHM2、前記光学的フィルタで決まる周波数間隔をλFSRとすると、
λFSR+C2・(λFWHM1+λFWHM2)/2<λ1−λ2<λFSR+C1・(λFWHM1+λFWHM2) /2
の条件を満たすことを特徴とする。ここで、C1、C2は1より小さい正の定数である。
広い波長帯域で多波長発振が可能な半導体レーザ装置が実現される。
従来の量子ドット利得素子の活性層断面と利得スペクトルの図である。 実施形態の量子ドット利得素子の活性層断面と利得スペクトルの図である。 実施形態の外部共振器型半導体レーザの概略図である。 外部共振器に挿入するエタロンの周波数間隔を変えたときの発振スペクトルの図である。 外部共振器型半導体レーザの電流−光強度特性の図である。 電流値に応じた発振スペクトルの図である。 量子ドット利得素子の概略図である。 実施形態の量子ドット利得素子の活性層の作製工程図である。 実施形態の量子ドット利得素子の活性層の作製工程図である。 量子ドット利得素子の活性層の変形例である。 モノリシック型半導体レーザの構成例である。
実施形態を説明する前に、図1を参照して発明者が見出した技術課題を説明する。図1(A)は従来の量子ドット利得素子の活性層101の断面構造、図1(B)は図1(A)の構造での利得スペクトルである。図1(A)のように、利得媒質としてたとえばインジウムヒ素(InAs)量子ドット102を積層し、ピーク波長が1275nmの量子ドット利得素子を作製する。InAs量子ドット102のサイズばらつきを利用すると、ピーク波長が互いに少しずつ異なる複数の発光が得られ、レーザ発振に寄与する光の帯域は15〜20nm程度となる。InAs量子ドット102の不均一性を大きくして広帯域化を狙った場合、図1(B)に示すようにレーザ発振が得られる波長帯域は40nmが限界である。一方、ひとつの層で量子ドットの不均一性を大きくして波長帯域を拡げた場合、結晶品質の劣化により所定の利得が得られず、多波長での同時発振が起きなくなる。
そこで、同一面内での量子ドットの不均一性を拡大せずに広帯域化を実現することが望まれる。結晶品質を劣化させずに発振可能な帯域を大きくすることで、LAN−WDMやC−WDMに適用可能な多波長同時発振の光源が実現し、また温度制御を緩和することができる。
図2は、実施形態の量子ドット利得素子の活性層10の断面とその利得スペクトルを示す。図2(A)の例では、フォトルミネッセンス(PL)ピーク波長が異なる2種類の量子ドット13及び量子ドット15の層を交互に積層する。量子ドット13は、たとえばPLピーク波長が1285nmのInAs量子ドット、量子ドット15は、たとえばPLピーク波長が1245nmのInAs量子ドットである。量子ドット13、15はそれぞれ面内でのばらつきが抑制され、均一性の高いサイズ、形状を有する。後述するように、量子ドット13と量子ドット15の歪状態を互いに異ならせることで、異なるPLピーク波長に設計することができる。
図2(B)の利得スペクトルにおいて、ミラー損失よりも高い領域の利得がレーザ発振に寄与する。1245nmを中心とする利得領域Aと、1285nmを中心とする利得領域Bで、利得の最大値と最小値の差(あるいは利得領域の高さ)が異なる場合がある。利得領域Aと利得領域Bの間に、利得がミラー損失よりも低い「非利得領域」が存在する。一般に、非利得領域ではレーザ発振はしない。これに対し、実施形態では外部共振器中に適切な波長間隔の光学的フィルタを挿入し、量子ドット13のPLピーク波長(λ1)と量子ドット15のPLピーク波長(λ2)の間隔Δλ1-2が所定の関係を満たすように設定することで、非利得領域での発振を実現する。非利得領域で十分な強度の発振が得られると、50nmを超えるレンジにわたって複数波長の同時発振が得られる。
図3は、半導体レーザ装置の一例として、外部共振器型半導体レーザ20の概略構成を示す。外部共振器型半導体レーザ20は、量子ドット利得素子1と、レンズ23、エタロンフィルタ22、及びミラー21を含む光学系とを有する。半導体レーザ1は、利得媒質として図2(A)の量子ドット13、15が形成された活性層10を有する。量子ドット13,15が形成された量子ドット活性層10を有する利得媒質素子1を「量子ドット利得素子」と称している。量子ドット利得素子1のへき開面(CL)とミラー21の間で外部共振器を構成する。この例で、へき開面(CL)からミラー21までの外部共振器長は約50mmである。電流注入により、量子ドット利得素子1の活性層10で生成された光は、へき開面(CL)とミラー21の間を反復し、誘導放出の繰り返しにより増幅された光が出力される。出力光は光ファイバ25により図示しない光デバイスに伝送される。
外部共振器に、エタロンフィルタ22等、特定の周波数(波長)の光を透過させる光学的フィルタ22を挿入することで、図2(B)の利得領域A、Bと非利得領域の全体にわたって等間隔での発振が可能になる。
図4は、利得媒質に図2(A)の量子ドット構造を用い、外部共振器のFSR(自由スペクトルレンジ)すなわち共振波長間隔を変化させたときの発振スペクトルを示す。図4(A)は、外部共振器にエタロンフィルタ22を挿入しない場合(FSR=3GHz)の発振スペクトルである。この場合、外部共振器、すなわち量子ドット利得素子1のへき開面(CL)とミラー21の間の3GHzの縦モードで発振する。利得領域A、Bでは非常に密に生じる発振があり、非利得領域(図2(B)参照)ではまったく発振していない。
図4(B)は、FSRが800GHzのエタロンフィルタ22を挿入した場合の発振スペクトルである。外部共振器のFSR(波長間隔)がエタロンフィルタの周波数間隔となり、50nm近い帯域にわたって4nm間隔で多数の発振が得られる。しかし、非利得領域では利得ピーク強度よりも約8dB低い値で発振している。
図4(C)は、FSRが1800GHzのエタロンフィルタ22を挿入した場合の発振スペクトルである。非利得領域でも利得領域と同程度の光強度で発振している。この例では、波長間隔10nmで6波長が同時発振し、波長帯域は50nm、利得ピーク強度のばらつきは3dB以下という良好な結果を示している。
図4(D)は、FSRが3600GHzのエタロンフィルタ22を挿入した場合の発振スペクトルである。波長間隔20nmで非常に均一な光強度で3波長発振し、40nmの帯域となっている。
図4(A)〜4(D)の結果から、PLピーク波長の間隔とFSRを適切に選択することで、広い帯域で均一なスペクトル間隔の縦モード発振が得られることがわかる。
図5は、波長帯域1240nm〜1310nmの全波長光強度の電流依存性を示す図、図6は、FSRが1800GHzのエタロンフィルタを用いたとき(図4(C))の発振スペクトルの電流依存性を示す図である。図6の(a)〜(d)は、それぞれ図5のa、b、c、dの各点の電流値に対する発振スペクトルである。量子ドット利得素子1に注入する電流量を0mA〜200mAまで増大させていくと、a点で最初の発振が始まる。この閾値電流は、図5の例では35mAであり、図6の(a)に示すように長波長側の波長L1で最初に発振する。
電流値が図5のb点まで上昇すると、図6の(b)に示すように、2番目の波長L2で発振する。注入電流を増加させていくと、L1、L2、…Lnと順次発振し、100mAで波長間隔10nmの6つの発振スペクトルが得られる。この波長間隔10nmはエタロンフィルタ22のFSRによって決まる波長間隔である。
ここで、エタロンフィルタ22で決まる波長間隔をλFSRとすると、1番目の発振スペクトルの波長L1と、2番目の発振スペクトルの波長L2の関係が
L1-L2≧2×λFSR (1)
を満たす電流領域が存在する。図5及び図6の例では100mA近傍がその電流領域に該当する。式(1)を別の表現で説明すると、1番目の発振スペクトルと2番目の発振スペクトルの間に、1つ以上の発振スペクトルが等間隔で立つ条件である。これは、半導体レーザ1の利得媒質の隣接するPLピーク波長間の間隔が、エタロンフィルタの波長間隔λFSRよりも広いために生じる現象である。PLピーク波長間の間隔が、エタロンフィルタの波長間隔λFSRよりも狭い場合は注入した電子がエネルギーの低い順位から徐々に詰まっていくため、隣接したチャンネルから順次発振していくが、実施形態では2つの利得領域が存在するために、発振波長に飛びが現れる。
図4(D)の場合も同様の関係が成り立つ。図4(D)の場合、一番右側の発振スペクトル(L1)が1番目の発振スペクトルであり、一番左側の発振スペクトル(L2)が2番目の発振スペクトルである。図4(D)のエタロンフィルタ22の波長間隔は20nmであり、L1とL2の差分は式(1)の関係を満たす。半導体レーザ1の利得媒質の隣接するPLピーク波長の間隔が、エタロンフィルタの波長間隔(この例では20nm)よりも広く設定されていることにより生じる現象である。このときの電流領域は160mA近傍となる。
図4(B)〜図4(D)を参照するなら、FSRを1800GHzまでの適切な値に設定することで、50nmの波長レンジにわたって6nm、8nmといった波長間隔で同時発振が起きると容易に推測される。同様に、FSRを1800GHzより大きく、3600GHzよりも小さい適切な値に設定することで、50nm近い波長レンジで、たとえば15nmの波長間隔での同時発振を実現することができる。800GHz間隔では発振に不均一が残るが、間隔を広くすることで均一な発振となる。
式(1)の関係を成立させて広い帯域で複数の波長で同時発振させるためには、半導体レーザ1の利得媒質の隣接する2つのPLピーク波長の間隔Δλ1-2を広げるか、エタロンフィルタによるFSRを小さくすることが考えられる。エタロンフィルタの波長間隔を狭くしていくと、十分なチャネル間隔を確保できないだけでなく、図4(B)のように、非利得領域での発振スペクトルの強度が低下し、連続した波長レンジでの同時発振が実現できなくなる。
他方、利得媒質のPLピーク波長の間隔を広くとりすぎると、非利得領域での発振が困難になる。そこで、利得媒質のPLピーク波長の差(λ1-λ2=Δλ1-2)を適切な範囲に設定する。
量子ドットのばらつきを表わすパラメータとして量子ドットのPLスペクトルの半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)を用いる。長波長(λ1)側の量子ドット13のPLスペクトルの半値全幅をλFWHM1とし、短波長(λ2)側の量子ドット15のPLスペクトルの半値全幅をλFWHM2とする。
隣接する2つのPLピーク波長の間隔Δλ1-2は、エタロンフィルタの波長間隔λFSRと各PLスペクトルの半値全幅であるλFWHM1、λFWHM2を用いて式(2)で表すことができる。
λFSR+C2・(λFWHM1+λFWHM2)/2<λ1−λ2<λFSR+C1・(λFWHM1+λFWHM2)/2
(2)
ここで、C1、C2は定数である。
量子ドット13と量子ドット15のPLスペクトルの特性が近い場合、λFWHM1≒λFWHM2=λFWHMと考えてよい。この場合、式(2)は式(3)のように表現される。
λFSR+C2・λFWHM<Δλ1-2<λFSR+C1・λFWHM (3)
実施形態では、λFWHM1は38.6nm、λFWHM2は37.4nmであり、λFWHM1≒λFWHM2=λFWHMと近似できる。この場合、図4(A)〜図4(D)の結果を用いて定数を計算すると、C1=0.86、C2=0.50となる。この定数値は、FSR10nm以上、20nm未満(1800GHz<FSR<3600GHz)の範囲にわたって妥当する定数値である。式(2)または式(3)の範囲内で、目的とする発振間隔と、隣接するPLピーク波長間の間隔及び各PLスペクトルの半値全幅を設計することができる。
図7は、量子ドット利得素子1の構成例を示す概略図である。半導体基板2上に、下部クラッド層3と上部クラッド層4で挟み込んだ活性層10を配置する。活性層10は、第1のPLピーク波長を有する量子ドット13と、第2のピーク波長を有する量子ドット15を交互に積層した構成を有する。上部クラッド層4上にコンタクト層5を配置し、コンタクト層5上に所定形状の電極7を配置する。半導体基板2の裏面にも図示しない電極が形成されている。量子ドット利得素子1のへき開面8が出射面となっており、へき開面8と反対側の面に反射防止(AR:Anti-Reflection)膜9が形成されている。
図8及び図9は、活性層10の形成工程図である。図8(A)で、たとえばn型GaAs基板2上に、膜厚100nmのn型GaAs層31、膜厚200nmのn型AlGaAsクラッド層3、膜厚100nmのGaAsバッファ層32を順次成長する。GaAsバッファ層32上にInAs量子ドット33を成長する。
図8(B)で、InAs量子ドット33上にInGaAs歪緩和層34を形成する。GaAsバッファ層32上のInAs量子ドット33は、格子不整合による応力を受けていいる。GaAsよりも格子定数の大きいInGaAs歪緩和層34をInAs量子ドット33上に形成することで、ドット成長方向への応力が緩和される。InAs量子ドット33と歪緩和層34を合わせて、第1のPLピーク波長を有する量子ドット13とする。
図8(C)で、量子ドット13上にGaAsバリア層14を成長する。
図9(A)で、InAs量子ドット15を成長し、図9(B)でInAs量子ドット15上にGaAsバリア層14を成長する。図9(C)で、InAs量子ドット13と、InAs量子ドット13の層を交互に積層する。InAs量子ドット33とInAs量子ドット15は、同じ成長条件で同じ組成、同じサイズに形成してもよい。たとえば600℃で直径20nmのドットに成長する。量子ドット13と量子ドット15は異なる歪状態を有し、歪が緩和された量子ドット13のPLピーク波長は、量子ドット15のPLピーク波長よりも長波長にある。PLピーク波長は、量子ドット13と量子ドット15の組成やドットサイズを変えることでも異ならせることができる。
図10は、半導体レーザ1の変形例である。図10(A)の構成例では、たとえばn型InP基板41上に、n型InPクラッド層42を100nm成長し、InGaAsPバッファ層43上に異なる積層数のコラムナドット49を有する層51と52を形成する。図の例では、InAs量子ドット45をInGaAsPサイドバリア層46を介して3層コラム状に積層させたコラムナドット49aの層51と、InAs量子ドット45をInGaAsPサイドバリア層46を介して5層コラム状に積層させたコラムナドット49bの層52を、InGaAsPバリア層47を挟んで形成する。コラムナドット49aの層51とコラムナドット49bの層52を交互に繰り返してもよい。
図10(B)は、コラムナドットの積層数とPLピーク波長の関係を示す図である。たとえば4層積層のコラムナドットの層51と、10層積層のコラムナドットの層52を形成することで、PLピーク波長の間隔を40nmとしてもよい。この場合、適切なFSRのエタロンフィルタ22を外部共振器に挿入することで、1.5μm帯で50nm以上の波長帯域にわたって複数波長の同時発振が可能になる。
図11は、半導体レーザ装置の別の例としてモノリシック型半導体レーザ60の概略構成を示す。図11(A)は上面図、図11(B)は図11(A)のA−A'断面である。シリコン基板61上に、量子ドット利得素子(quantum dot gain chip)70、シリコン光導波路65、67、69、シリコン光機能部品72、73、76等が集積されている。量子ドット利得素子70は、利得媒質として図2(A)のような量子ドット構成、または図10(A)のような量子ドット構成を有し、電流注入により異なる波長(λ1、λ2、λ3、λ4、..)で同時発振する。量子ドット利得素子70はバンプ71により量子ドット利得素子用テラス68に搭載されている。量子ドット利得素子70の利得媒質の端面は、シリコン酸化膜62上に形成されたスポットサイズ変換器66でシリコン光導波路69に光学的に接続されている。
シリコン光導波路69は光カプラ72で分岐され、一方のシリコン光導波路67はリング共振器73と光学的に接続される。リング共振器73はDBR(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ反射器)ミラー76と光学的に接続されている。量子ドット利得素子70の出射側と反対側の端面とDBRミラー76との間に外部共振器が形成される。量子ドット利得素子70を出射した光は、DBRミラー76と量子ドット利得素子70の利得媒質の端面の間を反復する。リング共振器73とDBRミラー76は、上層に形成されたヒーター75で加熱され、リング共振器73の共振周波数(波長)と外部共振器の位相が調整される。温度制御下で、リング共振器73は任意の波長間隔の光を選択的に励振させる。増幅され所定の波長間隔で発振した光は他方のシリコン光導波路65から出力される。
リング共振器73は、特定波長の光を選択する光学的フィルタ22に対応し、ヒーター75で、その共振波長間隔λFSRを10nm(1800GHz)に調整する。量子ドット利得素子70の利得媒質の異なるPLピーク波長の間隔が式(2)または(3)の関係を満たすときに、図4(C)のような発振スペクトルを得ることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、多様な変形例が可能である。特定の波長をとりだす光学的フィルタ22としてエタロンフィルタ22やリング共振器73の他に、光バンドバスフィルタ、干渉フィルタ等を用いてもよい。InAs量子ドット13の歪緩和層はInGaAsに替えてInAlAsを用いてもよい。
実施形態では、量子ドット13と量子ドット15の歪状態、またはコラムナドット積層数を変えてPLピーク波長を異ならせたが、層ごとに組成とサイズの少なくとも一方を変えることでPLピーク波長を異ならせてもよい。
以上の説明に対して以下の付記を提示する。
(付記1)
第1のフォトルミネッセンスピーク波長を有する第1量子ドットと、前記第1のフォトルミネッセンスピーク波長と異なる第2のフォトルミネッセンスピーク波長を有する第2量子ドットを利得媒質とする量子ドット利得素子と、
前記利得媒質の光軸方向の一端面をひとつの反射面とする外部共振器と、
前記外部共振器中に挿入されて特定の周波数の光を選択する光学的フィルタと、
を有し、
前記第1のフォトルミネッセンスピーク波長をλ1、前記第2のフォトルミネッセンスピーク波長をλ2、前記第1量子ドットのフォトルミネッセンススペクトルの半値全幅をλFWHM1、前記第2量子ドットのフォトルミネッセンススペクトルの半値全幅をλFWHM2、前記光学的フィルタで決まる周波数間隔をλFSRとすると、
λFSR+C2・(λFWHM1+λFWHM2)/2<λ1−λ2<λFSR+C1・(λFWHM1+λFWHM2)/2
の条件を満たし、C1、C2は1より小さい正の定数であることを特徴とする半導体レーザ装置。
(付記2)
前記条件式で、C1=0.86、C2=0.50であることを特徴とする付記1に記載の半導体レーザ装置。
(付記3)
前記光学的フィルタの自由スペクトルレンジは、800GHzより大きく、3600GHzより小さい範囲で選択されることを特徴とする付記1または2に記載の半導体レーザ装置。
(付記4)
前記第1量子ドットと前記第2量子ドットは、異なる歪状態を有することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
(付記5)
前記第1量子ドットと前記第2量子ドットは異なる積層数でコラム状に積層されたコラムナドットであることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
(付記6)
前記量子ドット利得素子は半導体基板上に搭載され、
前記外部共振器は、前記半導体基板上に形成された光学的反射素子と、前記量子ドット利得素子と前記光学的反射素子の間の前記半導体基板上に形成されて前記特定の周波数の光を透過させる共振器とを含むことを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
(付記7)
前記光学的フィルタは、エタロンフィルタであることを特徴とする付記1〜5の何れかに記載の半導体レーザ装置。
(付記8)
前記利得媒質の利得スペクトルは、前記第1のフォトルミネッセンスピーク波長を中心とする第1の利得領域と、前記第2のフォトルミネッセンスピーク波長を中心とする第2の利得領域と、前記第1の利得領域と前記第2の利得領域に挟まれる非利得領域を有することを特徴とする付記1〜7のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
1 量子ドット利得素子
10 活性層
13 InAs量子ドット(第1量子ドット)
15 InAs量子ドット(第2量子ドット)
20 外部共振器型半導体レーザ(半導体レーザ装置)
21 ミラー(光学的反射素子)
22 エタロンフィルタ(光学的フィルタ)
49a コラムナドット(第1量子ドット)
49b コラムナドット(第2量子ドット)
60 モノリシック型半導体レーザ(半導体レーザ装置)
73 リング共振器(光学的フィルタ)
76 DBRミラー(光学的反射素子)
70 量子ドット利得素子

Claims (5)

  1. 第1のフォトルミネッセンスピーク波長を有する第1量子ドットと、前記第1のフォトルミネッセンスピーク波長と異なる第2のフォトルミネッセンスピーク波長を有する第2量子ドットを利得媒質とする量子ドット利得素子と、
    前記利得媒質の光軸方向の一端面をひとつの反射面とする外部共振器と、
    前記外部共振器中に挿入されて特定の周波数の光を選択する光学的フィルタと、
    を有し、
    前記第1のフォトルミネッセンスピーク波長をλ1、前記第2のフォトルミネッセンスピーク波長をλ2、前記第1量子ドットのフォトルミネッセンススペクトルの半値全幅をλFWHM1、前記第2量子ドットのフォトルミネッセンススペクトルの半値全幅をλFWHM2、前記光学的フィルタで決まる周波数間隔をλFSRとすると、
    λFSR+C2・(λFWHM1+λFWHM2)/2<λ1−λ2<λFSR+C1・(λFWHM1+λFWHM2)/2
    の条件を満たし、C1、C2は1より小さい正の定数であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記条件で、C1=0.86、C2=0.50であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 前記光学的フィルタの自由スペクトルレンジは、800GHzより大きく、3600GHzより小さい範囲で選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記第1量子ドットと前記第2量子ドットは、異なる歪状態を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  5. 前記第1量子ドットと前記第2量子ドットは異なる積層数でコラム状に積層されたコラムナドットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
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