JP6443968B2 - 電気分解装置及びその製造方法並びに電気分解方法 - Google Patents

電気分解装置及びその製造方法並びに電気分解方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気分解装置及びその製造方法並びに電気分解方法に関する。
従来より、電気分解は、一般家庭の浄水設備やカップ式自動販売機等における飲料用殺菌水の作製など生活に密着しているものから、工業的に重要なプロセスの一つである電気メッキなどまで、幅広く利用されている。
一方、電気分解では、pHや濃度等の条件により、電極(例えば、還元反応によって水酸化物イオンが生成される陰極)の表面に、電解液中の無機質成分を由来とする難溶性のスケールが析出・付着することがある。電極に付着するスケールは、電気分解の進行によりやがて電極を覆うほどにもなり、そうすると電解効率の低下や電極腐食の進行が顕著になる。この前段階でスケールを電極から脱離させるのに、陰極及び陽極の極性を定期的に反転させる手法が一般にとられるが、電極にとっては極性反転も負担であり、何れにしても特性低下につながって長寿命化を実現できない。
電気分解用電極としては、電気分解の用途にもよるが、導電性や安定性の観点から、貴金属材料をチタン基材にコーティングしたものが用いられることが多い。ただ、かかる電極についても長寿命化が困難であることに変わりはない。このため、電気分解用電極について検討を加え、改良を図る必要があった。
電気分解用電極それ自体としては、例えば、窒化チタン(TiN)からなる基材に金属触媒及び酸化物触媒を分散させてなるものが提案されている(特許文献1参照)。また、例えば、チタンからなる基材に、触媒としてのイリジウムが含有された窒化チタンをターゲットとするレーザーアブレーション法により形成されてなるものも提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−217999号公報 特許第4737526号公報
しかしながら、特許文献1は、窒化チタンを用いる場合において、基材自体を窒化チタンにより構成することを必須とするのでその構成・用途の多様性に乏しくなる問題があり、このため更なる検討の余地があった。
また、特許文献2は、レーザーアブレーション法を用いることを必須しているが、レーザーアブレーション法により形成される電気分解用電極には特性の限界があり、各種特性の一層の向上を図ることが困難である問題があった。
そして、上記の特許文献1及び特許文献2の何れも、窒化チタンに所定の触媒成分を含有せしめることを必須としているが、この場合、得られた窒化チタン基材や窒化チタン層における窒化チタンの割合が低くなって窒化チタンの緻密さに欠けることになる問題があった。このため、触媒を含有せしめない電気分解用電極を如何にして実現するかも解決が待たれる課題であった。
本発明はこのような事情に鑑み、窒化チタン系材料からなり、かつ緻密な導電層を表面
に有する新規な電気分解用電極を用い、スケールの耐付着性の向上を図って長寿命化を実
現できる電気分解装置及び電気分解方法並びに電気分解方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、基材と、前記基材の表面に形成された導電層と、を有する電気分解用電極を具備し、陰極として前記電気分解用電極が用いられるとともに、陽極としてチタン基材に貴金属をコーティングしたものが用いられ、塩化物イオンを含む水を電気分解して前記陽極にて塩素を発生させるものであり、前記導電層は、イオンプレーティング法により形成され、かつ、下記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料からなるものであることを特徴とする電気分解装置にある。
TiNx ・・・ (1)
かかる態様によれば、上記の窒化チタン系材料がスケールの耐付着特性に優れることを見出したところ、かかる窒化チタン系材料からなる導電層を基材の表面に形成することで、pHや濃度等の条件によりスケールが析出するとしても、そのスケールが電気分解用電極に付着するのを防止できるようになる。そして、イオンプレーティング法を用いるからこそ、平滑な基材表面に対しても緻密な導電層を形成でき、この場合、形成される導電層の表面も基材の平滑性を持続した平滑面となるので、スケールがトラップされる可能性を低減でき、従って、スケールの耐付着特性の向上を一層図ることができる。よって、長寿命化を実現できる電気分解装置となり、付随的にはメンテナンス周期も拡大できるようになる。尚、上記の態様によれば、従来においてほぼ必須であった極性反転機構の搭載が必ずしも必要なくなるため、これに伴うコスト削減や設備簡易化等も可能となる。しかも、上記の態様は、一般家庭の浄水設備やカップ式自動販売機等における飲料用殺菌水の作製など生活に密着しているものから、工業的に重要なプロセスの一つである電気メッキなどまで、幅広く利用できる。
また、上記の電気分解装置を、陽極にて発生した塩素と水との反応によって生成される次亜塩素酸の殺菌性を利用して飲料用殺菌水を作製する用途に好適に適用できる。
また、前記基材の表面粗さ(Ra)は、1.0μm以下であることが好ましい。これによれば、表面粗さ(Ra)が上記の値以下である極めて平滑な基材の表面に対しても、イオンプレーティング法によって緻密な導電層を形成でき、スケールの耐付着特性の向上を一層図って長寿命化を確実に実現できる。
また、前記導電層は、前記窒化チタン系材料を98質量%以上含むものであることが好ましい。これによれば、イオンプレーティング法によって更に緻密な導電層を形成することができ、スケールの耐付着特性の向上を一層図って長寿命化を確実に実現できる。
また、前記導電層は、0.05〜10μmの厚さを有することが好ましい。導電層が上記の範囲のような薄膜であっても、スケールの耐付着特性の向上を図って長寿命化を実現できる。
また、前記基材は、チタンからなるものであることが好ましい。これによれば、基材の安定性が確保されるので、上記の電気分解装置を、一般家庭の浄水設備やカップ式自動販売機等における飲料用殺菌水の作製などの用途に好適に適用できる。
上記課題を解決する本発明の他の態様は、基材と、前記基材の表面に形成された導電層と、を有し、前記導電層が、イオンプレーティング法により形成され、かつ、下記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料からなる電気分解用電極を陰極として用い、陽極としてチタン基材に貴金属をコーティングしたものを用い、塩化物イオンを含む水を電気分解して前記陽極にて塩素を発生させることを特徴とする電気分解方法にある。
TiNx ・・・ (1)
上記課題を解決する本発明の更に他の態様は、基材と、前記基材の表面に形成された導電層と、を有する電気分解用電極を具備し、陰極として前記電気分解用電極が用いられるとともに、陽極としてチタン基材に貴金属をコーティングしたものが用いられ、塩化物イオンを含む水を電気分解して前記陽極にて塩素を発生させる電気分解装置の製造方法であって、前記導電層を、イオンプレーティング法により形成し、かつ、下記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料からなるものとすることを特徴とする電気分解装置の製造方法にある。
TiNx ・・・ (1)
かかる態様によれば、スケールが電気分解用電極に付着するのを防止でき、従って、長寿命化を実現できる電気分解装置を製造することができる。
本発明の電気分解装置及びその製造方法によれば、窒化チタン系材料からなり、かつ緻密な導電層を表面に有する新規な電気分解用電極を用い、スケールの耐付着性の向上を図って長寿命化を実現できる。
また、本発明の電気分解用電極によれば、窒化チタン系材料からなり、かつ緻密な導電層を表面に有する新規な該電気分解用電極となり、これを用いて電気分解したときには、スケールの耐付着性の向上を図って長寿命化を実現できる。
実施形態1に係る電気分解装置及び電気分解用電極の構成例を示す図。 実施形態1に係る電気分解工程の機能を従来と比較して説明するための図。 実施例1〜3での試験結果を説明するための図。 比較例1での試験結果を説明するための図。
(実施形態1)
図1(a)〜(b)は、本発明の実施形態1に係る電気分解装置及び電気分解用電極の構成例を示す図である。このうち、図1(a)は、本実施形態に係る電気分解装置の全体構成図であり、図1(b)は、図1(a)の電気分解用電極の断面拡大図である。ここでは、本実施形態を、一般家庭の浄水設備やカップ式自動販売機等において飲料用殺菌水を作製する用途に適用した例が図示されている。
本実施形態における各部の構成について順次詳述する。まず、電気分解装置1は、基材10と、その表面に形成された導電層11と、を有する電気分解用電極12を具備し、導電層11は、イオンプレーティング法により形成され、かつ、下記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料からなるものである。
[式1]
TiNx ・・・ (1)
基材10は、チタンを用いて構成されている。チタンは安定性に優れているため、飲料用殺菌水を作製する用途に電気分解装置1や電気分解用電極12を適用する場合には、チタンを用いて基材10を構成するのが好ましい態様となる。ただし、基材10には、その安定性が発揮される程度にチタンを主成分とする範囲において、チタン以外の他の金属材料、他の金属材料とのチタン合金、更には金属材料以外の材料が含まれていてもよい。一方、基材10はチタンを必須とするものではなく、用途によってはチタンを用いずに基材10を構成して構わない場合もある。
基材10の表面は平滑であることが好ましく、ここでは表面粗さ(Ra)が1.0μm以下、更には0.75μm以下である基材10が用いられている。表面粗さ(Ra)が上記の値以下である極めて平滑な基材10に対しても、イオンプレーティング法によれば、緻密な導電層11を形成することができる。基材10の表面粗さ(Ra)は、研磨による鏡面仕上げ等によって調整可能である。
導電層11は、上記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料(以下、単に「窒化チタン系材料」と称することがある。)からなるものである。窒化チタン系材料がスケールの耐付着特性に優れることを見出したところ、かかる窒化チタン系材料からなる導電層11を基材10の表面に形成することで、pHや濃度等の条件によりスケールが析出するとしても、そのスケールが電気分解用電極12に付着するのを防止できるようになる。窒化チタン系材料自体が撥水性に優れることも、スケールの耐付着特性の向上を図ることができる一因となっている。
導電層11には、窒化チタン系材料が98質量%以上含まれている。これによれば、窒化チタン材料以外の材料(各種の触媒やフィラー等)の存在量が極めて少ない緻密な導電層11となる。勿論、導電層11に窒化チタン系材料が上記の範囲以上含まれることは必須でないが、より緻密な導電層11を構成する観点からは、実質的に(実験操作や測定条件等による誤差を除いた範囲において)窒化チタン材料のみからなるように導電層11を構成するのが好ましい場合もある。
窒化チタン系材料としては、上記式(1)の組成における窒素原子の一部が他の原子で置換されたものも使用可能である。すなわち、本実施形態にいう窒化チタン系材料には、上記(1)の組成を有するものだけでなく、例えば、下記式(2)及び下記式(3)の組成を有するものも含まれる。
[式2]
TiNxCy ・・・ (2)
(式中、x+y=1,x>0,y≧0を満たす)
[式3]
TiNxCyOz ・・・ (3)
(式中、x+y+z=1,x>0,y≧0,z≧0を満たす)
勿論、窒化チタン系材料としては、窒素原子の一部が更に他の原子(炭素原子や酸素原子以外の原子)で置換されたものも使用可能である。このような窒化チタン系材料であっても、上記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料の場合と同様に、スケールの耐付着特性の向上を図ることができる。
導電層11は、基材10の表面にて、0.05〜10μmの厚さを有するように形成されている。導電層11は、基材10の全表面に形成するようにしてもよいし、スケールの耐付着性の向上を図る観点からは、少なくとも電解液に接触し得る領域に形成するようにしてもよい。このような導電層11は、イオンプレーティング法により形成されてなる。イオンプレーティング法を用いるからこそ、平滑な基材10の表面に対しても緻密な導電層11を形成でき、この場合、形成される導電層11の表面も基材10の平滑性を持続した平滑面となるので、スケールがトラップされる可能性を低減でき、従って、スケールの耐付着特性の向上を一層図ることができる。
導電層11を形成するのは上記のようにイオンプレーティング法であるべきであり、スケールの耐付着特性の向上を図る観点からは、他の方法は使用できない。チタンからなる基材10の表面に窒化チタン系材料を形成するだけならば、他の方法として、チタン粉末の窒化処理、及びレーザ−アブレーション等が考えられるが、これらの何れも、母材となるチタン基材10の表面がある程度の粗さを有していなくては窒化チタン材料や緻密な導電層を形成できないため、形成される導電層の平滑性及び緻密性等を確保するのが不可能となる。
イオンプレーティング法自体は、公知の装置を用い、常法によって基材10に導電層11を蒸着できる。蒸着条件も、実験等により好ましい値を適宜定めればよい。
尚、電気分解装置1では、上記の電気分解用電極12とは別に、他の電極13を具備している。これらが電源14を介して電気的に接続され、陰極として電気分解用電極12が、陽極として他の電極13が用いられるようになっている。陽極としての他の電極13は、一般的なもの、例えば貴金属材料をチタン基材の表面にコーティングしたものを用いることができる。
本実施形態では、上記の電気分解用電極12のみに関する改良だけではなく、このような他の電極13に関する改良も可能となっている。すなわち、スケールの耐付着特性の向上が図られることで、従来行わざるを得なかった陰極及び陽極の極性反転が不要となる。そして、従来においては、電極を反転することにより母材としてのチタン基材から貴金属コーティングが剥離して劣化が生じ、それに伴い、メンテナンス時に貴金属コーティング電極の交換・補修が必要となるが、本実施形態では、その必要性がなくなり、その分、貴金属使用量を軽減できる。
また、貴金属材料である白金、金及び銀等は比較的高価であるが、陰極として本実施形態に係る電気分解用電極12を用いることで、貴金属材料をチタン基材の表面にコーティングしたものを陰極及び陽極の両方に使用する場合と比べ、陰極に使用する分の貴金属材料の使用量を省略でき、このため低コスト化に有利となる。
以上説明した電気分解装置1を用いた電気分解方法、つまり飲料用滅菌水の作製方法は以下のとおりである。すなわち、まず電解液15として、塩化物イオンを含む水を用いる。塩化物イオンを含む水としては水道水が挙げられるが、前記に制限されない。
電気分解により、陽極としての他の電極13では、下記式(4)の反応により塩素が発生し、この塩素と水とが下記式(5)に基づいて反応することで、殺菌性に優れる次亜塩素酸(HOCl)が生成される。
[式4]
O → 1/2O + 2H + 2e
2Cl− → Cl + 2e ・・・ (4)
[式5]
Cl + HO → HOCl + HCl ・・・ (5)
一方、電気分解により、陰極としての電気分解用電極12では、下記式(6)の反応により、水素及び水酸化物イオンが発生する。
[式6]
O + 2e → 1/2H + OH・・・ (6)
電気分解用電極12は、平滑かつ緻密に形成された導電層11を基材10の表面に有しており、また、導電層11を構成する窒化チタン系材料が撥水性に優れていることもあって、スケールの耐付着特性の向上が図られたものとなっている。このため、電気分解用電極12にて水酸化物イオンが発生し、pHや濃度等の条件によりスケールが析出するとしても、そのスケールが電気分解用電極12に付着することを防止できる。万が一、電気分解用電極12の表面にスケールが付着するとしても、それは極微量であって電解効率の低下や電極腐食の進行を引き起こすほどではなく、しかも電気分解用電極12は上記のようにスケールの耐付着特性の向上が図られたものとなっているので、電位反転によらない洗浄作業によって容易に脱離可能である。
その上、イオンプレーティング法により平滑かつ緻密に導電層11が形成されており、加えてイオンプレーティング法によれば基材10と導電層11との密着性の向上にも有利であるので、電気分解用電極12は耐久性も確保されており、気体(ここでは上記式(6)の水素)の発生に起因して付与される圧力にも十分に耐え得る。従って、基材10と導電層11との間の電解液15が侵入して劣化が引き起こされるおそれも低減できている。
このような本実施形態の機能について、従来と比較しながら説明する。図2(a)〜(b)は、電気分解の工程を示す概念図である。このうち、図2(a)は本実施形態の電気分解の工程を示しており、図2(b)は従来の電気分解の工程を示している。
まず、従来では、図2(b)に示すように、還元反応によって水酸化物イオンが生成される陰極の表面に、電解液中の無機質成分を由来とする難溶性のスケールSが析出し、これが付着することになる。このため、電位反転機構が必須となり、この電位反転機構により、電気抵抗等に応じて陰極及び陽極の極性を定期的に反転させ、スケールを電極から脱離させていた。ただ、電極にとって極性反転は大きな負担であり、劣化(腐食)につながって長寿命化を実現できなかった。
これに対し、本実施形態では、図2(a)に示すように、窒化チタン系材料からなり、かつ緻密な導電層11を表面に有する電気分解用電極12を用いているため、スケールの耐付着性の向上が図られている。このため、該電気分解用電極12を用いた陰極にてスケールの付着を防止でき、電解効率の低下や電極腐食の進行を抑え、長寿命化を実現でき、付随的にはメンテナンス周期も拡大できるようになる。
加えて、該電気分解用電極12を用いた陰極にてスケールの付着を防止できるので、従来においてほぼ必須であった極性反転機構の搭載が必ずしも必要なくなるため、これに伴うコスト削減や設備簡易化等も可能となる。
以上説明した本実施形態によれば、窒化チタン系材料からなり、かつ緻密な導電層11を表面に有する新規な電気分解用電極12を用い、スケールの耐付着性の向上を図って長寿命化を実現できる電気分解装置1及び電気分解方法並びに電気分解用電極12を提供することができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態に係る電気分解装置及び電気分解方法並びに電気分解用電極は、実施形態1に対し、塩化物イオンを含む水を電気分解して陽極にて塩素を発生させ、殺菌性の高い次亜塩素酸を利用した殺菌水を作製する用途への適用という点では同一であるが、かかる殺菌水が飲料用でない点が異なる。
すなわち、次亜塩素酸を利用した殺菌水は、飲料用のみならず、手肌の洗浄用、入浴用及び掃除用等、種々の場面で必要となり得る。このような飲料用以外に用いられる殺菌水を作製する用途に電気分解装置等を適用したのが本実施形態である。
本実施形態では、作製される殺菌水が飲料用ではないので、例えば基材の構成材料の主成分として、チタン以外の金属材料も好適に使用できる。他、飲料用ほどに安定性や殺菌性が要求されない程度において、種々の構成部材を変更し得る。
(実施形態3)
本発明の実施形態に係る電気分解装置及び電気分解方法並びに電気分解用電極は、実施形態1に対し、塩化物イオンを含まない水を電解液として用いる点が異なる。
塩化物イオンを含まず、硫酸イオンや硝酸イオン等を含む水、更には不純物の少ないイオン交換水、蒸留水及び精製水等を電解質として用い、電気分解を行うこともあり得る。この場合においても、pHや濃度等の条件によりスケールが析出し得る場合には、かかるスケールの電気分解用電極の表面への付着を防止することができる。
(実施形態4)
本発明の実施形態に係る電気分解装置及び電気分解方法並びに電気分解用電極は、実施形態1に対し、電解メッキに用いられる点が異なる。電解メッキにて、電解液中に無機質成分が含まれる場合にも、電極へのスケールの付着は防止されるべきである。本実施形態によれば、電解メッキ用途においてもスケールの耐付着性の向上を図って長寿命化を実現できる。尚、電解メッキに限られず、工業上、電気分解が利用される各種の場面で本発明を適用し得る。
以下、本発明を、実施例に基づいて更に詳述する。ただし、本発明の範囲は、下記の実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
実施形態1に係る電気分解装置1を構成した。このうち、陰極としての電気分解用電極22は、Ti基材を研磨して鏡面仕上げした表面粗さ(Ra)が0.084μmであるものを用い、イオンプレーティング法によって窒化チタン系材料(TiN)を蒸着した。また、陽極としての電極13は、チタン基材に白金をコーティングしたものを用いた。そして、ここではスケール付着による電圧変化の確認を検証しやすくするため、CaClの2質量%溶液を調整し、電解液15として用いた。
(実施例2)
電解液15としてCaClの10質量%溶液を調整したものを用いた以外は、実施例1と同様の手法により、電気分解装置1を構成した。この実施例2は、上記の実施例1や後述する比較例1と比べて高くCaClの濃度が高い分、かかるCaClの濃度についてみれば、スケール付着防止が過酷となる条件にて実施されたものである。
(実施例3)
陰極としての電気分解用電極22を、Ti基材を研磨して鏡面仕上げした表面粗さ(Ra)が0.575μmであるものを用いた以外は、実施例1と同様の手法により、電気分解装置1を構成した。
(比較例1)
陰極及び陽極ともに、チタン基材に白金をコーティングしたものを用いた。ここで、白金のコーティングは、チタン基材を塩化白金溶液に浸漬させ繰り返し塗布して焼成する方法により行ったが、かかる方法では、白金を形成する上で、チタン基材の表面粗さ(Ra)を3.013μmとせざるを得なかった。
そして、スケール付着による電圧変化の確認を検証しやすくするため、CaClの2質量%溶液を調整して電解液として用い、電気分解装置を構成した。
(試験例1)
電気分解(電流密度2A/dm,室温条件,上限30V)を行いながら、その電気抵抗を測定し、その推移を観察した。実施例1〜3での結果を図3(a)〜(c)に示し、比較例1での結果を図4に示す。
図4に示す比較例1では、実験上、最大値として設定されている30Vまで電気抵抗が上昇することが確認された。これは、陰極にて生成される水酸化物イオンにより電解液のpHが上昇し、このため陰極上でスケールの析出・付着が起こったためである。
これに対し、図3(a)〜(c)に示す実施例1〜3では、電気抵抗は初期値のまま維持され、その上昇は見られなかった。よって、pHの上昇を好適に防止でき、陰極にてスケールの発生を防止できることが分かった。
(試験例2)
上記の試験例1の後、電解液から引き上げた陰極を目視観察した。陰極へのスケール付着を防止できている場合は「○」とし、陰極にてスケールの付着が確認される場合は「×」と評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006443968
以上、試験例1及び2によれば、実施例1〜3に例示される上記の本実施形態により、窒化チタン系材料からなり、かつ緻密な導電層11を表面に有する新規な電気分解用電極12を用い、スケールの耐付着性の向上を図って長寿命化を実現できる電気分解装置1及び電気分解方法並びに電気分解用電極12を提供できることが分かった。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上記のものに限定されるものではない。例えば、上記の電気分解装置1を複数用意し、これを電気的に連結するようにしてもよい。電気分解装置1の各構成の形状や大きさも、図示しているものはあくまで一例であり、本発明の範囲において適宜変更可能である。
電気分解用電極12を陰極として用いる場合、その陽極は、貴金属材料をチタン基材の表面にコーティングしたものに制限されない。電気分解用電極12は、陰極としてのみならず、陽極として用いることも可能である。
1 電気分解装置、 10 基材、 11 導電層、 12 電気分解用電極、 13 電極、 14 電源、 15 電解液

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材の表面に形成された導電層と、を有する電気分解用電極を具備し、
    陰極として前記電気分解用電極が用いられるとともに、陽極としてチタン基材に貴金属をコーティングしたものが用いられ、塩化物イオンを含む水を電気分解して前記陽極にて塩素を発生させるものであり、
    前記導電層は、イオンプレーティング法により形成され、かつ、下記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料からなるものであることを特徴とする電気分解装置。
    TiNx ・・・ (1)
  2. 前記基材の表面粗さ(Ra)は、1.0μm以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の電気分解装置。
  3. 前記導電層は、前記窒化チタン系材料を98質量%以上含むものであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の電気分解装置。
  4. 前記導電層は、0.05〜10μmの厚さを有すること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電気分解装置。
  5. 前記基材は、チタンからなるものであること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電気分解装置。
  6. 基材と、前記基材の表面に形成された導電層と、を有し、前記導電層が、イオンプレーティング法により形成され、かつ、下記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料からなる電気分解用電極を陰極として用い、陽極としてチタン基材に貴金属をコーティングしたものを用い、塩化物イオンを含む水を電気分解して前記陽極にて塩素を発生させることを特徴とする電気分解方法。
    TiNx ・・・ (1)
  7. 基材と、前記基材の表面に形成された導電層と、を有する電気分解用電極を具備し、陰極として前記電気分解用電極が用いられるとともに、陽極としてチタン基材に貴金属をコーティングしたものが用いられ、塩化物イオンを含む水を電気分解して前記陽極にて塩素を発生させる電気分解装置の製造方法であって、
    前記導電層を、イオンプレーティング法により形成し、かつ、下記式(1)の組成を有する窒化チタン系材料からなるものとすること
    を特徴とする電気分解装置の製造方法。
    TiNx ・・・ (1)
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