JP6374353B2 - 橋梁の架設方法 - Google Patents
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Description
先ず、図1〜図4を用いて、本発明の実施形態に係る橋梁の架設方法において架設される橋梁の上部工(上部構造)について説明する。橋梁の上部工1は、図1に示すように、後述の下部工(下部構造物)の上に単数又は複数の支承S1を介して載置された複数の横梁2と、これらの横梁2に架け渡された主桁である縦桁3など、から構成されている。なお、図示形態は、下部工として2つの橋台4と1つの橋脚5からなる橋を例示したが、例えば、図2に示すように、2つの橋台2上にそれぞれ横梁2を設置し、その間に1つの縦桁3を架け渡した単純桁の橋にも勿論適用することができる。
この横梁2は、所定の異形鉄筋及びPC鋼材が配置され、塩化物イオンの浸透及びアルカリ骨材反応等を抑制するため高炉スラグ微粉末を混合した呼び強度40N/mm2のコンクリートからなる工場等で予め製作されて現地へ搬入されるプレキャストプレストレストコンクリート製のPCa横梁であり、橋台4又は橋脚5上に橋軸直角方向を長手方向として載置される。なお、この横梁2,2’は、早強セメント単味を用いたコンクリートより初期の水和反応が遅いため給熱養生を行って製作する。
縦桁3は、横梁2と同様に、高炉スラグ微粉末を混合した呼び強度40N/mm2のコンクリートからなるPCa縦桁である。この縦桁3は、図3に示すように、軽量化のため断面略ロの字状の中空に形成されており、橋軸方向となる長手方向にPC鋼材によりプレストレスが導入されたプレテンション方式のPCa縦桁である。勿論、縦桁3には、ポストテンション方式でプレストレスを導入することも可能である。但し、プレテンション方式の方が、現地でのプレストレス導入の手間が省けるため好ましい。
横梁2,2’と縦桁3との連結は、横梁2,2’に予め埋め込まれたインサート(図示せず)に連結ボルト(図示せず)を螺合させて、このインサートに接続するアンカーボルトにこの連結ボルトが延長接続され、縦桁3に設けられたスリーブ(図示せず)を介してこのボルトにより横梁2,2’のフランジ2fに縦桁3の長手方向の端部が緊結されて接続固定されている。
また、図4に示すように、横梁2,2’の梁成は、縦桁3の成と略同程度であり、横梁2のフランジ2fの厚み分だけ、横梁2,2’の上部にスペースができることとなる。このスペースに、縦桁3から突出する鉄筋に重ね継手長を確保して所定の配筋を行ったうえ現場打ちのコンクリートを打設して場所打ち連結部7が形成されている。この場所打ち連結部7により橋軸方向に沿って縦に隣接する縦桁3と縦桁3、及び横梁2,2’とが一体化されて連結されている。なお、上部工1の耐久性を向上させるため、場所打ち連結部7の最小かぶり厚さは、60mm確保されている。
次に、本発明の実施形態に係る橋梁の架設方法について説明する。
先ず、図5〜図10を用いて、第1実施形態に係る橋梁の架設方法について説明する。本実施形態に係る橋梁の架設方法では、横梁や縦桁の揚重手段として架設桁を用いる。架設桁(エレクションガーダー)は、シングルガーダー又はダブルガーダーいずれでもよいが、本実施形態では、80t×35mスパンのシングルガーダーを例示して説明する。
本実施形態に係る橋梁の架設方法では、事前準備として揚重手段である架設桁の設置、即ち、エレクションガーダーGを組み立てる。通常、橋梁の桁を架設する径間毎にエレクションガーダーGを組み立てるが、第1実施形態に係る橋梁の架設方法では、2径間に亘るエレクションガーダーを組み立てる(図6等参照)。具体的には、図示する下部構造である複数の橋脚51〜54において、橋脚51と橋脚52の間の径間に桁(縦桁3)を架設する場合、エレクションガーダーGを支える支柱C1,C2として、橋脚52を飛ばして前方支柱C1を橋脚53上に、後方支柱C2を橋脚51上に設置する。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、横梁揚重工程S1を行う。この横梁揚重工程S1では、図6に示すように、エレクションガーダーG上を走行する2台の巻き上げ装置T1,T2のうち、後方巻き上げ装置T2のみを使用して、トレーラー等で搬入して台車上に荷卸しした前述の横梁3を台車から、回転自在な回転吊り具T3を天秤に1点吊りで吊り上げ揚重する。なお、このとき、横梁3の下方に本沓となる前述のゴム支承S1を取り付けると好ましい。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、横梁設置工程S2を行う。この横梁設置工程S2では、図7に示すように、横梁2を設置する下部工である橋脚52の上方で回転吊り具T3を用いて吊り上げた横梁2を90度回転させたうえ、後方巻き上げ装置T2の昇降機を用いて横梁2を下降させ、橋脚52上に予めセットしてある仮沓S2上に据え付ける。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、横移動手段設置工程S3を行う。この横移動手段設置工程S3では、前述の縦桁3を横移動する横移動手段として、水平移動自在な受け架台UGを設置する(図9、図10参照)。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、吊りビーム取付工程S4を行う。この吊りビーム取付工程S4では、図9、図10に示すように、前述の縦桁3に吊りビームTBを取り付ける。この吊りビームTBは、高さ(成)が250mmの2本の溝形鋼をウェブの背面同士で接合したビーム材である。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、縦桁揚重工程S5を行う。この縦桁揚重工程S5では、図8に示すように、2台の巻き上げ装置T1,T2を用いてそれぞれの巻き上げ装置T1,T2の昇降装置で縦桁3の片端ずつを持ち上げ揚重し、巻き上げ装置T1,T2を走行させることで架設径間に引き出し移動する。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、縦桁横移動工程S6を行う。この縦桁横移動工程S6では、図9等に示すように、縦桁3の長手方向の両端に作業員を配置し、各作業員が力を合せて人力で各端の吊りビームTBを押すことで、横移動手段である受け架台UGのチルタンクTTを回転させて、縦桁3をガイドレールGLに沿って水平移動(横移動)させ、縦桁3を架設する所定の位置まで運ぶ。なお、図9に示すように、このとき作業員が横梁2上から落下するのを防止するため落下防止手摺STを取り付けて縦桁3の横移動(横取り)作業を行う。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、横移動手段撤去工程S7を行う。この横移動手段撤去工程S7では、図9に示すように、所定の位置まで横移動した縦桁3において、各吊りビームTB直下の横梁2上面に油圧ジャッキJを挿置し、油圧ジャッキJにより縦桁3の吊りビームTBをジャッキアップして、チルタンクTTを始め横移動手段である受け架台UGを撤去する。撤去した受け架台UGは、ガイドレールGL上を水平移動させて別の縦桁3の横移動手段設置工程S3、縦桁横移動工程S6等において用いる。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、縦桁設置工程S8を行う。この縦桁設置工程S8では、前述の縦桁3に予め埋設された転倒防止ガイド取付用アンカーに、横ブレ防止用の案内板である転倒防止ガイドを取り付けたうえ、ジャッキアップした油圧ジャッキJをジャッキダウンして縦桁3を正確に下降させて横梁2のフランジ2fの所定の位置に縦桁3を据え付け設置する。
次に、本実施形態に係る橋梁の架設方法では、図5に示すように、吊りビーム撤去工程S9を行う。この吊りビーム撤去工程では、吊りビームTBの緊結(ナット)を緩めて吊りビームTB及びPC鋼棒GPを外して撤去する。撤去した吊りビームTBは、揚重前の別の縦桁3に移設して新たな吊りビーム取付工程S4、縦桁横移動工程S6等において用いる。
次に、図5、図11、図12を用いて、第2実施形態に係る橋梁の架設方法について説明する。第2実施形態に係る橋梁の架設方法が、第1実施形態に係る橋梁の架設方法と相違する点は、横梁や縦桁の揚重手段だけであるので、その点についてのみ説明し、他の説明は省略する。
2 :PCa横梁(横梁)
2f :フランジ
3 :PCa縦桁(縦桁)
4 :橋台(下部工:下部構造物)
5 :橋脚(下部工:下部構造物)
51〜54 :橋脚(下部工:下部構造物)
6,6’ :高さ調整モルタル
7 :場所打ち連結部
S1 :ゴム支承(支承)
S2 :仮沓
G :エレクションガーダー(架設桁)
TG :手延べ桁
C1,C2 :支柱
T1,T2 :巻き上げ装置
T3 :回転吊り具
UG :受け架台(横移動手段)
TT :チルタンク(受け架台:横移動手段)
H1 :ビーム受けピース(受け架台:横移動手段)
GL :ガイドレール(横移動手段)
TB :吊りビーム
GA :PC鋼棒アンカー
GP :PC鋼棒
J :油圧ジャッキ(ジャッキ)
CL :クレーン
Claims (5)
- 橋脚又は橋台上にプレキャスト製のPCa横梁を設置した後、それらのPCa横梁間にプレキャスト製の複数のPCa縦桁を並列して架け渡す橋梁の架設方法において、
PCa縦桁を横移動する横移動手段を前記PCa横梁上に設置する横移動手段設置工程と、前記PCa縦桁に長さ方向の両端から外側へ張り出す吊りビームを取り付ける吊りビーム取付工程と、を有し、
PCa縦桁を揚重する揚重手段を用いて前記横移動手段の上に前記吊りビームが載置されるように前記PCa縦桁を吊り降ろすPCa縦桁揚重工程を行った後、
前記横移動手段を用いて前記PCa縦桁を所定の位置まで横移動するPCa縦桁横移動工程と、前記PCa横梁上に架け渡し可能な高さまで前記揚重手段により別のPCa縦桁を揚重するPCa縦桁揚重工程と、を同時並行して行うこと
を特徴とする橋梁の架設方法。 - 前記横移動手段は、前記PCa横梁上を走行可能なチルローラ又はチルタンクを備え、前記PCa縦桁横移動工程では、当該横移動手段により前記PCa縦桁を横移動すること
を特徴とする請求項1に記載の橋梁の架設方法。 - 前記PCa縦桁の長さ方向の各端を持ち上げる複数のジャッキを前記吊りビームの下となる前記PCa横梁上にそれぞれ載置し、これらのジャッキを用いて前記吊りビームを押し上げて当該PCa縦桁を前記PCa横梁から持ち上げ離間させ、前記横移動手段を撤去する横移動手段撤去工程を有すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の橋梁の架設方法。 - 前記PCa縦桁揚重工程では、架設桁を用いて前記PCa縦桁を揚重すること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の橋梁の架設方法。 - 前記PCa縦桁揚重工程では、組立解体不要のクレーンを用いて前記PCa縦桁を揚重すること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の橋梁の架設方法。
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