以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態において燃料供給装置10の概略構成を示した図である。燃料供給装置10は、内燃機関であるディーゼルエンジン(以下、単にエンジンと呼ぶ)のインジェクタ90へ燃料を供給する装置である。
図1に示すように、燃料供給装置10は、燃料タンク12、吸入配管14、サブ燃料フィルタ16、吸入配管18、第1入口ホロースクリュ20、フィードポンプ22、出口ホロースクリュ24、吐出配管26、メイン燃料フィルタ28、吐出配管30、第2入口ホロースクリュ32、高圧ポンプ34、オーバーフローバルブ装置36、およびリターン配管40、42等を備えている。
燃料タンク12は、液体である燃料、例えば軽油を貯蔵するものである。第1入口ホロースクリュ20は、フィードポンプ22の燃料吸入口221に取り付けられ、その燃料吸入口221へ吸入配管18を接続する管継手である。燃料タンク12内の燃料は、吸入配管14とサブ燃料フィルタ16と吸入配管18と第1入口ホロースクリュ20とを順次介してフィードポンプ22の燃料吸入口221へ流入する。
出口ホロースクリュ24は、フィードポンプ22の燃料吐出口222に取り付けられ、その燃料吐出口222へ吐出配管26を接続する管継手である。また、第2入口ホロースクリュ32は、高圧ポンプ34の燃料吸入口341に取り付けられ、その燃料吸入口341へ吐出配管30を接続する管継手である。フィードポンプ22の燃料吐出口222から吐出された燃料は、出口ホロースクリュ24と吐出配管26とメイン燃料フィルタ28と吐出配管30と第2入口ホロースクリュ32とを順次介して高圧ポンプ34の燃料吸入口341へ流入する。
サブ燃料フィルタ16は、吸入配管14、18を流れる燃料を濾過する。また、メイン燃料フィルタ28は、吐出配管26、30を流れる燃料を濾過する。
フィードポンプ22は、燃料タンク12から燃料を吸い上げて吐出し、その燃料タンク12から吸い上げた燃料を、吐出配管26、30等を介して高圧ポンプ34へ圧送する。このフィードポンプ22は、エンジンに機械的に連結されそのエンジンによって回転させられるカムシャフト44に連結されている。そして、フィードポンプ22はカムシャフト44によって回転駆動される。そのため、エンジン回転数が高くなるほど、フィードポンプ22の回転数も高くなるので、それと共にフィードポンプ22の燃料吐出量も増加する。
高圧ポンプ34は、フィードギャラリ461と燃料通路462と加圧室463とが形成されたポンプ本体部46、プランジャ48、およびカムシャフト44などを備えている。そして、高圧ポンプ34は、加圧室463内の燃料を加圧してエンジンへ向けて圧送する。
フィードギャラリ461は燃料吸入口341に連通しており、フィードポンプ22からの燃料を一時的に貯留する。燃料通路462はフィードギャラリ461と加圧室463とを接続する通路であり、フィードギャラリ461内の燃料は、燃料通路462を介して加圧室463へ供給される。従って、吐出配管26、30、フィードギャラリ461、および燃料通路462は、フィードポンプ22から高圧ポンプ34の加圧室463に至るまでのフィード通路を構成している。
プランジャ48はポンプ本体部46内に挿入されており、カムシャフト44の回転によって往復運動させられる。そして、プランジャ48はその往復運動により、加圧室463内の燃料を加圧する。従って、カムシャフト44の回転数が高くなるほど、すなわちエンジン回転数が高くなるほど、プランジャ48の往復運動は速くなる。
高圧ポンプ34にて加圧された燃料は、第1高圧配管91を介してコモンレール92へ供給される。
コモンレール92は、高圧ポンプ34で加圧された燃料を高圧に維持したまま蓄積するものであり、第2高圧配管93を介して複数のインジェクタ90に接続されている。
インジェクタ90は、エンジンの各気筒に設けられ、コモンレール92から供給される高圧の燃料を各気筒の燃焼室内に噴射するものである。
オーバーフローバルブ装置36はフィードギャラリ461に接続されており、フィードギャラリ461内の燃料をその燃料の圧力に応じてフィードギャラリ461から燃料タンク12へ排出する。具体的に、オーバーフローバルブ装置36は、第1弁機構部51と第2弁機構部52とから構成されており、第1弁機構部51および第2弁機構部52はそれぞれ高圧ポンプ34のフィードギャラリ461に接続配管53を介して接続されている。この接続配管53、第1弁機構部51内に形成された第1導入通路511a、および、第2弁機構部52内に形成された第2導入通路521aは、高圧ポンプ34のフィードギャラリ461内から排出される燃料が通る排出通路を構成している。
第1弁機構部51は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が所定の第1開弁圧以上のときに開弁する調圧弁であり、第1弁機構部51には、第1弁機構部51から燃料タンク12へ燃料を流すリターン配管40が接続されている。従って、フィードギャラリ461から排出される燃料は、接続配管53、第1弁機構部51、リターン配管40を順次介して燃料タンク12へと流れる。そして、その経路を通って排出される燃料流れを、第1弁機構部51は、フィードギャラリ461内の燃料圧力に応じて遮断する。
第1弁機構部51は、第1バルブボデー511、第1弁体としての球状の第1ボール512、第1スクリュ513、および第1スプリング514を有している。第1バルブボデー511は、接続配管53を介してフィードギャラリ461へ連通する第1導入通路511aと、第1ボール512および第1スプリング514が収容された第1弁室511bと、リターン配管40へ接続される第1バルブ通路511cとを形成している。すなわち、第1バルブボデー511は、第1バルブ通路511cを形成する第1通路形成部511eを含んでいる。
第1スクリュ513は、第1バルブボデー511に螺合され第1弁室511bの一部を形成している。そして、第1スクリュ513は回転させられることで、第1スプリング514の付勢力を調節する。第1スプリング514の付勢力が大きくなるほど、第1弁機構部51のセット開弁圧(すなわち、背圧が大気圧における開弁圧)である上記第1開弁圧は高くなる。なお、第1弁機構部51のセット開弁圧は例えば0.15MPaに設定されている。
第1スプリング514は、第1ボール512を閉弁向きに付勢するコイルバネである。詳細に言うと、第1バルブボデー511は、第1導入通路511aの下流側の開口端を形成する第1開口端部511dを含んでおり、第1スプリング514は、第1ボール512がその第1開口端部511dを塞ぐ向きに第1ボール512を付勢する第1付勢機構となっている。すなわち、第1ボール512はその第1開口端部511dを開閉する弁体であり、第1スプリング514は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第1開弁圧以上になった場合に第1ボール512に第1開口端部511dを開放させる。
そして、第1開口端部511dは、第1ボール512が第1スプリング514の付勢力により第1開口端部511dへ押し当てられることにより閉塞され、その第1開口端部511dの閉塞は、すなわち第1弁機構部51の閉弁である。
第1ボール512が第1開口端部511dを開放すると、フィードギャラリ461内の燃料は接続配管53と第1導入通路511aと第1開口端部511dとを介して第1弁室511bへ流入する。そして、第1バルブ通路511cは、その第1弁室511b内の燃料をリターン配管40へ流す。言い換えれば、第1開口端部511dから流出する燃料を燃料タンク12へ流す。
また、第1バルブ通路511cは、第1弁室511bからリターン配管40へと抜けた細い貫通孔となっている。従って、第1バルブ通路511cは、その第1バルブ通路511c内を流れる燃料の流れを絞る絞り通路として機能する。例えばエンジン始動時のようなエンジン回転数の上昇過程を想定すれば、第1バルブ通路511cは、第1開口端部511dが開放されると、その第1開口端部511dから流出する燃料の流れをフィードポンプ22の燃料吐出量の増加に伴ってフィードギャラリ461内の燃料圧力が上昇するように絞る。つまり、第1バルブ通路511cの通路直径および通路長は、上記のようにフィードギャラリ461内の燃料圧力が上昇し易く且つ十分な燃料流量を確保できる燃料の流通抵抗を生じるように設定されている。このようにして、フィードギャラリ461内の燃料は、第1弁機構部51が開弁されると、燃料流れが第1バルブ通路511cにて絞られつつ燃料タンク12へ排出される。
第2弁機構部52は、燃料流れを絞ることとセット開弁圧とを除き、第1弁機構部51と同じである。すなわち、第2弁機構部52も調圧弁であり、第2弁機構部52には、第2弁機構部52から燃料タンク12へ燃料を流すリターン配管42が接続されている。従って、フィードギャラリ461から排出される燃料は、第2弁機構部52が開弁されると、第1弁機構部51を含む経路と並列的に、接続配管53、第2弁機構部52、リターン配管42を順次介して燃料タンク12へと流れる。そして、その経路を通って排出される燃料流れを、第2弁機構部52は、フィードギャラリ461内の燃料圧力に応じて遮断する。
第2弁機構部52は、第2バルブボデー521、第2弁体としての球状の第2ボール522、第2スクリュ523、および第2スプリング524を有している。第2バルブボデー521は、第1導入通路511aとは並列に接続配管53を介してフィードギャラリ461へ連通する第2導入通路521aと、第2ボール522および第2スプリング524が収容された第2弁室521bと、リターン配管42へ接続される第2バルブ通路521cとを形成している。すなわち、第2バルブボデー521は、第2バルブ通路521cを形成する第2通路形成部521eを含んでいる。
第2スクリュ523は第1スクリュ513に相当するものであり、第2スプリング524の付勢力を調節する。第2弁機構部52のセット開弁圧である第2開弁圧は、上記第1開弁圧よりも高圧に設定されており、例えば0.6MPaに設定されている。
第2スプリング524は、第2ボール522を閉弁向きに付勢するコイルバネである。詳細に言うと、第2バルブボデー521は、第2導入通路521aの下流側の開口端を形成する第2開口端部521dを含んでおり、第2スプリング524は、第2ボール522がその第2開口端部521dを塞ぐ向きに第2ボール522を付勢する第2付勢機構となっている。すなわち、第2ボール522はその第2開口端部521dを開閉する弁体であり、第2スプリング524は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第2開弁圧以上になった場合に第2ボール522に第2開口端部521dを開放させる。
そして、第2開口端部521dは、第2ボール522が第2スプリング524の付勢力により第2開口端部521dへ押し当てられることにより閉塞され、その第2開口端部521dの閉塞は、すなわち第2弁機構部52の閉弁である。
第2ボール522が第2開口端部521dを開放すると、フィードギャラリ461内の燃料は接続配管53と第2導入通路521aと第2開口端部521dとを介して第2弁室521bへ流入する。そして、第2バルブ通路521cは、その第2弁室511b内の燃料をリターン配管42へ流す。言い換えれば、第2開口端部521dから流出する燃料をフィードポンプ22よりも燃料流れ上流側へ流す。具体的には燃料タンク12へ流す。
第2バルブ通路521cは、第1弁機構部51の第1バルブ通路511cとは異なり、燃料流れを絞ることを目的とした通路ではなく、第2バルブ通路521c内を流れる燃料ができるだけ抵抗なく流れるように構成されている。つまり、第2バルブ通路521cの通路直径は、第1バルブ通路511cよりも格段に大きくなっている。
従って、第2弁機構部52は、その第2弁機構部52が開弁されるとフィードギャラリ461内の燃料が燃料タンク12へ排出されると言う点では上記の第1弁機構部51と同様であるが、フィードギャラリ461内の燃料圧力は、第2弁機構部52によって第2開弁圧を超えないように維持される。
このようにオーバーフローバルブ装置36が構成されているので、エンジン始動時及びエンジンの低速回転時においては、フィードポンプ22から高圧ポンプ34のフィードギャラリ461へ供給された燃料は、まず、第1弁機構部51のセット開弁圧である第1開弁圧に達する。これにより第1弁機構部51が開弁し、例えばエンジン始動時などに燃料がエアを含んでフィードギャラリ461等に溜まっていたとすれば、そのエアを含む燃料は、第1弁機構部51の第1バルブ通路511cを介しリターン配管40へ流出する。
その一方で、エンジンの高速回転時においては、フィードポンプ22からの送出燃料がエンジンの低速回転時と比較して増加する。そうなると、フィードギャラリ461内の燃料圧力が第2開弁圧へ到達するまでは、フィードギャラリ461から第1弁機構部51を介して燃料タンク12へ流出する流出流量が第1バルブ通路511cにおける燃料の流通抵抗によって制限され、それによりフィードギャラリ461内の燃料圧力は上記送出燃料の増加に伴い次第に上昇する。その結果、ついには、そのフィードギャラリ461内の燃料圧力が第2弁機構部52のセット開弁圧である第2開弁圧に達する。これにより第2弁機構部52が開弁し、フィードポンプ22から送出される燃料のうちの余剰分すなわち余剰燃料は、第1弁機構部51を介しリターン配管40へ流出することに加えて、第2弁機構部52を介しリターン配管42へも流出するようになる。
すなわち、オーバーフローバルブ装置36において、エンジン始動時及びエンジンの低速回転時には、2つの弁機構部51、52のうちセット開弁圧が低い側の第1弁機構部51のみ作動する。そして、エンジン回転数が高まり所定回転数以上になると、セット開弁圧が高い側の第2弁機構部52も作動を開始する。
よって、例えばエンジン始動からエンジンの高速運転に至る場合のようなフィードギャラリ461内の燃料圧力の上昇過程において、その燃料圧力が第1開弁圧以上になれば、フィードギャラリ461から余剰燃料は接続配管53を通って燃料タンク12へ排出され始める。そして、その余剰燃料の流れすなわち排出燃料流れが遮断されることなく、余剰燃料は燃料タンク12へリターンされ、それと共に、フィードギャラリ461内の燃料圧力は第2開弁圧までは上昇する。
上記のオーバーフローバルブ装置36は2つの弁機構部51、52から成るが、機能的に見れば、接続配管53等から構成された排出通路を開閉する通路開閉機構と、フィードギャラリ461から接続配管53等を通って燃料タンク12へ排出される燃料の排出燃料流れに対する絞りを調節する絞り調節機構とから構成されているとも言える。この場合、上記通路開閉機構は、第1開口端部511dと第1ボール512と第2開口端部521dと第2ボール522とを含んで構成される。また、上記絞り調節機構は、第1スプリング514と第1通路形成部511eと第2スプリング524と第2通路形成部521eとを含んで構成される。
そして、上記絞り調節機構は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第1開弁圧以上になり且つ上記第2開弁圧未満である場合には、接続配管53を上記通路開閉機構(具体的には、第1ボール512)に開かせる。それと共に、燃料タンク12へ流れる排出燃料流れを、フィードポンプ22の燃料吐出量の増加に伴ってフィードギャラリ461内の燃料圧力が上昇するように、第1バルブ通路511cによって絞る。
更に、上記絞り調節機構は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上昇して上記第2開弁圧以上になった場合には、接続配管53を上記通路開閉機構に開かせたまま、上記排出燃料流れに対する絞りを、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第2開弁圧未満である場合に比して緩和する。具体的には、第1バルブ通路511cにつながるリターン配管40に加えてリターン配管42にも接続配管53からの燃料を流し、それにより、上記排出燃料流れに対する絞りを緩和する。
上述したように、本実施形態によれば、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第1開弁圧以上になり且つ上記第2開弁圧未満である場合には、フィードギャラリ461からの排出燃料流れは、フィードポンプ22の燃料吐出量の増加に伴ってフィードギャラリ461内の燃料圧力が上昇するように、第1バルブ通路511cによって絞られる。そして、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上昇して上記第2開弁圧以上になった場合には、第1弁機構部51が開弁されたまま、第2弁機構部52も開弁し、これにより、上記排出燃料流れに対する絞りは、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第2開弁圧未満である場合に比して緩和する。
従って、フィードギャラリ461からの排出燃料流れを遮断することなく、フィードポンプ22の燃料吐出量増加に伴ってオーバーフローバルブ装置36の開弁圧を第1開弁圧から第2開弁圧へ引き上げることが可能である。そのため、エンジンの低速回転時におけるフィードポンプ22の吐出量を十分に確保できると共に、エンジンの高速回転時における高圧ポンプの高速運転時における加圧室463近傍の部品に対するキャビテーションエローションを未然に防止することができる。そして、排出燃料流れの一時的な遮断に起因したフィードギャラリ461内の燃料圧力の脈動を防止することができる。
また、第1弁機構部51の開弁により、エンジン始動時及びエンジンの低速回転時においてフィード通路26、30、461、462からのエア抜きを良好に行うことが可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。後述の第3実施形態以降でも同様である。
図2は、第2実施形態において燃料供給装置10の概略構成を示した図であって、図1に相当する図である。図2に示すように、本実施形態の第2弁機構部52は第2入口ホロースクリュ32(図1参照)と一体化され、その第2入口ホロースクリュ32の機能を含んでいる。この点で、本実施形態のオーバーフローバルブ装置36は第1実施形態と異なる。
本実施形態の第2弁機構部52は、第1実施形態と同様に、第2バルブボデー521、第2ボール522、第2スクリュ523、および第2スプリング524を備えている。第2バルブボデー521は、第1実施形態と同様の第2バルブ通路521cの他に、通路521fも形成している。この通路521fは第2ボール522に対して燃料流れ上流側に設けられている。
第2バルブ通路521cはジョイント525を介しリターン配管42へ接続されている。第2バルブボデー521の通路521fはジョイント526を介して吐出配管30へ接続されている。
フィードポンプ22から送出された燃料はメイン燃料フィルタ28から吐出配管30、ジョイント526、通路521f、吐出配管31を順に通り、高圧ポンプ34のフィードギャラリ461へ流入する。従って、本実施形態では、上記フィード通路は、吐出配管26、30、31、ジョイント526、通路521f、フィードギャラリ461、および燃料通路462から構成されている。
エンジン始動時及びエンジンの低速回転時において燃料は、前述の第1実施形態と同様に、接続配管53からオーバーフローバルブ装置36の第1弁機構部51へ流入し、第1弁機構部51が開弁すると、その第1弁機構部51に設けられた第1バルブ通路511cからリターン配管40を介して燃料タンク12へ戻る。
また、エンジンの高速回転時にフィードポンプ22の燃料送出量すなわち燃料吐出量が増加すると、フィードギャラリ461内の燃料圧力であるフィード圧力が上昇し、ついには第2弁機構部52の第2ボール522を開弁させる。要するに、そのフィード圧力が第2開弁圧以上になって第2弁機構部52が開弁する。第2弁機構部52の開弁後、余剰燃料は、上記のリターン配管40等を通る経路と並列的に、第2導入通路521a、第2弁室521b、第2バルブ通路521c、ジョイント525、リターン配管42を順次介して燃料タンク12へ戻る。
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。更に、本実施形態によれば、第2弁機構部52は第2入口ホロースクリュ32(図1参照)の機能を含んでいるので、第1実施形態と比較して、燃料供給装置10の簡素化を図り易く、例えば燃料供給装置10のコスト低減を図ることが可能である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図3は、第3実施形態において燃料供給装置10の概略構成を示した図であって、図1に相当する図である。図3に示すように、本実施形態のオーバーフローバルブ装置36は1つの弁機構部56から構成されており、この点が第1実施形態と異なっている。この弁機構部56は、第1実施形態の2つの弁機構部51、52の機能を併せ持っている。
図3に示す弁機構部56は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第1開弁圧以上のときに僅かに開弁し、その燃料圧力が上記第2開弁圧以上になると更に大きく開弁する調圧弁である。弁機構部56には、弁機構部56から燃料タンク12へ燃料を流すリターン配管40が接続されている。従って、フィードギャラリ461から排出される燃料は、接続配管53、弁機構部56、リターン配管40を順次介して燃料タンク12へと流れる。そして、その経路を通って排出される燃料流れを、弁機構部56は、フィードギャラリ461内の燃料圧力に応じて遮断する。なお、本実施形態でも第1実施形態と同様に、第1開弁圧は0.15MPaであり、第2開弁圧は0.6MPaである。
弁機構部56は、バルブボデー561、弁体562、第1スプリング563、第2スプリング564、およびストッパ565を有している。バルブボデー561は、導入通路561aと、弁体562、第1、第2スプリング563、564、およびストッパ565が収容された弁室561bと、弁室561bから鍔状に張り出して形成された環状溝561cと、その環状溝561cをリターン配管40へ連通させるバルブ通路561dとを形成している。すなわち、バルブボデー561は、バルブ通路561dを形成する通路形成部561eを含んでいる。
導入通路561aは、接続配管53を介してフィードギャラリ461へ連通している。すなわち、導入通路561aは、第1実施形態の導入通路511a、521aと同様に、フィードギャラリ461からの排出通路の下流側部分を構成している。そして、バルブボデー561は、導入通路561aの下流側の開口端を形成する開口端部561fを含み、その開口端部561fは、弁体562が押し当てられる弁座としての機能を備えている。
第1スプリング563は、弁体562を閉弁向きに付勢するコイルバネである。すなわち、第1スプリング563は、弁体562が開口端部561fを塞ぐ向きに弁体562を付勢する第1付勢機構となっている。詳細に言うと、弁体562はその開口端部561fを開閉するものであり、第1スプリング563は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第1開弁圧以上になった場合に弁体562に開口端部561fを開放させる。
そして、開口端部561fは、弁体562が第1スプリング563の付勢力により開口端部561fへ押し当てられることにより閉塞され、その開口端部561fの閉塞は、すなわち弁機構部56の閉弁である。
弁体562が開口端部561fを開くと、フィードギャラリ461内の燃料は接続配管53と導入通路561aと開口端部561fとを介して環状溝561cへ流入する。そして、バルブ通路561dは、その環状溝561c内の燃料をリターン配管40へ流す。言い換えれば、開口端部561fから流出する燃料を燃料タンク12へ流す。
但し、本実施形態の弁機構部56にはストッパ565および第2スプリング564が設けられており、弁体562の開放方向への動作を制限する。すなわち、ストッパ565は、弁体562が開口端部561fを開放する開放動作を制限する開放制限部材となっている。また、第2スプリング564は、そのストッパ565が弁体562の開放動作を制限する向きへストッパ565を付勢する第2付勢機構となっている。第2スプリング564は、コイルバネから成り、第1スプリング563と同心状に且つ第1スプリング563の外周側に配置されている。
具体的には、ストッパ565は、第2スプリング564によって、弁体562に対し弁体562の開放方向へ間隔Lだけ離れた係止位置に係止されている。そして、第2スプリング564は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が第2開弁圧未満である場合には、ストッパ565を上記係止位置に保持する。従って、第2スプリング564は、フィードギャラリ461内の燃料圧力に関わらず、弁体562がストッパ565に当接するまでの範囲内で開口端部561fを開放することを、ストッパ565に許容させている。
詳細には、第2スプリング564は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が第2開弁圧未満である場合には、弁体562が開口端部561fを開放する開放量が所定の開放量制限値L(=間隔L)以下になるように弁体562の開放動作をストッパ565に制限させる。これによって、第2スプリング564は、フィードポンプ22の燃料吐出量の増加に伴ってフィードギャラリ461内の燃料圧力が上昇するように、開口端部561fから流出する燃料の流れを絞る。例えば、弁体562が閉弁状態から弁体562の開放方向へ間隔Lだけ移動した場合に弁体562と開口端部561fとの間を流れる燃料の流通抵抗は、第1実施形態の第1バルブ通路511cを流れる燃料の流通抵抗と同等になる。
その一方で、第2スプリング564は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が第2開弁圧以上になった場合には、ストッパ565が弁体562に押されて弁体562の開放方向へ移動することを許容する。
すなわち、第2スプリング564は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が第2開弁圧以上になった場合には、弁体562の開放量が開放量制限値Lを超えるように弁体562が開放動作をすることをストッパ565に許容させる。これによって、第2スプリング564は、開口端部561fから流出する燃料流れに対する絞りを、フィードギャラリ461内の燃料圧力が第2開弁圧未満である場合に比して緩和する。このように、本実施形態では、第1実施形態の絞り通路としての第1バルブ通路511cが、弁体562とストッパ565との間の間隔Lに置き換えられている。
本実施形態のオーバーフローバルブ装置36の動作について説明すると、エンジン始動時及びエンジンの低速回転時においては、フィードギャラリ461から接続配管53を介して導入通路561aに到達した燃料は、その燃料の圧力が第1スプリング563によって定まる低圧側の第1開弁圧以上になると、弁体562を開弁させる。そして、その燃料は、開口端部561fと弁体562との間で絞られつつ、開口端部561fから、環状溝561c、バルブ通路561d、リターン配管40を順次介して燃料タンク12へ戻る。
その一方で、エンジンの高速回転時においては、弁体562はストッパ565に当接する。そして、導入通路561a内の燃料圧力すなわちフィードギャラリ461内の燃料圧力が、第1スプリング563および第2スプリング564によって定まる高圧側の第2開弁圧以上になると、第2開弁圧未満のときと比較して弁体562の開放量が拡大し、燃料はより低い流通抵抗で開口端部561fから燃料タンク12へ戻る。
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。更に、第1実施形態ではオーバーフローバルブ装置36が2つの弁機構部51、52(図1参照)から構成されているところ、本実施形態によれば、それら2つの弁機構部51、52を一体化した1つの弁機構部56でオーバーフローバルブ装置36を構成することができるので、部品点数を削減して簡素化を図ることができ、その簡素化でオーバーフローバルブ装置36のコスト低減をすることができる。
なお、本実施形態の上記通路開閉機構は、開口端部561fと弁体562とを含んで構成される。また、上記絞り調節機構は、第1スプリング563と第2スプリング564とストッパ565と通路形成部561eとを含んで構成される。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図4は、第4実施形態において燃料供給装置10の概略構成を示した図であって、図1に相当する図である。図4に示すように、本実施形態では、第2バルブ通路521cの燃料流れ下流端521gは、フィードポンプ22の燃料吸入口221に接続されている。この点が第1実施形態とは異なる。
従って、本実施形態では、オーバーフローバルブ装置36の第2弁機構部52から流出した余剰燃料は、リターン配管42から吸入配管18すなわち第1入口ホロースクリュ20へ戻る。このように第2弁機構部52から流出する余剰燃料をフィードポンプ22の燃料吸込み側へ戻すことで、その分、燃料タンク12から吸入配管14、サブ燃料フィルタ16、および吸入配管18を通って吸い込まれる燃料量を減らすことができる。その結果、例えばエンジンの高速回転時に、フィードポンプ22上流の吸入負圧を低減することができ、その吸入負圧に起因した気泡発生を抑えることが可能である。
また、本実施形態によれば、第2弁機構部52の第2バルブ通路521cから流出する余剰燃料はフィードポンプ22の燃料吸入口221へ戻されるが、第1弁機構部51の第1バルブ通路511cから流出する余剰燃料は燃料吸入口221ではなく燃料タンク12へと戻される。ここで、セット開弁圧の低い第1弁機構部51からはエアを含む余剰燃料が流出する可能性がある。従って、エアを含む余剰燃料がフィードポンプ22に吸入されることを回避することが可能である。
また、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
図5は、第5実施形態において燃料供給装置10の概略構成を示した図であって、図4に相当する図である。図5に示すように、本実施形態では、第2弁機構部52が第2入口ホロースクリュ32よりも燃料流れ上流側に設けられており、この点が第4実施形態とは異なる。
具体的には図5に示すように、第2弁機構部52の第2導入通路521aは、接続配管53ではなく吐出配管30に接続されている。第2弁機構部52から流出した余剰燃料は、リターン配管42から吸入配管18へ戻る。
本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
図6は、第6実施形態において燃料供給装置10の概略構成を示した図であって、図2に相当する図である。図6に示すように、本実施形態では、第2バルブ通路521cの燃料流れ下流端521gは、フィードポンプ22の燃料吸入口221に接続されている。この点が第2実施形態とは異なる。
従って、本実施形態では、オーバーフローバルブ装置36の第2弁機構部52から流出した余剰燃料は、リターン配管42から吸入配管18すなわち第1入口ホロースクリュ20へ戻る。このようにリターン配管42が接続されることで、第4実施形態と同様に、例えばエンジンの高速回転時に、フィードポンプ22上流の吸入負圧を低減することができ、その吸入負圧に起因した気泡発生を抑えることが可能である。
また、本実施形態は第2実施形態と同様の構成を含んでおり、その第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
図7は、第7実施形態において燃料供給装置10の概略構成を示した図であって、図4に相当する図である。図7に示すように、本実施形態のオーバーフローバルブ装置36は1つの弁機構部58から構成されており、この点が第4実施形態と異なっている。この弁機構部58は、第4実施形態の2つの弁機構部51、52の機能を併せ持っている。
図7に示す弁機構部58は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第1開弁圧以上のときに開弁し、その燃料圧力が上記第2開弁圧以上になると更に大きく開弁する調圧弁である。なお、本実施形態でも第4実施形態と同様に、第1開弁圧は0.15MPaであり、第2開弁圧は0.6MPaである。
弁機構部58は、バルブボデー581、サブ弁体としての第1弁体582、第1スプリング583、メイン弁体としての第2弁体584、第2スプリング585、およびジョイント586、587を有している。バルブボデー581は、導入通路581aと、弁体582、584、およびスプリング583、585が収容された弁室581bと、弁室581bから第2弁体584の外周側へ部分的に張り出して形成された環状溝581cと、ジョイント586へ開口する第1バルブ通路581dと、ジョイント587へ開口する第2バルブ通路581eとを形成している。すなわち、バルブボデー581は、弁室581bおよび複数の通路581a、581d、581e等を形成する通路形成部581iを含んでいる。
導入通路581aは、接続配管53を介してフィードギャラリ461へ連通している。すなわち、導入通路581aは、第4実施形態の導入通路511a、521aと同様に、フィードギャラリ461からの排出通路の下流側部分を構成している。そして、バルブボデー581は、導入通路581aの下流側の開口端を形成する開口端部581fを含み、その開口端部581fは、第1弁体582が押し当てられる弁座としての機能を備えている。
第1弁体582は、開口端部581fを開閉する弁体であり、球形状のボールで構成されている。第1スプリング583は、第1弁体582を閉弁向きに付勢するコイルバネである。詳細に言うと、第1スプリング583は、第1弁体582が開口端部581fを塞ぐ向きに第1弁体582を付勢する第1付勢機構となっている。すなわち、第1スプリング583は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第1開弁圧以上になった場合に第1弁体582に開口端部581fを開放させる。第1弁体582が開口端部581fを塞ぐと接続配管53からの燃料排出が阻止されるので、開口端部581fの閉塞は、すなわち弁機構部58の閉弁である。
第2弁体584は、弁室581b内において第1弁体582に対し開口端部581f側とは反対側に配置されており、弁室581bを2つの室に区切っている。そして、その2つの室のうちの一方には第1弁体582が配置され、他方には第2スプリング585が配置されている。その他方の室は、第2スプリング585が収容されている第2スプリング収容室となっている。
上記第1弁体582が配置された室すなわち開口端部581fに隣接する室は、開口端部581fから流入する燃料を中継して2つのバルブ通路581d、581eへ流す中継室581gとなっている。
すなわち、導入通路581aから中継室581gへの燃料流れは第1弁体582によって遮断される。従って、中継室581gは、第1弁体582によって導入通路581aへの連通が遮断される空間となっている。
そして、中継室581gから環状溝581cおよび第2バルブ通路581eへの連通は第2弁体584によって遮断される。すなわち、第2弁体584は、中継室581gと環状溝581cおよび第2バルブ通路581eとの連通を遮断する通路遮断部材として機能する。そして、第2スプリング585は、第2弁体584を閉弁向きに付勢するコイルバネであり、第2弁体584が中継室581gと環状溝581cおよび第2バルブ通路581eとの連通を遮断する向きに第2弁体584を付勢する第2付勢機構となっている。第2スプリング585は、第1スプリング583との間に第2弁体584を挟み、その第1スプリング583と直列に且つ第1スプリング583に対して第1弁体582側とは反対側に配置されている。
詳細に言うと、第2弁体584が押し当てられる弁シート部581hが弁室581bの側壁部分に設けられている。そして、第2弁体584は、第2スプリング585によってその弁シート部581hへ押し当てられることにより、中継室581gと環状溝581cおよび第2バルブ通路581eとの連通を遮断する。第2スプリング585は、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第2開弁圧以上になった場合に、第2弁体584に、中継室581gと第2バルブ通路581eとを連通させる。
第1バルブ通路581dは、中継室581gから流出する燃料を燃料タンク12へ流す通路である。詳細には、中継室581gから流出する燃料は、第1バルブ通路581d、ジョイント586、リターン配管40を順次経て燃料タンク12へ流れる。この第1バルブ通路581dは、中継室581gに対し第2弁体584に遮られることなく連通しているので、第1弁体582が開弁すれば第2弁体584の動作に関係なく、導入通路581aからの燃料は第1バルブ通路581dへと流れる。
また、第1バルブ通路581dは、第4実施形態の第1バルブ通路511cと同様の絞り通路となっている。すなわち、第1弁体582が開弁していれば、第1バルブ通路581dは、第1バルブ通路581dを通る燃料の流れをフィードポンプ22の燃料吐出量の増加に伴ってフィードギャラリ461内の燃料圧力が上昇するように絞る。
第2バルブ通路581eは、第4実施形態の第2バルブ通路521cと同様の通路である。具体的には、第2バルブ通路581eは、第1バルブ通路581dに対して並列的に設けられており、中継室581gから流出する燃料をフィードポンプ22よりも燃料流れ上流側へ流す。詳細に言えば、第2弁体584の開弁により燃料は中継室581gから環状溝581cへ流出し、その燃料は、環状溝581cから、第2バルブ通路581e、ジョイント587、リターン配管42を順次経て吸入配管18へ流れる。
上記の第2弁体584には、2つの細い連通孔584a、584bが形成されている。ここで、第1弁体582が開弁し第2弁体584に当接したときにその第1弁体582と第2弁体584との間で第1スプリング58が収容される空間が形成される。上記2つの細い連通孔584a、584bのうちの一方の連通孔584aは、その第1スプリング58が収容される空間を、第2スプリング585が収容されている第2スプリング収容室に連通させるためのものである。
そして、他方の連通孔584bは、第2スプリング収容室を常に環状溝581cに連通させるためのものである。従って、その連通孔584bは、第2弁体584が何れの位置へストロークしても環状溝581cへ連通するように配置されている。
なお、連通孔584a、584bが設けられているため、例えば、第1弁体582が開弁し且つ第2弁体584に当接するまでの間において、導入通路581aは連通孔584a、584bを介して環状溝581cへ一時的に連通する。しかし、これは第1弁体582の動作中での瞬間的なことであるので、実質的には、導入通路581aは第2弁体584が開弁しない限り環状溝581cへ連通しない。
本実施形態のオーバーフローバルブ装置36の動作について説明すると、エンジン始動時及びエンジンの低速回転時においては、フィードギャラリ461から接続配管53を介して導入通路581aに到達した燃料は、その燃料の圧力が上記第1開弁圧以上になると、第1弁体582を開弁させる。そして、その燃料は、開口端部561fから、中継室581g、第1バルブ通路581d、リターン配管40を順次介して燃料タンク12へ戻る。
更に、エンジン回転数の上昇に伴いカムシャフト44の回転数が上昇すると、第1バルブ通路581dの絞り効果により、第1弁体582は第2弁体584に当接する。そして、フィードギャラリ461内の燃料圧力が上記第2開弁圧以上になると、第2スプリング585の付勢力に打ち勝ち第2弁体584を開弁させる。
第2弁体584が開弁すると、導入通路581a内の燃料は第1バルブ通路581dに加えて環状溝581cへも流入し、その環状溝581cから第2バルブ通路581e、ジョイント587、リターン配管42を順次経て吸入配管18へ戻される。
本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。更に、第4実施形態ではオーバーフローバルブ装置36が2つの弁機構部51、52(図4参照)から構成されているところ、本実施形態によれば、それら2つの弁機構部51、52を一体化した1つの弁機構部58でオーバーフローバルブ装置36を構成することができる。そのため、部品点数を削減して簡素化を図ることができ、その簡素化でオーバーフローバルブ装置36のコスト低減をすることができる。
なお、本実施形態の上記通路開閉機構は、開口端部581fと第1弁体582とを含んで構成される。また、上記絞り調節機構は、第1スプリング583と第2弁体584と第2スプリング585と通路形成部581iとを含んで構成される。
なお、本実施形態は第4実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第1実施形態と組み合わせることも可能である。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
図8は、第8実施形態において燃料供給装置10の概略構成を示した図であって、図4に相当する図である。図8に示すように、本実施形態のオーバーフローバルブ装置36は1つの弁機構部60から構成されており、この点が第4実施形態と異なっている。この弁機構部60は、第4実施形態の2つの弁機構部51、52の機能を併せ持っている。
図8に示す弁機構部60は、バルブボデー601、第1弁体としての第1ボール512、第1スプリング514、第2弁体としての第2ボール522、第2スクリュ523、第2スプリング524、および通路形成部材602を有している。本実施形態の弁機構部60は、その概略を述べると、第4実施形態の第2バルブボデー521(図4参照)を拡大しその第2バルブボデー521内に第1弁機構部51(図4参照)を収容したような構成を備えている。すなわち、弁機構部60のバルブボデー601は第4実施形態の第2バルブボデー521に相当し、弁機構部60の通路形成部材602は第4実施形態の第1バルブボデー511に相当する。
詳細に述べると、バルブボデー601は、第4実施形態と同様に、第2導入通路521aと、第2弁室521bと、ジョイント587に開口した第2バルブ通路521cとを形成している。また、バルブボデー601は、第4実施形態と同様に第2開口端部521dおよび第2通路形成部521eを含んでいる。
そして、バルブボデー601は、通路形成部材602を収容するために、第2導入通路521aから接続配管53側へ延設された延設通路601aも形成している。この延設通路601a内には、通路形成部材602が例えば圧入などによって固定されている。
通路形成部材602は、部材ボデー602aと部材プレート602bとから構成されている。この部材ボデー602aおよび部材プレート602bは互いに接合されて一体となっている。通路形成部材602は、第4実施形態の第1バルブボデー511と同様に、第1開口端部511dおよび第1通路形成部511eを含んでいる。また、通路形成部材602に設けられた第1バルブ通路511cから燃料がリターン配管40へ流れるようにするために、バルブボデー601には、ジョイント586に開口した通路601bが形成されている。
通路形成部材602は第4実施形態の第1バルブボデー511に相当するので、第4実施形態の第1導入通路511a(図4参照)に相当する第1通路602cと、第4実施形態の第1弁室511b(図4参照)に相当する弁体収容室602dとを形成している。
通路形成部材602の第1通路602cは、延設通路601aと接続配管53とを介して高圧ポンプ34のフィードギャラリ461へ連通しており、そのフィードギャラリ461からの燃料を第1開口端部511dを介して弁体収容室602dへ流す。そして、その第1開口端部511dは、第1スプリング514によって閉弁向きに付勢されている第1ボール512によって開閉される。
また、弁体収容室602dは、第1ボール512と第1スプリング514とを収容している。そして、弁体収容室602dは、第1バルブ通路511cを介してリターン配管40へ連通している。
また、通路形成部材602は、フィードギャラリ461から延設通路601aへ流入した燃料を第2導入通路521aへ導くために、部材ボデー602aおよび部材プレート602bを貫通した第2通路602eを形成している。この第2通路602eは、フィードギャラリ461からの燃料を第1通路602cおよび弁体収容室602dを迂回させて第2開口端部521dへ流す。
本実施形態のオーバーフローバルブ装置36の動作は、基本的に第4実施形態と同様である。例えばエンジン始動時及びエンジンの低速回転時においては、フィードギャラリ461から接続配管53と延設通路601aとを介して第1通路602cに到達した燃料は、その燃料の圧力が上記第1開弁圧以上になると、第1弁体としての第1ボール512を開弁させる。そして、その燃料は、通路形成部材602の第1開口端部511dから、弁体収容室602d、第1バルブ通路511c、バルブボデー601の通路601b、ジョイント586、リターン配管40を順次介して燃料タンク12へ戻る。
更に、エンジン回転数の上昇に伴いカムシャフト44の回転数が上昇すると、第1バルブ通路511cの絞り効果により、延設通路601aから通路形成部材602の第2通路602eを通って第2導入通路521aへ流入する燃料の燃料圧力が上昇する。そして、その燃料圧力が上記第2開弁圧以上になると、第2スプリング524の付勢力に打ち勝ち、第2弁体としての第2ボール522を開弁させる。
第2ボール522が開弁すると、フィードギャラリ461からの余剰燃料は第2弁室521bへも流入し、その第2弁室521bから第2バルブ通路521c、ジョイント587、リターン配管42を順次経て吸入配管18へ戻される。なお、本実施形態でも第4実施形態と同様に、第1開弁圧は0.15MPaであり、第2開弁圧は0.6MPaである。
本実施形態のオーバーフローバルブ装置36は、第4実施形態の2つの弁機構部51、52を一体化した1つの弁機構部60で構成されており、この点は第7実施形態と同様であるので、本実施形態でも第7実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本実施形態は第4実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第1実施形態と組み合わせることも可能である。
(他の実施形態)
(1)上述の第1、第3、第4、第7、第8実施形態において、弁機構部51、52、56、58、60は接続配管53を介して高圧ポンプ34のフィードギャラリ461に接続されているが、接続配管53を設けずにポンプ本体部46に直接固定されていても差し支えない。
(2)上述の第2、第6実施形態において、第1弁機構部51は接続配管53を介してフィードギャラリ461に接続され、第2弁機構部52は吐出配管31を介してフィードギャラリ461に接続されているが、それらの配管31、53を設けずに第1弁機構部51および第2弁機構部52はポンプ本体部46に直接固定されていても差し支えない。
(3)上述の第5実施形態において、第2弁機構部52の第2導入通路521aは吐出配管30に接続されているが、吐出配管30に限らず、フィードポンプ22の燃料吐出口222からフィードギャラリ461までの間の何れの箇所に接続されていても差し支えない。
(4)上述の第2、第6実施形態において、第2弁機構部52は第2入口ホロースクリュ32(図1参照)と一体化されているが、その第2入口ホロースクリュ32ではなく、出口ホロースクリュ24(図1参照)と一体化されていても差し支えない。例えば、第6実施形態においてそのようにされるとすれば、第2弁機構部52と第1入口ホロースクリュ20と出口ホロースクリュ24とリターン配管42とを一体的な装置として構成し、その一体的な装置を、フィードポンプ22の燃料吸入口221と燃料吐出口222とに跨るように配置してもよい。
(5)上述の第1、第2、第4、第5、第6実施形態では、第1弁機構部51において絞り機能を有する第1バルブ通路511cは第1ボール512の下流側に配置されているが、この絞り機能を有する第1バルブ通路511cは第1ボール512の上流側に配置されてもよい。要するに、第1弁機構部51を通過する燃料の流れは第1ボール512の上流側と下流側との何れで絞られても差し支えない。
また、上述の第8実施形態でもこれと同様である。すなわち、第8実施形態では、通路形成部材602における第1バルブ通路511cは第1ボール512の下流側に配置されているが、この第1バルブ通路511cは第1ボール512の上流側に配置されてもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。