以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、磁気センサ100の構成例を示す。磁気センサ100は、直交する3方向をそれぞれ向く磁場が混合した(合成された)3軸混成磁場を検出する。図1は、直交する3方向をX、Y、Z軸で示し、磁気センサ100のXY平面の平面視を示す。即ち、図1は、基板等の一方の面に磁気センサ100が形成された場合の上面図の一例を示す。
磁気センサ100は、磁気収束部110と、磁気抵抗素子120とを備える。図1の磁気センサ100は、磁気収束部110が第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第3磁気収束部113を有し、磁気抵抗素子120が第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125までの5つの素子を有する例を示す。ここで、第1方向を図1の−Y方向とする。
磁気収束部110は、第1方向に延伸し、XY面に平行な面に形成される。磁気収束部110は、パーマロイ等の磁性材料で形成され、当該磁気収束部110近傍の磁力線の向きを変化させる。図1において、第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第3磁気収束部113は、略同一形状に形成され、X方向に等間隔に配列される例を示す。
また、第1磁気収束部111は、第2磁気収束部112および第3磁気収束部113に対して、+Y方向にΔYずらして形成される例を示す。また、第2磁気収束部112および第3磁気収束部113は、第1磁気収束部111に対して対称に配置されてよい。
図1の点線は、磁束の経路の一例を示す。このように、磁気収束部110は、例えば、Y方向に入力する磁場BYを曲げてX方向の磁場成分を発生させ、当該X方向の磁場成分を磁気抵抗素子120に供給する。
第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125は、第1方向に延伸し、第1方向と垂直な第2方向の磁場を検知する。図1の例において、磁気抵抗素子120は、第1方向に垂直な+X方向および−X方向の磁場を検知する。即ち、第2方向は、+X方向および−X方向を含むものとする。
図1において、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125は、略同一形状にそれぞれ形成され、X方向に等間隔にそれぞれ配列される例を示す。また、第1磁気抵抗素子121から第4磁気抵抗素子124は、第5磁気抵抗素子125に対して対称に配置されてよい。図1は、第1磁気収束部111のY方向の中心軸と第5磁気抵抗素子125のY方向の中心軸とが平面視で一致するように配置され、磁気センサ100が当該2つの中心軸を含むYZ面に対して面対称に形成された例を示す。ここで、対称面であるYZ面を第1面とし、図1においては当該第1面を一点鎖線A−A'で示す。
例えば、磁気収束部110は、図1の点線で示すように、+Y方向に平行に入力される磁場BYを曲げて+X方向の磁場成分を発生させ、第1磁気抵抗素子121に供給する。ここで、磁束の経路が第1磁気抵抗素子121に入力する場合に、当該経路のX成分が、第1磁気抵抗素子121に供給される第2方向の磁場の成分に対応する。したがって、磁束の経路がY方向と平行になっている場合は、第1磁気抵抗素子121に供給される第2方向の磁場の成分は零である。
第1磁気抵抗素子121は、発生したX方向の磁場成分を+β・BYとすると、+δR・β・BYの抵抗値変化を生じさせる。このように、磁気センサ100の磁気抵抗素子120は、Y方向に入力する磁場BYの大きさに応じて、抵抗値を変化させることができる。ここで、βは、磁気収束部110がY方向に入力する磁場BYを第2方向の磁場の成分に変換する磁場変換率を示し、言い換えると、Y方向に入力する磁場BYの大きさに対して、第1磁気抵抗素子121に入力するX方向の磁場の大きさの割合を示す。βは、0以上の値をとる。δRは、磁気抵抗素子の磁気感度に相当し、X方向の磁場に対する第1磁気抵抗素子121の抵抗変化量を示す。同様に、第2磁気抵抗素子122は、磁場BYによって+δR・β・BYの抵抗値変化を生じさせる。
また、磁気センサ100は、第1面に対して面対称に形成されているので、第1磁気抵抗素子121と対称な配置の第3磁気抵抗素子123、および第2磁気抵抗素子122と対称な配置の第4磁気抵抗素子124は、磁場BYによって磁気収束部110から逆方向(即ち、−X方向)の磁場成分が供給される。磁気収束部110は、例えば、磁場BYの入力に応じて、第3磁気抵抗素子123および第4磁気抵抗素子124にX方向の磁場成分−β・BYをそれぞれ供給する。そして、第3磁気抵抗素子123および第4磁気抵抗素子124は、−δR・β・BYの抵抗値変化をそれぞれ生じさせる。ここで、磁場BYによって生じるX方向の磁場成分−β・BYは、+X方向とは逆向きの−X方向なので、抵抗値変化もマイナスとなる。
また、第1磁気収束部111は、第5磁気抵抗素子125を覆うように形成されるので、当該第5磁気抵抗素子125が配置される位置には、磁場BYから変換される第2方向の磁場成分はほとんど発生しない。また、磁気収束部110は、第1面に対して面対称に形成されるので、磁場BYの入力に応じて第5磁気抵抗素子125に第2方向の磁場の成分が入力しても、入力した第2方向の磁場の成分も第1面に対して面対称となって総和がほぼ零となる。したがって、第5磁気抵抗素子125は、磁場BYの入力があっても、抵抗値変化がほとんど生じない。
図2は、磁気センサ100を+Y方向に見た構成例を示す。図2は、図1に対応して、紙面の横方向をX方向、縦方向をZ方向、垂直方向をY方向とする。図2は、基板20の一方の面に形成された磁気センサ100の一例を示す。
磁気抵抗素子120は、例えば、基板20の一方の面に形成された絶縁層30の内部に形成される。即ち、磁気抵抗素子120は、基板20および磁気収束部110とはそれぞれ電気的に絶縁されて形成される。また、磁気収束部110は、絶縁層30の上面に形成される。
磁気収束部110は、例えば、+X方向に平行に入力される磁場BXを、図2の点線で示すように変化させる。即ち、磁気収束部110は、+α・BXの磁場を第1磁気抵抗素子121から第4磁気抵抗素子124に供給し、+δR・α・BXの抵抗値変化をそれぞれ生じさせる。ここで、αは、磁気収束部110がX方向に入力する磁場BXをそれぞれの磁気抵抗素子が検出する第2方向の磁場の成分に変換する磁場変換率を示し、言い換えると、X方向に入力する磁場BXの大きさに対して、それぞれの磁気抵抗素子に入力するX方向の磁場の大きさの割合を示す。αは、0以上の値をとる。
ここで、第1磁気収束部111は、第5磁気抵抗素子125を覆うように形成されるので、当該第5磁気抵抗素子125が配置される位置には、磁場BXの第2方向の磁場のほとんどが第1磁気収束部111に収束される磁束の経路が形成される。即ち、入力磁場BXに対して変換される第2方向の磁場の成分がほとんど発生しないので、第5磁気抵抗素子125は、磁場BYの入力と同様に、磁場BXの入力があっても、抵抗値変化はほとんど生じない。
また、磁気収束部110は、例えば、+Z方向に平行に入力される磁場BZを、図2の実線に示すように変化させる。また、第1面に平行で、かつ、第1磁気抵抗素子121および第2磁気抵抗素子122に挟まれる面を第2面とし、第1磁気抵抗素子121、第2磁気抵抗素子122、第1磁気収束部111、および第2磁気収束部112が、Y方向から見た平面視で、当該第2面に対して対称に形成されている場合、磁場BZ1およびBZ2は、当該第2面に対して面対称となる。ここで、図2において、第2面を一点鎖線B−B'で示す。
この場合、磁気収束部110は、例えば、磁場BZの入力に応じて、第1磁気抵抗素子121に+X方向の磁場成分を発生させる。即ち、第1磁気抵抗素子121は、発生した+X方向の磁場成分を+γ・BZとすると、+δR・γ・BZの抵抗値変化を生じさせる。ここで、γは、磁気収束部110がZ方向に入力する磁場BZを第2方向の磁場の成分に変換する磁場変換率を示し、言い換えると、Z方向に入力する磁場BZの大きさに対して、第1磁気抵抗素子121に入力するX方向の磁場の大きさの割合を示す。γは、0以上の値をとる。また、磁気収束部110は、磁場BZの入力に応じて、第1磁気抵抗素子121とは面対称な配置の第2磁気抵抗素子122にX方向の磁場成分−γ・BZを発生させ、第2磁気抵抗素子122は、−δR・γ・BZの抵抗値変化を生じさせる。
同様に、磁気収束部110は、磁場BZの入力に応じて、第3磁気抵抗素子123にX方向の磁場成分−γ・BZを発生させ、第3磁気抵抗素子123は、−δR・γ・BZの抵抗値変化を生じさせる。また、磁気収束部110は、磁場BZの入力に応じて、第4磁気抵抗素子124にX方向の磁場成分+γ・BZを発生させ、第4磁気抵抗素子124は、+δR・γ・BZの抵抗値変化を生じさせる。
ここで、第1磁気収束部111は、第5磁気抵抗素子125を覆うように形成されるので、当該第5磁気抵抗素子125が配置される位置には、磁場BZから変換される第2方向の磁場の成分はほとんど発生しない。また、磁気収束部110は、第1面に対して面対称に形成されるので、磁場BZの入力に応じて第5磁気抵抗素子125に第2方向の磁場の成分が入力しても、入力した当該磁場成分も第1面に対して面対称となってほとんどが相殺される。したがって、第5磁気抵抗素子125は、磁場BYの入力と同様に、磁場BZの入力があっても、抵抗値変化はほとんど生じない。
以上のように、磁気センサ100は、X、Y、およびZ方向に入力する磁場を磁気収束部110を用いて第5磁気抵抗素子125を除く磁気抵抗素子にX方向の磁場成分が発生するようにそれぞれ曲げ、それぞれの抵抗値に変化を生じさせる。したがって、磁気抵抗素子120は、任意の方向の磁場が入力した場合(即ち、磁場のX、Y、およびZ軸成分の合成で表される入力磁場に対して)、各方向の磁場に応じた抵抗値変化の総和を、抵抗値の変化として生じさせる。
磁気センサ100は、一例として、任意の方向の磁場B(BX,BY,BZ)の入力に応じて、磁気抵抗素子120のそれぞれに次式で示すような抵抗値変化を生じさせる。ここで、R0は、磁場の入力が零の場合のそれぞれの磁気抵抗素子の抵抗値を示す。また、R1からR5は、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125の抵抗値をそれぞれ示す。
(数1)
R1=R0+δR・(α・BX+β・BY+γ・BZ)
R2=R0+δR・(α・BX+β・BY−γ・BZ)
R3=R0+δR・(α・BX−β・BY−γ・BZ)
R4=R0+δR・(α・BX−β・BY+γ・BZ)
R5=R0
磁気センサ100は、磁気抵抗素子120にこのような抵抗値の変化が生じたことで、任意の方向の磁場Bを検出したと判断してもよい。また、磁気センサ100は、それぞれの磁気抵抗素子の抵抗値から、入力された任意の方向の磁場BのXYZ成分のそれぞれを算出してもよい。例えば、(数1)式を用いて次式の右辺を計算することで、左辺のX方向の磁場BXに関する式を取得することができる。
(数2)
4δR・α・BX=(R1−R5)+(R2−R5)+(R3−R5)+(R4−R5)
即ち、磁気センサ100は、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125のそれぞれの抵抗値、およびδR・αの値を(数2)式に代入することで、磁場BXを算出することができる。同様に、次式のY方向の磁場BYに関する式を取得することができる。
(数3)
4δR・β・BY=(R1−R5)+(R2−R5)−(R3−R5)−(R4−R5)
また、同様に、次式のZ方向の磁場BZに関する式を取得することができる。
(数4)
4δR・γ・BZ=(R1−R5)−(R2−R5)−(R3−R5)+(R4−R5)
以上の説明において、任意の方向の磁場Bは、+X方向、+Y方向、および+Z方向の磁場入力を例として説明したが、これに代えて、磁場入力が−X方向、−Y方向、および−Z方向となると、磁束の経路が反転して抵抗値の変化の方向も反転するが、(数2)から(数4)式の関係は保たれる。したがって、磁気センサ100は、(数2)から(数4)までの式を用いることで、任意の方向の磁場Bのそれぞれの磁気抵抗素子の検出結果に基づき、磁場の各方向の成分を算出することができる。
なお、磁気収束部110が任意の方向の磁場Bの各成分を曲げて磁気抵抗素子120の第2方向に供給することを説明した。この場合、磁気抵抗素子120に入力する第2方向の磁場の成分は、Y方向の位置に応じて大きさが異なることがあり、α、β、およびγは当該位置に応じて値が異なることがある。そこで、磁気センサ100は、磁気抵抗素子120の使用領域におけるそれぞれの値の平均値を、α、β、およびγとして便宜的に用いてよい。
図3は、第1磁気抵抗素子121のY方向の位置に対する磁場変換率α、β、およびγの変化の概略構成例を示す。図3の横軸は、図1に示す第1磁気抵抗素子121のY方向の位置と対応している。より具体的には、第1磁気抵抗素子121の長さをY0とすると、当該Y方向の位置を0からY0と示す。つまり、図1において、第1磁気抵抗素子121の−Y方向側の端の位置が0で、第1磁気抵抗素子121の+Y方向側の端の位置がY0である。また、図3の縦軸は、磁場変換率α、β、およびγを示す。理想的には、磁気収束部110は、磁気抵抗素子120に第2方向の均一の磁場を供給することが望ましく、この場合、磁場変換率α、β、およびγは略一定の値となる。図3は、磁場変換率α、β、およびγを、積分要素法による磁場数値解析にて求めた例を示す。
ここで、磁場BXおよびBZが磁気センサ100に入力する方向は、第1磁気抵抗素子121の延伸方向と略垂直な方向なので、磁気収束部110が第1磁気抵抗素子121よりも十分に長ければ、第1磁気抵抗素子121のY方向の位置のほとんどで、略一定の面積密度の磁場を供給することができる。したがって、磁場変換率αおよびγは、位置0からY0の間において、略一定の値となることがわかる。
その一方、磁場BYが入力する方向は、第1磁気抵抗素子121の延伸方向と略同一なので、磁気収束部110が磁場BYを曲げて収束させ、かつ、磁気収束部110の外部に放出する過程における第2方向の磁場の成分が、第1磁気抵抗素子121に検知されることになる。例えば、図1に示す磁束の経路の一例のように、磁気収束部110は、磁束の経路を蛇行させるように変化させる。
図4は、第1磁気収束部111のY方向の断面の構成例を示す。図4は、図1に対応して、紙面の横方向をY方向、縦方向をZ方向、垂直方向をX方向とする。図4の点線は、磁束の経路の一例を示す。第1磁気収束部111は、Y方向の磁場BYを曲げて収束させ、収束させた磁場を外部へと放出する。図1および図4に示した磁束の経路の一例のように、第1磁気収束部111は、Y方向に入力する磁場がある場合、端部においてその近傍の空間に存在する磁場を収束させ(即ち、曲げ)るので、当該端部における第2方向の磁場の成分がより大きくなる。
このように、第1磁気収束部111は、第1磁気抵抗素子121に供給する第2方向の磁場の成分を一定に保持することはできない。即ち、第1磁気収束部111は、第1磁気抵抗素子121のY方向の位置に応じて変化する第2方向の磁場の成分を、当該第1磁気抵抗素子121に供給する。特に、感度を増加する目的でよりY方向の長さの長い第1磁気抵抗素子121を形成した場合、磁場変換率βは、第1磁気抵抗素子121の位置0からY0の間において、略一定の値にはならない。
また、磁気収束部110は、磁場を収束させる端部において第2方向の磁場の成分をより多く発生させるので、第1磁気抵抗素子121のY方向の位置が0近辺に対応する磁場変換率βの値がより大きくなる。磁場変換率βの増加に応じて、第1磁気抵抗素子121が検出できる磁場の成分が増加するので、磁場変換率βが大きいことは望ましい。しかしながら、磁場変換率βは、ある上限値を超えると、磁気抵抗素子の抵抗値がリニアな領域から外れさせてしまうことがある。
特に、GMRおよびTMRといった磁気抵抗素子は、入力磁場に対するダイナミックレンジがホール素子等の磁気センサに比べて狭い。即ち、このような磁気抵抗素子は、入力磁場に対して抵抗値が略線形に変化するリニアな領域が狭い。磁気センサの用途の中には、ある特定範囲の入力磁場に対して、リニアに出力しなければならない用途がある。磁気センサ100のY方向の入力磁場に対する磁場変換率βは、図3に示すように、第1磁気抵抗素子121のY方向の位置0からY0の範囲で、一様ではなく、特に、第1磁気抵抗素子121の位置が0の近辺で、磁場変換率βが急峻に増加している。即ち、第1磁気抵抗素子121の位置が0の近辺で、磁気センサ100がY方向の入力磁場を第2方向に変換して第1磁気抵抗素子121に入力する磁場は、急峻に増加している。例えば、ある特定範囲の最大の磁場が磁気センサ100のY方向に入力する場合、Y方向の入力磁場を第2方向に変換して第1磁気抵抗素子121に入力する磁場が第1磁気抵抗素子121のもつリニアな領域から外れてしまう第1磁気抵抗素子121の一部分が生じてしまうことがあった。このとき、第1磁気抵抗素子121の一部分はリニアでない抵抗変化を示すため、磁気センサ100はリニアリティを損なうことがあった。
したがって、第1磁気抵抗素子121は、例えば図3の点線で示すように、磁場変換率βが予め定められた上限値を超えない範囲で用いることが望ましく、当該範囲を使用可能領域としていた。即ち、磁気センサ100は、第1磁気抵抗素子121のうち、使用可能領域に対応する一部の領域の抵抗変化を、検出結果として用いていた。このように、磁気センサ100は、長さY0の第1磁気抵抗素子121を形成しても、全ての長さを用いて磁場BYを検出することが困難であった。
この場合、第1磁気抵抗素子121の使用可能領域に対応する一部の長さの間の抵抗値を取得すべく、一例として、第1磁気抵抗素子121が延伸する途中に電極を形成していた。図3は、第1磁気抵抗素子121の延伸方向の途中と当該素子のY0側の端部との間(即ち、当該素子の使用可能領域)の抵抗を、抵抗測定器で測定して当該素子の一部の抵抗変化を取得する例を示す。以上において、第1磁気抵抗素子121を例に説明したが、他の磁気抵抗素子についても同様である。よって、このように使用することは磁気抵抗素子の実効長が短くなることから、それぞれの磁気抵抗素子のノイズが増大し、磁気センサ100のノイズ増大を招いていた。
また、磁場変換率βが急峻に増加する位置(即ち、図3におけるY方向の位置が0近辺)において、磁場変換率βが上限値を超えないように調整することもできる。しかし、このような調整は、磁気抵抗素子の全ての領域を使用可能として用いることができるが、従来、平均化された磁場変換率βは、例えばαおよびγ等と比較して小さなものになり、検出感度の低下を招くことがあった。
そこで、本実施形態の磁気センサ100は、磁気収束部110に磁気収束部材を加え、磁場変換率αおよびγの傾向を保ったまま、磁場変換率βの極端な増加を抑制して磁気抵抗素子の使用可能領域を増加させる。図5は、本実施形態に係る磁気センサ100の第1の構成例を示す。図5は、磁気センサ100のZ方向から見た平面視の構成例を示す。磁気センサ100は、第1磁気収束部111および第2磁気収束部112で構成される磁気収束部110と、第1磁気抵抗素子121と、第1磁気収束部材131とを備える。即ち、図5に示す本実施形態の磁気センサ100は、磁気抵抗素子120として1つの第1磁気抵抗素子121を備える例を示す。
第1磁気収束部111は、第1方向に延伸する。第2磁気収束部112は、第1方向に延伸し、第1磁気収束部111の第1端部側よりも第1方向に延伸する。ここで、第1方向を図5の−Y方向とする。即ち、第1磁気収束部111の−Y方向側の端部を第1端部とする。また、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112とは略同一形状であって、第1磁気収束部111が、第2磁気収束部112に対して、+Y方向にΔYずらして形成される例を示す。
図5において、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112は、Z方向から見た平面視で、それぞれ形状が長方形である例を示したが、これに代えて、第1方向に略平行な向きに長手方向をもつ四角形、平行四辺形、台形のいずれであってもよい。また、Z方向から見た平面視で、磁気収束部の4つの角が直角になっているが、少なくとも1つの角が丸まっていたり、面取されていたりしてもよい。また、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112は、各々が第1方向に平行であり、かつ、第1方向に平行な各々の長辺が略同一の長さを有しているが、各々の長辺が異なる長さであってもよい。また、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112は、第2方向(X方向)に平行な各々の短辺が略同一の長さを有しているが、各々の短辺が異なる長さであってもよい。
第1磁気収束部111および第2磁気収束部112は、XY面に平行な面に形成される。第1磁気収束部111および第2磁気収束部112は、パーマロイ等の磁性材料で形成され、当該磁気収束部110近傍の磁力線の向きを変化させる。第1磁気収束部111および第2磁気収束部112は、例えば、Y方向に入力する磁場BYを曲げてX方向の磁場成分を発生させ、当該X方向の磁場成分を第1磁気抵抗素子121に供給する。
第1磁気抵抗素子121は、Z方向から見た平面視で、第1磁気収束部111および第2磁気収束部112の間で第1方向に延伸し、第1方向と垂直な第2方向の磁場を検知する。即ち、第1磁気抵抗素子121は、+X方向および−X方向を含む第2方向の磁場を検知する。第1磁気抵抗素子121は、当該第2方向の磁場によって、例えば電気抵抗率が十%から数十%程度変化する磁気抵抗比を有する(巨大磁気抵抗)。第1磁気抵抗素子121は、一例として、非磁性層、反強磁性体層および強磁性体層を含む多層薄膜で形成される。
第1磁気抵抗素子121は、第2磁気収束部112よりも第1磁気収束部111までの距離が小さい。つまり、第1磁気抵抗素子121は、第1磁気収束部111に近接して配置される。本実施例において、第1磁気抵抗素子121は、Z方向から見た平面視では長方形で示される直方体の形状で形成された例を示す。また、本実施例では、各磁気抵抗素子が巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto−Resistance)素子である場合について示すが、GMR素子に限らず、異方向性磁気抵抗(AMR:Anisotropic Magneto−Resistance)素子やトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magneto−Resistance)素子で構成してもよい。
また、図5において、第1磁気抵抗素子121は、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112とが第2方向において重なる第1方向の範囲で、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112との間に配置される例を示す。この場合、X方向に入力する磁場BXと、Y方向に入力する磁場BYと、Z方向に入力する磁場BZと、が第2方向(X方向)に変換され、第2方向(X方向)に変換された磁場が第1磁気抵抗素子121により効果的に入力することができる。図5において、第1磁気抵抗素子121は、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112とが第2方向においてちょうど重なる第1方向の長さをもち、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112との間に配置される例を示す。
さらに、第1磁気抵抗素子121は、平板状であることが好ましい。第1磁気抵抗素子121の形状は、Z方向から見た平面視で、矩形に限らず、例えば、四角形、正方形、平行四辺形、台形、三角形、多角形、円形、および楕円形のいずれであってもよい。また、第1方向に磁気抵抗素子を小分けに分割区分してそれらをメタル配線とで交互に接続した一連の複数の磁気抵抗素子は、1かたまりの磁気抵抗素子として見做すことができる。言い換えると、例えば、第1磁気抵抗素子121は、1つの磁気抵抗素子に限らず、2つ以上の磁気抵抗素子をメタル配線で接続して形成されてもよい。
第1磁気収束部材131は、第1磁気収束部111の第1方向側(−Y方向側)の第1端部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第1端部から第1磁気抵抗素子121側に突出して形成される。第1磁気収束部材131は、例えば、第1磁気収束部111の最大幅(第2方向の長さの最大値)よりも第1磁気抵抗素子側に突出するように形成される。また、第1磁気収束部材131は、第1方向から見て、第1端部から第2磁気収束部112側(−X方向側)および/または第2磁気収束部112とは反対側(+X方向側)へと延伸する。この場合、第1磁気収束部材131は、Z方向から見た平面視で、第1方向において第1磁気抵抗素子121と重なる位置まで延伸してよい。
また、第1磁気収束部材131は、第1方向と垂直な断面が第1磁気収束部111の第1端部における第1方向と垂直な断面よりも大きい。また、第1磁気収束部材131は、Z方向から見た平面視で、多角形の形状を有してもよい。図5において、第1磁気収束部材131は、Z方向から見た平面視では第2方向に長辺が延伸する長方形で示される、直方体の形状で形成された例を示す。第1磁気収束部材131は、第1磁気収束部111と略同一の磁性材料で形成されてよい。
図5において、第2磁気収束部112の第1方向側(−Y方向側)の端部は、第1磁気収束部111の第1端部に接続する第1磁気収束部材131の第1方向側(−Y方向側)の端部よりも延伸している。また、第1磁気収束部111の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部は、第2磁気収束部112の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部よりも延伸している。こうすることで、磁気センサ100に+Y方向に入力する磁場BYは、図5の点線で示すように、第2磁気収束部112に収束され、第1磁気抵抗素子121を横切り、第1磁気収束部111を通る磁路を形成する。
以上のような磁気センサ100は、+Y方向に平行に入力される磁場BYに応じて、第1磁気抵抗素子121にX方向の磁場成分を発生させる。第1磁気抵抗素子121は、発生したX方向の磁場成分を+β・BYとすると、+δR・β・BYの抵抗値変化を生じさせる。即ち、磁気センサ100の磁気抵抗素子120は、磁場BYの大きさに応じて、抵抗値を変化させることができる。ここで、βは、磁気収束部110がY方向に入力する磁場BYを第2方向の磁場の成分に変換する磁場変換率を示し、言い換えると、Y方向に入力する磁場BYの大きさに対して、第1磁気抵抗素子121に入力するX方向の磁場の大きさの割合を示す。βは、0以上の値をとる。δRは、磁気抵抗素子の磁気感度に相当し、X方向の磁場に対する第1磁気抵抗素子121の抵抗変化量を示す。
図6は、本実施形態に係る磁気センサ100を+Y方向に見た構成例を示す。図6は、図5に対して、紙面の横方向をX方向、縦方向をZ方向、垂直方向をY方向とする。図6は、基板20の一方の面に形成された磁気センサ100の一例を示す。
第1磁気抵抗素子121は、例えば、基板20の一方の面に形成された絶縁層30の内部に形成される。即ち、第1磁気抵抗素子121は、基板20および磁気収束部110とはそれぞれ電気的に絶縁されて形成される。
このような第1磁気抵抗素子121を内部に有する絶縁層30は、一例として、基板20の一方の面に絶縁膜を形成し、当該絶縁膜の上面に第1磁気抵抗素子121を形成し、第1磁気抵抗素子121が形成された絶縁膜の上面に更に絶縁膜を形成することで形成される。絶縁層30は、このように、複数の絶縁膜等によって形成されてよい。第1磁気収束部111および第2磁気収束部112は、絶縁層30の上面に形成される。このように、第1磁気収束部111および第2磁気収束部112は、一例として、第1磁気抵抗素子121が形成される面と平行で、かつ、異なる面に形成される。また、図6では、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112のZ方向の厚みが揃っているが、各々の厚みが不揃いであってもよい。
磁気センサ100は、例えば、+X方向に平行に入力される磁場BXを、図6の点線で示すように変化させる。即ち、第1磁気抵抗素子121は、+δR・α・BXの抵抗値変化をそれぞれ生じさせる。ここで、αは、磁気収束部110がX方向に入力する磁場BXを第1磁気抵抗素子121が検出する第2方向の磁場の成分に変換する磁場変換率を示し、言い換えると、X方向に入力する磁場BXの大きさに対して、第1磁気抵抗素子121に入力するX方向の磁場の大きさの割合を示す。αは、0以上の値をとる。
また、磁気センサ100は、例えば、+Z方向に平行に入力される磁場BZを、図6の実線に示すように変化させる。即ち、磁気収束部110は、磁場BZの入力に応じて、第1磁気抵抗素子121にX方向の磁場成分を発生させる。第1磁気抵抗素子121は、発生したX方向の磁場成分を+γ・BZとすると、+δR・γ・BZの抵抗値変化を生じさせる。ここで、γは、磁気収束部110がZ方向に入力する磁場BZを2方向の磁場の成分に変換する磁場変換率を示し、言い換えると、Z方向に入力する磁場BZの大きさに対して、第1磁気抵抗素子121に入力するX方向の磁場の大きさの割合を示す。γは、0以上の値をとる。
以上のように、磁気センサ100は、X、Y、およびZ方向に入力する磁場を、第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第1磁気収束部材131を用いて第1磁気抵抗素子121に第2方向の磁場成分が発生するようにそれぞれ曲げ、第1磁気抵抗素子121に抵抗値の変化を生じさせる。磁気センサ100は、任意の方向の磁場が入力した場合、各方向の磁場に応じた抵抗値変化の総和を、抵抗値の変化として生じさせる。
磁気センサ100は、一例として、任意の方向の磁場B(BX,BY,BZ)に対して、第1磁気抵抗素子121に次式で示すような抵抗値変化を生じさせる。ここで、R0は、磁場の入力が零の場合のそれぞれの磁気抵抗素子の抵抗値を示す。
(数5)
R1=R0+δR・(α・BX+β・BY+γ・BZ)
本実施形態の磁気センサ100は、第1磁気抵抗素子121にこのような抵抗値の変化が生じたことで、任意の方向の磁場Bを検出したと判断することができる。即ち、磁気センサ100は、検出すべき磁場の方向に対応して配置することなく、任意の方向の磁場Bの有無を検出することができる。このように、磁気センサ100は、小型で、かつ、配置方向の制限がほとんどないので、機器に容易に組み込むことができる。
図7は、本実施形態に係る第1磁気抵抗素子121のY方向の位置に対する磁場変換率α、β、およびγの変化の概略構成例を示す。図7の横軸は、図5に示す第1磁気抵抗素子121のY方向の位置と対応している。より具体的には、第1磁気抵抗素子121の長さをY0とすると、当該Y方向の位置を0からY0と示す。つまり、図5において、第1磁気抵抗素子121の−Y方向側の端の位置が0で、第1磁気抵抗素子121の+Y方向側の端の位置がY0である。また、図7の縦軸は、磁場変換率α、β、およびγを示す。磁場変換率α、β、およびγは、積分要素法による磁場数値解析にて求めた。
磁場BXおよびBZが磁気センサ100に入力する方向は、第1磁気抵抗素子121の延伸方向と略垂直な方向なので、磁気収束部110が第1磁気抵抗素子121よりも十分に長ければ、第1磁気抵抗素子121のY方向の位置のほとんどで、略一定の面積密度の磁場を供給することができる。したがって、磁場変換率αおよびγは、位置0からY0の間において、略一定の値となる。
なお、横軸Y=0近傍で磁場変換率αおよびγが減少しているのは、第1磁気収束部材131によるものである。すなわち、第1磁気収束部材131が+X方向に入力する磁場Bxと、+Z方向に入力する磁場Bzを収束して、第1磁気抵抗素子121の第1方向側の端部(−Y方向側)へ供給される+X方向の磁場成分を減少させていることによるものである。しかしながらこの影響は磁場変換率βの変動に比べて小さく、磁場変換率αおよびγは第1磁気抵抗素子121において略一定の値となる。
磁場BYが入力する方向は、第1磁気抵抗素子121の延伸方向と略同一なので、第1磁気収束部111が磁場BYを曲げて収束させ、かつ、第1磁気収束部111の外部に放出する過程における第2方向の磁場の成分が、第1磁気抵抗素子121に検知されることになる。
図8は、本実施形態に係る第1磁気収束部111のY方向の断面の構成例を示す。図8の点線は、磁束の経路の一例を示す。第1磁気収束部材131が無い場合、Y方向に入力する磁場があると、第1磁気収束部111の第1端部に、その近傍の空間に存在する磁場が収束(集中)する。これによって、第1磁気収束部111の第1端部に近い第1磁気抵抗素子121のY方向の位置が0の近辺では、第1磁気抵抗素子121に第2方向で入力する磁場が増大し、磁場変換率βが急峻に増大していた。これに対し、第1磁気収束部111の第1端部に第1磁気収束部材131を接続する場合、図8に示すように、Y方向に入力する磁場があっても、第1磁気収束部材131に、その近傍の空間に存在する磁場が収束(集中)するので、第1磁気収束部111の第1端部に近い第1磁気抵抗素子121のY方向の位置が0の近辺では、第1磁気抵抗素子121に第2方向で入力する磁場が減少し、磁場変換率βが低減することができる。図8は、YZ平面で見た、第1磁気収束部材131に、その近傍に存在する磁場が収束(集中)する様子を示したものであるが、図示にはないが、図5のようなXY平面で見ても、第1磁気収束部111の第1端部ではなく、第1磁気抵抗素子121側に突出した第1磁気収束部材131に、その近傍に存在する磁場が収束(集中)することが分かっている。
以上のように、第1磁気収束部材131は、第1磁気収束部111と並走する第1磁気抵抗素子121に、急峻に増大した磁場の第2方向成分が入力することを防止して、第1磁気抵抗素子121の磁場変換率βが予め定められた上限値を超えない範囲とすることができる。したがって、磁気センサ100は、形成した長さY0の第1磁気抵抗素子121の全部の長さを用いて磁場BYを検出することができ、検出感度を向上させることができる。図7は、第1磁気抵抗素子121の一方の端と他方の端との間(即ち、当該素子の使用可能領域)の抵抗を、抵抗測定器で測定して当該素子の一部の抵抗変化を取得する例を示す。
図9は、本実施形態に係る磁気センサ100の第1の変形例を示す。図9は、第1の変形例の磁気センサ100のZ方向から見た平面視の構成例であり、本変形例の磁気センサ100において、図5に示された本実施形態に係る磁気センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。また、図10は、本実施形態に係る磁気センサ100の第1の変形例の+Y方向にみた構成例を示す。図10は、図9に対応して、紙面の横方向をX方向、縦方向をZ方向、垂直方向をY方向とした図であり、図6に示された本実施形態に係る磁気センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
本変形例の磁気センサ100は、磁気収束部110が第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第3磁気収束部113を有し、磁気抵抗素子120が第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125までの5つの素子を有し、第1磁気収束部材131と、第2磁気収束部材132と、第3磁気収束部材133とを備える例を示す。
第1磁気収束部111は、第1方向に延伸する。第2磁気収束部112は、第1方向に延伸し、第1磁気収束部111の第1端部側よりも第1方向に延伸する。ここで、第1方向を図9の−Y方向とする。即ち、第1磁気収束部111の−Y方向側の端部を第1端部とする。
第3磁気収束部113は、第1方向に延伸し、第1磁気収束部111の第1端部側よりも第1方向に延伸され、第1磁気収束部111に対し第2磁気収束部112とは反対側に設けられる。即ち、第3磁気収束部113は、第1方向に延伸し、XY面に平行な、第1磁気収束部111および第2磁気収束部112が形成される面に形成される。図9において、第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第3磁気収束部113は、略同一形状に形成され、X方向に等間隔に配列される例を示す。
図9において、第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第3磁気収束部113は、Z方向から見た平面視で、それぞれ形状が長方形である例を示したが、これに代えて、第1方向に略平行な向きに長手方向をもつ四角形、平行四辺形、台形のいずれであってもよい。また、Z方向から見た平面視で、磁気収束部の4つの角が直角になっているが、少なくとも1つの角が丸まっていたり、面取されていたりしてもよい。また、第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第3磁気収束部113は、各々が第1方向に平行であり、かつ、第1方向に平行な各々の長辺が略同一の長さを有しているが、各々の長辺が異なる長さであってもよい。また、第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第3磁気収束部113は、第2方向(X方向)に平行な各々の短辺が略同一の長さを有しているが、各々の短辺が異なる長さであってもよい。第1磁気収束部111、第2磁気収束部112、および第3磁気収束部113は、パーマロイ等の磁性材料で形成される。
第1磁気収束部111の第1端部とは反対側(+Y方向側)の端部は、第2磁気収束部112の第1方向とは反対側(+Y方向側)の第2端部よりも第1方向とは反対方向(+Y方向)に延伸される。また、第1磁気収束部111の第1端部とは反対側(+Y方向側)の端部は、第3磁気収束部113の第1方向とは反対側(+Y方向側)の第3端部よりも第1方向とは反対方向(+Y方向)に延伸される。即ち、第1磁気収束部111は、第2磁気収束部112および第3磁気収束部113に対して、+Y方向にΔYずらして形成される。また、第2磁気収束部112および第3磁気収束部113は、Z方向から見た平面視で、第1磁気収束部111に対して対称な配置に設けられてよい。
第1磁気抵抗素子121は、Z方向から見た平面視で、第1磁気収束部111および第2磁気収束部112の間で第1方向に延伸し、第2磁気収束部112よりも第1磁気収束部111までの距離が小さい。つまり、第1磁気抵抗素子121は、第2磁気収束部112よりも第1磁気収束部111の近くに配置される。また、第2磁気抵抗素子122は、Z方向から見た平面視で、第1磁気収束部111および第2磁気収束部112の間で第1方向に延伸し、第1磁気収束部111よりも第2磁気収束部112に近くに配置される。また、第3磁気抵抗素子123は、Z方向から見た平面視で、第1磁気収束部111および第3磁気収束部113の間で第1方向に延伸し、第3磁気収束部113よりも第1磁気収束部111に近くに配置される。また、第4磁気抵抗素子124は、Z方向から見た平面視で、第1磁気収束部111および第3磁気収束部113の間で第1方向に延伸し、第1磁気収束部111よりも第3磁気収束部113に近くに配置される。
第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125は、第1方向と垂直な第2方向の磁場をそれぞれ検知する。即ち、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125は、+X方向および−X方向を含む第2方向の磁場をそれぞれ検知する。第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125は、当該第2方向の磁場によって、それぞれ例えば電気抵抗率が十%から数十%程度変化する磁気抵抗比を有する(巨大磁気抵抗)。第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125は、一例として、非磁性層、反強磁性体層および強磁性体層を含む多層薄膜でそれぞれ形成される。
以上の第1磁気抵抗素子121から第4磁気抵抗素子124は、一例として、Z方向から見た平面視で、第1磁気収束部111に対して対称な配置に設けられる。また、第1から第4磁気抵抗素子は、一例として、略同一方向の感磁性を有する。また、第1磁気抵抗素子121および第3磁気抵抗素子123の間に、第5磁気抵抗素子125を更に設けてもよい。第5磁気抵抗素子125は、一例として、第1から第4磁気抵抗素子と略同一方向の感磁性を有する。図9は、第1磁気収束部111のY方向の中心軸と第5磁気抵抗素子125のY方向の中心軸とが平面視で一致するように配置され、磁気センサ100が当該2つの中心軸を含むYZ面に対して面対称に形成された例を示す。ここで、対称面であるYZ面を第1面とする。
図9において、第1磁気抵抗素子121および第2磁気抵抗素子122は、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112とが第2方向において重なる第1方向の範囲で、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112との間に配置される例を示す。この場合、X方向に入力する磁場BXと、Y方向に入力する磁場BYと、Z方向に入力する磁場BZと、が第2方向(X方向)に変換され、第2方向(X方向)に変換された磁場が第1磁気抵抗素子121および第2磁気抵抗素子122により効果的に入力することができる。図9において、第1磁気抵抗素子121および第2磁気抵抗素子122は、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112とが第2方向においてちょうど重なる第1方向の長さをもち、第1磁気収束部111と第2磁気収束部112との間に配置される例を示す。
同様に、第3磁気抵抗素子123および第4磁気抵抗素子124は、第1磁気収束部111と第3磁気収束部113とが第2方向において重なる第1方向の範囲で、第1磁気収束部111と第3磁気収束部113との間に配置される例を示す。この場合、X方向に入力する磁場BXと、Y方向に入力する磁場BYと、Z方向に入力する磁場BZと、が第2方向(X方向)に変換され、第2方向(X方向)に変換された磁場が第3磁気抵抗素子123および第4磁気抵抗素子124により効果的に入力することができる。図9において、第3磁気抵抗素子123および第4磁気抵抗素子124は、第1磁気収束部111と第3磁気収束部113とが第2方向においてちょうど重なる第1方向の長さをもって、第1磁気収束部111と第3磁気収束部113との間に配置される例を示す。
第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125は、それぞれ平板状であることが好ましい。第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125のそれぞれの形状は、Z方向から見た平面視で、矩形に限らず、例えば、四角形、正方形、平行四辺形、台形、三角形、多角形、円形、楕円形のいずれであってもよい。第1方向に磁気抵抗素子を小分けに分割区分してそれらをメタル配線とで交互に接続した一連の複数の磁気抵抗素子は、1かたまりの磁気抵抗素子として見做すことができる。言い換えると、例えば、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125は、1つの磁気抵抗素子に限らず、2つ以上の磁気抵抗素子をメタル配線で接続して形成されてもよい。
第1磁気収束部材131は、第1磁気収束部111の第1方向側(−Y方向側)の第1端部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第1端部から第1磁気抵抗素子121側および/または第3磁気抵抗素子123側に突出して形成される。第1磁気収束部材131は、例えば、第1磁気収束部111の最大幅(第2方向の長さの最大値)よりも第1磁気抵抗素子側に突出するように形成される。また、第1磁気収束部材131は、第1方向から見て、第1端部から第2磁気収束部112側(−X方向側)および/または第3磁気収束部113側(+X方向側)へと延伸する。この場合、第1磁気収束部材131は、Z方向から見た平面視で、第1方向において第1磁気抵抗素子121および/または第3磁気抵抗素子123と重なる位置まで延伸してよい。
また、第1磁気収束部材131は、第1方向と垂直な断面が第1磁気収束部111の第1端部における第1方向と垂直な断面よりも大きい。また、第1磁気収束部材131は、Z方向から見た平面視で、多角形の形状を有してもよい。図9において、第1磁気収束部材131は、Z方向から見た平面視では第2方向に長辺が延伸する長方形で示される、直方体の形状で形成された例を示す。第1磁気収束部材131は、第1磁気収束部111と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第2磁気収束部材132は、第2磁気収束部112の第1方向とは反対側(+Y方向側)の第2端部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第2端部から第1磁気抵抗素子121側または第2磁気抵抗素子122側に突出して形成される。第2磁気収束部材132は、例えば、第2磁気収束部112の最大幅(第2方向の長さの最大値)よりも第1磁気抵抗素子121側または第2磁気抵抗素子122側に突出するように形成される。また、第2磁気収束部材132は、第1方向から見て、第2端部から第1磁気収束部111側(+X方向側)および/または第1磁気収束部111とは反対側(−X方向側)へと延伸する。この場合、第1磁気収束部材131は、Z方向から見た平面視で、第1方向において第2磁気抵抗素子122と重なる位置まで延伸してよい。
また、第2磁気収束部材132は、第1方向と垂直な断面が第2磁気収束部112の第2端部における第1方向と垂直な断面よりも大きい。また、第2磁気収束部材132は、Z方向から見た平面視で、多角形の形状を有してもよい。図9において、第2磁気収束部材132は、Z方向から見た平面視では第2方向に長辺が延伸する長方形で示される、直方体の形状で形成された例を示す。第2磁気収束部材132は、第1磁気収束部111と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第3磁気収束部材133は、第3磁気収束部113の第1方向とは反対側(+Y方向側)の第3端部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第3端部から第3磁気抵抗素子123側または第4磁気抵抗素子124側に突出して形成される。第3磁気収束部材133は、例えば、第3磁気収束部113の最大幅(第2方向の長さの最大値)よりも第3磁気抵抗素子123側または第4磁気抵抗素子124側に突出するように形成される。また、第3磁気収束部材133は、第1方向から見て、第3端部から第1磁気収束部111側(−X方向側)および/または第1磁気収束部111とは反対側(+X方向側)へと延伸する。この場合、第3磁気収束部材133は、Z方向から見た平面視で、第1方向において第4磁気抵抗素子124と重なる位置まで延伸してよい。
また、第3磁気収束部材133は、第1方向と垂直な断面が第3磁気収束部113の第3端部における第1方向と垂直な断面よりも大きい。また、第3磁気収束部材133は、Z方向から見た平面視で、多角形の形状を有してもよい。図9において、第3磁気収束部材133は、Z方向から見た平面視では第2方向に長辺が延伸する長方形で示される、直方体の形状で形成された例を示す。第3磁気収束部材133は、第3磁気収束部113と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第2磁気収束部112の第2端部とは反対側(−Y方向側)の端部は、第1磁気収束部111の第1端部に接続する第1磁気収束部材131の第1方向側(−Y方向側)の端部よりも延伸している。また、第1磁気収束部111の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部は、第2磁気収束部112の第2端部に接続する第2磁気収束部材132の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部よりも延伸している。こうすることで、磁気センサ100に+Y方向に入力する磁場BYは、図9の点線で示すように、第2磁気収束部112に収束され、第1磁気抵抗素子121および第2磁気抵抗素子122を横切り、第1磁気収束部111を通る磁路を形成する。
また、第3磁気収束部113の第3端部とは反対側(−Y方向側)の端部は、第1磁気収束部111の第1端部に接続する第1磁気収束部材131の第1方向側(−Y方向側)の端部よりも延伸している。また、第1磁気収束部111の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部は、第3磁気収束部113の第3端部に接続する第3磁気収束部材133の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部よりも延伸している。こうすることで、磁気センサ100に+Y方向に入力する磁場BYは、図9の点線で示すように、第3磁気収束部113に収束され、第3磁気抵抗素子123および第4磁気抵抗素子124を横切り、第1磁気収束部111を通る磁路を形成する。
以上のような磁気センサ100は、+Y方向に平行に入力される磁場BYに応じて、第1磁気抵抗素子121および第2磁気抵抗素子122に、X方向の磁場成分+β・BYをそれぞれ供給して、+δR・β・BYの抵抗値変化をそれぞれ生じさせる。また、磁気センサ100は、磁気収束部110が第1面に対して面対称に形成されるので、磁場BYの入力に応じて、第3磁気抵抗素子123および第4磁気抵抗素子124に、X方向の磁場成分−β・BYをそれぞれ供給して、−δR・β・BYの抵抗値変化をそれぞれ生じさせる。ここで、磁場BYによって生じるX方向の磁場成分−β・BYは、X方向とは逆向きの−X方向なので、抵抗値変化もマイナスとなる。
また、第1磁気収束部111は、第5磁気抵抗素子125を覆うように形成されるので、当該第5磁気抵抗素子125が配置される位置には、磁場BYから変換される第2方向の磁場の成分はほとんど発生しない。また、磁気収束部110は、第1面に対して面対称に形成されるので、磁場BYの入力に応じて第5磁気抵抗素子125に第2方向の磁場の成分が入力しても、当該入力磁場成分も第1面に対して面対称となって総和がほぼ零となる。したがって、第5磁気抵抗素子125は、磁場BYの入力があっても、抵抗値変化がほとんど生じない。
また、磁気センサ100は、+X方向に平行に入力される磁場BXに応じて、第1磁気抵抗素子121から第4磁気抵抗素子124に、X方向の磁場成分+α・BXをそれぞれ供給して、+δR・α・BXの抵抗値変化をそれぞれ生じさせる。
また、磁気センサ100は、磁場BZの入力に応じて、第1磁気抵抗素子121および第4磁気抵抗素子124にX方向の磁場成分+γ・BZをそれぞれ発生させ、第1磁気抵抗素子121および第4磁気抵抗素子124は、+δR・γ・BZの抵抗値変化をそれぞれ生じさせる。また、磁気収束部110は、磁場BZの入力に応じて、第2磁気抵抗素子122および第3磁気抵抗素子123にX方向の磁場の成分−γ・BZをそれぞれ発生させ、第2磁気抵抗素子122および第3磁気抵抗素子123は、−δR・γ・BZの抵抗値変化をそれぞれ生じさせる。
ここで、第1磁気収束部111は、第5磁気抵抗素子125を覆うように形成されるので、当該第5磁気抵抗素子125が配置される位置には、磁場BXの第2方向の磁場のほとんどが第1磁気収束部111に収束される磁束の経路が形成される。即ち、入力磁場BXに対して変換される第2方向の磁場の成分がほとんど発生しないので、第5磁気抵抗素子125は、磁場BYの入力と同様に、磁場BXの入力があっても、抵抗値変化はほとんど生じない。
同様に、当該第5磁気抵抗素子125が配置される位置には、磁場BZから変換される第2方向の磁場の成分はほとんど発生しない。また、磁気収束部110は、第1面に対して面対称に形成されるので、磁場BZの入力に応じて第5磁気抵抗素子125に第2方向の磁場の成分が入力しても、入力した当該磁場成分も第1面に対して面対称となってほとんどが相殺される。したがって、第5磁気抵抗素子125は、磁場BYの入力と同様に、磁場BZの入力があっても、抵抗値変化はほとんど生じない。
第5磁気抵抗素子125は、図5において、第1磁気収束部111に覆われるように配置されているが、これには限定せず、第2磁気収束部112または第3磁気収束部113に覆われるように配置されてよく、この場合でも上記と同様な結果が得られる。
以上のように、本変形例の磁気センサ100は、X、Y、およびZ方向に入力する磁場を、磁気収束部110と第1磁気収束部材131から第3磁気収束部材133を用いて、第5磁気抵抗素子125を除く磁気抵抗素子に第2方向の磁場成分が発生するようにそれぞれ曲げ、抵抗値の変化を生じさせる。磁気センサ100は、任意の方向の磁場が入力した場合、各方向の磁場に応じた抵抗値変化の総和を、抵抗値の変化として生じさせる。
磁気センサ100は、一例として、任意の方向の磁場B(BX,BY,BZ)に対して、磁気抵抗素子120のそれぞれに次式で示すような抵抗値変化を生じさせる。ここで、R0は、磁場の入力が零の場合のそれぞれの磁気抵抗素子の抵抗値を示す。また、R1からR5は、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125の抵抗値をそれぞれ示す。
(数6)
R1=R0+δR・(α・BX+β・BY+γ・BZ)
R2=R0+δR・(α・BX+β・BY−γ・BZ)
R3=R0+δR・(α・BX−β・BY−γ・BZ)
R4=R0+δR・(α・BX−β・BY+γ・BZ)
R5=R0
また、(数6)式より、次式を得ることができる。
(数7)
4δR・α・BX=(R1−R5)+(R2−R5)+(R3−R5)+(R4−R5)
4δR・β・BY=(R1−R5)+(R2−R5)−(R3−R5)−(R4−R5)
4δR・γ・BZ=(R1−R5)−(R2−R5)−(R3−R5)+(R4−R5)
磁気センサ100は、磁気抵抗素子120にこのような抵抗値の変化が生じたことで、任意の方向の磁場Bを検出したと判断してもよい。また、磁気センサ100は、任意の方向の磁場Bの入力に応じた磁気抵抗素子120のそれぞれの値から、入力磁場成分BX、BY、およびBZを算出してもよい。以上の説明において、任意の方向の磁場Bは、+X方向、+Y方向、および+Z方向の磁場入力を例として説明したが、−X方向、−Y方向、および−Z方向の磁場入力に対しても同様である。
例えば、磁気収束部110は、第1面に対して面対称に形成されるので、+X方向、+Y方向および/または+Z方向の入力磁場の正負の向きが反転した場合、図9および図10の磁束の経路の向きが反転することになる。この場合、磁気抵抗素子120のそれぞれの値の変化の向きが反転することになる。即ち、入力磁場の反転に応じて、対応する磁気抵抗素子120のそれぞれの抵抗値の変化の向きが反転するので、(数7)式の関係式は入力磁場の正負に関わらず成立することになる。
以上のように、本変形例の磁気センサ100は、検出すべき磁場の方向に対応して配置することなく、任意の方向の磁場Bを検出することができる。また、磁気センサ100は、それぞれの磁気抵抗素子の検出結果に基づき、任意の方向の磁場Bの各方向の磁場成分を算出することもできる。このように、磁気センサ100は、小型で、かつ、配置方向の制限がほとんどないので、機器に容易に組み込むことができる。
また、本変形例の磁気センサ100は、入力する磁場を第1磁気収束部材131、第2磁気収束部材132、および第3磁気収束部材133でそれぞれ収束させてから、対応する磁気収束部110を介して、対応する磁気抵抗素子120に供給する。これによって、磁場変換率αおよびγの傾向を保ったまま、磁場変換率βの極端な増加を抑制して磁気抵抗素子の使用可能領域を増加させることができる。
図11は、本実施形態に係る磁気センサ100の第2の変形例を示す。図11は、第2の変形例の磁気センサ100のZ方向から見た平面視の構成例であり、本変形例の磁気センサ100において、図9に示された第1の変形例の磁気センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2の変形例の磁気センサ100は、第1の変形例の磁気センサ100の構成例に、第4磁気収束部材134と、第5磁気収束部材135と、第6磁気収束部材136とを更に備える例を説明する。
第4磁気収束部材134は、第1磁気収束部111の第1端部とは反対側(+Y方向側)の第4端部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第4端部から第1磁気抵抗素子121側および/または第3磁気抵抗素子123側に突出して形成される。第4磁気収束部材134は、第1方向から見て、第4端部から第2磁気収束部112側(−X方向側)および/または第3磁気収束部113側(+X方向側)へと延伸する。図11において、第4磁気収束部材134は、Z方向から見た平面視で、第1方向において第1磁気抵抗素子121および/または第3磁気抵抗素子123と重なる位置まで延伸する例を示す。
また、第4磁気収束部材134は、第1方向と垂直な断面が第1磁気収束部111の第4端部における第1方向と垂直な断面よりも大きい。第1磁気収束部111、第1磁気収束部材131、および第4磁気収束部材134で形成される形状は、Z方向から見た平面視で、第1方向および/または第2方向と略平行な線と線対称であってよい。図11において、第1磁気収束部111、第1磁気収束部材131、および第4磁気収束部材134は、第1面に対して面対称な形状の例を示す。第4磁気収束部材134は、第1磁気収束部111および第1磁気収束部材131と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第5磁気収束部材135は、第2磁気収束部112の第2端部とは反対側(−Y方向側)の第5端部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第5端部から第1磁気抵抗素子121側または第2磁気抵抗素子122側に突出して形成される。第5磁気収束部材135は、第1方向から見て、第5端部から第1磁気収束部111側(+X方向側)および/または第1磁気収束部111とは反対側(−X方向側)へと延伸する。図11において、第5磁気収束部材135は、Z方向から見た平面視で、第1方向において第2磁気抵抗素子122と重なる位置まで延伸する例を示す。
また、第5磁気収束部材135は、第1方向と垂直な断面が第2磁気収束部112の第5端部における第1方向と垂直な断面よりも大きい。第2磁気収束部112、第2磁気収束部材132、および第5磁気収束部材135で形成される形状は、Z方向から見た平面視で、第1方向および/または第2方向と略平行な線と線対称であってよい。第5磁気収束部材135は、第2磁気収束部112および第2磁気収束部材132と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第6磁気収束部材136は、第3磁気収束部113の第3端部とは反対側(−Y方向側)の第6端部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第6端部から第3磁気抵抗素子123側または第4磁気抵抗素子124側に突出して形成される。第6磁気収束部材136は、第1方向から見て、第6端部から第1磁気収束部111側(−X方向側)および/または第1磁気収束部111とは反対側(+X方向側)へと延伸する。図11において、第6磁気収束部材136は、Z方向から見た平面視で、第1方向において第4磁気抵抗素子124と重なる位置まで延伸する例を示す。
また、第6磁気収束部材136は、第1方向と垂直な断面が第3磁気収束部113の第6端部における第1方向と垂直な断面よりも大きい。第3磁気収束部113、第3磁気収束部材133、および第6磁気収束部材136で形成される形状は、Z方向から見た平面視で、第1方向および/または第2方向と略平行な線と線対称であってよい。第6磁気収束部材136は、第3磁気収束部113および第3磁気収束部材133と略同一の磁性材料で形成されてよい。第3磁気収束部113、第3磁気収束部材133、および第6磁気収束部材136で形成される形状は、第1面に対して、第2磁気収束部112、第2磁気収束部材132、および第5磁気収束部材135で形成される形状と面対称に形成されてよい。
第2磁気収束部112の第5端部に接続する第5磁気収束部材135の第1方向側(−Y方向側)の端部は、第1磁気収束部111の第1端部に接続する第1磁気収束部材131の第1方向側(−Y方向側)の端部よりも延伸している。また、第1磁気収束部111の第4端部に接続する第4磁気収束部材134の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部は、第2磁気収束部112の第2端部に接続する第2磁気収束部材132の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部よりも延伸している。こうすることで、磁気センサ100に+Y方向に入力する磁場BYは、第5磁気収束部材135に収束され、第2磁気収束部112を通り、第1磁気抵抗素子121および第2磁気抵抗素子122を横切り、第1磁気収束部111および第4磁気収束部材134を通る磁路を形成する。
また、第3磁気収束部113の第6端部に接続する第6磁気収束部材136の第1方向側(−Y方向側)の端部は、第1磁気収束部111の第1端部に接続する第1磁気収束部材131の第1方向側(−Y方向側)の端部よりも延伸している。また、第1磁気収束部111の第4端部に接続する第4磁気収束部材134の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部は、第3磁気収束部113の第3端部に接続する第3磁気収束部材133の第1方向とは反対側(+Y方向側)の端部よりも延伸している。こうすることで、磁気センサ100に+Y方向に入力する磁場BYは、第6磁気収束部材136に収束され、第3磁気収束部113を通り、第3磁気抵抗素子123および第4磁気抵抗素子124を横切り、第1磁気収束部111および第4磁気収束部材134を通る磁路を形成する。
以上の第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、接続される磁気収束部の端部の面積を拡大するように形成されるので、磁気収束部110に収束する磁場を増加させる。例えば、第5磁気収束部材135および第6磁気収束部材136は、+Y方向に入力する磁場BYが入力する断面積を拡大させるので、対応する第2磁気収束部112および第3磁気収束部113に収束する磁場を増加させる。また、第4磁気収束部材134は、−Y方向に入力する磁場BYが入力する断面積を拡大させるので、対応する第1磁気収束部111に収束する磁場を増加させる。
したがって、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、磁気収束部110が磁気抵抗素子120に供給する第2方向の磁場の成分を増加させることができる。即ち、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、磁場変換率βを増加させることができる。この場合において、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、磁場BYが入力するそれぞれの面と、磁気抵抗素子120との間を予め定められた距離を隔てて形成することができる。
また、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、X方向またはZ方向から入力される磁場に対しては、第2方向の磁場の成分の磁気抵抗素子120への供給量をほとんど変化させない。したがって、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、磁場変換率αおよびγの傾向を保ちつつ、磁場変換率βの値を全体的に増加させることができる。
即ち、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、例えば、図7の磁場変換率βの特性を、Y軸方向に略平行に移動させることができる。第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、例えば、図7において、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136のない第1の変形例の磁気センサ100の磁場変換率βよりも、点線で示すような磁場変換率βを増加させることができる。即ち、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136は、磁気センサ100のY方向の検出感度を向上させることができる。
なお、図7において点線で示されるように、横軸Y=Y0近傍で磁場変換率αが増大し、磁場変換率γが減少しているのは、第2磁気収束部材132によるものである。すなわち、第2磁気収束部材132が、+X方向に入力する磁場Bxを第1磁気抵抗素子121の第1方向と反対側(+Y方向側)に+X方向の磁場成分を増幅して供給し、第2磁気収束部材132が、+Z方向に入力する磁場Bzを収束して第1磁気抵抗素子121の第1方向と反対側(+Y方向側)へ供給される+X方向の磁場成分を減少させていることによるものである。しかしながらこの影響は磁場変換率βの変動に比べて小さく、磁場変換率αおよびγは第1磁気抵抗素子121において略一定の値である。
なお、第2の変形例において、磁気センサ100は、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136を備えることを説明した。これに代えて、磁気センサ100は、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136のうち、少なくとも1つを備える構成であってもよい。
図12は、本実施形態に係る磁気センサ100の第3の変形例を示す。図12は、第3の変形例の磁気センサ100のZ方向から見た平面視の構成例であり、本変形例の磁気センサ100において、図11に示された第2の変形例の磁気センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第3の変形例の磁気センサ100は、第2の変形例の磁気センサ100の構成例の第1磁気収束部材131と、第2磁気収束部材132と、第3磁気収束部材133の形状を、Z方向から見た平面視で三角形にした構成例である。
磁気センサ100は、第1磁気収束部材131、第2磁気収束部材132、および第3磁気収束部材133をこのような形状に変更しても、図7の点線で示すような第2の変形例の磁気センサ100の磁場変換率βの特性とほぼ同等の特性を得ることができる。また、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136を変更する形状によっては、磁場変換率βの特性に変化を与えることもできる。つまり、第4磁気収束部材134、第5磁気収束部材135、および第6磁気収束部材136を変更する形状によっては、磁場変換率βの振る舞いの概形を変化させず、磁気変換率βの全体的な増減を調整することができる。そこで、磁気センサ100は、磁気収束部材の形状をそれぞれ変更して、磁場変換率βの特性を微調整してよい。このような磁気収束部材の形状の変更は、磁場変換率αおよびγにはほとんど影響を及ぼさないので、磁気センサ100に入力する磁場の分布、磁気センサ100の配置等に応じて、適切な形状を選択してよい。
図13は、本実施形態に係る磁気センサ100の第4の変形例を示す。図13は、第4の変形例の磁気センサ100のZ方向から見た平面視の構成例である。本変形例の磁気センサ100において、図5に示された本実施形態に係る磁気センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第4の変形例の磁気センサ100は、図5に示す磁気センサ100の構成例において、第2磁気抵抗素子122と、第2磁気収束部材132と、第1補助磁気収束部材161と、第2補助磁気収束部材162と、第3補助磁気収束部材163と、第5補助磁気収束部材165と、を更に備える例を説明する。なお、第2磁気抵抗素子122および第2磁気収束部材132は、図9で説明した第2磁気抵抗素子122および第2磁気収束部材132と略同一であるので、ここでは説明を省略する。
第1補助磁気収束部材161は、第1磁気収束部111の第1方向と垂直な第2方向の側部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第1磁気抵抗素子121側に突出する。第1補助磁気収束部材161が第1磁気抵抗素子121側に突出する距離は、第1方向から見て、第1磁気収束部材131が第1磁気収束部111から第2方向の第1磁気抵抗素子121側に突出する距離と略同一でよい。
また、第1補助磁気収束部材161の第1方向の幅は、第2磁気収束部材132の第1方向の幅と略同一でよい。また、第1補助磁気収束部材161のZ方向の高さは、第1磁気収束部111および第1磁気収束部材131のZ方向の高さと略同一でよい。第1補助磁気収束部材161は、第2方向から見て、第2磁気収束部材132と重なるように形成されてよい。第1補助磁気収束部材161は、第1磁気収束部111および第1磁気収束部材131と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第2補助磁気収束部材162は、第2磁気収束部112の第2方向の側部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第2磁気抵抗素子122側に突出する。第2補助磁気収束部材162が第2磁気抵抗素子122側に突出する距離は、第1方向から見て、第2磁気収束部材132が第2磁気収束部112から第2方向の第2磁気抵抗素子122側に突出する距離と略同一でよい。
また、第2補助磁気収束部材162の第1方向の幅は、第1磁気収束部材131の第1方向の幅と略同一でよい。また、第2補助磁気収束部材162のZ方向の高さは、第2磁気収束部112および第2磁気収束部材132のZ方向の高さと略同一でよい。第2補助磁気収束部材162は、第2方向から見て、第1磁気収束部材131と重なるように形成されてよい。第2補助磁気収束部材162は、第2磁気収束部112および第2磁気収束部材132と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第3補助磁気収束部材163は、第1磁気収束部111の第1方向と垂直な第2方向の側部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第1磁気抵抗素子121とは反対側に突出する。第3補助磁気収束部材163が第1磁気抵抗素子121の反対側に突出する距離は、第1補助磁気収束部材161が第1磁気収束部111から第2方向の第1磁気抵抗素子121側に突出する距離と略同一でよい。
また、第3補助磁気収束部材163の第1方向の幅は、第1補助磁気収束部材161の第1方向の幅と略同一でよい。また、第3補助磁気収束部材163のZ方向の高さは、第1補助磁気収束部材161のZ方向の高さと略同一でよい。即ち、第3補助磁気収束部材163は、第1補助磁気収束部材161と略同一形状で形成されてよい。また、第3補助磁気収束部材163は、第2方向から見て、第2磁気収束部材132および/または第1補助磁気収束部材161と重なるように形成されてよい。第3補助磁気収束部材163は、第1補助磁気収束部材161と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第5補助磁気収束部材165は、第2磁気収束部112の第1方向と垂直な第2方向の側部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第2磁気抵抗素子122とは反対側に突出する。第5補助磁気収束部材165が第2磁気抵抗素子122の反対側に突出する距離は、第2補助磁気収束部材162が第2磁気収束部112から第2方向の第2磁気抵抗素子122側に突出する距離と略同一でよい。
また、第5補助磁気収束部材165の第1方向の幅は、第2補助磁気収束部材162の第1方向の幅と略同一でよい。また、第5補助磁気収束部材165のZ方向の高さは、第2補助磁気収束部材162のZ方向の高さと略同一でよい。即ち、第5補助磁気収束部材165は、第2補助磁気収束部材162と略同一形状で形成されてよい。また、第5補助磁気収束部材165は、第2方向から見て、第1磁気収束部材131および/または第2補助磁気収束部材162と重なるように形成されてよい。第5補助磁気収束部材165は、第2補助磁気収束部材162と略同一の磁性材料で形成されてよい。
以上の本変形例の磁気センサ100は、図5で説明した磁気センサ100と同様に、X方向に入力する磁場BXと、Y方向に入力する磁場BYと、Z方向に入力する磁場BZと、を第2方向に変換し、第2方向に変換した磁場を第1磁気抵抗素子121および第2磁気抵抗素子122に効果的に入力させることができる。また、本変形例の磁気センサ100は、第1磁気収束部材131と、当該第1磁気収束部材131と略同一形状に形成された第1補助磁気収束部材161および第3補助磁気収束部材163とが、第1磁気抵抗素子121を挟むように配置されてよい。また、第2磁気収束部材132と、当該第2磁気収束部材132と略同一形状に形成された第2補助磁気収束部材162および第5補助磁気収束部材165とが、第2磁気抵抗素子122を挟むように配置されてよい。
これにより、本変形例の磁気センサ100は、X方向に入力する磁場BXが、磁気抵抗素子の両端に配置された磁気収束部材にそれぞれ収束されるので、磁気抵抗素子の端部に入力する磁場BXの増大を抑制することができる。すなわち、例えば第1磁気抵抗素子121の+Y方向側の端+Y0近傍の磁場変換率αの値の増大を抑制することができ、位置0からY0の間において、略一定の磁場変換率αにできる。なお、図13に示す第4の変形例の磁気センサ100は、第1補助磁気収束部材161、第2補助磁気収束部材162、第3補助磁気収束部材163、および第5補助磁気収束部材165を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、磁気センサ100は、第1補助磁気収束部材161、第2補助磁気収束部材162、第3補助磁気収束部材163、および第5補助磁気収束部材165のうち、いずれか1つを有する構成であってもよい。
図14は、本実施形態に係る磁気センサ100の第5の変形例を示す。図14は、第5の変形例の磁気センサ100のZ方向から見た平面視の構成例である。本変形例の磁気センサ100において、図9に示された第1の変形例の磁気センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第5の変形例の磁気センサ100は、図9に示す磁気センサ100の構成例において、第1補助磁気収束部材161と、第2補助磁気収束部材162と、第3補助磁気収束部材163と、第4補助磁気収束部材164と、第5補助磁気収束部材165と、第6補助磁気収束部材166と、を更に備える例を説明する。なお、第1補助磁気収束部材161、第2補助磁気収束部材162、第3補助磁気収束部材163、および第5補助磁気収束部材165は、図13で説明した補助磁気収束部材と略同一であるので、ここでは説明を省略する。
即ち、第3補助磁気収束部材163は、第1磁気収束部111の第2方向の側部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第3磁気抵抗素子123側に突出する。また、第4補助磁気収束部材164は、第3磁気収束部113の第2方向の側部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第4磁気抵抗素子124側に突出する。第4補助磁気収束部材164が第4磁気抵抗素子124側に突出する距離は、第1方向から見て、第3磁気収束部材133が第3磁気収束部113から第2方向の第4磁気抵抗素子124側に突出する距離と略同一でよい。
また、第4補助磁気収束部材164の第1方向の幅は、第3磁気収束部材133の第1方向の幅と略同一でよい。また、第4補助磁気収束部材164のZ方向の高さは、第3磁気収束部113および第3磁気収束部材133のZ方向の高さと略同一でよい。第4補助磁気収束部材164は、第2方向から見て、第1磁気収束部材131と重なるように形成されてよい。第4補助磁気収束部材164は、第3磁気収束部113および第3磁気収束部材133と略同一の磁性材料で形成されてよい。
第6補助磁気収束部材166は、第3磁気収束部113の第2方向の側部に接続され、第1方向から見て、または平面視で、第4磁気抵抗素子124とは反対側に突出する。第6補助磁気収束部材166が第4磁気抵抗素子124の反対側に突出する距離は、第1方向から見て、第4補助磁気収束部材164が第3磁気収束部113から第2方向の第4磁気抵抗素子124側に突出する距離と略同一でよい。
また、第6補助磁気収束部材166の第1方向の幅は、第4補助磁気収束部材164の第1方向の幅と略同一でよい。また、第6補助磁気収束部材166のZ方向の高さは、第4補助磁気収束部材164のZ方向の高さと略同一でよい。即ち、第6補助磁気収束部材166は、第4補助磁気収束部材164と略同一形状で形成されてよい。また、第6補助磁気収束部材166は、第2方向から見て、第1磁気収束部材131および/または第4補助磁気収束部材164と重なるように形成されてよい。第6補助磁気収束部材166は、第4補助磁気収束部材164と略同一の磁性材料で形成されてよい。
図14の磁気センサ100は、図9で示した磁気センサ100と同様に、第1磁気収束部111のY方向の中心軸と第5磁気抵抗素子125のY方向の中心軸とが平面視で一致するように配置され、磁気センサ100が当該2つの中心軸を含むYZ面に対して面対称に形成された例を示す。また、磁気センサ100は、X方向に入力する磁場BXと、Y方向に入力する磁場BYと、Z方向に入力する磁場BZと、を第2方向に変換させ、第2方向に変換した磁場を第1磁気抵抗素子121から第4磁気抵抗素子124により効果的に入力させることができる。
また、本変形例の磁気センサ100は、第1磁気収束部材131と、当該第1磁気収束部材131と略同一形状に形成された第1補助磁気収束部材161および第3補助磁気収束部材163とが、第1磁気抵抗素子121および第3磁気抵抗素子123を挟むように配置されてよい。また、本変形例の磁気センサ100は、第3磁気収束部材133と、当該第3磁気収束部材133と略同一形状に形成された第4補助磁気収束部材164および第6補助磁気収束部材166とが、第4磁気抵抗素子124を挟むように配置されてよい。
これにより、本変形例の磁気センサ100は、X方向に入力する磁場BXが、磁気抵抗素子の両端に配置された磁気収束部材にそれぞれ収束されるので、磁気抵抗素子の端部に入力する磁場BXの増大を抑制することができる。すなわち、例えば第1磁気抵抗素子121の+Y方向側の端+Y0近傍の磁場変換率αの値の増大を抑制することができ、位置0からY0の間において、略一定の磁場変換率αにできる。なお、図14に示す第5の変形例の磁気センサ100は、第1補助磁気収束部材161から第6補助磁気収束部材166を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、磁気センサ100は、第1補助磁気収束部材161から第6補助磁気収束部材166のうち、いずれか1つを有する構成であってもよい。
図15は、本実施形態に係る磁気センサ100の第6の変形例を示す。図15は、第6の変形例の磁気センサ100のZ方向から見た平面視の構成例である。本変形例の磁気センサ100において、図11に示された第2の変形例の磁気センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第6の変形例の磁気センサ100は、図11に示す磁気センサ100の構成例において、第1補助磁気収束部材161から第6補助磁気収束部材166を更に備える例を説明する。なお、第1補助磁気収束部材161から第6補助磁気収束部材166は、図14で説明した補助磁気収束部材と略同一であるので、ここでは説明を省略する。
本変形例の磁気センサ100は、図14に示す磁気センサ100と同様に、略同一形状の磁気収束部材が、磁気抵抗素子を挟むように配置されてよい。これにより、本変形例の磁気センサ100は、X方向に入力する磁場BXが、磁気抵抗素子の両端に配置された磁気収束部材にそれぞれ収束されるので、磁気抵抗素子の端部に入力する磁場BXの増大を抑制することができる。すなわち、例えば第1磁気抵抗素子121の+Y方向側の端+Y0近傍の磁場変換率αの値の増大を抑制することができ、位置0からY0の間において、略一定の磁場変換率αにできる。なお、図15に示す第6の変形例の磁気センサ100は、第1補助磁気収束部材161から第6補助磁気収束部材166を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、磁気センサ100は、第1補助磁気収束部材161から第6補助磁気収束部材166のうち、いずれか1つを有する構成であってもよい。
図16は、本実施形態に係る第1磁気抵抗素子121のY方向の位置に対する磁場変換率α、β、およびγの変化の概略構成例を示す。図16の横軸は、図15に示す第1磁気抵抗素子121のY方向の位置に対応する。より具体的には、第1磁気抵抗素子121の長さをY0とすると、当該Y方向の位置を0からY0と示す。即ち、図16の横軸において、第1磁気抵抗素子121の−Y方向側の端の位置が0で、第1磁気抵抗素子121の+Y方向側の端の位置がY0を示す。
また、図16の縦軸は、磁場変換率α、β、およびγを示す。磁場変換率α、β、およびγは、積分要素法による磁場数値解析にて求めた値の例である。そして、図16は、図7において点線で示した第2の変形例の磁気センサ100が有する第1磁気抵抗素子121の磁場変換率α、β、およびγを、同様に点線で示す。また、図16は、図15で説明した第6の変形例の磁気センサ100が有する第1磁気抵抗素子121の磁場変換率α、β、およびγを、実線で示す。
即ち、図16は、図11で説明した第2の変形例の磁気センサ100と、当該第2の変形例の磁気センサ100に第1補助磁気収束部材161から第6補助磁気収束部材166が設けられた第6の変形例の磁気センサ100との、比較結果の一例を示す。これより、第6の変形例の磁気センサ100は、第2の変形例の磁気センサ100と同様に、図7の磁場変換率βの特性を、Y軸方向に略平行に移動させ、Y方向の検出感度を向上させることができる。また、第6の変形例の磁気センサ100は、第1補助磁気収束部材161から第6補助磁気収束部材166を有するので、磁場変換率βおよびγの特性を維持したままで、例えば、第1磁気抵抗素子121の+Y方向側の端Y0近傍の磁場変換率αの増大を抑制することができ、位置0からY0の間において、略一定の磁場変換率αを提供できる。
以上の本実施形態の磁気センサ100は、小型で、リニアリティがよく、感度の高いセンサを提供できることを説明した。これに加えて、磁気センサ100の実装面積がより広い場合は、磁気収束部、磁気抵抗素子、および磁気収束部材の数を増加させてよい。例えば、図5、図9、図11、図12、図13、図14、および図15で示す磁気センサ100を、X方向に複数配置してよい。この場合、さらに高感度なセンサを形成することができる。
図17は、本実施形態に係る磁気センサ100の第7の変形例を示す。図17は、一例として、図9、図11、図12、図14、および図15で示す磁気センサ100から、抵抗値の変化を取得して入力磁場の成分を算出する算出部を更に備える構成例を示す。図17において、磁気収束部、磁気収束部材、および補助磁気収束部材の記載は省略する。第7の変形例の磁気センサ100は、定電流源140と、算出部150とを更に備える。
定電流源140は、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125に対応してそれぞれ設けられ、一定の電流をそれぞれ流す。ここで、図9、図11、図12、図14、および図15で示す磁気センサ100は、磁気抵抗素子の全領域を用いてリニアな領域の範囲内で磁場を検出することができるので、定電流源140は、磁気抵抗素子の一方の端に接続されてよく、当該一方の端から他の端へと一定の電流をそれぞれ流してよい。
算出部150は、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125のそれぞれの磁気抵抗の変化に基づき、入力された磁場の方向および大きさを算出する。第7の変形例の算出部150は、第1磁気抵抗素子121から第5磁気抵抗素子125のそれぞれの磁気抵抗の変化に基づき、入力された磁場の方向および大きさを算出する例を示す。この場合、算出部150は、各磁気抵抗素子に接続され、(数6)式に示された抵抗値の変化を取得して、(数7)式に基づき、入力磁場の各成分を算出する。(数7)式は、乗算と加算の単純な式なので、算出部150は、電子回路等で簡便に構成することができる。
以上の第7の変形例の磁気センサ100は、5つの磁気抵抗素子を備える磁気センサ100について説明した。これに代えて、磁気センサ100は、4つの磁気抵抗素子に接続されてもよい。この場合、算出部150は、第1磁気抵抗素子121から第4磁気抵抗素子124に接続され、それぞれの磁気抵抗の変化に基づいて入力磁場の各成分を算出してよい。
この場合、算出部150は、磁場の入力が零の場合のそれぞれの磁気抵抗素子の抵抗値R0を、予め取得し、メモリ等に記憶してよい。これによって、算出部150は、(数7)式を用いることができ、入力磁場の各成分を算出することができる。また、この場合、磁気センサ100は、第5磁気抵抗素子125を設けなくてもよい。
また、以上の第7の変形例の磁気センサ100は、定電流源140が磁気抵抗素子に対応して複数設けられることを説明した。これに代えて、磁気センサ100は、定電流源140の出力をスイッチ等で切り替える切替部を有し、測定に用いる磁気抵抗素子に定電流を流すように切り替えてもよい。これによって、磁気センサ100は、定電流源140の数を低減することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。