JP6389095B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
これらのことから、高い耐摩耗性と破壊性能を有する天然ゴムの開発が必要である。
天然ゴムラテックスはゴム農園で、ヘベア樹の樹皮を切付(タッピング)して樹液として採取され、ゴム分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。第一の本発明において用いられる天然ゴムラテックスは、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックスであれば特に制限はない。また遠心分離法によって濃縮した精製ラテックスを用いてもよい。更に、生ゴムラテックス中に存在するバクテリアによる腐敗の進行を防止し、ラテックスの凝固を避けるために、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックスを用いてもよい。
上記カルボン酸系の陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテル酢酸塩などが挙げられる。
上記スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸アルデヒド縮合物、アリールスルホン酸アルデヒド縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などが挙げられる。
上記硫酸エステル系の陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノ、ジ、又はトリスチリルフェニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンモノ、ジ、又はトリスチリルフェニル硫酸エステル塩などが挙げられる。
上記リン酸エステル系としては、例えば、アルキルリン酸エステル塩、アルキルフェノールリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンモノ、ジ、又はトリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩などが挙げられる。
これらの化合物の塩としては、金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等の塩)、アンモニア塩、アルカノールアミン塩(トリエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
上記ポリオキシアルキレンエーテル系の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノ、ジ、又はトリスチリルフェニルエーテル等が挙げられる。なお、前記ポリオールとしては、炭素数2〜12の多価アルコールが好ましく、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グルコース、スクロース、ペンタエリトリトール、ソルビタン等が挙げられる。
上記ポリオキシアルキレンエステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルロジン酸エステル等が挙げられる。
上記多価アルコール脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜12の多価アルコールの脂肪酸エステル又はポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。より具体的には、例えば、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。
上記糖脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ショ糖、グルコース、マルトース、フルクトース、多糖類の脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
上記アルキルポリグリコシド系の非イオン性界面活性剤としては、グリコシドとしてグルコース、マルトース、フルクトース、ショ糖などが挙げられ、例えば、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシドなどが挙げられ、これらの脂肪酸エステル類も挙げられる。また、これらすべてのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
その他、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等も挙げられる。
これら界面活性剤におけるアルキル基としては、例えば、炭素数4〜30の直鎖又は分岐した飽和若しくは不飽和のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば、酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものが挙げられる。また、前記脂肪酸としては、例えば、炭素数4〜30の直鎖又は分岐した飽和若しくは不飽和の脂肪酸が挙げられる。
上記アミノ酸系の両性界面活性剤としては、例えば、アシルアミノ酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシロイルメチルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アシルアミドエチルアミノヒドロキシエチルメチルカルボン酸塩などが挙げられる。
上記ベタイン系の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルベタイン、アルキルヒドロキシエチルベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルカルボキシメチルアンモニオベタイン等が挙げられる。
上記イミダゾリン系の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルエトキシカルボキシメチルカルボキシメチルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
上記アミンオキサイド系の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
上記pH調整剤としては、通常使用されるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸ナトリウム等のリン酸塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の酢酸塩;硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、クエン酸、コハク酸等の酸類又はその塩;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを用いることができる。
なお、上記酵素処理は、反応促進のために、攪拌しながら行ってもよいし、静置して行ってもよい。攪拌は、攪拌機等により行うことができる。
このように、第一の本発明のゴム組成物において、上記改質天然ゴムが、タンパク分解酵素による酵素処理の前に、遠心分離処理されたものであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記改質天然ゴムの凝固方法としては、通常、凝固方法として採用される、酸を添加しpHを調整して凝固させる方法とすることもできるが、上記改質天然ゴムに、(1)酸と、(2)(i)硝酸、硫酸、炭酸、リン酸、塩酸及びギ酸のそれぞれの酸のカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩若しくはアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の塩、及び/又は、(ii)高分子凝集剤と、を混合して多孔性凝固ゴムを生成させる方法が好ましい。すなわち、上記改質天然ゴムが、更に、(1)酸、並びに、(2)(i)硝酸、硫酸、炭酸、リン酸、塩酸及びギ酸のそれぞれの酸のカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩若しくはアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の塩、及び/又は、(ii)高分子凝集剤で凝固されたものであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記ノニオン系高分子凝集剤としては、例えば、でん粉、グアーガム、ゼラチン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。
また、凝固時の温度は、特に制限されないが、一般的には室温(25℃)〜80℃程度の温度であることが好ましい。
窒素含有量は、例えば、燃焼法やケルダール法等の従来の方法で測定することができる。なお、測定される窒素は、タンパク質に由来するものである。
リン含有量は、例えば、ICP発光分析等の従来の方法で測定することができる。なお、測定されるリンは、リン脂質に由来するものである。
本明細書において、ゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定した値を意味し、以下においては「ゲル含有率」又は単に「ゲル分」と称することがある。
ゲル分の含有率の測定方法は次のとおりである。まず、天然ゴム試料を脱水トルエンに浸し、冷暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×105rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
上記改質天然ゴムの分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
上記工程0、1、2、及び3の具体的な処理方法としては、上述したとおりである。
なお、ラテックス粒子の平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、その測定結果から算出することができる。
このような遠心分離処理を行うことによって、ラテックス粒子の平均粒子径が0.25μm以下であるラテックス画分を回収することができる。
なお、上記タンパク分解酵素、脂質分解酵素、リン脂質分解酵素の種類や、これら酵素による酵素処理の方法については、上述した第一の本発明と同様である。
また、上記酵素処理後には、精製処理を行ってもよく、当該精製処理の方法としても、上述した第一の本発明と同様である。
なお、上記タンパク分解酵素による酵素処理の後に、脂質分解酵素及び/又はリン脂質分解酵素による酵素処理を行う方法についても、上述した第一の本発明と同様である。また、第一の本発明と同様、各酵素処理後に上述した精製処理を行ってもよい。
すなわち、第二の本発明において、上記改質天然ゴムが、更に、(1)酸、並びに、(2)(i)硝酸、硫酸、炭酸、リン酸、塩酸及びギ酸のそれぞれの酸のカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩若しくはアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の塩、及び/又は、(ii)高分子凝集剤で凝固されたものであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
窒素含有量は、例えば、燃焼法やケルダール法等の従来の方法で測定することができる。なお、測定される窒素は、タンパク質に由来するものである。
リン含有量は、例えば、ICP発光分析等の従来の方法で測定することができる。なお、測定されるリンは、リン脂質に由来するものである。
ゲル含有率の測定方法は上記と同様である。
上記工程A、B、B′、及びCの具体的な処理方法としては、上述したとおりである。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001のA法によって求められる。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
天然ゴムラテックス:タイテックス社から入手したフィールドラテックス
タンパク分解酵素:アルカリプロテアーゼ
界面活性剤:花王社製の「Emal−E」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
脂質分解酵素:シグマ−アルドリッチ社製のブタ膵臓由来リパーゼ
リン脂質分解酵素:シグマ−アルドリッチ社製のウェルシュ菌由来ホスホリパーゼC
ギ酸:和光純薬工業(株)製のギ酸
塩化カルシウム:和光純薬工業(株)製の塩化カルシウム
高分子凝集剤:MTアクアポリマー社製の「アロンフロックC−303」(ポリメタクリル酸エステル系高分子凝集剤)
(製造例1)
<脱タンパク質処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して、タンパク分解酵素0.07質量部、及び界面活性剤1.5質量部を添加して、30℃で24時間静置した。静置後、ラテックスを13,000rpmで30分間遠心分離し、上層に分離したクリーム分を取り出した。そして、このクリーム分を同体積の水に再分散させて、脱タンパク天然ゴムラテックスを得た。
得られた脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して、脂質分解酵素0.05質量部を添加し、室温(25℃)で24時間静置した。静置後、ラテックスを13,000rpmで30分間遠心分離し、上層に分離したクリーム分を取り出した。そして、このクリーム分を同体積の水に再分散させて、改質天然ゴムラテックスを得た。
得られた改質天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、5質量%のギ酸を添加して、pHを4.0〜4.5に調整した。一定時間そのまま静置してゴム分を凝固させた後、ロールを用いて凝固したゴム分からしょう液を搾り出した後、水で繰り返し洗浄し、45℃のオーブンで乾燥させることによって、固形の改質天然ゴム1を得た。
<脱タンパク質処理>
製造例1と同様に行った。
<脂質分解処理>
製造例1と同様に行った。
製造例1と同様に脱タンパク質処理、脂質分解処理を行って得られた改質天然ゴムラテックスを固形分濃度(DRC)が15質量%になるまで水を加えて希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0〜4.5に調整し、そこへ10質量%塩化カルシウム水溶液を10mL加えて、微細な凝集を得た。その後、分離した水相を底部より除き、洗浄を行った。それから、再度水を加えてDRCが15質量%になるまで希釈して洗浄し、再度水を廃棄して水溶性の成分を除き、この一連の洗浄操作を繰り返し行った後、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム2を得た。
<脱タンパク質処理>
製造例1と同様に行った。
<脂質分解処理>
製造例1と同様に行った。
製造例1と同様に脱タンパク質処理、脂質分解処理を行って得られた改質天然ゴムラテックスを固形分濃度(DRC)が15質量%になるまで水を加えて希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0〜4.5に調整し、そこへ0.1質量%高分子凝集剤水溶液を改質天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して0.01質量部加えて、微細な凝集を得た。その後、分離した水相を底部より除き、洗浄を行った。それから、再度水を加えてDRCが15質量%になるまで希釈して洗浄し、再度水を廃棄して水溶性の成分を除き、この一連の洗浄操作を繰り返し行った後、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム3を得た。
<脱タンパク質処理>
製造例1と同様に行った。
製造例1と同様に脱タンパク質処理を行って得られた脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して、リン脂質分解酵素0.05質量部を添加し、室温(25℃)で24時間静置した。静置後、ラテックスを13,000rpmで30分間遠心分離し、上層に分離したクリーム分を取り出した。そして、このクリーム分を同体積の水に再分散させて、改質天然ゴムラテックスを得た。
得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例1で行われた酸凝固処理と同様の処理を施して、固形の改質天然ゴム4を得た。
<脱タンパク質処理>
製造例1と同様に行った。
<リン脂質分解処理>
製造例4と同様に行った。
製造例4と同様に脱タンパク質処理、リン脂質分解処理を行って得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例2で行われた塩凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム5を得た。
<脱タンパク質処理>
製造例1と同様に行った。
<リン脂質分解処理>
製造例4と同様に行った。
製造例4と同様に脱タンパク質処理、リン脂質分解処理を行って得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム6を得た。
<脂質分解処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して、脂質分解酵素0.05質量部を添加し、室温(25℃)で24時間静置した。静置後、ラテックスを13,000rpmで30分間遠心分離し、上層に分離したクリーム分を取り出した。そして、このクリーム分を同体積の水に再分散させて、脂質分解天然ゴムラテックスを得た。
得られた脂質分解天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して、タンパク分解酵素0.07質量部と、界面活性剤1.5質量部を添加して、30℃で24時間静置した。静置後、ラテックスを13,000rpmで30分間遠心分離し、上層に分離したクリーム分を取り出した。そして、このクリーム分を同体積の水に再分散させて、脱タンパク天然ゴムラテックスを得た。
得られた脱タンパク天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した比較改質天然ゴム7を得た。
<リン脂質分解処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して、リン脂質分解酵素0.05質量部を添加し、室温(25℃)で24時間静置した。静置後、ラテックスを13,000rpmで30分間遠心分離し、上層に分離したクリーム分を取り出した。そして、このクリーム分を同体積の水に再分散させて、リン脂質分解天然ゴムラテックスを得た。
得られたリン脂質分解天然ゴムラテックスに、製造例7で行われた脱タンパク質処理と同様の処理を施して、脱タンパク天然ゴムラテックスを得た。
得られた脱タンパク天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した比較改質天然ゴム8を得た。
<脱タンパク質・脂質分解処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して、タンパク分解酵素0.07質量部、脂質分解酵素0.05質量部、及び界面活性剤1.5質量部を添加して、30℃で24時間静置した。静置後、ラテックスを13,000rpmで30分間遠心分離し、上層に分離したクリーム分を取り出した。そして、このクリーム分を同体積の水に再分散させて、脱タンパク・脂質分解天然ゴムラテックスを得た。
得られた脱タンパク・脂質分解天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した比較改質天然ゴム9を得た。
<遠心分離処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、当該天然ゴムラテックスを5000×gの遠心力で30分間遠心分離し、上澄みのクリーム分を除去してしょう液分を回収した。このしょう液を10000×gの遠心力で1時間遠心分離し、同様にしょう液分を回収した。更に、このしょう液を30000×gの遠心力で2時間遠心分離して、同様にしょう液分を回収し、小粒子径ラテックス画分(改質天然ゴムラテックス)を得た。
得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム11を得た。
<遠心分離処理>
製造例11と同様に行った。
製造例11と同様に遠心分離処理を行って得られた小粒子径ラテックス画分の固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、クリーム分を取り出すための遠心分離を30000×gの遠心力で2時間行った以外は製造例1で行われた脱タンパク質処理と同様の処理を施して、脱タンパク天然ゴムラテックス(改質天然ゴムラテックス)を得た。
得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム12を得た。
<遠心分離処理>
製造例11と同様に行った。
製造例11と同様に遠心分離処理を行って得られた小粒子径ラテックス画分の固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、クリーム分を取り出すための遠心分離を30000×gの遠心力で2時間行った以外は製造例1で行われた脂質分解処理と同様の処理を施して、脂質分解天然ゴムラテックス(改質天然ゴムラテックス)を得た。
得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム13を得た。
<遠心分離処理>
製造例11と同様に行った。
製造例11と同様に遠心分離処理を行って得られた小粒子径ラテックス画分の固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、クリーム分を取り出すための遠心分離を30000×gの遠心力で2時間行った以外は製造例4で行われたリン脂質分解処理と同様の処理を施して、リン脂質分解天然ゴムラテックス(改質天然ゴムラテックス)を得た。
得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム14を得た。
<遠心分離処理>
製造例11と同様に行った。
製造例11と同様に遠心分離処理を行って得られた小粒子径ラテックス画分の固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、製造例12で行われた脱タンパク質処理と同様の処理を施して、脱タンパク天然ゴムラテックスを得た。
得られた脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、製造例13で行われた脂質分解処理と同様の処理を施して、脂質分解天然ゴムラテックス(改質天然ゴムラテックス)を得た。
得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例1で行われた酸凝固処理と同様の処理を施して、固形の改質天然ゴム15を得た。
<遠心分離処理>
製造例11と同様に行った。
<脱タンパク質処理>
製造例15と同様に行った。
<脂質分解処理>
製造例15と同様に行った。
製造例15と同様に遠心分離処理、脱タンパク質処理、脂質分解処理を行って得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム16を得た。
<遠心分離処理>
製造例11と同様に行った。
<脱タンパク質処理>
製造例15と同様に行った。
製造例15と同様に遠心分離処理、脱タンパク質処理を行って得られた脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30質量%に調整した後、製造例14で行われたリン脂質分解処理と同様の処理を施して、リン脂質分解天然ゴムラテックス(改質天然ゴムラテックス)を得た。
得られた改質天然ゴムラテックスに、製造例3で行われた高分子凝集剤凝固処理と同様の処理を施して、水を含んだ状態で凝固した改質天然ゴム17を得た。
<高分子凝集剤凝固処理>
天然ゴムラテックスを固形分濃度(DRC)が15質量%になるまで水を加えて希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0〜4.5に調整し、そこへ0.1質量%高分子凝集剤水溶液を天然ゴムラテックス固形分100質量部に対して0.01質量部加えて、微細な凝集を得た。その後、分離した水相を底部より除き、洗浄を行った。それから、再度水を加えてDRCが15質量%になるまで希釈して洗浄し、再度水を廃棄して水溶性の成分を除き、この一連の洗浄操作を繰り返し行った後、水を含んだ状態で凝固した比較天然ゴムを得た。
窒素含有量は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業社製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、各製造例で得られた天然ゴム試料約10mgを秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
ICP発光分析装置(ICPS−8100、島津製作所社製)を使用して、各製造例で得られた天然ゴム試料のリン含有量を求めた。
各製造例で得られた天然ゴムのサンプル(1mm×1mmに切断したもの)70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、1.3×105rpmで30分間遠心分離してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(質量%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量(mg)/最初のサンプル質量(mg)]×100
下記の条件(1)〜(8)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)法により、原料の天然ゴムと、改質後の天然ゴムの重量平均分子量(Mw)を測定した。原料の天然ゴム、改質後の天然ゴムそれぞれに得られた2山の分子量分布のうち高分子量側のピークトップ分子量を求め、次式により高分子量成分変化割合を求めた。
(2)分離カラム:東ソー社製HM−H(2本直列)
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)注入量:5μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準:標準ポリスチレン
天然ゴムの平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置(Malvern社製の「マスタイザー3000」)を用いて粒度分布を測定し、その測定結果から算出した(体積基準表示)。
改質天然ゴム1〜6:製造例1〜6で得られた改質天然ゴム1〜6
比較改質天然ゴム7〜9:製造例7〜9で得られた比較改質天然ゴム7〜9
改質天然ゴム11〜17:製造例11〜17で得られた改質天然ゴム11〜17
比較天然ゴム:製造例18で得られた比較天然ゴム
BR:宇部興産社製のBR150B(シス含有量:97質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン社製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g、DBP:115ml/100g)
老化防止剤:大内新興化学工業社製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、6PPD)
ステアリン酸:日油社製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業社製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学社製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業社製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
表3、4に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。次に、得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型でプレス加硫して加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)を得た。
JIS K 6300に準じて、得られた未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を130℃で測定した。そして、実施例1〜6、比較例1〜3については、比較例1のムーニー粘度(ML1+4)を100とし、下記計算式により指数表示した。
(ムーニー粘度指数)=(比較例1のML1+4)/(各配合のML1+4)×100
また、実施例11〜17、比較例11については、比較例11のムーニー粘度(ML1+4)を100とし、下記計算式により指数表示した。
(ムーニー粘度指数)=(比較例11のML1+4)/(各配合のML1+4)×100
いずれも指数が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。
JIS K6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム引っ張り特性の求め方」に準じて、3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、得られた加硫ゴム組成物の破断時伸びを測定した。そして、実施例1〜6、比較例1〜3については、比較例1の破断時伸びを100とし、下記計算式により指数表示した。
(ゴム強度指数)=(各配合の破断時伸び)/(比較例1の破断時伸び)×100
また、実施例11〜17、比較例11については、比較例11の破断時伸びを100とし、下記計算式により指数表示した。
(ゴム強度指数)=(各配合の破断時伸び)/(比較例11の破断時伸び)×100
いずれも指数が大きいほどゴム強度が強く、耐チップカット性が良好であるため、破壊性能に優れることを示すといえる。
岩本製作所社製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/分、負荷荷重3.0kg、かつ落砂量15g/分でスリップ率20%にて各加硫ゴム組成物から得られたランボーン摩耗試験用加硫ゴム試験片を摩耗させて、ランボーン摩耗量を測定し、容積損失量を計算し、実施例1〜6、比較例1〜3については、比較例1の耐摩耗性を100として、下記計算式から各配合の耐摩耗性指数を算出した。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の容積損失量/各配合の容積損失量)×100
また、実施例11〜17、比較例11については、比較例11の耐摩耗性を100として、下記計算式から各配合の耐摩耗性指数を算出した。
(耐摩耗性指数)=(比較例11の容積損失量/各配合の容積損失量)×100
いずれも耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
そして、表3の結果より、そのような改質天然ゴムを含むゴム組成物を用いた実施例では、耐摩耗性、破壊性能、及び加工性をバランス良く改善できることが明らかとなった。
また、表2の結果から、遠心分離処理をして特定値以下の平均粒子径を有する天然ゴムとすることによって(製造例11〜17)、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率が低い改質天然ゴムが得られることが分かった。
そして、表4の結果から、そのような改質天然ゴムを含むゴム組成物を用いた実施例では、耐摩耗性、破壊性能、及び加工性をバランス良く改善できることが明らかとなった。
Claims (10)
- 天然ゴムラテックスをタンパク分解酵素によって酵素処理した後、脂質分解酵素及び/又はリン脂質分解酵素で酵素処理して得られる改質天然ゴムを含むことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
- 前記改質天然ゴムが、タンパク分解酵素による酵素処理の前に、遠心分離処理されたものである請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記改質天然ゴムの窒素含有量が、0.30質量%以下である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記改質天然ゴムのリン含有量が、200ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記改質天然ゴムのゲル含有率が、20質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記改質天然ゴムの分子量分布の高分子量側のピークトップ分子量が、前記天然ゴムの分子量分布の高分子量側のピークトップ分子量よりも20%以上小さい請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記改質天然ゴムの分子量分布の高分子量側のピークトップ分子量が、2.0×106以上である請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記改質天然ゴムが、更に、(1)酸、並びに、(2)(i)硝酸、硫酸、炭酸、リン酸、塩酸及びギ酸のそれぞれの酸のカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩若しくはアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の塩、及び/又は、(ii)高分子凝集剤で凝固されたものである請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
- 天然ゴムラテックスをタンパク分解酵素によって酵素処理する工程、並びに、該工程によって得られた処理天然ゴムラテックスを脂質分解酵素及び/又はリン脂質分解酵素で酵素処理する工程を含むことを特徴とする改質天然ゴムの製造方法。
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