JP6328359B1 - 擁壁の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の擁壁の施工方法は、地盤に支柱杭を建て込んで支柱杭の支柱部を地盤上に立設させる立設工程と、矩形面状のパネル材と、パネル材の背面に着脱自在に付設した保護型枠と、を備え、パネル材は、プレキャストコンクリート板からなるパネル本体と、パネル本体内に配筋され、一部がパネル本体の背面から外部に露出して水平方向のループ部を構成する連結鉄筋と、を有し、保護型枠の内面とパネル本体の背面とによって、ループ部の側周を包囲する打設空間を画設した擁壁パネルキットを、支柱杭の支柱部に上方から吊り下ろし、ループ部内に支柱部を挿通して、ループ部と支柱部の間に一定のクリアランスを確保しつつ地盤に配置する配置工程と、地盤に配置した擁壁パネルキットの打設空間内に充填材を打設する打設工程と、充填材の硬化後にパネル材から保護型枠を取り外す脱型工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
特許文献1及び2には、地盤にソイルセメント改良体を形成してH鋼や鋼管等の芯材を建て込み、擁壁パネルを芯材に挿通させながら積み上げて壁面を構成する自立式擁壁が開示されている。
<1>擁壁パネルがプレキャスト一体構造であるため、支柱杭の規格差に応じた控え部のサイズ変更や、支柱杭の打設位置の微調整等ができない。このため、設計の自由度が低い。
<2>擁壁パネルの連結孔は、(a)コンクリートを隙間なく密実に充填するため、(b)擁壁パネルの吊下ろし時に支柱杭が内壁に干渉するのを避けるため、及び(c)支柱杭の各種サイズに対する汎用性を確保するため、連結孔の内壁と支柱杭の間に比較的大きなクリアランスが設けられる。一方、連結孔を囲む控え部は、内部の配筋に所定の被り厚を確保するため、厚肉のコンクリートで構成される。以上より、全体として控え部が構造上要求されるサイズより大型化する。
<3>控え部が大きく擁壁パネル全体の重量が重いため、現場への搬入やクレーン作業などが困難で、作業効率が悪い。
<4>控え部が大きく背面に突起するため、背面側の構造物や配管設備などに干渉しやすい。
<5>擁壁パネルを上下方向に重ねて用いる場合、プレキャストコンクリート部分が連続していないため、曲げ剛性を負担することができない。このため、支柱杭と充填コンクリートで剛性を確保しなければならない。
この構成によれば、パネル材と小断面の控え部が一体に連結した擁壁パネルを現場で容易に製作することができる。
この構成によれば、簡易な構造の保護型枠でもって、控え部の型枠材の機能とループ部の保護材の機能を同時に発揮することができる。
この構成によれば、簡易な構造でもって、保護型枠を容易に着脱できる。
この構成によれば、溝の深さだけ支柱杭を前面側に寄せることで、擁壁パネルを薄く成型することができる。
この構成によれば、上下のループ部を連結するによって連結鉄筋の一体性を高めることができる。
この構成によれば、パネル材と小断面の控え部が一体に連結した擁壁パネルを現場で容易に製作することができる。
<1>工場製作による高品質のパネル材と現場打設による控え部の組み合わせからなるハーフプレキャスト構造により、背面土圧に対する高い支持性能を確保しつつ、同時に高い設計の柔軟性を達成することができる。
<2>構造上無駄であった連結孔内のクリアランスと控え部の被り厚の重複設計を解消し、必要最小サイズの控え部を有する擁壁パネルを製作することができる。
<3>控え部のない状態で搬送できるため、軽量で作業効率がよい。
<4>軽量であるため、取扱いが容易で小型の重機で吊り上げることができる。このため、住宅地などの狭隘な敷地でも施工することができる。
<5>保護型枠のサイズを選択することで、現場で容易に控え部のサイズを設定することができる。このため、設計変更が容易で、汎用性が高い。
本明細書等における「上下」「前後」「水平」「鉛直」などの各方位は、擁壁の供用時における各方位を意味する。
<1>全体の構成(図1)。
本発明の擁壁パネルキットは、パネル材と型枠を着脱構造とした擁壁パネル製作用の半製品であって、これを用いて現場で容易にハーフプレキャスト一体型の擁壁パネルを製作することができる。
本発明の擁壁パネルキット1は、矩形面状のパネル材10と、保護型枠20と、を備える。保護型枠20は、ボルト等の連結具30でパネル材10の背面に着脱自在に付設する。
パネル材10の背面と保護型枠20の内面との間には、充填材A3打設用の打設空間Sを画設する。
パネル材10は、擁壁Aの壁面を構成する構成要素である。
パネル材10は、プレキャストコンクリート板からなる矩形のパネル本体11と、パネル本体11内に配筋される連結鉄筋12と、を有する。
パネル本体11の背面側には、保護型枠20をボルト締結するための、複数の連結孔14が穿設される。
本例では、パネル本体11の背面における打設空間Sに面する位置に、高さ方向に凹溝13を設ける。
凹溝13を有することにより、溝の深さだけ支柱杭A2をパネル本体11の前面側に寄せることができるため、擁壁パネルA1を薄く成型することができる。
なお、凹溝13は必須の構成要素ではない。
連結鉄筋12は、擁壁パネルA1において、パネル本体11と控え部Rを一体に連結するための構成要素である。
連結鉄筋12は、パネル本体11の内部に配筋され、一部がパネル本体11の背面から外部に露出して水平方向のループ部12aを構成する。
ループ部12aは、支柱杭A2を包囲可能なループ径を有し、好ましくはパネル本体11の高さ方向に複数設ける。
本例では、複数のループ部12aを高さ方向の縦筋(補強筋15)で連結する。これによって連結鉄筋12の一体性を高めることができる。
保護型枠20は、控え部Rの型枠の機能と、連結鉄筋12のループ部12aの保護材の機能を兼備する構成要素である。
保護型枠20は、パネル本体11の背面に着脱自在に付設する。
本例では、保護型枠20として、型枠本体21と2つの取付片22からなる、断面略ハット形状の鋼板を採用する。
保護型枠20の高さは、パネル材10の高さより低く設定する。
型枠本体21は、主板21aと、主板21aの両側辺からパネル本体11側に延出する2つの側板21bを備える。
2つの取付片22は、2つの側板21bの側辺からパネル本体11の面方向両側に延出する。
本例では、取付片22にボルト孔を穿設し、このボルト孔に挿通した連結ボルト(連結具30)をパネル材10背面の連結孔14に螺着することで、保護型枠20をパネル材10に付設する。
なお、保護型枠20の付設方法はこれに限らず、パネル本体11への接着や、パネル本体11に設置した金具との係合等によってもよい。
打設空間Sは、内部に充填材A3を打設して控え部Rを成型するための空間である。
打設空間Sは、パネル材10の背面と保護型枠20の内面との間に画設し、上下方向に開口する。
打設空間S内には、連結鉄筋12のループ部12aが配置され、保護型枠20によって、ループ部12aの側方を包囲する。
打設空間S内に充填材A3を打設して硬化させることで、連結鉄筋12によってパネル材10と一体化した控え部Rを成型することができる。
引き続き、本発明の擁壁パネルキットを用いた擁壁の施工方法について詳細に説明する。
工場で製作した擁壁パネルキット1を、パネル材10に保護型枠20を付設した状態で現場に搬送する。
この際、保護型枠20が連結鉄筋12のループ部12aを被覆して保護することで、衝突によるループ部12aの変形を防ぐことができる。
また、保護型枠20は着脱自在であるため、支柱杭A2の規格に応じてサイズの異なる保護型枠20に付け替えることで、現場で控え部Rのサイズを適宜設定することができる。
本例では支柱杭A2としてH鋼ソイルセメント合成杭を採用する。
攪拌混合装置によってセメント系の固化材を地盤に注入しながら攪拌混合し、地中に柱状のソイルセメント改良体を形成する。
同様にして、擁壁Aの連続方向に沿って所定間隔で所定数のソイルセメント改良体を形成する。
ソイルセメント改良体が未硬化の内に改良体内にH鋼を建て込み、上部(支柱部)を地盤上に立設する。
立設後、H鋼の鉛直性と芯ずれがないことを確認する。
同様にして全てのソイルセメント改良体にH鋼を建て込む。
なお、支柱杭A2はH鋼ソイルセメント合成杭に限定されず、鋼管ソイルセメント合成杭やH鋼杭、鋼管杭等を採用してもよい。
擁壁パネルA1設置場所の地盤に捨てコンクリートを打設し、表面を整形して支持面を形成する。
擁壁パネルキット1をクレーン等で吊り上げ、支柱杭A2のH鋼にループ部12aを外挿しながら地盤に設置する(図2(a))。
設置後、擁壁パネルキット1の水平確認及び鉛直確認を行う。
本発明の擁壁パネルキット1は控え部を有さないハーフプレキャスト構造であるため、軽量で小型のクレーンでも吊り上げることができる。このため、施工効率が高く、また住宅地などの狭隘な場所でも施工できる。
擁壁パネルキット1の打設空間S内に、保護型枠20の上方から充填材A3を打設する(図2(b))。
保護型枠20の下部と支持面の間に隙間があれば、事前に粘着テープ等で塞いでおく。
打設後、充填材A3が打設空間S内に隙間なく充填されるようにバイブレーターで十分に締め固める。
充填材A3の硬化によって、連続する連結鉄筋12によってパネル材10と一体化した、控え部Rが形成される。
充填材A3が硬化したら、全ての連結具30のボルトを緩めて外し、パネル材10から保護型枠20を取り外す(図2(c))。
必要に応じて連結孔14をモルタルで埋め戻す。
同様に隣の支柱杭A2に<3>〜<5>の作業を繰り返して擁壁Aを水平方向に連続してゆく。
実施例1では、保護型枠20を断面略ハット形状としたがこれに限られない。
例えば、断面略半弧形状としてもよい(図3)。この場合、連結鉄筋12のループ部12aも保護型枠20の形状に対応した半弧状とする。
支柱杭A2に円形鋼管を採用した場合、本例のように保護型枠20と連結鉄筋12を断面半弧形状とすることで、控え部Rの外形が円形鋼管の外形に対応するため、円形鋼管に対するコンクリ―ト厚が均一となり、設計上の強度を確保することができる。
実施例1では、擁壁Aの擁壁パネルA1を高さ方向において一枚物としたが、複数の擁壁パネルA1の分割構造としてもよい(図4)。
本例では、下段の擁壁パネルキット1の保護型枠20の高さをパネル材10の高さとし(図4(a))、地盤に設置した下段の擁壁パネルキット1の上に上段の擁壁パネルキット1を設置する。この際、上下の擁壁パネルキット1の連結鉄筋12同士を、高さ方向に配置した補強筋15で接続しておく。
打設工程では、上下の保護型枠20の隙間を粘着テープで塞ぎ(図4(b))、上段の保護型枠20の上部から充填材A3を打設する。
充填材A3の硬化によって、補強筋15で上下に連結した控え部Rが形成される。これによって、本来不連続であった上下のパネル材10を、控え部Rを介した上下一体構造とすることができる(図4(c))。
また、擁壁パネルキット1を小型化することができるため、施工効率が向上し、狭隘な敷地において小型の重機でも施工できる。
10 パネル材
11 パネル本体
12 連結鉄筋
12a ループ部
13 凹溝
14 連結孔
15 補強筋
20 保護型枠
21 型枠本体
21a 主板
21b 側板
22 取付片
30 連結具
A 擁壁
A1 擁壁パネル
A2 支柱杭
A3 充填材
R 控え部
S 打設空間
Claims (5)
- 地盤に支柱杭を建て込んで前記支柱杭の支柱部を地盤上に立設させる、立設工程と、
矩形面状のパネル材と、前記パネル材の背面に着脱自在に付設した保護型枠と、を備え、前記パネル材は、プレキャストコンクリート板からなるパネル本体と、前記パネル本体内に配筋され、一部が前記パネル本体の背面から外部に露出して水平方向のループ部を構成する連結鉄筋と、を有し、前記保護型枠の内面と前記パネル本体の背面とによって、前記ループ部の側周を包囲する打設空間を画設した、擁壁パネルキットを用い、前記擁壁パネルキットを、前記支柱杭の支柱部に上方から吊り下ろし、前記ループ部内に支柱部を挿通して、前記ループ部と支柱部の間に一定のクリアランスを確保しつつ地盤に配置する、配置工程と、
地盤に配置した前記擁壁パネルキットの打設空間内に充填材を打設する、打設工程と、
前記充填材の硬化後に前記パネル材から前記保護型枠を取り外す、脱型工程と、を備えることを特徴とする、
擁壁の施工方法。 - 前記保護型枠は、主板及び前記主板の両側辺から前記パネル本体側に延出する2つの側板からなる型枠本体と、前記2つの側板の側辺から前記パネル本体の面方向両側に延出する2つの取付片と、を有する断面略ハット形状を呈することを特徴とする、請求項1に記載の擁壁の施工方法。
- 前記パネル本体は、背面に複数の連結孔を有し、前記取付片のボルト孔に挿通した連結ボルトと前記連結孔の螺着を介して、前記保護型枠を前記パネル材に付設したことを特徴とする、請求項2に記載の擁壁の施工方法。
- 前記パネル本体における前記打設空間に面する位置に、高さ方向に凹溝を形成したことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の擁壁の施工方法。
- 複数の前記ループ部を上下方向に連結する補強筋を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の擁壁の施工方法。
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