以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
<車両充電システムの構成>
図1は、この発明の実施の形態1に従う充電制御装置が適用される車両充電システムの全体構成図である。図1を参照して、車両充電システム1は、車両10と、充電スタンド20と、サーバ30と、スマートフォン40とを備える。
車両10は、車両外部の充電スタンド20から電力の供給を受け、車載の蓄電装置(図示せず)を充電可能に構成される。一例として、車両10は、充電スタンド20から延びる充電ケーブルの先端に設けられる充電コネクタを車両10のインレットに接続することによって受電するものとする。なお、車両10は、充電スタンド20から交流電力が供給される送電コイルから電磁界を通じて非接触で受電する受電コイルを車両10に搭載することによって受電するものとしてもよい。車両10は、たとえば、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて走行可能なハイブリッド車両や電気自動車等の電動車両である。
車両10は、図示されない通信部によってサーバ30と通信可能に構成される。車両10は、サーバ30によって生成された充電スケジュールを示す第1の充電スケジュールをサーバ30から受信する。充電スケジュールとは、充電スタンド20による蓄電装置の充電の時刻スケジュールであり、たとえば、蓄電装置の充電に要する時間や、充電時の電気料金を考慮して設定される充電開始時刻の情報等を含むことができる。また、第1の充電スケジュールとは、ユーザによるスマートフォン40の操作に起因してサーバ30において生成される充電スケジュールのことである。車両10においては、受信された第1の充電スケジュールが設定され、設定された第1の充電スケジュールに従って充電スタンド20から蓄電装置の充電が実行される。
充電スタンド20は、車両10へ充電電力を供給する電源である。充電スタンド20は、複数の充電場所に設けられており、自宅のほか、たとえば、サービスエリアやショッピングセンタ等の外出先にも設けられている。
サーバ30は、図示されない通信部によって車両10及びスマートフォン40と通信可能に構成される。サーバ30は、充電スケジュールに関するユーザの入力情報(以下、第1のユーザ入力情報とも称する。)をスマートフォン40から受信する。第1のユーザ入力情報は、第1の充電スケジュールを生成するための情報である。たとえば、第1のユーザ入力情報としては、充電開始時刻、ユーザの起床時刻、ユーザの出勤時刻、及びユーザの要望(たとえば、電気料金優先(電気料金が最も低額である時間帯に充電を実行したい))等が考えられる。サーバ30においては、受信された第1のユーザ入力情報に基づいて第1の充電スケジュールが生成される。たとえば、サーバ30においては、受信された第1のユーザ入力情報(たとえば、電気料金優先というユーザの要望)の他、インターネット上で取得可能な時間帯毎の電気料金の情報が参照されることにより、電気料金の安い時間帯に充電を実行するための第1の充電スケジュールが生成される。このように、サーバ30においては、スマートフォン40から受信された第1のユーザ入力情報の他、様々な情報が参照されることにより、高機能な充電スケジュールが生成される。
スマートフォン40は、図示されない通信部によってサーバ30と通信可能に構成される。スマートフォン40は、図示されない表示部に、充電スケジュールを設定するための設定画面を表示する。ユーザは、設定画面を確認しつつ、スマートフォン40を操作することにより、充電スケジュールを設定するための情報(第1のユーザ入力情報)を入力できる。この設定画面は、第1のユーザ入力情報を入力するための入力画面でもある。上述の通り、入力された第1のユーザ入力情報は、サーバ30に送信される。
<車両の構成>
図2は、図1に示した車両10の構成を概略的に示したブロック図である。図2を参照して、車両10は、受電部110と、充電器120と、蓄電装置130と、駆動装置140と、ECU(Electric Control Unit)150と、DCM(Data Communication Module)160と、ナビゲーション装置170とを含む。
受電部110は、充電スタンド20(図1)から延びる充電ケーブルの先端に設けられる充電コネクタを接続可能なインレットによって構成される。なお、充電スタンド20に電気的に接続される送電コイルを用いた非接触電力伝送が採用される場合には、受電部110は、送電コイルから電磁界を通じて非接触で受電する受電コイルによって構成され得る。
充電器120は、ECU150によって制御され、充電スタンド20から受ける電力を蓄電装置130の電圧レベルに変換して蓄電装置130へ出力する。充電器120は、たとえば整流器やインバータ等を含んで構成される。
蓄電装置130は、充電器120から受ける電力を蓄え、蓄えられた電力を駆動装置140へ供給することができる。蓄電装置130は、たとえば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等を含んで構成される。蓄電装置130は、車両走行中の制動時に駆動装置140において回生発電される電力も蓄えることができる。
駆動装置140は、駆動輪(図示せず)を駆動して車両10が走行するための駆動力を発生する。特に図示しないが、駆動装置140は、蓄電装置130から電力の供給を受けるコンバータやインバータ、インバータにより駆動されて駆動輪を駆動するモータ等を含む。なお、駆動装置140は、蓄電装置130を充電するための電力を発生する発電機と、その発電機を駆動可能なエンジンとを含んでもよい。
DCM160は、サーバ30と無線通信可能な通信機である。DCM160は、通信部162を含み、通信部162を介してサーバ30と種々の情報を通信可能である。この実施の形態1では、DCM160は、少なくとも、サーバ30から第1の充電スケジュールを受信してECU150へ出力する。通信部162は、たとえば、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格や、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11等の無線LAN規格に準拠した通信モジュールで構成される。
ナビゲーション装置170は、GPS(Global Positioning System)を利用して車両10の現在位置情報を出力する。また、ナビゲーション装置170は、表示部174及び入力部172を含む。表示部174は、充電スケジュールを設定するための設定画面を表示する。入力部172は、充電スケジュールを生成するための情報(以下、第2のユーザ入力情報とも称する。)の入力を受け付ける。第2のユーザ入力情報に従って生成される充電スケジュールを以下では第2の充電スケジュールとも称する。ユーザは、表示部174に表示される設定画面を確認しつつ、入力部172から第2のユーザ入力情報を入力することができる。この設定画面は、第2のユーザ入力情報を入力するための入力画面でもある。たとえば、ユーザは、充電スタンド20(図1)から蓄電装置130の充電開始時刻等を入力する。入力された第2のユーザ入力情報は、ECU150へと出力され、ECU150は、第2のユーザ入力情報に従って第2の充電スケジュールを生成する。また、入力された第2のユーザ入力情報は、ナビゲーション装置170内の図示されない記憶部にも記憶される。
なお、ユーザは、充電開始時刻以外にも、たとえば、ユーザの出発時刻といった情報を第2のユーザ入力情報として入力部172に入力可能としてもよい。この場合にも、入力された第2のユーザ入力情報がECU150に出力され、ECU150は、出力された第2のユーザ入力情報に従って充電開始時刻を算出し、第2の充電スケジュールを生成する。
表示部174は、たとえば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像を表示可能なデバイスで構成される。また、入力部172は、たとえば、タッチパネル、操作キー、マイクロフォン等のユーザからの指示を受け付け可能なデバイスで構成される。
ECU150は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力バッファ等を含み(いずれも図示せず)、車両10における各種制御を行なう。代表的なものとして、ECU150は、イグニッションキー(スイッチでもよい)がオンされて駆動装置140を含む走行システムの起動が要求されると、駆動装置140を制御することによって車両10の走行制御を実行する。
また、ECU150は、図示されない内部メモリに充電スケジュールを記憶する。ECU150は、第1及び第2の充電スケジュールの何れかを充電スケジュールとして設定(記憶)することができる。ECU150は、設定された充電スケジュールに従って、受電部110から入力される電力により蓄電装置130を充電するための充電制御を実行する。
なお、ECU150は、第1及び第2の充電スケジュールの各々を同時に図示されない内部メモリに記憶しない。ECU150は、第1の充電スケジュールが記憶(設定)されている場合には第1の充電スケジュールに従った充電制御を実行し、第2の充電スケジュールが記憶(設定)されている場合には第2の充電スケジュールに従った充電制御を実行する。
<スマートフォンの構成>
図3は、図1に示したスマートフォン40の構成を概略的に示したブロック図である。図3を参照して、スマートフォン40は、通信部410と、記憶部420と、表示部430と、入力部440と、バッテリ450と、コントローラ460とを含む。
入力部440は、たとえば、充電スケジュールの設定に関するユーザの入力(第1のユーザ入力情報)を受ける。入力部440は、たとえば、タッチパネルで構成される。
通信部410は、サーバ30と無線通信可能な通信モジュールである。通信部410は、入力部440に入力された第1のユーザ入力情報をサーバ30に送信する。通信部410は、たとえば、LTE等の通信規格や、IEEE802.11等の無線LAN規格に準拠した通信モジュールで構成される。記憶部420は、通信部410を介して受信した制御プログラム等を記憶する。記憶部420は、たとえば、通信部410を介してダウンロードされた充電スケジュール設定のためのアプリケーションを記憶する。記憶部420は、たとえば、フラッシュメモリで構成される。
表示部430は、たとえば、充電スケジュールを設定するための設定画面を表示する。表示部430は、たとえば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成される。バッテリ450は、スマートフォン40の動作に必要な電力を供給する。バッテリ450は、たとえば、リチウムイオン電池で構成される。コントローラ460は、スマートフォン40全体を制御する制御部である。コントローラ460は、たとえば、記憶部420に記憶されている制御プログラムに従って、スマートフォン40全体を制御する。
<サーバの構成>
図4は、図1に示したサーバ30の構成を概略的に示したブロック図である。図4を参照して、サーバ30は、通信部310、記憶部320、及びコントローラ330を含む。
通信部310は、車両10及びスマートフォン40と通信可能な通信モジュールである。通信部310は、スマートフォン40から第1のユーザ入力情報を受信し、受信した第1のユーザ入力情報をコントローラ330に出力する。また、通信部310は、インターネット上に保存されている時間帯毎の電気料金の情報、ユーザのスケジュール情報等を受信し、受信した情報を記憶部320及びコントローラ330に出力する。
記憶部320は、インターネット上から集められた各種情報、サーバ30において実行される制御プログラム等を記憶する。たとえば、記憶部320は、通信部310により受信された時間帯毎の電気料金の情報、ユーザのスケジュール情報等を記憶する。
コントローラ330は、通信部310により出力された第1のユーザ入力情報、及び第1のユーザ入力情報以外のインターネット上の情報から第1の充電スケジュールを生成する。たとえば、コントローラ330は、第1のユーザ入力情報(たとえば、電気料金優先)、及び時間帯毎の電気料金の情報から、電気料金が低額である時間帯に充電を実行する第1の充電スケジュールを生成する。コントローラ330により生成された第1の充電スケジュールは、通信部310を通じて、車両10に送信される。
なお、充電スケジュールは、必ずしもコントローラ330により生成されなくてもよい。たとえば、コントローラ330は、インターネット上の情報(たとえば、時間帯毎の電気料金の情報)からスマートフォン40におけるユーザ設定画面(たとえば、時間帯毎の電気料金が表示され、充電開始時刻をユーザに入力させる画面)を生成し、スマートフォン40に送信するような構成であってもよい。このような場合には、スマートフォン40において入力された第1のユーザ入力情報が第1の充電スケジュールを示すこととしてもよい。
<通信ネットワークを通じた充電スケジュール設定の優先>
以上のような構成を有する車両充電システム1において、車両10は、上述のように2種類の充電スケジュール設定に対応している。すなわち、車両10は、スマートフォン40からの高機能な充電スケジュール設定と、車両内で容易に行なうことができるナビゲーション装置170からの充電スケジュール設定との両方に対応している。ここで、ナビゲーション装置170からの充電スケジュール設定は、車両10が入手できる電気料金等の情報が限られていたり、車両10の充電スケジュールを生成するハード・ソフトの更新手段が限られている等の理由から、上述のスマートフォン40からの充電スケジュール設定に比べて、高機能な充電スケジュール設定を実現しにくい傾向がある。
このような両方の設定方法に対応した車両10においては、両方の設定方法による充電スケジュールの設定が行なわれた場合に、先に設定された充電スケジュールが後に設定された充電スケジュールに再設定されることになる。このような場合には、ユーザが高機能な充電スケジュール設定を望んでいるにも拘わらず、車両10に搭載されたナビゲーション装置170により設定された充電スケジュールに従った充電が実行されてしまうような事態が生じ得る。
そこで、この実施の形態1に従う充電制御装置を搭載した車両10は、第2のユーザ入力情報の受け付けを非実行とし、通信部162により受信される充電スケジュールによって蓄電装置130の充電を制御するモード(以下、モバイル設定モードとも称する。)を有する。
したがって、車両10がこのモードに設定されている場合には、ユーザは、スマートフォン40のみから充電スケジュールを設定することができる。その結果、この車両10によれば、通信ネットワークを通じた充電スケジュールの設定を優先することができる。
この実施の形態1においては、通信ネットワークを通じた充電スケジュールの設定が優先され得るように、スマートフォン40及びナビゲーション装置170における表示画面が制御されている。以下、最初にモバイル設定モードがOFF状態である場合の各表示画面について説明し、その後、モバイル設定モードがON状態である場合の各表示画面について説明する。
図5は、車両10及びスマートフォン40がモバイル設定モードに設定されていない場合(モバイル設定モードOFF状態)のスマートフォン40の表示画面の一例を示す図である。図5を参照して、この表示画面は、たとえば、モード切替バー42、スケジュールバー43,44、追加ボタン45、及び変更ボタン46を含む。なお、この表示画面は、充電スケジュールの設定のための設定画面(後述の図7)がグレーアウトした画面であり、ユーザは、モード切替バー42のみを操作することができる。
モード切替バー42は、モバイル設定モードのON状態とOFF状態とを切替えるためのバーである。ユーザは、モード切替バー42をスライド操作することで、モバイル設定モードのON状態とOFF状態とを切替えることができる。モード切替バー42がON状態へと変更されると、表示画面は後述の図7(後述)に示される画面に切り替わる。モード切替バー42以外のボタンやバーについては図7の説明の際に合わせて説明する。このように、モバイル設定モードがOFF状態である場合には、ユーザは、スマートフォン40から充電スケジュールを設定することができない。
図6は、車両10及びスマートフォン40がモバイル設定モードに設定されていない場合(モバイル設定モードOFF状態)のナビゲーション装置170の表示画面の一例を示す図である。図6を参照して、この表示画面は、充電スケジュールを設定するための設定画面である。この設定画面は、カーソル180、及びスケジュールバー181,182を含む。ナビゲーション装置170は、入力部172として、上選択ボタン176、下選択ボタン177、及び決定ボタン178を含む。
スケジュールバー181,182は、現在設定されている充電スケジュールを示すバーである。スケジュールバー181は、平日に関して、ユーザの出発時刻である午前7:00までに充電を完了する充電スケジュールを示している。スケジュールバー182は、週末に関して、午前0:00に充電を開始する充電スケジュールを示している。
カーソル180は、目的のボタンを選択するためのカーソルである。ユーザは、上選択ボタン176又は下選択ボタン177を押下することで、カーソル180を移動させることができる。ユーザは、目的のボタンにカーソル180を合わせた状態で決定ボタン178を押下することで、目的のボタンの機能を実行することができる。たとえば、ユーザは、カーソル180をスケジュールバー181に合わせた状態で決定ボタン178を押下することで、スケジュールバー181に示される充電スケジュールの内容を変更することができる。
このように、モバイル設定モードがOFF状態である場合には、ユーザは、ナビゲーション装置170を操作することにより、充電スケジュールの設定を行なうことができる。
図7は、車両10及びスマートフォン40がモバイル設定モードに設定されている場合(モバイル設定モードON状態)のスマートフォン40の表示画面の一例を示す図である。図7を参照して、この表示画面は、充電スケジュールの設定のための設定画面である。この設定画面は、たとえば、モード切替バー42、スケジュールバー43,44、追加ボタン45、及び変更ボタン46を含む。
スケジュールバー43,44は、現在設定されている充電スケジュールを示すバーである。追加ボタン45は、スケジュールバーを追加するためのボタンである。ユーザは、追加ボタン45をタップ操作することで、スケジュールバーを追加することができる。変更ボタン46は、各スケジュールバーが示す充電スケジュールの内容を変更するためのボタンである。ユーザは、変更ボタン46をタップ操作することで、タップした変更ボタン46に対応する充電スケジュールの内容を変更することができる。
モバイル設定モードがON状態である場合には、ユーザは、スマートフォン40を用いて各種ボタンやバーを操作することで、充電スケジュールに関する入力を行なうことができる。ユーザにより入力された第1のユーザ入力情報は、サーバ30に送信され、サーバ30において第1の充電スケジュールが生成される。生成された第1の充電スケジュールは、サーバ30から車両10に送信される。車両10においては、通信部162により第1の充電スケジュールが受信され、ECU150は、受信された第1の充電スケジュールを設定する。
図8は、車両10及びスマートフォン40がモバイル設定モードに設定されている場合(モバイル設定モードON状態)のナビゲーション装置170の表示画面の一例を示す図である。図8を参照して、この表示画面は、たとえば、メッセージ171、解除ボタン173、及びカーソル175を含む。
メッセージ171は、現在、車両10がモバイル設定モードに設定されていることを通知するためのメッセージである。解除ボタン173は、モバイル設定モードを解除するためのボタンである。ユーザは、カーソル175を解除ボタン173に合わせた状態で決定ボタン178を押下することで、モバイル設定モードをOFF状態とすることができる。モバイル設定モードがOFF状態となると、表示画面は、たとえば図6に示される画面に切り替わる。
モバイル設定モードがON状態である場合には、ナビゲーション装置170は、充電スケジュールを設定するための設定画面を表示しない。したがって、この場合には、ユーザは、ナビゲーション装置170により充電スケジュールの設定を行なうことができない。
すなわち、この車両10においては、充電制御装置がモバイル設定モードに設定されている場合には、ナビゲーション装置170からの充電スケジュールの設定の受け付けが非実行とされる。したがって、この車両10によれば、モバイル設定モードをON状態とすることにより、スマートフォン40による充電スケジュールの設定を優先することができる。次に、車両充電システム1における充電スケジュールの設定に関する具体的な処理手順について説明する。
<充電スケジュール設定に関する処理手順>
図9は、スマートフォン40における充電スケジュール設定の処理手順を示すフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、通信ネットワークを通じてスマートフォン40に配信されてもよいし、スマートフォン40に予めインストールされていてもよい。また、このプログラムは、スマートフォン40にインストールされた後に、通信ネットワークを通じてアップデートされてもよい。このようにすることで、車両の開発日程に依存することなく、スマートフォン用のアプリケーションを開発するだけで、新たなサービスを提供することができる。
図9を参照して、コントローラ460は、モバイル設定モードをON状態とする指示がユーザにより行われたか否かを判定する(ステップS100)。モバイル設定モードをON状態とする指示がユーザにより行われていないと判定されると(ステップS100においてNO)、スマートフォン40による充電スケジュールの設定を許可することができないため、処理はステップS200に移行する。
モバイル設定モードをON状態とする指示がユーザにより行われたと判定されると(ステップS100においてYES)、コントローラ460は、車両10において設定されている充電スケジュールが無効となることを通知する警告画面を表示部430に表示させる(ステップS110)。警告画面の表示を行なうことなく車両10に設定されている充電スケジュールを無効とすると、車両10に設定されている充電スケジュールが有効なままであるとユーザが誤解する恐れがあるからである。なお、充電スケジュールの無効とは、車両10において充電スケジュールの設定が解除されることである。すなわち、車両10において充電スケジュールが無効となると、ECU150に記憶されている充電スケジュールが削除される。
その後、コントローラ460は、車両10に設定されている充電スケジュールを無効とすることについてユーザが許可したか否かを判定する(ステップS120)。たとえば、コントローラ460は、充電スケジュールを無効とすることを許可する許可ボタン(図示せず)がタップ操作されたか否かを判定する。
ユーザからの許可が得られていないと判定されると(ステップS120においてNO)、モバイル設定モードをON状態とできないので、コントローラ460は、モバイル設定モードをON状態とする指示がキャンセルされたか否かを判定する(ステップS130)。たとえば、コントローラ460は、モバイル設定モードをON状態にする指示をキャンセルするキャンセルボタン(図示せず)がタップ操作されたか否かを判定する。
モバイル設定モードをON状態とする指示がキャンセルされたと判定されると(ステップS130においてYES)、モバイル設定モードをON状態とせずに、処理はステップS200に移行する。モバイル設定モードをON状態とする指示がキャンセルされていないと判定されると(ステップS130においてNO)、処理はステップS120に移行する。
ステップS120において、車両10に設定されている充電スケジュールを無効とすることについてユーザからの許可が得られたと判定されると(ステップS120においてYES)、コントローラ460は、モバイル設定モードのON要求をサーバ30に送信する(ステップS140)。このモバイル設定モードのON要求は、サーバ30を介して、車両10に送信される。
その後、コントローラ460は、車両10からモバイル設定モードに遷移した旨を示す情報を受信したか否かを判定する(ステップS150)。車両10がモバイル設定モードに遷移するまでは、スマートフォン40から充電スケジュールの設定をすることができないからである。
車両10からモバイル設定モードに遷移した旨を示す情報を受信していないと判定されると(ステップS150においてNO)、コントローラ460は、ユーザから充電スケジュールの設定に関する入力を受け付けず、ステップS150の処理を繰り返す。車両10からモバイル設定モードに遷移した旨を示す情報を受信したと判定されると(ステップS150においてYES)、コントローラ460は、ユーザから充電スケジュールの設定に関する入力(第1のユーザ入力情報の入力)があるか否かを判定する(ステップS160)。
第1のユーザ入力情報の入力がないと判定されると(ステップS160においてNO)、モバイル設定モードのON状態が維持されるかを判定するため、コントローラ460は、モバイル設定モードをOFF状態とする指示がユーザからあったか、又はモバイル設定モードをOFF状態とする旨の指示が車両10より受信されたかを判定する(ステップS170)。
何れの指示もないと判定されると(ステップS170においてNO)、モバイル設定モードはON状態に維持され、処理はステップS160に移行する。何れかの指示があると判定されると(ステップS170においてYES)、コントローラ460は、モバイル設定モードをOFF状態とするための処理を実行する(ステップS180)。たとえば、コントローラ460は、表示部430が表示する画面をグレーアウトさせ、図5に示すような画面を表示するように表示部430を制御する。また、たとえば、コントローラ460は、モバイル設定モードをOFF状態とするOFF要求を車両10に送信する。その後、処理はステップS200に移行する。
ステップS160において、第1のユーザ入力情報の入力があると判定されると(ステップS160においてYES)、コントローラ460は、ユーザから入力された第1のユーザ入力情報をサーバ30に送信する。サーバ30は、受信した第1のユーザ入力情報に従って第1の充電スケジュールを生成し、生成した第1の充電スケジュールを車両10に送信する(ステップS190)。これにより、通信ネットワークを介した充電スケジュール設定が行なわれる。その後、処理はステップS200に移行する。
すなわち、モバイル設定モードがON状態である場合には、ユーザは、スマートフォン40から充電スケジュールの設定を行なうことができる。
図10は、車両10のECU150における充電スケジュール設定の処理手順を示すフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、予め車両10にインストールされていてもよいし、通信ネットワークを通じて車両10に配信されてもよい。また、このプログラムは、車両10にインストールされた後に、通信ネットワークを通じてアップデートされてもよい。
図10を参照して、ECU150は、サーバ30を介して車両10からモバイル設定モードのON要求を受信したか否かを判定する(ステップS300)。
モバイル設定モードのON要求を受信していないと判定されると(ステップS300においてNO)、モバイル設定モードはOFF状態のままでありナビゲーション装置170は第2の充電スケジュールの設定を受けることができるので、ECU150は、ユーザから第2のユーザ入力情報の入力があったか否かを判定する(ステップS310)。第2のユーザ入力情報の入力があったと判定されると(ステップS310においてYES)、ECU150は、入力された第2のユーザ入力情報に従って、図示されない内部メモリに記憶する充電スケジュールを更新する(ステップS380)。第2のユーザ入力情報がないと判定されると(ステップS310においてNO)、充電スケジュールを更新する必要がないので、処理はステップS390に移行する。
ステップS300において、モバイル設定モードのON要求を受信したと判定されると(ステップS300においてYES)、ECU150は、モバイル設定モードに遷移する(ステップS320)。その後、ECU150は、現在第2の充電スケジュールが設定されているか否かを判定する(ステップS325)。第2の充電スケジュールが設定されていないと判定されると(ステップS325においてNO)、充電スケジュールを無効にする必要がないので、処理はステップS330に移行する。第2の充電スケジュールが設定されていると判定されると(ステップS325においてYES)、設定されている充電スケジュールを無効にする必要があるので、ECU150は、図示されない内部メモリに記憶する充電スケジュールを削除する(ステップS327)。
その後、ECU150は、モバイル設定モードに遷移した旨を示す情報をサーバ30を通じてスマートフォン40に送信する(ステップS330)。これにより、スマートフォン40は、第1のユーザ入力情報の入力を受けられるようになる。その後、ECU150は、モバイル設定モードに遷移したことをナビゲーション装置170に送信する。これにより、第2の充電スケジュールの設定画面は非表示となり、設定画面とは異なる画面(たとえば、図8に示す画面)が表示部174に表示される(ステップS340)。すなわち、モバイル設定モードにおいては、第2のユーザ入力情報の入力を受けることができない。
その後、ECU150は、サーバ30から第1の充電スケジュールを受信したか否かを判定する(ステップS350)。第1の充電スケジュールを受信していないと判定されると(ステップS350においてNO)、ECU150は、モバイル設定モードをOFF状態とする指示をスマートフォン40から受信したか、又は、モバイル設定モードをOFF状態とする指示がユーザからあったかを判定する(ステップS360)。
何れの指示もないと判定されると(ステップS360においてNO)、モバイル設定モードは維持され、処理はステップS350に移行する。何れかの指示があると判定されると(ステップS360においてYES)、ECU150は、モバイル設定モードをOFF状態とする処理を実行する(ステップS370)。たとえば、ECU150は、モバイル設定モードがOFF状態となった旨を示す情報をスマートフォン40及びナビゲーション装置170に送信する。そして、ECU150は、充電スケジュールの設定画面(たとえば、図6に示す画面)を表示部174に表示させるようナビゲーション装置170を制御する(ステップS370)。また、たとえば、ナビゲーション装置170の図示されない記憶部に第2のユーザ入力情報が記憶されている場合には、再び第2の充電スケジュールを有効にするために、ECU150は、第2のユーザ入力情報を読み出し、読み出した第2のユーザ入力情報に従って第2の充電スケジュールを設定する。モバイル設定モードがOFF状態となると、処理はステップS390に移行する。
ステップS350において、第1の充電スケジュールを受信したと判定されると(ステップS350においてYES)、ECU150は、第1の充電スケジュールに従って、図示されない内部メモリに記憶する充電スケジュールを更新する(ステップS380)。その後、処理はステップS390に移行する。
このように、車両10においては、モバイル設定モードがON状態である場合には、第2の充電スケジュールの受け付けが非実行とされ、通信部162が受けた第1の充電スケジュールが設定される。したがって、この車両10によれば、モバイル設定モードをON状態とすることにより、スマートフォン40による充電スケジュールの設定を優先することができる。
また、ナビゲーション装置170においては、モバイル設定モードがON状態となった場合に、充電スケジュールを設定するための設定画面が非表示とされる。したがって、ナビゲーション装置170を搭載した車両10によれば、モバイル設定モードがON状態となっている場合に、第2のユーザ入力情報の入力を行なうことができないことをユーザに容易に知らせることができる。
図11は、車両10がモバイル設定モードに遷移する際の、スマートフォン40(サーバ30)、ECU150、及びナビゲーション装置170の動作例を示すフローチャートである。図11を参照して、ユーザは、スマートフォン40を操作することで、モバイル設定モードをON状態とする指示を行なう(ステップS500)。その後、スマートフォン40は、車両10に設定されている充電スケジュールが無効となる旨を通知する警告画面を表示する(ステップS510)。
その後、ユーザが、車両10において設定されている充電スケジュールが無効となることを許可する指示をすると(ステップS520)、スマートフォン40は、サーバ30を通じて、モバイル設定モードのON要求をECU150に送信する(ステップS530)。ON要求が受信されると、ECU150は、モバイル設定モードに遷移する(ステップS540)。その後、ECU150は、スマートフォン40及びナビゲーション装置170にモバイル設定モードに遷移した旨を示す情報を送信する(ステップS550)。
これにより、ナビゲーション装置170は、充電スケジュールの設定画面を非表示とし、設定画面と異なる画面(たとえば、図8に示す画面)を表示する(ステップS560)。一方、スマートフォン40は、充電スケジュール設定のためのユーザ入力を受けると(ステップS570)、第1のユーザ入力情報をサーバ30に送信する。サーバ30は、受信した第1のユーザ入力情報及びインターネットを通じて取得した第1のユーザ入力情報以外の情報に従って、第1の充電スケジュールを生成し、生成した第1の充電スケジュールをECU150に送信する(ステップS580)。第1のユーザ入力情報以外の情報をも用いることで、サーバ30は、高機能な充電スケジュール(第1の充電スケジュール)を生成することができる。その後、ECU150は、図示されない内部メモリに記憶される充電スケジュールを更新する(ステップS590)。
このように、この車両10においては、モバイル設定モードがON状態とされると、ナビゲーション装置170における第2のユーザ入力情報の受け付けが非実行とされるので、スマートフォン40による充電スケジュール設定が優先される。
(他の実施の形態)
以上のように、この発明の実施の形態として実施の形態1を説明した。しかしながら、この発明は必ずしもこの実施の形態1に限定されない。ここでは、他の実施の形態の一例について説明する。
実施の形態1においては、スマートフォン40においてモバイル設定モードをON状態とする指示がユーザからあった場合に、スマートフォン40は、車両10において設定されている充電スケジュールが無効となることを通知する警告画面を表示する。しかしながら、モバイル設定モードをON状態とする指示がユーザからあった場合のスマートフォン40の制御は、必ずしもこのようなものに限られない。たとえば、モバイル設定モードをON状態とする指示がユーザからあった場合に、スマートフォン40は、車両10において設定されている充電スケジュールが存在するか否かを車両10に問い合わせるような構成であってもよい。
たとえば、車両10に設定されている充電スケジュールがない場合には、車両10は、スマートフォン40に警告画面を表示させることなく、モバイル設定モードをON状態にしてもよい。一方、車両10に設定されている充電スケジュールがある場合には、車両10は、その旨をスマートフォン40に通知し、スマートフォン40は、モバイル設定モードをON状態とする指示をユーザから受け付けないようにしてもよい。さらに、スマートフォン40は、車両10において設定されている充電スケジュールの解除指示をユーザから受け付けられる構成であってもよい。この場合には、車両10において設定されている充電スケジュールがスマートフォン40から解除された場合に、スマートフォン40は、モバイル設定モードをON状態とする指示をユーザから受け付けられるようにしてもよい。
また、実施の形態1においては、サーバ30が第1の充電スケジュールを生成する際に、第1のユーザ入力情報の他に、時間帯毎の電気料金の情報を用いる例について主に説明した。しかしながら、第1の充電スケジュールを生成する際に用いることができる情報は、このような例には限定されない。たとえば、サーバ30は、インターネット上に保存されるユーザのスケジュール情報を用いて第1の充電スケジュールを生成してもよい。この場合には、サーバ30は、たとえば、ユーザの出勤時間をスケジュール情報から抽出し、ユーザの出勤時間までに充電が完了するような第1の充電スケジュールを生成するようにしてもよい。また、たとえば、サーバ30は、インターネット上に保存される地図情報から充電スタンド20の場所を割り出し、車両10が充電スタンド20がある場所に到着した場合には、車両10における充電スケジュールの設定を解除させ、到着した充電スタンド20において即充電を開始させる第1の充電スケジュールを生成してもよい。
また、実施の形態1においては、第1の充電スケジュールに従って生成される充電スケジュールは、ECU150内の図示されないメモリに記憶される。しかしながら、充電スケジュールの記憶場所は、必ずしもこのような例に限定されない。たとえば、サーバ30は、スマートフォン40から受信した第1のユーザ入力情報に従って充電スケジュールを生成し、サーバ30内で管理してもよい。この場合には、サーバ30は、次回の充電開始時刻が到来する前に、都度、次回の充電開始時刻を車両10に送信する。このような構成によれば、車両10は、複雑な充電スケジュールを管理する必要がなくなるので、メモリ容量を削減することができる。
また、実施の形態1においては、ECU150は、第1及び第2の充電スケジュールの一方のみを図示されない内部メモリに記憶する。しかしながら、ECU150の内部メモリに記憶される充電スケジュールは、必ずしも一方の充電スケジュールのみでなくてもよい。たとえば、ECU150の内部メモリにおいて、一方(たとえば、第1の充電スケジュール)を実施フラグと対応付けて記憶し、他方(たとえば、第2の充電スケジュール)を未実施フラグと対応付けて記憶するような構成であってもよい。この場合には、ECU150は、実施フラグと対応付けて記憶された第1の充電スケジュールに従って充電を制御する。たとえば、ユーザから実施する充電スケジュールの切替指示を受けた場合には、実施フラグを対応付ける充電スケジュールを変更する。
また、実施の形態1においては、スマートフォン40により第1のユーザ入力情報の入力が行なわれる。しかしながら、第1のユーザ入力情報の入力が行なわれる端末は、必ずしもこのような例に限定されない。ユーザ入力が行なわれる端末は、たとえば、携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)や、通信機能を有するオーディオ機器等であってもよい。要するに、第1のユーザ入力情報の入力が行なわれる端末は、通信ネットワークを通じたデータ通信が可能な機器であればよい。
また、実施の形態1においては、ナビゲーション装置170の入力部172により第2のユーザ入力情報の入力が行なわれる。しかしながら、第2のユーザ入力情報の入力が行なわれる装置は、必ずしもこのような例に限定されない。たとえば、MID(Multi Information Display)付きの車載デバイスに設けられた入力部(たとえば、タッチパネル)により第2のユーザ入力情報の入力が行なわれてもよい。要するに、第2のユーザ入力情報の入力が行なわれる装置は、ユーザからの第2のユーザ入力情報の入力を受けられる装置であればよい。
また、実施の形態1においては、モバイル設定モードがON状態となった場合に、表示部174は、第2のユーザ入力情報の入力を受けることができる設定画面を非表示とし、設定画面とは異なる画面を表示する。しかしながら、モバイル設定モードがON状態となった場合の制御は、必ずしもこのような例に限定されない。たとえば、表示部174は設定画面と同じ画面を表示し、入力部172はユーザ入力を受け付けないような構成であってもよい。また、表示部174は何ら画面を表示せず、入力部172はユーザ入力を受け付けないような構成であってもよい。
なお、上記の各実施の形態において、充電スタンド20は、本発明の「電源」の一実施例である。DCM160(通信部162)は、本発明の「通信部」の一実施例であり、ナビゲーション装置170は、本発明の「入力部」の一実施例であり、ECU150は、本発明の「制御部」の一実施例である。また、ナビゲーション装置170(表示部174)は、本発明の「表示部」の一実施例である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。