JP6378665B2 - プリプレグ製造方法 - Google Patents
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Description
これは、通常,炭素繊維を含んだプリプレグを所定の大きさに切断し、樹脂を含浸させて複数のプリプレグを積層したものを上下の金型間に入れて予熱した後、金型で加圧・加熱することでプリプレグ成形品を得るものである。
また、金型の大きさ等が制限されるため、大型の部品等の製品を成形することは非常に困難であった。
また、他の目的は、大型成形品を品質良好の状態で製造するものである。
減圧可能な容器(1)に多孔質材からなる型(2)をセットして前記容器(1)の開口部を塞ぐ第一工程と、
前記型(2)の上に、加熱時には容易に分解し気体になる程度に分解温度の低い接着剤(M)が上下両面に塗布され、かつ上下に貫通する複数の穴(11)が開けられてなる両面テープ(10)を貼り付ける第二工程と、
前記両面テープ(10)の上に第一層目の前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(51)を貼り付け、第二層目以降の前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(52,53,54,55)を直下に位置する前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(51,52,53,54)に融着させて貼り付け積層する第三工程と、
前記型(2)上に前記両面テープ(10)を介して積層された前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(50)を、赤外線を透過可能なフィルム(F)で覆う第四工程と、
前記容器(1)を減圧し真空状態にして前記型(2)と前記フィルム(F)の間で圧力をかけるとともに、前記フィルム(F)越しに赤外線を前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(50)に照射加熱して溶融させ、前記接着剤(M)から発生するガスを前記両面テープ(10)に開けられた複数の穴(11)及び前記型(2)を通して前記容器(1)外に排出させる第五工程を有することを特徴とする。
この第一工程では、図1に示すように、容器1の上部に設けられた開口部を多孔質材(ポーラス材)からなる型2をセットすることでその開口部を塞ぐものである。
容器1は減圧可能なように下部には連通管1aを介して真空ポンプPが設けられ、容器1内の気体を容器1の外部に排出して容器1内を真空状態にすることができるようになっている。
なお、プリプレグの成形品は型2の形状に沿って成形されるものであり、ここでは型2として上部が平担なものを使用したが曲面状のものを使用することもできる。
次に第二工程では、型2の上に両面テープ10を貼り付けるものである。
両面テープ10の上下両面には、図2に示すように、加熱時には高耐熱ポリイミドのみ残り、それ自身は容易に分解し気体になる程度に分解温度の低いエポキシ系の接着剤Mが塗布され、しかも両面テープ10には上下に貫通する複数の穴(空気穴)11が等間隔で開けられている。
次に第三工程では、図3に示すように、両面テープ10の上に第一層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(UDプリプレグ)51を貼り付け、図4に示すように、第二層目以降の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(UDプリプレグ)52,53,54,55については、それらの直下に位置する炭素繊維強化熱可塑性プラスチック51,52,53,54に融着させることにより貼り付けて積層していくものである(本実施形態では5枚積層したものを例示した)。
特に炭素繊維強化熱可塑性プラスチック50はタック性(粘着性)がなく複数枚を積層させることは困難であるため、第一層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック51については、その直下に位置する両面テープ10の粘着性を利用して貼り付け、第二層目以降の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック52,53,54,55については、それらの直下に位置する炭素繊維強化熱可塑性プラスチック51,52,53,54に融着させてすべりなく固定するようにしたものである。
すなわち、第一層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック51の上に第二層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック52を重ねて赤外線ヒーター30を使用して赤外線を照射することで互いに上下を融着させ、次に、第二層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック52の上に第三層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック53を重ねて赤外線ヒーター30を使用して赤外線を照射することで互いに上下を融着させ、次に、第三層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック53の上に第四層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック54を重ねて赤外線ヒーター30を使用して赤外線を照射することで互いに上下を融着させ、そして、第四層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック54の上に第五層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック55を重ねて赤外線ヒーター30を使用して赤外線を照射することで互いに上下を融着させる。
なお、ここでは、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック50の五層構成にしているが、n層構成にする場合には、同様の作業をn回行う。
熱可塑性プリプレグは炭素繊維と熱可塑性樹脂が一体化したものであるので、赤外線や超音波等により簡易かつ瞬時に互いに融着させることが可能である。
次に第四工程では、図1に示すように、型2上に両面テープ10を介して積層された炭素繊維強化熱可塑性プラスチック50を、赤外線を透過可能なフィルムFで覆って密封するものである。
フィルムFは、特にこれに限定されるわけではないが、高耐熱性をもったポリイミドからなるフィルムであり、フィルムFの周辺は容器1の上面に設けられたOリング40を間にして一層密着性を高めるようにしている。
そして、最後に第五工程では、真空ポンプPを介して容器1内を減圧することで真空状態にして型2とフィルムFの間で圧力をかけるとともに、赤外線ヒーター30を介してフィルムF越しに赤外線を炭素繊維強化熱可塑性プラスチック50に照射し加熱することで積層した炭素繊維強化熱可塑性プラスチック50を溶融させる。
そして、このとき接着剤Mから発生するガスを両面テープ10に開けられた複数の穴11及び型2を通して容器1外に排出させるようにしている。
このようにして、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック50は型2に沿って変形しプリプレグの完成品が成形される。
また、両面テープ10の上下に塗布される接着剤Mとして、分解時には高耐熱ポリイミドに分解して気体になるエポキシ系のものを使用するので、加熱処理時に接着剤Mから発生するガスが容器1外に排出されるとポリイミドだけになり、加熱処理後の両面テープ10は離型紙になり容易に離型することが可能になる。
これによれば、図5に示すように、両面テープ10の上面側に貼り付けられた離型紙20を剥いで、第一層目の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック51を両面テープ10に対して貼り付けるだけでよいので作業が簡単であり、型が曲面であっても容易に追従させることができる。
1a 連通管
2 型
10 両面テープ
11 穴
20 離型紙
30 赤外線ヒーター
31 放射温度計
40 Oリング
50(51〜55) 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック
F フィルム
M 接着剤
P 真空ポンプ
Claims (2)
- 複数枚積層した炭素繊維強化熱可塑性プラスチックに圧力をかけてプリプレグの成形品を製造するプリプレグ製造方法であって、
減圧可能な容器に多孔質材からなる型をセットして前記容器の開口部を塞ぐ第一工程と、
前記型の上に、加熱時には容易に分解し気体になる程度に分解温度の低い接着剤が上下両面に塗布され、かつ上下に貫通する複数の穴が開けられてなる両面テープを貼り付ける第二工程と、
前記両面テープの上に第一層目の前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを貼り付け、第二層目以降の前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを直下に位置する前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチックに融着させて貼り付け積層する第三工程と、
前記型上に前記両面テープを介して積層された前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを、赤外線を透過可能なフィルムで覆う第四工程と、
前記容器を減圧し真空状態にして前記型と前記フィルムの間で圧力をかけるとともに、前記フィルム越しに赤外線を前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチックに照射加熱して溶融させ、前記接着剤から発生するガスを前記両面テープに開けられた複数の穴及び前記型を通して前記容器外に排出させる第五工程を有することを特徴とするプリプレグ製造方法。 - 前記第二層目以降の前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチックを直下に位置する前記炭素繊維強化熱可塑性プラスチックに融着させて貼り付ける際には、超音波振動子,レーザー,及び赤外線ヒーターのうちいずれか一つを使用することを特徴とする請求項1に記載のプリプレグ製造方法。
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