以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における撮像装置12の構成例を示すブロック図である。図1において、固体撮像素子1は、例えばCMOS撮像素子であり、不図示の撮影レンズで結像された被写体像を光電変換する。固体撮像素子1は、本実施形態に示す例では、1画素単位において1つのフォトダイオード(PD)と2つの転送トランジスタと2つのフローティングディフュージョン(FD)とを有する。固体撮像素子1は、撮影画像及びTOF(Time Of Flight)方式における距離情報となる画素信号の出力を行う。
アナログフロントエンド部(AFE:Analog Front End)2は、固体撮像素子1からの信号の増幅や基準レベルの調整(クランプ処理)等を行う信号処理回路である。また、AFE2は、各種処理を施したアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタルフロントエンド部(DFE:Digital Front End)3は、AFE2で変換された各画素のデジタル信号を受けて画像信号の補正や画素の並び替え等のデジタル処理等を行う。
画像処理回路5は、現像処理を行って表示回路8に画像を表示したり、制御回路6を介して画像を記録媒体9に記録したりする、といった処理を行う。画像処理回路5は、TOF方式による画素信号からの距離演算処理や、固体撮像素子1の欠陥画素についての画素信号の補間処理も行う。制御回路6は、撮像装置12が有する各機能部を制御する。制御回路6は、例えば、操作部7からの指示やメモリ回路4に記憶されている情報に基づきタイミング発生回路10に命令を送る。また、制御回路6は、例えば、TOF方式による測距動作時に駆動される投光回路11の制御等を行う。
メモリ回路4は、画像処理回路5の現像段階での作業用メモリとして、及び連続撮影等で撮影画像を保持するバッファメモリとして使用される。また、メモリ回路4は、製造工場等にて予め抽出された固体撮像素子1の欠陥画素のアドレス及び欠陥レベル等の欠陥画素データが保存されている。なお、後述する通常の撮影動作を行う画像撮影モードにおいて参照される行の選択データについても、メモリ回路4に保存されている。
操作部7は、撮像装置12を起動させるための電源スイッチや撮像動作を行わせるためのシャッタースイッチ等が含まれる。シャッタースイッチは、測光処理や測距処理等の撮影準備動作の開始やミラー、シャッターを駆動して固体撮像素子1から読み出した信号を処理して記録媒体9に書き込む一連の撮像動作の開始を指示するスイッチである。また、操作部7は、撮像装置12の動作モードの設定を行うモードスイッチも含まれ、モードスイッチの設定により、TOF方式による測距動作を行うTOF測距モードや通常の撮影動作を行う画像撮影モードの設定及び切り換えが行われる。
タイミング発生回路10は、制御回路6からの信号を受けて、固体撮像素子1及びAFE2を駆動する各制御信号についてタイミングの生成及び出力を行う。投光回路11は、制御回路6からの制御信号Plightを受けて、TOF方式による測距動作時に不図示の被写体に向けて投光される光源の点灯及び消灯を行う。
図2は、本実施形態における固体撮像素子1の画素部における単位画素100の構成例を示す回路図である。図2に示す例では、光電変換部として光信号電荷を発生するフォトダイオード101は、アノードが接地されている。フォトダイオード101のカソードは、転送スイッチとしての2つの転送トランジスタ102、103を介して、浮遊拡散領域としての2つのフローティングディフュージョン(FD)106、107に接続されている。すなわち、フォトダイオード101のカソードは、転送トランジスタ102を介してFD106に接続され、また、転送トランジスタ103を介してFD107に接続されている。
このような構成により、1つのフォトダイオード(光電変換部)にて発生した電荷が、2つの転送トランジスタ(転送スイッチ)を介して2つのFD(浮遊拡散領域)の双方に保持して読み出すことができる。これにより、時系列的な出力の読み出しを可能とさせ、TOF方式による測距動作を実現させている。なお、撮影画像の取得においては、1つの画素からの時系列的な信号の読み出しは不要であるため、どちらか一方の転送トランジスタ及びFDを介して電荷を出力として読み出せば良い。
FD106、107は、電荷保持部及び電荷電圧変換部として機能し、それぞれ増幅トランジスタ108、110のゲートに接続されている。また、FD106、107は、FD106、107をリセットするためのリセットトランジスタ104、105が接続されている。すなわち、FD106は、増幅トランジスタ108のゲートに接続されているとともに、リセットトランジスタ104が接続されている。また、FD107は、増幅トランジスタ110のゲートに接続されているとともに、リセットトランジスタ105が接続されている。
リセットトランジスタ104、105のドレイン、及び増幅トランジスタ108、110のドレインには、電源電圧VDDが供給されている。増幅トランジスタ108のソースが選択トランジスタ109に接続され、増幅トランジスタ110のソースが選択トランジスタ111に接続されている。
転送トランジスタ102は、ゲート端子に供給される制御信号PtxAにより駆動され、フォトダイオード101の信号をFD106及び増幅トランジスタ108のゲートに転送する。転送トランジスタ103は、ゲート端子に供給される制御信号PtxBにより駆動され、フォトダイオード101の信号をFD107及び増幅トランジスタ110のゲートに転送する。
リセットトランジスタ104は、ゲート端子に供給される制御信号PresAにより駆動され、FD106及びフォトダイオード101をリセットする。リセットトランジスタ105は、ゲート端子に供給される制御信号PresBにより駆動され、FD107及びフォトダイオード101をリセットする。このリセット後に読み出される出力信号がノイズ信号として読み出されることになる。
選択トランジスタ109は、ゲート端子に供給される制御信号PselAにより駆動され、接続される増幅トランジスタ108によって増幅された電圧信号を端子VoutAへ出力する。選択トランジスタ111は、ゲート端子に供給される制御信号PselBにより駆動され、接続される増幅トランジスタ110によって増幅された電圧信号を端子VoutBへ出力する。
端子VoutA、VoutBは、各単位画素の同一列において、後述する図3に示す各々の垂直出力線(列出力線)Vla、Vlbに接続される。端子VoutA側では、増幅トランジスタ108が、選択トランジスタ109を介して、垂直出力線Vlaに接続された電流源負荷(垂直出力線負荷)と接続されることで、ソースフォロワアンプとして機能する。また、端子VoutB側では、増幅トランジスタ110が、選択トランジスタ111を介して、垂直出力線Vlbに接続された電流源負荷(垂直出力線負荷)と接続されることで、ソースフォロワアンプとして機能する。
図3は、本実施形態における固体撮像素子1の構成例を示す図である。画素部300は、入射光を電気信号に変換する複数の単位画素100が、行列状に、すなわち水平方向及び垂直方向にそれぞれ所定数繰り返して配置される。画素部300は、図2に示した単位画素を複数有するものであるが、ここでは2行×2列分の画素のみを図示している。
なお、以下の説明においては、水平m列目、垂直n行目における画素について主に説明を行う。なお、図3において、各制御信号名に続く、(n)はn行目の画素に供給される制御信号であることを示し、(n+1)は(n+1)行目の画素に供給される制御信号であることを示す。また、垂直出力線(列出力線)Vla、Vlbに続く、(m)はm列目の画素列に配された垂直出力線であることを示し、(m+1)は(m+1)列目の画素列に配された垂直出力線であることを示す。
垂直走査回路301は、タイミング発生回路10からの信号を受けて、各制御信号PresA、PresB、PtxA、PtxB、Pselを行単位にて順に選択して駆動する。また、垂直走査回路301は、通常の撮影動作を行う画像撮影モード時には、メモリ回路4に記憶されている行の選択データに基づいて出力される制御信号PA/PBに応じて、各行毎に制御信号PtxA又はPtxBの一方のみの出力を行う。また、垂直走査回路301は、TOF方式による測距動作を行うTOF測距モード時には、制御信号PTOFに応じて、タイミングを変えて制御信号PtxA、PtxBの双方を出力する。
各制御信号PresA、PresB、PtxA、PtxB、Pselを供給するための制御信号線は、同じ画素行に配列された各単位画素に共通に接続されており、同一行における画素は同一に選択されることになる。本実施形態においては、制御信号Pselは、単位画素内の制御信号PselA、PselBの端子に共通に供給される構成としているが、制御信号PselA、PselB毎で異なる制御を行う制御信号を設け、各々個別に制御できるようにしてもよい。
m列目に配された各単位画素100の信号出力は、端子VoutAからの出力信号が、電流源負荷である定電流源304aが接続された垂直出力線Vla(m)を介して、読み出し回路315に入力される。また、端子VoutBからの出力信号が、電流源負荷である定電流源304bが接続された垂直出力線Vlb(m)を介して、読み出し回路315に入力される。なお、図3において、読み出し回路315は、画素列mの1列分のみ内部構成を示しているが、水平方向の画素列分の同じ構成の回路を内部に有している。
読み出し回路315において、各単位画素100の端子VoutAからの出力信号は、垂直出力線Vla(m)を介して容量305aに入力され、端子VoutB端子からの出力信号は、垂直出力線Vlb(m)を介して容量305bに入力される。以降、読み出し回路315の説明においては、垂直出力線Vla(m)とVlb(m)が接続される各構成は同様の構成であるため、垂直出力線Vla(m)が接続される回路部分について主に説明を行う。垂直出力線Vlb(m)が接続される回路部分については、以下の説明における各符号の添え字aを添え字bと読み替えれば良い。
オペアンプ306aは、容量305a及び帰還容量308aにより反転増幅アンプを構成しており、基準電圧VC0と画素部から読み出された出力信号との差分を増幅して出力する。クランプトランジスタ307aは、ゲート端子に供給される制御信号Pc0rにより制御され、帰還容量308aの両端をショートすることにより、帰還容量308aのリセット及び後段の保持容量310a、313aのリセットを行う。オペアンプ306aの出力は、制御信号Pcts、Pctnにより駆動される転送トランジスタ309a、312aを介してそれぞれ保持容量310a、313aに保持される。
なお、後述するタイミングチャートに示す駆動により、画素100の端子VoutA側からの出力となるFD106をリセット解除した直後のノイズ信号は保持容量313aに保持され、その後FD106に転送した画素信号は保持容量310aに保持される。また、単位画素100の端子VoutB側からの出力となるFD107をリセット解除した直後のノイズ信号は保持容量313bに保持され、その後FD107に転送した画素信号は保持容量310bに保持される。
水平走査回路303aは、信号phaを出力することで、接続されている転送トランジスタ311a、314aを順次オン/オフ制御する。これにより、各保持容量310a、313aに保持されている画素信号及びノイズ信号が、水平出力線Ps、Pnを介して差動アンプ302へ順次転送され、単位画素100の端子VoutA側からの出力信号が差動アンプ302へ入力される。
水平走査回路303bは、信号phbを出力することで、接続されている転送トランジスタ311b、314bを順次オン/オフ制御する。これにより、各保持容量310b、313bに保持されている画素信号及びノイズ信号が、水平出力線Ps、Pnを介して差動アンプ302へ順次転送され、単位画素100の端子VoutB側からの出力信号が差動アンプ302へ入力される。
差動アンプ302は、それぞれの画素信号とノイズ信号との差分出力を行い、最終出力として画素信号を出力する。差動アンプ302は、最終段読み出し回路に相当する。なお、前述した各保持容量に保持されている画素信号及びノイズ信号を、水平方向の画素列分について差動アンプ302へ順次転送を行うことにより1行分の画素の出力を行うこととなる。
ここで、本実施形態では、水平走査回路303a及び303bは、端子VoutA側からの出力及び端子VoutB側からの出力に対して、画像撮影モード時とTOF測距モード時とで異なる転送トランジスタのオン/オフ制御を行う。水平走査回路303a、303bには、制御信号PA/PB及び制御信号PTOFが供給されている。制御信号PA/PB信号については、水平走査回路303aには直接入力され、水平走査回路303bにはインバータ316を介して入力されている。
制御信号PA/PBは、画像撮影モード時において、水平走査回路303a及び303bの何れか一方の水平走査回路のみの駆動の許可を行う。本実施形態では、画像撮影モード時において、制御信号PA/PBがハイレベルであるとき、水平走査回路303aの駆動を許可し、ローレベルであるとき、水平走査回路303bの駆動を許可する。制御信号PTOFは、TOF測距モード時において、水平走査回路303a、303bともに駆動の許可を行う。本実施形態では、制御信号PTOFは、TOF測距モード時においてハイレベルとされ、TOF測距モード時でないときローレベルとされる。
このような構成により、固体撮像素子1からの最終出力信号は、画像撮影モード時においては、制御信号PtxA又はPtxBにより行選択が行われ駆動された単位画素100の端子VoutA又はVoutBの何れか一方のみからの出力となる。また、TOF測距モード時においては、単位画素100の端子VoutA、VoutBの双方からの出力となる。
図4及び図5は、本実施形態における固体撮像素子の駆動例を示すタイミングチャートであり、通常の撮影動作を行う画像撮影モード時における動作タイミングを示している。画像撮影モードは、各単位画素100の転送トランジスタ102、103の何れか一方の転送トランジスタのみを選択して駆動させるモードである。これにより、画素信号として読み出すまでの経路での回路欠陥等による不具合に対して、行方向における不具合が少ない、つまり画素出力値のバラツキの少ない方を選択し、より画質劣化が低減化された撮影画像を取得可能とするものである。
図4には、制御信号PtxAにより転送トランジスタ102のみを駆動する場合のタイミングチャートを示し、図5には、制御信号PtxB信号により転送トランジスタ103のみを駆動する場合のタイミングチャートを示している。図4及び図5に示す駆動例は、前述した説明の通り、フォトダイオード101から2つの転送トランジスタ102、103の内の何れかの一方の転送トランジスタを介して出力を読み出すものである。
なお、撮像装置の設定として、操作部7の動作モードスイッチにより、通常の被写体撮影を行うための画像撮影モードに設定されているものとする。また、垂直走査回路301には、メモリ回路4にて記憶されている行の選択データに従って制御信号PA/PB及び制御信号PTOFが入力されている。以下の説明では、設定としてn行目の画素において制御信号PtxAが選択され、(n+1)行目の画素においては制御信号PtxBが選択されるものとする。
また、図中において信号レベルがハイレベルの状態で、駆動されるトランジスタ及びスイッチがオン(導通状態)となり、ローレベルの状態で、駆動されるトランジスタ及びスイッチがオフ(非導通状態)となるものとする。また、説明上、簡略化するため、すでに全画素リセット及び全画素蓄積開始を行うタイミングは省略し、画素信号の読み出し動作時のタイミングのみを示している。また、転送トランジスタ102を介してFD106から得られる信号をA信号、転送トランジスタ103を介してFD107から得られる信号をB信号と呼称することとする。
まず、図4に示すタイミングチャートについて説明する。図4は、n行目の画素からの信号読み出しを説明するタイミングチャートであり、制御信号PtxAによる転送トランジスタ102のみの駆動となる。
時刻t0において、制御信号PresA、PresBがハイレベルからローレベルになることで、制御信号PresA、PresBが供給される行の画素のリセットトランジスタ104、105がオフする。これにより、その選択行の単位画素100のFD106、FD107が電源電圧VDDへのリセットから解除される。また、n行目の画素においては、制御信号PtxAによる転送トランジスタ102の駆動が選択されているため、制御信号PA/PBがハイレベルとされ、水平走査回路303aのみ駆動が許可される。
その後、時刻t1にて、制御信号Psel(n)がローレベルからハイレベルになり、n行目における単位画素100の選択トランジスタ109、111をオンさせて、各ソースフォロワアンプの出力が各垂直出力線(列出力線)に接続される。次に、時刻t2にて、制御信号Pc0r信号をハイレベルにすることにより、読み出し回路315の帰還容量308a、308bの両端をショートさせる。また、時刻t3にて、制御信号Pcts、Pctnがともにハイレベルになり、転送トランジスタ309a、309b、312a、312bをオンさせる。このようにして、読み出し回路315の保持容量310a、310b、313a、313b、帰還容量308a、308b、及び容量305a、305bをリセットし、各容量のリセットが完了する。
その後、時刻t4にて、制御信号Pctn、Pctsがローレベルになり、時刻t5にて、制御信号Pc0rがローレベルになることで、前述した各容量のリセットが解除される。時刻t6〜時刻t7にて、制御信号Psel(n)によって選択されたn行目の画素におけるA信号側、B信号側のノイズ信号の出力を保持容量313a、313bに保持するため、制御信号Pctnをパルス状にハイレベルにする。これにより、n行目の画素におけるA信号側のノイズ信号が保持容量313aに保持され、B信号側のノイズ信号が保持容量313bに保持される。
次に、時刻t8〜時刻t9にて、フォトダイオード101にて発生した電荷(画素信号)をA信号側となるFD106又はB信号側となる107に転送するため、制御信号PtxA又はPtxBをパルス状にハイレベルにする。ここでは、n行目の画素においては制御信号PtxAのみが選択されているため、制御信号PtxAのみがパルス状にハイレベルとなり、転送トランジスタ102より画素信号がFD106へ転送される。
次に、時刻t10にて、画素信号を保持容量310a、310bに保持するために制御信号Pctsをハイレベルにする。その後、時刻t11にて、制御信号Pctsをローレベルにすることで、画素信号が保持容量310a、310bに保持される。ここまでの駆動動作により、A信号側の画素信号が保持容量310aに保持され、B信号側の画素信号が310bに保持されることになるが、画像撮影モード時には、制御信号PtxA又はPtxBの一方のみが駆動される。
そのため、制御信号PtxAが選択されている場合には、A信号側の保持容量310aに画素信号が保持され、制御信号PtxBが選択されている場合には、B信号側の保持容量310bに画素信号が保持されることになる。なお、本例ではn行目の画素においては制御信号PtxAが選択されているため、A信号側からの画素信号が保持容量310aに保持される。その後、時刻t12にて、制御信号Psel(n)をローレベルにし、時刻t13にて、制御信号PresA、PresBをハイレベルにすることで、選択行の画素のFD106、107を再びリセットする。
そして、水平走査回路303aにより、制御信号Phaが順次列毎に出力されてA信号側からの画素信号及びノイズ信号が差動アンプ302に入力される。そして、差分アンプ302にて差分処理された出力が、A信号側からの最終出力として順次、撮像素子の外部に出力される。
次に、図5に示すタイミングチャートについて説明する。図5は、(n+1)行目の画素からの信号読み出しを説明するタイミングチャートである。図4に示したn行目においては、制御信号PtxAを選択してA信号側による画素出力としていたが、図5に示す(n+1)行目においては、制御信号PtxBを選択してB信号側からの画素出力を得るものとなる。
図5に示す時刻t14〜時刻t27が、(n+1)行目における信号読み出し動作の駆動タイミングチャートとなる。なお、既にn行目における信号読み出しにおいて説明を行っている重複する部分については説明を割愛する。
図5に示す(n+1)行目における時刻t14〜時刻t21における動作は、図4に示したn行目における時刻t0〜時刻t7における動作に対応する。ただし、制御信号Pselによる選択行が、制御信号Psel(n)から制御信号Psel(n+1)に変わる。また、(n+1)行目においては、制御信号PtxBによる転送トランジスタ103の駆動が選択されているため、制御信号PA/PBがローレベルとされ、水平走査回路303bのみ駆動が許可される。
次に、時刻t22〜時刻t23にて、(n+1)行目の画素においては制御信号PtxBが選択されているため、制御信号PtxBのみがパルス状にハイレベルとなり、転送トランジスタ103より画素信号がFD107へ転送される。次に、時刻t24にて、画素信号を保持容量310a、310bに保持するために制御信号Pctsをハイレベルにし、その後、時刻t25にて、制御信号Pctsをローレベルにする。ここでは保持容量310bに画素信号が保持される。
その後、時刻t26にて、制御信号Psel(n+1)をローレベルにし、時刻t27にて、制御信号PresA、PresBをハイレベルにすることで、選択行の画素のFD106、107を再びリセットする。そして、水平走査回路303bにより、制御信号Phbが順次列毎に出力されてB信号側からの画素信号及びノイズ信号が差動アンプ302に入力される。そして、差分アンプ302にて差分処理された出力が、B信号側からの最終出力として順次、撮像素子の外部に出力される。
以上のようにして、差分処理された出力が(n+1)行における1行分の出力を終了したら、次の行の読み出しを開始する。同様に、撮像素子に配置された行数分について、制御信号PtxA又はPtxBの選択データに基づいて制御信号PA/PBの出力がなされて画素からの信号の読み出しが行われ、撮影画像の出力が終了する。
なお、画像撮影モード時に、垂直走査回路301により選択出力される何れか一方の制御信号PtxA、PtxBは、メモリ回路4に記憶されている予め決められた行毎の選択データを基に制御信号PA/PB及び制御信号PTOFが駆動されて選択がなされる。予め決められた行毎の選択データは、例えば工場製造時等においてデータが作成されている。行毎の選択データは、例えば均一輝度面の撮影画像等から、制御信号PtxAを駆動して取得された画像及び制御信号PtxB信号を駆動して取得された画像において行毎に出力値の標準偏差及び平均値を求める。そして、行毎に求められた出力値の標準偏差及び平均値を比較した結果を基に、よりバラつきが少ない方となる信号を選択するデータとなっている。
平均値による比較は、前後の行との出力値差を比較するものであり、一行全体において出力値が飽和レベルに達していたり、ゼロとなる出力無しや一律のオフセット値が加わっていたりしたとき等の線キズ状態となる明らかな異常状態を排するためである。標準偏差を用いた比較は、例えば1行中において出力値が異常な画素がある場合、その出力値により1行における出力値のバラツキが広がり標準偏差としての値を押し上げるものとなる。よって、標準偏差の値の小さい方を選択することで、バラツキが少ない方を選択すればよい。
前述した行の選択データにより、単位画素からの画素信号の読み出しにおいて、バラつきの少ない好適な経路を選択することで、回路欠陥等の影響の少ない信号を出力可能になり、容易に画質劣化を抑え、良好な撮影画像の取得が可能となる。以上にように画像撮影モードでの撮影動作において、制御信号PtxA又はPtxBによる駆動を、行毎における出力値のバラツキが少なくなるよう予め決められた選択データに基づいて行う。これにより、画素からの出力信号を得るための回路として、バラつきの少ない好適な方を選択することになり、画質劣化が抑制された良好な撮影画像を取得することが可能となる。
図6は、本実施形態における固体撮像素子の他の駆動例を示すタイミングチャートであり、TOF方式による測距動作を行うTOF測距モード時における動作タイミングを示している。撮像装置の設定として、操作部7の動作モードスイッチにより、TOF方式による測距動作を行うためのTOF測距モードに設定されているものとする。TOF測距モードでの動作中は、制御信号PTOF信号がハイレベルとなり、制御信号PA/PBに関わらず、各行とも制御信号PtxA、PtxBの双方による駆動が行われる。
TOF測距モード時においては、撮像装置12内の投光回路11により点灯制御される光源を用い、投光された光に対する被写体からの反射光について、フォトダイオード102にて発生する電荷を時系列で2つのFD106、107に転送する。このように別途の出力値とすることで時刻差での出力差を得ることになり、そこから距離情報を得る。ここで示すタイミングは説明を簡略化するため、画素信号の読み出し動作時のタイミングのみを示している。
時刻t100以前において、制御信号PresA、PresBがハイレベルであり、リセットトランジスタ104、105はオンしている。また、制御信号PtxA、PtxBについてもハイレベルであり、フォトダイオード101及びFD106、107が電源電圧VDDでリセットされている。このようにして、フォトダイオード101のリセットを行うことで、駆動以前に蓄積された光学像や暗電流による電荷がリセットされている。
図6に示す時刻t100〜時刻t105における動作は、図4に示した時刻t0〜時刻t5における動作に対応するため、ここでは説明を割愛する。時刻t106〜時刻t107にて、制御信号Pselによって選択された行の画素におけるFD106、FD107のノイズ信号の出力を保持容量313a、313bに保持するため、制御信号Pctnをパルス状にハイレベルにする。これにより、後に読み出すTOF方式による画素信号に対するノイズ信号が保持容量313a、313bに保持される。
次に、時刻t108にて、フォトダイオード101にて発生した電荷(画素信号)をFD106に転送するため、制御信号PtxAをローレベルからハイレベルにする。次に、時刻t109にて、投光回路11にて被写体に投光される光源を点灯させるため、制御信号Plightがオンされる(ローレベルからハイレベルになる)。
制御信号Plightは、時刻t109〜時刻t111の期間においてオンしており、この期間中は被写体に向けて投光がなされている。また、この間、被写体から反射光がある場合、フォトダイオード101は反射光を受光することになり、被写体までの距離Lは、光速をC、反射光として得られるまで時間をTdとすると、L=Td・C/2で表すことができる。
時刻t110にて、制御信号PtxAをハイレベルからローレベルにし、フォトダイオード101からFD106への電荷(画素信号)の転送を完了させる。ここで、フォトダイオード101より読み出された最初の蓄積電荷がFD106にて保持されることになる。また、さらに、フォトダイオード101にて発生した電荷(画素信号)をFD107に転送するため、制御信号PtxBをローレベルからハイレベルにする。
次に、時刻t111にて、制御信号Plightをオフして(ハイレベルからローレベルにして)、投光回路11にて光源を消灯させる。その後、時刻t112にて、制御信号をハイレベルからローレベルにし、フォトダイオード101からFD107への電荷(画素信号)の転送を完了させる。これにより、フォトダイオード101で新たに発生した電荷が他方のFD107にて保持されることになる。
次に、時刻t113にて、画素信号を保持容量310a、310bに保持するために制御信号Pctsをハイレベルにする。その後、時刻t114にて、制御信号Pctsをローレベルにすることで、画素信号が保持容量310a、310bに保持される。ここで、保持容量310aには、FD106よる最初の蓄積電荷による画素信号が保持され、保持容量310bには、新たに発生した電荷による画素信号が保持されることになる。
その後、時刻t115にて、制御信号Pselをローレベルにし、時刻t116にて、制御信号PresA、PresBをハイレベルにすることで、選択行の画素のFD106、107を再びリセットする。そして、水平走査回路303a、303bにより、制御信号Pha、Phbが交互且つ順次列毎に出力されることで、最初の蓄積電荷及び新たに発生した電荷による画素信号及びノイズ信号が差動アンプ302に入力される。そして、差分アンプ302にて差分処理された出力が順次、撮像素子外部に出力される。この後、読み出された2つの画素信号の比から投射光に対する反射光の遅延時間を算出することで、前述した距離と遅延時間の関係式から、被写体までの距離情報を得られることができる。
図7は、図6に示したタイミングチャートの一部を示すものであり、TOF方式による測距の原理を簡単に説明するための図である。時刻t108にて、制御信号PtxAをハイレベルにして画素の転送トランジスタ102を開け、時刻t110にて、制御信号PtxAをローレベルにして転送トランジスタ102を閉じる。また、時刻t110にて、転送トランジスタ102を閉じるのと同時に、制御信号PtxBをハイレベルにして画素の転送トランジスタ103を開け、時刻t112にて、制御信号PtxBをローレベルにして転送トランジスタ103を閉じる。
ここで、制御信号PtxA、PtxBがハイレベルである期間と一部重複する時刻t109〜時刻t111の期間において、制御信号Plightに応じて投光回路11によってパルス光が投射される。被写体までの距離がゼロであるならば、反射光は制御信号Plightと同時に受光され、制御信号PtxAにより駆動される側と制御信号PtxBにより駆動される側は等しい信号を出力する。しかし、被写体までの距離がゼロでない場合、図7に示すように反射光は(t’109−t109)分の時間だけ遅れて受光される。
その結果、制御信号PtxAにより駆動される側では(t110−t’109)分の信号を受光することになり、制御信号PtxBにより駆動される側では(t’111−t110)分の信号を受光することになり、両者に偏りが生じる。この信号の比から反射光の投射光に対する遅延時間を推定することができ、その遅延時間と光速との積から被写体までの距離を算出することができる。
なお、以上のTOF測距モード時の動作における欠陥画素の扱いについては、取得されたデータの画素のアドレスが欠陥画素情報として記憶されているアドレスと一致する場合、その画素からのデータは採用しない。そして、例えば、公知の欠陥画素に対する周辺画素を用いた補間処理と同様な欠陥画素の周辺画素の距離情報を用いて補間処理が行われる。このような処理によりTOF方式による測距動作時においても欠陥画素による距離情報への影響を緩和することができる。
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。