以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
<ワイヤレスセンサネットワーク>
以下に説明する実施の形態1では、無線通信システムの一例として、ワイヤレスセンサネットワークを取り挙げて説明するが、実施の形態1における技術的思想は、これに限らず、センサを利用した無線通信システムに幅広く適用できるものである。
センサを利用した無線通信システムの一例であるワイヤレスセンサネットワークは、近年非常に注目されている技術であり、広く利用されることが期待されている。ワイヤレスセンサネットワークを構成するノード(端末)は、例えば、温度、照度、加速度などのセンサから出力されるデータを取得して、取得したデータを無線波で送信するように構成されている。例えば、ワイヤレスセンサネットワークでは、ノードで取得したデータをノード間のバケツリレー方式で転送する「マルチホップ・アドホック通信」が利用される。
すなわち、従来型の移動体通信では、基地局、および、これらを繋ぐ固定網などの基盤整備が必要である。これに対し、「マルチホップ・アドホック通信」を利用したワイヤレスセンサネットワークでは、各ノード自身の自律的なルーティングで通信を行なうことができる。このため、ワイヤレスセンサネットワークに固定ネットワークは不要であり、ネットワークを構築したい環境にノードを配置するだけで、ネットワークを即座に構築できる利点がある。なお、ワイヤレスセンサネットワークの形態としては、これに限らず、1対1、スター型、メッシュ型があり、そのいずれでもよい。
このように、ワイヤレスセンサネットワークは、ノードを配置するだけで自律的なネットワークを構成できるため、利用現場での敷設作業を軽減できる利点が得られる。また、センサから出力されるデータを取得することにより、現実世界の動態を捉えることができるため、対象物のトラッキングや自然環境のモニタリングが、ワイヤレスセンサネットワークにおける有望なアプリケーションとして期待されている。
図1は、ワイヤレスセンサネットワークを用いたアプリケーションの一般的な構成例を示す模式図である。図1において、ワイヤレスセンサネットワークでは、複数のノードNDが配置されており、各ノードNDは、センサ機能を使用して周辺環境を観測するように構成されている。そして、各ノードNDで観測された環境データは、例えば、ノードND間の「マルチホップ・アドホック通信」によりベースステーションBSに集められる。
ベースステーションBSは、ワイヤレスセンサネットワークにアクセス可能なコンピュータであり、例えば、ワイヤレスセンサネットワークから得られた環境データを集約して保持している。ここで、ワイヤレスセンサネットワークから環境データを取得したいシステム運用者のコンピュータは、例えば、ベースステーションBSにアクセスして必要なデータを取得し、取得したデータを解析することにより、実環境の状態を把握し、解析された状態に基づいてアプリケーションで要求されている処理を実施することができる。
<ノードの構成>
続いて、ワイヤレスセンサネットワークを構成するノードについて説明する。図2は、ノードの構成を示すブロック図である。図2に示すように、ワイヤレスセンサネットワークの構成要素であるノードは、例えば、センサSR、データ処理部DPU、無線通信部RFU、および、アンテナ(通信用アンテナ)ANT1を備えている。
センサSRは、温度・圧力・流量・光・磁気などの物理量やそれらの変化量を検出する素子や装置から構成され、さらに、検出量を適切な信号に変換して出力するように構成されている。このセンサSRには、例えば、温度センサ、圧力センサ、流量センサ、光センサ、磁気センサ、照度センサ、加速度センサ、角速度センサ、あるいは、画像センサなどが含まれる。
データ処理部DPUは、センサSRから出力された出力信号を処理し、処理したデータを出力するように構成されている。また、無線通信部RFUは、データ処理部DPUで処理されたデータを無線周波数の信号に変換して、アンテナANT1から送信するように構成されている。さらに、無線通信部RFUは、アンテナANT1を介して無線周波数の信号を受信するようにも構成されている。
このように構成されているノードにおいては、センサSRで物理量が検出されると、センサSRから信号が出力され、この出力された信号がデータ処理部DPUに入力される。そして、データ処理部DPUでは、入力した信号を処理して、処理したデータが無線通信部RFUへ出力される。その後、無線通信部RFUでは、入力したデータを無線周波数の信号に変換して、無線周波数の信号がアンテナANT1から送信される。このようにして、ノードでは、センサSRで検出された物理量に基づいて、この物理量に対応した無線周波数の信号が送信されることになる。
<ノードの詳細構成>
さらに、ノードの詳細な構成の一例について説明する。図3は、主に、ノードに含まれるデータ処理部DPUの詳細な構成例を示すブロック図である。図3に示すように、ノードに含まれるデータ処理部DPUは、アナログデータ処理部ADPUとデジタルデータ処理部DDPUから構成されている。そして、アナログデータ処理部ADPUは、センシング部SUとAD変換部ADUを含むように構成され、デジタルデータ処理部DDPUは、数値解析部NAUと判断部JUを含むように構成されている。
なお、センサSRの中には、デジタル信号を出力するものもあり、この場合は、データ処理部DPUとして、アナログデータ処理部ADPUは不要となり、デジタルデータ処理部DDPUから構成することもできる。この場合、センサSRには、アナログデータ処理部ADPUが内蔵されることになる。ただし、ここでは、一例として、データ処理部DPUをアナログデータ処理部ADPUとデジタルデータ処理部DDPUから構成する形態について説明するが、これに限定されるものではない。
まず、アナログデータ処理部ADPUについて説明する。アナログデータ処理部ADPUは、センサSRから出力されるアナログ信号を入力して、このアナログ信号を取扱い易いデータに変換するように構成されており、センシング部SUとAD変換部ADUを含む。
センシング部SUは、例えば、増幅回路や、トランスインピーダンス回路や、フィルタ回路などを含むように構成されている。センサSRから出力される出力信号は、微小であり、かつ、信号形式がデジタルデータ処理部DDPUの処理に適していない場合が多い。そこで、センサSRから出力される微小なアナログ信号を、デジタルデータ処理部DDPUの入力に適した大きさのアナログ信号に増幅する回路が必要となる。また、センサSRから出力される出力信号が電圧ではなく電流である場合もある。この場合、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換回路では、電圧信号しか受け取ることができない。このことから、電流信号を電圧信号に変換しながら、適切な大きさの電圧信号に増幅する回路が必要となる。この回路は、トランスインピーダンス回路と呼ばれ、変換回路と増幅回路を兼ねるアナログ回路である。さらに、センサSRからの出力信号には、不要な周波数信号(雑音)が混じっていることがある。この場合、雑音によって、センサSRからの出力信号の取得がしにくくなる。このため、例えば、雑音が出力信号よりも高い周波数である場合には、ローパスフィルタ回路によって雑音を取り除く必要がある。一方、雑音が出力信号よりも低い周波数である場合には、ハイパスフィルタ回路によって雑音を取り除く必要がある。
このようにセンサSRからの出力信号を直接取り扱うことは困難であるため、アナログデータ処理部ADPUが設けられており、このアナログデータ処理部ADPUにおいては、上述した増幅回路やトランスインピーダンス回路やフィルタ回路を含むセンシング部SUが設けられている。このセンシング部SUを構成する一連のアナログ回路は、「アナログフロントエンド(AFE)」とも呼ばれる。
次に、AD変換部ADUは、センシング部SUから出力されたアナログデータをデジタルデータに変換するように構成されている。つまり、デジタルデータ処理部DDPUでは、デジタルデータしか取り扱うことができないため、AD変換部ADUによって、アナログデータをデジタルデータに変換する必要があるのである。
続いて、デジタルデータ処理部DDPUは、アナログデータ処理部ADPUから出力されるデジタルデータを入力して、このデジタルデータを処理するように構成され、例えば、数値解析部NAUと判断部JUを含む。このとき、デジタルデータ処理部DDPUは、例えば、マイコン(MCU:Micro Control Unit)から構成される。
数値解析部NAUは、アナログデータ処理部ADPUから出力されたデジタルデータを入力し、プログラムに基づいて、このデジタルデータに数値演算処理を施すように構成されている。そして、判断部JUは、数値解析部NAUでの数値演算処理の結果に基づいて、例えば、無線通信部RFUに出力するデータを選別するように構成されている。
データ処理部DPUは上記のように構成されており、以下に動作について説明する。まず、センサSRで温度・圧力・流量・光・磁気などの物理量が検出され、この検出結果に基づいて、センサSRからアナログ信号である微弱な検出信号が出力される。そして、出力された微弱な検出信号は、アナログデータ処理部ADPU内のセンシング部SUに入力する。そして、センシング部SUにおいては、増幅回路によって入力した検出信号が増幅される。また、検出信号が電圧信号ではなく電流信号である場合には、トランスインピーダンス回路によって、電流信号が電圧信号に変換される。さらに、検出信号に含まれる雑音を除去するために、フィルタ回路によって、検出信号に含まれる雑音が除去される。このようにして、センシング部SUにおいては、センサSRから入力した検出信号(アナログ信号)を処理してアナログデータ(アナログ信号)が生成されて出力される。続いて、AD変換部ADUでは、センシング部SUから出力されたアナログデータを入力して、デジタルデータに変換する。その後、AD変換部ADUで変換されたデジタルデータは、デジタルデータ処理部DDPU内の数値解析部NAUに入力する。そして、数値解析部NAUでは、入力したデジタルデータに基づいて、数値演算処理を実施し、その後、数値演算処理の結果に基づいて判断部JUで無線通信部RFUに出力されるデジタルデータが選別される。次に、デジタルデータ処理部DDPUから出力されたデジタルデータは、無線通信部RFUに入力して、無線周波数の信号に変換された後、アンテナANT1から送信される。以上のようにして、ノードでは、センサSRで検出された物理量に基づくデータが作成され、このデータに対応した無線周波数の信号が送信されることになる。
次に、ノードに含まれる無線通信部RFUの詳細な構成例について説明する。図4は、主に、ノードに含まれる無線通信部RFUの送信部における詳細な構成例を示すブロック図である。図4において、無線通信部RFUは、ベースバンド処理部BBU、ミキサMIX、発振器OSR、電力増幅器PA、バランBLを有している。
ベースバンド処理部BBUは、データ処理部から入力したデジタルデータから変調用のベースバンド信号を生成して処理するように構成されており、発振器OSRは、無線周波数の搬送波を生成するように構成されている。また、ミキサMIXは、ベースバンド処理部BBUで生成されたベースバンド信号を、発振器OSRで生成された搬送波に重畳して、無線周波数の信号を生成するように構成されている。さらに、電力増幅器PAは、ミキサMIXから出力される無線周波数の信号を増幅するように構成され、バランBLは、平衡と不平衡の状態にある電気信号を変換するための素子である。
無線通信部RFUの送信部は上記のように構成されており、以下にその動作を説明する。まず、ベースバンド処理部BBUにおいて、データ処理部から入力したデジタルデータから変調用のベースバンド信号が生成される。そして、このベースバンド信号と、発振器OSRで生成された搬送波とをミキサMIXで混合することにより変調されて、無線周波数の信号が生成される。この無線周波数の信号は、電力増幅器PAで増幅された後、バランBLを介して無線通信部RFUから出力される。その後、無線通信部RFUから出力された無線周波数の信号は、無線通信部RFUと電気的に接続されているアンテナANT1から送信される。以上のようにして、ノードから無線周波数の信号を送信することができる。
続いて、図5は、主に、ノードに含まれる無線通信部RFUの受信部における詳細な構成例を示すブロック図である。図5において、無線通信部RFUは、ベースバンド処理部BBU、ミキサMIX、発振器OSR、低雑音増幅器LNA、バランBLを有している。
バランBLは、平衡と不平衡の状態にある電気信号を変換するための素子である。また、低雑音増幅器LNAは、受信した微弱な受信信号を増幅するように構成されている。発振器OSRは、無線周波数の搬送波を生成するように構成されており、ミキサMIXは、低雑音増幅器LNAで増幅された受信信号を、発振器OSRで生成された搬送波に重畳して、ベースバンド信号を生成するように構成されている。ベースバンド処理部BBUは、復調されたベースバンド信号からデジタルデータを生成して処理するように構成されている。
無線通信部RFUの受信部は上記のように構成されており、以下にその動作を説明する。まず、アンテナANT1で受信された受信信号は、バランBLを介して低雑音増幅器LNAに入力して増幅される。その後、増幅された受信信号は、発振器OSRで生成された搬送波とミキサMIXで混合することにより復調されて、ベースバンド信号が生成される。そして、復調されたベースバンド信号は、ベースバンド処理部BBUにおいて、デジタルデータに変換されて処理される。以上のようにして、ノードで受信信号を受信することができる。
<実施の形態1における電子装置の外観構成>
次に、本実施の形態1における電子装置EA1の外観構成について説明する。
図6は、本実施の形態1における電子装置EA1の外観構成を示す斜視図である。図6に示すように、本実施の形態1における電子装置EA1は、ケースCSを有し、このケースCSの内部に電子装置EA1の構成要素が収納されている。なお、本実施の形態1における電子装置EA1は、必ずしもケースCSを有する必要はなく、電子装置EA1の構成要素がケースCSに収納されていなくてもよい。ただし、ここでは、一例として、構成要素がケースCSに収納されている電子装置EA1を取り上げて説明する。
図6に示すケースCSは、内部に第1空間を有する容積部CP1と、内部に第2空間を有する容積部CP2とを備えている。このとき、容積部CP1と容積部CP2のそれぞれは、密閉されている。すなわち、ケースCSは、密閉されていることになる。
ここで、容積部CP1と容積部CP2とは、互いに一体的に接続されて、ケースCSを構成している。容積部CP1は、容積部CP2よりも、略立方体形状に近い略直方体形状をしている。一方、容積部CP2は、容積部CP1よりも細長い略直方体形状をしており、容積部CP2の細長い長辺は、例えば、x方向に延在している。
本実施の形態1におけるケースCSは、上記のように構成されており、このケースCSの内部に電子装置EA1の構成要素が収納されている。
<電子装置の構成要素の実装構成>
以下では、ケースCSの内部に収納される電子装置EA1の構成要素の実装構成について説明する。まず、図7は、本実施の形態1における電子装置(ノード)EA1の機能構成と電子装置EA1の実装部品との間の対応関係を示す図である。図7において、本実施の形態1では、センサSRとセンシング部SUとAD変換部ADUとが一体的にセンサモジュールSMを構成している。一方、数値解析部NAUおよび判断部JUがMCUを構成する半導体装置SA1に形成されている。そして、センサモジュールSMおよび半導体装置SA1は、共通する配線基板WB1に搭載されることになる。
これに対し、無線通信部RFUおよびアンテナANT1は、配線基板WB1とは別基板である配線基板WB2に配置されることになる。このとき、図4および図5に示す無線通信部RFUの構成要素のうち、ベースバンド処理部BBU、発振器OSR、ミキサMIX、電力増幅器PA、および、低雑音増幅器LNAは、MCUを構成する半導体装置SA2に形成されている。
続いて、図8は、電子部品が搭載された配線基板WB1の実装構成を模式的に示す斜視図である。図8に示すように、配線基板WB1の表面(上面)には、例えば、コネクタCNT1と半導体装置SA1が搭載されている。この半導体装置SA1には、図7に示す数値解析部NAUおよび判断部JUを実現するMCUなどが形成されている。一方、図8では、図示されないが、配線基板WB1の裏面(下面)には、例えば、図7に示すセンサSRとセンシング部SUとAD変換部ADUとを含むセンサモジュールSMが配置されている。すなわち、本実施の形態1における配線基板WB1においては、表面と裏面の両面に電子部品が搭載されていることになる。
次に、図9は、電子部品が搭載された配線基板WB2の実装構成を模式的に示す斜視図である。図9に示すように、配線基板WB2の表面(上面)には、例えば、チップアンテナから構成されるアンテナ(アンテナ部)ANT1と半導体装置SA2が搭載されている。ここで、アンテナANT1は、チップアンテナではなく、パターンアンテナから構成することもできる。半導体装置SA2には、図7に示す無線通信部RFUの主要な構成要素が形成されている。以上のようにして、配線基板WB1には、少なくとも、物理量を検出するセンサ(センサモジュールSM)が搭載されている一方、配線基板WB2には、少なくとも、センサからの出力信号に基づくデータを送信する無線通信部RFUが搭載されている。したがって、センサモジュールSMと無線通信部RFUとを含むモジュール部は、図8に示す配線基板WB1と、図9に示す配線基板WB2とを有している。以下に、このモジュール部の実装構成について、図面を参照しながら説明する。
<モジュール部の実装構成>
図10は、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1の実装構成を示す図である。具体的に、図10(a)は、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1の実装構成を示す斜視図であり、図10(b)は、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1の実装構成を示す側面図である。
まず、図10(a)に示すように、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1は、図8に示す配線基板WB1と、図9に示す配線基板WB2との積層構造から構成されている。例えば、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1は、下部に配置された配線基板WB1と、この配線基板WB1の上部に配置された配線基板WB2から構成される。
詳細には、図10(b)に示すように、配線基板WB1においては、配線基板WB1の裏面に、センサを含むセンサモジュールSMとともにその他の電子部品が搭載されている。一方、配線基板WB1の表面には、コネクタCNT1の他に、半導体装置SA1を含む電子部品が搭載されている。これに対し、配線基板WB2においては、配線基板WB2の裏面に、例えば、コネクタCNT1を差し込むソケットが形成されている。この結果、下部に配置された配線基板WB1の表面に形成されたコネクタCNT1を、上部に配置された配線基板WB2の裏面に形成されたソケットに差し込むことにより、配線基板WB1と配線基板WB2とが電気的に、かつ、物理的に接続することができる。さらに、配線基板WB1と配線基板WB2とは、接着材ADH1によっても、物理的に接続されている。そして、配線基板WB2の表面には、アンテナANT1および半導体装置SA2を含む電子装置が搭載されている。このようにして、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1が形成されている。
このように構成されている本実施の形態1におけるモジュール部MJU1は、モジュール部MJU1に含まれる無線通信部RFUとセンサモジュールSMとを実装構成上で分離している。すなわち、本実施の形態1では、互いに異なる配線基板WB1と配線基板WB2とからモジュール部MJU1を構成しており、配線基板WB1に搭載される電子部品(実装部品)によってセンサモジュールSMを実現し、配線基板WB2に搭載される電子部品(実装部品)によって無線通信部RFUを実現している。
以下に、モジュール部MJU1に含まれる無線通信部RFUとセンサモジュールSMとを実装構成上で分離して構成することによる利点について説明する。例えば、無線通信部RFUとセンサモジュールSMとを実装構成上で一体的にモジュール部を構成する場合、センサの異なるモジュール部毎に電波認証を取得する必要があり、モジュール部の製造コストが上昇することになる。
これに対し、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1のように、無線通信部RFUとセンサモジュールSMとを実装構成上で分離する場合には、電波認証が取得された無線通信部RFUを共通として、センサモジュールSMだけをカスタマイズすることができる。つまり、無線通信部RFUが形成された配線基板WB2を共通化することができるため、たとえセンサモジュールSMの構成が異なる場合であっても、センサの種類の異なるモジュール部ごとに電波認証を取得する必要がなくなり、モジュール部全体の製造コストを低減することができるのである。特に、無線通信部RFUが形成される配線基板WB2の実装構成を共通とし、センサモジュールSMが形成される配線基板WB1の実装構成だけをカスタマイズするだけで、異なる種類のセンサに対応したモジュール部MJU1を構成することができる。このため、モジュール部MJU1を構成する実装部品の共通化を推進した汎用性を向上させることができ、この観点からもモジュール部MJU1の製造コストを低減することができる。つまり、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1の分離構成によれば、無線通信部RFUを共通化することによる電波認証の取得の容易性と、実装部品の共通化に起因する汎用性の向上によって、大幅にモジュール部MJU1の製造コストを低減できるという顕著な効果を得ることができる。
次に、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1は、配線基板WB1と配線基板WB2とを基板の厚さ方向に積層して配置している。これにより、モジュール部MJU1全体の平面サイズを小さくすることができる。例えば、1つの配線基板上に無線通信部RFUとセンサモジュールSMとを一体的に配置する場合には、1つの配線基板上に実装される実装部品の数も多くなり、これによって、配線基板の平面サイズが大きくなってしまい、モジュール部全体の平面サイズが増大することになる。
これに対し、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1のように、センサモジュールSMを配置した配線基板WB1上に、無線通信部RFUおよびアンテナANT1を配置した配線基板WB2を積層配置する場合には、配線基板WB1あるいは配線基板WB2に実装され実装部品の数も少なくなる。この結果、配線基板WB1および配線基板WB2の平面サイズを小さくすることができる。そして、配線基板WB1上に配線基板WB2を積層配置することにより、モジュール部MJU1全体の平面サイズは大幅に低減される。この結果、本実施の形態1におけるモジュール部MJU1によれば、配線基板WB1と配線基板WB2を含むモジュール部MJU1全体の小型化を図ることができる。
さらに、本実施の形態1では、配線基板WB1と配線基板WB2とをコネクタCNT1で接続している。この場合、配線基板WB1と配線基板WB2とは、着脱可能となる。このことから、例えば、上層に配置される配線基板WB2に実装される実装部品で実現されている無線通信部RFUに不具合が生じた場合、不具合が発生した配線基板WB2を配線基板WB1から外すことが容易となる。そして、不具合が発生した配線基板WB2に替えて良品の配線基板WB2を配線基板WB1に接続することにより、問題なく良品のモジュールとして使用することができる。なお、本実施の形態1では、配線基板WB1と配線基板WB2との接続強度を向上させるために、配線基板WB1と配線基板WB2とをコネクタCNT1だけでなく、接着材ADH1によっても接着している。この場合、配線基板WB1と配線基板WB2との着脱容易性が犠牲になることが考えられるが、例えば、この接着材ADH1として、例えば、シリコーン系接着材などの剥がしやすい材質を使用することにより、配線基板WB1と配線基板WB2との着脱容易性を犠牲にすることなく、配線基板WB1と配線基板WB2との接続強度の向上を図ることができる。
<ケースに収納された電子装置全体の実装構成>
続いて、ケースCSに収納された電子装置EA1全体の実装構成について説明する。図11は、本実施の形態1における電子装置EA1の実装構成を示す模式的な透視上面図である。また、図12は、本実施の形態1における電子装置EA1の実装構成を示す模式的な透視側面図である。
図11および図12において、ケースCSの一部を構成する容積部CP1の内部の空間SP1には、配線基板WB1および配線基板WB2の積層構造からなるモジュール部MJU1と、電池BATと、モジュール部MJU1と電池BATとを電気的に接続する接続部とが収納されている。例えば、本実施の形態1では、図12に示すように、容積部CP1の底部上に電池BATが配置されている。そして、この電池BATの上方に、配線基板WB1が配置されており、配線基板WB1の上方に、配線基板WB2が配置されている。また、電池BAT上には、接続部も配置されている。このとき、接続部は、例えば、コネクタCNT2とモジュール部MJU1の配線基板WB1とを接続する配線WL1と、コネクタCNT2と電池BATとを接続する配線WL2とから構成されている。さらに、電池BAT上には、電池BATの温度を測定するサーミスタTH2およびこのサーミスタTH2と電気的に接続される配線WL4が配置されており、配線WL4は、配線基板WB1と接続されている。
なお、本実施の形態1における電池BATとしては、充電可能な二次電池が使用され、二次電池の一例として、リチウムイオン電池を挙げることができる。また、充電可能な二次電池として、例えば、電気二重層キャパシタなどを使用することができる。つまり、本明細書でいう「二次電池」は、充放電可能な蓄電デバイスを含む広い概念で使用しており、本明細書でいう「二次電池」には、電気二重層キャパシタも含まれる。
一方、本実施の形態1におけるケースCSでは、容積部CP1と接続されるように容積部CP2が設けられており、この容積部CP2の内部の空間SP2には、温度センサであるサーミスタTH1およびこのサーミスタTH1と電気的に接続される配線WL3が収納されている。そして、容積部CP1の内部の空間SP1と容積部CP2の内部の空間SP2とは連通しており、サーミスタTH1と接続される配線WL3は、モジュール部MJU1の配線基板WB1と接続されている。この容積部CP2の内部の空間SP2に収納されたサーミスタTH1は、例えば、電子装置EA1が設置される外部環境の温度を測定する機能を有している。
このように本実施の形態1における電子装置EA1は、温度センサとして、サーミスタTH1とサーミスタTH2とを備えているが、この構成は一例に過ぎず、例えば、電子装置EA1は、サーミスタTH1とサーミスタTH2のいずれか一方だけを備えていてもよいし、あるいは、サーミスタTH1およびサーミスタTH2の両方とも備えないように構成されていてもよい。
以上のように構成されている本実施の形態1における電子装置EA1は、無線通信システムの構成要素(ノード)となる電子装置であって、電子装置EA1は、モジュール部MJU1と、モジュール部MJU1に電力を供給する電池BATと、モジュール部MJU1と電池BATとを電気的に接続する接続部とを備える。このとき、モジュール部MJU1は、物理量を検出するセンサと、センサからの出力信号に基づくデータを送信する無線通信部とを有することになる。
<実施の形態1における特徴>
本実施の形態1における電子装置EA1は、上記のように構成されており、以下に、本実施の形態1における電子装置EA1の特徴点について説明する。
本実施の形態1における第1特徴点は、例えば、図11および図12に示すように、モジュール部MJU1と電池BATとを一体的に設ける点にある。これにより、本実施の形態1によれば、電子装置EA1全体の小型化を図ることができる。
例えば、モジュール部MJU1自体の小型化を図ることも考えられるが、実際の電子装置EA1においては、モジュール部MJU1だけでなく、モジュール部MJU1に電力を供給する電池BATも必要となる。このことから、たとえ、モジュール部MJU1自体の小型化を図っても、電池BATを含む電子装置を構成すると、結果的に、モジュール部MJU1と電池BATとを組み合わせた電子装置全体の小型化が実現されないことも考えられる。この点に関し、本実施の形態1では、予め、モジュール部MJU1と電池BATとを組み合わせることを前提として、電子装置EA1全体の小型化を実現できるモジュール部MJU1と電池BATとの一体構成を実現している。このため、本実施の形態1によれば、モジュール部MJU1と電池BATとを組み合わせた電子装置EA1全体の小型化を図ることができる。特に、本実施の形態1では、図11および図12に示すように、モジュール部MJU1と電池BATとを積層して配置している。具体的には、電池BAT上にモジュール部MJU1を配置している。これにより、本実施の形態1における電子装置EA1によれば、モジュール部MJU1と電池BATとを組み合わせた全体の平面積(フットプリント)を小さくすることができる。この結果、本実施の形態1によれば、電子装置EA1全体の小型化を図ることができる。
さらに、本実施の形態1においては、電子装置EA1全体の小型化を図る観点から工夫を施しており、この工夫点に本実施の形態1における第2特徴点および第3特徴点がある。以下では、この第2特徴点および第3特徴点について説明する。
本実施の形態1における第2特徴点は、例えば、図12に示すように、モジュール部MJU1の一部を構成する配線基板WB1の両面に電子部品が搭載されている点にある。具体的には、図12に示すように、配線基板WB1の下面(裏面)にセンサモジュールSMを含む電子部品が搭載され、かつ、配線基板WB1の上面(表面)に半導体装置SA1を含む電子部品が搭載されている。これにより、本実施の形態1によれば、配線基板WB1の片面にセンサモジュールSMおよび半導体装置SA1を含む電子部品を搭載する場合に比べて、配線基板WB1の平面サイズを小型化することができる。配線基板WB1の平面サイズを小型化できるということは、配線基板WB1を含むモジュール部MJU1の小型化を図ることができることを意味し、これによって、モジュール部MJU1と電池BATとを含む電子装置EA1全体の小型化を図ることができることになる。
また、本実施の形態1における第3特徴点は、例えば、図11および図12に示すように、電池BAT上にモジュール部MJU1を配置するだけでなく、モジュール部MJU1と電池BATとを接続する接続部も配置している点にある。つまり、本実施の形態1における第3特徴点は、電池BATとモジュール部MJU1と接続部との組み合わせ全体の平面積を低減する観点から、電池BATとモジュール部MJU1とを積層構造にするだけでなく、電池BATと接続部も積層構造にする点にある。すなわち、本実施の形態1において、電池BATの上面は、モジュール部MJU1が搭載される領域と、接続部が搭載される領域とを有していることになる。言い換えれば、電池BATの上面は、配線基板WB1あるいは配線基板WB2と平面的に重なる領域(第1領域)と、配線基板WB1および配線基板WB2と平面的に重ならない領域(第2領域)とを有し、配線基板WB1および配線基板WB2と平面的に重ならない領域に接続部が設けられていることになる。
これにより、本実施の形態1における電子装置EA1によれば、電池BAT上にモジュール部MJU1だけを配置する構成に比べて、電池BATとモジュール部MJU1と接続部との組み合わせ全体の小型化を図ることができる。以上のことから、本実施の形態1によれば、第1特徴点を基本思想として、さらに、第2特徴点および第3特徴点を有することにより、電子装置EA1全体の小型化を推進することができる。
続いて、本実施の形態1における第4特徴点は、例えば、図11および図12に示すように、モジュール部MJU1を構成する配線基板WB1と配線基板WB2とが、平面的に互いにずれて配置されている点にある。具体的には、図10に示すように、配線基板WB1の上面は、配線基板WB2と平面的に重なる重複領域DP1と、配線基板WB2と平面的に重ならない非重複領域NDP1とを有する。一方、配線基板WB2の上面は、配線基板WB1と平面的に重なる重複領域DP2と、配線基板WB1と平面的に重ならない非重複領域NDP2とを有する。このとき、重複領域DP1に対する非重複領域NDP1の形成方向(図10の右方向)と、重複領域DP2に対する非重複領域NDP2の形成方向(図10の左方向)とは、互いに反対方向である。
そして、本実施の形態1では、例えば、図10に示すように、配線基板WB2の非重複領域NDP2にアンテナANT1を設ける一方、その他の電子部品は、この非重複領域NDP2以外の領域に設けている。ただし、「その他の電子部品は、この非重複領域NDP2以外の領域に設けている」という趣旨は、基本的に、例えば、配線基板WB2に搭載されているアンテナANT1以外の電子部品や、配線基板WB1に搭載されている電子部品などが非重複領域NDP2とは重ならないように配置されている構成を望ましい構成として想定しているが、厳密に、その他の電子部品が非重複領域NDP2側に、はみ出していない構成に限定するものではない。すなわち、本明細書でいう「その他の電子部品は、この非重複領域NDP2以外の領域に設けている」とは、その他の電子部品の一部分が、わずかに非重複領域NDP2に重なっている場合を排除するものではなく、概ね、その他の電子部品が、この非重複領域NDP2以外の領域に設けられているという技術的思想が具現化されていることが読み取れるときには、その他の電子部品の一部分が、わずかに非重複領域NDP2に重なっている場合であっても、本明細書でいう「その他の電子部品は、この非重複領域NDP2以外の領域に設けている」という概念に含まれる。
このように、本実施の形態1における第4特徴点は、アンテナANT1の周囲になるべく導体パターン(金属パターン)や電子部品を配置しない点にある。すなわち、平面視において、アンテナANT1は、センサモジュールSMやコネクタCNT1に代表されるモジュール部MJU1の構成要素である電子部品とは重ならない位置に設けられている。これにより、本実施の形態1によれば、アンテナANT1の特性を改善することができる。この結果、電子装置EA1の通信距離を長くすることができる。つまり、アンテナANT1の周囲に導体パターンや電子部品が存在すると、この導体パターンや電子部品による電磁波の遮蔽効果によって、アンテナANT1の特性が著しく悪化することになる。そこで、本実施の形態1では、なるべくアンテナANT1の周囲に導体パターンや電子部品を配置していないのである。
以上のことから、本実施の形態1における第4特徴点によれば、アンテナANT1の特性を改善できるため、電子装置EA1(ノード)の通信距離を長くすることができる。このことは、ワイヤレスセンサネットワークの通信経路の選択の余地が拡大することを意味する。つまり、ノードの通信距離が長くなることによって、例えば、近接するノードとの間の通信経路が通信障害で使用不能の状態となったとしても、離れたノードとの間での通信経路を確保することが可能となる。このため、本実施の形態1における電子装置EA1をワイヤレスセンサネットワークのノードに使用することによって、通信障害の影響を受けにくいワイヤレスセンサネットワークを構築することができる。
さらに、図11および図12に示すように、平面視において、アンテナANT1は、電池BATとも重ならないように配置されている。これにより、アンテナANT1は、モジュール部MJU1の構成要素である電子部品だけでなく、モジュール部MJU1と一体的に配置されている電池BATとも重ならないように配置されることになる。この結果、本実施の形態1によれば、アンテナANT1の特性を改善することができる。
本実施の形態1における電子装置EA1は、上述した第1特徴点によって、モジュール部MJU1と電池BATとを一体的に積層配置することにより小型化を図っている。このことから、アンテナANT1をモジュール部MJU1の他の電子部品と平面的に重ならないように配置しただけでは、アンテナANT1の特性を改善する観点から充分とは言えないのである。なぜなら、モジュール部MJU1と一体的に積層配置されている電池BATも導体を含んでおり、たとえ、モジュール部MJU1を構成する他の導体パターンや電子部品とアンテナANT1とを平面的に分離しても、アンテナANT1と電池BATとの間に平面的な重なりが存在する場合には、電池BATの影響を大きく受けることによって、アンテナANT1の特性が劣化する可能性が高くなるからである。
そこで、本実施の形態1では、平面視において、モジュール部MJU1の構成要素である電子部品や導体パターンとは重ならない位置で、かつ、電池BATとも重ならない位置にアンテナANT1を設けている。この点が、本実施の形態1における第4特徴点であり、上述した第1特徴点〜第3特徴点による電子装置EA1の小型化を実現しながら、この第4特徴点によって、アンテナANT1の特性も改善することができる。
次に、本実施の形態1における第5特徴点は、図11および図12に示すように、モジュール部MJU1と電池BATとを接続する接続部が、着脱可能なコネクタCNT2を含んでいる点にある。具体的に、モジュール部MJU1と電池BATとを接続する接続部は、モジュール部MJU1の配線基板WB1とコネクタCNT2とを電気的に接続する配線WL1と、着脱可能なコネクタCNT2と、コネクタCNT2と電池BATとを電気的に接続する配線WL2とから構成されている。これにより、モジュール部MJU1と電池BATとは、コネクタCNT2を外すことによって分離することが可能となる。このように、本実施の形態1では、モジュール部MJU1と電池BATとが、コネクタCNT2によって分離できるように構成されており、この構成によれば、以下に示す利点が得られる。
例えば、モジュール部MJU1と電池BATとを、コネクタを介さず配線で直接接続している場合を考える。電池BATが充電可能な二次電池から構成されていて、この電池BATを充電する場合、モジュール部MJU1と電池BATとを、コネクタを介さず配線で直接接続している構成では、例えば、半田接続されている配線を外して、電池BATを充電する必要があり、電池BATを充電する際に半田接続されている配線を外し、電池BATへの充電が完了した後に、再び配線を半田接続する必要がある。したがって、モジュール部MJU1と電池BATとを、コネクタを介さず配線で直接接続している構成では、電池BATへの充電作業が煩雑になってしまうことになる。
これに対し、本実施の形態1のように、モジュール部MJU1と電池BATとを着脱可能なコネクタCNT2を介して接続している場合には、コネクタCNT2を外すことによって、電池BATを充電し、電池BATの充電が完了した後には、コネクタCNT2を接続するだけで、再び、モジュール部MJU1と電池BATとを電気的に接続することができる。すなわち、本実施の形態1では、モジュール部MJU1と電池BATとを着脱可能なコネクタCNT2を介して接続するという第5特徴点によって、モジュール部MJU1と電池BATとの分離(取り外し)が容易になる。このことは、電池BATの充電が容易になることを意味し、これによって、本実施の形態1によれば、電池BATへの充電作業を簡略化することができることになる。
さらに、上述した第5特徴点を前提として、本実施の形態1における第6特徴点は、配線基板WB1とコネクタCNT2とを電気的に接続する配線WL1が、最短接続可能距離よりも長い距離で、配線基板WB1とコネクタCNT2とを迂回接続している点にある。同様に、本実施の形態1における第6特徴点は、コネクタCNT2と電池BATとを電気的に接続する配線WL2が、最短接続可能距離よりも長い距離で、電池BATとコネクタCNT2とを迂回接続している点にある。これにより、配線WL1の長さおよび配線WL2の長さに余裕が生まれるため、コネクタCNT2の着脱作業が容易になるという利点を得ることができる。
例えば、配線WL1の長さおよび配線WL2の長さを最短接続可能距離程度の長さにする場合には、コネクタCNT2の着脱作業が、配線WL1や配線WL2によって阻害されやすくなる。すなわち、コネクタCNT2の着脱作業が窮屈になりやすくなる。これに対し、本実施の形態1の第6特徴点によれば、配線WL1の長さや配線WL2の長さが長くなる結果、コネクタCNT2の着脱作業が窮屈になりにくく、コネクタCNT2の着脱作業が容易となる。以上のことから、上述した第5特徴点および第6特徴点の相乗効果によって、本実施の形態1における電子装置EA1によれば、電池BATへ充電する作業性を向上することができる。さらには、モジュール部MJU1を再利用しながら、電池BATを新品に交換する作業性も向上することができる。
続いて、本実施の形態1における第7特徴点は、例えば、図10に示す配線基板WB1の非重複領域NDP1に、モジュール部MJU1と接続部との接合部が形成されている点にある。具体的には、図10および図11に示すように、配線基板WB1の非重複領域NDP1に配線基板WB1を貫通する貫通構造の端子TE1が形成されており、この貫通構造の端子TE1に配線WL1を挿入して半田接合することにより、配線基板WB1(モジュール部MJU1)と配線WL1(接続部)との接合部が形成されている。同様に、図11および図12に示すように、配線WL1だけでなく、サーミスタTH1と電気的に接続されている配線WL3、および、サーミスタTH2と電気的に接続されている配線WL4も、配線基板WB1の非重複領域NDP1に形成された貫通構造の端子TE1に挿入されて接合部が形成されていることになる。
この第7特徴点によれば、以下に示す利点を得ることができる。まず、配線基板WB1と配線WL1とを接続する接合部が、アンテナANT1が配置されている配線基板WB2の非重複領域NDP2(図10参照)から最も離れた配線基板WB1の非重複領域NDP1(図10参照)に形成されている。この結果、本実施の形態1によれば、アンテナANT1の特性が、配線基板WB1と配線WL1とを接続する接合部の影響を受けにくくなり、これによって、非重複領域NDP2(図10参照)に形成されているアンテナANT1の特性を改善することができる。
また、配線基板WB1に形成されている貫通構造の端子TE1に配線WL1を挿入して半田接合することにより接合部が形成されている。このため、例えば、配線基板WB1の表面に形成されたパッドに配線WL1を半田接合して接合部を形成する場合よりも、貫通構造の端子TE1の内部に配線WL1が挿入されている分だけ、配線基板WB1と配線WL1との接合強度を向上することができる。同様に、本実施の形態1における第7特徴点によれば、配線基板WB1と配線WL3との接合強度、および、配線基板WB1と配線WL4との接合強度を向上することができる。
さらに、図10に示す配線基板WB1の非重複領域NDP1に、モジュール部MJU1と接続部との接合部が形成されている利点としては、配線基板WB1と配線基板WB2とを積層配置した後(積層組立を実施した後)においても、接合部の半田付けが容易になるという利点を挙げることができる。
次に、本実施の形態1における第8特徴点は、例えば、図11および図12に示すように、電子装置EA1の構成要素がケースCSの内部に収納され、かつ、このケースCSが密閉されている点にある。これにより、本実施の形態1における電子装置EA1の防水性や防塵性を向上することができる。
続いて、本実施の形態1における第9特徴点は、図11および図12に示すように、容積部CP1の内部に空間SP1が設けられており、この空間SP1に、モジュール部MJU1と電池BATと接続部とが収納されている点にある。
例えば、容積部CP1の内部に空間SP1を設けずに、モジュール部MJU1と電池BATと接続部とを充填材料で覆うことも考えられる。ただし、この場合、電子装置EA1からモジュール部MJU1や電池BATが取り出しにくくなる。このことは、モジュール部MJU1や電池BATを充填材量で覆う構成では、モジュール部MJU1や電池BATの再利用や修理がしにくくなることを意味している。
これに対し、本実施の形態1における第9特徴点によれば、容積部CP1の内部に設けられた空間SP1にモジュール部MJU1と電池BATと接続部とが収納されている。この場合、電子装置EA1からモジュール部MJU1や電池BATが取り出しやすくなり、モジュール部MJU1や電池BATの再利用や修理や故障解析がしやすくなる利点が得られる。また、容積部CP1の内部に空間SP1を設けることにより、電子装置EA1の軽量化も図ることができる。
ただし、本実施の形態1における第9特徴点によれば、モジュール部MJU1や電池BATががたつきやすくなるというデメリットも存在する。この点に関し、本実施の形態1では、図12に示すように、モジュール部MJU1の凹凸形状や電池BATの形状にフィットするように、容積部CP1の形状に凹凸を設ける工夫を施している。つまり、本実施の形態1では、モジュール部MJU1の部品実装に伴う凹凸形状や電池BATの形状を反映するように、容積部CP1の内壁形状に凹凸を設ける工夫を施している。この点が、本実施の形態1における第10特徴点であり、この第10特徴点によれば、モジュール部MJU1のがたつきや電池BATのがたつきを軽減することができる。
本実施の形態1では、モジュール部MJU1のがたつきや電池BATのがたつきを軽減する観点から、さらなる工夫を施しており、この工夫点が、本実施の形態1における第11特徴点である。以下に、本実施の形態1における第11特徴点について説明する。
図12に示すように、本実施の形態1における第11特徴点は、電池BATと、配線基板WB1の下面に搭載されたセンサモジュールSM(センサ)とを接着材ADH2で接着し、かつ、電池BATと容積部CP1の底面とを接着材ADH3で接着している点にある。
例えば、本実施の形態1では、配線基板WB1の下面(裏面)に搭載されているセンサモジュールSMと電池BATの上面とを両面テープで接着し、かつ、電池BATの下面と容積部CP1の底面とを両面テープで接着している。したがって、センサモジュールSMに含まれるセンサは、電池BATを介して、容積部CP1に固定されていることになる。これにより、モジュール部MJU1と電池BATとが容積部CP1に固定されることとなる。さらに、図12において、アンテナANT1の直下領域においては、配線基板WB2(モジュール部MJU1)の下面とケースCSとを接着材などによって接着してもよい。
以上の結果、本実施の形態1における第11特徴点によれば、容積部CP1(空間SP1)におけるモジュール部MJU1のがたつきや電池BATのがたつきを抑制することができる。さらに、センサモジュールSMに含まれるセンサとして、加速度センサを使用する場合には、がたつきに起因する加速度センサへのノイズの重畳を抑制することができ、これによって、加速度センサのセンシング感度の劣化を抑制することができる。つまり、本実施の形態1における第11特徴点によって、モジュール部MJU1のがたつきや電池BATのがたつきが抑制される結果、本実施の形態1における電子装置EA1によれば、加速度センサが持つ本来の性能(センシング感度)を引き出すことができる。
なお、接着材ADH2や接着材ADH3としては、上述した両面テープの他に、ワックスや可視光硬化型の仮固定材を使用することもできる。例えば、接着材ADH2や接着材ADH3として、加温水に浸すことにより剥離が可能となるタイプのワックスを使用することもできる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、電池BATとして、充電可能な二次電池を使用する構成例について説明したが、本実施の形態2では、電池BATとして、充電する機能を有さない一次電池を使用する構成例について説明する。
図13は、本実施の形態2における電子装置EA2の一部を拡大して示す透視側面図である。図13において、本実施の形態2における電池BATは、充電機能を有さない一次電池から構成されている。したがって、図13に示すように、本実施の形態2における電子装置EA2では、モジュール部MJU1の一部を構成する配線基板WB1と電池BATとが、直接配線WLで接続されている。つまり、本実施の形態2における電池BATは、充電することを前提としていないため、電池BATの取り外すことはない。このため、本実施の形態2における電子装置EA2では、前記実施の形態1のように、配線基板WB1と電池BATとを着脱可能なコネクタCNT2を介して接続する必要性はない。このことから、本実施の形態2における電子装置EA2では、モジュール部MJU1の一部を構成する配線基板WB1と電池BATとを直接配線WLで接続している。この場合、本実施の形態2における電子装置EA2によれば、コネクタCNT2を設けない分だけ、前記実施の形態1における電子装置EA1に比べて、小型化を図ることができる。特に、本実施の形態2における電子装置EA2は、低消費電力の用途に適用して有効である。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、電池BATとして、ワイヤレス充電可能な二次電池を使用する構成例について説明する。
図14は、本実施の形態3における電子装置EA3の一部を拡大して示す透視側面図である。図14において、本実施の形態3における電池BATは、ワイヤレス充電可能な二次電池から構成されている。そして、図14に示すように、本実施の形態3における電子装置EA3では、例えば、電池BATの底面に、ワイヤレス給電用アンテナANT2が設けられている。そして、ワイヤレス給電用アンテナANT2は、給電制御回路を介して、電池BATと接続されている。これにより、例えば、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を使用することにより、充電器から供給される電力を、ワイヤレス給電用アンテナANT2を介して、電池BATに充電できる。
特に、本実施の形態3では、電子装置EA3を充電器上に配置して、電池BATを充電することを想定している。つまり、ワイヤレス給電用アンテナANT2と充電器との距離が近い程、電池BATの充電効率を向上することができるため、本実施の形態3では、電子装置EA3を充電器上に配置することを想定して、電池BATの底面に、ワイヤレス給電用アンテナANT2を設けている。
このように本実施の形態3における電子装置EA3では、ワイヤレスで電池BATを充電することができるため、電池BATを取り外すことはない。このため、本実施の形態3における電子装置EA3では、前記実施の形態1のように、配線基板WB1と電池BATとを着脱可能なコネクタCNT2を介して接続する必要性はない。このことから、本実施の形態3における電子装置EA3では、モジュール部MJU1の一部を構成する配線基板WB1と電池BATとを直接配線WLで接続している。この場合、本実施の形態3における電子装置EA3によれば、コネクタCNT2を設けない分だけ、前記実施の形態1における電子装置EA1に比べて、小型化を図ることができる。一方で、本実施の形態3における電子装置EA3では、電池BATの充電も可能となる。このことから、本実施の形態3における電子装置EA3によれば、小型化を図りながら、長期間にわたって繰り返し使用することができるという利点を有していることになる。
なお、図15は、本実施の形態3における電子装置EA3のケースCSに配置されているアンテナANT1とワイヤレス給電用アンテナANT2との平面的な位置関係を模式的に示す図である。図15に示すように、ワイヤレス給電用アンテナANT2は、渦巻き形状をしており、かつ、平面視において、アンテナANT1とワイヤレス給電用アンテナANT2とは重ならないように配置されている。このため、本実施の形態3によれば、通信用アンテナであるアンテナANT1の特性に悪影響を与えることなく、ワイヤレス給電用アンテナANT2を配置していることがわかる。
<変形例1>
図16は、本変形例1における電子装置EA4の一部を拡大して示す透視側面図である。図16において、本変形例1における電池BATは、ワイヤレス充電可能な二次電池から構成されている。そして、図16に示すように、本変形例1における電子装置EA4では、例えば、モジュール部MJU1の上方に、ワイヤレス給電用アンテナANT2が設けられている。この場合も、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を使用することにより、充電器から供給される電力を、ワイヤレス給電用アンテナANT2を介して、電池BATに充電できる。
特に、本変形例1では、電子装置EA4の上側に充電器を配置して、電池BATを充電することを想定している。つまり、ワイヤレス給電用アンテナANT2と充電器との距離が近い程、電池BATの充電効率を向上することができるため、本変形例1では、電子装置EA4の上側に充電器を配置することを想定して、モジュール部MJU1の上方に、ワイヤレス給電用アンテナANT2を設けている。
<変形例2>
図17は、本変形例2における電子装置EA5の一部を拡大して示す透視側面図である。図17において、本変形例2における電池BATは、ワイヤレス充電可能な二次電池から構成されている。そして、図17に示すように、本変形例2における電子装置EA5では、例えば、モジュール部MJU1の上方に、ワイヤレス給電用アンテナANT2と電池BATとが一体的に設けられている。特に、本変形例2では、図17に示すように、配線基板WB2に搭載されている半導体装置SA2と電池BATとが接着材ADH4で接着されており、この電池BAT上にワイヤレス給電用アンテナANT2が設けられている。この場合も、電磁誘導現象を使用することにより、充電器から供給される電力を、ワイヤレス給電用アンテナANT2を介して、電池BATに充電できる。
(実施の形態4)
本実施の形態4では、モジュール部MJU1と電池BATとを平面的に並んで配置する例について説明する。
図18は、本実施の形態4における電子装置EA6の一部を拡大して示す透視側面図である。図18において、本実施の形態4における電子装置EA6では、モジュール部MJU1と電池BATとが、平面的に並んで配置されている。そして、本実施の形態4における電池BATもワイヤレス充電可能な二次電池から構成され、この電池BATの底面にワイヤレス給電用アンテナANT2が設けられている。ここで、電池BATもワイヤレス充電可能な二次電池から構成する場合には、電池BATを取り外さなくても充電可能であるため、基本的に、電池BATとモジュール部MJU1との接続にコネクタを設ける必要はないが、電池BATとモジュール部MJU1との接続にコネクタを設けてもよい。コネクタを設ける場合には、電池BATが故障した場合に、故障した電池BATと新品の電池BATとを容易に取り換えることができる利点が得られる。
このように構成されている本実施の形態4における電子装置EA6では、モジュール部MJU1と電池BATとが、平面的に並んで配置されているため、電子装置EA6全体の平面積(フットプリント)は大きくなるが、電子装置EA6全体の薄型化を図ることができる。したがって、本実施の形態4における電子装置EA6は、特に、薄型化が必要とされる用途に適用して有効である。
<変形例1>
図19は、本変形例1における電子装置EA7の一部を拡大して示す透視側面図である。図19において、本変形例1における電子装置EA7では、モジュール部MJU1と電池BATとが、平面的に並んで配置されている。そして、本変形例1における電池BATもワイヤレス充電可能な二次電池から構成され、この電池BATの底面からモジュール部MJU1の底面側にわたって延在するように(x方向に延在するように)、ワイヤレス給電用アンテナANT2が設けられている。これにより、本変形例1における電子装置EA7によれば、ワイヤレス給電用アンテナANT2のサイズを大きくすることができるため、電池BATへの給電効率を向上することができる。
<変形例2>
図20は、本変形例2における電子装置EA8の一部を拡大して示す透視側面図である。図20において、本変形例2における電子装置EA8では、モジュール部MJU1と電池BATとが、平面的に並んで配置されている。そして、本変形例2における電池BATもワイヤレス充電可能な二次電池から構成され、この電池BATの上面からモジュール部MJU1の上面側にわたって延在するように(x方向に延在するように)、ワイヤレス給電用アンテナANT2が設けられている。これにより、本変形例2における電子装置EA8によっても、ワイヤレス給電用アンテナANT2のサイズを大きくすることができるため、電池BATへの給電効率を向上することができる。
(実施の形態5)
<小型化手法の詳細な説明>
本実施の形態5では、前記実施の形態1で説明した電子装置の小型化を実現する工夫点の詳細について説明する。
図21は、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1の実装構成を示す図である。具体的に、図21(a)は、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1の実装構成を示す斜視図であり、図21(b)は、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1の実装構成を示す側面図である。
まず、図21(a)に示すように、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1は、配線基板WB1と配線基板WB2との積層構造から構成されている。例えば、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1は、下部に配置された配線基板WB1と、この配線基板WB1の上部に配置された配線基板WB2から構成される。
このように配線基板WB1と配線基板WB2との積層構造から構成されている本実施の形態5におけるモジュール部MJU1によれば、例えば、配線基板WB1に搭載されている電子部品および配線基板WB2に搭載されている電子部品の両方を1枚の配線基板上に搭載する場合と比べて、配線基板WB1および配線基板WB2のそれぞれに実装される電子部品の数が少なくなる。このことは、配線基板WB1の平面サイズおよび配線基板WB2の平面サイズを小さくできることを意味し、これによって、平面サイズの小さな配線基板WB1と配線基板WB2の積層構造から構成されるモジュール部MJU1全体の平面サイズは、大幅に小さくなる。この結果、本実施の形態5によれば、モジュール部MJU1を含む電子装置の小型化を図ることができる。
そして、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1は、配線基板WB1と配線基板WB2との積層構造から構成することを前提として、さらに、配線基板WB1の両面に電子部品を実装するとともに、配線基板WB2の両面にも電子部品を搭載することにより、さらなる配線基板WB1および配線基板WB2の平面サイズの縮小を図っている。
具体的に、図21(b)に示すように、無線通信システムの構成要素となる電子装置において、この電子装置は、配線基板WB1と、配線基板WB1とコネクタCNT1を介して電気的に接続された配線基板WB2とを備える。そして、図21(b)に示すように、配線基板WB1と配線基板WB2とは、配線基板WB1の上面と配線基板WB2の下面とを対向させた状態で積層配置されてモジュール部MJU1が構成される。このとき、配線基板WB1の上面には、コネクタCNT1の一部分が搭載されている。具体的には、コネクタCNT1は、ソケット(レセプタクル)にプラグを挿入する構成をしており、例えば、「コネクタCNT1の一部分」とは、ソケットとプラグのいずれか一方のことを意味し、「コネクタCNT1の他部分」とは、「コネクタCNT1の一部分」がソケットの場合は、プラグを意味し、「コネクタCNT1の一部分」がプラグの場合は、ソケットを意味する。すなわち、本実施の形態5では、「コネクタCNT1の一部分」と「コネクタCNT1の他部分」のそれぞれが、コネクタCNT1を構成するソケットとプラグのいずれか一方に対応している。さらに、配線基板WB1の上面には、コネクタCNT1の一部分と電気的に接続された半導体装置SA1と、半導体装置SA1と電気的に接続された電子部品とが搭載されている。一方、配線基板WB1の下面には、物理量を検出するセンサを含むセンサモジュールSMと電子部品とが搭載されている。また、配線基板WB2の上面には、アンテナ(通信用アンテナ)ANT1と、アンテナANT1と電気的に接続された半導体装置SA2と、電子部品とが搭載されている一方、配線基板WB2の下面には、半導体装置SA2と電気的に接続されたコネクタCNT1の他部分と、半導体装置SA2と電気的に接続された電子部品とが搭載されている。
このようにして、本実施の形態5によれば、配線基板WB1の両面に電子部品が実装され、かつ、配線基板WB2の両面にも電子部品が搭載されているため、配線基板WB1および配線基板WB2の平面サイズの縮小を図ることができ、これによって、配線基板WB1と配線基板WB2の積層構造から構成されるモジュール部MJU1全体の平面サイズさらに小さくすることができる。さらに、本実施の形態5では、配線基板WB1の両面に電子部品を実装するだけでなく、配線基板WB1の両面に実装される電子部品間の配置などに工夫を施すことにより、電子装置の性能向上を図りながら、電子装置全体の小型化を実現している。同様に、本実施の形態5では、配線基板WB2の両面に電子部品を実装するだけでなく、配線基板WB2の両面に実装される電子部品間の配置などに工夫を施すことにより、電子装置の性能向上を図りながら、電子装置全体の小型化を実現している。
以下では、まず、配線基板WB2における電子部品の両面実装に対する工夫点について説明し、その後、配線基板WB1における電子部品の両面実装に対する工夫点について説明することにする。
<配線基板WB2に対する工夫点>
図22(a)は、配線基板WB2の上面図であり、図22(b)は、配線基板WB2の下面図である。図22(a)において、配線基板WB2の上面には、アンテナANT1と半導体装置SA2とバランBLNとが搭載されている。このとき、半導体装置SA2は、センサからの出力信号に基づくデータを送信する無線通信部として機能する。したがって、通信用アンテナANT1と、無線通信部として機能する半導体装置SA2とは、配線基板WB2の同一面(上面)に搭載されていることになる。この結果、無線通信部として機能する半導体装置SA2と通信用アンテナANT1との間でやり取りされる送受信信号の劣化を抑制することができる。例えば、アンテナANT1と半導体装置SA2とを配線基板WB2の互いに異なる面に搭載する場合、アンテナANT1と半導体装置SA2とを配線基板WB2を貫通するビア(プラグ)で電気的に接続する必要がある。ところが、この場合、無線通信部として機能する半導体装置SA2とアンテナANT1との間でやり取りされる送受信信号は、ビアを介して伝達するため、劣化しやすくなる。これに対し、本実施の形態5では、半導体装置SA2とアンテナANT1とが配線基板WB2の同一面(上面)に搭載されているため、半導体装置SA2とアンテナANT1とをビアを介して接続する必要がなくなる。この結果、本実施の形態5によれば、無線通信部として機能する半導体装置SA2とアンテナANT1との間でやり取りされる送受信信号の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態5では、図22(a)に示すように、配線基板WB2は、互いに対向する一対の辺SD1と辺SD2を有する矩形形状をしており、アンテナANT1は、辺SD1側に配置され、半導体装置SA2は、辺SD2側に配置されている。したがって、無線通信部として機能する半導体装置SA2とアンテナANT1との間の距離を離すことができるため、アンテナANT1の特性の劣化を抑制することができる。また、アンテナANT1を辺SD1側に配置し、半導体装置SA2を辺SD2側に配置することにより、配線基板WB2を小型化しながら、アンテナANT1と半導体装置SA2との間にバランBLNを配置することができる。
具体的に、本実施の形態5では、図22(a)に示すように、配線基板WB2の上面には、さらに、半導体装置SA2とアンテナANT1とに電気的に接続されたバランBLNが搭載され、平面視において、バランBLNは、半導体装置SA2とアンテナANT1との間に配置される。
このとき、送信信号は、半導体装置SA2→バランBLN→アンテナANT1の順番で伝達し(図4参照)、受信信号は、アンテナANT1→バランBLN→半導体装置SA2の順番で伝達する。このことから、アンテナANT1と半導体装置SA2との間にバランBLNを配置することにより、送受信信号の伝達経路に沿った電子部品の配置レイアウトを実現することができる。そして、送受信信号の伝達経路に沿った電子部品の配置レイアウトによれば、互いの電子部品を短い距離の配線で接続することができる。このことは、電子部品の配置レイアウトの効率を向上できることを意味するとともに、配線の寄生抵抗に起因する電子装置の性能劣化を抑制できることを意味する。すなわち、本実施の形態5によれば、アンテナANT1と半導体装置SA2との間にバランBLNを配置するという、送受信信号の伝達経路に沿った電子部品の配置レイアウトを実現することによって、配線基板WB2の平面サイズの縮小(モジュール部MJU1の縮小)を実現することができ、かつ、電子装置の電気的特性の向上を図ることができる。
なお、図21(b)に示すように、配線基板WB2は、配線基板WB1と平面的に重なる重複領域DP2と、配線基板WB1と平面的に重ならない非重複領域NDP2とを有する。このとき、アンテナANT1は、配線基板WB2の上面の非重複領域NDP2に配置され、半導体装置SA2は、配線基板WB2の上面の重複領域DP2に配置される。さらに、配線基板WB2の上面には、半導体装置SA2とアンテナANT1とに電気的に接続されたバランBLNが搭載され、バランBLNも、重複領域DP2に配置される。これにより、本実施の形態5によれば、配線基板WB2の小型化を図りながらも、アンテナANT1の特性を改善することができる。
例えば、半導体装置SA2は、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)などのパッケージ構造から構成することもできるが、本実施の形態5において、特に、半導体装置SA2は、配線基板WB2の上面にチップ状態で実装された半導体チップを含み、かつ、この半導体チップは、ポッティング樹脂で封止されている構造から構成されている。つまり、本実施の形態5において、半導体装置SA2は、ベアチップ実装された半導体チップをポッティング樹脂で封止した構造(COB構造:Chip On Board)をしており、このような構造の半導体装置SA2によれば、QFPやBGAなどのパッケージ構造から半導体装置SA2を構成する場合よりも、半導体装置SA2自体のサイズを小型化することができる。これにより、本実施の形態5によれば、半導体装置SA2をCOB構造とすることによる半導体装置SA2自体の小型化の効果も加わることにより、半導体装置SA2が搭載される配線基板WB2の平面サイズをさらに小型化することができる。
続いて、図22(b)に示すように、配線基板WB2の下面には、コネクタCNT1(厳密には、コネクタCNT1の他部分であるが、便宜上、コネクタCNT1と呼ぶ)や水晶発振子Xtal2が搭載されている。このとき、コネクタCNT1は、配線基板WB2の上面に搭載されている半導体装置SA2の次に占有面積の大きな電子部品である。そして、本実施の形態5では、占有面積の大きな半導体装置SA2とコネクタCNT1を配線基板WB2の同一面に搭載することを避けて、最も占有面積の大きな半導体装置SA2を配線基板WB2の上面に搭載する一方、次に占有面積の大きなコネクタCNT1を配線基板WB2の下面に搭載している。すなわち、本実施の形態5では、最も占有面積の大きな半導体装置SA2と、次に占有面積の大きなコネクタCNT1とを互いに別の面(上面と下面)に搭載している。これにより、本実施の形態5によれば、最も占有面積の大きな半導体装置SA2と次に占有面積の大きなコネクタCNT1とを配線基板WB2の同一面に搭載する構成に比べて、配線基板WB2の平面サイズを縮小することができる。
さらに、図21(b)に示すように、コネクタCNT1は、配線基板WB2の下面の重複領域DP2に配置される。さらに、配線基板WB2の下面には、水晶発振子Xtal2が搭載され、水晶発振子Xtal2も、重複領域DP2に配置される。これにより、本実施の形態5によれば、配線基板WB2の小型化を図りながらも、配線基板WB2の上面の非重複領域NDP2に搭載されるアンテナANT1の特性を改善することができる。
また、図21(b)に示すように、配線基板WB2の上面に搭載される半導体装置SA2と、配線基板WB2の下面に搭載される水晶発振子Xtal2は、断面視において、配線基板WB2を介して互いに重なるように配置される。言い換えれば、図22(a)および図22(b)に示すように、配線基板WB2の上面に搭載される半導体装置SA2と、配線基板WB2の下面に搭載される水晶発振子Xtal2は、平面視において、互いに重なるように配置される。これにより、水晶発振子Xtal2から出力される基準クロックの劣化を抑制することができる。すなわち、水晶発振子Xtal2から出力される基準クロックは、半導体装置SA2に入力して使用されるため、半導体装置SA2に入力する基準クロックの劣化を抑制する観点から、できるだけ、半導体装置SA2と水晶発振子Xtal2とを近接して配置することが望ましい。このことから、本実施の形態5では、平面視において、配線基板WB2の上面に搭載される半導体装置SA2と、配線基板WB2の下面に搭載される水晶発振子Xtal2とを互いに重なるように配置することにより、半導体装置SA2と水晶発振子Xtal2との距離を小さくしている。この結果、本実施の形態5によれば、水晶発振子Xtal2から出力された基準クロックを劣化することなく、半導体装置SA2に入力することができ、これによって、基準クロックの劣化に起因する無線通信部の機能低下を抑制することができる。
なお、本実施の形態5では、図22(b)に示すように、コネクタCNT1の配置位置は、水晶発振子Xtal2などの配線基板WB2の下面に搭載される電子部品の配置位置の中で、最も辺SD2側に近い位置となっている。言い換えれば、図22(b)に示すように、コネクタCNT1の配置位置は、水晶発振子Xtal2などの配線基板WB2の下面に搭載される電子部品の配置位置の中で、最も辺SD1から遠い位置となっている。つまり、コネクタCNT1の配置位置は、配線基板WB2の下面に搭載される電子部品の配置位置の中で、図21(b)に示すアンテナANT1が配置される非重複領域NDP2から離れた位置となる。これにより、図22(b)に示すように、コネクタCNT1の左側領域(辺SD1側の領域)のスペースを確保することができる。このことは、図21(b)において、配線基板WB2の下層に配置される配線基板WB1の上面にもコネクタCNT1以外の電子部品を配置できるスペースを確保することができることを意味する。この結果、本実施の形態5によれば、配線基板WB2だけでなく、配線基板WB1の小型化も図ることができる。以下では、配線基板WB1に対する工夫点について説明する。
<配線基板WB1に対する工夫点>
例えば、モジュール部MJU1は、より面積の大きな装置に実装して使用することも考えられる。この場合、モジュール部MJU1の装置への実装容易性を考慮すると、モジュール部MJU1を構成する配線基板WB1の下面は、フラット(平坦)であることか望ましいことになる。そして、モジュール部MJU1の装置への実装が半田接続で行なわれる場合には、配線基板WB1の下面に、BGAのように半田ボールを搭載するか、または、LGA(Land Grid Array)のように接続パッドを設けることが望ましい。また、配線基板WB1の側面に側面電極を設けることにより、実装容易性を向上することもできる。さらに、モジュール部MJU1を装置にネジ止めする場合には、配線基板WB1にネジ止め用の貫通穴を設けることが望ましい。
ただし、モジュール部MJU1を他の装置に実装せずに使用する構成も考えることができる。特に、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1は、他の装置に実装しないで使用することを想定している。この場合、他の装置への実装容易性を考慮して、配線基板WB1の下面をフラットにする必要はなく、配線基板WB1の下面にも電子部品を搭載することができる。この結果、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1によれば、配線基板WB2の両面だけでなく、配線基板WB1の両面にも電子部品を搭載することができるため、本実施の形態5によれば、モジュール部MJU1の小型化を図ることができる。
特に、本実施の形態5におけるモジュール部MJU1では、図21(a)および図21(b)に示すように、配線基板WB1の平面サイズは、配線基板WB2の平面サイズよりも小さくなる。したがって、モジュール部MJU1全体の小型化を考えた場合、配線基板WB1の平面サイズを小型化することが重要になってくる。そこで、本実施の形態5では、配線基板WB1の平面サイズを小さくする工夫を施しており、以下に、この工夫点について説明する。
図23は、配線基板WB1の上面を模式的に示す斜視図である。図23に示すように、配線基板WB1の上面には、コネクタCNT1(厳密には、コネクタCNT1の一部分であるが、便宜上、コネクタCNT1と呼ぶ)が搭載されている。ここで、図22(b)に示すように、配線基板WB2に搭載されているコネクタCNT1が辺SD2側に配置されていることから、図23に示すように、これに対応する配線基板WB1のコネクタCNT1も右側に寄せて配置されている。この結果、図23に示すように、配線基板WB1の上面において、コネクタCNT1の左側領域にスペースが確保され、このスペースに、半導体装置SA1とオペアンプOPAMPとオペアンプの周辺部品PHPが配置されている。このように、コネクタCNT1の配置位置を右側にずらすことによって生まれたスペースに、上述した電子部品を配置することにより、配線基板WB1の上面を有効活用している。この結果、配線基板WB1の小型化を図ることができる。
ここで、図24(a)は、配線基板WB1の上面図である。図24(a)において、半導体装置SA1は、センサから出力された信号を処理して、処理した信号を無線通信部に出力するデータ処理部であって、アナログデータ処理部とデジタルデータ処理部からなるデータ処理部のうちのデジタルデータ処理部として機能する。さらに、半導体装置SA1は、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部としての機能も有している。そして、図24(a)に示すように、配線基板WB1の上面には、半導体装置SA1に隣り合うように、AD変換部へ基準電位を出力するオペアンプOPAMPが搭載されている。さらに、オペアンプOPAMPの周辺には、オペアンプOPAMPの周辺部品PHPが搭載されている。このように、配線基板WB1の上面には、AD変換部としての機能を有する半導体装置SA1と、AD変換部へ基準電位を出力するオペアンプOPAMPと、周辺部品とが近接して配置されているため、精度が要求される基準電位の劣化を抑制することができる。つまり、本実施の形態5によれば、配線基板WB1の上面を有効活用して、配線基板WB1の平面サイズの小型化を図ることができるとともに、配線基板WB1の上面に配置する電子部品として、互いに関連する部品を一緒に搭載することにより、電子装置としての性能向上を図ることができる。
なお、例えば、半導体装置SA1は、QFPやBGAなどのパッケージ構造から構成することもできるが、本実施の形態5において、特に、半導体装置SA1は、配線基板WB1の上面にチップ状態で実装された半導体チップを含み、かつ、この半導体チップは、ポッティング樹脂で封止されている構造から構成されている。つまり、本実施の形態5において、半導体装置SA1は、ベアチップ実装された半導体チップをポッティング樹脂で封止した構造(COB構造)をしており、このようなCOB構造の半導体装置SA1によれば、QFPやBGAなどのパッケージ構造から半導体装置SA1を構成する場合よりも、半導体装置SA1自体のサイズを小型化することができる。これにより、本実施の形態5によれば、半導体装置SA1をCOB構造とすることによる半導体装置SA1自体の小型化の効果も加わることにより、半導体装置SA1が搭載される配線基板WB1の平面サイズをさらに小型化することができる。
続いて、配線基板WB1の下面の構成について説明する。図24(b)は、配線基板WB1の下面図である。図24(b)に示すように、配線基板WB1の下面には、例えば、加速度センサを含むセンサモジュールSMと、レギュレータRGLと、半導体装置SA1に基準クロックを出力する水晶発振子Xtal1と、リードスイッチRSWなどが搭載されている。特に、本実施の形態5では、図24(a)および図24(b)からわかるように、平面視において、水晶発振子Xtal1は、半導体装置SA1と重なる領域に配置されている。これにより、本実施の形態5によれば、半導体装置SA1と水晶発振子Xtal1とを近接して配置することができるため、水晶発振子Xtal1から出力された基準クロックが劣化することなく半導体装置SA1に入力させることができる。
また、本実施の形態5では、図24(a)および図24(b)に示すように、平面視において、センサモジュールSMは、コネクタCNT1と重なる領域に配置されている。この場合、センサモジュールSMは、配線基板WB1と配線基板WB2とを接続するコネクタCNT1の固定部位の裏面に配置されるため、センサモジュールSMは、がたつきに起因するノイズの影響を受けにくく、S/N比が向上するため、センサモジュールSMの高感度化を図ることができる。
さらに、本実施の形態5においては、図24(b)に示すように、配線基板WB1の下面に、磁気によって動作するリードスイッチRSWが搭載されている。例えば、本実施の形態5における電子装置は、防水性および防塵性を高めるために、密閉されたケースを含み、このケースは、空間を有する容積部を備え、容積部の空間に、モジュール部MJU1が収納されるように構成することができる。この場合、リードスイッチRSWを設けることにより、モジュール部MJU1がケースに収納されている状態であっても、磁気による外部からの制御によって、リードスイッチRSWのオン/オフを行なって、モジュール部MJU1へ電源を投入することができる。
ここで、リードスイッチRSWは、比較的大きく、本実施の形態5における小型のコネクタCNT1の嵌合高さよりも高さが高い場合があるが、この場合であっても、配線基板WB1の下面にリードスイッチRSWを搭載することにより、配線基板WB1にリードスイッチRSWを搭載することが可能となる。ただし、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を使用した小型のリードスイッチを使用する場合には、リードスイッチの高さが、コネクタCNT1の嵌合高さよりも低くなる場合も考えられ、この場合、リードスイッチRSWは、コネクタCNT1と同一面(上面)に配置することもできる。
<変形例>
図25(a)は、本変形例における配線基板WB1の上面図であり、図25(b)は、本変形例における配線基板WB1の下面図である。図25(b)に示すように、半導体装置SA1とオペアンプOPAMPと周辺部品PHPは、部品構成の相違などの理由によって、コネクタCNT1が搭載されている配線基板WB1の上面ではなく、配線基板WB1の下面に搭載することもできる。
この場合、半導体装置SA1に入力する基準クロックの劣化を抑制するため、半導体装置SA1に基準クロックを出力する水晶発振子Xtal1も配線基板WB1の下面に配置し、かつ、半導体装置SA1と近接するように配置することが望ましい。
例えば、本変形例の構成の場合、以下に示す利点を得ることができる。すなわち、本変形例の構成では、配線基板WB1の上面にコネクタCNT1が搭載される一方、配線基板WB1の下面に半導体装置SA1が搭載される。このとき、本変形例では、まず、配線基板WBの一方の面(下面)に半導体装置SA1を実装した状態で、COB構造の半導体装置SA1に対して熱処理(リフロー)を実施した後、配線基板WB1の他方の面(上面)にコネクタCNT1を搭載するとともに、その他の電子部品を搭載して、次の熱処理(リフロー)を実施する。この場合、本変形例によれば、部品実装時のリフロー耐性の比較的低いコネクタCNT1への熱負荷を軽減することができるため、コネクタCNT1の信頼性を向上することができる。
なお、本変形例では、図25(b)に示すように、半導体装置SA1とオペアンプOPAMPと周辺部品PHPは、配線基板WB1の下面に搭載しているため、例えば、図25(a)に示すように、センサモジュールSMやレギュレータRGLは、コネクタCNT1と同一面(上面)に搭載することができる。このように、本変形例においても、配線基板WB1の両面に電子部品を実装することができるため、配線基板WB1の小型化を図ることができる。
以上のように、本実施の形態5によれば、性能向上を伴う配線基板WB1の小型化に対する工夫と、性能向上を伴う配線基板WB2の小型化に対する工夫との相乗効果によって、性能向上を図りながら、配線基板WB1と配線基板WB2とを含むモジュール部MJU1全体の小型化を実現することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
前記実施の形態は、以下の形態を含む。
(付記1)
無線通信システムの構成要素となる電子装置であって、
前記電子装置は、
第1配線基板、
前記第1配線基板とコネクタを介して電気的に接続された第2配線基板、
を備え、
前記第1配線基板と前記第2配線基板とは、前記第1配線基板の上面と前記第2配線基板の下面とを対向させた状態で積層配置されてモジュール部を構成し、
前記第1配線基板の上面には、
前記コネクタの一部分、
前記コネクタの一部分と電気的に接続された第1半導体装置、
前記第1半導体装置と電気的に接続された第1電子部品、
が搭載され、
前記第1配線基板の下面には、物理量を検出するセンサが搭載され、
前記第2配線基板の上面には、
通信用アンテナ、
前記通信用アンテナと電気的に接続された第2半導体装置、
が搭載され、
前記第2配線基板の下面には、
前記第2半導体装置と電気的に接続された前記コネクタの他部分、
前記第2半導体装置と電気的に接続された第2電子部品、
が搭載される、電子装置。
(付記2)
付記1に記載の電子装置において、
前記第2半導体装置は、前記センサからの出力信号に基づくデータを送信する無線通信部として機能する、電子装置。
(付記3)
付記2に記載の電子装置において、
前記第2配線基板は、互いに対向する一対の辺を有する矩形形状をしており、
前記通信用アンテナは、前記一対の辺のうちの一辺側に配置され、
前記第2半導体装置は、前記一対の辺のうちの他辺側に配置される、電子装置。
(付記4)
付記3に記載の電子装置において、
前記第2配線基板の上面には、さらに、前記第2半導体装置と前記通信用アンテナとに電気的に接続されたバランが搭載され、
平面視において、前記バランは、前記第2半導体装置と前記通信用アンテナとの間に配置される、電子装置。
(付記5)
付記1に記載の電子装置において、
前記第2配線基板は、
前記第1配線基板と平面的に重なる重複領域、
前記第1配線基板と平面的に重ならない非重複領域、
を有し、
前記通信用アンテナは、前記第2配線基板の上面の前記非重複領域に配置され、
前記第2半導体装置は、前記第2配線基板の上面の前記重複領域に配置される、電子装置。
(付記6)
付記5に記載の電子装置において、
前記第2配線基板の上面には、さらに、前記第2半導体装置と前記通信用アンテナとに電気的に接続されたバランが搭載され、
前記バランは、前記重複領域に配置される、電子装置。
(付記7)
付記1に記載の電子装置において、
前記第2配線基板は、
前記第1配線基板と平面的に重なる重複領域、
前記第1配線基板と平面的に重ならない非重複領域、
を有し、
前記コネクタの他部分および前記第2電子部品は、前記第2配線基板の下面の前記重複領域に配置される、電子装置。
(付記8)
付記7に記載の電子装置において、
前記コネクタの他部分の配置位置は、前記第2電子部品の配置位置よりも前記非重複領域から離れた位置である、電子装置。
(付記9)
付記1に記載の電子装置において、
前記第2半導体装置は、前記第2配線基板の上面にチップ状態で実装された第2半導体チップを含む、電子装置。
(付記10)
付記9に記載の電子装置において、
前記第2半導体チップは、ポッティング樹脂で封止される、電子装置。
(付記11)
付記1に記載の電子装置において、
前記第2電子部品は、第2水晶発振子である、電子装置。
(付記12)
付記11に記載の電子装置において、
平面視において、前記第2水晶発振子は、前記第2半導体装置と重なる領域に配置される、電子装置。
(付記13)
付記2に記載の電子装置において、
前記第1半導体装置は、前記センサから出力された信号を処理して、処理した信号を前記無線通信部に出力するデータ処理部であって、アナログデータ処理部とデジタルデータ処理部からなる前記データ処理部のうちの前記デジタルデータ処理部として機能する、電子装置。
(付記14)
付記13に記載の電子装置において、
前記第1半導体装置は、さらに、AD変換部としての機能も有し、
前記第1電子部品は、前記AD変換部へ基準電位を出力するオペアンプである、電子装置。
(付記15)
付記13に記載の電子装置において、
前記第1配線基板の下面には、さらに、前記第1半導体装置に基準クロックを出力する第1水晶発振子が搭載される、電子装置。
(付記16)
付記15に記載の電子装置において、
平面視において、前記第1水晶発振子は、前記第1半導体装置と重なる領域に配置される、電子装置。
(付記17)
付記1に記載の電子装置において、
平面視において、前記センサは、前記コネクタの一部分と重なる領域に配置される、電子装置。
(付記18)
付記1に記載の電子装置において、
前記第1半導体装置は、前記第1配線基板の上面にチップ状態で実装された第1半導体チップを含む、電子装置。
(付記19)
付記18に記載の電子装置において、
前記第1半導体チップは、ポッティング樹脂で封止される、電子装置。
(付記20)
付記1に記載の電子装置において、
前記第1配線基板の下面には、さらに、磁気によって動作するリードスイッチが搭載される、電子装置。
(付記21)
付記20に記載の電子装置において、
前記リードスイッチの高さは、前記コネクタの高さよりも高い、電子装置。
(付記22)
付記20に記載の電子装置において、
前記電子装置は、密閉されたケースを含み、
前記ケースは、空間を有する容積部を備え、
前記容積部の前記空間に、前記モジュール部が収納される、電子装置。
(付記23)
無線通信システムの構成要素となる電子装置であって、
前記電子装置は、
第1配線基板、
前記第1配線基板とコネクタを介して電気的に接続された第2配線基板、
を備え、
前記第1配線基板と前記第2配線基板とは、前記第1配線基板の上面と前記第2配線基板の下面とを対向させた状態で積層配置されてモジュール部を構成し、
前記第1配線基板の上面には、
前記コネクタの一部分、
物理量を検出するセンサ、
が搭載され、
前記第1配線基板の下面には、
前記コネクタの一部分と電気的に接続された第1半導体装置、
前記第1半導体装置と電気的に接続された第1電子部品、
が搭載され、
前記第2配線基板の上面には、
通信用アンテナ、
前記通信用アンテナと電気的に接続された第2半導体装置、
が搭載され、
前記第2配線基板の下面には、
前記第2半導体装置と電気的に接続された前記コネクタの他部分、
前記第2半導体装置と電気的に接続された第2電子部品、
が搭載される、電子装置。
(付記24)
付記23に記載の電子装置において、
前記第1半導体装置は、前記センサから出力された信号を処理して、処理した信号を無線通信部に出力するデータ処理部であって、アナログデータ処理部とデジタルデータ処理部からなる前記データ処理部のうちの前記デジタルデータ処理部として機能し、かつ、AD変換部としての機能も有し、
前記第1電子部品は、前記AD変換部へ基準電位を出力するオペアンプであり、
前記第1配線基板の下面には、さらに、前記第1半導体装置に基準クロックを出力する第1水晶発振子も搭載される、電子装置。