JP6368159B2 - 土構造物の耐震補強構造および土構造物の耐震補強方法 - Google Patents

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本発明は、盛土等の土構造物の耐震補強構造、および土構造物の耐震補強方法に関する。
路盤として用いられる交通用の盛土は、天端に設けられる軌道や道路を確実に支持することが求められるため、他の用途の盛土よりも強固に築造されているのが一般的である。それでも、コンクリート構造物等に比べれば強度は劣るため、大規模な地震が発生した場合等には、揺れによって崩壊してしまう可能性がある。もし、列車や自動車が通行している最中に崩壊が起きると重大事故につながってしまうため、既存の盛土に耐震性を持たせ、崩壊しにくくすることが求められている。
盛土の耐震補強方法としては、従来、盛土の法面から、盛土内にアンカーを打ち込む等の方法が一般的である。ところが、盛土のすぐ脇に構造物が設けられている等、盛土の脇に耐震補強作業を行うためのスペースを確保することができない場合には、この方法を用いた作業は極めて困難となる。特に、列車や自動車の通行量が比較的多く、耐震補強が急がれている都市圏の盛土ほどそのようになっている場合が多い。近年では、そのような場合にも用いることのできる耐震補強方法として、法面の上方に足場を設け、その上から盛土の内部に固化剤を注入し、盛土内の土砂と固化剤とを混合した状態で固化させていくことにより、盛土の内部に鉛直方向に延びる改良杭からなる改良体を設け、盛土のせん断強度を高める技術が提案されている(非特許文献1参照)。
高山 真揮、渡邊 康夫、三上 和久,「改良杭で補強した模型盛土の振動試験」,土木学会第68回年次学術講演会概要集 第3部門,公益社団法人土木学会,平成25年9月,p.101−102
しかしながら、地震により盛土が揺さぶられると、擁壁には通常よりも高い土圧が作用するので、擁壁が倒れてしまうおそれがある。擁壁が倒れてしまうと、擁壁と改良杭との間にある盛土の側部が崩れやすくなってしまう。そして、盛土の側部が崩れると、改良杭が倒れやすくなってしまい、改良杭は耐震性を発揮することができなくなってしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、土構造物を支持する擁壁を倒れにくくすることにより、土構造物の耐震性を高めることを目的とする。
上記課題を解決するため。本出願に係る発明は、側面にモルタルまたはコンクリートで板状に形成された擁壁を有する土構造物の耐震補強構造であって、前記土構造物の内部に、土砂と固化剤とを少なくとも含む混合物が固化してなり、鉛直方向に延びるように設けられた改良と、前記改良杭の中心軸よりも前記土構造物の天端寄りの部位内に鉛直方向に延びるように配置された芯材と、を備え、前記擁壁が前記杭から離れる方向に変位することができないように、前記擁壁の上部と前記杭の上部とが繋げられていることを特徴とする。
ここで、「繋げられている」には、擁壁と杭とを直接結合させた状態、擁壁と杭とに跨って設けられた部材によって結合、係止された状態等が含まれる。
擁壁のみで補強された、或いは互いに繋げられていない擁壁と杭とで補強された土構造物が地震により揺れ、擁壁に通常よりも高い水平方向の土圧が作用すると、擁壁の上部が盛土から遠ざかる方向に大きく変位し、倒れてしまう場合がある。しかし、本発明によれば、擁壁に通常よりも高い水平方向の土圧が作用しても、擁壁と相対的に離れることができないように繋がれた杭が、その土圧を擁壁に代わって負担するので、擁壁が倒れにくくなる。このため、擁壁と杭との間の土砂が崩壊しにくくなり、杭が土構造物を補強し続けるようになる。すなわち、本発明によれば、擁壁と杭とが互いに支え合う構造となり、擁壁と杭の何れかのみを有した土構造物や、擁壁と杭の両方を有しているがこれらが結合されていない土構造物よりも大きな耐震性を発揮することができる。
また、擁壁、杭、および擁壁と杭の間の盛土が一体となって挙動するため、これら全体で、地震時に生じた背面盛土の土圧に対して抵抗することができ、高い耐震補強効果を発揮することができる。
なお、上記発明において、前記杭の上部と前記擁壁の上部とに跨って設けられるとともに、第1部位が前記杭の上部と結合され、前記第1部位と異なる第2部位が前記擁壁の上部と結合された変位規制部材を備えているものとしてもよい。
変位規制部材は、コンクリートや鋼材等、容易に変形せず、両端に取り付けたものが離れることだけでなく近づくことも規制するようなものでもよいし、まっすぐに伸びた状態のチェーンやワイヤー、ネット等、両端に取り付けたものが離れることのみを規制するようなものでもよい。
このようにすれば、既製の部材でも擁壁と杭とを強固に繋げることができる。
また、上記発明において、前記芯材は、上部が前記改良の上に突出しており、モルタルまたはコンクリートで前記芯材の上部の周囲に前記芯材の上部定着するように形成された定着部備え、前記変位規制部材は、前記定着部を介して前記改良杭に結合されているものとしてもよい。
このようにすれば、擁壁と杭とを強固に繋げることができるだけでなく、芯材の改良への定着長を短くすることができるので、工期を短縮し、コストを低減することができる。また、改良の形成作業は、法面の上から行うこともできるので、脇に機材を設置するためのスペースを確保できない土構造物にも、上記発明と同様の耐震性を持たせることができる。
また、上記発明において、前記変位規制部材は、モルタルまたはコンクリートで前記定着部と一体形成されているものとしてもよい。
このようにすれば、擁壁と杭とを強固に繋げることができるだけでなく、定着部を形成する作業を、同時に擁壁と杭を繋げる作業とすることができるので、工期を短縮し、コストを低減することができる。
また、本出願に係る他の発明は、側面にモルタルまたはコンクリートで板状に形成された擁壁を有する土構造物の耐震補強方法であって、前記土構造物の内部に、土砂と固化剤とを少なくとも含む混合物が固化してなる改良杭を鉛直方向に延びるように設け、前記改良杭の中心軸よりも前記土構造物の天端寄りの部位内に、鉛直方向に延びるように芯材を配置し、少なくとも両端が互いに遠のくように変形することができない変位規制部材の第1部位を前記杭の上部に結合し、前記第1部位と異なる第2部位を前記擁壁の上部に結合することを特徴とする。
係る発明によれば、擁壁の、杭から離れる方向への変位が変位規制部材によって規制されるようになる。このため、擁壁が受ける土圧を杭に負担させることができるようになるので、擁壁が倒れにくくなる。このため、擁壁と杭との間の土砂が崩壊しにくくなり、杭が盛土を補強し続けるようになる。
また、擁壁、杭、および擁壁と杭の間の盛土が一体となって挙動するため、これら全体で、地震時に生じた背面盛土の土圧に対して抵抗することができ、高い耐震補強効果を発揮することができる。
本発明によれば、土構造物を支持する擁壁を倒れにくくすることができ、延いては、土構造物の耐震性を高めることができる。
本発明の第1実施形態に係る盛土の耐震補強構造の縦断面図である。 同実施形態に係る盛土の耐震補強方法の一工程を示す図である。 同実施形態の変形例1に係る盛土の耐震補強構造の縦断面図である。 同実施形態の変形例2に係る盛土の耐震補強構造の一部を示す縦断面図である。 同実施形態の変形例3に係る盛土の耐震補強構造の一部を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係る盛土の耐震補強構造の縦断面図である。 同実施形態に係る盛土の耐震補強方法の一工程を示す図である。
<第1実施形態>
以下、図1〜3を参照して、本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
〔土構造物の耐震補強構造〕
まず、土構造物の耐震補強構造について、盛土を例にして説明する。図1は本実施形態に係る盛土の耐震補強構造の縦断面図である。
盛土の耐震補強構造10は、盛土1を、盛土1の法面12に設けられた擁壁2と、法面から盛土1の下の地山Gにかけて設けられた複数の改良体3と、擁壁2の上面から改良体3の上面にかけて設けられた変位規制部材4よって、その強度を高めたものとなっている。また、盛土1の脇には、構造物Stが、盛土1と間隔を置かずに設けられている。盛土1の脇には構造物Stが設けられており、盛土1の法面12の脇にスペースを確保することができない状態となっている。
盛土1は、図1の紙面に対して直交する方向に沿って連続的に築造されている。盛土1を築造方向と直交する面で切断した時の断面の形状は略台形(図1には、片側の法面近傍のみ図示)をしている。天端11は水平になっており、その上方には、軌道や道路(図示省略)が、盛土1の連続する方向に沿って設けられている。法面12の上部(以下上部法面12a)は所定の勾配を有しており、法面12の下部(以下下部法面12b)は、構造物Stによる用地の制約上、上部法面12aよりも勾配が急になっている。
このような形状に築造された盛土1は、補強が十分でない場合、図1のPで示すような側面視円弧状の曲面(以下すべり面)を境にして、側部の土砂が崩壊し易くなることが知られている。なお、図のすべり面Pは、擁壁2のみで盛土1を補強した場合に計算上想定されるものを示しており、本実施形態のような形状の盛土1では、天端11の中央部付近から法尻14にかけて広がるのが一般的である。
擁壁2は、モルタルやコンクリートで、下部法面12b全体を覆う板状に形成されている。擁壁2は、図1に示した方向から見たときに、下部法面12bと平行に傾斜している、すなわち、盛土1によりかかるように設けられ、自重を盛土1に作用させることにより盛土1の土圧に対抗するようになっている。
改良体3は、盛土1の連続する方向に沿って、所定間隔を空けて並ぶように複数本設置されている。各改良体3は、想定されるすべり面Pを貫通するように設けられており、すべり面P近傍における盛土1のせん断強度が高められている。
各改良体3は、盛土1内に設けられた改良杭31、改良杭31内を鉛直方向に貫通するとともに、上部が改良杭31の上方に突出するように配置された芯材32、改良杭31の上方、かつ芯材32の上部周りに設けられた定着部33からなる。
改良杭31は、セメントスラリー等の固化剤と、盛土1を構成する土砂と同じものとが混合された状態で固化したもので、上部法面12aの下方に、鉛直方向に延びる円柱状に形成されている。また、改良杭31は、上述したすべり面Pを上下に貫通するように、かつ、その下部が盛土1の下の地山Gに達するように形成されている。改良杭31の上面には、アンカー311が打ち込まれている。
芯材32は、形鋼を含む棒状の鋼材であり、円柱状の改良体3の、中心軸Cよりも天端11側寄りの部位内に、鉛直方向に延び、その下端が、すべり面Pや盛土1と地山Gとの境界面Bよりも下まで達するように一本または複数本配置されている。芯材32の下部は、改良杭31に定着しており、その上部は、改良杭31の上面から上方へと突出し、上端部は側方へと曲げられている。なお、芯材32を、1本の改良杭31に対して複数本用いる場合は、互いに並行に、かつ、上方から見たときに、改良杭31の上面視円形の側面に沿うような配置にするのが好ましい。
定着部33は、モルタルまたはコンクリート(場合によっては鉄筋を併用してもよい)で、改良杭31の上方に設けられ、改良杭31から上方に突出した芯材32に固着している。すなわち、芯材32の上部は定着部33に定着している。また、定着部33は、改良杭31のアンカー311にも固着しており、これにより、改良杭31と定着部33の一体性が高められている。
なお、1本の改良杭31に対して複数本の芯材32を用いている場合、各芯材32の上端部にそれぞれ定着部33を形成してもよいし、一の定着部33に複数の芯材32の上端部が定着するようにしてもよい。
変位規制部材4は、モルタルまたはコンクリート(場合によっては鉄筋を併用してもよい)で、定着部33の上面から上部法面12aに沿って擁壁2の上面まで延びるように形成されている。変位規制部材4の上端部(第1部位)には、改良体3の上面から突出するアンカー331が定着しており、変位規制部材4の下端部(第2部位)には、擁壁2の上面から突出するアンカー21が定着している。この変位規制部材4により、擁壁2上部の改良体3に対する変位(特に改良体3から離れる方向への変位)が規制されている。
擁壁2のみで、或いは互いに結合されていない擁壁2と改良体3とで補強された盛土1が地震により揺れ、擁壁2に通常よりも高い水平方向の土圧が作用すると、擁壁2の上部が盛土1から遠ざかる方向に大きく変位し、擁壁2が倒れてしまう場合がある。しかし、上述したような耐震補強構造とすることにより、擁壁2に通常よりも高い水平方向の土圧が作用しても、擁壁2の上部と結合され、盛土1の内部に鉛直方向に延びるように設けられた改良体3が、その土圧を擁壁2に代わって負担するとともに、擁壁2上部の変位を規制するので、擁壁2は、変位しにくくなるとともに、背後の土砂を支持し続けることになる。盛土1が大きく崩れることがなければ、改良体3は擁壁2の変位を規制し続けることができる。すなわち、本実施形態の耐震補強構造10は、擁壁2と改良体3とが互いに支え合う構造となっており、擁壁2と改良体3の何れかのみを有した盛土や、擁壁2と改良体3の両方を有しているがこれらが結合されていない盛土に比べて大きな耐震性を有している。
〔土構造物の耐震補強方法〕
次に、擁壁2のみで補強されていた盛土1を上述したような耐震補強構造とする方法について説明する。
本実施形態の盛土1の補強方法は、杭設置工程、変位規制部材設置工程からなる。
(杭設置工程)
初めの杭設置工程では、まず、図2に示すように、上部法面12aに、作業用の足場Scを構築し、機材を用いて盛土1内に改良杭31を形成する。改良杭31を形成する方法としては、高圧噴射撹拌工法、機械撹拌工法、高圧噴射併用型機械攪拌工法など、固化剤を用いて改良杭31を形成できる方法であれば何でもよい。改良杭31を形成した後は、改良杭31の形成に用いた機材を撤去して、まだ固化していない土砂と固化剤とを少なくとも含む混合物内に、芯材32を、上部法面12aから混合物の下端部内まで押し込む。一本の改良杭31に対し複数本の芯材32を用いる場合には、複数本の芯材32を、位置を側方にずらしながら順次押し込んでいく。その後、芯材32上部の周囲の土砂を、改良杭31の上面が露出するまで掘削する。掘削は、芯材32の周囲に筒状の土留壁(図示省略)を形成しながら行う。その後、芯材32の上端部を側方へと折り曲げ、改良杭31の上面にアンカー311を打ち込み、必要に応じて、土留壁の内側空間に鉄筋籠(図示省略)を組む。その後、土留壁の内側空間にコンクリートまたはモルタルを流し込む。流し込んだコンクリートまたはモルタルが固化すると、定着部33が形成され、芯材32が改良杭31に定着する。こうして改良体3が構築される。
(変位規制部材設置工程)
改良体3を構築した後は、変位規制部材設置工程に移る。変位規制部材設置工程では、まず、図2に示したように、定着部33の上面にアンカー331を打ち込む。そして、定着部33の上面から擁壁2の上面にかけて型枠41を組み立てる。また、必要に応じて型枠41内に鉄筋籠を組む。その後、型枠41と上部法面12aとの間の空間S1内にモルタルまたはコンクリートを流し込む。流し込んだモルタルまたはコンクリートが固化すると、変位規制部材4が形成され、擁壁2の上面に打ち込んでおいたアンカー21が変位規制部材4の下端部に定着するとともに、改良体3の上面に打ち込んでおいたアンカー331が変位規制部材4の上端部に定着する。こうして、擁壁2と改良体3とが繋げられ、改良体3は、擁壁2が改良体3から遠ざかる方向に変位するのを規制するようになる。
この後、上述した、杭設置工程、変位規制部材設置工程を、足場Scを組み立てる位置を、盛土1の連続する方向に所定距離ずらしながら複数回繰り返すことにより、盛土1内に、複数の改良体3が盛土1の連続する方向に沿って並ぶように設けられ、本実施形態の盛土の耐震補強構造10が完成する。なお、杭設置工程と変位規制部材設置工程を交互に行うのではなく、予め複数の改良体3を構築した後、まとめて変位規制部材4を形成するようにしてもよい。また、予め改良体3が設けられている場合には、変位規制部材設置工程のみを行えばよい。
(変形例1)
なお、上記実施形態においては、変位規制部材をモルタルまたはコンクリートで形成したが、図3に示すように、棒状の鋼材(図にはH形鋼を用いた例を示した)を変位規制部材4Aとして用いてもよい。具体的には、鋼材(図のH形鋼の場合にはフランジ42)の両端部にボルト孔42a,42bを形成し、擁壁2の上面にねじが切られたアンカー21を上方へ突出するように打ち込むとともに、定着部33の上面にねじが切られたアンカー331を上方へと突出するように打ち込む。そして、改良体3上面のアンカー331に鋼材4Aの一端部(第1部位)のボルト孔42aを通すとともに、擁壁2上面のアンカー21に鋼材4Aの他端部(第2部位)のボルト孔42bを通し、各アンカー21,331にナットを螺合させる。こうすることによって、盛土1に上記実施形態と同様の耐震性を持たせることができる。
(変形例2)
また、上記実施形態においては、モルタルやコンクリートで板状に形成された擁壁2を備えた盛土1を例に説明したが、図4(a)に示すようなコンクリートブロック積み擁壁2Aや、図4(b)に示すような石積み擁壁2Bを備える盛土1を上記実施形態と同様の耐震補強構造にすることもできる。
図4(a)に示すコンクリートブロック積み擁壁2Aの場合、まず、積み上げられた複数のコンクリートブロック22の側面に鉄筋(図示省略)を組み、型枠(図示省略)を設置し、モルタルまたはコンクリートを流し込む。モルタルまたはコンクリートが固化すると、壁体23が形成されるとともに、壁体23が各コンクリートブロック22に固着し、各コンクリートブロック22が一体化される。そして、新たに設置した壁体23の上端部にアンカー21を打ち込み、変位規制部材4,4Aの下端部と結合させる。
一方、図4(b)に示す石積みの擁壁2Bの場合、積み上げられた複数の石24の側面にネット25を張る。そして、一番上に積まれた石24に、アンカー21を打ち込んでネット25の上部を石24に固定するとともに、一番下に積まれた石24に金具26を打ち込んでネット25の下部を石24に固定することにより、各石24が一体化される。そして、アンカー21を変位規制部材4,4Aの下端部と結合させる。
こうすることで、変位規制部材4,4Aが、擁壁2をなす複数の部材全ての変位を規制することができるようになり、上記実施形態と同様の耐震性を持たせることができるようになる。
(変形例3)
また、上記実施形態においては、変位規制部材4を、擁壁2の上面と改良体3の上面との間にのみ設けられたものとしたが、図5に示すように、モルタルまたはコンクリートで上部法面12aを広く覆う格子状の法枠としても利用できる形に設けてもよい。この場合、法枠4Bの中間部が第1部位、下端部が第2部位ということになる。このようにすれば、改良体3の支持力だけでなく、法枠4Bと上部法面12aとの摩擦力によっても擁壁2の変位が規制されるので、擁壁2をより一層倒れにくくすることができる。
<第2実施形態>
次に、図6,7を参照して、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。
〔土構造物の耐震補強構造〕
まず、土構造物の耐震補強構造について、本実施形態においても盛土を例にして説明する。図6は本実施形態に係る盛土の耐震補強構造の縦断面図である。
本実施形態の盛土の耐震補強構造10Cは、改良体の構成と、擁壁と改良体との繋ぎ方が第1実施形態と異なっている。
本実施形態の改良体3Cは、定着部の形状が第1実施形態の改良体3と異なる。本実施形態の定着部33Cは、本体33aと本体33aから擁壁2の上面まで延びる延出部33bとを有している。
また、本実施形態では、第1実施形態の変位規制部材4のような、擁壁2および改良体3から独立して設けられた部材を用いておらず、擁壁2の上面に打ち込まれたアンカー21は、定着部33Cの延出部33bの下端部に定着している。すなわち、本実施形態の土構造物の耐震補強構造10Cは、擁壁2と改良体3Cとが、部材を介さずに直接繋げられている。つまり、改良体3Cの定着部33Cが、第1実施形態の変位規制部材4と同様の機能を果たしている。
〔土構造物の耐震補強方法〕
次に、盛土1を上述したような耐震補強構造とする方法について説明する。
本実施形態の盛土の耐震補強方法は、杭設置工程の流れと、変位規制部材設置工程を行わない点が第1実施形態と異なっている。
(杭設置工程)
本実施形態の杭設置工程は、改良杭31上面へのアンカー311の打ち込みや、土留壁332の内側空間S2への鉄筋籠(図示省略)組みを行った後、図7に示すように、第1実施形態の型枠41と同様のものを、上部法面12aに沿って組み立てる。その後、土留壁332の内側空間S2および型枠41と上部法面12aとの間の空間S1にコンクリートまたはモルタルを流し込む。流し込んだコンクリートまたはモルタルが固化すると、定着部33Cが形成され、芯材32の上部が定着部33Cの本体33aに定着するとともに、擁壁2の上面に打ち込んでおいたアンカー21が定着部33Cの延出部33bに定着する。こうして、1本の改良体3Cが盛土1の内部に構築されるとともに、擁壁2と改良体3とが結合される。
この後、上述した杭設置工程を、足場Scを組み立てる位置を、盛土1の連続する方向に所定距離ずらしながら複数回繰り返すことにより、盛土1内に、複数の改良体3Cが盛土1の連続する方向に沿って並ぶように設けられ、本実施形態の盛土の耐震補強構造10Cが完成する。なお、杭設置工程を最後まで行ってから繰り返すのではなく、予め改良杭31および芯材32のみの未完成の改良杭を複数構築した後、最後にまとめて複数の定着部33Cを形成するようにしてもよい。
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、コンクリートまたは鋼材を用い、擁壁が改良体3に対し近づく方向に変位することも規制するように結合したが、チェーンやワイヤー、ネット等で離れる方向の変位のみ規制するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、複数の改良体3を、間隔を空けて形成したが、隣接するように形成することで、複数の改良体3からなる壁体を形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、芯材32を改良杭31に直接定着させたが、改良杭31と芯材32との間に埋込材をセメントミルクやモルタル等、定着部33を形成するコンクリート等に比べて高い流動性、充填性を有しつつ、材料不分離性を確保できる材料を充填することにより、芯材32を、埋込材を介して改良杭31に定着させるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、芯材32の長さを、想定されるすべり面Pや盛土1と地山Gとの境界面Bを超え、改良杭31の下端部まで達するようにしたが、すべり面Pや境界面Bよりも上が下端となるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、改良杭31と定着部33とを結合させるアンカー311や、定着部33と変位規制部材とを結合させるアンカー331、壁体23と変位規制部材4,4Aとを結合させるアンカー21を、改良杭31、定着部33、壁体23の固化後に打ち込むようにしたが、改良杭31、定着部33、壁体23の形成中(これらが固化する前)にアンカー311,331,21を配置しておき、固化時に定着させるようにしてもよい。
また、第1実施形態では、変位規制部材を、モルタルまたはコンクリートを現場打ちすることで形成したが、プレキャスト部材を用いるようにしてもよい。
また、第1実施形態の変形例1では、ねじを切ったアンカーとナットを用いて鋼材を擁壁2と改良体3に結合したが、擁壁2や改良杭31の上部から突出させた鉄筋やアンカーに溶接するようにしてもよい。
また、第1実施形態の変形例3では、耐震補強時に法面に法枠を新設する(法枠を変位規制部材として用いる)場合を例に説明したが、法枠が既に設けられている盛土に適用することもできる。
10,10A〜10C 盛土(土構造物)の耐震補強構造
1 盛土(土構造物)
11 天端
12 法面
12a 上部法面
12b 下部法面
13 法肩
14 法尻
2,2A,2B 擁壁
21 アンカー
22 コンクリートブロック
23 壁体
24 石
25 ネット
26 金具
3,3C 改良体
31 改良杭
311 アンカー
32 芯材
33,33C 定着部
33a 本体
33b 延出部(擁壁の上部まで延びた部位)
331 アンカー
332 土留壁
4 変位規制部材
4A 鋼材(変位規制部材)
4B 法枠(変位規制部材)
41 型枠
42 フランジ
42a,42b ボルト孔
B 境界面
C 中心軸
G 地山
P すべり面
S1,S2 空間
Sc 足場
St 構造物

Claims (5)

  1. 側面にモルタルまたはコンクリートで板状に形成された擁壁を有する土構造物の耐震補強構造であって、
    前記土構造物の内部に、土砂と固化剤とを少なくとも含む混合物が固化してなり、鉛直方向に延びるように設けられた改良と、
    前記改良杭の中心軸よりも前記土構造物の天端寄りの部位内に鉛直方向に延びるように配置された芯材と、を備え、
    前記擁壁が前記杭から離れる方向に変位することができないように、前記擁壁の上部と前記杭の上部とが繋げられていることを特徴とする土構造物の耐震補強構造。
  2. 前記杭の上部と前記擁壁の上部とに跨って設けられるとともに、第1部位が前記杭の上部と結合され、前記第1部位と異なる第2部位が前記擁壁の上部と結合された変位規制部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の土構造物の耐震補強構造。
  3. 前記芯材は、上部が前記改良の上に突出しており、
    ルタルまたはコンクリートで前記芯材の上部の周囲に前記芯材の上部定着するように形成された定着部備え、
    前記変位規制部材は、前記定着部を介して前記改良杭に結合されていることを特徴とする請求項2に記載の土構造物の耐震補強構造。
  4. 前記変位規制部材は、モルタルまたはコンクリートで前記定着部と一体形成されていることを特徴とする請求項3に記載の土構造物の耐震補強構造。
  5. 側面にモルタルまたはコンクリートで板状に形成された擁壁を有する土構造物の耐震補強方法であって、
    前記土構造物の内部に、土砂と固化剤とを少なくとも含む混合物が固化してなる改良杭を鉛直方向に延びるように設け、
    前記改良杭の中心軸よりも前記土構造物の天端寄りの部位内に、鉛直方向に延びるように芯材を配置し、
    少なくとも両端が互いに遠のくように変形することができない変位規制部材の第1部位を前記杭の上部に結合し、前記第1部位と異なる第2部位を前記擁壁の上部に結合することを特徴とする土構造物の耐震補強方法。
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