JP6445850B2 - 酵素処理イソクエルシトリン含有容器詰飲料 - Google Patents

酵素処理イソクエルシトリン含有容器詰飲料 Download PDF

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Description

本発明は、酵素処理イソクエルシトリンを含有する飲料を、プラスチック製容器などに詰めて得られる容器詰飲料に関する。
ケルセチン(Quercetin:3,3',4',5,7-pentahydroxyflavone、クエルセチンとも呼ばれる)は、野菜や果物に豊富に含まれるポリフェノール成分であり、そのままで、又は配糖体の形で、柑橘類、タマネギ、ソバ、エンジュ等の種々の植物に含まれている。ケルセチンは、強力な抗酸化活性(非特許文献1)の他、血小板の凝集抑制および接着抑制作用、血管拡張作用、抗ガン作用等、多彩な生理機能をもつことが知られている(非特許文献2)。
ケルセチンの配糖体の一つであるイソクエルシトリンは、ケルセチンの3位にグルコース1つがβ結合したフラボノール配糖体であり、強力な抗酸化活性を有し、色素の退色を防止することが知られており(特許文献1)、抗動脈硬化、血流改善等の生体への作用も期待されている素材である。最近では、イソクエルシトリンに肥満者の体脂肪を低減させる作用があることが見出され、飲料の形態で摂取させて効果があることが報告されている(非特許文献3)。
しかし、イソクエルシトリンは水に難溶であるため、生体外では有効に作用するものの、生体内における効果が十分ではなく、飲料等の水系の組成物としての利用が制限されるという問題あった。そこで、糖転移酵素を用いて、基質のグルコース残基をイソクエルシトリンのグルコース残基部位に転移させてα−グルコシルイソクエルシトリン(本明細書では「酵素処理イソクエルシトリン」という)を調製する方法が提案されている(特許文献2)。「酵素処理イソクエルシトリン」は、イソクエルシトリンの作用はそのままに、水への溶解性が改善された水易溶性物質であることが知られている。
このように酵素処理イソクエルシトリンは、イソクエルシトリンより溶解性に優れているものの、pHが中性の水溶液中では、ケルセチン配糖体が経時的に開環して保存中に沈殿を生じることがあるばかりか、その所望される生理機能を十分に享受することができないという問題がある。そこで、中性の水溶液でケルセチン配糖体の安定性を高めるための種々の提案がなされている。例えば、カテキンを共存させて保存安定性を高める方法(特許文献3)や、特定量のアスコルビン酸とpH調整によりケルセチン配糖体を含有する茶飲料の安定性を高める方法(特許文献4)等がある。
また、高濃度の酵素処理イソクエルシトリンを含有する容器詰飲料を長期間保存した場合、飲料の外観が変化しやすく、長期にわたって色相を安定に保持することが困難であるという問題が知られており、この改善方法として、飲料を酸性(pHを2〜5)とし、糖アルコール又はトレハロース、或はアルコール類を特定量配合することが知られている(特許文献5,6)。
特開2008−131888号公報 特開平1−213293号公報 特開2013−166590号公報 特開2012−183063号公報 特開2013−81453号公報 特開2013−81454号公報
Middlton EJ. et al., Pharmacol Rev., 52, 673-751, 2000 薬理と治療、p123-131, vol.37, No.2, 2009 薬理と治療、p919-930, vol.36, No.10, 2008
イソクエルシトリンの生理作用を、より効果的に発現させるためには、溶解性及び体内吸収性の高い酵素処理イソクエルシトリンを用いることが有効であり、それを簡便に達成可能とする手段として飲料の形態とすることが挙げられる。
しかし、生理作用を発現するのに必要な濃度の酵素処理イソクエルシトリンを含有する容器詰飲料を長期間保存した場合、飲料の外観が変化しやすく、長期にわたって色相を安定に保持することが困難であるという問題がある。
特に、弱酸性〜中性付近の容器詰飲料を長期間保存した場合、酸性付近の飲料と比較して顕著に飲料の外観が変化しやすいことが判明した。そこで、プラスチック製容器の中でも特に酸素を透過しにくい、すなわち酸素透過係数が小さい容器に充填することを試行した。このようなプラスチック製容器に充填した場合、通常のプラスチック製容器、すなわち酸素透過係数が通常程度のプラスチック製容器に充填した場合に比べて色相を安定に保持することができると予測されたが、意外なことに、カテキンの組成や濃度によって色調変化がより際立ってしまう傾向があることがわかった。
本発明の目的は、酸素透過係数の小さいプラスチック製容器を使用しても長期間保存時の色相変化の少ない酵素処理イソクエルシトリン含有容器詰飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のカテキンを配合することにより、長期保存した場合にも酵素処理イソクエルシトリンを高濃度に含有する容器詰飲料の色相変化を高水準で防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。特に本発明によれば、容器1本あたりの酸素透過係数が0.015mL/本・day以下といった酸素透過係数が小さい容器に充填した場合でも、酵素処理イソクエルシトリンを高濃度で含有する飲料の経時的な色相変化を効率的に抑制することができる。
これに限定されるものではないが、本発明は以下に関する。
(1) 酵素処理イソクエルシトリン、ガロ型カテキン類及びガレート型カテキン類を含有する、容器に充填された飲料:(A) 酵素処理イソクエルシトリンの含有量:10〜100mg/100g;(B)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の総量(b3+b4+b5+b6+b7+b8):30〜100mg/100g;(C)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の割合((b3+b4)/(b5+b6+b7+b8)):0.7〜1.4。
(2) pHが5.0〜6.5である、(1)に記載の飲料。
(3) 前記容器が、酸素透過係数が0.015mL/本・day以下の樹脂製容器である、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4) 前記飲料が茶飲料である、(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料。
(5) 酵素処理イソクエルシトリン、ガロ型カテキン類及びガレート型カテキン類を以下の条件で含有する飲料を調製する工程と、調製した飲料を容器に充填する工程と、を有する、容器詰飲料の製造方法:(A)酵素処理イソクエルシトリンの含有量:10〜100mg/100g;(B)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の総量(b3+b4+b5+b6+b7+b8):30〜100mg/100g;(C)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の割合((b3+b4)/(b5+b6+b7+b8)):0.7〜1.4。
(6) 酵素処理イソクエルシトリンを10〜100mg/100g含有する容器詰飲料の経時的色調変化を抑制する方法であって、ガロ型カテキン類及びガレート型カテキン類を以下の条件で含有する飲料を用いることを特徴とする上記方法:(B)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の総量(b3+b4+b5+b6+b7+b8):30〜100mg/100g;(C)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の割合((b3+b4)/(b5+b6+b7+b8)):0.7〜1.4。
本発明によると、高濃度で酵素処理イソクエルシトリンを含有し、長期間保存しても色相変化の少ない容器詰飲料が得られる。
酵素処理イソクエルシトリン
本発明でいう酵素処理イソクエルシトリンとは、下記式1において、グルコース残基数(n)が0であるイソクエルシトリンと、グルコース残基数(n)が1以上の整数(好ましくは1〜15の整数、より好ましくは1〜7の整数)であるイソクエルシトリン糖付加物の混合物をいう。本明細書中、ケルセチンにグルコースが1つ配合されたもの(式1においてn=0)をQG1、2つ配合されたもの(式1においてn=1)をQG2、3つ配合されたもの(式1においてn=2)をQG3(以下、グルコースが一つ増すごとに、QG4、QG5、QG6・・・)と表記することがある。
酵素処理イソクエルシトリンは、市販されているものを用いてもよいし、イソクエルシトリン又はルチンの酵素処理により調製したものを用いてもよい。イソクエルシトリンは、例えばWO2005/030975に記載されている方法、すなわち、ルチンを特定の可食性成分の存在下でナリンギナーゼ処理する方法によって製造することができる。さらに、WO2005/030975に記載されているように、イソクエルシトリンを糖転移酵素で処理することにより、α−グリコシルイソクエルシトリンを得ることができる。
本発明の容器詰飲料は、生理作用を奏するのに十分な量の酵素処理イソクエルシトリンを含有する。具体的には、肥満者の体脂肪を低減させるのに十分な量である10〜100mg/100g、好ましくは15〜80mg/100gをいう。別の観点からは、350〜500mL容量の容器詰飲料1本当たり、例えば、35〜500mg、好ましくは50〜400mgとすることができる。ここで、本発明で飲料中の酵素処理イソクエルシトリンをいうときは、特に記載した場合を除き、酵素処理イソクエルシトリンの配合量を合計したものをQG1として換算し、QG1が加水分解されて生じるケルセチンの量を指すものとする。QG1が加水分解されて生じるケルセチン量は、ケルセチンの分子量302、QG1の分子量464を用いて、(酵素処理イソクエルシトリン÷464)×302で求めることができる。また、本発明で飲料の成分の濃度又は量をいうときは、特に記載した場合を除き、最終製品における濃度又は量を指す。殺菌等の工程により、成分が多少分解することがあり、その分解量を加味して飲料への配合量を決定することもできるが、通常、配合時の濃度又は量と最終製品中のそれとはほぼ一致する。
酵素処理イソクエルシトリン含量の測定は、当業者によく知られた定法により行うことができる。酵素処理イソクエルシトリン含量は、特に記載した場合を除き、QG1〜QG7を関与成分として、下記の方法により求めてもよい:すなわち、標準物質としてQuercetin 3-0-glucoside (QG1)を用い、HPLCを用いて、紫外部吸光度350nmにおける面積と標準物質濃度により検量線を作成する。酵素処理イソクエルシトリンは、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考えられ、またケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関わらず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンに依拠する。したがって、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1〜QG7は等しくなると考えられ、QG1換算で関与成分を定量する。具体的には、分析試料を、標準物質と同一条件でHPLCに供し、得られたチャートにおいて、標準物質の溶出保持時間と一致するピークを特定する。そして、QG1のピークより前に検出される酵素処理イソクエルシトリンQG2〜QG7のピークを特定し(もしあれば)、各々のピーク面積の総計から、標準物質を用いて作成した検量線を用いて、分析試料中の酵素処理イソクエルシトリン含量を算出する。
カテキン類
本発明では、特定組成のカテキン類を配合することにより、酸素透過係数が0.01mL/本・day以下のプラスチック製容器に充填した場合であっても、酵素処理イソクエルシトリンを高濃度に含有する容器詰飲料の色相変化をする高水準に防止できることを特徴とする。
本発明において、カテキン類とは、以下のb1〜b8を合わせての総称をいう。
(b1)カテキン(以下、「C」)
(b2)エピカテキン(以下、「EC」)
(b3)ガロカテキン(以下、「GC」)
(b4)エピガロカテキン(以下、「EGC」)
(b5)エピガロカテキンガレート(以下、「EGCg」)
(b6)ガロカテキンガレート(以下、「GCg」)
(b7)エピカテキンガレート(以下、「ECg」)
(b8)カテキンガレート(以下、「Cg」)
また、上記のカテキン類のうち、(b3)ガロカテキン、(b4)エピガロカテキン、(b5)エピガロカテキンガレート及び(b6)ガロカテキンガレートをガロ型カテキン類といい、ガロ型カテキン類の含有量をいうときは、これらガロ型カテキンの類の合計量を表す。カテキン類のうち、ガレート基を有するもの、すなわち(b5)エピガロカテキンガレート、(b6)ガロカテキンガレート、(b7)エピカテキンガレート及び(b8)カテキンガレートをガレート型カテキン類といい、ガレート型カテキン類の含有量をいうときは、これらガレート型カテキン類の合計量を表す。飲料中のカテキン類含量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法によって、測定・定量される。
本発明の容器詰飲料は、ガロ型カテキン類とガレート型カテキン類の総量(b3+b4+b5+b6+b7+b8)が30〜100mg/100g、好ましくは35〜95mg/100g、より好ましくは38〜90mg/100g、特に好ましくは40〜80mg/100gである。また、これらカテキン類のうちの非ガレート型カテキンとガレート型カテキンの重量比((b3+b4)/(b5+b6+b7+b8))が0.7〜1.4、好ましくは0.75〜1.2、より好ましくは0.8〜1.0の組成で含有する。
本発明で用いるカテキン類には、茶抽出物(精製品、粗精製品を含む)が好適に使用できる。ここで、茶抽出物とは、Camellia属、例えばC. sinensis、C. assamica、やぶきた種及びそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉から水や熱水、抽出助剤を添加した水溶液で抽出した茶葉抽出物をいう。製茶された茶葉には、緑茶(煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶など)などの不発酵茶類、烏龍茶(鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶など)などの半発酵茶、紅茶(ダージリン、アッサム、スリランカなど)などの発酵茶類があり、本発明の飲料にはいずれの茶葉由来の茶葉抽出物を用いてもよいが、特に、緑茶抽出物を用いるのがカテキン類の組成の制御の観点から有利である。カテキン類の組成や量は、茶抽出物の種類の選択と量の調整により、調製可能である。
特定のカテキン類の組成が上記範囲内であると、長期保存時において色相の変化が少ないだけでなく、長期保存時における風味の変化が抑えやすくなる。また、高濃度の酵素処理イソクエルシトリンに由来する収斂味を抑えることができ、嗜好性に優るので、日常生活で飲用しやすくなる。
容器詰飲料
本発明の容器詰飲料は、酸素透過係数の小さい容器で顕著な効果が得られることから、酸素透過係数の小さい容器の形態は好適な態様の一つである。すなわち、上記した飲料を酸素透過係数0.015mL/本・day以下、さらには0.01mL/本・day以下のプラスチック容器に充填した場合にも、色相変化をより高水準で防止することができる。
プラスチック製容器の形態としては、容器表面又は内面に炭素蒸着膜を有するもの、多層構造を有するものが挙げられる。炭素蒸着膜を有するものとしては、例えば、容器内面にDLC膜(Diamond Like Carbon)等を蒸着させたものが挙げられ、また多層構造を有するものとしては、ポリオレフィン系酸素吸収剤、ナイロン等をブレンドしたPET層と、通常のPET層を積層したもの等が挙げられる。なお、プラスチック製容器の材質としては、PETが特に好ましい。
本発明の容器詰飲料の25℃におけるpHは5.0〜6.5であることが好ましく、より好ましくは5.2〜6.2、より一層好ましくは5.4〜6.0である。飲料のpHを調整する方法としては、飲料に酸やアルカリを添加すること、イオン交換樹脂へ通液させることが挙げられる。用いられる酸成分としては、例えば、有機酸としてはクエン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸など、無機酸としては塩酸、リン酸などが挙げられる。アルカリ成分としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重曹などが挙げられる。
本発明の飲料は、上述した成分の他、乳化剤、酸化防止剤等の、飲料として許容される添加物を配合してもよい。
本発明の飲料は、高濃度の酵素処理イソクエルシトリンに由来する収斂味を抑えることができ、嗜好性に優れ、一気に大量をゴクゴク飲むことができる飲用性を有するものであり、飲料の容量は、350mL〜1000mL、好ましくは500mL〜1000mLである。
以下、実験例及び実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
酵素処理イソクエルシトリンの測定法
1.試薬
・アセトニトリル:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・水:高速液体クロマトグラフ用 不純物0.001%以下(ナカライテスク株式会社製)
・トリフルオロ酢酸:純度99%(ナカライテスク株式会社製)
・イソクエルシトリン(Quercetin 3-O- glucoside: 以下QG1とする): SSX1327S、純度93.8% (フナコシ株式会社製)
・エタノール:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide: 以下DMSOとする):純度99.0%(ナカライテスク株式会社製)。
2.分析機器
高速液体クロマトグラフ(以下HPLCとする)
ポンプ:LC-10ADvp
検出器: SPD-M10Avp検出器
解析ソフト:Class LC solution (以上、株式会社島津製作所)
3.分析試料の調製
・当該食品の原液を20%エタノール/水で5倍希釈し、0.45 μmフィルター(マイレクスLH-4:ミリポア社製)でろ過したものを分析試料としてHPLCに供する。
4.検量線の作成
標準物質であるイソクエルシトリン(純度93.8%)を1.0 mg正確に秤量し、5 mlメスフラスコ中で0.5 mlのジメチルスルホキシド(純度99.0%)に溶解し、20%エタノール(純度99.8%)/水により5 mlにフィルアップする。この200 μg/mlの溶液を20%エタノール/水で順次希釈し、10、25、50、100 μg/mlの溶液を作成する。各濃度の溶液を10 μl、 HPLCに供する。このときに検出されるピークの溶出保持時間は約14.5分である。このときの紫外部吸光度350 nmにおける面積と濃度により検量線を作成する。
原点を通る近似直線を計算し、これを用いてQG1からQG7までの濃度を算出し、合算した値に標準物質の純度(93.8%)をかけることで、ケルセチン配糖体量を算出する。
5.試験操作
・定性試験:分析試料を標準品と同一条件下でHPLC分析を行い、QG1標準品の溶出保持時間と一致するピークをQG1とする。QG1はケルセチンにグルコースが1個結合したケルセチン配糖体である。
・定量試験: QG1のピークより前に検出される6つのピークは、QG1にさらにグルコース結合したケルセチンの配糖体である。HPLC分析では、QG1およびQG1にさらにグルコースが1〜6個結合した化合物が検出可能であり、これら(QG1からQG7)を関与成分と設定した。また、ケルセチン配糖体は、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考え、ケルセチン配糖体の主要な構成成分であり、標準品が入手可能なQG1を指標成分と設定し、QG1換算での量を算出する。ケルセチン配糖体の7つの溶出ピークについてのピーク面積を測定し、QG1標準品のピーク面積に基づいて作成した検量線から分析試料中のケルセチン配糖体含量を算出する。
イソクエルシトリン(QG1)は、ケルセチンの3位に1分子のグルコースがβ結合した化合物である。QG2〜QG7は、QG1にさらに0〜6個のグルコースがα-1,4結合した化合物群で、QG1およびQG2〜QG7の7成分を、関与成分とする。
ケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関らず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンが寄与する。従って、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1からQG7は等しくなると考え、QG1換算で関与成分を定量することとした。得られたQG1換算のケルセチン配糖体量は、さらに、ケルセチンの量に換算した。
カテキン類の測定法
試料となる茶飲料をフィルター(0.45μm)でろ過し、HPLC分析に供した。HPLCの分析条件は以下のとおり。
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 model II
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1mL/min.
・グラジエントプログラム:
時間(分) %A %B
0 100 0
5 92 8
11 90 10
21 90 10
22 0 100
29 0 100
30 100 0
・標準物質:カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレート(クリタ高純度試薬)
試験例1:酵素処理イソクエルシトリン含有飲料の色相変化(1)
酵素処理イソクエルシトリン(QG)として、サンエミックP15(三栄源エフ・エフ・アイ社)を用いた。水に酵素処理イソクエルシトリンが1500mg/100g、150mg/100gとなるように溶解させ、さらにクエン酸を用いてpHが3〜6.6程度の酵素処理イソクエルシトリン含有飲料を調製した。これらを85℃、30分の条件で殺菌後、プラスチック製PETボトル(酸素透過係数0.062mL/本・day)に充填した。
この容器詰飲料について、分光光度計(日本電色工業製)を使用して色調安定性を評価した。色調は、調製直後(0日)の容器詰飲料、55℃の温度条件で調整後4日保存したときの容器詰飲料をサンプルとして用い、L***値を測定した。4日保存後の色調の変化ΔEを以下の式により算出した。
ΔE=((L*−L’)2+(a*−a’)2+(b*−b’)2)1/2
[L’、a’、b’はそれぞれ4日保存後のLab値を示す]
結果を表1に示す。pHが高いほど色調の変化(ΔE)は大きい傾向にあることがわかった。
試験例2:酵素処理イソクエルシトリン含有飲料の色相変化(2)
緑茶抽出液2.2Lに、酵素処理イソクエルシトリンとしてサンエミックP15を30g加え、pH5.9となるように調整した後、加水して、7.5Lの緑茶飲料を得た(カテキン類総量:46mg/100g、酵素処理イソクエルシトリン含量:150mg/500mL)。得られた緑茶飲料を殺菌処理した後、500mLずつを2種類のPET容器(A,B)に充填し、容器詰飲料を調製した。
調製直後(0日)の容器詰飲料、55℃の温度条件で7日保存したときの容器詰飲料をサンプルとして用い、酵素処理イソクエルシトリン含量を測定した。
・容器A(酸素透過係数:0.01mL/本・day以下):PETとバリア層とを順次積層した5層構造を有するものであって、バリア層がオキシブロック[SIRIUS101(ポリオレフィン系酸素吸収剤とMXD6ナイロンとのブレンド)]で構成されるもの。
・容器B(酸素透過係数:0.062mL/本・day):PETのみからなる樹脂製容器。
表2に示酵素処理イソクエルシトリン含量の測定結果を示す。カテキン類を共存させ、酸素透過係数の低い容器Aを用いた場合にも、酵素処理イソクエルシトリンの分解は抑えられなかった。
実施例:酵素処理イソクエルシトリン含有容器詰飲料
複数種類の茶抽出物を用いて表3に示すカテキン類の組成を変化させた飲料を用いること以外は、試験例2と同様にして飲料を容器Aに充填し、容器詰飲料を製造した(酵素処理イソクエルシトリンの含有量:22mg/100g)。この容器詰飲料を55℃で7日間保存し、保存後の沈殿、色相変化を目視により観察した。
結果を表3に示す。カテキン類の組成により、保存後の色相変化に差が生じることがわかった。

Claims (6)

  1. 酸素透過係数が0.015mL/本・day以下の樹脂製容器に充填された茶飲料であって、
    酵素処理イソクエルシトリン、ガロ型カテキン類及びガレート型カテキン類を以下の条件
    (A)酵素処理イソクエルシトリンの含有量:10〜100mg/100g;
    (B)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の総量(b3+b4+b5+b6+b7+b8):30〜80mg/100g;
    (C)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の割合((b3+b4)/(b5+b6+b7+b8)):0.7〜1.4
    で含有する、上記飲料。
  2. pHが5.0〜6.5である、請求項1に記載の飲料。
  3. 酵素処理イソクエルシトリンの含有量が15〜80mg/100gである、請求項1または2に記載の飲料。
  4. ガロカテキン類とガレート型カテキン類の総量が38〜65.4mg/100gである、請求項1〜3のいずれかに記載の飲料。
  5. 酵素処理イソクエルシトリン、ガロ型カテキン類及びガレート型カテキン類を以下の条件
    (A)酵素処理イソクエルシトリンの含有量:10〜100mg/100g;
    (B)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の総量(b3+b4+b5+b6+b7+b8):30〜80mg/100g;
    (C)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の割合((b3+b4)/(b5+b6+b7+b8)):0.7〜1.4
    で含有する茶飲料を調製する工程と、
    調製した茶飲料を酸素透過係数が0.015mL/本・day以下の樹脂製容器に充填
    する工程と、
    を有する、容器詰飲料の製造方法。
  6. 酸素透過係数が0.015mL/本・day以下の樹脂製容器に充填され、10〜100mg/100gの酵素処理イソクエルシトリンを含有する容器詰飲料の経時的な色調変化を抑制する方法であって、
    ガロ型カテキン類及びガレート型カテキン類を以下の条件
    (B)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の総量(b3+b4+b5+b6+b7+b8):30〜80mg/100g;
    (C)ガロカテキン類とガレート型カテキン類の割合((b3+b4)/(b5+b6+b7+b8)):0.7〜1.4
    で含有する飲料を用いる、上記方法。
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