JP6375843B2 - 安定化リチウム粉末及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
本実施形態の安定化リチウム粉末は、図1に示す通り金属リチウム粒子1の表面を負極活物質材料を有する安定化膜2で被覆されたものである。この安定化膜は単一または複数の負極活物質材料によって構成されていてもよい。
次に安定化リチウム粉末の製造方法について説明するに当たり、金属リチウム粒子の製造方法について説明する。まず、炭化水素オイルにリチウムインゴットを投入し、これをリチウムの融点以上に加熱し、この溶融リチウム−炭化水素オイル混合物を十分な時間撹拌して分散液を作ったのち、冷却することで金属リチウム粒子を作製する。
その後、上記金属リチウム粒子に負極活物質材料を加え、ボールミルで乾式粉砕することによって、リチウム粉末表面が負極活物質材料で被覆された安定化リチウム粉末が得られる。
このように上述した安定化リチウム粉末は、プレドープ後に負極上に残る安定化膜が電解液の分解を促進しないため、電池にした際のサイクル特性を向上させることができる。
負極20は後述するように負極用集電体22上に負極活物質層24を形成することで作製することができる。
負極用集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、銅、ニッケル又はそれらの合金、ステンレス等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
負極活物質層24は、負極活物質、負極用バインダー、及び、必要に応じた量の負極用導電助剤から主に構成されるものである。
負極活物質としては不可逆容量が大きいものが好ましく、例えば、金属シリコン(Si)、酸化シリコン(SiOx)等が挙げられる。
負極用バインダーは、負極活物質同士を結合すると共に、負極活物質と集電体22とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が挙げられる。更に、上記の他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いてもよい。また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤粒子の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO4、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
負極用導電助剤も、負極活物質層24の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素系材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
(負極の製造方法)
上記安定化リチウム粉を溶媒に分散させた分散液を、負極集電体上に形成した負極活物質層の上に塗布し、乾燥後にこれをプレスすることで負極活物質へのリチウムのドープが進行し、リチウムドープされた負極が完成する。
図2に本実施形態のリチウムイオン二次電池の模式断面図を示す。
(正極用集電体)
正極用集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム又はそれらの合金、ステンレス等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
正極活物質層14は、正極活物質、正極用バインダー、及び、必要に応じた量の正極用導電助剤から主に構成されるものである。
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6 −)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzMaO2(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、LiNixCoyAlzO2(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物が挙げられる。
正極用バインダーとしては特に限定は無く、上記で記載した負極用バインダーと同様のものを用いることが出来る。
正極用導電助剤としては特に限定は無く、上記で記載した負極用導電助剤と同様のものを用いることが出来る。
電解質は、正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解液を使用することができる。
(金属リチウム粒子の作製)
内壁に邪魔板を取り付けたステンレススチール樹脂容器に関東化学社製のリチウムインゴット100gおよびWitco社のCarnation炭化水素オイルを加え、容器内を乾燥アルゴンで置換した。次いでこの反応器を200℃まで加熱し、リチウムインゴットを溶融させた。溶融状態でこの混合物を10分間、容器を5度傾けた状態で8000rpmの回転速度で撹拌した後、撹拌を維持したまま1時間かけて室温まで冷却した後、得られた粉末をヘキサンで洗浄することで金属リチウム粒子を得た。
得られた金属リチウム粒子95質量部に、グラファイト5質量部を加え、アルゴン雰囲気下、ボールミルで回転速度300rpm/min、2分間回転させ、安定化リチウム粉末を得た。
(負極の作製)
酸化シリコン(SiO)83質量部、アセチレンブラック2質量部、ポリアミドイミド15質量部、N−メチルピロリドン100質量部を混合し、負極活物質層形成用のスラリーを調製した。このスラリーを、集電体として厚さ14μmの銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が2.0mg/cm2となるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。その後、ローラープレスによって加圧成形し、真空中、350℃で3時間熱処理することで、負極活物質層の厚さが22μmである負極を得た。
上記で作製したリチウムドープされた負極と、正極として銅箔にリチウム金属箔を貼り付けた対極とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んでアルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解液として1MのLiPF6溶液(溶媒:エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=3/7(体積比))を注入した後、真空シールし、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
上記で作製した安定化リチウム粉末について、光学顕微鏡を用いて粒子を観察した。得られた観察像を二値化し、画像解析によって粒子の円形度を求めた。最低500個以上の粒子に対して上記画像解析を行い、合成した安定化リチウム粉末の平均円形度とした。なお、円形度Cは、粒子の面積をS、周囲長をLとしたとき、C=4πS/L2で定義される。
上記で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、電圧範囲を0.005Vから2.5Vまでとし、1C=1600mAh/gとしたときの0.05Cでの電流値で充放電を行い、初期充放電効率を求めた。なお、初期効率(%)は、初期充電容量に対する初期放電容量の割合(100×初期放電容量/初期充電容量)である。この値が高いほど、不可逆容量が低減されており、優れたドープ効果が得られていることを意味する。
続いて、0.5Cの電流値での充放電を1サイクルとし、300サイクルの充放電を行い、300サイクル後容量維持率(300サイクル時放電容量/初期放電容量×100)より求めた。この値が高いほど、サイクルに伴う電解液の分解が抑制されていることを意味する。平均円形度、初期効率と合わせ、結果を表1に示す。
安定化リチウム粉末の製造条件を下記表1に示すものに変更した以外は実施例1と同様として、実施例2〜11の安定化リチウム粉末を得た。また、得られた安定化リチウム粉末を用いて、実施例1と同様にして実施例2〜11の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
市販のFMC社の安定化リチウム粉末(商品名:SLMP)を用いて、実施例1と同様にして比較例1の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
Claims (3)
- 金属リチウム粒子の表面に負極活物質材料からなる安定化膜を有し、平均円形度をCとしたとき、C≦0.9であることを特徴とする安定化リチウム粉末。
- 前記負極活物質材料は、グラファイト、ハードカーボン、酸化シリコン、金属シリコン、チタン酸リチウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の安定化リチウム粉末。
- 前記負極活物質材料は、安定化リチウム粉全体100質量部に対し1質量部以上10質量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の安定化リチウム粉末。
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