以下に添付の図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.はじめに
1.1.セルラー通信方式における信号の送受信のタイミング
1.2.D2D通信における技術的課題
2.無線通信システムの概略的な構成
3.端末装置の構成
4.処理の流れ
5.変形例
6.はじめに
6.1.端末装置に関する応用例
6.2.基地局に関する応用例
7.まとめ
<<1.はじめに>>
まず、図1〜図9を参照して、セルラー通信方式における信号の送受信のタイミング、及びD2D通信における技術的課題を説明する。
<1.1.セルラー通信方式における信号の送受信のタイミング>
図1〜7を参照して、セルラー通信方式における信号の送受信のタイミングを説明する。ここでは、一例として、LTEにおける信号の送受信のタイミングを説明する。
(無線通信システムの構成)
図1は、図2〜図7の説明の前提となる無線通信システムの例を説明するための説明図である。図1を参照すると、端末装置10及び基地局20が示されている。端末装置10は、UE(User Equipment)と呼ばれ、基地局20は、eNB(Evolved Node B)と呼ばれる。また、基地局20により形成されるセル21も示されている。このような無線通信システムでは、セルラー通信として、各端末装置10と基地局20との間で無線通信が行われる。また、D2D通信として、端末装置10間で無線通信が行われる。例えば、端末装置10Aと端末装置10Bは、D2D通信を行う。
また、この例では、端末装置10Aは、端末装置10Bよりも基地局20から遠くに位置する。即ち、端末装置10Aと基地局20との間の距離は、端末装置10Bと基地局20との距離よりも長い。
(LTEにおける信号)
−ダウンリンク
LTEでは、ダウンリンクにおいてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が採用される。そして、無線通信の時間の単位であるサブフレームごとに、14個のOFDMシンボルが送信される。以下、この点について、図2を参照して具体例を説明する。
図2は、LTEに従った無線通信で送信されるダウンリンク信号を説明するための説明図である。図2を参照すると、LTEに従った無線通信で1サブフレームで送信されるダウンリンク信号が示されている。LTEでは、通常、1サブフレームには、14個のOFDMシンボルが含まれる。換言すると、1サブフレームは2スロットを含み、1スロットには7個のOFDMシンボルがある。また、各OFDMシンボルは、先頭にサイクリックプレフィクス(Cyclic Prefix:CP)を含む。
CPは、OFDMシンボルの遅延波が次のOFDMシンボルに及ぼすシンボル間干渉を除去するためのガード区間である。CPは、例えば、OFDMシンボルのうちの最後尾の所定時間分の信号をコピーすることにより生成される。OFDMシンボルを受信する端末装置は、OFDMシンボルのうちのCPの信号を無視し、OFDMシンボルの残りの信号を復調する。なお、サイクリックプレフィクスは、サブキャリア間干渉の除去にも寄与する。
なお、ノーマルサイクリックプリフィックス場合、OFDMシンボル長は、約66.67マイクロ秒である。また、各シンボルの先頭に含まれるサイクリックプリフィックスの長さは、約4.687マイクロ秒である。
−アップリンク
一方、LTEでは、アップリンクにおいてSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用される。そして、時間方向においてSC−FDMAシンボルが送信される。当該SC−FDMAシンボルも、OFDMシンボルと同様にCPを含む。
(信号の送受信のタイミング)
−ダウンリンク
LTEのダウンリンクでは、基地局20は、あるフレームタイミングで同時にダウンリンク信号を送信する。即ち、基地局20は、各端末装置10へのダウンリンク信号を同じタイミングで送信する。これは、基地局20では、各端末装置10宛のデータを送信するためのリソースブロックが、同じフレームタイミングで並列に信号処理され、これらが増幅後に一斉にアンテナから送出されるためである。
一方、端末装置10は、当該フレームタイミングではなく、端末装置10と基地局20との間の距離に応じた伝搬遅延の後に、ダウンリンク信号を受信する。この点について図3及び図4を参照して具体例を説明する。
図3は、端末装置がダウンリンク信号を受信するタイミングの例を概略的に説明するための説明図である。図3を参照すると、基地局20がサブフレームで端末装置10A及び端末装置10Bのそれぞれにダウンリンク信号を送信するタイミングが示されている。このように、基地局20は、あるフレームタイミングで同時にダウンリンク信号を送信する。また、図3には、端末装置10A及び端末装置10Bのそれぞれがダウンリンク信号を受信するタイミングも示されている。このように、端末装置10A及び端末装置10Bは、フレームタイミングよりも遅れてダウンリンク信号を受信し始める。
図4は、端末装置がダウンリンク信号を受信するタイミングの例を詳細に説明するための説明図である。図4を参照すると、図3に示された端末装置10A及び端末装置10Bのそれぞれがダウンリンク信号を受信するタイミングがより詳細に示されている。この例では、図1に示されるように、端末装置10Aは、端末装置10Bよりも基地局20からより離れている。そのため、基地局20から端末装置10Aへのパスでの伝搬遅延PD(B→TA)は、基地局20から端末装置10Bへのパスでの伝搬遅延PD(B→TB)よりも大きい。即ち、PD(B→TA)>PD(B→TB)である。よって、端末装置10Aがダウンリンク信号を受信し始めるタイミングは、端末装置10Bがダウンリンク信号を受信し始めるタイミングよりも遅くなる。このように、端末装置10のダウンリンク信号の受信タイミングは、端末装置10がセル21内のどの位置にいるかに応じて決まる。
−アップリンク
LTEのアップリンクでは、基地局20は、あるフレームタイミングで同時にアップリンク信号を受信する。即ち、基地局20は、各端末装置10からのアップリンク信号を同じタイミングで受信する。
一方、端末装置10は、当該フレームタイミングではなく、端末装置10と基地局20との間の距離に応じた伝搬遅延を考慮して、フレームタイミングに先行してアップリンク信号を送信し始める。この点について図5及び図6を参照して具体例を説明する。
図5は、端末装置がアップリンク信号を送信するタイミングの例を概略的に説明するための説明図である。図5を参照すると、基地局20がサブフレームで端末装置10A及び端末装置10Bのそれぞれからのアップリンク信号を受信するタイミングが示されている。このように、基地局20は、あるフレームタイミングで同時にアップリンク信号を受信する。また、図5には、端末装置10A及び端末装置10Bのそれぞれがアップリンク信号を送信するタイミングも示されている。このように、端末装置10A及び端末装置10Bは、フレームタイミングに先行してアップリンク信号を送信し始める。
図6は、端末装置がアップリンク信号を送信するタイミングの例を詳細に説明するための説明図である。図6を参照すると、図5に示された端末装置10A及び端末装置10Bのそれぞれがアップリンク信号を受信するタイミングがより詳細に示されている。この例では、図1に示されるように、端末装置10Aは、端末装置10Bよりも基地局20からより離れている。そのため、端末装置10Aから基地局20へのパスの伝搬遅延PD(TA→B)は、端末装置10Bから基地局20へのパスでの伝搬遅延PD(TB→B)よりも大きい。即ち、PD(TA→B)>PD(TB→B)である。よって、端末装置10Aがアップリンク信号を送信し始めるタイミングは、端末装置10Bがアップリンク信号を送信し始めるタイミングよりも早くなる。このように、端末装置10のアップリンク信号の送信タイミングは、端末装置10がセル21内のどの位置にいるかに応じて決まる。
このように、各端末装置10からのアップリンク信号が基地局20で同時に到着するように、端末装置10がアップリンク信号を送信する技術は、タイミングアドバンス(Timing Advance:TA)と呼ばれる。以下、この点について、図7を参照してより詳細な内容を説明する。
図7は、タイミングアドバンスを説明するための説明図である。図7を参照すると、端末装置10Aのアップリンク信号の送信タイミングと、端末装置10Aのダウンリンク信号の送信タイミングとが、示されている。このように、アップリンク信号の送信タイミングは、伝搬遅延PD(TA→B)と同じ時間だけフレームタイミングに対して先行する。また、ダウンリンク信号の受信タイミングは、伝搬遅延PD(B→TA)だけフレームタイミングよりも遅い。また、通常、伝搬遅延PD(TA→B)と伝搬遅延PD(B→TA)とは等しい。即ち、PD(TA→B)=PD(B→TA)である。よって、端末装置100Aは、ダウンリンク信号を受信するためのタイミングに対して、伝搬遅延PD(B→TA)(又は、伝搬遅延PD(TA→B))の2倍の時間だけ先行して、アップリンク信号を送信する。
なお、端末装置10は、ダウンリンク信号を受信するので、ダウンリンク信号を受信するためのタイミングを知っている。また、端末装置10は、アップリンク信号を送信するタイミングを決定するための情報としてタイミングアドバンス値(TA値)を基地局から受信する。TA値の初期値は、例えば、ランダムアクセスの際のランダムアクセスレスポンスで、端末装置10に通知される。端末装置10は、ダウンリンク信号を送信するためのタイミングに対して、TA値に対応する時間だけ先行するタイミングを、アップリンク信号を送信するためのタイミングとして決定する。即ち、当該TA値に対応する時間は、端末装置10と基地局との間の伝搬遅延の概ね2倍に相当する。例えば、セル21のセルエッジに位置する端末装置10は、セルの中心のより近くに位置する端末装置10よりも、長い時間に対応するTA値を与えられる。LTEにおけるTA値は、0から1282までの11bitの値である。また、送信タイミングを調整するための、TA値の刻み幅は、約0.52マイクロ秒である。したがって、端末装置10の送信タイミングは、最大0.67ミリ秒まで調整され得る。
<1.2.技術的課題>
上述したようにセルラー通信における信号の送受信が行われる。一方、端末装置10間でのD2D通信に、セルラー通信における信号の送受信のタイミングをそのまま適用することは望ましくない。以下、この点について図8及び図9を参照して具体例を説明する。この例では、D2D通信にOFDMが採用される。
図8は、セルラー通信における信号の送受信のタイミングをD2D通信に適用する場合の第1の例を説明するための説明図である。図8の例では、端末装置10BがD2D通信の送信側装置であり、端末装置10AがD2D通信の受信側装置である。図8を参照すると、基地局20がダウンリンク信号を送信するための送信タイミング、及び、端末装置10Aが当該ダウンリンク信号を受信するための受信タイミングが、示されている。これらのタイミングについては、図4を参照して説明したとおりである。
さらに図8を参照すると、D2D通信において、端末装置10BがD2D通信信号を送信する送信タイミング、及び、端末装置10Aが当該D2D通信信号を実際に受信する受信タイミングも、示されている。この例では、セルラー通信における送受信のタイミングがそのまま適用されるので、端末装置10BがD2D通信信号を送信する送信タイミングは、端末装置10Bがアップリンク信号を送信するための送信タイミングと同じである。そして、端末装置10AがD2D通信信号を実際に受信する受信イミングは、端末装置10BがD2D通信信号を送信する送信タイミングよりも、伝搬遅延PD(TA→TB)分だけ遅れる。ただし、D2D通信の際には端末装置10Aと端末装置10Bとの間の距離は小さいので、上記伝搬遅延PD(TA→TB)は非常に小さくなる。
結果として、図8に示されるように、端末装置10Aが当該ダウンリンク信号を受信するための受信タイミングと、端末装置10Aが当該D2D通信信号を実際に受信する受信タイミングとの間に、大きなズレが生じてしまう。そして、端末装置10Aがダウンリンク信号を受信するための受信タイミング以降の信号が端末装置10Aによって復調される場合に、D2D通信信号の一部は復調されない。当該一部には、CPのみではなく、CP以外の信号も含まれる。よって、信号が適切に受信されない。
図9は、セルラー通信における信号の送受信のタイミングをD2D通信に適用する場合の第2の例を説明するための説明図である。図9の例では、端末装置10AがD2D通信の送信側装置であり、端末装置10BがD2D通信の受信側装置である。図9を参照すると、基地局20がダウンリンク信号を送信するための送信タイミング、及び、端末装置10Bが当該ダウンリンク信号を受信するための受信タイミングが、示されている。これらのタイミングについては、図4を参照して説明したとおりである。
さらに図9を参照すると、D2D通信において、端末装置10AがD2D通信信号を送信する送信タイミング、及び、端末装置10Bが当該D2D通信信号を実際に受信する受信タイミングも、示されている。この例では、セルラー通信における送受信のタイミングがそのまま適用されるので、端末装置10AがD2D通信信号を送信する送信タイミングは、端末装置10Aがアップリンク信号を送信するための送信タイミングと同じである。そして、端末装置10BがD2D通信信号を実際に受信する受信イミングは、端末装置10AがD2D通信信号を送信する送信タイミングよりも、伝搬遅延PD(TB→TA)分だけ遅れる。ただし、D2D通信の際には端末装置10Aと端末装置10Bとの距離は離れていないので、上記伝搬遅延PD(TB→TA)は非常に小さくなる。
結果として、図9に示されるように、端末装置10Bが当該ダウンリンク信号を受信するための受信タイミングと、端末装置10Bが当該D2D通信信号を実際に受信する受信タイミングとの間に、大きなズレが生じてしまう。そして、端末装置10Bがダウンリンク信号を受信するための受信タイミング以降の信号が端末装置10Aによって復調される場合に、D2D通信信号の一部は復調されない。当該一部には、CPのみではなく、CP以外の信号も含まれる。よって、信号が適切に受信されない。
以上、図8及び図9を参照して説明したように、TAによるアップリンク送信タイミングの調整幅(即ち、TA値に対応する時間)が大きい場合に、D2D通信信号のCP以外の部分が復調されず、D2D通信信号が適切に受信されない。D2D通信は、主として基地局20から離れたセルエッジで多用されると想定されるので、D2D通信を行う端末装置10についてのTA値は比較的大きい値になることが想定される。したがって、D2D通信信号は、適切に復調されない可能性がある。
上述した課題をより詳細な数値を用いて説明する。例えば、端末装置10A及び端末装置10Bが、半径1キロメートルのセルのセルエッジに存在するものとする。この場合には、基地局20から端末装置10までのパスでの伝搬遅延が、は、約3.33マイクロ秒である。よって、端末装置10間の距離を無視すれば、端末装置10間における受信タイミングのずれは、約6.66マイクロ秒となる。一方、CPの長さは、4.687マイクロ秒である。よって、受信タイミングのずれがCPの長さを超えるので、D2D通信信号は適切に受信されない。
上述した例では、端末装置10と基地局20との間の距離が1キロメートルであるが、当該距離がより短ければ、D2D通信信号が適切に受信され得る。例えば、端末装置10と基地局20との間の距離が700メートルであれば、伝搬遅延は、2.33マイクロ秒である。この場合に、受信タイミングのずれは、約4.66マイクロ秒である。よって、サイクリックプレフィクスが4.687マイクロ秒の長さであることを考慮すると、D2D通信に許容される伝搬遅延は、0.021マイクロ秒である。当該伝搬遅延は、6.3メートルの距離に対応する。しかしながら、当該伝搬遅延又は距離の制約の下では、端末装置10の移動、伝搬路の変化によるわずかな伝搬遅延の変化等によって、D2D通信に大きな影響が生じ得る。よって、安定した通信が保証されないと考えられる。
このように基地局20との通信に最適化された送受信タイミングが端末装置10において用いられる場合に、D2D通信が可能であるか否かは、端末装置10と基地局20と間の距離、及び、D2D通信を行う端末装置10間の距離に依存する。即ち、D2D通信に大きな制約が与えられてしまう。
そこで、本実施形態では、セルラー通信の通信方式と同じ通信方式が採用されるD2D通信において信号が適切に受信される可能性を高めることを可能にする。より具体的には、D2D通信を行う端末装置10と基地局20と間の距離、D2D通信を行う端末装置10間の距離等の、D2D通信における制約を、緩めること、又はなくすことを可能にする。
<<2.無線通信システムの概略的な構成>>
続いて、図10を参照して、本開示の実施形態に係る無線通信システム1の概略的な構成を説明する。図10は、本実施形態に係る無線通信システム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。図10を参照すると、無線通信システム1は、端末装置100及び基地局200を含む。無線通信システム1は、例えば、セルラー通信の通信方式としてLTEを採用する。
端末装置100は、基地局200により形成されるセル21内に位置する場合に、基地局200と無線通信する。即ち、端末装置100は、基地局200により送信されるダウンリンク信号を受信し、基地局200へのアップリンク信号を送信する。例えば、端末装置100は、OFDMに従ってダウンリンク信号を受信し、SC−FDMAに従ってアップリンク信号を送信する。
また、端末装置100は、別の端末装置100とのD2D通信を行う。例えば、端末装置100は、D2D通信において、所定の無線通信方式に従って信号を送信し、当該所定の無線通信方式に従って信号を受信する。また、当該所定の無線通信方式は、例えば、ダウンリンク信号の送信のために基地局200により用いられる無線通信方式である。即ち、上記所定の無線通信方式は、OFDMである。即ち、端末装置100は、D2D通信において、OFDMに従って信号を送受信する。
基地局200は、セル21内に位置する端末装置100と無線通信する。即ち、基地局200は、端末装置100へのダウンリンク信号を送信し、端末装置100からのアップリンク信号を受信する。例えば、基地局200は、OFDMに従ってダウンリンク信号を送信し、SC−FDMAに従ってアップリンク信号を受信する。
<<3.端末装置の構成>>
続いて、図11〜図19を参照して、本実施形態に係る端末装置100の構成の一例を説明する。図11は、本実施形態に係る端末装置100の構成の一例を示すブロック図である。図11を参照すると、端末装置100は、アンテナ部110、無線通信部120、記憶部130及び制御部140を備える。
(アンテナ部110)
アンテナ部110は、無線信号を受信し、受信された無線信号を無線通信部120へ出力する。また、アンテナ部110は、無線通信部120により出力された送信信号を送信する。
(無線通信部120)
無線通信部120は、他の装置と無線通信する。例えば、無線通信部120は、基地局200により形成されるセル21内に端末装置100が位置する場合に、基地局200と無線通信する。即ち、無線通信部120は、基地局200により送信されるダウンリンク信号を受信し、基地局200へのアップリンク信号を送信する。例えば、無線通信部120は、OFDMに従ってダウンリンク信号を受信し、SC−FDMAに従ってアップリンク信号を送信する。
とりわけ本実施形態では、無線通信部120は、他の端末装置100とD2D通信を行う。例えば、無線通信部120は、D2D通信において、所定の無線通信方式に従って信号を送信し、当該所定の無線通信方式に従って信号を受信する。また、当該所定の無線通信方式は、例えば、ダウンリンク信号の送信のために基地局200により用いられる無線通信方式である。即ち、上記所定の無線通信方式は、OFDMである。無線通信部120は、D2D通信において、OFDMに従って信号を送受信する。
(記憶部130)
記憶部130は、端末装置100の動作のためのプログラム及びデータを記憶する。
(制御部140)
制御部140は、端末装置100の様々な機能を提供する。制御部140は、情報取得部141及び送信タイミング決定部143を備える。
(情報取得部141)
情報取得部141は、端末装置100又は別の端末装置100と無線通信する基地局200からのダウンリンク信号を端末装置100(無線通信部120)が受信するための受信タイミング(以下、「ダウンリンク受信タイミング」と呼ぶ)を取得する。例えば、端末装置100及び別の端末装置100は、同一のセル21内に位置し、基地局200は、当該セル21の基地局である。即ち、端末装置100及び別の端末装置100は、同じ基地局200からのダウンリンク信号を受信する。そして、情報取得部141は、基地局200からのダウンリンク信号を端末装置100(無線通信部120)が受信するためのダウンリンク受信タイミングを取得する。例えば、情報取得部141は、無線通信部120によるダウンリンク信号の検出結果から、上記ダウンリンク受信タイミングを取得する。
また、例えば、情報取得部141は、アップリンク信号を端末装置100(無線通信部120)が送信するためのタイミング(以下、アップリンク送信タイミング)を決定するためのタイミングアドバンス情報(TA情報)をさらに取得する。当該TA情報は、例えば、TA値である。上述したように、TA値は、ランダムアクセスの際のランダムアクセスレスポンスで、端末装置100に通知されるので、情報取得部141は、無線通信部120を介して、ランダムアクセスレスポンスで通知されるTA値を取得する。
なお、情報取得部141は、アップリンク信号を別の端末装置100が送信するためのタイミング(即ち、別の端末装置100のアップリンク送信タイミング)を決定するためのTA情報をさらに取得してもよい。この場合に、例えば、基地局200は、上記別の端末装置100のTA値を取得し、当該TA値を端末装置100に送信してもよい。そして、無線通信部120が、上記別の端末装置100のTA値を受信すると、情報取得部141は、上記別の端末装置100の当該TA値を取得してもよい。
(送信タイミング決定部143)
送信タイミング決定部143は、端末装置100が信号を送信するための送信タイミングを決定する。
例えば、送信タイミング決定部143は、基地局200へのアップリンク信号を端末装置100(無線通信部120)が送信するための送信タイミング(以下、「アップリンク送信タイミング」と呼ぶ)を決定する。より具体的には、例えば、送信タイミング決定部143は、取得されたTA値に対応する時間だけダウンリンク受信タイミングに対して先行するタイミングを、上記アップリンク送信タイミングとして決定する。そして、送信タイミング決定部143は、無線通信部120に、決定されたアップリンク送信タイミングでアップリンク信号を送信させる。
また、とりわけ本実施形態では、送信タイミング決定部143は、取得されたダウンリンク受信タイミングに基づいて、D2D通信で端末装置100(無線通信部120)が別の端末装置100へ送信するための送信タイミング(以下、「D2D送信タイミング」と呼ぶ)を決定する。そして、決定される上記D2D送信タイミングは、アップリンク信号を端末装置100(無線通信部120)が送信するためのタイミング(即ち、アップリンク送信タイミング)よりも後のタイミングである。
上述したように、D2D通信の送信側装置のD2D送信タイミングが、アップリンク送信タイミングと同じである場合には、D2D通信信号は、D2D通信の受信側装置のダウンリンク受信タイミングよりもかなり早く当該受信側装置に到達してしまう。そのため、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離によっては、D2D通信信号のうちのCP以外の部分も復調されなくなる可能性がある。
一方、本実施形態のように、D2D送信タイミングがアップリンク送信タイミングよりも後のタイミングであれば、相手側のD2D受信タイミングとダウンリンク受信タイミングとがより近くなる。よって、D2D通信信号が適切に受信される可能性が高くなる。換言すると、D2D通信信号の適切な受信のための制約(例えば、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離)を緩めることが可能になる。その結果、オフローディングをより効果的に行うことが可能になり、システム容量の増加に大きく貢献し得る。
以下、決定されるD2D送信タイミングのより具体的な例を説明する。
−D2D送信タイミングの第1の例
第1の例として、送信タイミング決定部143は、端末装置100のダウンリンク受信タイミング及び端末装置100のTA情報に基づいて、D2D送信タイミングを決定する。上述したように、当該TA情報は、例えばTA値である。TA情報(例えば、TA値)は、ランダムアクセスの際に端末装置100に通知される既存のパラメータであるので、基地局200が新たな制御信号を送信する必要がない。
例えば、決定されるD2D送信タイミングは、ダウンリンク受信タイミングよりも前のタイミングである。例えば、送信タイミング決定部143は、端末装置100のTA値に対応する時間に係数P(0<P<1)を乗算する。そして、送信タイミング決定部143は、乗算結果の時間だけダウンリンク受信タイミングに対して先行するタイミングを、D2D送信タイミングとして決定する。そして、送信タイミング決定部143は、無線通信部120に、決定されたD2D送信タイミングでD2D通信信号を送信させる。
これにより、D2D送信タイミングが遅すぎることに起因して、相手側装置でD2D通信信号が実際に受信される期間が、相手側装置がダウンリンク信号を受信するための期間に収まらなくなることを、回避することができる。
また、例えば、決定されるD2D送信タイミングは、ダウンリンク信号を基地局200が送信するためのタイミング(以下、「ダウンリンク送信タイミング」と呼ぶ)以降のタイミングである。例えば、当該ダウンリンク送信タイミングは、ダウンリンク受信タイミングに対して、端末装置100のTA情報に対応する時間の半分の時間だけ先行するタイミングである。
具体的には、例えば、送信タイミング決定部143は、端末装置100のTA値に対応する時間に係数P(0<P≦1/2)を乗算する。そして、送信タイミング決定部143は、乗算結果の時間だけダウンリンク受信タイミングに対して先行するタイミングを、D2D送信タイミングとして決定する。
これにより、D2D送信タイミングは、基地局のダウンリンク送信タイミング以降になる。相手側装置のダウンリンク受信タイミングは、少なくとも上記ダウンリンク送信タイミングよりも後であるので、相手側のD2D送信タイミングとダウンリンク受信タイミングとがさらに近くなる。よって、D2D通信信号が適切に受信される可能性がより高くなる。換言すると、D2D通信信号の適切な受信のための制約(例えば、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離)を緩めることが可能になる。
また、具体的な一例として、決定されるD2D送信タイミングは、ダウンリンク信号を基地局200が送信するためのタイミング(即ち、ダウンリンク送信タイミング)である。上述したように、例えば、当該ダウンリンク送信タイミングは、ダウンリンク受信タイミングに対して、端末装置100のTA情報に対応する時間の半分の時間だけ先行するタイミングである。例えば、送信タイミング決定部143は、端末装置100のTA値に対応する時間に係数1/2を乗算する。そして、送信タイミング決定部143は、乗算結果の時間だけダウンリンク受信タイミングに対して先行するタイミングを、D2D送信タイミングとして決定する。
これにより、端末装置100間でD2D送信タイミングがほぼ一定になる。即ち、セル21内での各端末装置100の位置、D2D通信に用いられる周波数帯域、複信方式(例えば、FDD方式又はTDD方式)によらず、端末装置100によるD2D送信タイミングのばらつきが小さくなる。
以下、図12及び図13を参照して、具体例を説明する。
図12は、本実施形態に係るD2D送信タイミングの第1の例を説明するための第1の説明図である。図12の例では、端末装置100BがD2D通信の送信側装置であり、端末装置100AがD2D通信の受信側装置である。図12を参照すると、基地局200がダウンリンク信号を送信するためのダウンリンク送信タイミング、及び、端末装置100Aが当該ダウンリンク信号を受信するためのダウンリンク受信タイミングが、示されている。この点については、図8に示される例と同様である。
さらに図12を参照すると、D2D通信において、端末装置100BがD2D通信信号を送信するD2D送信タイミング、及び、端末装置100Aが当該D2D通信信号を実際に受信するD2D受信タイミングも、示されている。この例では、端末装置100BのD2D送信タイミングは、基地局200のダウンリンク送信タイミングとほぼ同じである。その結果、図12に示される受信タイミングのズレ(即ち、端末装置100Aにおけるダウンリンク受信タイミングとD2D受信タイミングとの間のズレ)は、図8に示される受信タイミングのズレよりも小さくなっている。その結果、当該受信タイミングのズレは、CPの長さよりも小さく、端末装置100Aは、D2D通信信号を適切に受信することができる。
図13は、本実施形態に係るD2D送信タイミングの第1の例を説明するための第2の説明図である。図13の例では、端末装置100AがD2D通信の送信側装置であり、端末装置100BがD2D通信の受信側装置である。図13を参照すると、基地局200がダウンリンク信号を送信するためのダウンリンク送信タイミング、及び、端末装置100Bが当該ダウンリンク信号を受信するためのダウンリンク受信タイミングが、示されている。この点については、図9に示される例と同様である。
さらに図13を参照すると、D2D通信において、端末装置100AがD2D通信信号を送信するD2D送信タイミング、及び、端末装置100Bが当該D2D通信信号を実際に受信するD2D受信タイミングも、示されている。この例では、端末装置100AのD2D送信タイミングは、基地局200のダウンリンク送信タイミングとほぼ同じである。その結果、図12に示される受信タイミングのズレ(即ち、端末装置100Bにおけるダウンリンク受信タイミングとD2D受信タイミングとの間のズレ)は、図9に示される受信タイミングのズレよりも小さくなっている。その結果、当該受信タイミングのズレは、CPの長さよりも小さく、端末装置100Bは、D2D通信信号を適切に受信することができる。
−D2D送信タイミングの第2の例
第2の例として、決定されるD2D送信タイミングは、ダウンリンク信号を端末装置100が受信するための受信タイミング(即ち、ダウンリンク受信タイミング)である。即ち、送信タイミング決定部143は、取得されるダウンリンク受信タイミングを、D2D送信タイミングとして決定する。そして、送信タイミング決定部143は、無線通信部120に、決定されたD2D送信タイミングでD2D通信信号を送信させる。
一般的に、D2D通信を行う端末装置100(例えば、端末装置100A及び端末装置100B)は、近くに位置する。即ち、当該端末装置100間の距離は小さい。そのため、D2D通信の送信側装置のダウンリンク受信タイミングと、受信側のダウンリンク受信タイミングとの間の差は、小さい。さらに、D2D通信において送信側装置から受信側装置までの伝搬遅延は小さい。よって、D2D通信の送信側装置(例えば、端末装置100A)が、自らのダウンリンク受信タイミングでD2D通信信号を送信すれば、受信側装置(例えば、端末装置100B)は、自らのダウンリンク受信タイミングに近いタイミングで、D2D通信信号を受信できる。よって、D2D通信信号が適切に受信される可能性が高くなる。換言すると、D2D通信信号の適切な受信のための制約(例えば、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離)を緩めることが可能になる。
また、この場合には、受信タイミング以外の情報は不要である。よって、TA値を未だ取得していない場合(例えば、端末装置100が、ランダムアクセを行なっておらず、アイドル状態である場合)であっても、端末装置100は、適切なD2D送信タイミングでD2D通信信号を送信することが可能になる。
以下、図14及び図15を参照して、具体例を説明する。
図14は、本実施形態に係るD2D送信タイミングの第2の例を説明するための第1の説明図である。図14の例では、端末装置100BがD2D通信の送信側装置であり、端末装置100AがD2D通信の受信側装置である。図14を参照すると、基地局200がダウンリンク信号を送信するためのダウンリンク送信タイミング、及び、端末装置100Aが当該ダウンリンク信号を受信するためのダウンリンク受信タイミングが、示されている。この点については、図8及び図12に示される例と同様である。
さらに図14を参照すると、D2D通信において、端末装置100BがD2D通信信号を送信するD2D送信タイミング、及び、端末装置100Aが当該D2D通信信号を実際に受信するD2D受信タイミングも、示されている。この例では、端末装置100BのD2D送信タイミングは、端末装置100Bのダウンリンク受信タイミングと同じである。その結果、図14に示される受信タイミングのズレ(即ち、端末装置100Aにおけるダウンリンク受信タイミングとD2D受信タイミングとの間のズレ)は、図8に示される受信タイミングのズレよりも小さくなっている。その結果、当該受信タイミングのズレは、CPの長さよりも小さく、端末装置100Aは、D2D通信信号を適切に受信することができる。
図15は、本実施形態に係るD2D送信タイミングの第2の例を説明するための第2の説明図である。図15の例では、端末装置100AがD2D通信の送信側装置であり、端末装置100BがD2D通信の受信側装置である。図15を参照すると、基地局200がダウンリンク信号を送信するためのダウンリンク送信タイミング、及び、端末装置100Bが当該ダウンリンク信号を受信するためのダウンリンク受信タイミングが、示されている。この点については、図9に示される例と同様である。
さらに図15を参照すると、D2D通信において、端末装置100AがD2D通信信号を送信するD2D送信タイミング、及び、端末装置100Bが当該D2D通信信号を実際に受信するD2D受信タイミングも、示されている。この例では、端末装置100AのD2D送信タイミングは、端末装置100Aのダウンリンク受信タイミングと同じである。その結果、図15に示される受信タイミングのズレ(即ち、端末装置100Bにおけるダウンリンク受信タイミングとD2D受信タイミングとの間のズレ)は、図9に示される受信タイミングのズレよりも小さくなっている。そして、この例では、当該D2D受信タイミングは、ダウンリンク受信タイミングよりも少し後である。よって、ダウンリンク信号の受信期間がOFDMシンボル長よりも少しだけ長くなるように設定されていれば、端末装置100Bは、D2D通信信号を適切に受信することができる。
なお、上述したD2D送信タイミングは、所定の条件が満たされる場合に適用されてもよい。例えば、送信側装置(例えば、端末装置100A)のタイムアドバンスグループ(TAG)と、受信側装置(例えば、端末装置100B)のTAGとが、同一である場合に、上述したD2D送信タイミングが適用されてもよい。
送信側装置のTAGと受信側装置のTAGが同一ということは、送信側装置のTA値と受信側装置のTA値とが同等であることを意味する。よって、送信側装置のTAGと受信側装置のTAGが同一であれば、送信側装置のダウンリンク受信タイミングと受信側装置のダウンリンク受信タイミングとが同等になる。よって、受信側装置においてダウンリンク受信タイミングとD2D受信タイミングとがより近くなり得る。
また、D2D通信を行う2つの端末装置のTAGが同一でない場合には、送信タイミングのオフセット値により、D2D送信タイミングが個別に調整されてもよい。
このような、TAGが同一か否かの判定、及び送信タイミングのオフセット値による調整は、基地局200により行われる。そして、例えば、基地局200は、D2D通信を行う端末装置100に通知する。
−D2D送信タイミングの第3の例
第3の例として、送信タイミング決定部143は、端末装置100のダウンリンク受信タイミング、端末装置100のTA情報、及び別の端末装置100のTA情報に基づいて、D2D送信タイミングを決定する。
例えば、決定されるD2D送信タイミングは、基地局200からのダウンリンク信号を別の端末装置100(即ち、D2D通信の受信側端末装置)が受信するためのタイミング(即ち、別の端末装置100のダウンリンク受信タイミング)である。例えば、別の端末装置100の当該ダウンリンク受信タイミングは、ダウンリンク信号を基地局200が送信するためのタイミング(即ち、ダウンリンク送信タイミング)に対して、上記別の端末装置100の上記TA情報に対応する時間の半分の時間だけ遅れたタイミングである。
具体的には、例えば、送信タイミング決定部143は、端末装置100のTA値に対応する時間に係数1/2を乗算する。そして、送信タイミング決定部143は、乗算結果の時間だけダウンリンク送信タイミングに対して先行するタイミングを、基地局200のダウンリンク送信タイミングとして算出する。さらに、送信タイミング決定部143は、算出されたダウンリンク送信タイミングに対して、上記別の端末装置100のTA情報に対応する時間の半分の時間だけ遅れたタイミングを、上記別の端末装置100のダウンリンク受信タイミングとして算出する。当該半分の時間は、基地局200から上記別の端末装置100までの伝搬遅延に相当する。そして、送信タイミング決定部143は、上記別の端末装置100の上記ダウンリンク受信タイミングを、端末装置100のD2D送信タイミングとして決定する。そして、送信タイミング決定部143は、無線通信部120に、決定されたD2D送信タイミングでD2D通信信号を送信させる。
一般的に、D2D通信を行う端末装置100(例えば、端末装置100A及び端末装置100B)は、近くに位置する。即ち、当該端末装置100間の距離は小さい。そのため、D2D通信において送信側装置から受信側装置までの伝搬遅延は小さい。よって、D2D通信の送信側装置(例えば、端末装置100A)が、受信側装置(例えば、端末装置100B)のダウンリンク受信タイミングでD2D通信信号を送信すれば、当該受信側装置は、自らのダウンリンク受信タイミングに近いタイミングで、D2D通信信号を受信できる。よって、D2D通信信号が適切に受信される可能性が高くなる。換言すると、D2D通信信号の適切な受信のための制約(例えば、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離)を緩めることが可能になる。
以下、図16及び図17を参照して、具体例を説明する。
図16は、本実施形態に係るD2D送信タイミングの第3の例を説明するための第1の説明図である。図16の例では、端末装置100BがD2D通信の送信側装置であり、端末装置100AがD2D通信の受信側装置である。図16を参照すると、基地局200がダウンリンク信号を送信するためのダウンリンク送信タイミング、及び、端末装置100Aが当該ダウンリンク信号を受信するためのダウンリンク受信タイミングが、示されている。この点については、図8、図12及び図14に示される例と同様である。
さらに図16を参照すると、D2D通信において、端末装置100BがD2D通信信号を送信するD2D送信タイミング、及び、端末装置100Aが当該D2D通信信号を実際に受信するD2D受信タイミングも、示されている。この例では、端末装置100BのD2D送信タイミングは、端末装置100Aのダウンリンク受信タイミングとほぼ同じである。その結果、図16に示される受信タイミングのズレ(即ち、端末装置100Aにおけるダウンリンク受信タイミングとD2D受信タイミングとの間のズレ)は、図8に示される受信タイミングのズレよりも小さくなっている。そして、この例では、当該D2D受信タイミングは、ダウンリンク受信タイミングよりも少し後である。よって、ダウンリンク信号の受信期間がOFDMシンボル長よりも少しだけ長くなるように設定されていれば、端末装置100Aは、D2D通信信号を適切に受信することができる。
図17は、本実施形態に係るD2D送信タイミングの第3の例を説明するための第2の説明図である。図17の例では、端末装置100AがD2D通信の送信側装置であり、端末装置100BがD2D通信の受信側装置である。図17を参照すると、基地局200がダウンリンク信号を送信するためのダウンリンク送信タイミング、及び、端末装置100Bが当該ダウンリンク信号を受信するためのダウンリンク受信タイミングが、示されている。この点については、図9に示される例と同様である。
さらに図17を参照すると、D2D通信において、端末装置100AがD2D通信信号を送信するD2D送信タイミング、及び、端末装置100Bが当該D2D通信信号を実際に受信するD2D受信タイミングも、示されている。この例では、端末装置100AのD2D送信タイミングは、端末装置100Bのダウンリンク受信タイミングとほぼ同じである。その結果、図17に示される受信タイミングのズレ(即ち、端末装置100Bにおけるダウンリンク受信タイミングとD2D受信タイミングとの間のズレ)は、図9に示される受信タイミングのズレよりも小さくなっている。そして、この例では、当該D2D受信タイミングは、ダウンリンク受信タイミングよりも少し後である。よって、ダウンリンク信号の受信期間がOFDMシンボル長よりも少しだけ長くなるように設定されていれば、端末装置100Bは、D2D通信信号を適切に受信することができる。
−1対多のD2D通信の場合
ここで、図18及び図19を参照して、端末装置100が2つ以上の別の端末装置100とD2D通信を行うケースのD2D送信タイミングを説明する。
図18は、端末装置が2つ以上の別の端末装置とD2D通信を行う第1のケースを説明するための説明図である。図18を参照すると、端末装置100Bが、端末装置100A及び端末装置100Cの両方とD2D通信を行う。このようなケースの一例として、端末装置100Bは、基地局200を介してコンテンツ配信サーバに接続され、端末装置100A及び端末装置100Cにコンテンツを転送する。
図19は、端末装置が2つ以上の別の端末装置とD2D通信を行う第2のケースを説明するための説明図である。図19を参照すると、図18のケースにおいて、さらに端末装置100A及び端末装置100Cが、互いにD2D通信を行う。このようなケースの一例として、端末装置100A、端末装置100B及び端末装置100Cがグループ内通信を行う。
以上のように、端末装置100が2つ以上の別の端末装置100とD2D通信を行う場合には、上述したD2D送信タイミングの第3の例が適用されるよりも、上述したD2D送信タイミングの第1の例又は第2の例が適用される方が、好ましい。なぜならば、上述したD2D送信タイミングの第3の例では、D2D通信の通信相手のTA値を取得するので、基地局200が通知すべきTA値が増加し、処理及び通信が、増加し、複雑化するからである。
<<4.処理の流れ>>
続いて、図20を参照して、本実施形態に係る通信制御処理の一例を説明する。図20は、本実施形態に係る通信制御処理の概略的な流れの一例を示すシーケンス図である。
ステップS401で、端末装置100Aの制御部140は、無線通信部120に、D2D通信の開始リクエストを送信させる。そして、基地局200が、当該開始リクエストを受信する。
次に、ステップS403で、基地局200は、ページングを行う。当該ページングでは、D2D通信を示す情報が送信される。端末装置100Bは、当該ページングにより呼び出される。
そして、ステップS405で、端末装置100B及び基地局200は、ランダムアクセスの手続きを行う。当該ランダムアクセスの手続きの中で、端末装置100Bの制御部140は、無線通信部120に、ランダムアクセスリクエストを送信させる。また、基地局200は、当該ランダムアクセスリクエストに応じて、ランダムアクセスレスポンスを送信する。基地局200は、当該ランダムアクセスレスポンスにおいて、端末装置100BのTA値を端末装置100Bに通知する。
ステップS407で、端末装置100Aの送信タイミング決定部143は、端末装置100Aのダウンリンク受信タイミングと、予め取得しているTA値とに基づいて、D2D送信タイミングを決定する。例えば、上述したD2D送信タイミングの第1の例のように、ダウンリンク受信タイミング及びTA値から算出される基地局200のダウンリンク送信タイミングが、端末装置100AのD2D送信タイミングとして決定される。
また、ステップS409で、端末装置100Bの送信タイミング決定部143は、端末装置100Bのダウンリンク受信タイミングと、ランダムアクセス手続きで取得したTA値とに基づいて、D2D送信タイミングを決定する。例えば、上述したD2D送信タイミングの第1の例のように、ダウンリンク受信タイミング及びTA値から算出される基地局200のダウンリンク送信タイミングが、端末装置100BのD2D送信タイミングとして決定される。
ステップS411及びステップS413で、基地局200は、端末装置100A及び端末装置100Bに、D2D通信でのパイロット信号の送信と、D2D通信でのパイロット信号についての測定とを指示する。
ステップS415で、端末装置100Aの制御部140は、無線通信部120に、パイロット信号を送信させる。そして、端末装置100Bの無線通信部120は、当該パイロット信号を受信し、端末装置100Bの制御部140は、パイロット信号についての測定を行う。
また、ステップS417で、端末装置100Bの制御部140は、無線通信部120に、パイロット信号を送信させる。そして、端末装置100Aの無線通信部120は、当該パイロット信号を受信し、端末装置100Aの制御部140は、パイロット信号についての測定を行う。
また、ステップS419及びステップS421で、端末装置100A及び端末装置100Bは、無線通信部120を介して、パイロット信号についての測定結果を基地局200に報告する。
また、ステップS423で、基地局200は、報告された測定結果に基づいて、D2D通信を許可するかを判定する。例えば、基地局200は、D2D通信の通信品質が所定の品質要件を満たす場合に、D2D通信を許可すると判定する。
また、ステップS425及びステップS427で、基地局200は、端末装置100A及び端末装置100Bに、D2D通信の許可を通知する。その後、端末装置100Aと端末装置100Bとの間でのD2D通信が開始される。
以上、本実施形態に係る通信制御処理の一例を説明した。なお、上述したD2D送信タイミングの第3の例が用いられる場合には、基地局200は、ステップS407よりも前に、端末装置100BのTA値を端末装置100Aに通知し、ステップS409よりも前に、端末装置100AのTA値を端末装置100Bに通知する。
<<5.変形例>>
続いて、図21〜図24を参照して、本実施形態の変形例を説明する。
上述した本実施形態では、D2D通信を行う2つの端末装置100(例えば、端末装置100Aと端末装置100B)が同一のセル内に位置する例を説明した。そこで、本実施形態の変形例として、D2D通信を行う2つの端末装置100が別々のセル内に位置する例を説明する。
(D2D通信を行う端末装置が位置するセルの例)
まず、前提となるセルの具体例を図21及び図22を参照して説明する。
図21は、D2D通信を行う端末装置が別々のセル内に位置する場合の当該セルの第1の例を説明するための説明図である。図21を参照すると、隣接するセル21A及び20Bが示されている。また、セル21Aの基地局200A、及び、セル21Aに位置する端末装置100Aが、示されている。また、セル21Bの基地局200B、及び、セル21Bに位置する端末装置100Bが、示されている。例えばこのように、互いに隣接する2つのセル21の各々に、D2D通信を行う端末装置100が位置する。
図22は、D2D通信を行う端末装置が別々のセル内に位置する場合の当該セルの第2の例を説明するための説明図である。図22を参照すると、マクロセル23と、マクロセル23と重複するスモールセル25とが、示されている。また、マクロセル23の基地局203、及び、マクロセル23内に位置する端末装置100Aが示されている。また、スモールセル25の基地局205、及び、スモールセル25内に位置する端末装置100Bが示されている。例えばこのように、マクロセル23及びスモールセル25の各々に、D2D通信を行う端末装置100が位置する。
以上の例のように、D2D通信を行う2つの端末装置100が別々のセル内に位置する場合にも、適切なD2D送信タイミングが決定され得る。以降では、図21の例を前提として、本実施形態の変形例を説明するが、当該説明は、図22の例にも同様に適用され得る。
なお、2つのセルの間で送受信のタイミングが同期している場合の決定手法と、2つのセル間で送受信のタイミングが同期していない場合の決定手法とは、少し異なるので、これらの2つのケースの各々を説明する。
(セル間同期がある場合)
セル間同期がある場合には、セル21間で基地局200によるダウンリンク送信タイミングが同じである。そして、D2D通信を行う2つの端末装置100が同一のセルに位置する場合と同様に、D2D送信タイミングが決定され得る。例えば、上述したD2D送信タイミングの第1〜第3の例のように、D2D送信タイミングが決定され得る。
なお、D2D送信タイミングの第3の例では、上述したように、端末装置100A(送信タイミング決定部143)は、端末装置100Aのダウンリンク受信タイミング、端末装置100AのTA情報、及び別の端末装置100BのTA情報に基づいて、D2D送信タイミングを決定する。端末装置100AのTA情報は、端末装置100が位置するセル21Aにおける端末装置100AのTA情報である。一方、D2D通信を行う端末装置100A及び端末装置100Bが別々のセル内に位置する場合には、端末装置100BのTA情報は、端末装置100Bが位置するセル21Bにおける端末装置100BのTA情報である。そのため、基地局200Bは、端末装置100Bの上記TA情報を基地局200Aへ送信し、基地局200Aは、端末装置100Bの当該TA情報を端末装置100Aへ送信する。そして、端末装置100A(情報取得部141)は、端末装置100Bの当該TA情報を取得する。
(セル間同期がない場合)
セル間同期がない場合には、セル21間で基地局200によるダウンリンク送信タイミングが異なる。そのため、D2D通信を行う2つの端末装置100が同一のセルに位置する場合と比べて、以下の点が異なる。
−D2D送信タイミングの第1の例
D2D送信タイミングの第1の例では、上述したように、端末装置100Aは、端末装置100Aのダウンリンク受信タイミング、及び端末装置100AのTA情報に基づいて、D2D送信タイミングを決定する。D2D通信を行う端末装置100A及び端末装置100Bが別々のセル内に位置する場合には、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミング、及び、端末装置100AのTA情報は、以下のようになる。
まず、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミングは、端末装置100Bと無線通信する基地局200Bからのダウンリンク信号(即ち、セル21Bのダウンリンク信号)を端末装置100Aが受信するための受信タイミングである。そのため、端末装置100Aの情報取得部141は、無線通信部120に、セル21Bのダウンリンク信号(例えば、プライマリ同期信号、セカンダリ同期信号、等)を受信させ、当該ダウンリンク信号の受信タイミングを取得する。
また、端末装置100AのTA情報は、基地局200Bへのアップリンク信号を端末装置100Aが送信するためのタイミングを決定するためのTA情報(即ち、セル21Bでの端末装置100AのTA情報)である。そのため、情報取得部141は、端末装置100Aに、セル21Bでのランダムアクセスを行わせることにより、セル21Bでの端末装置100AのTA情報を取得する。
このような、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミング、及び端末装置100AのTA情報によれば、端末装置100Aは、例えば、基地局200Bがダウンリンク信号を送信するためのタイミングを算出することができる。即ち、端末装置100Aは、D2D通信の相手側装置である端末装置100Bが位置するセル21Bでのダウンリンク送信タイミングを算出することができる。
なお、端末装置100Aと端末装置100Bとが近くに位置することを前提として、情報取得部141は、セル21Bでの端末装置100AのTA情報の代替として、セル21Bでの端末装置100BのTA情報を取得し、用いてもよい。この場合に、基地局200Bは、端末装置100Bの上記TA情報を基地局200Aへ送信し、基地局200Aは、端末装置100Bの当該TA情報を端末装置100Aへ送信してもよい。
−D2D送信タイミングの第2の例
D2D送信タイミングの第2の例では、上述したように、端末装置100Aは、端末装置100Aのダウンリンク受信タイミングに基づいて、D2D送信タイミングを決定する。D2D通信を行う端末装置100A及び端末装置100Bが別々のセル内に位置する場合には、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミングは、以下のようになる。
上述したD2D送信タイミングの第1の例と同様に、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミングは、セル21Bのダウンリンク信号を端末装置100Aが受信するための受信タイミングである。
このような、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミングによれば、端末装置100Aは、基地局21Bからのダウンリンク信号を端末装置100Aが受信するための受信タイミングを知ることができる。即ち、端末装置100Aは、D2D通信の相手側装置である端末装置100Bが位置するセル21Bでのダウンリンク送信タイミングを算出することができる。
−D2D送信タイミングの第3の例
D2D送信タイミングの第3の例では、上述したように、端末装置100Aは、端末装置100Aのダウンリンク受信タイミング、端末装置100AのTA情報、及び端末装置100BのTA情報に基づいて、D2D送信タイミングを決定する。D2D通信を行う端末装置100A及び端末装置100Bが別々のセル内に位置する場合には、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミング、端末装置100AのTA情報、及び端末装置100BのTA情報は、以下のようになる。
まず、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミングは、上述したD2D送信タイミングの第1の例と同様に、セル21Bのダウンリンク信号を端末装置100Aが受信するための受信タイミングである。また、端末装置100AのTA情報も、上述したD2D送信タイミングの第1の例と同様に、セル21Bでの端末装置100AのTA情報である。
また、端末装置100BのTA情報は、基地局200Bへのアップリンク信号を端末装置100Bが送信するためのタイミングを決定するためのTA情報(即ち、セル21Bでの端末装置100BのTA情報)である。そのため、基地局200Bは、端末装置100Bの上記TA情報を基地局200Aへ送信し、基地局200Aは、端末装置100Bの当該TA情報を端末装置100Aへ送信する。そして、情報取得部141は、端末装置100Bの当該TA情報を取得する。
このような、端末装置100Aの上記ダウンリンク受信タイミング、端末装置100AのTA情報、及び端末装置100BのTA情報によれば、端末装置100Aは、例えば、D2D通信の相手側装置である端末装置100Bが基地局200Bからのダウンリンク信号を受信するタイミングを算出することができる。即ち、端末装置100Aは、端末装置100Bがセル21Bのダウンリンク信号を受信するタイミングを算出することができる。
(処理の流れ)
次に、図23及び図24を参照して、本実施形態の変形例に係る通信制御処理の一例を説明する。
−セル間同期がある場合
図23は、本実施形態の変形例に係る通信制御処理の概略的な流れの第1の例を示すシーケンス図である。
ステップS501で、端末装置100Aの制御部140は、無線通信部120に、D2D通信の開始リクエストを送信させる。そして、基地局200Aが、当該開始リクエストを受信する。そして、ステップS503で、基地局200Aは、当該開始リクエストを基地局200Bに転送する。
ステップS505で、基地局200Aは、端末装置100Aに、セル21Aとセル21Bとが同期しているか否かを示すセル間同期情報を送信する。この例では、セル間同期情報は、セル21Aとセル21Bとが同期していることを示す。これにより、端末装置100Aは、セル21Aとセル21Bとが同期していることを知る。この例では、セル間の同期情報がステップS505で取得されているが、セル間の同期情報の取得は、この例に限られない。セル間の同期情報は、システム情報によって端末装置100に予め通知されてもよく、又は、基地局200から端末装置100へのシグナリングにより予め別途通知されてもよい。また、システムにおける全セル又は一部のセルが同期している場合に、セル間の同期の有無に関する情報が、端末装置100に記憶されてもよい。
ステップS507で、基地局200Bは、ページングを行う。当該ページングでは、D2D通信を示す情報が送信される。端末装置100Bは、当該ページングにより呼び出される。
そして、ステップS509で、端末装置100B及び基地局200Bは、ランダムアクセスの手続きを行う。当該ランダムアクセスの手続きの中で、端末装置100Bの制御部140は、無線通信部120に、ランダムアクセスリクエストを送信させる。また、基地局200Bは、当該ランダムアクセスリクエストに応じて、ランダムアクセスレスポンスを送信する。基地局200Bは、当該ランダムアクセスレスポンスにおいて、端末装置100BのTA値を端末装置100Bに通知する。当該TA値は、セル21Bにおける端末装置100BのTA値である。
ステップS511で、端末装置100Aの送信タイミング決定部143は、セル21Aにおける端末装置100Aのダウンリンク受信タイミングと、予め取得しているTA値(セル21Aにおける端末装置100AのTA値)とに基づいて、D2D送信タイミングを決定する。例えば、上述したD2D送信タイミングの第1の例のように、ダウンリンク受信タイミング及びTA値から算出される、基地局200Aのダウンリンク送信タイミングが、端末装置100AのD2D送信タイミングとして決定される。
また、ステップS513で、端末装置100Bの送信タイミング決定部143は、セル21Bにおける端末装置100Bのダウンリンク受信タイミングと、ランダムアクセス手続きで取得したTA値(セル21Bにおける端末装置100BのTA値)とに基づいて、D2D送信タイミングを決定する。例えば、上述したD2D送信タイミングの第1の例のように、ダウンリンク受信タイミング及びTA値から算出される、基地局200Bのダウンリンク送信タイミングが、端末装置100BのD2D送信タイミングとして決定される。
ステップS515で、基地局200Aは、端末装置100Aに、D2D通信でのパイロット信号の送信と、D2D通信でのパイロット信号についての測定とを指示する。
また、ステップS517で、基地局200Bは、端末装置100Bに、D2D通信でのパイロット信号の送信と、D2D通信でのパイロット信号についての測定とを指示する。
ステップS519で、端末装置100Aの制御部140は、無線通信部120に、パイロット信号を送信させる。そして、端末装置100Bの無線通信部120は、当該パイロット信号を受信し、端末装置100Bの制御部140は、パイロット信号についての測定を行う。
また、ステップS521で、端末装置100Bの制御部140は、無線通信部120に、パイロット信号を送信させる。そして、端末装置100Aの無線通信部120は、当該パイロット信号を受信し、端末装置100Aの制御部140は、パイロット信号についての測定を行う。
ステップS523で、端末装置100Bは、無線通信部120を介して、パイロット信号についての測定結果を基地局200Bに報告する。
また、ステップS525で、端末装置100Aは、無線通信部120を介して、パイロット信号についての測定結果を基地局200Aに報告する。
ステップS527で、基地局200A及び基地局200Bは、報告された測定結果に基づいて、D2D通信を許可するかを判定する。例えば、基地局200A及び基地局200Bは、D2D通信の通信品質が所定の品質要件を満たす場合に、D2D通信を許可すると判定する。
また、ステップS529で、基地局200Aは、端末装置100Aに、D2D通信の許可を通知する。また、ステップS531で、基地局200Bは、端末装置100Bに、D2D通信の許可を通知する。その後、端末装置100Aと端末装置100Bとの間でのD2D通信が開始される。
以上、本実施形態の変形例に係る通信制御処理の第1の例を説明した。なお、上述したD2D送信タイミングの第3の例が用いられる場合には、基地局200Aは、ステップS511よりも前に、セル21Bにおける端末装置100BのTA値を端末装置100Aに通知する。また、基地局200Bは、ステップS513よりも前に、セル21Aにおける端末装置100AのTA値を端末装置100Bに通知する。
−セル間同期がない場合
図24は、本実施形態の変形例に係る通信制御処理の概略的な流れの第2の例を示すシーケンス図である。ここでは、図23に示される通信制御処理の概略的な流れの第1の例と、図24に示される通信制御処理の概略的な流れの第2の例との差分である、ステップS551、S553、S555、S557及びS559のみを説明する。
ステップS551で、基地局200Aは、端末装置100Aに、セル21Aとセル21Bとが同期しているか否かを示すセル間同期情報を送信する。この例では、セル間同期情報は、セル21Aとセル21Bとが同期していないことを示す。これにより、端末装置100Aは、セル21Aとセル21Bとが同期していないことを知る。この例では、セル間の同期情報がステップS551で取得されているが、セル間の同期情報の取得は、この例に限られない。セル間の同期情報は、システム情報によって端末装置100に予め通知されてもよく、又は、基地局200から端末装置100へのシグナリングにより予め別途通知されてもよい。また、システムにおける全セル又は一部のセルが同期している場合に、セル間の同期の有無に関する情報が、端末装置100に記憶されてもよい。
ステップS553で、端末装置100A及び基地局200Bは、ランダムアクセスの手続きを行う。当該ランダムアクセスの手続きの中で、端末装置100Aの制御部140は、無線通信部120に、ランダムアクセスリクエストを送信させる。また、基地局200Bは、当該ランダムアクセスリクエストに応じて、ランダムアクセスレスポンスを送信する。基地局200Bは、当該ランダムアクセスレスポンスにおいて、端末装置100AのTA値を端末装置100Aに通知する。当該TA値は、セル21Bにおける端末装置100AのTA値である。
ステップS555で、端末装置100B及び基地局200Aは、ランダムアクセスの手続きを行う。当該ランダムアクセスの手続きの中で、端末装置100Bの制御部140は、無線通信部120に、ランダムアクセスリクエストを送信させる。また、基地局200Aは、当該ランダムアクセスリクエストに応じて、ランダムアクセスレスポンスを送信する。基地局200Aは、当該ランダムアクセスレスポンスにおいて、端末装置100BのTA値を端末装置100Bに通知する。当該TA値は、セル21Aにおける端末装置100BのTA値である。
ステップS557で、端末装置100Aの送信タイミング決定部143は、セル21Bにおける端末装置100Aのダウンリンク受信タイミングと、ランダムアクセス手続きで取得したTA値(セル21Bにおける端末装置100AのTA値)とに基づいて、D2D送信タイミングを決定する。例えば、上述したD2D送信タイミングの第1の例のように、ダウンリンク受信タイミング及びTA値から算出される、基地局200Bのダウンリンク送信タイミングが、端末装置100AのD2D送信タイミングとして決定される。
また、ステップS559で、端末装置100Bの送信タイミング決定部143は、セル21Aにおける端末装置100Bのダウンリンク受信タイミングと、ランダムアクセス手続きで取得したTA値(セル21Aにおける端末装置100BのTA値)とに基づいて、D2D送信タイミングを決定する。例えば、上述したD2D送信タイミングの第1の例のように、ダウンリンク受信タイミング及びTA値から算出される、基地局200Aのダウンリンク送信タイミングが、端末装置100BのD2D送信タイミングとして決定される。
以上、本実施形態の変形例に係る通信制御処理の第2の例を説明した。なお、上述したD2D送信タイミングの第3の例が用いられる場合には、基地局200Aは、ステップS557よりも前に、セル21Bにおける端末装置100BのTA値を端末装置100Aに通知する。また、基地局200Bは、ステップS559よりも前に、セル21Aにおける端末装置100AのTA値を端末装置100Bに通知する。
<<6.応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、端末装置100は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末、携帯型/ドングル型のモバイルルータ若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、端末装置100は、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、端末装置100は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
また、例えば、基地局200は、マクロeNB又はスモールeNBなどのいずれかの種類のeNB(evolved Node B)として実現されてもよい。スモールeNBは、ピコeNB、マイクロeNB又はホーム(フェムト)eNBなどの、マクロセルよりも小さいセルをカバーするeNBであってよい。その代わりに、基地局200は、NodeB又はBTS(Base Transceiver Station)などの他の種類の基地局として実現されてもよい。基地局200は、無線通信を制御する本体(基地局装置ともいう)と、本体とは別の場所に配置される1つ以上のRRH(Remote Radio Head)とを含んでもよい。また、上述した様々な種類の端末が一時的に又は半永続的に基地局機能を実行することにより、基地局200として動作してもよい。
<6.1.端末装置に関する応用例>
(第1の応用例)
図25は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912、1つ以上のアンテナスイッチ915、1つ以上のアンテナ916、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM及びROMを含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース912は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース912は、典型的には、BBプロセッサ913及びRF回路914などを含み得る。BBプロセッサ913は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路914は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ916を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース912は、BBプロセッサ913及びRF回路914を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース912は、図25に示したように複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含んでもよい。なお、図25には無線通信インタフェース912が複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含む例を示したが、無線通信インタフェース912は単一のBBプロセッサ913又は単一のRF回路914を含んでもよい。
さらに、無線通信インタフェース912は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN(Local Area Network)方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ913及びRF回路914を含んでもよい。
アンテナスイッチ915の各々は、無線通信インタフェース912に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ916の接続先を切り替える。
アンテナ916の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース912による無線信号の送受信のために使用される。スマートフォン900は、図25に示したように複数のアンテナ916を有してもよい。なお、図25にはスマートフォン900が複数のアンテナ916を有する例を示したが、スマートフォン900は単一のアンテナ916を有してもよい。
さらに、スマートフォン900は、無線通信方式ごとにアンテナ916を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ915は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図25に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
図25に示したスマートフォン900において、図11を用いて説明した情報取得部141及び送信タイミング決定部143は、無線通信インタフェース912において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。
(第2の応用例)
図26は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、1つ以上のアンテナスイッチ936、1つ以上のアンテナ937及びバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、典型的には、BBプロセッサ934及びRF回路935などを含み得る。BBプロセッサ934は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路935は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ937を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース933は、BBプロセッサ934及びRF回路935を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、図26に示したように複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含んでもよい。なお、図26には無線通信インタフェース933が複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含む例を示したが、無線通信インタフェース933は単一のBBプロセッサ934又は単一のRF回路935を含んでもよい。
さらに、無線通信インタフェース933は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ934及びRF回路935を含んでもよい。
アンテナスイッチ936の各々は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ937の接続先を切り替える。
アンテナ937の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送受信のために使用される。カーナビゲーション装置920は、図26に示したように複数のアンテナ937を有してもよい。なお、図26にはカーナビゲーション装置920が複数のアンテナ937を有する例を示したが、カーナビゲーション装置920は単一のアンテナ937を有してもよい。
さらに、カーナビゲーション装置920は、無線通信方式ごとにアンテナ937を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ936は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図26に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
図26に示したカーナビゲーション装置920において、図11を用いて説明した情報取得部141及び送信タイミング決定部143は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
<6.2.基地局に関する応用例>
(第1の応用例)
図27は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第1の例を示すブロック図である。eNB800は、1つ以上のアンテナ810、及び基地局装置820を有する。各アンテナ810及び基地局装置820は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。
アンテナ810の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、基地局装置820による無線信号の送受信のために使用される。eNB800は、図27に示したように複数のアンテナ810を有し、複数のアンテナ810は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図27にはeNB800が複数のアンテナ810を有する例を示したが、eNB800は単一のアンテナ810を有してもよい。
基地局装置820は、コントローラ821、メモリ822、ネットワークインタフェース823及び無線通信インタフェース825を備える。
コントローラ821は、例えばCPU又はDSPであってよく、基地局装置820の上位レイヤの様々な機能を動作させる。例えば、コントローラ821は、無線通信インタフェース825により処理された信号内のデータからデータパケットを生成し、生成したパケットをネットワークインタフェース823を介して転送する。コントローラ821は、複数のベースバンドプロセッサからのデータをバンドリングすることによりバンドルドパケットを生成し、生成したバンドルドパケットを転送してもよい。また、コントローラ821は、無線リソース管理(Radio Resource Control)、無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、移動性管理(Mobility Management)、流入制御(Admission Control)又はスケジューリング(Scheduling)などの制御を実行する論理的な機能を有してもよい。また、当該制御は、周辺のeNB又はコアネットワークノードと連携して実行されてもよい。メモリ822は、RAM及びROMを含み、コントローラ821により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、送信電力データ及びスケジューリングデータなど)を記憶する。
ネットワークインタフェース823は、基地局装置820をコアネットワーク824に接続するための通信インタフェースである。コントローラ821は、ネットワークインタフェース823を介して、コアネットワークノード又は他のeNBと通信してもよい。その場合に、eNB800と、コアネットワークノード又は他のeNBとは、論理的なインタフェース(例えば、S1インタフェース又はX2インタフェース)により互いに接続されてもよい。ネットワークインタフェース823は、有線通信インタフェースであってもよく、又は無線バックホールのための無線通信インタフェースであってもよい。ネットワークインタフェース823が無線通信インタフェースである場合、ネットワークインタフェース823は、無線通信インタフェース825により使用される周波数帯域よりもより高い周波数帯域を無線通信に使用してもよい。
無線通信インタフェース825は、LTE(Long Term Evolution)又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、アンテナ810を介して、eNB800のセル内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース825は、典型的には、ベースバンド(BB)プロセッサ826及びRF回路827などを含み得る。BBプロセッサ826は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、各レイヤ(例えば、L1、MAC(Medium Access Control)、RLC(Radio Link Control)及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol))の様々な信号処理を実行する。BBプロセッサ826は、コントローラ821の代わりに、上述した論理的な機能の一部又は全部を有してもよい。BBプロセッサ826は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を含むモジュールであってもよく、BBプロセッサ826の機能は、上記プログラムのアップデートにより変更可能であってもよい。また、上記モジュールは、基地局装置820のスロットに挿入されるカード若しくはブレードであってもよく、又は上記カード若しくは上記ブレードに搭載されるチップであってもよい。一方、RF回路827は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ810を介して無線信号を送受信する。
無線通信インタフェース825は、図27に示したように複数のBBプロセッサ826を含み、複数のBBプロセッサ826は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。また、無線通信インタフェース825は、図27に示したように複数のRF回路827を含み、複数のRF回路827は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図27には無線通信インタフェース825が複数のBBプロセッサ826及び複数のRF回路827を含む例を示したが、無線通信インタフェース825は単一のBBプロセッサ826又は単一のRF回路827を含んでもよい。
(第2の応用例)
図28は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第2の例を示すブロック図である。eNB830は、1つ以上のアンテナ840、基地局装置850、及びRRH860を有する。各アンテナ840及びRRH860は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。また、基地局装置850及びRRH860は、光ファイバケーブルなどの高速回線で互いに接続され得る。
アンテナ840の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、RRH860による無線信号の送受信のために使用される。eNB830は、図28に示したように複数のアンテナ840を有し、複数のアンテナ840は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図28にはeNB830が複数のアンテナ840を有する例を示したが、eNB830は単一のアンテナ840を有してもよい。
基地局装置850は、コントローラ851、メモリ852、ネットワークインタフェース853、無線通信インタフェース855及び接続インタフェース857を備える。コントローラ851、メモリ852及びネットワークインタフェース853は、図27を参照して説明したコントローラ821、メモリ822及びネットワークインタフェース823と同様のものである。
無線通信インタフェース855は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、RRH860及びアンテナ840を介して、RRH860に対応するセクタ内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース855は、典型的には、BBプロセッサ856などを含み得る。BBプロセッサ856は、接続インタフェース857を介してRRH860のRF回路864と接続されることを除き、図27を参照して説明したBBプロセッサ826と同様のものである。無線通信インタフェース855は、図28に示したように複数のBBプロセッサ856を含み、複数のBBプロセッサ856は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図28には無線通信インタフェース855が複数のBBプロセッサ856を含む例を示したが、無線通信インタフェース855は単一のBBプロセッサ856を含んでもよい。
接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)をRRH860と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)とRRH860とを接続する上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
また、RRH860は、接続インタフェース861及び無線通信インタフェース863を備える。
接続インタフェース861は、RRH860(無線通信インタフェース863)を基地局装置850と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース861は、上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
無線通信インタフェース863は、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、典型的には、RF回路864などを含み得る。RF回路864は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、図28に示したように複数のRF回路864を含み、複数のRF回路864は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図28には無線通信インタフェース863が複数のRF回路864を含む例を示したが、無線通信インタフェース863は単一のRF回路864を含んでもよい。
なお、端末装置100が自装置のD2D送信タイミングを決定する例を説明したが、基地局200が、端末装置100の代わりに、端末装置100のD2D送信タイミングを決定し、当該送信タイミングを端末装置100に通知してもよい。即ち、図11を用いて説明した情報取得部141及び送信タイミング決定部143は、端末装置100により備えられる代わりに、基地局200により備えられてもよい。この場合に、図27及び図28に示したeNB800及びeNB830において、図11を用いて説明した情報取得部141及び送信タイミング決定部143は、無線通信インタフェース825並びに無線通信インタフェース855及び/又は無線通信インタフェース863において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、コントローラ821及びコントローラ851において実装されてもよい。
<<7.まとめ>>
ここまで、図1〜図24を用いて、本開示の実施形態に係る通信装置及び各処理を説明した。本開示に係る実施形態によれば、端末装置100又は別の端末装置100と無線通信する基地局200からのダウンリンク信号を端末装置100が受信するための受信タイミング(即ち、ダウンリンク受信タイミング)が、取得される。また、取得された上記受信タイミングに基づいて、D2D通信で端末装置100が別の端末装置100へ送信するための送信タイミング(即ち、D2D送信タイミング)が決定される。そして、決定される上記D2D送信タイミングは、アップリンク信号を端末装置100が送信するためのタイミング(即ち、アップリンク送信タイミング)よりも後のタイミングである。
D2D通信の送信側装置のD2D送信タイミングが、アップリンク送信タイミングと同じである場合には、D2D通信信号は、D2D通信の受信側装置のダウンリンク受信タイミングよりもかなり早く当該受信側装置に到達してしまう。そのため、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離によっては、D2D通信信号のうちのCP以外の部分も復調されなくなる可能性がある。
一方、本実施形態のように、D2D送信タイミングがアップリンク送信タイミングよりも後のタイミングであれば、相手側のD2D受信タイミングとダウンリンク受信タイミングとがより近くなる。よって、D2D通信信号が適切に受信される可能性が高くなる。換言すると、D2D通信信号の適切な受信のための制約(例えば、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離)を緩めることが可能になる。その結果、オフローディングをより効果的に行うことが可能になり、システム容量の増加に大きく貢献し得る。
また、例えば、アップリンク信号を端末装置100が送信するためのタイミング(即ち、アップリンク送信タイミング)を決定するためのTA情報が、さらに取得される。そして、D2D送信タイミングの第1の例として、端末装置100のダウンリンク受信タイミング及び端末装置100のTA情報に基づいて、D2D送信タイミングが決定される。
TA情報(例えば、TA値)は、ランダムアクセスの際に端末装置100に通知される既存のパラメータであるので、基地局200が新たな制御信号を送信する必要がない。
また、例えば、決定されるD2D送信タイミングは、ダウンリンク受信タイミングよりも前のタイミングである。
これにより、D2D送信タイミングが遅すぎることに起因して、相手側装置でD2D通信信号が実際に受信される期間が、相手側装置がダウンリンク信号を受信するための期間に収まらなくなることを、回避することができる。
また、例えば、決定されるD2D送信タイミングは、ダウンリンク信号を基地局200が送信するためのタイミング(以下、「ダウンリンク送信タイミング」と呼ぶ)以降のタイミングである。例えば、当該ダウンリンク送信タイミングは、ダウンリンク受信タイミングに対して、端末装置100のTA情報に対応する時間の半分の時間だけ先行するタイミングである。
これにより、D2D送信タイミングは、基地局のダウンリンク送信タイミング以降になる。相手側装置のダウンリンク受信タイミングは、少なくとも上記ダウンリンク送信タイミングよりも後であるので、相手側のD2D送信タイミングとダウンリンク受信タイミングとがさらに近くなる。よって、D2D通信信号が適切に受信される可能性がより高くなる。換言すると、D2D通信信号の適切な受信のための制約(例えば、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離)を緩めることが可能になる。
また、具体的な一例として、決定されるD2D送信タイミングは、ダウンリンク信号を基地局200が送信するためのタイミング(即ち、ダウンリンク送信タイミング)である。
これにより、端末装置100間でD2D送信タイミングがほぼ一定になる。即ち、セル21内での各端末装置100の位置、D2D通信に用いられる周波数帯域、複信方式(例えば、FDD方式又はTDD方式)によらず、端末装置100によるD2D送信タイミングのばらつきが小さくなる。
また、D2D送信タイミングの第2の例として、決定されるD2D送信タイミングは、ダウンリンク信号を端末装置100が受信するための受信タイミング(即ち、ダウンリンク受信タイミング)である。
一般的に、D2D通信を行う端末装置100(例えば、端末装置100A及び端末装置100B)は、近くに位置する。即ち、当該端末装置100間の距離は小さい。そのため、D2D通信の送信側装置のダウンリンク受信タイミングと、受信側のダウンリンク受信タイミングとの間の差は、小さい。さらに、D2D通信において送信側装置から受信側装置までの伝搬遅延は小さい。よって、D2D通信の送信側装置(例えば、端末装置100A)が、自らのダウンリンク受信タイミングでD2D通信信号を送信すれば、受信側装置(例えば、端末装置100B)は、自らのダウンリンク受信タイミングに近いタイミングで、D2D通信信号を受信できる。よって、D2D通信信号が適切に受信される可能性が高くなる。換言すると、D2D通信信号の適切な受信のための制約(例えば、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離)を緩めることが可能になる。
また、この場合には、受信タイミング以外の情報は不要である。よって、TA値を未だ取得していない場合(例えば、端末装置100が、ランダムアクセを行なっておらず、アイドル状態である場合)であっても、端末装置100は、適切なD2D送信タイミングでD2D通信信号を送信することが可能になる。
また、D2D送信タイミングの第3の例として、アップリンク信号を別の端末装置100が送信するためのタイミング(即ち、別の端末装置100のアップリンク送信タイミング)を決定するためのTA情報が、さらに取得される。端末装置100のダウンリンク受信タイミング、端末装置100のTA情報、及び別の端末装置100のTA情報に基づいて、D2D送信タイミングが、決定される。
さらに具体的には、例えば、決定されるD2D送信タイミングは、基地局200からのダウンリンク信号を別の端末装置100(即ち、D2D通信の受信側端末装置)が受信するためのタイミング(即ち、別の端末装置100のダウンリンク受信タイミング)である。例えば、別の端末装置100の当該ダウンリンク受信タイミングは、ダウンリンク信号を基地局200が送信するためのタイミング(即ち、ダウンリンク送信タイミング)に対して、上記別の端末装置100の上記TA情報に対応する時間の半分の時間だけ遅れたタイミングである。
一般的に、D2D通信を行う端末装置100(例えば、端末装置100A及び端末装置100B)は、近くに位置する。即ち、当該端末装置100間の距離は小さい。そのため、D2D通信において送信側装置から受信側装置までの伝搬遅延は小さい。よって、D2D通信の送信側装置(例えば、端末装置100A)が、受信側装置(例えば、端末装置100B)のダウンリンク受信タイミングでD2D通信信号を送信すれば、当該受信側装置は、自らのダウンリンク受信タイミングに近いタイミングで、D2D通信信号を受信できる。よって、D2D通信信号が適切に受信される可能性が高くなる。換言すると、D2D通信信号の適切な受信のための制約(例えば、基地局200と受信側装置及び送信側装置との間の距離、並びに、受信側装置と送信側装置との間の距離)を緩めることが可能になる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態を説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、端末装置が自装置のD2D送信タイミングを決定する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、応用例においても説明したように、基地局の一部を構成する装置が端末装置のD2D送信タイミングを決定してもよい。例えば、説明された例では端末装置に備えられる情報取得部及び送信タイミング決定部は、基地局(又は、その一部を構成する上記装置)に備えられてもよい。そして、基地局が、端末装置にD2D送信タイミングを通知してもよい。
また、本明細書の通信制御処理における処理ステップは、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、津新制御処理における処理ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。
また、通信制御装置(例えば、端末装置)に内蔵されるCPU、ROM及びRAM等のハードウェアに、上記通信制御装置の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
第1の無線通信装置又は第2の無線通信装置と無線通信する基地局からのダウンリンク信号を前記第2の無線通信装置が受信するための受信タイミングを取得する取得部と、
前記受信タイミングに基づいて、装置間通信で前記第2の無線通信装置が前記第1の無線通信装置へ送信するための送信タイミングを決定する決定部と、
を備え、
決定される前記送信タイミングは、アップリンク信号を前記第2の無線通信装置が送信するためのタイミングよりも後のタイミングである、
通信制御装置。
(2)
前記取得部は、アップリンク信号を前記第2の無線通信装置が送信するための前記タイミングを決定するための第1のタイミングアドバンス情報をさらに取得し、
前記決定部は、前記受信タイミング及び前記前記第1のタイミングアドバンス情報に基づいて、前記送信タイミングを決定する、
前記(1)に記載の通信制御装置。
(3)
決定される前記送信タイミングは、前記受信タイミングよりも前のタイミングである、前記(2)に記載の通信制御装置。
(4)
決定される前記送信タイミングは、ダウンリンク信号を前記基地局が送信するためのタイミング以降のタイミングである、前記(2)又は(3)に記載の通信制御装置。
(5)
決定される前記送信タイミングは、ダウンリンク信号を前記基地局が送信するためのタイミングである、前記(4)に記載の通信制御装置。
(6)
ダウンリンク信号を前記基地局が送信するための前記タイミングは、前記受信タイミングに対して、前記第1のタイミングアドバンス情報に対応する時間の半分の時間だけ先行するタイミングである、前記(4)又は(5)に記載の通信制御装置。
(7)
決定される前記送信タイミングは、前記受信タイミングである、前記(1)に記載の通信制御装置。
(8)
前記取得部は、アップリンク信号を前記第1の無線通信装置が送信するためのタイミングを決定するための第2のタイミングアドバンス情報をさらに取得し、
前記決定部は、前記受信タイミング、前記第1のタイミングアドバンス情報及び前記前記第2のタイミングアドバンス情報に基づいて、前記送信タイミングを決定する、
前記(2)に記載の通信制御装置。
(9)
決定される前記送信タイミングは、前記基地局からのダウンリンク信号を前記第1の無線通信装置が受信するためのタイミングである、前記(8)に記載の通信制御装置。
(10)
前記ダウンリンク信号を前記第1の無線通信装置が受信するための前記タイミングは、ダウンリンク信号を前記基地局が送信するためのタイミングに対して、前記第2のタイミングアドバンス情報に対応する時間の半分の時間だけ遅れたタイミングである、前記(9)に記載の通信制御装置。
(11)
前記第1の無線通信装置及び前記第2の無線通信装置は、同一のセルに位置し、
前記基地局は、前記同一のセルの基地局である、
前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(12)
前記第1の無線通信装置は、第1のセルに位置し、
前記第2の無線通信装置は、第1のセルと異なる第2のセルに位置し、
前記基地局は、前記第1のセル又は前記第2のセルのいずれか一方の基地局である、
前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(13)
前記第1の無線通信装置及び前記第2の無線通信装置は、装置間通信において、所定の無線通信方式に従って信号を送信し、当該所定の無線通信方式に従って信号を受信する、前記(1)〜(12)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(14)
前記所定の無線通信方式は、ダウンリンク信号の送信のために基地局により用いられる無線通信方式である、前記(13)に記載の通信制御装置。
(15)
前記所定の無線通信方式は、直交周波数分割多重方式である、前記(14)に記載の通信制御装置。
(16)
前記通信制御装置は、前記第2の無線通信装置である、前記(1)〜(15)のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(17)
前記通信制御装置は、前記基地局の一部を構成する装置である、前記(1)〜(15)のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(18)
コンピュータを、
第1の無線通信装置又は第2の無線通信装置と無線通信する基地局からのダウンリンク信号を前記第2の無線通信装置が受信するための受信タイミングを取得する取得部と、
前記受信タイミングに基づいて、装置間通信で前記第2の無線通信装置が前記第1の無線通信装置へ送信するための送信タイミングを決定する決定部と、
として機能させ、
決定される前記送信タイミングは、アップリンク信号を前記第2の無線通信装置が送信するためのタイミングよりも後のタイミングである、
プログラム。
(19)
第1の無線通信装置又は第2の無線通信装置と無線通信する基地局からのダウンリンク信号を前記第2の無線通信装置が受信するための受信タイミングを取得することと、
前記受信タイミングに基づいて、装置間通信で前記第2の無線通信装置が前記第1の無線通信装置へ送信するための送信タイミングを決定することと、
を含み、
決定される前記送信タイミングは、アップリンク信号を前記第2の無線通信装置が送信するためのタイミングよりも後のタイミングである、
通信制御方法。