JP6353282B2 - ヘム加工装置 - Google Patents
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Description
ところで、ヘム加工装置では、ヘム加工後の周縁の形状(以下、縁形状と呼ぶことがある。)の品質向上、加工サイクルの短縮化、および、装置コスト低減を目的として様々な改良が行われている。
つまり、加圧部102からローラ103を介してワーク(図示せず。)に加圧力が加わると、加圧力の反力としてワークからローラ103および加圧部102を介してロボット101に反発力が作用する。
なお、ロボット101の機械的な撓みは、ロボット101の関節が伸びるほど顕著になることから、ロボット101の動作範囲も、ロボット101の機械的な撓みによる品質低下を許容できる範囲に限定する必要がある。
請求項1のヘム加工装置は、金属製の板状材料(ワーク)にヘム加工を施すものである。また、ヘム加工装置は、以下のローラ、多関節ロボット、加圧部、電流センサ、制御部および加圧力制御モードを備える。
まず、ロボットに反発力が作用すると、ロボットは、加圧力と反対方向に逃げようとするので、ロボットに機械的な撓みが発生し始める。これにより、ワークに加わる加圧力が低下するので、電流センサによる電流の検出値が低下する。これに対し、制御部は、電流の検出値を指令値に一致させるため、直ちに電流の検出値を増加させるように動作するので、加圧力が増強される。
なお、加圧力は電流の数値に応じて無段階で操作できることから、加圧力の目標値を変更することで、ヘム加工後の仕上げ状態を自在に変えることもできる。
ロボットの機械的な撓みに係わる問題は、特に、完全ヘム加工を施すときに顕著である。そこで、完全ヘム加工を施すときに加圧力制御モードを実行することで、請求項1の手段の作用効果を効果的に得ることができる。
請求項2、3のヘム加工装置は、以下の位置センサおよび位置制御モードを備える。まず、位置センサは、電動モータの回転位置を検出するものである。また、位置制御モードは、制御部により実行される制御モードであり、回転位置の目標値を固定するとともに、固定された目標値に位置センサによる検出値が一致するように電流の指令値を求める。
これにより、加圧力の制御よらずにヘム加工後の仕上げ状態を制御することができる。このため、制御モードのバリエーションを追加することで、対応できる仕上げ状態を増やすことができる。
非完全ヘム加工を施すときに加圧力制御モードを実行すると、目標とする仕上げ状態(つまり、折り返される角度幅を5°以上かつ180°未満にすること)に係わらず加圧力を保つように制御を行うので、非完全ヘム加工を施すのが困難になる。そこで、非完全ヘム加工を施すときに位置制御モードを実行することで、目標とする仕上げ状態を得ることができる。
請求項4のヘム加工装置によれば、制御部は、ローラの3次元的な位置に応じて加圧力制御モードと位置制御モードとを使い分ける。
これにより、加圧力制御モードが適する部位と、位置制御モードが適する部位とを有するワークに対し、時間的に途切れることなくヘム加工を連続して施すことができる。
請求項5のヘム加工装置は、ヘム加工後の縁形状が直線となる直線部に対し、加圧力制御モードによってヘム加工を施し、ヘム加工後の縁形状が曲線となる曲線部に対し、位置制御モードによってヘム加工を施す。
曲線部に対して完全ヘム加工を施すと、金属の圧縮や伸長により、スジや破断が発生する虞がある。そこで、直線部に対し加圧力制御モードを使用するとともに曲線部に対し位置制御モードを使用することで、直線部における高品質を保ちながら曲線部におけるスジや破断の発生を防止することができる。
請求項6のヘム加工装置によれば、制御部は、ローラの3次元的な位置が直線部から曲線部に移行するときに加圧力制御モードから位置制御モードに切り替え、ローラの3次元的な位置が曲線部から直線部に移行するときに位置制御モードから加圧力制御モードに切り替える。
これにより、直線部と曲線部とが連続するワークに対し、時間的に途切れることなくヘム加工を連続して施すことができる。
実施例のヘム加工装置1の構成を、図1〜図5を用いて説明する。
ヘム加工装置1は、金属製の板状材料(ワーク)2にヘム加工を施すものであり、例えば、以下に説明するローラ3、多関節ロボット(ロボット)4、加圧部5、電流センサ6、位置センサ7、制御部8、加圧力制御モードおよび位置制御モードを備える。
ロボット4は、ローラ3を保持し、ローラ3が3次元的に移動するように制御されるものである。そして、ロボット4は、制御部8による動作制御によって3次元的に移動したり、姿勢を変更したりすることで関節を伸縮させ、円筒面10による圧接を維持しながらローラ3を所定の軌跡に沿って移動させ、ワーク2にヘム加工を施す。
なお、ワーク2の周縁には、ヘム加工後の縁形状が直線となる直線部14、および、ヘム加工後の縁形状が曲線となる曲線部15が存在する(図4参照。)。また、曲線部15には、縁形状が外周側に凸をなす凸曲線部15aと、縁形状が内周側に凹をなす凹曲線部15bとが存在する。
より具体的に、加圧部5は、次の電動モータ20、ボールネジ21およびスライドユニット22等を有する。
まず、電動モータ20は、制御部8により通電制御されるサーボモータであり、例えば、3相のコイルと永久磁石とを具備する周知のブラシレス構造を有する。
以上により、加圧部5は、電動モータ20が発生するトルクを推力に変換してローラ3に加えることで、ローラ3に加圧力を加えさせる。
位置センサ7は、電動モータ20の回転子の回転位置(以下、「電動モータ20の回転位置」と呼ぶことがある。)を検出するものであり、電動モータ20に付設されている(図1等参照。)。なお、位置センサ7は、例えば、周知のエンコーダである。
そして、制御部8は、電動モータ20の通電制御に関し、電動モータ20に通電される電流の指令値I*を求めるとともに、電流センサ6で検出された電流の検出値Iを指令値I*に一致させるフィードバック制御を行う(図5参照。)。
つまり、加圧力制御モードでは、電流指令部26は、目標値F*に応じて指令値I*を求める。また、目標値F*は、例えば、制御装置24とは別体である教示ペンダント29により手入力される。
ここで、ヘム加工は、被加工部分12が180°折り返される完全ヘム加工(図2参照。)と、ワーク2の被加工部分12の折り返される角度幅が5°以上かつ180°未満である非完全ヘム加工(図3参照。)とに分けることができる。そして、完全ヘム加工を施す場合には加圧力制御モードにより加圧力を一定に保ってローラ3を移動させるのが好ましく、非完全ヘム加工を施す場合には位置制御モードにより電動モータ20の回転位置を一定に保ってローラ3を移動させるのが好ましい。
例えば、予め、目標値θ*の固定すべき数値を制御部8に記憶させておき、位置制御モードに切り替わるときに、記憶した数値に目標値θ*を固定してもよく、位置制御モードに切り替わる直前の回転位置の検出値θの数値を目標値θ*として固定してもよい。
実施例のヘム加工装置1によれば、加圧部5は、電動モータ20が発生するトルクを推力に変換してローラ3に加えることで、ローラ3に加圧力を加えさせる。また、制御部8は、電動モータ20に流れる電流の指令値I*を求めるとともに、電流センサ6で検出された電流の検出値Iを指令値I*に一致させる制御を行う。そして、制御部8は、加圧力の目標値F*に応じて指令値I*を求める加圧力制御モードを実行する。
まず、加圧部5からローラ3を介してワーク2に加圧力が加わると、加圧力の反力としてワーク2からローラ3および加圧部5を介してロボット4に反発力が作用する。これにより、ロボット4は、加圧力と反対方向に逃げようとするので、ロボット4に機械的な撓みが発生し始める。このため、ワーク2に加わる加圧力が低下するので、電流センサ6による電流の検出値Iが低下する。これに対し、制御部8は、検出値Iを指令値I*に一致させるため、直ちに検出値Iを増加させるように動作するので、加圧力が増強される。
なお、加圧力は電流の数値に応じて無段階で操作できることから、加圧力の目標値F*を変更することで、ヘム加工後の仕上げ状態を自在に変えることもできる。
ロボット4の機械的な撓みに係わる問題は、特に、完全ヘム加工を施すときに顕著である。そこで、完全ヘム加工を施すときに加圧力制御モードを実行することで、ロボット4の機械的な撓みに係わる問題を解消する作用効果を効果的に得ることができる。
これにより、加圧力の制御よらずにヘム加工後の仕上げ状態を制御することができる。このため、制御モードのバリエーションを追加することで、対応できる仕上げ状態を増やすことができる。
非完全ヘム加工を施すときに加圧力制御モードを実行すると、目標とする仕上げ状態(つまり、折り返される角度幅を5°以上かつ180°未満にすること)に係わらず加圧力を維持するように制御を行うので、非完全ヘム加工を施すのが困難になる。そこで、非完全ヘム加工を施すときに位置制御モードを実行することで、目標とする仕上げ状態を得ることができる。
これにより、加圧力制御モードが適する部位と、位置制御モードが適する部位とを有するワーク2に対し、時間的に途切れることなくヘム加工を連続して施すことができる。
曲線部15に対して完全ヘム加工を施すと、金属の圧縮や伸長により、スジや破断が発生する虞がある。そこで、直線部14に対し加圧力制御モードを使用するとともに曲線部15に対し位置制御モードを使用することで、直線部14における高品質を保ちながら曲線部15におけるスジや破断の発生を防止することができる。
これにより、直線部14と曲線部15とが連続するワーク2に対し、時間的に途切れることなくヘム加工を連続して施すことができる。
例えば、実施例の電動モータ20は、3相のコイルと永久磁石とを具備する周知のブラシレス構造を有するものであったが、ブラシと整流子とを有する直流モータを電動モータ20として採用してもよい。
Claims (6)
- 金属製の板状材料(2)にヘム加工を施すヘム加工装置(1)において、
前記板状材料(2)に加圧力を加えてヘム加工を施しながら転がるローラ(3)と、
このローラ(3)を保持し、前記ローラ(3)が3次元的に変位するように制御される多関節ロボット(4)と、
電動モータ(20)が発生するトルクを推力に変換して前記ローラ(3)に加えることで、前記ローラ(3)に前記加圧力を加えさせる加圧部(5)と、
前記電動モータ(20)に流れる電流を検出する電流センサ(6)と、
前記電動モータ(20)に流れる電流の指令値(I*)を求めるとともに、前記電流センサ(6)で検出された電流の検出値(I)を前記電流の指令値(I*)に一致させる制御を行う制御部(8)と、
この制御部(8)により実行される制御モードであり、前記加圧力の目標値(F*)に応じて前記電流の指令値(I*)を求める加圧力制御モードとを備え、
前記制御部(8)は、前記板状材料(2)の被加工部分(12)が180°折り返される完全ヘム加工を施すときに、前記加圧力制御モードを実行することを特徴とするヘム加工装置(1)。 - 金属製の板状材料(2)にヘム加工を施すヘム加工装置(1)において、
前記板状材料(2)に加圧力を加えてヘム加工を施しながら転がるローラ(3)と、
このローラ(3)を保持し、前記ローラ(3)が3次元的に変位するように制御される多関節ロボット(4)と、
電動モータ(20)が発生するトルクを推力に変換して前記ローラ(3)に加えることで、前記ローラ(3)に前記加圧力を加えさせる加圧部(5)と、
前記電動モータ(20)に流れる電流を検出する電流センサ(6)と、
前記電動モータ(20)に流れる電流の指令値(I*)を求めるとともに、前記電流センサ(6)で検出された電流の検出値(I)を前記電流の指令値(I*)に一致させる制御を行う制御部(8)と、
この制御部(8)により実行される制御モードであり、前記加圧力の目標値(F*)に応じて前記電流の指令値(I*)を求める加圧力制御モードと、
前記電動モータ(20)の回転位置を検出する位置センサ(7)と、
前記制御部(8)により実行される制御モードであり、前記回転位置の目標値(θ*)を固定するとともに、固定された目標値(θ*)に前記位置センサ(7)による検出値(θ)が一致するように前記電流の指令値(I*)を求める位置制御モードとを備え、
前記制御部(8)は、前記板状材料(2)の被加工部分(12)の折り返される角度幅が5°以上かつ180°未満である非完全ヘム加工を施すときに、前記位置制御モードを実行することを特徴とするヘム加工装置(1)。 - 請求項1に記載のヘム加工装置(1)において、
前記電動モータ(20)の回転位置を検出する位置センサ(7)と、
前記制御部(8)により実行される制御モードであり、前記回転位置の目標値(θ*)を固定するとともに、固定された目標値(θ*)に前記位置センサ(7)による検出値(θ)が一致するように前記電流の指令値(I*)を求める位置制御モードとを備え、
前記制御部(8)は、前記板状材料(2)の被加工部分(12)の折り返される角度幅が5°以上かつ180°未満である非完全ヘム加工を施すときに、前記位置制御モードを実行することを特徴とするヘム加工装置(1)。 - 請求項3に記載のヘム加工装置(1)において、
前記制御部(8)は、前記ローラ(3)の3次元的な位置に応じて前記加圧力制御モードと前記位置制御モードとを使い分けることを特徴とするヘム加工装置(1)。 - 請求項4に記載のヘム加工装置(1)において、
ヘム加工後の縁形状が直線となる直線部(14)に対し、前記加圧力制御モードによってヘム加工を施し、
ヘム加工後の縁形状が曲線となる曲線部(15)に対し、前記位置制御モードによってヘム加工を施すことを特徴とするヘム加工装置(1)。 - 請求項5に記載のヘム加工装置(1)において、
前記制御部(8)は、前記ローラ(3)の3次元的な位置が前記直線部(14)から前記曲線部(15)に移行するときに前記加圧力制御モードから前記位置制御モードに切り替え、前記ローラ(3)の3次元的な位置が前記曲線部(15)から前記直線部(14)に移行するときに前記位置制御モードから前記加圧力制御モードに切り替えることを特徴とするヘム加工装置(1)。
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