そこで、発明者らは広告用の画像情報の表示装置、特に鉄道車両に設置された複数の画像表示装置に画像情報を効率的に配信する検討を行い本願の画像表示装置、特に鉄道車両用の画像表示装置の発明を完成するに至ったものである。
本発明は、画像情報を伝送可能な回線に複数の画像表示装置が接続された環境において、特に鉄道車両において効率的に画像情報を配信する画像表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、ネットワークで接続された複数の画像表示装置の一つであって、挿入される可搬型記録媒体に記録された画像情報と該画像情報の表示及び配信に関す表示・配信情報とを読み出し、該表示・配信情報にアップデート情報が含まれる場合はマスターになって該表示・配信情報に基づいて他の画像表示装置に向けて前記可搬型記録媒体に蓄えられた画像情報をブロードキャストにて配信し、前記アップデート情報が無い場合はスレーブになって前記マスターが配信する画像情報を受信して自らの可搬型記録媒体に記録し、前記マスターから配信される画像情報のパケットを全て受信して画像情報の同期が取れた場合は、自らが新たなマスターになって自らの可搬型記録媒体に蓄えられた画像情報をブロードキャストにて配信し、前記可搬型記録媒体に記録された画像情報を表示することを特徴とする画像表示装置である。
複数の画像表示装置が画像伝送可能な回線(ネットワーク)に接続されている。画像表示装置は画像を表示する画像表示部とこれに画像情報を送る表示制御部を備えており表示制御部は挿入されるSDカードなどの可搬型記録媒体からの情報の読み込みや接続される回線との情報のやり取りの制御を行う。画像情報はこの画像情報を表示及び配信に必要な表示・配信情報と共に画像表示装置へ挿入される可搬型記録媒体、例えばSDカードに記録されている。複数ある画像表示装置の中の1台に挿入されたSDカードにはアップデート情報が記録されていて、この情報を読み込んだ画像表示装置はマスターとなり、アップデート情報を読み込まなかった画像表示装置はスレーブとなる。マスターになった画像表示装置はSDカードに記録された新しい画像情報を他のスレーブとなる画像表示装置へブロードキャストで配信し、スレーブになった画像表示装置はそれを受信して可搬型記録媒体へ記録する。スレーブであった画像表示装置は新しい画像情報を受信してマスターである画像表示装置の画像情報と同期が取れると、新たなマスターとなって、自らの有する画像情報の配信を行う。そして画像表示装置は可搬型記録媒体に記録された画像情報を表示する。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記マスターになった画像表示装置が、前記可搬型記録媒体に記録された画像情報のバージョン情報を含むチェック用パケットをブロードキャストにて送信し、該チェック用パケットを受信した前記スレーブになった画像表示装置から返信された前記スレーブになった画像表示装置の有する画像情報のバージョン情報を含む転送要求パケットを受信すると、自らが有する画像情報をブロードキャストにて送信することを特徴とする画像表示装置である
表示・配信情報には、当該SDカードに記録されている画像情報のバージョン情報が記録されている。アップデート情報によりマスターとなった画像表示装置はそのバージョン情報をチェック用パケットに含めてブロードキャストで送信する。他のスレーブである画像表示装置からは、自らの画像のバージョン情報を含む転送要求パケットが返信されるので、マスターとなった画像表示装置はこれを受けて差分である新しい画像情報をブロードキャストで送信する。
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記スレーブになった画像表示装置が、前記マスターになった画像表示装置から配信されるチェック用パケットに含まれるソフトウエアバージョンと、自らの有するソフトウエアバージョンとを対比してバージョン情報の同期が取れた場合、完了パケットを前マスターになった画像表示装置へ送信し、新たなマスターとなって自らの有する画像情のバージョン情報を含むチェック用パケットをブロードキャストにて送信することを特徴とする画像表示装置である。
可搬型記録媒体の表示・配信情報に基づいてスレーブになった画像表示装置は、マスターになった画像表示装置と画像情報のバージョンについて同期が取れた場合に、同期が取れたことを示す完了パケットをマスターである画像表示装置へ送信して新たなマスターになる。そして自らの有する画像情報のバージョン情報を含むチェック用パケットをブロードキャストにて送信する。
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、前記マスターになった画像表示装置が、新たにマスターになった画像表示装置からの前記完了パケットを受信し、マスターからスレーブに変わることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置である。
マスターになっている画像表示装置は、自分以外の新たにマスターになった画像表示装置からの前記完了パケットを受信し、マスターからスレーブに変わってマスターの役目を終える。
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4何れかに記載された発明において、前記マスターとなった画像表示装置が画像情報を送信する際に、自らのマスター番号を付加することを特徴とする画像表示装置である。
マスターである画像表示装置がマスター番号を付加して画像情報を送信することで、この情報を受信した画像表示装置は、どのマスターからの情報かを判別することができる。
請求項6に記載された発明は、請求項1乃至5何れかに記載された発明において、前記マスターとなった画像表示装置から送信される画像情報及びマスター番号を受信して新たなマスターとなった画像表示装置のマスター番号が、送信マスター番号となるマスター番号に所定の数を付加して定められることを特徴とする画像表示装置である。
新たにマスターとなる画像表示装置のマスター番号は、受信したマスター番号に所定の数、例えば1を加算して決めることで、それぞれのマスターを判別することができる。
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載された発明において、前記新たなマスターとなった画像表示装置であって、他の新たなマスターとなった画像表示装置から送信された送信マスター番号と自らのマスター番号とを対比し、自らのマスター番号が小さい場合はスレーブ状態になることを特徴とする画像表示装置である。
新たなマスターとなった画像表示装置からは画像情報のバージョン情報と共に送信マスター番号となるマスター番号が送信される。マスターの優先順位をマスター番号の大小で定めて、例えばマスター番号の大きな新たなマスターを優先して、マスター番号の小さな画像表示装置がスレーブになることで、ブロードキャスト伝送でのパケットの渋滞を避けることができる。この順位づけは逆であってもよい。
請求項8に記載された発明は、請求項6又は7に記載された発明において、前記新たなマスターとなった画像表示装置であって、他の新たなマスターとなった画像表示装置から送信される送信マスター番号と自らのマスター番号とを対比し、前記送信マスター番号と自らのマスター番号とが等しい場合は、前記新たなマスターとなった画像表示装置から送信される情報に含まれるアドレス情報及び自らのアドレス情報に基づいて自らのマスター番号を維持又は変更することを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の画像表示装置。
他の新たなマスターとなった画像表示装置から送信される送信マスター番号と自らのマスター番号とを対比し、前記送信マスター番号と自らのマスター番号とが等しい場合は、前記新たなマスターとなった画像表示装置から送信される情報に含まれるアドレス情報及び自らのアドレス情報に基づいて自らのマスター番号を維持又は変更することで、マスター番号の重複を避けることができる。自分のマスター番号を維持する場合はマスター番号を送信して来た画像表示装置のマスター番号が変更される。どちらの画像表示装置のマスター番号を変えるかは、一意に定められるそれぞれのアドレス情報に基づいて決める。
請求項9に記載された発明は、請求項6乃至8何れかに記載された発明において、前記新たなマスターとなった画像表示装置であって、他の新たなマスターとなった画像表示装置から送信される送信マスター番号と自らのマスター番号とを対比し、前記送信マスター番号が自らのマスター番号より小さい場合は、自らの画像情報をブロードキャストで送信することを特徴とする画像表示装置である。
自らのマスター番号が送信マスター番号よりも大きい場合は、みずからが優位となり自らの画像情報をブロードキャストで配信する。
請求項10に記載された発明は、請求項1乃至9何れかに記載された発明において前記画像表示装置が、車両情報を伝送する車両回線に直接又は間接に接続されて鉄道車両に設置され、前記車両回線を介して自らが設置された鉄道車両の号車番号と該鉄道車両の中での部位情報を受信し、前記号車番号と前記部位情報から自らの装置IDを生成し、さらに、該装置IDに基づいて予め定めた方式によりIPアドレスを生成し、そのIPアドレスを用いて他の画像表示装置と情報交換することを特徴とする画像表示装置である。
車両回線では車両の運行に必要な行き先情報、号車番号、車内に設置された装置に関する情報などが車両情報として伝送される。号車番号と車両内の設置位置を示す部位情報は各画像表示装置において固有なので、これに基づいて固有の装置IDが算出され、さらに固有の車両ネットワークのアドレスを加えてIPアドレスを生成することができる。
請求項11に記載された発明は、請求項10に記載の発明において、前記車両回線を介して状態を監視され、状態及び動作を制御するパケットを受け入れることを特徴とする画像表示装置である。
画像表示装置は、車両回線を介した様々な制御を受けることができる。例えばリセットされると画像表示装置の状態が初期状態へ戻るので想定外のエラー状態になった場合に有効である。また、広告の表示は時間管理されているが、各画像表示装置は車両回線からの時刻情報により同期して動作する。また、画像表示装置の状態の監視や上記以外の制御も車両回線を介して行うことができる。
請求項12に記載された発明は、請求項10又は11に記載された発明において、前記可搬型記録媒体が、前記画像表示部へ表示する画像情報の蓄積された画像情報ファイル、前記画像情報ファイルの中の画像情報を再生する順番を記載した複数のシナリオが記載されたシナリオ情報を含むシナリオファイル、時間帯に応じて前記複数のシナリオの中からシナリオを変更するタイムテーブルが記載されたスケジュール情報を含むスケジュールファイル及び画像情報の再生に関する履歴を記録するログファイルを有することを特徴とする画像表示装置である。
可搬型記録媒体は、前記画像情報ファイルの中の画像情報を再生する順番を記載した複数のシナリオが記載されたシナリオ情報を含むシナリオファイル、時間帯に応じて前記複数のシナリオの中からシナリオを変更するタイムテーブルが記載されたスケジュール情報を含むスケジュールファイルを有するので、的確な時間と場所に応じた広告を表示することができる。また画像情報の再生に関する履歴を記録するログファイルを有するので広告表示の記録を取ることで広告の実績を証明することができる。
請求項13に記載された発明は、請求項12に記載の発明において、前記シナリオファイルには、シナリオ情報として前記画像情報を表示させる画像表示装置の鉄道車両の中での位置情報と、前記画像表示部に表示させる前記画像情報の名称と、該画像情報を表示させる地点と、該画像情報を繰り返しの表示させる回数と、が含まれていることを特徴とする画像表示装置である。
シナリオファイルには、広告を有効に表示させるために必要な情報が記録されているので、複数の映像情報の管理が容易に行える。
請求項14に記載された発明は、請求項12又は13に記載の発明において前記画像表示装置が、車両回線を介して取得する運行情報と前記スケジュール情報と前記シナリオ情報とに基づいて前記画像情報を表示することを特徴とする画像表示装置である。
時刻情報を有する各画像表示装置の表示制御部が、広告を流す時刻を指定したスケジュールファイルのスケジュール情報に基づいてシナリオファイルのシナリオを選択し、そのシナリオのシナリオ情報に基づいて画像情報は表示される。
請求項15に記載の発明は、請求項12乃至14何れかに記載の発明において、前記可搬型記録媒体には、前記鉄道車両の用途種別に応じて前記表示制御部の動作を設定する動作設定情報が記憶され、前記表示制御部は、車両回線から運行情報として当該鉄道車両の用途種別を取得し、前記可搬型記録媒体から、前記画像情報、前記スケジュール情報及び前記シナリオ情報とともに前記動作設定情報を読み出し、前記運行情報と前記スケジュール情報と前記シナリオ情報と前記動作設定情報に基づいて前記画像情報を前記画像表示部に表示させることを特徴とする画像表示装置である。
鉄道車両は、車両毎に行き先が異なることが有り、通常運転の他に回送運転や試運転などの用途の種別が決められている。また、乗客が不在の場合は広告を流さないなどのきめ細かい運用が可能になる。
請求項1に記載された発明によれば、マスターである画像表示装置が、可搬型記録媒体に記録された画像情報を読み出して画像表示器で表示すると共に他の画像表示装置へ配信する。配信された画像情報がマスターと同期が取れたスレーブであった画像表示装置は新たなマスターとなって自らの有する画像情報の配信を行う。スレーブであった画像表示装置が新たなマスターとなって画像情報の配信を行うので、効率的に車両内に設置された他の画像表示装置の画像情報も更新することができる。
請求項2に記載された発明によれば、表示・配信情報には、当該SDカードなどの可搬型記録媒体に記録されている画像情報のバージョン情報が記録されているので、マスターになった画像表示装置は新しい画像情報の配信にあたって、そのバージョン情報をチェック用パケットに含めて他の画像表示装置へ送信する。スレーブになった画像表示装置からは、自らの画像のバージョン情報を含む転送要求パケットが返信されるので確実な画像情報の同期が可能になる。
請求項3に記載された発明によれば、可搬型記憶媒体に記録された情報に基づいてスレーブになった画像表示装置はマスターの画像情報とバージョンの同期が取れると完了パケットを送信し、新たなマスターとなって画像情報の配信を行うことでネットワークに接続された画像表示装置間での画像情報の同期の確実性を図れる。
請求項4に記載された発明によれば、マスターとなった画像表示装置は、新たなマスターとなった画像表示装置からの完了パケットを受信することで自分の役割を終了してブロードキャストでのパケットの渋滞回避を図れる。
請求項5に記載された発明によれば、マスターとなった画像表示装置が画像情報を送信する際に、自らのマスター番号を付加するので、マスターとなる順番が分かり、マスターの重複によるブロードキャストのトラフィックの輻輳を避けることができる。
請求項6に記載された発明によれば、新たなマスターとなる画像表示装置のマスター番号が、受信したマスター番号に所定の数を付加して定められるのでマスターの重複によるブロードキャストのトラフィックの輻輳を避けることができる。
請求項7に記載された発明によれば、新たなマスターとなった画像表示装置であって、受信したマスター番号と自らのマスター番号を対比して自らのマスター番号が小さい場合はスレーブ状態になるのでマスターの重複によるブロードキャストのトラフィックの輻輳を避けることができる。
請求項8に記載された発明によれば、新たなマスターとなった画像表示装置であって、自らのマスター番号と受信したマスター番号が同一の場合は、アドレス情報を比べて自らのマスター番号を維持又は変更するので、マスターの重複によるブロードキャストのトラフィックの輻輳を避けることができる。
請求項9に記載された発明によれば、新たなマスターとなった画像表示装置であって、自らのマスター番号が受信したマスター番号よりも大きい場合に自らの画像情報をブロードキャストで送信するので、マスターの重複によるブロードキャストのトラフィックの輻輳を避けることができる。
請求項10に記載された発明によれば車両の中の画像表示装置が、車両回線を介して自らが設置された鉄道車両の号車番号と該鉄道車両の中での部位情報を受信し、前記号車番号と前記部位情報から自らの装置IDを生成し、さらに、該装置IDに基づいて予め定めた方式により固有のIPアドレスを生成するのでその固有のIPアドレスを使って画像表示装置の間での確実な情報交換を図れる。
請求項11に記載された発明によれば、画像表示装置が車両回線を介して監視され状態
及び動作を制御するパケットを受けるので、画像表示装置の状態を外部からリセットした
り、画像表示装置のタイマーを自らの置かれた鉄道車両の車両内システム時刻に同期した
りできことから、車両回線を使って各画像表示装置を外部から監視や制御して保守点検が
容易になり省力化が図れる。
請求項12に記載された発明によれば、可搬型記録媒体は、前記画像情報ファイルの中
の画像情報を再生する順番を記載した複数のシナリオが記載されたシナリオファイル、時
間帯に応じて前記複数のシナリオの中からシナリオを変更するタイムテーブルが記載され
たスケジュールファイルを有するので、的確な時間と場所に応じた広告を表示することが
できる。また及び画像情報の再生に関する履歴を記録するログファイルを有するので広告
表示の記録を取るので広告の実績を証明することができることから画像表示装置を車両の
中の広告媒体として活用が図れる。
請求項13に記載された発明によれば、シナリオファイルには、広告を有効に表示させ
るために必要な情報が記録されているので、複数の映像情報の管理が容易に行えることか
ら、効果的な広告の表示を図れる。
請求項14に記載された発明によれば時刻情報を有する各画像表示装置が、広告を流す
時刻を指定したスケジュールファイルのスケジュール情報に基づいてシナリオファイルの
シナリオを選択し、そのシナリオのシナリオ情報に基づいて画像情報は表示されるので的
確な広告の表示を図れる。
請求項15に記載された発明によれば、前記可搬型記録媒体には、前記鉄道車両の用途
種別に応じて前記表示制御部の動作を設定する動作設定情報が記憶されているので、これ
に基づいて画像表示部へ流す画像情報を制御することで効率的な広告の表示を図れる。
以下、図面を用いて本発明の実施例として鉄道車両に適用した場合の発明の内容を詳細に説明する。図1は、車両内に複数設置された画像表示装置へ画像情報が配信される様子を示している。図1では1両のみを表示しているが、勿論、複数車両が連結されていてもよい。鉄道車両101には、図1に示したように、右側側面にドア101R〜104Rが設けられ、左側側面にドア101L〜104Lが設けられている。客室内のドア101R、102L、103R、104Lの上部には、小型の運行情報表示装置111(111a、111b、111c、111d)が設置され、客室内のドア101L、102R、103L、104Rの上部には、大型の運行情報表示装置112(112a、112b、112c、112d)が設置されている。
運行情報表示装置111、112は、運行情報などの車両情報を伝送する車両回線である低速ネットワークに接続され鉄道車両101の行先や停車駅等を表示する。運行情報表示装置111及び112は、後述する表示設定器110から低速ネットワーク113を介して車両情報の一部として運行情報を取得し、当該運行情報に含まれる行先や停車駅等を文字や画像等を客室内に表示することで乗客に提示している。
表示設定器110は例えば先頭の車両に設置され、車両情報として行先、停車駅、種別及び鉄道車両101が現在位置している地点等の鉄道車両101の運行に関する情報である運行情報やその他鉄道車両101の制御情報等を車両回線となる低速ネットワーク113に出力する。
鉄道車両101には、低速ネットワーク113の他に動画を含む画像情報の伝送が可能な高速ネットワーク114が敷設されている。複数の画像表示装置1が高速ネットワーク114に接続され、互いの情報交換が可能になっている。高速ネットワークは例えばイーサネット(登録商標)で実装され、有線でも無線も良い。
本発明の一実施形態にかかる画像表示装置1は、客室内のドア101L、102R、103L、104Rの上部に、運行情報表示装置112a、112b、112c、112dと並べて設置されている。
図2に画像表示装置の構成を示す。車両の中で供給されるAC100V又はDC100Vを画像表示装置の中で使用するDC12Vへ電源装置11で変換する。画像の表示は機器画面を使う液晶(LCD:Liquid Crystal Display)表示器13で行っているが、画像表示部は画面とし液晶に限らず、プラズマディスプレイ、有機EL (Organic Light Emitting Diode)などを用いても良い。画像表示部になる液晶表示器への入力はデジタル信号で、例えばLDVS(Low voltage differential signaling)などで伝送する。
液晶表示器13にはその大きさと表示素子の配列に応じて固有の信号が入力される。表示制御部14からの画像情報を表示部の規格に合わせて信号変換部12により変換する。画像情報はSDカード15が挿入された表示制御部14から汎用的な画像情報の伝送方式であるコンピュータとディスプレイを接続するためのインタフェース規格の一つDVI(Digital Visual Interface)で信号変換部12へ送られる。
表示制御部14は、画像表示装置の全体を制御するためのソフトウエアが蓄積されたメモリとこのソフトウエアに拠って処理を行うCPUを備えている。外部とは車両回線である低速ネットワーク113に繋がれた運行情報表示装置112とRS485インタフェースで接続される。また高速回線114であるイーサネット(登録商標)で接続される。表示制御部14は運行情報表示装置112を介して車両回線に間接的に接続され、イーサネット(登録商標)に直接接続される。もちろん、表示制御部14が直接低速回線113へ直接接続されてもよい。
車両の中に設置された画像表示装置はそれぞれ固有の装置IDを有しており、装置の監視や保守はこの装置ID毎に行われる。装置IDは、RS485インタフェースで接続されている運行情報表示装置からのSDR(Status Data Request)パケットの中の号車番号と車両の中の位置を示す部位情報から算出される。装置IDは表1に示すように上位4ビットに1〜15号車の号車番号を割り当てる。また、下位の4ビットで車両の中の位置を示す部位に対応した値(0〜15)を入れる。車両の中の部位と部位を示す値は予め決めておけば任意である。尚、SDカード15が未挿入の場合は、デフォルトとして号車番号=1、部位情報=1とする。
例えば、3号車で部位が10の画像表示装置の場合は、装置ID=上位4ビット(号車番号―1)+下位4ビット(10)=Hex(3−1)+HexA=Hex2+HexA=Hex2Aとなり、バイナリーで表すと、00101010となる。
次にIP(Internet Protocol)アドレスの生成について説明する。SDカード15の中に設定ファイル(Common.Ini)が有り、そこには、ネットワークアドレス(192.169.2.0)とサブネットマスク(255.255.255.0)が記録されている。
画像表示装置は、自らのIPアドレスを以下のようにして算出する。各画像表示装置は号車番号と車両の中の位置に基づいて表1のように、固有の装置IDを有する。また、各画像表示装置は設定ファイルから自分の所属するネットワークアドレスを取得する。そうすると、画像表示装置のIPアドレスは、ネットワークアドレス+装置IDとして算出される。
例えば、3号車で部位が10の画像表示装置の場合は、Hex表示で、下位の8ビットは、2=Hex2(0010)、10=HexA(1010)なので、下位8ビットは00101010となり、10進法で表すと42となる。従ってこの画像表示装置のIPアドレスは、ネットワークアドレス(192.169.2.0)+装置ID(0.0.0.42)=192.169.2.42となる。
各車両の各画像表示装置は上記のようにして固有のIPアドレスを所有するので、このIPアドレスを用いたネットワークを構成することができる。高速回線での情報のやり取りはデータリンク層としてイーサネット(登録商標)を使いその上でIPを使うことにより情報交換を行う。
次に、図3に示す画像表示装置へ挿入される可搬型記録媒体であるSDカード15の中に記録されるファイルについて説明する。Contentsフォルダの中に画像表示装置をマスターとして動作させるアップデート情報としてMS−updateが格納されている。MS−updateファイルを有するSDカード15を挿入された画像表示装置は、MS−updateファイルを認識してマスターとして起動し、SDカードに記録された新たな画像情報を配信するマスターとしての動作を行う。また、このファイルを有しないSDカード15を挿入された画像表示装置はマスターとなる画像表示装置から新たな画像情報を受信するスレーブとして動作する。なお、SDカード15の中のファイルについては詳細に後述する。
MS−updateファイルを有するSDカードには、最新バージョンの画像情報及び表示・配信情報として、画像情報のバージョン情報、車両の中に設置された画像表示装置の数や必要に応じてアドレスに関する情報である部位情報又はIPアドレスなどが記録されている。この最新バージョンの画像情報を他のスレーブとして画像表示装置へ配信して画像情報を更新する様子について図4〜図6を用いて説明する。
図4に示すように各画像表示装置(機器1〜機器4)は画像情報の伝送が可能なネットワーク例えばイーサネット(登録商標)で接続される。各画像表示装置のイーサネット(登録商標)端子は接続段数の制限を受けないスイッチングハブの機能を有しており自らが接続される画像表示装置のMAC(Media Access Control)アドレスを学習する。情報のやり取りは前述したIPアドレスを用いる。
図4で(1)機器1に記録媒体が挿入されてアップデート情報が記録されていればマスターになる。画像情報はパソコンなどから機器1へ送ってもよい。画像表示装置(機器1)はSDカード15に記録されたファイルを調べ、表示・配信情報のアップデート情報としてMS−updateファイルを認識すると、マスターとして動作をすることになる。なお、ファイル構造としてはアップデート情報が画像情報のフォルダに含まれてもよい。
マスターになった画像表示装置(機器1)は他のMS−updateファイルを含まないSDカード15を挿入されているスレーブになる画像表示装置(機器2〜機器4)の画像情報のバージョンを知るために、自らのSDカード15に記録された画像情報のバージョン情報を含む他の画像表示装置の状態を尋ねるチェック用パケットであるCheckパケットをブロードキャストで送信する。この時の機器1のマスター番号は1である。
MS−updateファイルを含まないSDカード15を挿入されている他の画像表示装置(機器2,機器3,機器4)は後述するスレーブモードで動作する。マスターである画像表示装置(機器1)からのチェック用パケットを受けた他の画像表示装置(機器2,機器3,機器4)はランダムな遅れ時間を経た後に自らの画像情報のバージョン情報を含む新しい画像情報の転送を要求する転送要求パケットをマスターである画像表示装置(機器1)に向けてユニキャストで返信する。
次に、図4の(2)の動作を説明する。転送要求を受信したマスターである機器1は自分の有する画像情報をブロードキャストで自分のマスター番号1と共に送信する。その際、画像情報は情報量が大きいのでネットワークで決まるパケットサイズへ画像情報を分割して送信する。受信した機器2〜機器4はネットワークの輻輳を防止するためにパケット毎のACKを返すことはしない。
図5の(3)では、機器1から一つのバージョンの画像情報を送り終えた段階で、スレーブである機器2〜機器4から受信状態を示す情報を返信する。機器2は全てのパケットを受信したのでマスター(親)である機器1の画像情報が送信したバージョンの画像情報については同期が取れたことになる。機器2は全てのパケットを受信したことを意味する完了パケットを送信して、マスターから受信したマスター番号1に所定の数、例えば1を加えてマスター番号2となる。この加算する数は符号を含めて任意である。
図5の(4)では、機器2からの完了パケットを受信した機器1はマスターとしての役割を終えてスレーブに状態が変わる。その代りに、機器2が新たなマスターとして自分の有する画像情報とマスター番号2をブロードキャストで送信する。
機器3からはパケット番号4以降に不具合が有り、機器4からはパケット番号5以降に不具合が有ることがブロードキャストで返信される。それを受信した新たなマスターである機器2は、パケット番号4以降を送信する。
図6の(5)では、機器3及び機器4から全てのパケットを受信したことを示す完了パケットが送信される。機器2は、機器3又は機器4から完了パケットを受信すると自分の役割を終えてマスターからスレーブへ状態が変化する。
完了パケットを送信した機器3がマスター番号3になる。機器3と画像情報の同期が取れた場合は、機器4のマスター番号は4になる。また、機器4が機器2と画像情報の同期が取れた場合はそのマスター番号が機器3と同じマスター番号3になる可能性があり、マスター番号の調整が必要になる。この調整の詳細は後述する。
画像情報の伝送は、全ての機器間での画像情報の同期が取れてマスターになることで終了する。マスターになった機器は他の装置からの完了パケットを受信してスレーブになる。ここで、機器1の画像情報の新しいバージョンが複数ある場合は図4の(1)からの一連の動作を繰り返す。
図7を用いてマスターとスレーブの動的な動作を説明する。マスターとなった画像表示装置は自分の記録装置(SDカード、コンパクトフラッッシュメモリなど)の内容が更新されると他のスレーブである画像表示装置に向けて自分の画像情報のバージョンをブロードキャストで送信する。ここで、マスターが送信するファイルは画像情報に限られないことは勿論である。
マスターからソフトウエアバージョンの通知を受けたスレーブは自分の有する画像情報と違いが有る場合は新しいバージョンの画像情報の送信を求めて、転送要求を送信する。
転送要求を受信したマスターは送るべきソフトウエアをN個の伝送可能な大きさに分割する。伝送開始に先立ってマスターは伝送開始を意味する開始パケットをブロードキャストで3回送信する。
その後、マスターはN個に分割されたファイルを番号0〜番号N−1のパケット番号を付加してブロードキャストにて伝送する。N個のパケットを送信後にマスターは終了パケットを3回送信する。スレーブはN個のパケットに不具合が無ければマスターとファイルの同期が取れたので同期確認を意味する完了パケットをブロードキャストにて送信する。
完了パケットを送信したスレーブは新たなマスターとなり、完了パケットを受信したマスターはスレーブに状態が変化する。
図8を用いてマスターの動作を説明するフローの説明をする。SDカードを挿入された画像表示装置はマスターとしての動作を開始する(S0)。この場合のマスター番号Mn=1である(S1)。
SDカードなどの外部情報によりソフトウエアを取り込む(S2)。取り込んだソフトウエアのバージョンとマスター番号Mnを含むチェック用パケット(Checkパケット)をブロードキャストで送信する。SDカードでマスターになった場合のマスター番号はMn=1であるが、同期が取れて新たなマスターとなった場合は、同期した画像表示装置のマスター番号に所定の数、例えば1を加えた新たなマスター番号となる(S3)。
複数のネットワークで接続された他の画像表示装置からの応答を例えば5秒待つ(S4)。新しいバージョンの転送要求が無かった場合はタイムアウトになってS11へ飛ぶ。また転送要求が有った場合は、以後マスター番号のチェックが行われる(S5)。
各画像表示装置は自分のマスター番号を持っていて最初はスレーブ状態なのでマスター番号はMn=0になっている。SDカードのアップデート情報によりマスターになった場合のマスター番号はMn=1である(S1)。スレーブから新たなマスターになった場合は、同期が取れた古いマスターのマスター番号に1を加えたマスター番号になる。
マスターのときにスレーブから転送要求が有る場合を説明する。スレーブから来たパケットの中の送信マスター番号はMnt=0である。自分のマスター番号Mn=1と伝送されてきたパケットの中のマスター番号Mnt=0を比べると、Mn>Mntとなり、S6でN及びS7でNとなり自分がマスターとして画像情報の配信を行うことになる。ここでは、マスター番号の大きいものを優先したが、逆にマスター番号の小さいものを優先してシステムを組むこともできる。
また、スレーブから新たなマスターになって、新しいマスター番号Mntを付けた画像表示装置から完了パケットが来て、自分のますらー番号Mnよりも受信したマスター番号Mntが大きい(Mn<Mnt)の場合は、状態がマスターからスレーブになる(S6)。
また、新しいマスター番号Mntを付けた画像表示装置からの完了パケットが来て、Mn=Mntの場合は、それぞれのアドレス情報、例えばMACアドレス又はIPアドレスの大大小を比較して自分の方が小さい場合はマスター番号を変更しないでマスター番号が維持されスレーブになる(S8でY)。これは逆の関係にして、アドレスの大きいほうがスレーブになってもよい。
自分のアドレスが大きいときは自分のマスター番号MnをMnt+1とする(S8のN)。そして、送るべき画像情報の大きさから算出される全体のパケット数(TOT_PACKET_NUM)を決める。その際、パケットサイズはパケット分割されないMTU(Maximum Transmission Unit)以下にする(S82)。
先ず、最初のパケット番号ST_PACKET_NOを0にする(S83)。
次に、送信の開始を意味する開始パケットをブロードキャストで送信する(S84)。
内部のカウンタNにST_PACKET_NOの値を入力する(S85)。最初の回はN=0となる。
カウンタの値Nに従ってN番目の分割パケットをブロードキャストで送信する(S86)。
受信側の処理時間に余裕を持たせることと、伝送帯域に負荷を掛けないようにするために遅延時間を取る(S87)。
カウンタの値Nを一つ増やし、N番目の分割パケットをブロードキャストで送信することを、Nが全パケット数(TOT_PACKET_NUM)になるまで繰り返す(S88)。
全パケットを送信すると、終了パケットをブロードキャストで3回送信する(S89)。
マスターからの終了パケットを受信した他の画像表示装置からの応答である完了応答を例えば5秒待つ(S90)。
完了応答が規定時間内に無い場合は全バージョンが完了かを尋ね、Noの場合はSTART(S0)へ戻る。
完了応答が有ってもパケットに欠落がない場合(S10のN)はS11へ飛び、全バージョンが完了かを尋ね完了している場合(S11のY)で状態がマスターからスレーブへ変化する。
スレーブが受信したパケットに欠落のある場合の複数の画像表示装置からの欠落を起こした最小パケット番号を、ST_PACKET_NOの値とする(S101)。
次に、スレーブモードでの動作について図9を用いて説明する。SDカードにアップデート情報が無い場合は画像表示装置がスレーブモードで動作する。START(S30)後、マスター番号Mnを0に設定する(S31)。
マスターからのソフトウエアバージョンを知らせるチェック用パケットの到着を待つ(S32)及び(S40)。
Check用パケットを受信すると(S40のY)、現在のソフトウエアバージョンAと受信したソフトウエアバージョンBを対比する(S41)。
自分のバージョンがマスターのバージョンと同じか、大きければマスターからの画像情報を受信する必要が無いので完了応答を送信する(S423)。自分のマスター番号Mnを送信されてきたマスター番号に所定の数、例えば1を加えてMnt+1にする(Mn←Mnt+1)(S424)。
また、A<Bの場合は転送要求と自分のマスター番号Mn=0をマスターに向けて送信する(S421)。
転送要求を受けたマスターからの開始パケットを例えば5秒間受信待ちする(S422)。
5秒の間に開始パケットを受信できない場合はタイムアウトでS32へ戻る。受信した場合はマスターからの分割パケット又は終了パケットを受信待ちする(S431)。
N番目の分割パケットを受信するとN番目の受信フラグをONにして受信したデータを受信バッファへ格納する(S441)。
終了パケットを受信した場合(S44でY)は受信したデータのパケットに欠落があるか否かを調べ一番小さな欠落したパケット番号Mをマスターへ送信する(S452)。
データに欠落が無い場合は完了パケットを送信する(S451)。
受信バッファに格納してあるデータをアップデートする(S453)。マスターに役割変更する。
次に、SDカード15に記録された画像情報を含む各種ファイルについて説明をする。
SDカード15は、周知のように、カード状に形成され、不揮発性の半導体メモリを内蔵した読み書き自在の可搬型記録媒体である。SDカード15には、動画情報や静止画情報などの画像情報やシナリオファイルやスケジュールファイル等が記憶されている。なお、本実施形態では可搬型記録媒体としてSDカード15で説明するが、SDカードに限らず、他の方式のメモリカードでもよいし、USB(Universal Serial Bus)メモリやハードディスクあるいは光ディスク等の可搬型記録媒体であってもよい。
図3にSDカード15内のフォルダ構造例を示す。SDカード15(SD Card)には、コンテンツ(contents)とファーム(firm)とログ(log)とセッティング(setting)との各フォルダ(ディレクトリ)が形成されている。
コンテンツフォルダには、CMとニュース(NEWS)とエマージェンシー(EMERGENCY)との各フォルダが形成されている。また、マスターになる画像表示装置へ挿入されるSDカードには、MS−updateファイルが記録される。
CMフォルダには、LCD表示器13に表示する広告の動画情報(広告動画情報)とシナリオ情報とスケジュール情報とが格納されており、バージョンごとにフォルダが形成されている。図3の例では、“20130301”(バージョンα)と“20130401”(バージョンβ)との2つのフォルダが形成されている。
バージョンごとに形成されるフォルダ、例えば“20130301”フォルダには、ソース(Source)フォルダが形成され、1.ini〜10.iniの10個のシナリオファイルとschedule.iniの1個のスケジュールファイルが格納されている。ソースフォルダには、複数の広告動画情報(AAAA.h264〜DDDDD.h264)が格納されている。この広告動画情報は、例えばH.264規格により符号化されている。即ち、広告動画情報が画像情報となる。勿論画像情報は動画情報に限らず静止画情報であってもよい。
シナリオ情報としてのシナリオファイルは、ソースフォルダに格納されている各動画情報の表示順や表示する地点等が設定されているファイルである。スケジュール情報としてのスケジュールファイルは、複数のシナリオファイルを実行する時間帯が設定されているファイルである。
シナリオファイルの例を図10に示す。図10は、図3に示した1.iniの例である。シナリオファイルには、対象の広告動画情報名(ファイル名)と、広告動画情報かニュース動画情報かの種類の識別(種類)と、ファイル名で示された広告動画情報の繰り返し表示回数(回数・時間)と、表示させる位置(表示位置)と、表示させる地点(表示地点)と、が記載されている。
図10の例の場合、種類は“1”が広告で“2”がニュースを示す。表示位置とは、図1に示した複数の画像表示装置のうち、どの画像表示装置に表示するかを指定する情報(画像表示装置の鉄道車両101の中での位置情報)であり、各画像表示装置は、予め表示設定器110が出力する運行情報に含めて送信された自身の設置位置情報に基づいて判断することができる。例えば、ドア101Lの上部に設けられている画像表示装置の位置が“11”の場合、表示位置に“11”が含まれている場合は、ファイル名に指定された広告動画情報を表示する。
表示地点とは、ファイル名で指定された広告動画情報を表示する地点を指定する情報であり、図10では、地点コードにより指定している。地点コードとは、表示設定器110が運行情報に含めて出力する情報であり、例えば駅や駅と駅との間の区間など、特定の位置や特定の範囲の位置を示す情報をコード化したものである。画像表示装置は、運行情報に含まれる地点コードと表示位置の設定とが一致した場合は、ファイル名に指定された広告動画情報を表示する。なお、地点コードではなく緯度と経度など広告動画情報を表示する地点を示す情報であれば他の方法でもよい。
シナリオファイルには、1つの広告動画情報について上記した5つの項目を設定し、それを表示する順序で記載する。図10の場合は、“1.5Mbps.h264”、“3.5Mbps.h264”のファイルが、シナリオファイルに記載された条件のもとで表示される。表示される画像ファイルの順番がシナリオファイルに設定されている。またシナリオは複数用意されており、後述するスケジュールファイルの記載内容に応じて選択される。
なお、図10の表示位置や表示地点で“−”と表記されている場合は、全ての位置、全ての地点で表示することを示している。
次に、スケジュールファイルの例を図11に示す。スケジュールファイルには、対象のシナリオファイル名と、シナリオ情報を実行する時間に関する情報としての当該シナリオの開始時刻(開始時分)と、当該シナリオの終了時刻(終了時分)と、が記載されている。スケジュールファイルには、各シナリオファイルに開始時分と終了時分とが設定されている。即ち、スケジュールファイル(スケジュール情報)には、シナリオファイル(シナリオ情報)の実行開始時間及び実行終了時間が含まれている。
エマージェンシーフォルダには、緊急時に液晶表示器13に表示する静止画情報(動画情報でもよい)が格納されている。
ファームフォルダには、表示制御部14で動作するファームウェアのアップデート用のデータ等が格納されている。
ログフォルダには、プレイ(play)フォルダとエラー(err)フォルダとが形成されている。
プレイフォルダには、広告動画情報の再生回数のログファイルが格納されている。ログファイルには、例えば、再生した広告動画情報名とその再生日時とが再生日時順に記録されている。したがって、例えばこのログファイルを特定の広告動画情報名で検索することで広告動画情報の再生回数が判明する。即ち、SDカード15(可搬型記録媒体)には、広告動画情報(画像情報)の再生履歴に関する情報が記憶されている。
エラーフォルダには、動作中に発生したエラーのログファイルが格納されている。ログファイルには、例えば、発生したエラーのIDとその発生日時とが発生日時順に記録されている。
セッティングフォルダには、画像表示装置の各種設定を記載された設定ファイル(common.ini)と種別と行先による動作が設定された動作設定ファイル(operation.ini)とが格納されている。
設定ファイルは、複数の画像表示装置を識別するための前述した装置IDや、表示する画像情報等の切り替えの基準とする時刻の設定(例えば午前0時ではなく午前3時にする)などの項目を設定することができる。
動作設定ファイルの例を図12に示す。動作設定ファイルには、種別ごとに行先と動作を記載する。なお、図12中“#”以降はコメントを示している。例えば図12の「種別1(回送)」とコメントが記載されている行の[00]は種別を示すコード(種別コード)であり、コメントのとおり回送を示している。種別コードは鉄道車両101が走行する路線の種別に基づいて予め設定されたコードであり、表示設定器110から運行情報に含めて出力される。
次の行の「“00”=“0”」は行先と動作を示している。この行の左辺(“00”)は行先コードであり、右辺(“0”)は動作コードである。行先コードは鉄道車両101が走行する路線の行先に基づいて予め設定されたコードであり、表示設定器110から運行情報に含めて出力される。動作コードは、画像表示装置の動作を指定するコードであり、例えば“0”が無表示、“1”がシナリオファイルとスケジュールファイルとに基づく通常表示、“2”がデフォルト画像1の表示、“3”がデフォルト画像2の表示などと規定されている。デフォルト画像1、2は、図3では図示しないデフォルト画像用のフォルダに含まれている静止画情報である(動画情報でもよい)。この動作コードに基づいて表示制御部14が動作する。即ち、種別に応じて表示制御部14(表示制御部)の動作を設定している。
次に、上述した構成の画像表示装置における広告動画情報の表示動作について図13を参照して説明する。図13のフローチャートは表示制御部14で実行される。
まず、ステップS101において、RS−485インタフェース経由で表示設定器110から運行情報表示装置112を介して表示のONまたは表示のOFFを受信したかを判断し、表示OFFを受信した場合はステップS102に進み無表示状態となる。
一方、表示ONを受信した場合はステップS103に進み、種別(種別コード)、行先(行先コード)と動作設定ファイルとを確認し、該当する種別コードと行先コードの動作コードが“0”の場合はステップS102に進み無表示状態となる。動作コードが“1”の場合はステップS104に進む。そして、動作コードが“2”以上の場合はステップS105に進み、予め指定されているデフォルト画面を表示する。このステップS103では、動作設定ファイルに記載された設定のうち、運行情報として運行情報表示装置112を介して取得した種別コード及び行先コードに該当する設定に応じて判断される。即ち、動作設定ファイル(動作設定情報)に基づいて、スケジュールファイル(スケジュール情報)及びシナリオファイル(シナリオ情報)による動作を行うか否かを決定している。
次に、ステップS104においては、日付とトリガバージョンを確認し、該当するバージョンがない場合はステップS105に進み、予め指定されているデフォルト画面を表示する。デフォルト画面は静止画である場合が多く、静止画モードで表示される。トリガバージョンとは、図3のCMフォルダ内に形成されたフォルダ名を指している。例えば、“20130301”の場合は、2013年3月1日以降に表示する動画情報等が格納されているフォルダとなる。また、図3のように“20130301”“20130401”の2つのフォルダ(バージョン)がある場合は、2013年3月1日〜2013年3月31日までが“20130301#フォルダ内の動画情報等を表示し、2013年4月1日以降は”20130401“フォルダ内の動画情報等を動画モードで表示する。
ステップS104における判断では、画像表示制御部14が内蔵する時計機能から日付を取得し、その取得した現在の日付がSDカード15内のトリガバージョンに示す日付の範囲であるかを判断している。
次に、該当するバージョンがある場合はステップS106に進み、時刻とスケジュールファイルのタイムテーブルを確認し、時刻に対応するシナリオファイルが無い場合はステップS105に進み、予め指定されているデフォルト画面を表示する。
ステップS106における時刻とスケジュールファイルのタイムテーブルの確認とは、現在の時刻が、スケジュールファイルに設定されている開始時分〜終了時分に含まれているかを確認し、含まれている場合は、その開始時分と終了時分とが設定されているシナリオファイルを選択する。なお、現在の時刻は、ステップS104で日時を確認する際に取得した日時に付随している時刻情報を取得すればよい。即ち、スケジュールファイル(スケジュール情報)と現在の時刻とに基づいてシナリオファイル(シナリオ情報)を選択している。
次に、時刻に対応するシナリオファイルがある場合はステップS107に進む。ステップS107においては、対応したシナリオファイルを確認し、対応したシナリオファイルが無い場合はステップS105に進み、予め指定されているデフォルト画面を表示する。このステップS107は、ステップS106で確認したスケジュールファイルに記載されているシナリオファイルをSDカード15内から読み込むための動作を行っている。つまり、対応したシナリオファイルが無いとは、スケジュールファイルには記載があるものの、SDカード15内に記憶されていない場合であり、例えばスケジュールファイルの記載ミス、シナリオファイル名のミス、あるいはSDカード15にファイルを記憶させる作業上のミスなどが疑われる。
次に、対応したシナリオファイルがある場合はステップS108に進みシナリオファイルで呼び出された広告動画情報を確認し、広告動画情報(動画ファイル)が無い場合はステップS109に進み、ステップS105と同様に予め指定されているデフォルト画面を表示してステップS1011に進む。このステップS108は、ステップS107で確認したシナリオファイルに記載されている設定に合致する動画ファイルをSDカード15内から読み込むための動作を行っている。つまり、動画ファイルが無いとは、シナリオファイルには記載があるものの、SDカード15内に記憶されていない場合であり、例えばシナリオファイルの記載ミス、動画ファイル名のミス、あるいはSDカード15にファイルを記憶させる作業上のミスなどが疑われる。
このステップS108においては、運行情報として表示設定器110から出力された地点コード(現在位置する地点)と自身の設置位置情報(自身の設置位置)とに基づいて、シナリオファイルの記載から該当する動画ファイルの設定を特定することで、SDカード15から画像情報ファイルの動画ファイルを読み出している。即ち、シナリオファイル(シナリオ情報)と運行情報とに基づいて動画ファイル(画像情報)を選択している。
次に、動画ファイルがある場合はステップS1010に進みステップS8で読み出した動画ファイルを動画モードでLCD表示器13の機器画面に表示させる。即ち、SDカード15から該当する動画ファイルを読み出して、デコードし、DVIを介して信号変換部に出力する。信号変換部は、LVDSに規定された画像信号に変換してLCD表示器13に出力することで動画ファイル(広告動画情報)が表示される。
次に、ステップS1011において、シナリオファイルの終了を確認し、続きがある場合は、ステップS108に戻り、終了の場合はステップS106に戻る。例えば図4の場合、画像情報の名称でありAAAAA.h264を表示した後はステップS108に戻り次のBBBBB.h264の表示を行い、DDDDD.264を表示した後はステップS106に戻りスケジュールファイルの確認から再度実行する。
なお、図13に示したフローチャートのうち、Aで囲んだ部分を実行中に、RS−485インタフェース経由で表示のONまたは表示のOFFを受信した場合はフローチャートを終了する。表示ONの場合は表示中の動画ファイルの表示終了後に終了し、表示OFFの場合は動画ファイルの終了を待たずに強制終了する。
本実施形態によれば、各画像表示装置は、表示制御部14が鉄道車両101の運行情報を取得し、そして、取得した運行情報に基づいて液晶表示器13に表示させる広告動画情報をSDカード15から読み出す。このようにして、運行情報に応じた広告動画情報がSDカード15から読み出され、液晶表示器13に表示される。この広告動画情報は、マスターとなった画像表示装置の画像情報と同期を取ることで常に最新の状態に保たれる。そして、外部から運行情報が取得できれば、運行情報に基づいて広告動画情報等の画像情報を液晶表示器13に表示させることができる。
SDカード15などの可搬型記録媒体に新たな広告動画情報と共にアップデート情報を記憶させているので、一つの画像表示装置のSDカード15を交換するだけで車両に設置された全ての画像表示装置に表示させる広告動画情報を変更することができ、アップデート作業の簡便化を図ることができる。
また、運行情報として地点コードと自身の設置位置情報とを取得し、表示制御部14が、取得した地点コード及び自身の設置位置情報と、シナリオファイルに記載された表示地点及び表示位置に基づいて広告動画情報をSDカード15から読み出して、液晶表示器13に表示する。このようにすることにより、鉄道車両101が現在位置する地点や画像表示装置の設置位置に応じて表示させる広告動画情報を変更することができ、地点や位置に適した広告を表示させることができる。したがって、効果的な広告をすることができる。
また、シナリオファイルに、複数の広告動画情報の表示する順序が設定され、表示制御部14が、シナリオファイルを読み出して、その設定された順序で広告動画情報を液晶表示器13に表示させている。このようにすることにより、予め複数の広告動画情報を表示させる順序を設定することができる。また、シナリオファイルがSDカード15に広告動画情報とともに記憶されているため、SDカード15の内容を変更するのみで表示順を変更することができる。また、表示させる広告動画情報と同じSDカード15に記憶することでシナリオファイルの管理が容易となる。
また、シナリオファイルに、広告動画情報を繰り返し表示させる回数が設定されているので、1つの広告動画情報を複数回連続して表示させることができる。
また、スケジュールファイルに、シナリオファイルの実行開始時分と実行終了時分とが設定され、表示制御部14が、スケジュールファイルを読み出して、その設定された実行開始時間から実行終了時間に含まれるシナリオファイルを実行している。このようにすることにより、予めシナリオファイルを実行する時間を設定することができる。また、スケジュールファイルがSDカード15に広告動画情報やシナリオファイルとともに記憶されているため、SDカード15の内容を変更するのみでシナリオファイルを実行する時間を変更することができる。また、表示させる広告動画情報やシナリオファイルと同じSDカード15に記憶することでスケジュールファイルの管理が容易となる。
また、スケジュールファイルとシナリオファイルとが、それぞれ個別のファイルとしてSDカード15に記憶されているので、変更される情報の含まれるファイルのみを修正することができる。そのため、修正範囲が限定されるので修正が容易となり、間違い等が入りにくくなる。
また、動作設定ファイルに、鉄道車両101の種別ごとに通常表示をするか無表示とするかデフォルト画像を表示するかを示す情報が設定され、表示制御部14が、動作設定ファイルを読み出して、運行情報として取得した用途種別および行先に該当する設定に基づいた動作を行っている。このようにすることにより、例えば急行や普通といった種別に応じて予めシナリオファイルやスケジュールファイルを実行するか、他の動作をするかを設定することができる。また、動作設定ファイルがSDカード15に広告動画情報、シナリオファイル及びスケジュールファイルとともに記憶されているため、SDカード15の内容を変更するのみで当該SDカード15内のシナリオファイルやスケジュールファイルの実行を変更することができる。また、表示させる広告動画情報、シナリオファイル及びスケジュールファイルと同じSDカード15に記憶することで動作設定ファイルの管理が容易となる。
また、動作設定ファイルが個別のファイルとなっているので、変更される情報の含まれるファイルのみを修正することができる。そのため、修正範囲が限定されるので修正が容易となり、間違い等が入りにくくなる。
なお、上述した実施形態では、広告(CMフォルダ)の表示について説明したが、ニュース(ニュースフォルダ)も同様にシナリオファイルやスケジュールファイルを設定することで同様の動作をさせることができる。
また、上述した実施形態では、シナリオファイルとスケジュールファイルが別ファイルであったが、1つのファイルとしてもよい。或いは、動作設定ファイルも合わせて1つのファイルとしてもよい。
また、シナリオファイルには行先の項目を追加してもよい。つまり、行先に応じて画像情報を表示するか否かを設定することができる。或いは、シナリオファイルに種別の項目を追加してもよい。この場合は、急行や普通といった種別に応じて画像情報を表示するか否かを設定することができる。
また、現在の日時や時刻を表示制御部14が内蔵する時計機能から取得していたが、表示設定器110が共通の時間情報としてネットワーク113に出力するようにし、画像表示装置は、運行情報表示装置112を介して取得するようにしてもよい。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の画像表示装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。