JP6410307B2 - フレキシブルエアロゲルコンポジット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の表面に形成された通気性のない表皮層とを有する表皮付き連続気泡発泡体において、
前記連続気泡間の連通貫通孔の平均径が10μm以下であり、
前記表皮付き連続気泡発泡体の空隙率が75〜99%であり、
前記連続気泡の内部に、エアロゲルが充填されていることを特徴とするフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
該発泡体層の表面に形成された通気性のない表皮層は、連続気泡発泡体層のすべて全面を意味するだけでなく、該表面の一部を覆うものであってもよい。
本発明(2)は、前記表皮付き連続気泡発泡体が、ノニオン系界面活性剤と熱可塑性エラストマーを含んだ樹脂組成物に、常温常圧で気体である物質を超臨界状態で含浸させた後、圧力を解放して発泡させたことを特徴とする、前記発明(1)に記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
本発明(3)は、前記発泡体層と前記表皮層が、接着又は融着工程を経ずに一体化していることを特徴とする、前記発明(1)又は(2)のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
本発明(4)は、前記表皮付き連続気泡発泡体が、ポリオレフィン系樹脂発泡体であることを特徴とする、前記発明(1)〜(3)のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
本発明(5)は、前記エアロゲルが、シリカを含有するシリカ含有エアロゲルであることを特徴とする、前記発明(1)〜(4)のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
本発明(6)は、前記シリカ含有エアロゲルが、シリコンアルコキシドもしくはその誘導体、の加水分解によるゾルゲル反応から生成されるシリカエアロゲルであることを特徴とする、前記発明(5)に記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
本発明(7)は、常温常圧における熱伝導率が、0.020W/m・K以下であることを特徴とする、前記発明(1)〜(6)のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
本発明(8)は、スコット型揉み試験機を用いた揉み試験前後の粉落ち率が、5%以下であることを特徴とする、前記発明(1)〜(7)のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
本発明(9)は、
連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層に形成された通気性のない表皮層とを有する表皮付き連続気泡発泡体を形成する工程と、
前記表皮付き連続気泡発泡体を密閉容器に収めて、該密閉容器内を真空引きした状態で、シリコンアルコキシドもしくはその誘導体を該密閉容器内に満たし、前記発泡体層の前記連続気泡の露出する厚み方向の断面部から該シリコンアルコキシドもしくはその誘導体を前記連続気泡内部へ導入し、該シリコンアルコキシドもしくはその誘導体の加水分解によるゾルゲル反応により該連続気泡内部にシリカエアロゲルが充填される工程と、を有することを特徴とする、フレキシブルエアロゲルコンポジットの製造方法である。
本発明(10)は、前記表皮付き連続気泡発泡体を形成する工程が、ノニオン系界面活性剤と熱可塑性エラストマーを含んだ樹脂組成物に、常温常圧で気体である物質を超臨界状態で含浸させた後、圧力を解放して発泡させる工程を有することを特徴とする、前記発明(9)に記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットの製造方法である。
本発明(11)は、
前記表皮付き連続気泡発泡体を形成する工程が、押出し成形によって表皮付き連続気泡発泡体シートを形成する工程と、該シートを所定形状に裁断する工程と、を有し、
前記発泡体層と前記表皮層とを接着又は融着する工程を有さないことを特徴とする、前記発明(9)又は(10)に記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットの製造方法である。
<全体の構成>
本発明に係るフレキシブルエアロゲルコンポジットは、連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の表面に形成された通気性のない表皮層とを有する表皮付き連続気泡発泡体において、前記連続気泡間の連通貫通孔の平均径が10μm以下であり、前記表皮付き連続気泡発泡体の空隙率が75〜99%であり、前記連続気泡の内部に、エアロゲルが充填されていることを特徴とするフレキシブルエアロゲルコンポジットである。
〔表皮付き連続気泡発泡体〕
(表皮付き連続気泡発泡体の構成)
本発明に係るフレキシブルエアロゲルコンポジットの基材として用いられる連続気泡発泡体は、連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の表面に形成された通気性のない表皮層とを有する表皮付き連続気泡発泡体であり、連続気泡間の連通貫通孔の平均径が10μm以下である。この表皮付き連続気泡発泡体としては、連続気泡構造の切断面が露出しない表皮層をそなえた連続気泡構造を有する材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリオレフィンとエチレン−プロピレンゴムとアミノ基含有ノニオン系界面活性剤とを含有する組成物に、常温常圧で気体である物質を、高温、高圧下における超臨界状態で含浸した後に、圧力を解放して発泡することで得られる。このアミノ基含有ノニオン系界面活性剤は、代表的にはポリオキシエチレンアルキルアミンまたはその不飽和誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアルキレンジアミンまたはその不飽和誘導体が挙げられ、単独でも混合物として用いてもよい。ポリオキシエチレンアルキルアミンまたはその不飽和誘導体は、5〜15個のオキシエチレン単位からなるポリオキシエチレン(POE)鎖と、アルキル基および/または相当する不飽和炭化水素基とを分子中に有する界面活性剤であり、POEドデシルアミン、POEミリスチルアミン、POEパルミチルアミン、POEステアリルアミン、POEオレイルアミン;およびヤシ油、牛脂のような天然油脂に由来する炭化水素基を有する混合POE炭化水素アミンが例示される。ポリオキシエチレンアルキルアルキレンジアミンまたはその不飽和誘導体としては、POEステアリルプロピレンジアミン、POE牛脂炭化水素プロピレンジアミンが例示される。
また、ポリオレフィンおよびスチレン系熱可塑性エラストマー(ただし、エチレン−プロピレンゴムを除く)とノニオン系界面活性剤とを含有する組成物に、常温常圧で気体である物質を、高温、高圧下における超臨界状態で含浸した後に、圧力を解放して発泡することで得られる。このノニオン系界面活性剤は、アルキルポリエーテルアミン及び脂肪酸グリセリルの中から選ばれた1種または2種の化合物である。
(A)(A1)ポリオレフィン(ただし、エチレン−プロピレンゴムを除く) (A)の50〜95重量%;及び
(A2)エチレン−プロピレンゴム及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマー (A)の5〜50重量%
を含むポリマー組成物に、該ポリマー組成物100重量部あたり、(B)ノニオン系界面
活性剤0.2〜10重量部を含有させて、常温・常圧で気体である物質を、超臨界状態で含浸させた後に、圧力を解放して、発泡させた、連続気泡発泡体である。
本形態で用いられる(A)成分は、(A1)ポリオレフィン(ただし、エチレン−プロピレンゴムを除く)50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは65〜85重量%、及び(A2)エチレン−プロピレンゴム及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマー5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜35重量%を含むポリマー組成物である。(A1)の割合が95重量%を越え、(A2)の割合が5重量%未満では、発泡体が充分な柔軟性を得にくいばかりか、高発泡体を得にくい問題がある。一方、(A1)の割合が50重量%未満で、(A2)の割合が50重量%を越えると、やはり高発泡体を得にくいうえ、得られる発泡体の収縮が大きくなる問題がある。
(B)ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルエーテルなどのアルキルポリエーテル類、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)脂肪酸エステルなどの脂肪酸ポリエーテルエステル類、ジポリオキシエチレン(ジポリオキシプロピレン)アルキルアミン、例えばジ(ジオキシエチレン)ステアリルアミンなど、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)ジアルキルアミン、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルアルキレンジアミンなどのアルキルポリエーテルアミン類、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)ソルビタンエステル、ソルビタンアルキルエステルなどのソルビタンエステル類、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸(ポリ)グリセリル、例えばステアリン酸モノグリセリル、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)脂肪酸グリセリルなどのアルキルグリセリルポリエーテル又はエステル類、脂肪酸(ジ)エタノールアミドなどのアルカノールアミド類や、それら複数の混合物などが挙げられる。上記アルキル、脂肪酸、及びアルキレンの炭素数は、ポリオレフィン系ポリマー組成物との相溶性の点から、10以上の炭素数が好ましく、例えばC12(ラウリル又はラウリレートなど)、C18(ステアリル又はステアレートなど)、C22(ベヘニル又はベヘニレートなど)などが挙げられる。また、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなどのオキシアルキルの繰返し単位数は、1〜20が好ましく、更には10以下である。ポリグリセリルの繰り返し単位数も、1〜20が好ましく、更には10以下である。更には、アルキルポリエーテルアミン、脂肪酸グリセリル、脂肪酸(ジ)エタノールアミドから選ばれた1種又は混合物が好ましく使用でき、またステアリルアルコールなどの高級アルコールなどを添加してもよい。
本発明においては、(A1)、(A2)、(B)成分、及び場合によって任意に配合する成分を、高分子材料の混合に適した混合手段によって混合して、発泡性組成物を調製する。この際、任意に配合する成分として、得られる発泡体に適切な性質を与え、又は発泡体の作製や加工を容易にするために、この発泡性組成物に、使用目的に応じて、流動パラフィン、炭化水素系プロセスオイル、高級脂肪酸グリセリンエステル、高級脂肪酸アミドのような滑剤;リン酸エステル、リン酸メラミン又はリン酸ピペラジン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸亜鉛、塩素化パラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエンのような難燃剤;芳香族アミン類、ベンゾイミダゾール類、ジチオカルバミン酸塩類、フェノール化合物、亜リン酸エステル類のような老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンのような酸化防止剤;導電性カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉、酸化スズのような導電材;カーボンブラック、有機顔料、染料、それらを含有するマスターバッチのような着色剤;ならびにシリカ、アルミナ、酸化チタン及び上記の各種添加剤のうち充填剤の機能を有するもののような充填剤などを配合することができる。
前記発泡性組成物に超臨界状態で含浸させる、常温・常圧で気体である物質としては、この超臨界状態で発泡性組成物中のポリマーに浸透するものであればよく、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、プロパン、ブタンなど、及びそれらの混合ガスが例示され、取扱いが容易で、安全性が高く、作業環境が優れていることから、二酸化炭素及び窒素が好ましく、二酸化炭素が特に好ましい。
本形態においては、下記の条件で、常温・常圧で気体である物質を発泡性組成物中のポリマーに含浸させた後、圧力を解放することで連続気泡となるように発泡させる。圧力を、減少速度を通常10〜30MPa/sで減少させることにより、連続気泡となるように発泡させることができる。発泡工程において連続気泡発泡体が直接に得られるので、後工程で機械的応力により独立気泡を破泡させて連続気泡化させる工程の必要はない。
常温・常圧で気体である物質を発泡性組成物に含浸させる温度は、効率的に機能性の発泡体が得られることから、該物質を超臨界状態にさせる温度であり、示差走査熱量計による測定によって得られた発泡性組成物中のポリマーの結晶化ピーク温度より20〜40℃高い温度であることが、特に好ましい。ここで、超臨界状態とは、気体状態と液体状態との中間の性質を示す状態である。
また、含浸圧力は、含浸が完全に行われ、また微細なセルを得るために、含浸された常温・常圧で気体である物質を超臨界状態にするように、8〜15MPaが好ましく、特にガス抜けしにくくするために、10〜15MPaがより好ましい。
常温・常圧で気体である物質を発泡性組成物に含浸させる時間は、必要な含浸量及び含浸温度・圧力によって異なるが、通常3〜30分、好ましくは5〜20分である。
本形態では発泡性組成物を連続気泡となるように発泡させる際、発泡倍率を10倍以上とすることが好ましい。10倍未満であると、得られる発泡体に優れた柔軟性を付与できない問題が生じる。本発明の発泡体は、さらに柔軟にするために、12倍以上、特に15倍以上の発泡倍率が好ましい。なお、発泡倍率の上限は特に制限されないが、機械強度の点から、100倍以下、好ましくは80倍以下、より好ましくは50倍以下である。
前記の10倍以上の発泡倍率となるような発泡とともに、押出成形で成形して、表皮付き連続気泡発泡体の成形体を得ることができる。押出機としては、単軸タンデム型押出機を用い、場合によっては二軸押出機と組み合わせて用いてもよい。押出成形よって、接着又は融着工程を経ずに、発泡体層と表皮層とが一体化している表皮付き連続気泡発泡体を得ることができる。接着又は融着工程を経ないことから、封止に用いる材料の熱伝導率が影響して、断熱性を低下する恐れがなく、また、工数を増やさないために作業効率が低下しない。
裁断、表皮層の一部除去などを行って、得られた表皮付き連続気泡発泡体を所定のサイズに加工することができる。裁断面には、連続気泡構造の気泡が露出する。この露出した気泡から、エアロゲルの原料溶液が注入含浸され、エアロゲルが充填される。
西華産業販売の細孔径分布測定器(パームポロメータ)を用いて、発泡体の連通貫通孔の平均径を測定する。
表皮付き連続気泡発泡体の空隙率は、発泡後の表皮付き連続気泡発泡体の密度を未発泡の原料樹脂の密度で割り、1からこの除数を引き、百分率とすることによって算出する。密度の測定は、JIS K7222に準拠する。空隙率は、エアロゲルの充填量を増やすために高いほうが好ましい。空隙率が低く発泡体樹脂の空間に占める割合が多いほど、発泡体樹脂の断熱性能に与える影響が大きくなり、断熱性能の低下となる。空隙率は75〜99%であることが好ましく、80〜99%であることが好ましく、85〜99%であることが好ましい。
(エアロゲルの構成)
本形態に係るエアロゲルは、低密度の乾燥ゲルであれば、特に限定されない。超臨界乾燥法を用いて得られたエアロゲルだけでなく、通常の乾燥過程によるキセロゲル、凍結乾燥によるクライオゲルなども含む。
エアロゲルの充填方法としては、公知の方法を用いることができる。
<評価方法>
断熱性能は、熱伝導率を測定することで評価する。測定は、英弘精機株式会社製の熱流束計(HC-072)を用いて、上板温度を15℃とし、下板温度を35℃として熱伝導率を測定する。環境温度は、特にこだわらず常温、常圧とする。試験時に用いるサンプルの厚みは5mm以上とし、5mmに試験サンプル厚みが満たない場合には、試験サンプルを積層して熱伝導率を測定し、断熱性能の評価を実施する。
株式会社東洋精機製作所製スコット型揉み試験機を用いて、揉み試験前後の重量差から脱落したエアロゲルの粉落ち率算出し、粉落ちを評価する。試験の方法は、JIS K6404−6:ゴム引布・プラスチック引布試験方法−第 6 部:もみ試験を参考にする。本願発明では、試験前後の重量変化から粉落ち率を測定する。
具体的には、試験片は10mm×50mm、厚みは任意とし、試験片間隔を20mm、ストローク間隔40mm、圧縮荷重200gfとして1200回(往復速度120回/分)揉んだ前後の試験片重量から粉落ち率を算出する。粉落ち率(%)は(試験前重量(g)−試験後重量(g))/試験前重量(g)×100で計算する。粉落ち率が大きいほど、エアロゲルの脱落が多いことを示す。
本発明に係るフレキシブルエアロゲルコンポジットは、断熱性能が高く、粉落ちが少なく、柔軟性に優れている。
本発明に係るフレキシブルエアロゲルコンポジットは、断熱性能が高く、粉落ちが少なく、柔軟性、形状追従性に優れていることから、プラント配管に巻きつけて使用する断熱材、熱電素子に貼り付けて熱の拡散を防ぎ発電効果をあげる断熱材、各種電池の筐体等に断熱材を組付け電池性能を安定させる断熱材および各種車両で生じる廃熱を利用するための装置に用いられる断熱材への使用が見込まれれる。
ランダム型ポリプロピレン53重量部に低密度ポリエチレン10重量部、EPDM(エチレン含量29.5%、ジエン含量5%)30重量部、ポリオキシエチレンステアリルアミン1.5重量部、湿式シリカ5重量部、フェノール系酸化防止剤0.2重量部とを、溶融混練させ、超臨界状態で二酸化炭素を含浸させた後、圧力を解放して発泡させて、押出し成形によって表皮付き連続気泡発泡体が得られた。
ランダム型ポリプロピレン53重量部に低密度ポリエチレン10重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)30重量部、ポリオキシエチレンステアリルアミン1.5重量部、湿式シリカ5重量部、フェノール系酸化防止剤0.2重量部とを、溶融混練させ、超臨界状態で二酸化炭素を含浸させた後、圧力を解放させて得られる表皮付連続気泡発泡体(厚み2mm)を得た。その後、実施例1と同様の工程を行い、フレキシブルエアロゲルコンポジットを得た。
連続気泡発泡体の表皮層をスライス加工して除し連続気泡構造を表面に露出させた。発泡体厚みを1.0mmとした以外は、実施例1と同じである。
除膜加工した軟質スラブストックポリウレタン樹脂発泡体{ブリヂストン社製のポリウレタン(エバーライトSF HR30)}を担持体として、実施例1と同じ方法でシリカエアロゲルのゾルゲル転移を行い、シリカエアロゲルを発泡体内に内包したポリウレタンフォームを用いた断熱シートを得た。ポリウレタンフォームの連通貫通孔の平均径は、約1000μmである。ポリウレタンフォームの空隙率は、96%である。
ストライダー社製のメラミンフォームを担持体として実施例1と同じ方法でシリカエアロゲルのゾルゲル転移を行い、シリカエアロゲルを発泡体内に内包したメラミンフォームを用いた断熱シートを得た。メラミンフォームの空隙率は、93%である。
イノアックコーポレーション社製の抽出法によって成形されたオレフィン系多孔体(商品名:MAPS、品番:ST−30)を担持体として実施例1と同じ方法でシリカエアロゲルのゾルゲル転移を行い、シリカエアロゲルを発泡体内に内包したメラミンフォームを用いた断熱シートを得た。このオレフィン系多孔体のセル径は、55μm、空隙率は、70%であった。
得られた実施例及び比較例について、前述の熱伝導率、粉落ち率の測定を行った。結果を表1に示す。また、柔軟性の評価に関して、下記の測定を行った。
図2に示すように、縦横100mm、全厚み10.25mmの平板治具(20)の中央に、幅1mmの間隔を開けて幅0.5mm、高さ0.25mmの断面視凸形状の段差(20a)を5本平行に設けた。図3に示すように、これら段差のある面を上面として、上記治具の上に試験片(10)をかぶせ、さらに荷重をかけるために、縦横100mm、厚み10mmの別の平板(21)を乗せ、この別の平板治具(21)に荷重を均一にかけることで、上記段差の立壁と平面がつくる空間に試験片(10)が埋め込まれるのを目視評価した。厚さ2mmの試験片に対して、50%圧縮を行った。
Claims (10)
- 連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の表面に形成された通気性のない表皮層とを有する表皮付き連続気泡発泡体において、
前記連続気泡間の連通貫通孔の平均径が10μm以下であり、
前記表皮付き連続気泡発泡体の空隙率が75〜99%であり、
前記連続気泡の内部に、エアロゲルが充填されていることを特徴とするフレキシブルエアロゲルコンポジット。 - 前記表皮付き連続気泡発泡体が、ノニオン系界面活性剤と熱可塑性エラストマーを含んだ樹脂組成物に、常温常圧で気体である物質を超臨界状態で含浸させた後、圧力を解放して発泡させたことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルエアロゲルコンポジット。
- 前記発泡体層と前記表皮層が、接着又は融着工程を経ずに一体化していることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジット。
- 前記表皮付き連続気泡発泡体が、ポリオレフィン系樹脂発泡体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジット。
- 前記エアロゲルが、シリカを含有するシリカ含有エアロゲルであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジット。
- 前記シリカ含有エアロゲルが、シリコンアルコキシドもしくはその誘導体、の加水分解によるゾルゲル反応から生成されるシリカエアロゲルであることを特徴とする、請求項5に記載のフレキシブルエアロゲルコンポジット。
- 熱伝導率が、0.020W/m・K以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジット。
- スコット型揉み試験機を用いたもみ試験による試験前後の粉落ち率が、5%以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のフレキシブルエアロゲルコンポジット。
- 連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の表面に形成された通気性のない表皮層とを有する表皮付き連続気泡発泡体を形成する工程と、
前記表皮付き連続気泡発泡体を密閉容器に収めて、該密閉容器内を真空引きした状態で、シリコンアルコキシドもしくはその誘導体を該密閉容器内に満たし、前記発泡体層の前記連続気泡の露出する厚み方向の断面部から該シリコンアルコキシドもしくはその誘導体を前記連続気泡内部へ導入し、該シリコンアルコキシドもしくはその誘導体の加水分解によるゾルゲル反応により該連続気泡内部にシリカエアロゲルが充填される工程と、を有することを特徴とする、フレキシブルエアロゲルコンポジットの製造方法であって、
前記表皮付き連続気泡発泡体を形成する工程が、ノニオン系界面活性剤と熱可塑性エラストマーを含んだ樹脂組成物に、常温常圧で気体である物質を超臨界状態で含浸させた後、圧力を解放して発泡させる工程を有することを特徴とする、フレキシブルエアロゲルコンポジットの製造方法。 - 前記表皮付き連続気泡発泡体を形成する工程が、押出し成形によって表皮付き連続気泡発泡体シートを形成する工程と、該シートを所定形状に裁断する工程と、を有し、
前記発泡体層と前記表皮層とを接着又は融着する工程を有さないことを特徴とする、請求項9に記載のフレキシブルエアロゲルコンポジットの製造方法。
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