JP6402960B1 - 粘性流体の充填システムおよび充填方法 - Google Patents
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この粘性流体の充填システムは、
粘性流体を収容する気密封止可能な耐圧容器と、
耐圧容器内の粘性流体に圧力を加える加圧部と、
導管を介して耐圧容器と流体連通し、アクチュエータを用いて開閉可能なノズル孔を有するカットノズルと、
カットノズルのノズル孔と流体連通し、気密封止可能な減圧チャンバーと、
減圧チャンバー内に収容され、導管およびカットノズルを介して粘性流体が充填されるシリンジと、
導管内の粘性流体の流体圧力を検出する導管圧力計と、
減圧チャンバーおよび耐圧容器を減圧する真空ポンプと、
減圧チャンバーの内部の容器圧力を検出する容器圧力計と、
減圧チャンバー内に配置され、シリンジの重量を検出する重量計と、
粘性流体をシリンジに充填するとき、導管圧力計が検出した流体圧力、容器圧力計が検出した容器圧力、および重量計が検出した重量に基づいて、真空ポンプ、アクチュエータ、および加圧部の動作を制御する制御部と、を備える。
a)真空ポンプを用いて減圧チャンバーおよび耐圧容器を減圧し、
b)容器圧力が所定の圧力値に達したとき、アクチュエータを用いてノズル孔を開口し、
c)加圧部を用いて、粘性流体をシリンジ内に充填するために、前記カットノズルの耐用圧力の範囲で流体圧力を増大させるとともに、重量計が検出したシリンジの重量が所定の重量値に達する前に、流体圧力をカットノズルの最大動作許容圧以下となるように低減させ、
d)重量計が検出したシリンジの重量が所定の重量値に達したとき、アクチュエータを用いてノズル孔を閉口するものであってもよい。
本実施形態に係る粘性流体の充填システムによれば、シリンジ20ごとに順次、i)先端キャップ取付工程、ii)粘性流体の充填工程、iii)プランジャー取付工程、およびiv)ヘッドキャップ取付工程を実施できるので、前掲特許文献1および2のように、大型の収納用器を減圧および減圧解除する必要がなく、これに要する待機時間を排除して、生産性を格段に向上させることができる。
このように構成された充填システムによれば、正確に測定された一定重量の粘性流体Fをできるだけ迅速にシリンジ20内に充填することができる。
本実施形態に係る粘性流体の充填システムによれば、高粘度の液状樹脂等の粘性流体を、実質的に過不足なく迅速にシリンジに充填するとともに、粘性流体をシリンジに充填する工程の前後の付帯工程を含む一連のシリンジ製造プロセスを遅滞なく実施することができる。
ここで図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る粘性流体の充填システム1(以下、単に「充填システム」という。)の構成について以下説明する。図1は、充填システム1の構成部品を示す概略図である。なお、本願でいう粘性流体とは、一般に、高い粘性を有する流体をいい、例えばフィラーを多く含有し(例えば60〜95質量%)、半導体装置の封止モールド樹脂を形成するための高粘度の液状樹脂をいうが、これに限定されるものではない。
耐圧容器10は、例えばアクリル樹脂で形成された略円筒形状の容器であり、上述のとおり、大量の粘性流体Fを収容または貯蔵するものである。耐圧容器10は、昇降ステージ12上に載置され、ステップモータ等のサーボモータ14を用いて昇降されるように構成されている。またサーボモータ14は、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)等の制御部70と電気的に接続され、制御部70は、耐圧容器10の昇降位置を正確に認識するとともに、サーボモータ14を用いて昇降ステージ12の昇降位置を精度よく制御することができる。
減圧チャンバー30は、例えばアクリル樹脂で形成された略円筒形状の容器であり、その内部にシリンジ20を着脱自在に収容するものである。また減圧チャンバー30は、真空ポンプ60で減圧されるように気密封止されている。
カットノズル40は、概略、導管50(配管)の他方の端部に連結された供給管42と、略円筒状のノズル本体44と、先端部に設けたノズル孔46とを備え、導管50を介して耐圧容器10と流体連通している。またカットノズル40は、ノズル孔46付近まで延び、エアシリンダー等のアクチュエータ48により駆動されるカットヘッド(図示せず)を有する。アクチュエータ48の動作に応じてカットヘッドが上下移動し、カットヘッドの先端部がノズル孔46を開閉する。すなわちカットノズル40は、アクチュエータ48を用いて選択的に開閉可能なノズル孔46を有する。ノズル孔46が開いた状態にあるとき、加圧部15で加圧された粘性流体Fが、減圧されたシリンジ20の内部に吐出(充填)され、ノズル孔46が閉じようとするとき、カットヘッドの先端部のせん断作用により、吐出されている粘性流体Fが液垂れすることなく切断される。つまり、すなわちカットノズル40のノズル孔46を適正なタイミングで開閉することにより、一定の流量(重量)の粘性流体Fを極めて正確にシリンジ20内に充填することができる。
ただし、本実施形態に係る加圧部15は、流体圧力p1が最大動作許容圧Pn以下となるように減圧する(昇降ステージ12の上昇速度を低減するか、あるいは下降速度を増大する)ことにより、カットノズル40の機能を担保する流体圧力p1の最大動作許容圧Pn以下の条件で、信頼性よく粘性流体Fを切断することができる。このように本実施形態に係る加圧部15によれば、粘性流体Fをシリンジ20にできるだけ迅速に充填した後、流体圧力p1をカットノズル40の最大動作許容圧Pn以下となるまで減圧して、せん断力により粘性流体Fを切断するので、適正な重量の粘性流体Fをシリンジ20内に迅速に充填することができる。
本実施形態に係る充填システム1は、導管50内の粘性流体Fの流体圧力p1を測定/検出する導管圧力計54、および耐圧容器10ならびに減圧チャンバー30の内部の容器圧力p2を検出する容器圧力計34をさらに備える。導管圧力計54および容器圧力計34は、制御部70に電気的に接続され、制御部70は、導管50内の粘性流体Fの流体圧力p1、および耐圧容器10ならびに減圧チャンバー30の内部の容器圧力p2を常時モニターして、アクチュエータ48、および加圧部15の動作の制御にフィードバックすることができる。なお、耐圧容器10および減圧チャンバー30の内部の容器圧力p2を独立して検出する2つの容器圧力計34(図示せず)を設けてもよい。
図2は、粘性流体が充填されたシリンジ20の製造プロセスの各工程を概略的に示す断面図である。本実施形態に係る製造プロセスは、概略、i)先端キャップ取付工程(図2(a))、ii)粘性流体の充填工程(図2(b))、iii)プランジャー取付工程(図2(c))、およびiv)ヘッドキャップ取付工程(図2(d))を有する。
上述のように、本実施形態に係る制御部70は、サーボモータ14で駆動される昇降ステージ12の昇降位置および昇降速度を調整することにより、流体圧力p1を極めて精緻に制御することができる。また制御部70は、真空ポンプ60を用いて、耐圧容器10および減圧チャンバー30の内部の容器圧力p2を制御することができる。図3は、制御部70により制御される流体圧力p1および容器圧力p2の時間的推移を示すタイミングチャートである。図3において、流体圧力p1を実線で示し、容器圧力p2を破線で示し、流体圧力p1および容器圧力p2が一致するとき、これらを実線のみで示す。図4は、本実施形態に係る粘性流体Fの充填方法を示すフローチャートである。
Claims (8)
- 粘性流体を収容する気密封止可能な耐圧容器と、
前記耐圧容器内の前記粘性流体に圧力を加える加圧部と、
導管を介して前記耐圧容器と流体連通し、アクチュエータを用いて開閉可能なノズル孔を有するカットノズルと、
前記カットノズルのノズル孔と流体連通し、気密封止可能な減圧チャンバーと、
前記減圧チャンバー内に収容され、前記導管および前記カットノズルを介して前記粘性流体が充填されるシリンジと、
前記導管内の前記粘性流体の流体圧力を検出する導管圧力計と、
前記減圧チャンバーおよび前記耐圧容器を減圧する真空ポンプと、
前記減圧チャンバーの内部の容器圧力を検出する容器圧力計と、
前記減圧チャンバー内に配置され、前記シリンジの重量を検出する重量計と、
前記粘性流体を前記シリンジに充填するとき、前記導管圧力計が検出した前記流体圧力、前記容器圧力計が検出した前記容器圧力、および前記重量計が検出した前記重量に基づいて、前記真空ポンプ、前記アクチュエータ、および前記加圧部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
a)前記真空ポンプを用いて前記減圧チャンバーおよび前記耐圧容器を減圧し、
b)前記容器圧力が所定の圧力値に達したとき、前記アクチュエータを用いて前記ノズル孔を開口し、
c)前記加圧部を用いて、前記粘性流体を前記シリンジ内に充填するために、前記流体圧力を増大させるとともに、増大させた前記流体圧力が前記カットノズルの最大動作許容圧を超える場合には、前記重量計が検出した前記シリンジの前記重量が所定の重量値に達する前に、前記流体圧力を前記カットノズルの前記最大動作許容圧以下となるように低減させ、
d)前記重量計が検出した前記シリンジの前記重量が所定の重量値に達したとき、前記アクチュエータを用いて前記ノズル孔を閉口する、粘性流体の充填システム。 - 前記シリンジは、前記減圧チャンバーの内径と略等しいか、これより小さい外径を有し、前記減圧チャンバー内に着脱自在に収容可能である、請求項1に記載の粘性流体の充填システム。
- 前記加圧部は、前記耐圧容器の内壁に液密に摺動可能な押出板に対して前記耐圧容器を押圧することにより、前記耐圧容器内の前記粘性流体に前記流体圧力を加える、請求項1または2に記載の粘性流体の充填システム。
- 前記加圧部は、前記押出板の位置を変位させるサーボモータを有し、
前記制御部は、前記流体圧力が所望の充填圧力値となるように前記サーボモータを制御する、請求項3に記載の粘性流体の充填システム。 - 前記減圧チャンバー内に収容される前の前記シリンジの先端開口部に先端キャップを取り付ける第1の取付部、
前記シリンジに充填された前記粘性流体の表面にプランジャーを取り付ける第2の取付部、および
前記粘性流体を充填した前記シリンジの上方開口部にヘッドキャップを取り付ける第3の取付部を備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘性流体の充填システム。 - 粘性流体を収容する気密封止可能な耐圧容器と、
前記耐圧容器内の前記粘性流体に圧力を加える加圧部と、
導管を介して前記耐圧容器と流体連通し、アクチュエータを用いて開閉可能なノズル孔を有するカットノズルと、
前記カットノズルのノズル孔と流体連通し、気密封止可能な減圧チャンバーと、
前記減圧チャンバー内に収容され、前記導管および前記カットノズルを介して前記粘性流体が充填されるシリンジと、
前記導管内の前記粘性流体の流体圧力を検出する導管圧力計と、
前記減圧チャンバーおよび前記耐圧容器を減圧する真空ポンプと、
前記減圧チャンバーの内部の容器圧力を検出する容器圧力計と、
前記減圧チャンバー内に配置され、前記シリンジの重量を検出する重量計と、を備えた充填システムにおいて、
前記導管圧力計が検出した前記流体圧力、前記容器圧力計が検出した前記容器圧力、および前記重量計が検出した前記重量に基づいて、前記真空ポンプ、前記アクチュエータ、および前記加圧部の動作を制御して、前記粘性流体を前記シリンジに充填する工程を備え、前記工程は、
a)前記真空ポンプを用いて前記減圧チャンバーおよび前記耐圧容器を減圧する工程と、
b)前記容器圧力が所定の圧力値に達したとき、前記アクチュエータを用いて前記ノズル孔を開口する工程と、
c)前記加圧部を用いて、前記粘性流体を前記シリンジ内に充填するために、前記流体圧力を増大させるとともに、増大させた前記流体圧力が前記カットノズルの最大動作許容圧を超える場合には、前記重量計が検出した前記シリンジの前記重量が所定の重量値に達する前に、前記流体圧力を前記カットノズルの最大動作許容圧以下となるように低減させる工程と、
d)前記重量計が検出した前記シリンジの前記重量が所定の重量値に達したとき、前記アクチュエータを用いて前記ノズル孔を閉口する工程と、を有する、粘性流体の充填方法。 - 前記シリンジは、上方に配置された前記カットノズルの前記ノズル孔から前記粘性流体が充填される、請求項6に記載の粘性流体の充填方法。
- 前記減圧チャンバー内に収容される前の前記シリンジの先端開口部にキャップを取り付ける工程と、
前記シリンジに充填された前記粘性流体の表面にプランジャーを取り付ける工程と、
前記粘性流体を充填した前記シリンジの上方開口部にヘッドキャップを取り付ける工程と、を有する、請求項6または7に記載の粘性流体の充填方法。
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