以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る搬送システム10aの概観を示す図である。図1に示すように、搬送システム10aは、6つのガイド部100a、7つのコントローラ搭載スライダ200a、2つの回転機構300、複数の充電ユニット400、及び、マスタコントローラ500により構成される。
図1では、3つのガイド部100aが直線状に接続されたコンベアが2つ配置される。更に、一方のコンベアの一方の端部と、他方のコンベアの一方の端部との間に一方の回転機構300が介在する。また、一方のコンベアの他方の端部と、他方のコンベアの他方の端部との間に他方の回転機構300が介在する。これにより、移動体であるコントローラ搭載スライダ200aの搬送路はループ状となる。コントローラ搭載スライダ200aは、図1に示す矢印の方向に搬送される。具体的には、コントローラ搭載スライダ200aは、3つのガイド部100aが直線状に接続された一方のコンベア上を搬送され、一方の回転機構300上を搬送されることにより搬送方向が180°転回する。更に、コントローラ搭載スライダ200aは、3つのガイド部100aが直線状に接続された他方のコンベア上を搬送され、他方の回転機構300上を搬送されることにより搬送方向が180°転回し、再び、3つのガイド部100aが直線状に接続された一方のコンベア上を搬送される。
また、3つのガイド部100aが直線状に接続された2つのコンベアにおいて、コントローラ搭載スライダ200aが作業のために一時停止するエリア(作業エリア)等の近傍には複数の充電ユニット400が配置されている。また、2つの回転機構300のそれぞれの近傍には、充電ユニット400が配置されている。充電ユニット400は、コントローラ搭載スライダ200aに搭載されたバッテリであるキャパシタ(後述)を充電する。
マスタコントローラ500は、コントローラ搭載スライダ200aの移動、停止等の位置の制御等、搬送システム10aの全体を制御する。
図2は、第1実施形態に係るガイド部100aとコントローラ搭載スライダ200aとによって構成される搬送装置の斜視図、図3は、第1実施形態に係るガイド部100aの上面図(図3(a))及び側面図(図3(b))、図4は、第1実施形態に係るコントローラ搭載スライダ200aの側面図である。
ガイド部100aは、底面部材150aと、側面部材150b、150cとによって筐体が構成される。筐体は、底面部材150aのX軸方向の両端部に側面部材150b、150cが屹立した、X−Z平面の断面が凹型の形状である。
底面部材150aの上面には、複数の永久磁石102が配置されている。複数の永久磁石102は、ガイド部100aの延在方向であるY軸方向に沿って、上面にN極とS極とが交互に現れるように配置されている。
側面部材150cの外側面には、ガイド部100aの延在方向であるY軸方向に沿ってリニアスケール107が配置されている。リニアスケール107は、ガイド部100aの延在方向であるY軸方向に沿って、N極とS極とが交互に現れるように配置されている。
側面部材150bの内側面には断面が半円の切り欠き部104が形成されている。切り欠き部104は、ガイド部100aの延在方向であるY軸方向に延在する。同様に、側面部材150cの内側面には断面が半円の切り欠き部106が形成されている。切り欠き部106は、ガイド部100aの延在方向であるY軸方向に延在する。
コントローラ搭載スライダ200aは、上部部材250aと、下部部材250bと、側面部材250cとによって筐体が構成される。筐体は、上部部材250aの下部に下部部材250bが配置され、上部部材250aの+X方向の一端の下部に側面部材250cが配置された形状である。上部部材250aの上面には、搬送対象の物が配置される。図2に示すように、ガイド部100aの底面部材150a、側面部材150b、150cに囲まれた空間に、下部部材250bが入り込むことにより、ガイド部100aにコントローラ搭載スライダ200aが配置される。
下部部材250bにおける下部には、電磁石222が配置されている。ガイド部100aにコントローラ搭載スライダ200aが配置されると、電磁石222は、ガイド部100a内の永久磁石102の上方に位置することになる。
この状態で、電磁石222に対する通電が行われると、電磁石222のN極が永久磁石102のS極に引き寄せられるとともに、電磁石222のS極が永久磁石102のN極に引き寄せられる。更に、電磁石222における通電方向を順次切り替えることにより、電磁石222の磁界変化が生じ、電磁石222のN極が永久磁石102のS極に引き寄せられるとともに、電磁石222のS極が永久磁石102のN極に引き寄せられる動作が連続して生じ、コントローラ搭載スライダ200aがガイド部100a上を移動する。
側面部材250c内には、リニアスケール107の延在方向であるY軸方向に沿って、所定の間隔kを空けて2つのエンコーダ212、214が配置されている。なお、エンコーダ212、214の配置間隔kは、複数のガイド部100aを接続した場合のリニアスケール107の隙間よりも広い。ガイド部100aにコントローラ搭載スライダ200aが配置されると、エンコーダ212、214は、ガイド部100a内のリニアスケール107の+X方向に位置することになる。
この状態で、コントローラ搭載スライダ200aがガイド部100a上を移動すると、エンコーダ212、214の−Y方向に位置するリニアスケール107の極がN極とS極とに交互に変化し、エンコーダ212、214は、その磁界変化に応じたパルス信号を出力する。N極とS極の1組に対して磁界変化はsin波となる。本実施形態では、エンコーダ212、214は、1つのsin波に対して1000のパルス信号を出力する。
下部部材250bのZ軸方向の2つの側面の一方には、ボールベアリング260aが回転自在に配置され、他方には、ボールベアリング260bが回転自在に配置されている。ガイド部100aにコントローラ搭載スライダ200aが配置されると、ボールベアリング260aは、ガイド部100aに形成された切り欠き部104に嵌り込み、ボールベアリング260bは、ガイド部100aに形成された切り欠き部106に嵌り込む。この状態で、コントローラ搭載スライダ200aがガイド部100a上を移動すると、ボールベアリング260aは、切り欠き部104内を移動し、ボールベアリング260bは、切り欠き部106内を移動する。
図5は、実施形態に係るコントローラ搭載スライダ200aの詳細な内部構成を示す図である。図5に示すように、コントローラ搭載スライダ200aは内部に、外部電源端子202、充電制御部204、キャパシタ206、監視用MCU(Micro Control Unit)207、無線レシーバ208、給電端子210a、連結接続端子210b、エンコーダ212、214、制御用MCU(Micro Control Unit)216、DC−DC昇圧回路218、モータ駆動部220、電磁石222を含んで構成される。
外部電源端子202は、コントローラ搭載スライダ200aが充電ユニット400の近傍に停止した場合に、その充電ユニット400内の給電端子(図示せず)と接続される。これにより、充電ユニット400からの電力がコントローラ搭載スライダ200aに供給される。
充電制御部204は、キャパシタ206の充電を制御する。具体的には、充電制御部204は、後述する監視用MCU207からのON信号が入力された場合には、3.8[V]の電圧をキャパシタ206へ供給する。また、充電制御部204は、後述する監視用MCU207からのOFF信号が入力された場合には、キャパシタ206への電圧供給を停止する。また、充電制御部204は、キャパシタ206の温度を監視しており、温度が予め定められた上限値に達した場合には、警報としてのALM信号を監視用MCU207へ出力する。
キャパシタ206は、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタである。キャパシタ206は、充電制御部204からの電力により充電される。また、キャパシタ206は、DC−DC昇圧回路218に対して、11〜23[V]の電圧をキャパシタ206へ供給する。
監視用MCU207は、制御用MCU216からの充電の要否を示す充電制御信号が入力される。監視用MCU207は、充電が必要であることを示す充電制御信号が入力された場合には、充電制御部204に対してON信号を出力する。これにより、上述したように、充電制御部204は、3.8[V]の電圧をキャパシタ206へ供給する。一方、監視用MCU207は、充電が不要であることを示す充電制御信号が入力された場合には、充電制御部204に対してOFF信号を出力する。これにより、上述したように、充電制御部204は、キャパシタ206への電圧の供給を停止する。
また、監視用MCU207は、充電制御部204からのALM信号が入力された場合には、キャパシタ206の温度が予め定められた上限値に達したことを示すステータス信号を制御用MCU216へ出力する。更に、監視用MCU207は、キャパシタ206がDC−DC昇圧回路218へ供給する電圧を監視しており、その電圧値を示すステータス信号を制御用MCU216へ出力する。
無線レシーバ208は、マスタコントローラ500との間で無線通信を行うことができる。無線レシーバ208は、マスタコントローラ500からのコントローラ搭載スライダ200aの位置を制御するための位置制御信号を受信し、制御用MCU216へ出力する。位置制御信号は、例えば、充電ユニット400の位置等の所定の位置へコントローラ搭載スライダ200aを移動させるために必要な距離の情報等が含まれる。また、無線レシーバ208は、制御用MCU216からのコントローラ搭載スライダ200aの位置を示す位置情報を受信し、マスタコントローラ500へ送信する。
外部電源端子202は給電端子210aに接続され、給電端子210aは連結接続端子210bと通電状態にあり、更に、連結接続端子210bは、制御用MCU216に接続されている。このため、充電ユニット400からの電力が供給されると、制御用MCU216は、その旨を認識することができる。
制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aの全体を制御する。具体的には、制御用MCU216は、充電ユニット400からの電力が供給されていることを認識した場合、監視用MCU207に対して充電が必要であることを示す充電制御信号を出力する。一方、制御用MCU216は、キャパシタ206の温度が予め定められた上限値に達したことを示すステータス信号や、キャパシタ206がDC−DC昇圧回路218へ供給する電圧が異常値であることを示すステータス信号が入力された場合、監視用MCU207に対して充電が不要であることを示す充電制御信号を出力する。
制御用MCU216は、DC−DC昇圧回路218がモータ駆動部220へ供給する電圧を監視しており、その電圧が異常値である場合には、監視用MCU207に対して充電が不要であることを示す充電制御信号を出力する。
制御用MCU216は、充電ユニット400からの電力が供給されていることを認識した場合、DC−DC昇圧回路218に対して、昇圧を指示する旨のON信号を出力する。DC−DC昇圧回路218は、ON信号が入力された場合、キャパシタ206から供給される11〜23[V]の電圧を280[V]に昇圧してモータ駆動部220へ出力する。
制御用MCU216は、マスタコントローラ500からの無線レシーバ208を介した位置制御信号が入力されると、その位置制御信号が示す位置にコントローラ搭載スライダ200aを移動させるべく、PWM(Pulse Width Modulation)信号をモータ駆動部220へ出力する。ここで、PWM信号は、コントローラ搭載スライダ200aの移動速度が高速であるほど、デューティ比が大きくなるとともに、コントローラ搭載スライダ200aの移動方向が逆転する場合には、位相が逆転するパルス信号である。モータ駆動部220は、入力されるPWM信号に応じて、電磁石222に電流を供給して駆動させる。
制御用MCU216は、モータ駆動部220が電磁石222へ供給する電流を監視しており、その電流が異常値である場合には、監視用MCU207に対して充電が不要であることを示す充電制御信号を出力する。
上述したように、コントローラ搭載スライダ200aがガイド部100a上を移動すると、エンコーダ212、214の−X方向に位置するリニアスケール107の極がN極とS極とに交互に変化し、エンコーダ212、214は、その磁界変化に応じたパルス信号を制御用MCU216へ出力する。
制御用MCU216は、エンコーダ212、214からのパルス信号に基づいてコントローラ搭載スライダ200aの位置を測定し、位置情報として無線レシーバ208を介してマスタコントローラ500へ送信する。具体的には、制御用MCU216は、エンコーダ212、214から入力されるパルス信号の数をカウントし、そのカウント値に基づいて、コントローラ搭載スライダ200aの位置を特定する。なお、コントローラ搭載スライダ200aは、図1のPの位置で電源の遮断と再投入が行われ、制御用MCU216によるカウント値はリセットされる。
ここで、複数のガイド部100aを接続して搬送システム10aを構成する場合、ガイド部100aの接続部分では、各リニアスケール107の間に隙間が生じて不連続となる。例えば、3つのガイド部100aが接続されて、図6に示すように、各ガイド部100a内のリニアスケール107a、107b、107cが延在方向に直線状に配置される場合を考える。この場合、リニアスケール107aとリニアスケール107bとリニアスケール107cとにより1つの連続したリニアスケールが形成されることが望ましい。しかしながら、実際には、ガイド部100a及びリニアスケール107の連続性を確保することは困難であり、図6に示すように、接続部分ではリニアスケール107が不連続となり、例えば、リニアスケール107aとリニアスケール107bとの間には距離L1の隙間が生じ、リニアスケール107bとリニアスケール107cとの間には距離L2の隙間が生じる。
このようにガイド部及びリニアスケールが不連続である場合のコントローラ搭載スライダ200aの位置の測定について説明する。例えば、図6に示すように、エンコーダ212、214がAの位置にある場合、制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aの進行方向の後側にあるエンコーダ212を有効、前側にあるエンコーダ214を無効とし、エンコーダ212からのパルス信号に基づいてコントローラ搭載スライダ200aの位置を測定する。
その後、コントローラ搭載スライダ200aが進行して、エンコーダ212、214がBの位置に到達した場合、具体的には、エンコーダ212がリニアスケール107aと正対し、エンコーダ214がリニアスケール107bと正対する位置に到達して、エンコーダ212からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置がm1となった場合、制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aの進行方向の後側にあるエンコーダ212を無効、前側にあるエンコーダ214を有効に切り替える。
具体的には、予め、制御用MCU216は、内蔵するメモリ(図示せず)等に、エンコーダ212がリニアスケール107aと正対し、エンコーダ214がリニアスケール107bと正対する位置にある場合のコントローラ搭載スライダ200aの位置m1の情報を予め記憶しておく。
ここで、位置m1は、搬送システム10aの所定の位置(例えば、図1のPの位置)を原点とした場合の位置を示し、例えば、リニアスケール107aとリニアスケール107bとの隙間の中心がエンコーダ212とエンコーダ214との間隔の中心と一致した場合のコントローラ搭載スライダ200aの位置である。但し、これに限定されず、位置m1は、エンコーダ212がリニアスケール107aと正対し、エンコーダ214がリニアスケール107bと正対する位置にある場合のコントローラ搭載スライダ200aの位置であればよい。
更に、制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aの進行に伴って随時測定している、エンコーダ212からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置が記憶しているm1となった場合、コントローラ搭載スライダ200aの進行方向の後側にあるエンコーダ212を無効、前側にあるエンコーダ214を有効に切り替える。なお、コントローラ搭載スライダ200aは継続して移動しているため、エンコーダ212からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置がm1であることが認識された時点では、実際のコントローラ搭載スライダ200aの位置は、m1の近傍となる。
更に、制御用MCU216は、m1をエンコーダ214からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置の初期値とし、その後に入力されるエンコーダ214からのパルス信号に基づいて、コントローラ搭載スライダ200aの位置を測定する。これにより、コントローラ搭載スライダ200aの位置は、入力されるエンコーダ214からのパルス信号に応じて初期値m1から変化する。
更に、コントローラ搭載スライダ200aが進行して、エンコーダ212、214がCの位置に到達した場合、具体的には、エンコーダ212、214の双方がリニアスケール107bと正対する位置に到達した場合、制御用MCU216は、再び、コントローラ搭載スライダ200aの進行方向の後側にあるエンコーダ212を有効、前側にあるエンコーダ214を無効に切り替える。
具体的には、上述と同様、予め、制御用MCU216は、内蔵するメモリ等に、エンコーダ212、214の双方がリニアスケール107bと正対する位置にある場合のコントローラ搭載スライダ200aの位置nの情報を予め記憶しておく。ここで、位置nは、搬送システム10aの所定の位置(例えば、図1のPの位置)を原点とした場合の位置を示す。
更に、制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aの進行に伴って随時測定している、エンコーダ214からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置が記憶しているnとなった場合、コントローラ搭載スライダ200aの進行方向の後側にあるエンコーダ212を有効、前側にあるエンコーダ214を無効に切り替える。なお、コントローラ搭載スライダ200aは継続して移動しているため、エンコーダ214からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置がnであることが認識された時点では、実際のコントローラ搭載スライダ200aの位置は、nの近傍となる。
更に、制御用MCU216は、nをエンコーダ212からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置の初期値とし、その後に入力されるエンコーダ212からのパルス信号に基づいて、コントローラ搭載スライダ200aの位置を測定する。これにより、コントローラ搭載スライダ200aの位置は、入力されるエンコーダ212からのパルス信号に応じて初期値nから変化する。
その後、コントローラ搭載スライダ200aが進行して、エンコーダ212、214がDの位置に到達した場合、具体的には、エンコーダ212がリニアスケール107bと正対し、エンコーダ214がリニアスケール107cと正対する位置に到達して、エンコーダ212からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置がm2となった場合、制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aの進行方向の後側にあるエンコーダ212を無効、前側にあるエンコーダ214を有効に切り替える。
具体的には、上述と同様、予め、制御用MCU216は、内蔵するメモリ等に、エンコーダ212がリニアスケール107bと正対し、エンコーダ214がリニアスケール107cと正対する位置にある場合のコントローラ搭載スライダ200aの位置m2の情報を予め記憶しておく。
ここで、位置m2は、搬送システム10aの所定の位置(例えば、図1のPの位置)を原点とした場合の位置を示し、例えば、リニアスケール107bとリニアスケール107cとの隙間の中心がエンコーダ212とエンコーダ214との間隔の中心と一致した場合のコントローラ搭載スライダ200aの位置である。但し、これに限定されず、位置m2は、エンコーダ212がリニアスケール107bと正対し、エンコーダ214がリニアスケール107cと正対する位置にある場合のコントローラ搭載スライダ200aの位置であればよい。
更に、制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aの進行に伴って随時測定している、エンコーダ212からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置が記憶しているm2となった場合、コントローラ搭載スライダ200aの進行方向の後側にあるエンコーダ212を無効、前側にあるエンコーダ214を有効に切り替える。なお、コントローラ搭載スライダ200aは継続して移動しているため、エンコーダ212からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置がm2であることが認識された時点では、実際のコントローラ搭載スライダ200aの位置は、m2の近傍となる。
更に、制御用MCU216は、m2をエンコーダ214からのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置の初期値とし、その後に入力されるエンコーダ214からのパルス信号に基づいて、コントローラ搭載スライダ200aの位置を測定する。これにより、コントローラ搭載スライダ200aの位置は、入力されるエンコーダ214からのパルス信号に応じて初期値m2から変化する。
第1実施形態の搬送システム10aでは、ガイド部100aとコントローラ搭載スライダ200aとにより搬送装置が構成されている。ガイド部100aは、延在方向にN極とS極とが交互に現れるように配置される複数の永久磁石102を備え、コントローラ搭載スライダ200aは、電磁石222と、その電磁石222への通電を制御してコントローラ搭載スライダ200aを移動させる制御を行う制御用MCU216を備える。従来のように各ガイド部に配列された電磁石に対する電力供給を制御することとは異なり、コントローラ搭載スライダ200aが自身の移動制御を行うため、ガイド部毎のコントローラは不要であり、コストが増加することを抑制して汎用性を向上させることができる。また、従来のようにガイド部単位でコントローラ搭載スライダの移動制御が行われることとは異なり、コントローラ搭載スライダ200aが自身の移動制御を行うため、1つのガイド部100aに複数のコントローラ搭載スライダ200aを搭載して搬送することや、コントローラ搭載スライダ200aの数がガイド部100aの数より多い場合にも各コントローラ搭載スライダ200aを個別に搬送することができ、汎用性が向上する。
また、コントローラ搭載スライダ200aは、キャパシタ206を備え、このキャパシタ206は、充電制御部204の制御により搬送経路上の充電ユニット400により充電される。このため、コントローラ搭載スライダ200a内の電磁石222に対する電力供給を適切に行うことができる。
また、搬送システム10aは、2つの回転機構300を備えることにより、ループ上の搬送路を構成することができる。
また、第1実施形態の搬送システム10aでは、ガイド部100a内に、当該ガイド部100aの延在方向であるY軸方向に沿ってリニアスケール107が配置される。一方、コントローラ搭載スライダ200aは、リニアスケール107の延在方向であるY軸方向に沿ってエンコーダ212、214を備え、エンコーダ212、214は、リニアスケール107による磁界変化に応じたパルス信号を制御用MCU216へ出力する。制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aが複数のリニアスケール107の不連続箇所に到達した場合、エンコーダ212、214のうち、進行方向の後側のエンコーダからのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置を、進行方向の前側のエンコーダからのパルス信号に基づくコントローラ搭載スライダ200aの位置の初期値となるように引き継ぎ処理を行うことにより、コントローラ搭載スライダ200aの位置を検出する。これにより、複数のガイド部100aが接続されてガイド部100a及びリニアスケール107が不連続となっても、2つのエンコーダ212、214が出力するパルス信号に応じてコントローラ搭載スライダ200bの位置を正確に測定することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態とは異なる手法により、コントローラ搭載スライダ200bの位置を正確に測定する。なお、搬送システム10aの概観、搬送装置の斜視図、ガイド部100aの上面図及び側面図、コントローラ搭載スライダ200aの側面図、詳細な内部構成は、第1実施形態における図1〜図5と同様であるので、その説明は省略する。
複数のガイド部100aを接続して搬送システム10aを構成する場合、ガイド部100aの接続部分では、各リニアスケール107の間に隙間が生じて不連続となる。例えば、3つのガイド部100aが接続されて、図7に示すように、各ガイド部100a内のリニアスケール107a、107b、107cが延在方向に直線状に配置される場合を考える。この場合、リニアスケール107aとリニアスケール107bとリニアスケール107cとにより1つの連続したリニアスケールが形成されることが望ましい。しかしながら、実際には、ガイド部100a及びリニアスケール107の連続性を確保することは困難であり、図7に示すように、接続部分ではリニアスケール107が不連続となり、例えば、リニアスケール107aとリニアスケール107bとの間には距離L1の隙間が生じ、リニアスケール107bとリニアスケール107cとの間には距離L2の隙間が生じる。
このようにガイド部及びリニアスケールが不連続である場合のエンコーダ212、214が出力するパルス信号について考える。例えば、エンコーダ212、214が何れもリニアスケール107の位置で磁界検出を行う場合には、図8(a)に示すように、エンコーダ212が出力するパルス信号とエンコーダ214が出力するパルス信号とは何れも連続した波形となる。
一方、例えば、エンコーダ212がリニアスケール107の位置で磁界検出を行い、エンコーダ214がリニアスケール107の不連続の位置(接続部分)で磁界検出を行う場合には、図8(b)に示すように、エンコーダ212が出力するパルス信号は連続した波形となるが、エンコーダ214が出力するパルス信号は不連続となる。
パルス信号が不連続となる場合、制御用MCU216は、エンコーダ212からのパルス信号に基づくカウント値(第1カウント値)と、エンコーダ214からのパルス信号に基づくカウント値(第2カウント値)との間でカウント値の対応関係を確定する引き継ぎ処理を行う。
具体的には、エンコーダ212が出力するパルス信号とエンコーダ214が出力するパルス信号との一方が欠損して不連続になり、その後、再び、エンコーダ212が出力するパルス信号とエンコーダ214が出力するパルス信号との一方が復活した場合を考える。この場合、制御用MCU216は、不連続となる直前の第1カウント値と第2カウント値とを対応付ける。その後、再び、パルス信号が復活した場合、制御用MCU216は、復活した時の第1カウント値と第2カウント値とを対応付ける。更に、制御用MCU216は、不連続となる直前の第1カウント値と第2カウント値との対応付けと、復活した時の第1カウント値+3と第2カウント値との対応付けとを比較する。ここで、エンコーダ212が出力するパルス信号とエンコーダ214が出力するパルス信号との一方が欠損したことにより、2つの対応付けにおける第1カウント値の増加数と第2カウント値の増加数とは異なる。制御用MCU216は、第1カウント値と第2カウント値とのうち、増加数が少ない方に、第1カウント値の増加数と第2カウント値の増加数との差を加算する。
例えば、図8(b)に示すように、エンコーダ214が出力するパルス信号が欠損して、その後、復活した場合を考える。この場合、制御用MCU216は、不連続となる直前の第1カウント値αと第2カウント値βとを対応付ける。その後、エンコーダ214が出力するパルス信号が復活した場合、制御用MCU216は、復活した時の第1カウント値α+3と第2カウント値β+1とを対応付ける。更に、制御用MCU216は、不連続となる直前の第1カウント値αと第2カウント値βとの対応付けと、復活した時の第1カウント値α+3と第2カウント値β+1との対応付けとを比較する。ここでは、第1カウント値は3増加している一方、第2カウント値は2つのパルス信号が欠損しているため、1しか増加していない。このため、制御用MCU216は、復活した時の第2カウント値β+1を2増加させてβ+3とする。このようなカウント値の引き継ぎ処理を行うことにより、エンコーダ212からのパルス信号に基づく第1カウント値と、エンコーダ214からのパルス信号に基づく第2カウント値とは、何れも、ガイド部100aの接続部分において、リニアスケール107が不連続となることが考慮された上でのコントローラ搭載スライダ200aの位置を正確に示すものとなる。制御用MCU216は、このようにして相互に引き継ぎ処理が行われた第1カウント値と第2カウント値とに基づいて、コントローラ搭載スライダ200aの位置を特定する。
第2実施形態の搬送システム10aでは、制御用MCU216は、コントローラ搭載スライダ200aが複数のリニアスケール107の不連続箇所に到達した場合、エンコーダ212からのパルス信号に基づく第1カウント値と、エンコーダ214からのパルス信号に基づく第2カウント値との引き継ぎ処理を行うことにより、コントローラ搭載スライダ200aの位置を検出する。これにより、複数のガイド部100aが接続されてガイド部100a及びリニアスケール107が不連続となっても、2つのエンコーダ212、214が出力するパルス信号に応じてコントローラ搭載スライダ200bの位置を正確に測定することができる。
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る搬送システム10bの概観を示す図である。図9に示すように、搬送システム10bは、6つのガイド部100b、7つのコントローラ搭載スライダ200b、2つの回転機構300、複数の充電ユニット400、及び、マスタコントローラ500により構成される。
図9では、3つのガイド部100bが直線状に接続されたコンベアが2つ配置される。更に、一方のコンベアの一方の端部と、他方のコンベアの一方の端部との間に一方の回転機構300が介在する。また、一方のコンベアの他方の端部と、他方のコンベアの他方の端部との間に他方の回転機構300が介在する。これにより、移動体であるコントローラ搭載スライダ200bの搬送路はループ状となる。コントローラ搭載スライダ200bは、図9に示す矢印の方向に搬送される。具体的には、コントローラ搭載スライダ200bは、3つのガイド部100bが直線状に接続された一方のコンベア上を搬送され、一方の回転機構300上を搬送されることにより搬送方向が180°転回する。更に、コントローラ搭載スライダ200bは、3つのガイド部100bが直線状に接続された他方のコンベア上を搬送され、他方の回転機構300上を搬送されることにより搬送方向が180°転回し、再び、3つのガイド部100bが直線状に接続された一方のコンベア上を搬送される。
また、3つのガイド部100bが直線状に接続された2つのコンベアにおいて、コントローラ搭載スライダ200bが作業のために一時停止するエリア(作業エリア)等の近傍には複数の充電ユニットが配置されている。また、2つの回転機構300のそれぞれの近傍には、充電ユニット400が配置されている。充電ユニット400は、コントローラ搭載スライダ200bに搭載されたバッテリであるキャパシタを充電する。
マスタコントローラ500は、コントローラ搭載スライダ200bの移動、停止等の位置の制御等、搬送システム10bの全体を制御する。
図10は、第3実施形態に係るガイド部100bとコントローラ搭載スライダ200bとによって構成される搬送装置の斜視図、図11は、第3実施形態に係るガイド部100bの上面図、図12は、第3実施形態に係るコントローラ搭載スライダ200bの側面図である。
ガイド部100bは、底面部材150aと、側面部材150b、150cとによって筐体が構成される。筐体は、底面部材150aの両端部に側面部材150b、150cが屹立した、X−Z平面の断面が凹型の形状である。
底面部材150aの上面には、複数の永久磁石102が配置されている。図11に示すように、複数の永久磁石102は、ガイド部100bの延在方向であるY軸方向に沿って、上面にN極とS極とが交互に現れるように配置されている。
側面部材150bの上面には、ガイド部100bの延在方向であるY軸方向に沿って板状部材150dが配置され、側面部材150cの上面には、ガイド部100bの延在方向であるY軸方向に沿って板状部材150eが配置されている。板状部材150dは、側面部材150bに対して−Y方向にずらして配置されており、一部が−Y方向に突出している。一方、板状部材150eは、側面部材150cに対して+Y方向にずらして配置されており、一部が+Y方向に突出している。
板状部材150dの上面には、ガイド部100bの延在方向であるY軸方向に沿ってリニアスケール108が配置され、板状部材150eの上面には、ガイド部100bの延在方向であるY軸方向に沿ってリニアスケール110が配置されている。リニアスケール108は、板状部材150dと同様に、側面部材150bに対して−Y方向にずらして配置されており、一部が−Y方向に突出している。一方、リニアスケール110は、板状部材150eと同様に、側面部材150cに対して+Y方向にずらして配置されており、一部が+Y方向に突出している。リニアスケール108、110は、それぞれガイド部100bの延在方向であるY軸方向に沿って、N極とS極とが交互に現れるように配置されている。
側面部材150bの内側面には断面が半円の切り欠き部104が形成されている。切り欠き部104は、ガイド部100bの延在方向であるY軸方向に延在する。同様に、側面部材150cの内側面には断面が半円の切り欠き部106が形成されている。切り欠き部106は、ガイド部100bの延在方向であるY軸方向に延在する。
コントローラ搭載スライダ200bは、上部部材250aと、下部部材250bとによって筐体が構成される。筐体は、上部部材250aの下部に下部部材250bが配置された、X−Z平面の断面が凸型の形状である。上部部材250aの上面には、搬送対象の物が配置される。図10に示すように、ガイド部100bの底面部材150a、側面部材150b、150cに囲まれた空間に、下部部材250bが入り込むことにより、ガイド部100bにコントローラ搭載スライダ200bが配置される。
下部部材250bにおける下部には、電磁石222が配置されている。ガイド部100bにコントローラ搭載スライダ200bが配置されると、電磁石222は、ガイド部100b内の永久磁石102の上方に位置することになる。
この状態で、電磁石222に対する通電が行われると、電磁石222のN極が永久磁石102のS極に引き寄せられるとともに、電磁石222のS極が永久磁石102のN極に引き寄せられる。更に、電磁石222における通電方向を順次切り替えることにより、電磁石222の磁界変化が生じ、電磁石222のN極が永久磁石102のS極に引き寄せられるとともに、電磁石222のS極が永久磁石102のN極に引き寄せられる動作が連続して生じ、コントローラ搭載スライダ200bがガイド部100b上を移動する。
上部部材250aにおける、Z軸方向の両端の下部には、エンコーダ212、214が配置されている。エンコーダ212、214は磁界を検出し、その磁界を示すパルス、例えば、N極でプラスのパルス、S極でマイナスのパルス信号を出力する磁気式のエンコーダである。ガイド部100bにコントローラ搭載スライダ200bが配置されると、エンコーダ212は、ガイド部100b内のリニアスケール108の上方に位置し、エンコーダ214は、リニアスケール110の上方に位置することになる。
この状態で、コントローラ搭載スライダ200bがガイド部100b上を移動すると、エンコーダ212の下方に位置するリニアスケール108の極がN極とS極とに交互に変化し、エンコーダ212は、その磁界変化に応じたパルス信号を出力する。同様に、コントローラ搭載スライダ200bがガイド部100b上を移動すると、エンコーダ214の下方に位置するリニアスケール110の極がN極とS極とに交互に変化し、エンコーダ214は、その磁界変化に応じたパルス信号を出力する。N極とS極の1組に対して磁界変化はsin波となる。本実施形態では、エンコーダ212は、1つのsin波に対して1000のパルス信号を出力する。
下部部材250bのZ軸方向の2つの側面の一方には、ボールベアリング260aが回転自在に配置され、他方には、ボールベアリング260bが回転自在に配置されている。ガイド部100bにコントローラ搭載スライダ200bが配置されると、ボールベアリング260aは、ガイド部100bに形成された切り欠き部104に嵌り込み、ボールベアリング260bは、ガイド部100bに形成された切り欠き部106に嵌り込む。この状態で、コントローラ搭載スライダ200bがガイド部100b上を移動すると、ボールベアリング260aは、切り欠き部104内を移動し、ボールベアリング260bは、切り欠き部106内を移動する。
図13は、第3実施形態に係るコントローラ搭載スライダ200bの詳細な内部構成を示す図である。図5に示す第1実施形態に係るコントローラ搭載スライダ200aと比較すると、図13に示すコントローラ搭載スライダ200bは、エンコーダ212とエンコーダ214の位置関係が異なる。以下においては、エンコーダ212、214に関わる構成の説明のみを行う。
コントローラ搭載スライダ200bがガイド部100b上を移動すると、エンコーダ212の下方に位置するリニアスケール108の極がN極とS極とに交互に変化し、エンコーダ212は、その磁界変化に応じたパルス信号を制御用MCU216へ出力する。同様に、コントローラ搭載スライダ200bがガイド部100b上を移動すると、エンコーダ214の下方に位置するリニアスケール110の極がN極とS極とに交互に変化し、エンコーダ214は、その磁界変化に応じたパルス信号を制御用MCU216へ出力する。
制御用MCU216は、エンコーダ212、214からのパルス信号に基づいてコントローラ搭載スライダ200bの位置を測定し、位置情報として無線レシーバ208を介してマスタコントローラ500へ送信する。具体的には、制御用MCU216は、エンコーダ212及びエンコーダ214から入力されるパルス信号の数をカウントし、そのカウント値に基づいて、コントローラ搭載スライダ200bの位置を特定する。なお、コントローラ搭載スライダ200bは、図9のPの位置で電源の遮断と再投入が行われ、制御用MCU216によるカウント値はリセットされる。
ここで、複数のガイド部100bを接続して搬送システム10bを構成する場合、ガイド部100bの接続部分では、リニアスケール108、110が不連続となる。例えば、図14に示すように、ガイド部100b1、ガイド部100b2、ガイド部100b3が接続される場合を考える。この場合、ガイド部100b1内のリニアスケール108aとガイド部100b2内のリニアスケール108bとガイド部100b3内のリニアスケール108cとにより1つの連続したリニアスケールが形成されるとともに、ガイド部100b1内のリニアスケール110aとガイド部100b2内のリニアスケール110bとガイド部100b3内のリニアスケール110cとにより1つの連続したガイド部及びリニアスケールが形成されることが望ましい。しかしながら、実際には、ガイド部及びリニアスケールの連続性を確保することは困難であり、図14に示すように、接続部分ではガイド部及びリニアスケールが不連続となる。
このようにガイド部及びリニアスケールが不連続である場合のエンコーダ212、214が出力するパルス信号について考える。例えば、図14のAの領域でエンコーダ212、214が磁界検出を行う場合には、エンコーダ212は、ガイド部100b2内のリニアスケール108bのN極の位置で磁界検出を行い、エンコーダ214も、ガイド部100b2内のリニアスケール110bのN極の位置で磁界検出を行うことになる。このため、図15(a)に示すように、エンコーダ212が出力するパルス信号とエンコーダ214が出力するパルス信号とは同一となる。
一方、例えば、図14のBの領域でエンコーダ212、214が磁界検出を行う場合には、エンコーダ212は、ガイド部100b2内のリニアスケール108bのN極及びS極の位置で磁界検出を行うが、エンコーダ214は、ガイド部100b2内のリニアスケール110bと、ガイド部100b3内のリニアスケール110cとの隙間を含む位置で磁界検出を行うことになる。このため、図15(b)に示すように、エンコーダ212が出力するパルス信号は連続した波形となるが、エンコーダ214が出力するパルス信号は不連続となる。
パルス信号が不連続となる場合、制御用MCU216は、エンコーダ212からのパルス信号に基づくカウント値(第1カウント値)と、エンコーダ214からのパルス信号に基づくカウント値(第2カウント値)との間でカウント値の対応関係を確定する引き継ぎ処理を行う。
具体的には、エンコーダ212が出力するパルス信号とエンコーダ214が出力するパルス信号との一方が欠損して不連続になり、その後、再び、エンコーダ212が出力するパルス信号とエンコーダ214が出力するパルス信号との一方が復活した場合を考える。この場合、制御用MCU216は、不連続となる直前の第1カウント値と第2カウント値とを対応付ける。その後、再び、パルス信号が復活した場合、制御用MCU216は、復活した時の第1カウント値と第2カウント値とを対応付ける。更に、制御用MCU216は、不連続となる直前の第1カウント値と第2カウント値との対応付けと、復活した時の第1カウント値+3と第2カウント値との対応付けとを比較する。ここで、エンコーダ212が出力するパルス信号とエンコーダ214が出力するパルス信号との一方が欠損したことにより、2つの対応付けにおける第1カウント値の増加数と第2カウント値の増加数とは異なる。制御用MCU216は、第1カウント値と第2カウント値とのうち、増加数が少ない方に、第1カウント値の増加数と第2カウント値の増加数との差を加算する。
例えば、図15(b)に示すように、エンコーダ214が出力するパルス信号が欠損して、その後、復活した場合を考える。この場合、制御用MCU216は、不連続となる直前の第1カウント値αと第2カウント値βとを対応付ける。その後、エンコーダ214が出力するパルス信号が復活した場合、制御用MCU216は、復活した時の第1カウント値α+3と第2カウント値β+1とを対応付ける。更に、制御用MCU216は、不連続となる直前の第1カウント値αと第2カウント値βとの対応付けと、復活した時の第1カウント値α+3と第2カウント値β+1との対応付けとを比較する。ここでは、第1カウント値は3増加している一方、第2カウント値は2つのパルス信号が欠損しているため、1しか増加していない。このため、制御用MCU216は、復活した時の第2カウント値β+1を2増加させてβ+3とする。このようなカウント値の引き継ぎ処理を行うことにより、エンコーダ212からのパルス信号に基づく第1カウント値と、エンコーダ214からのパルス信号に基づく第2カウント値とは、何れも、ガイド部100bの接続部分において、リニアスケール108、110が不連続となることが考慮された上でのコントローラ搭載スライダ200bの位置を正確に示すものとなる。制御用MCU216は、このようにして相互に引き継ぎ処理が行われた第1カウント値と第2カウント値とに基づいて、コントローラ搭載スライダ200bの位置を特定する。
第3実施形態の搬送システム10bでは、ガイド部100bとコントローラ搭載スライダ200bとにより搬送装置が構成されている。ガイド部100bは、延在方向にN極とS極とが交互に現れるように配置される複数の永久磁石102を備え、コントローラ搭載スライダ200bは、電磁石222と、その電磁石222への通電を制御してコントローラ搭載スライダ200bを移動させる制御を行う制御用MCU216を備える。従来のように各ガイド部に配列された電磁石に対する電力供給を制御することとは異なり、コントローラ搭載スライダ200bが自身の移動制御を行うため、ガイド部毎のコントローラは不要であり、コストが増加することを抑制して汎用性を向上させることができる。また、従来のようにガイド部単位でコントローラ搭載スライダの移動制御が行われることとは異なり、コントローラ搭載スライダ200bが自身の移動制御を行うため、1つのガイド部100bに複数のコントローラ搭載スライダ200bを搭載して搬送することや、コントローラ搭載スライダ200bの数がガイド部100bの数より多い場合にも各コントローラ搭載スライダ200bを個別に搬送することができ、汎用性が向上する。
また、コントローラ搭載スライダ200bは、キャパシタ206を備え、このキャパシタ206は、充電制御部204の制御により搬送経路上の充電ユニット400により充電される。このため、コントローラ搭載スライダ200b内の電磁石222に対する電力供給を適切に行うことができる。
また、搬送システム10bは、2つの回転機構300を備えることにより、ループ上の搬送路を構成することができる。
また、第3実施形態の搬送システム10bでは、ガイド部100b内に、当該ガイド部100bの延在方向であるY軸方向に沿ってリニアスケール108、110が配置され、リニアスケール108は一部が−Y方向に突出し、リニアスケール110は一部が+Y方向に突出している。一方、コントローラ搭載スライダ200bは、エンコーダ212、214を備え、エンコーダ212は、リニアスケール108による磁界変化に応じたパルス信号を制御用MCU216へ出力し、エンコーダ214は、リニアスケール110による磁界変化に応じたパルス信号を制御用MCU216へ出力する。制御用MCU216は、入力されたパルス信号に基づく第1カウント値と第2カウント値との引き継ぎ処理を行うことにより、コントローラ搭載スライダ200bの位置を検出する。これにより、複数のガイド部100bが接続されてガイド部100b及びリニアスケール108、110が不連続となっても、2つのエンコーダ212、214が出力するパルス信号に応じてコントローラ搭載スライダ200bの位置を正確に測定することができる。
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態に係るガイド部100cとコントローラ搭載スライダ200cとによって構成される搬送装置の斜視図、図17は、他の実施形態に係るガイド部100cの上面図(図17(a))及び側面図(図17(b))、図18は、他の実施形態に係るコントローラ搭載スライダ200cの側面図である。
ガイド部100cは、上記実施形態と同様、底面部材150aと、側面部材150b、150cとによって筐体が構成される。底面部材150aの上面には、上記実施形態と同様、複数の永久磁石102が配置されている。
側面部材150bの上面には、ガイド部100cの延在方向であるY軸方向に沿って板状部材150fが配置され、側面部材150cの上面には、ガイド部100cの延在方向であるY軸方向に沿って板状部材150gが配置されている。板状部材150f及び板状部材150gは、側面部材150b及び側面部材150cに対して+Y方向にずらして配置されており、一部が+Y方向に突出している。
板状部材150gの外側面には、ガイド部100cの延在方向であるY軸方向に沿ってリニアスケール112が配置されている。また、側面部材150cの外側面の上部には、ガイド部100cの延在方向であるY軸方向に沿ってリニアスケール114が配置されている。リニアスケール112は、板状部材150gと同様に、側面部材150cに対して+Y方向にずらして配置されており、一部が+Y方向に突出している。これにより、リニアスケール112とリニアスケール114とは、Y軸方向においてずれた配置となっている。リニアスケール112、114は、それぞれガイド部100cの延在方向であるY軸方向に沿って、N極とS極とが交互に現れるように配置されている。
上記実施形態と同様、側面部材150bの内側面には断面が半円の切り欠き部104が形成され、側面部材150cの内側面には断面が半円の切り欠き部106が形成されている。切り欠き部104、106は、ガイド部100cの延在方向であるY軸方向に延在する。
コントローラ搭載スライダ200bは、上部部材250aと、下部部材250bと、側面部材250cとによって筐体が構成される。筐体は、上部部材250aの下部に下部部材250bが配置され、上部部材250aの+X方向の一端の下部に側面部材250cが配置された形状である。
上記実施形態と同様、下部部材250bにおける下部には、電磁石222が配置されている。ガイド部100bにコントローラ搭載スライダ200bが配置されると、電磁石222は、ガイド部100b内の永久磁石102の上方に位置することになる。
側面部材250c内には、上側にエンコーダ212が配置され、下側にエンコーダ214が配置されている。ガイド部100cにコントローラ搭載スライダ200cが配置されると、エンコーダ212は、ガイド部100c内のリニアスケール112の+X方向に位置し、エンコーダ214は、リニアスケール114の+X方向に位置することになる。
この状態で、コントローラ搭載スライダ200cがガイド部100c上を移動すると、エンコーダ212の−Y方向に位置するリニアスケール112の極がN極とS極とに交互に変化し、エンコーダ212は、その磁界変化に応じたパルス信号を出力する。同様に、コントローラ搭載スライダ200cがガイド部100c上を移動すると、エンコーダ214の−Y方向に位置するリニアスケール114の極がN極とS極とに交互に変化し、エンコーダ214は、その磁界変化に応じたパルス信号を出力する。
上記実施形態と同様、下部部材250bのZ軸方向の2つの側面の一方には、ボールベアリング260aが回転自在に配置され、他方には、ボールベアリング260bが回転自在に配置されている。ガイド部100bにコントローラ搭載スライダ200bが配置されると、ボールベアリング260aは、切り欠き部104内を移動し、ボールベアリング260bは、切り欠き部106内を移動する。
以上、第1〜第4実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、コントローラ搭載スライダ200a等の外部電源端子202が、充電ユニット400内の給電端子と接続されて、充電ユニット400からの電力がコントローラ搭載スライダ200a等に供給され、キャパシタ206が充電されるようにした。しかし、充電の手法はこれに限定されない。例えば、充電ユニット400がムービングコイルを搭載し、コントローラ搭載スライダ200a等が受電側のコイルとキャパシタとを搭載するようにしてもよい。この場合、コントローラ搭載スライダ200a等が充電ユニット400の近傍に到達すると、充電ユニット400内のムービングコイルがコントローラ搭載スライダ200a等の受電側コイルの近傍に移動して、無接点給電によりキャパシタが充電される。これにより、充電のための配線等が不要になる。また、コントローラ搭載スライダ200a等において無線レシーバ208がマスタコントローラ500との情報の送受信を行うため、情報のやりとりのための配線も不要であり、コントローラ搭載スライダ200a等の配置、数等の自由度を高めることができる。
例えば、上記実施形態では、リニアスケール107等は、N極とS極とが交互に現れるものであり、エンコーダ212等は、磁界を検出するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、リニアスケール107等は、光の透過箇所と反射箇所とが交互に現れるようにし、エンコーダ212等は、リニアスケール107等に対して光を照射し、反射した光を受ける構成とし、受光を示すパルス信号を出力する構成でもよい。
また、上述した実施形態では、搬送システム10a等は、回転機構300を備えることでループ上の搬送路を構成したが、複数のガイド部100a等のみを接続した構成でもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。例えば、コンピュータがプログラムを実行することで、コントローラ搭載スライダ200a等の機能を実現してもよい。また、コントローラ搭載スライダ200a等の機能を実現するためのプログラムは、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータにダウンロードされてもよい。