JP6331700B2 - 竪型粉砕機 - Google Patents
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Description
竪型粉砕機は、被粉砕物(本明細書においては単に原料等と称することもある)を効率的に粉砕することができるという優れた特性を備えている。
特に、上抜き式、或いはエアスエプト式等と呼ばれているタイプの竪型粉砕機は、機内に下方から上方に向かって上昇しながら流れるガスの気流を形成して、機内に備えた分級機構等により、粉砕後の原料について、粒径別に分級することにより所望の粒径となったものを製品として取り出すことができるという優れた機能を備えている。
スティックスリップ現象とは、粉砕ローラが回転テーブル上に形成された原料層の上で瞬間的なスリップを起こして、一瞬、回転が止まったような状態になる現象であって、運転中、この現象が断続的に繰り返されると、粉砕ローラの回転が不規則になって、竪型粉砕機に振動を発生させる要因となる。
粒径の小さな細かな粒子は、機内で群となり、回転テーブル上に原料の層(原料層と称することもある)を形成する。
原料層は、粉体からなる粉体層であるから、通常、その内部に空気を取り込んだ状態となっている。そして、粉体の一般的な性質として、粉体層を形成する粉体の径が小さくなればなるほど、その中に多量の空気を抱え込みやすくなる。
言い換えれば、原料を細かに微粉砕しようとすれば、循環原料の量も増えるために、回転テーブル上の原料層(粉体層)について、粒径の小さな細かな原料を多く含むようになり、空隙率の高い、所謂、嵩高い状態(嵩密度としては低い状態)になる。
嵩高い原料層は、空気を大量に含んでいるために、見かけ上、摩擦係数が小さくなっている。その結果、運転中、粉砕ローラが原料層の上で、滑りやすい状態になって異常振動が発生し易くなる。
補助ローラを使用して原料を圧密してから粉砕ローラで粉砕する場合、原料が圧密されることにより、原料の中にあるガスが脱気されて、粉砕ローラがスリップしにくくなるという作用効果を奏する。
しかし、特許文献1に開示された技術においては、直接的に粉砕を目的としない補助ローラ等を機内に配する必要がある。そのため、構造が複雑になり、メンテナンスの手間も増え、コスト高にもなることから、簡便な構造で、異常振動を低減化できる方法が求められていた。
(1) 原料投入口から回転テーブルの中心方向に伸びる原料投入シュートを備えて、原料投入シュートから回転テーブル上に供給した原料を回転テーブル上に配した粉砕ローラにより粉砕するとともに、粉砕ローラで粉砕した原料を、回転テーブルの下方から供給したガスにより吹き上げて回転テーブルの上方に配した分級機構で分級することによって、所望する粒径となった原料をガスとともに上部から機外に取り出し、機外に取り出されなかった原料を回転テーブルと分級機構の間に配した内部コーンで捕集して回転テーブル上に再度供給して粉砕する竪型粉砕機において、内部コーンの中に原料投入シュートを配して、内部コーンと原料投入シュートの間に環状の隙間を形成するとともに、該環状の隙間の下方に、回転テーブル上に支持部材を介して取り付けたガイド板を配して、該ガイド板を回転テーブルの外周側から中心側に向かって下るように傾斜させて、回転テーブルに取り付けたガイド板を回転テーブルと共に回転させる。
図1から図6は本発明の実施形態を説明するための図に係わり、その好ましい例を示したものであって、図1は竪型粉砕機の全体構成を説明する断面図であり、図2は内部コーンとガイド板の配置を説明する図である。
図3は回転テーブル上に配したガイド板を説明する図であり、図3(1)は上方から観察した図であり、図3(2)はガイド板の拡大図である。図4は回転テーブル上に配されたガイド版を俯瞰的に記載した概念図である。図5又図6は原料の流れの挙動を概念的に示したものであり、図5は竪型粉砕機内における原料の流れ、図6は回転テーブルに向う原料の流れであって図6(1)が本実施形態による原料の流れを示した図であり、図6(2)が従来技術による原料の流れを示した図である。図7は粗粉と微粉を混合した場合と2層にした場合の層間摩擦係数を比較した参考図である。
図1に示した竪型粉砕機1は、エアスエプト式等と呼ばれているタイプの竪型粉砕機1であり、後述するガスの気流と内部に備えた分級機構16を利用して、所望の粒径となった原料を上部から機外に取り出す一方、所望の粒径となっていない原料については、再度、回転テーブル2上に供給して、粉砕ローラ3で、繰り返し粉砕する構成となっている。
図1に示した竪型粉砕機1は、竪型粉砕機1の外郭を形成するケーシング1B、1A、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2B、駆動モータ2Mによって駆動される回転テーブル2、及び、コニカル型の粉砕ローラ3等を備えている。
また、図1に示した竪型粉砕機1は、粉砕ローラ3が回転テーブル2上において、その外周部分に位相を90度ずらした形で4個配されている構造となっている。竪型粉砕機1は、駆動モータ2Mの駆動用電源として図示しないインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブル2の回転速度が任意に変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。
なお、固定式の一次分級羽根14は、一般的に、ガイドベーンと称されることもあるものであり、回転式の回転分級羽根13は、回転ベーンと称されることもあるものである。
なお、内部コーン22は一般的にセンターコーンと称されることもあるものである。
内部コーン22は、略切頭円錐型を逆にした形状をしており、その上部が円環状となって上方に向かって開口し、その上端の外周部には、前述した一次分級羽根14が、等間隔で複数本配されているとともに、内部コーン22の下端(コーン下端22Aと称する)は円筒状で、回転テーブル2の中心側に向かって下方に開口する形状となっている。
図2に示すように、原料投入シュート35は、竪型粉砕機1の上部から内部コーン22の中を通って、コーン下端22Aと環状の隙間(環状隙間Tと称する)を形成するように配置される。
第1実施形態による竪型粉砕機1においては、ガイド板50は、回転テーブル2上に固設されて、回転テーブル2が回転すると共に回転し、環状隙間Tから供給されて落下する原料の当て板として機能し、環状隙間Tから落下する原料が、回転テーブル2の中心側に向かって流れるように導くためのガイドをする。
竪型粉砕機1の機内に外部から投入された新規原料Nは、原料投入シュート35を介して回転テーブル2上の中心上に供給され、回転テーブル2の回転による影響等を受けることにより、回転テーブル2の中心側から外周側に向かって移動し、粉砕ローラ3により噛み込まれて粉砕される。
ガスによって吹き上げられた原料の中で、比較的径の大きな原料は、吹き上げられる際において、ガスの流れから逸脱して落下し、環状通路30側、或いは、回転テーブル2上側に、再度、戻る方向に移動する。
なお、環状通路30に達した原料の中で、極端に重量が大きな原料は、環状通路30に達しても、そこで吹き上げられずに、そのまま落下して、竪型粉砕機1の下部にある下部取出口34より機外に排出される。
そして、一次分級羽根14を通過した原料の中で、所望の粒径となった原料は、回転分級羽根13を通過することにより、分級機構16を通過して、原料取出口39から製品として取り出される。
なお、このように、分級後、内部コーン22内に落下して捕集され、再度、粉砕される原料の流れを、循環原料Rとして図5に示す。
ここで、回転テーブル2の中心側には、原料投入シュート35を介して供給される新規原料Nが落下しながら流れている。
その結果、図6(1)に示したように、環状隙間Tから排出された循環原料Rは、ガイド板50によりガイドされて中心側に流れ、混合ゾーンBにおいて、新規原料Nと合わせられて混合された状態となって、回転テーブル2上で原料層を形成し、粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕される。
前述のガイド板50がある場合と比較すると、原料投入シュート35から投入される新規原料Nの上に、環状隙間Tから排出された循環原料Rが排出されて供給される形となるため、回転テーブル2上において、循環原料Rと新規原料Nが混合されにくい。
その結果、原料層の上層に循環原料Rが多く含まれる状態となり、下層に新規原料Nが多く含まれる状態となりやすい。
その結果、図6(2)に記載したような従来技術と比較して、新規原料Nと循環原料Rが上層と下層で分離したような状態になりにくい。
そのため、上層に循環原料Rが多く含まれ、下層に新規原料Nが多く含まれる従来技術においては、回転テーブル上の原料層が空隙率の高い状態になりやすい。
その結果、見かけ上、原料層の摩擦係数が大きくなり、運転中、粉砕ローラ3と原料層が滑りにくい状態になって、異常振動が発生するリスクを低減することができる。
しかし、本発明に適応できるガイド板50の構成は、これに限らず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において変更が可能であって、他の形状のガイド板50を使用しても良く、例えば、円盤状、正方形状、或いは、円環状であっても良く、環状隙間Tから排出されて回転テーブル2上に供給される循環原料Rを回転テーブル2の中心側に向かって流し、原料投入シュート35から流れ出る新規原料Nと積極的に混合できる構成であれば良いので、その個数も、特に4枚に限られない。
しかし、本発明に適応できる支持部材51の構成はこれに限らず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において変更が可能であって、例えば、角材、L型等、他の形状の支持部材51を使用しても良い。
さらに言えば、支持部材51は、例えば、内部コーンの下端から角材などにより吊り下げるような形として、ガイド板50を環状隙間Tの下方に配する構成としても良く、その場合は、ガイド板50が回転テーブル2と共に回転しないので、リング状(円環状)とすることが好ましい。
しかし、本発明に適応できる内部コーン22の下端の形状は、これに限らず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において変更が可能であって、例えば、円筒部を設けず、逆接頭円錐形状のままとして、原料投入シュート35との間に環状隙間Tを形成する構成であっても良く、他の形状であっても良い。
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
13 回転分級羽根
14 一次分級羽根
15 回転軸
16 分級機構
17 ダムリング
22 内部コーン
22A コーン下端
1A 下部ケーシング
1B 上部ケーシング
30 環状通路(環状空間部)
33 ガス供給口
35 原料投入シュート
35A 原料投入口
39 原料取出口
50 ガイド板
51 支持部材
N 新規原料
R 循環原料
T 環状隙間
Claims (4)
- 原料投入口から回転テーブルの中心方向に伸びる原料投入シュートを備えて、原料投入シュートから回転テーブル上に供給した原料を回転テーブル上に配した粉砕ローラにより粉砕するとともに、
粉砕ローラで粉砕した原料を、回転テーブルの下方から供給したガスにより吹き上げて回転テーブルの上方に配した分級機構で分級することによって、所望する粒径となった原料をガスとともに上部から機外に取り出し、機外に取り出されなかった原料を回転テーブルと分級機構の間に配した内部コーンで捕集して回転テーブル上に再度供給して粉砕する竪型粉砕機において、
内部コーンの中に原料投入シュートを配して、内部コーンと原料投入シュートの間に環状の隙間を形成するとともに、
該環状の隙間の下方に、回転テーブル上に支持部材を介して取り付けたガイド板を配して、該ガイド板を回転テーブルの外周側から中心側に向かって下るように傾斜させて、
回転テーブルに取り付けたガイド板を回転テーブルと共に回転させることを特徴とする竪型粉砕機。 - 前記ガイド板の回転テーブル上における最も中心側の位置が、前記環状の隙間の内周側位置より回転テーブルの中心側にあって、
該ガイド板の回転テーブル上における最も外周側の位置が、該環状の隙間の外周側位置より回転テーブルの外周側にあることを特徴とした請求項1記載の竪型粉砕機。 - 前記ガイド板の傾斜角が水平方向から45度の傾きであることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の竪型粉砕機。
- 前記ガイド板の形状を長方形として、回転テーブル上に90度ずつ角度をずらした状態で4個配したことを特徴とした請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の竪型粉砕機。
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