JP6434180B1

JP6434180B1 - 弾性線維形成促進剤

Info

Publication number: JP6434180B1
Application number: JP2018081419A
Authority: JP
Inventors: 美和笹岡
Original assignee: Noevir Co Ltd
Current assignee: Noevir Co Ltd
Priority date: 2018-04-20
Filing date: 2018-04-20
Publication date: 2018-12-05
Anticipated expiration: 2038-04-20
Also published as: JP2019189542A

Abstract

【課題】イワベンケイ抽出物の新たな生理活性を見出し、適合する用途を提供する。【解決手段】イワベンケイ抽出物を有効成分とする弾性線維形成促進剤、エラスチン産生促進剤、フィブリリン１産生促進剤、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進剤、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進剤。【選択図】なし

Description

本発明は、イワベンケイ抽出物を有効成分とする弾性線維形成促進剤に関する。

イワベンケイは、ベンケイソウ科の多年生草本で、北海道を含む亜寒帯地方のほか、北半球の高山の、岩場などの厳しい環境で生育する。根は太くて長く、ハーブとして用いられることがある。
これまでイワベンケイの有効性に関し数多くの研究がなされている。例えば、抗ガストリン作用による消化性潰瘍の改善およびサブスタンスＰ拮抗作用による喘息、アレルギー、炎症、疼痛等の改善に有効な抗ガストリン剤およびサブスタンスＰ拮抗剤（特許文献１）、α−グルコシダーゼの活性阻害能に優れた抗糖尿病剤（特許文献２）、消化管からのアルコール吸収阻害作用を有する抗酒剤（特許文献３）、アルドース還元酵素の活性阻害作用を有する糖尿病性末梢神経傷害治療剤（特許文献４）、血小板凝集効果を有する止血剤（特許文献５）、スーパーオキサイドディスムターゼ様の作用を示す活性酸素消去剤（特許文献６）、メラニン生成抑制作用による美白剤（特許文献７）、コラゲナーゼ阻害効果、エラスターゼ阻害効果およびメイラード反応阻害効果（特許文献８）、リパーゼ阻害効果（特許文献９）等が知られている。

特開平７−１８８０３９号公報特開２０００−１２８７９３号公報特開２０００−１２８７９４号公報特開２０００−１２８７９５号公報特開２０００−１２８７９６号公報特開２００１−１２２７５７号公報特開２００１−２６１５４８号公報特開２００１−３１６２２１号公報特開２００２−１７９５８６号公報

本発明は、これまで解明されていないイワベンケイ抽出物の新たな生理活性を見出し、適合する用途を提供することを目的とする。

本発明は、イワベンケイ抽出物を有効成分とする弾性線維形成促進剤、エラスチン産生促進剤、フィブリリン１産生促進剤、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進剤、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進剤を提供する。

イワベンケイ抽出物は、優れた弾性線維形成促進効果、エラスチン産生促進効果、フィブリリン１産生促進効果、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進効果、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進効果、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進効果、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進効果を発揮する。

以下本発明を実施するための形態を説明する。

本発明で使用するイワベンケイ抽出物は、イワベンケイ（Rhodiola rosea；Hylotelephium rosea）の根を用いる。

本発明において、イワベンケイ抽出物は生のまま抽出に供してもよいが、抽出効率を考えると、細切，乾燥，粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。抽出は、抽出溶媒に浸漬して行う。抽出効率を上げるため撹拌を行ったり、抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出温度としては、５℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、４時間〜３０日間程度とするのが適切である。

抽出溶媒としては、メタノール，エタノール，プロパノール，イソプロパノール等の低級アルコール、1,3-ブチレングリコール，プロピレングリコール，ジプロピレングリコール，グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル，プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル，酢酸ブチル等のエステル類、アセトン，エチルメチルケトン等のケトン類などの極性有機溶媒を用いることができ、これらより１種又は２種以上を選択して用いる。また、生理食塩水，リン酸緩衝液，リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。

本発明のイワベンケイ抽出物は、５０％エタノール水溶液を抽出溶媒として用いることが、効果の点から好ましい。

イワベンケイの上記溶媒による抽出物は、そのままでも用いることができるが、濃縮，乾固したものを水や極性溶媒に再度溶解したり、或いはそれらの皮膚生理機能向上作用を損なわない範囲で脱色，脱臭，脱塩等の精製処理を行ったり、カラムクロマトグラフィーによる分画処理を行った後に用いてもよい。また保存のため、精製処理の後凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。

イワベンケイ抽出物は、優れた弾性線維形成促進作用、エラスチン産生促進作用、フィブリリン１産生
促進作用、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進作用、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進作用、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進作用、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進作用を有し、弾性線維形成促進剤、エラスチン産生促進剤、フィブリリン１産生促進剤、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進剤、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進剤として利用することができる。

本発明の弾性線維形成促進剤は、弾性線維に関連するエラスチン産生促進作用、フィブリリン１産生促進作用、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進作用、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進作用、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進作用、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進作用を複合的に発揮することにより、高い弾性線維形成促進効果を発揮する。

イワベンケイ抽出物を有効成分とする弾性線維形成促進剤、エラスチン産生促進剤、フィブリリン１産生促進剤、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進剤、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進剤は、単独でも使用することができるが、弾性線維形成促進剤、エラスチン産生促進剤、フィブリリン１産生促進剤、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進剤、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進剤として医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品などの種々の組成物に配合することにより、弾性線維形成促進効果、エラスチン産生促進効果、フィブリリン１産生促進効果、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進効果、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進効果、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進効果、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進効果を有する組成物を得ることができる。

イワベンケイ抽出物を有効成分とする弾性線維形成促進剤、エラスチン産生促進剤、フィブリリン１産生促進剤、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進剤、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進剤は、その形態およびその他成分の配合の有無等については、なんら制限されない。形態については、液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態を、その用途等に応じて選択でき、その形態とするために必要なビヒクル（賦形剤）、溶剤、その他の一般的な添加剤（酸化防止剤、着色剤、分散剤等）を任意に含むことができる。

イワベンケイ抽出物を有効成分とする弾性線維形成促進剤、エラスチン産生促進剤、フィブリリン１産生促進剤、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進剤、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進剤、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進剤を配合する組成物は、任意の剤型をとることができる。組成物が皮膚化粧料、毛髪用化粧料、洗浄料等の場合には、ローションなどの可溶化系やカラミンローション等の分散系、クリームや乳液などの乳化系として提供することができる。さらに、噴射剤と共に充填するエアゾール形態、軟膏剤、パップ剤などの種々の剤型で提供することができる。

具体的には、乳液、クリーム、ローション、化粧水、パック、美容液、洗浄料、メイクアップ化粧料等の各種化粧料；液剤、軟膏、粉末、顆粒、エアゾール剤、貼付剤、パップ剤等の様々な形態の化粧料、医薬部外品や外用医薬品などが例示できる。

また、経口用医薬品等の場合には、ドリンク剤・点滴剤などの液剤、ガム・飴のような固形剤、カプセル、粉末、顆粒、錠剤などの一般的な剤型とすることができる。

以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。

［イワベンケイ抽出物］
乾燥させたイワベンケイの根を細切した。続いて２０倍量の５０容量％エタノール水溶液に２４時間浸漬した。ろ過後ろ液を採取し、溶媒を留去したエキス末を得た。得られたエキス末を０．５質量％の濃度となるよう５０質量％１，３−ブチレングリコール水溶液に溶解し、イワベンケイ抽出物とした。

弾性線維形成促進に関連する遺伝子の産生促進作用は、下記の通り、サイバーグリーン法によるリアルタイムＰＣＲにより検討した。

ヒト線維芽細胞を９＊１０⁵個／ウェルとなるように６ウェルプレートに播種し、０．５％ＦＢＳSを含むＤＭＥＭ培地にて一晩培養した。イワベンケイ抽出物を溶解した培地に交換し、ｓ３７℃、５％ＣＯ₂インキュベーター内で２４時間培養した。細胞からのＴｏｔａｌＲＮＡ抽出はＲＮＡ培養細胞ＨＣキットＳ（クラボウ社）およびＱｕｉｃｋＧｅｎｅを用い、クラボウ社のプロトコールに従って調製した。ｃＤＮＡ合成後に下記のプライマーを使用してサイバーグリーン法によるリアルタイムＰＣＲにより遺伝子発現を確認した。内部標準としてＧＡＰＤＨを使用した。結果は、イワベンケイ抽出物を添加せずに培養した場合の遺伝子発現量を１とした場合の相対値で示した。

表２に示した通り、イワベンケイ抽出物を添加することにより、エラスチン遺伝子（ｅｌａｓｔｉｎ；ＥＬＮ）の発現量が有意に高まっていた。このことにより、イワベンケイ抽出物は、エラスチン産生促進剤として有効であることが示された。

表３に示した通り、イワベンケイ抽出物を添加することにより、フィブリン１遺伝子（ｆｉｂｌｉｎ１；ＦＢＮ１）の発現量が有意に高まっていた。このことにより、イワベンケイ抽出物は、フィブリン１産生促進剤として有効であることが示された。

表４に示した通り、イワベンケイ抽出物を添加することにより、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４遺伝子（ｌａｔｅｎｔｔｒａｎｓｆｏｒｍｉｎｇｇｒｏｗｔｈｆａｃｔｏｒｂｅｔａｂｉｎｄｉｎｇｐｒｏｔｅｉｎ４；ＬＴＢＰ４）の発現量が有意に高まっていた。このことにより、イワベンケイ抽出物は、潜在型ＴＧＦβ結合タンパク質４産生促進剤として有効であることが示された。

表５に示した通り、イワベンケイ抽出物を添加することにより、ミクロフィブリル関連タンパク２遺伝子（ｍｉｃｒｏｆｉｂｒｉｌａｓｓｏｃｉａｔｅｄｐｒｏｔｅｉｎ２；ＭＦＡＰ２）の発現量が有意に高まっていた。このことにより、イワベンケイ抽出物は、ミクロフィブリル関連タンパク２産生促進剤として有効であることが示された。

表６に示した通り、イワベンケイ抽出物を添加することにより、ミクロフィブリル関連タンパク４遺伝子（ｍｉｃｒｏｆｉｂｒｉｌａｓｓｏｃｉａｔｅｄｐｒｏｔｅｉｎ４；ＭＦＡＰ４）の発現量が有意に高まっていた。このことにより、イワベンケイ抽出物は、ミクロフィブリル関連タンパク４産生促進剤として有効であることが示された。

表７に示した通り、イワベンケイ抽出物を添加することにより、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１遺伝子（ｅｌａｓｔｉｎｍｉｃｒｏｆｉｂｒｉｌｉｎｔｅｒｆａｃｅｒ１；ＥＭＩＬＩＮ１）の発現量が有意に高まっていた。このことにより、イワベンケイ抽出物は、エラスチン・ミクロフィブリルインターフェイサー１産生促進剤として有効であることが示された。

Claims

イワベンケイ抽出物を、有効成分とするミクロフィブリル産生促進剤。