JP6314413B2 - 温度センサ - Google Patents
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Description
また、別の押し当て型温度センサとして、特許文献2には、FPCの帯を検出対象方向に屈曲させ、屈曲の頂点において屈曲の外側のFPCの面の検出対象に押し当て、屈曲の頂点であり屈曲の内側のFPCの面上に配置した感温素子で検知対象の温度を検知する温度センサが示されている。また、感熱素子は弾性体によって覆われている。
図1は本実施形態の温度センサの原理図である。本実施形態の温度センサ装置100はFPC(Flexible Print Circuit)104、感温素子105、弾性体106、固定部107、リード線108より構成される。ここで、温度センサ10は、FPC(Flexible Print Circuit)104、感温素子105、弾性体106を備えている。FPC104はポリイミドフィルムなどのしなやかな屈曲性をもつフィルムを基材とするので、図1(a)、(b)に示すように、屈曲して温度センサ装置100に組み込むことが可能である。ここで、FPC104が伸展された形は、図1(c)のような形状であり、第1の端部となる端子部103から第1の方向に延在する第1の帯状部101と、第1の帯状部101に連なり、第1の方向と直交する第2の方向において、第1の帯状部101より幅の広い幅広部102と、第1の帯状部101を間に挟んで、幅広部102の反対側に連なる第1の端部となる端子部103とからなる。第1の帯状部101は、幅広部102より第2の方向における幅が狭い場所が存在すればよく、狭い幅が同一の幅であってもよく、幅広部102より第2の方向における幅が狭い異なる複数の幅が存在してもよい。ここで、第1の方向とは、屈曲して組み込む場合は、伸展された場合の伸展された方向を屈曲した方向を指すものとする。幅広部102の第1および第2の方向におけるおもて面中央には感温素子105が実装されており、感温素子105の信号は、FPC104のおもて面上に形成または配置された信号線150を通じてFPC104の第1の端部となる端子部103に形成された端子151に出力される。信号線150は、感温素子105の電極と端子151をつなぐFPC104のおもて面上に配置された細くしなやかなワイヤー、あるいはFPC104に形成された銅箔パターンである。第1の端部となる端子部103に形成された端子151にリード線108を接続することにより、感温素子105の信号を外部に取出すことができる。端子151はリード線108と接続可能な金属部分であり、FPC104のおもて面上に銅箔パターンで形成することも出来る。屈曲して組み込む場合、FPC104の第1の端部となる端子部103が、固定部107に設けられた第1の支持部171に固定され、第1の帯状部101がたるみを持った状態で屈曲されて、幅広部102の第1および第2の方向における中心が弾性体106の中心と一致するように組み込まれる。端子部103の支持部171への固定は接着、あるいは熱カシメなどにより行われる。本実施形態では、感温素子105は温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタであるとして説明を行うが、金属測温体、あるいは温度に応じた起電力を生じる熱電対でもよい。
実施形態2においては、図2に示すように、温度センサ装置200では、FPC104が幅広部102を挟んで第1の帯状部101に対向してもうひとつの第2の帯状部140をもつ。ここで、第2の帯状部140は、幅広部102より第2の方向における幅が狭い場所が存在すればよく、狭い幅が同一の幅であってもよく、幅広部102より第2の方向における幅が狭い異なる複数の幅が存在してもよい。FPC104の使用面積は増えるが、幅広部102が両側から第1および第2の帯状部(101、140)により支持されるため、幅広部102の位置が安定する。FPC104を伸展した状態を図2(c)に示す。図2(c)においては、幅広部102の両側にそれぞれ第1および第2の帯状部(101、140)が幅広部102を挟んで対向して延在する。第2の帯状部140の、幅広部102と反対側の端には、第2の端部となる係止部141があり、固定部107に設けられた第2の支持部172にFPC104の係止部141を係止(固定)する。図2(b)に示すように、FPC104は第2の端部となる係止部141において第2の支持部172に係止され、弾性体106の底面を通って、第1の端部となる端子部103が第1の支持部171に固定されるように第1および第2の帯状部(101、140)が屈曲されてたるみを持った状態で固定部107に組み込まれ、温度センサ装置200として機能する。係止部141と第2の支持部172との係止および、端子部103の支持部171への固定は接着、あるいは熱カシメなどにより行われる。なお第1の支持部171と第2の支持部172は一致していても良い。この場合、第1の端部となる端子部103と第2の端部となる係止部141は同じ位置で固定される。なお、固定部107に第1の支持部171および第2の支持部172が存在するとして説明したが、固定部が2個存在するものであってもよく、第1の支持部171および第2の支持部172がそれぞれ別個の固定部(図示せず)に存在してもよい。
図3は、本温度センサ装置200を、ケース300に内蔵された検知対象物301の温度検出において適用した例である。ここで、検知対象物301はバッテリ、集積回路などの発熱を伴う電子部品あるいは電気機器などが挙げられるが、その形態は特に問われるものではない。温度センサ装置200の固定部107はケース300の壁に開けられた穴304に挿入されて固定される。第3の支持部173は、固定部107に設けられ、弾性体106の上部を支持するので、FPC104の幅広部102は弾性体106が僅かに変形する程度の反発力を受け、検知対象物301の検知対象物表面120に軽く押付けられる。弾性体106の底面は、内周側から外周側へ向かう下に凸の凸面であるため、弾性体106の反発力はFPC104の幅広部102の第1および第2の方向における中央部が一番強く、周辺(外周側)に向かって軽減する。従って、検知対象物301の検知対象物表面120の位置が微小に変動しても、弾性体106の変形が保たれている限りは、その反発力により、幅広部102の第1および第2の方向における中央部と検出対象物301の検知対象物表面120とは安定した密着状態が保たれる。検知対象物301の検知対象物表面120の微小な変動とは、垂直方向(幅広部102の垂線方向)においては、固定部107が固定されたケース300の壁に開けられた穴304を有する壁面と検知対象物301の検知対象物表面120との距離の変動であり、検知対象物301とケース300との取付位置公差などの静的なばらつきのほか、検知対象物301の温度による膨張、ケース300に振動が加わった場合のケース300と検知対象物301との相対的位置関係の変動などの動的変動などがある。これらの変動に応じて弾性体106が変形して幅広部102と検知対象物301の検知対象物表面120との密着状態を保つ。FPC104の第1および第2の帯状部(101、140)は、たるみを持っており、固定部107から検知対象物301の検知対象物表面120までの垂直距離の変化に応じて屈曲する。また、これら第1および第2の帯状部(101、140)は、第2の方向における幅が狭いため、検知対象物301の検知対象物表面120の表面に沿った方向(水平方向)の変位に対しても、第1および第2の帯状部(101、140)がねじれを伴い変位するので、幅広部102を屈曲させることなく、検知対象物301の検知対象物表面120の水平方向の変位に応じてしなやかに屈曲する。つまり、第1および第2の帯状部(101、140)のみがねじれを伴い変位し、幅広部102は第1および第2の帯状部(101、140)のねじれを伴う変位の影響が低減された状態で検知対象物301の検知対象物表面120への密着状態を保つことになる。なお、弾性体106は垂直方向の変形だけでなく、底部の水平方向の移動に応じてずれて変形することも可能である。弾性体106が水平方向にも変形可能であり、かつ第1および第2の帯状部(101、140)がたるみを持つため、検知対象物301の水平方向の微小な移動に対し、検知対象物301の検知対象物表面120に幅広部102が密着したまま一緒に移動することが出来る。つまり、幅広部102は検知対象300の垂直方向の微小変位にも水平方向の微小変位にも検知対象物301の検知対象物表面120に密着性を保つことが出来る。例えば、ケース300に入れられた検知対象物301であるバッテリを車載した場合、車両の振動によりこの様な微小変位が起きるが、本実施形態によれば、検知対象物301の検知対象物表面120であるバッテリの表面の温度を安定して検出することが出来る。なお、実施形態1に示す幅広部102と第1の帯状部101が連なる構成であっても、同様な効果を得ることが可能である。
図4に示すように、実施形態4においては、温度センサ装置400では、幅広部102と弾性体106との間に、感温素子105と弾性体106との接触を避けるための空間401が設けられている。空間401のような狭い空間に閉じ込められた空気は対流や気流が起こりにくいため極めて断熱性が高く、ゴムなどの弾性体106よりも更に断熱性が高い。従って、より外部および内部の雰囲気(302、303)の温度の影響を受けにくくなり、感温素子105の検知温度の精度が向上する。また、弾性体106が感温素子105に接していると、感温素子105の応答性は弾性体106の熱応答性に近いものとなる。弾性体106は感温素子105よりもはるかに熱容量が大きいので感温素子105単独よりも熱応答が遅い。例えば、検知対象物表面120の温度が上昇した場合、その熱が弾性体106に伝わって弾性体106の温度が安定するまで感温素子105の温度も安定しない。その後、検知対象物表面120の温度が下がっても、弾性体106が放熱してゆっくり温度が下がるのに合わせて感温素子105の温度もさがる。これに対し、空間401があると、弾性体106の温度変化に殆ど関係なく、熱容量の小さいFPC104の幅広部102の中央部および感温素子105の温度変化で応答性が決まる。このように、感温素子105の周囲に小さな空間401を設けて弾性体106との熱結合を遮断すると、検知精度が向上するとともに、応答性の上でも好ましい。
図5に示すように、実施形態5においては、温度センサ装置500では、実施形態4とは異なり感熱素子105周囲に空間を設ける代わりに、発泡性樹脂501で感温素子105の底面を除いて被覆し、発泡性樹脂501が弾性体106に接している。発泡性樹脂501は多数の気泡を有しており、多数の気泡の中に空気を蓄えている。しかも気泡一つ一つに空気が分断されて移動しにくいので、単なる空間よりさらに対流が起こりにくいため、より高い断熱性が実現できる。あるいは、弾性体の一部を変性させ、弾性体106と感熱素子105が接する面または弾性体106の底面であって感温素子105周辺のみが細かい気泡が分布する構造で有ってもよい。また、信号線150と対向する領域に細かい気泡が分布する構造とすることで、信号線150を弾性体106からの熱的影響を受けにくくする点で望ましい。また、弾性体106全体が発泡性樹脂501であっても同様な効果が得られる。
図6は、信号線150や端子151を銅箔(111、112)で形成した例である。幅広部102のおもて面の第1および第2の方向における中央部には感温素子105が実装されており、感温素子105の両端の電極はFPC104のおもて面上に形成されたランドパターン110とハンダリフロー(図示せず)などで接合されるので、感温素子105の信号はFPC104に形成された信号用銅箔パターン111を通じてFPC104に形成された端子銅箔パターン112に出力される。端子銅箔パターン112にリード線108を接続することにより、感温素子105の信号を外部に取出すことができる。
さらに、図7に示すように、FPC104に形成された信号用銅箔パターン111に工夫を加えることにより、検出精度の性能を向上させる方法について述べる。先の図6では、感温素子105周辺においてFPC104に形成された信号用銅箔パターン111を直近のFPC104のおもて面上に形成されたランドパターン110に最短距離(直線)でつなげている。FPC104に形成された信号用銅箔パターン111を第1の帯状部101の区間601と幅広部102の区間602に分けて考えると、図6において図7の区間602に相当する区間はランドパターン110近傍を除き直線的であり最短の距離となっている。電気的な接続だけを考えればそれでよいが、熱的性質を考慮してこの部分を長くする工夫について説明する。感温素子105は幅広部102の第1および第2の方向における中央部にあり検知対象物表面120の温度ともっとも近くなる位置にあるが、端子銅箔パターン112には外部に繋がるリード線108が接続されるので、第1の帯状部101分の信号用銅箔パターン601を通じて外部への熱の移動が起きる。つまり外部の雰囲気温度の影響は端子銅箔パターン112から信号用銅箔パターン(601、602)を通じて感温素子105の温度に影響を与えることになる。ここで、信号用銅箔パターン(601、602)の熱抵抗を上げて熱の移動を抑えるとこの影響を軽減できるが、とくに検知対象物表面120の温度から近い部分の熱抵抗を上げることが望ましい。信号用銅箔パターンの区間602の部分は幅広部102から第1の帯状部101に連なる部分であるので、図7に示すようにこの区間を蛇行させることにより熱伝導経路を長くすることが出来る。たとえば、信号用銅箔パターン602を最短距離で接続した場合に比べて、2倍以上の長さにすることができる。つまり、この区間602の熱抵抗が大きくなり外部との熱の移動が幅広部102中心部周辺で抑えられるため感熱素子105近傍の熱の移動が低減されるので、温度センサ装置(100、200、400、500)の感度を大きくできる。
次に、幅広部102の第1および第2の方向における中央部で、より熱抵抗を上げる工夫について述べる。図8(a)(b)(c)に示すように、信号用銅箔パターン111を感温素子105周辺において折り返すあるいは渦巻状にするなどして引き回す信号用銅箔パタンの引回し部802を設けると、最短の場合(直線)の倍以上の長さとすることが出来る。つまり電気的な伝導に必要な長さの倍以上にして熱的な伝導条件を有利にする工夫ができる。熱分布が高温となる感温素子105周辺領域において信号用銅箔パターン111の長さが増加するので、その領域では信号用銅箔パターン111が熱を受け、その熱が感熱素子105の電極を通じて感熱素子105に伝達する。また、感温素子105から端子銅箔パターン112を通じて外部に流出する熱経路の総合長も増加するため、この経路の熱抵抗が増加し、外部へ流出する熱量を減少させることが出来る。この様な効果により感温素子105の温度の低下を低減することが出来、温度センサ装置(100、200、400、500)の感度を向上する。この様な効果を生むために、図8(a)においては、感温素子105周辺の信号用銅箔パターン111を半円弧状に折り返して信号用銅箔パターンの引回し部802としている。ここで、信号用銅箔パターンの引回し部802の最外周部は、幅広部102の中心を中心として同心円状となっていることが好ましい。信号用銅箔パターンの引回し部802最外周部が同心円状となっているので、感熱素子105近傍の熱量が概ね等方的に均等に移動することになるので、検出バラツキを低減できることになる。
信号用銅箔パターン111を熱的に引き回す工夫だけでなく、集熱用銅箔パターン800を設ける実施形態について、説明する。実施形態9においては、図9に示すように、感温素子105周囲の近傍領域に半円形の面状に広がる集熱用銅箔パターン800を有する。集熱用銅箔パターン800は熱伝導性のよい銅箔であり、またランドパターン110を兼ねているため、感熱素子105周辺の熱を集め感温素子105に伝導する働きをする。また、集熱用銅箔パターン800の最外周部が同心円状となっているので、感熱素子105近傍の熱量が概ね等方的に均等に感熱素子105に移動することになるので、検出バラツキを低減できることになる。また、信号用銅箔パターン111も感温素子105周辺においては、集熱用銅箔パターン800の周囲を引き出し側(端子銅箔パターン112の方向)とは逆側にまで回りこんで信号用銅箔パターンの引回し部802として、熱流出経路の長さを稼ぎ、熱抵抗を大きくしている。このように、集熱用銅箔パターン800と信号用銅箔パターンの引回し部802を併用することで、感温素子105の温度を高く保ち、温度センサ装置(100、200、400、500)の感度を高く保つ。
集熱用銅箔パターンは面的な広がりではなく、放射状の線的な広がりであってよい。図10において、ランドパターン110から放射状に集熱用銅箔パターン900が伸びている。集熱用銅箔パターン900は放射状であるので、感温素子105周辺の熱を短距離で感温素子105に伝える。少ない熱抵抗で感温素子105周辺の熱を感温素子105に伝え、かつ線状であるため面的に広がるよりも熱容量が少ないため、温度センサ装置(100、200、400、500)の感度の向上に貢献するとともに、応答性の上でも好ましい。集熱用銅箔パターン900の先端の一対であるランドパターン110に接続される銅箔パターン901は、信号用銅箔パターン111に連結するので、感温素子105の出力が端子銅箔パターン112に出力される。
放射状に広がる集熱用銅箔パターンは、枝分れするものであっても良い。図11に示す集熱用銅箔パターンは、ランドパターン110から発する太い幹部から細い枝部が枝分れしている。枝分れした集熱用銅箔パターン1101により、感温素子105近傍領域をきめ細かく覆う、つまり集熱する面積が増える。しかし、枝は先端に行くに従って細くなるため、集熱用銅箔パターン全体の熱容量の増加は抑えられる。従って、温度センサ装置(100、200、400、500)の感度の向上に貢献するとともに、応答性の上でも好ましい。
これまでは、FPC104のおもて面のランドパターン110、信号用銅箔パターン111について説明してきたが、ランドパターン110、信号用銅箔パターン111とは異なる銅箔パターンがFPC104の裏面にあってもよい。図12(a)はFPC104のおもて面であり実施形態8の図8(b)と同じ銅箔パターンつまり、ランドパターン110、信号用銅箔パターン111を持つが、図12(b)はFPC104の裏面であり、感温素子105の周辺近傍に対応する領域に接触用銅箔パターン1100を持つ。熱伝導性の良い銅箔が検知対象物表面120に接触するため検知対象物表面120の熱がまず接触用銅箔パターン1100に伝導する。接触用銅箔パターン1100はFPC104と密接に熱結合しているため、接触用銅箔パターン1100の熱は効率よくFPC104に伝えられる。FPC104は薄いのでその熱はおもて面の銅箔に伝わり、感温素子105に至る。なお、接触用銅箔パターン1100の熱量をバラツキなく伝熱するためには接触用銅箔パターン1100の最外周部は、信号用銅箔パターンの引回し部802、集熱用銅箔パターン(800、900、1101)の最外周部より大きく形成されることが好ましい。また、接触用銅箔パターン1100の熱量のロスを低減して伝熱するためには接触用銅箔パターン1100直上のFPC104は弾性体106と接触しないことが好ましい。図12では、おもて面の銅箔パターンつまり、ランドパターン110、信号用銅箔パターン111は実施形態8の図8(b)と同じものであるが、それ以外の銅箔パターン、例えば実施形態6、7、8の図8(a)(c)、9、10、11のようなものであっても良い。
以上、銅箔パターンの熱的性質を利用する工夫について説明してきたが、信号用銅箔パターン111、信号用銅箔パターンの引回し部802、集熱用銅箔パターン(800、900、1101)が形成されたFPC104は、検知対象物表面120に接する以外には、他のものと接しないことが望ましい。他のものと接するとその温度の影響を受けるからである。これまで説明してきたように、信号用銅箔パターン111、信号用銅箔パターンの引回し部802、集熱用銅箔パターン(800、900、1101)に熱的な工夫をしても、他のものからの熱的影響を受けると所望の効果が発揮できないおそれがある。弾性体106の底面はFPC104に圧接するため、FPC104おもて面上にある信号用銅箔パターン111、信号用銅箔パターンの引回し部802、集熱用銅箔パターン(800、900、1101)にも接触してしまう。弾性体106は熱容量が大きいため、温度変化の速度が遅い。従って、それに接している信号用銅箔パターン111、信号用銅箔パターンの引回し部802、集熱用銅箔パターン(800、900、1101)も弾性体106の温度変化の影響を受け、応答性も遅くなってしまう。あるいは、検知対象物表面120の温度が急変しても追従できない。この現象を避けるには、図13に示すように、信号用銅箔パターン111に相当する部分だけに窪み1300を設け弾性体106と信号用銅箔パターン111との接触を避けるとよい。実施形態4において空洞401により、実施形態8から12で述べた感熱素子105周囲の信号用銅箔パターンの引回し部802、集熱用銅箔パターン(800、900、1101)の弾性体106への接触を避けることが可能であり、さらに窪み1300があれば全ての信号用銅箔パターン111は弾性体106の底面に接触しない。実施形態2〜12においては、幅広部102の両側に第1および第2の帯状部(101、140)があるが、信号用銅箔パターン111は片方の第1の帯状部101にしか存在しない。従って、弾性体106の窪みも信号用銅箔パターン111がある側の窪み1300だけでよいが、検知対象物表面120への押付け力分布や弾性体106の変形の対象性を保つために、窪み1300と対象の位置にも窪み1301が設けることが好ましい。また、弾性体106を組立てる際にも、180度以内で回転対称位置となるため組立作業がしやすくなる。なお、信号線150が銅箔パターンではなく、ワイヤーの場合でも同様に、ワイヤーに相当する部分に窪み1300を設けて、ワイヤーと弾性体106との接触を避けることが可能である。なお、発泡性樹脂501で感温素子105の底面を除いて被覆し、発泡性樹脂501が弾性体106に接している場合、発泡性樹脂501が実施形態8から12で述べた感熱素子105周囲の信号用銅箔パターンの引回し部802、集熱用銅箔パターン(800、900、1101)と接する構造とすることでも、弾性体106との接触を避けることが可能である。なお、少なくとも窪み1300と対向するFPC104および信号線150上には発泡樹脂501が存在することが好ましい。発泡樹脂501が存在することにより、信号線150と弾性体106との接触を避けることが可能となる。また、弾性体106が発泡樹脂501と接することにより、外部からの空気の進入を確実に遮断することが可能となる。窪み1301が存在する場合も同様に窪み1301と対向するFPC104上には発泡樹脂501が存在することが好ましい。
実施形態13において、信号用銅箔パターン111が弾性体106の底面に接触しないようにする構造について述べたが、底面以外でも信号用銅箔パターン111が弾性体106に接触しないことが望ましい。図13において、第1の帯状部101は弾性体106側面から離れて保持されており、かつ、たるみを持った状態となっているため弾性体106が変形しても、お互いが接触しない。実施形態14においては第1の帯状部101と対称位置にある第2の帯状部140も、第1の帯状部101と対称になっており、同様に弾性体106から離れて保持されており、かつ、たるみを持った状態となっている。これは弾性体106が変形すると、第1および第2の帯状部(101、140)も対称に変形することにより、対象変形の中心部にある幅広部102への影響を相殺し、幅広部102が検知対象物表面120に安定して接触するようにするためである。また第1および第2の帯状部(101、140)が弾性体106側面に接触しないため、弾性体106の変形の影響が第1および第2の帯状部(101、140)の変形に影響を与えない。弾性体106と第1および第2の帯状部(101、140)は独立して変形するため、変形の過程においてお互いの変形に影響を及ぼさない。もし、お互いが干渉するようなことがあると、例えば弾性体106の側面の膨らみが第1および第2の帯状部(101、140)に制限され、弾性体106の変形を抑える、あるいは第1および第2の帯状部(101、140)と擦れる、FPC104に張力がかかるなどの問題が発生するおそれがある。これを避けるために、第1および第2の帯状部(101、140)は弾性体106側面からたるみを持った状態で離れて保持されている。
実施例15においては図14(a)に示すように、左右の第1および第2の帯状部(101、140)の長手方向中心がずれて配置されている。これは、左右の第1および第2の帯状部(101、140)が撓んだことにより発生する幅広部102への圧迫力により幅広部102の第1および第2の方向における中央部が浮き上がることを防ぐためである。これまでの実施例のように左右の第1および第2の帯状部(101、140)の中心が揃っている場合、第1および第2の帯状部(101、140)の変形による反発力が、幅広部102に対し左右から発生し幅広部102の中心で拮抗する。この様子を図6を用いて説明する。第1の帯状部101がたわんだ事による反発力201と、第2の帯状部140がたわんだ事による反発力240はお互いにほぼ等しい力で反対向きであり、力の中心は一致しているので、幅広部102の第2の方向における中央部で拮抗する。結果として幅広部102を上部に浮き上がらせる力として働き、幅広部102の第2の方向における中央部と検知対象物表面120との接触が不安定になり、温度センサ装置(100、200、400、500)としての検知温度の精度に影響を与えるおそれがある。これに対し、図14のように左右の第1および第2の帯状部(101、140)をお互いに段違い、つまり左右の第1および第2の帯状部(101、140)の延在方向に伸びるそれぞれの中心線を互いにずらせて配置する。つまり、平行な左右の第1および第2の帯状部(101、140)が同一直線上に存在しないようにお互いに段違いに配置した場合、第2の帯状部140のたわみによる反発力240と、第1の帯状部101のたわみによる反発力201とは力の中心がすれ違うため、幅広部102中央を押上げる力とならない。従って幅広部102と検知対象物表面120の接触を安定にすることができる。図14(b)はこのように、段違いの帯状部を持つFPCを屈曲させて温度センサ装置に組み込んだ様子を示すものであり、図14(a)に示す切断線A−A’に沿って矢印方向に見た断面図である。
100、200、400、500 温度センサ装置
101、140 帯状部
102 幅広部
103 端子部(第1の端部)
104 FPC
105 感温素子
106 弾性体
107 固定部
108 リード線
110 ランドパターン
111 信号用銅箔パターン
112 端子銅箔パターン
141 係止部(第2の端部)
150 信号線
151 端子
171 第1の支持部
172 第2の支持部
173 第3の支持部
201、240 反発力
300 ケース
301 検知対象物
302 ケース内部の雰囲気
303 ケース外部の雰囲気
304 ケースの壁に開けられた穴
401 空間
501 発泡性樹脂
800、900 集熱用銅箔パターン
901 集熱用銅箔パターンの先端
1100 接触用銅箔パターン
1300、1301 窪み
Claims (18)
- 第1の支持部に固定される第1の端部と、前記第1の端部と連続するとともにたるみを持った状態で前記第1の端部から第1の方向に延在する第1の帯状部と、前記第1の帯状部と連続するとともに前記第1の方向とは直交する第2の方向において前記第1の帯状部より大きな幅を有する幅広部と、を有するフィルムと、
前記幅広部において、前記フィルムのおもて面の前記第2の方向における概ね中央部に固定された感温素子と、
前記幅広部において、前記感温素子を囲むともに、前記フィルムのおもて面上に配置され、変形の反発力により前記フィルムの裏面を検知対象物表面に押付けるとともに、前記フィルムのおもて面と接する弾性体と、を有する温度センサ。 - 前記弾性体の底面は、前記底面の内周側から外周側へ向かう下に凸の凸面である請求項1に記載の温度センサ。
- 前記フィルムは、第2の支持部に固定される第2の端部と、前記幅広部および前記第2の端部と連続するとともにたるみを持った状態で前記第2の端部から第1の方向とは逆向きに延在するとともに、前記第2の方向において前記幅広部より小さな幅を有する第2の帯状部と、を有する請求項1または2に記載の温度センサ。
- 前記弾性体および前記感温素子は、ケースの内壁と前記ケース内に収納された検知対象物との間に配置されるとともに、前記弾性体の前記底面と対向する前記フィルムの裏面が検知対象である前記検知対象物表面と接し、
前記弾性体の上部において、第3の支持部から押さえられることにより前記弾性体が変形し、変形の反発力により前記フィルムの裏面を前記検知対象物表面に押付け、前記第3の支持部において前記弾性体が前記ケース内壁に固定され請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度センサ。 - 前記感温素子との前記弾性体との接触を避けるための空間が設けられている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の温度センサ。
- 発泡性樹脂を有し、
前記発泡性樹脂により前記感温素子が底面を除いて被覆されるとともに、前記発泡性樹脂と前記弾性体とが接する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の温度センサ。 - 前記フィルムのおもて面に形成された前記感温素子の電極と接合するためのランドパターンと、
前記幅広部および前記第1の帯状部において、前記ランドパターンに連結する前記フィルムのおもて面に前記フィルムと一体に形成された信号用銅箔パターンまたは前記フィルムのおもて面に配置された信号用ワイヤーと、を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の温度センサ。 - 前記幅広部において、前記信号用銅箔パターンまたは前記信号用ワイヤーが蛇行する部分を持つ請求項7に記載の温度センサ。
- 前記信号用銅箔パターンまたは前記信号用ワイヤーは、前記幅広部における前記感温素子の周囲においては折り返して引き回される、あるいは渦巻状に引き回される請求項7または8に記載の温度センサ。
- 前記幅広部における前記感温素子周囲の近傍領域に前記ランドパターンに連結している集熱用銅箔パターンを持つ請求項7乃至9のいずれか一項に記載の温度センサ。
- 前記集熱用銅箔パターンは向かいあった一対の半円形であり、其の中心に前記感温素子が位置するよう設けられている請求項10に記載の温度センサ。
- 前記集熱用銅箔パターンは前記電極を中心に放射状に伸びる請求項10に記載の温度センサ。
- 前記集熱用銅箔パターンは前記電極を中心に放射状に伸びかつ枝分れする請求項10に記載の温度センサ。
- 前記フィルムの裏面の前記幅広部における前記感温素子周囲の近傍領域に集熱用銅箔パターンが設けられている請求項7乃至13のいずれか一項に記載の温度センサ。
- 前記弾性体は、前記信号用銅箔パターンまたは前記信号用ワイヤーに対向する部分に窪みを有し、前記信号用銅箔パターンまたは前記信号用銅箔パターン上の前記フィルムと一体に形成された保護層または前記信号用ワイヤーに、前記弾性体の表面が接触しない請求項7乃至14のいずれか一項に記載の温度センサ。
- 第1および/または第2の帯状部は前記弾性体側面からたるみを持った状態で離れて保持されている請求項3に記載の温度センサ。
- 前記第1および第2の帯状部は、前記幅広部および前記感熱素子を挟んで対抗して設けられ、前記第1および第2の帯状部の中心線同士が段違いである請求項3または16に記載の温度センサ。
- 前記弾性体は発泡性樹脂である請求項1乃至4のいずれか一項、または、請求項6乃至17のいずれか一項に記載の温度センサ。
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