JP6314118B2 - エアクリーナ装置 - Google Patents

Description

本発明はエアクリーナ装置に関し、特に、エア流れを整流可能なエアクリーナ装置に関する。

従来の自動二輪車等の鞍乗型車両のエアクリーナ装置の構造においては、エアクリーナケース内に別途エア流れを偏向するガイド部材を設けることで、エア流れの整流効果により吸気特性の性能向上を図った技術が知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開平２０１０-２３６３６１号公報

特許文献１に開示された技術においては、ガイド部材がエアクリーナケースと別体であるため、部品点数が増加してしまう。また、エアクリーナケースの形状によってはガイド部材を設けることができなかったり、ガイド部材を取付ける位置によってはエアクリーナケースの形状を大幅に変更しなければならなかったりする場合があり設計変更が広範囲に広がる虞があった。

本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を増加せずにエアクリーナ装置の大幅な設計変更を伴わないで、エア流れを整流可能なエアクリーナ装置を提供することにある。

上記目的を達成するために、請求項１に係る発明は、
エア導入部及びエア排出部を備えたエアクリーナケースと、
前記エアクリーナケースに設けられ、前記エア導入部から前記エア排出部までのエア流れ経路の途中でエア内の異物を除去する異物除去部材と、を備えるエアクリーナ装置であって、
前記エアクリーナケースには、前記異物除去部材を支持する支持部材が設けられ、
前記支持部材には、前記エア流れ経路内に延出してエアの流れ方向を偏向させるエア偏向ガイド部が一体形成され、
前記エア偏向ガイド部は、板状形状を有し、前記エア流れ経路を横断するように設けられると共に、側面視で下流に従い前記エア排出部から離れる方向へ向かって傾斜し、
前記エア偏向ガイド部は、互いに略平行になるよう設けられた複数のガイド部材を有し、
前記エア排出部は、前記エアクリーナケースの下方に配置され、
複数の前記ガイド部材は、側面視で斜め上下方向に並べて配置され、
最上位に配置された前記ガイド部材に比べて下位に配置された前記ガイド部材の全長が短く構成されていることを特徴とする。

請求項２に係る発明は、
エア導入部及びエア排出部を備えたエアクリーナケースと、
前記エアクリーナケースに設けられ、前記エア導入部から前記エア排出部までのエア流れ経路の途中でエア内の異物を除去する異物除去部材と、を備えるエアクリーナ装置であって、
前記エアクリーナケースには、前記異物除去部材を支持する支持部材が設けられ、
前記支持部材には、前記エア流れ経路内に延出してエアの流れ方向を偏向させるエア偏向ガイド部が一体形成され、
前記エア偏向ガイド部は、板状形状を有し、前記エア流れ経路を横断するように設けられると共に、側面視で下流に従い前記エア排出部から離れる方向へ向かって傾斜し、
前記エア偏向ガイド部は、互いに略平行になるよう設けられた複数のガイド部材を有し、
前記エア排出部は、前記エアクリーナケースの下方に配置され、
下位に配置された前記ガイド部材は、前記異物除去部材が配置される側の端部が上位に配置された前記ガイド部材に対してエアの流れの上流側にオフセットして配置されていることを特徴とする。

請求項３に係る発明は、請求項１又は２に記載の構成に加えて、
前記異物除去部材は、エアの流れ方向において、前記支持部材の一側端面に配置され、
前記エア偏向ガイド部は、側面視で前記一側端面から延出して他側端面から突出して形成されていることを特徴とする。

請求項４に係る発明は、請求項１〜３のいずれか１項に記載の構成に加えて、
前記ガイド部材が、少なくとも３つ設けられており、
隣り合う前記ガイド部材の間隔が略同一になるように配置されていることを特徴とする。

請求項５に係る発明は、請求項１〜４のいずれか１項に記載の構成に加えて、
前記エア偏向ガイド部には、複数の前記ガイド部材と交差する方向に延びる縦板ガイド部材が一体成形されていることを特徴とする。

請求項１の発明によれば、エアクリーナケース内に設けられた支持部材には、エア流れ経路内に延出してエアの流れ方向を偏向させるエア偏向ガイド部が一体形成されているので、従来のエア偏向用のガイド部材をエアクリーナケース内に組み付ける場合に比較して、エアクリーナケースの大幅な形状変更を伴うことなく、最小限の設計変更でエア偏向用のガイド部材を追加することができる。
また、エア偏向ガイド部は、板状形状でエア流れ経路を横断するように設けられると共に、側面視で下流に従いエア排出部から離れる方向へ向かって傾斜するので、エア導入部から導入されたエア流れの一部を、エア排出部から離れる遠回りの偏向流とすることができ、エアクリーナケースの空間を有効に利用して大きく湾曲する流れを形成できる。したがって、エアの滞留を抑制し、吸気特性の性能向上を図ることができる。
また、エア偏向ガイド部は、互いに略平行になるよう設けられた複数のガイド部材を有するので、ガイド部材間の幅を適宜設定して偏向させたいエアの流量を調整できる。また、ガイド部材同士が略平行に構成されていることで、支持部材を成型するときの型抜きを容易にすることができる。
さらに、複数のガイド部材は側面視で斜め上下方向に並べて配置され、最上位に配置されたガイド部材に比べて下位に配置されたガイド部材の全長が短く構成されるので、ガイド部材間を通過するエアの抵抗を下位側で減らすことができる。この結果、エアクリーナケースの下方に配置されたエア排出部に向かって湾曲するエア流れにおいて、湾曲内側のエアの抵抗を小さくして流れ易くできるので、吸気性能の低下が発生することを抑制することができる。

請求項２の発明によれば、エアクリーナケース内に設けられた支持部材には、エア流れ経路内に延出してエアの流れ方向を偏向させるエア偏向ガイド部が一体形成されているので、従来のエア偏向用のガイド部材をエアクリーナケース内に組み付ける場合に比較して、エアクリーナケースの大幅な形状変更を伴うことなく、最小限の設計変更でエア偏向用のガイド部材を追加することができる。
また、エア偏向ガイド部は、板状形状でエア流れ経路を横断するように設けられると共に、側面視で下流に従いエア排出部から離れる方向へ向かって傾斜するので、エア導入部から導入されたエア流れの一部を、エア排出部から離れる遠回りの偏向流とすることができ、エアクリーナケースの空間を有効に利用して大きく湾曲する流れを形成できる。したがって、エアの滞留を抑制し、吸気特性の性能向上を図ることができる。
また、エア偏向ガイド部は、互いに略平行になるよう設けられた複数のガイド部材を有するので、ガイド部材間の幅を適宜設定して偏向させたいエアの流量を調整できる。また、ガイド部材同士が略平行に構成されていることで、支持部材を成型するときの型抜きを容易にすることができる。
さらに、下位に配置されたガイド部材は、異物除去部材が配置される側の端部が上位に配置されたガイド部材に対してエアの流れの上流側にオフセットして配置されているので、エア排出部において支持部材を基準に近位側と遠位側の吸入バランスを改善できる。

請求項３の発明によれば、異物除去部材は、エアの流れ方向において支持部材の一側端面に配置され、エア偏向ガイド部は、側面視で一側端面から延出し他側端面から突出するように形成されているので、エア偏向ガイド部の寸法を大きく形成できる。この結果、エアの偏向方向及び偏向流量の調整幅の自由度を大きくできる。

請求項４の発明によれば、ガイド部材が、少なくとも３つ設けられており、隣り合うガイド部材同士の間隔が略同一になるように配置されていることで、側面視でエア流れの均衡を図ることができる。

請求項５の発明によれば、エア偏向ガイド部には、複数のガイド部材と交差する方向に延びる縦板ガイド部材が一体成形されているので、偏向されるエア流れの流量をエア偏向ガイド部の幅方向（左右方向）に対して流量を均衡させることができる。また、縦板ガイド部材が設けられることにより、エア偏向ガイド部ならびに支持部材を補強することができる。

本発明に係る鞍乗型車両である自動二輪車の左側面図である。 図１に示す自動二輪車における吸気経路を示す概略図である。 前ケース部材を取り外したエアクリーナケースを前方側から見た正面図である。 上ケース部材及び蓋ケース部材を取り外したエアクリーナケースを上方側から見た平面図である。 図４に示すエアクリーナケース内に設ける支持部材および異物除去部材の斜視図である。 エア偏向ガイド部を備える支持部材を後方側から見た背面図である。 図６のＡ−Ａ線に沿った部分の断面図およびエア排出部との位置関係を示す概略図である。 エア流れを偏向した場合のエア流れ経路における圧力分布を示す図である。 エア流れを偏向しない場合のエア流れ経路における圧力分布を示す図である。

以下、本発明の実施形態の鞍乗型車両である自動二輪車について、図１〜図９を参照して説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、操縦者から見た方向に従い記載し、図面に車両の前方をＦｒ、後方をＲｒ、左側をＬ、右側をＲ、上方をＵ、下方をＤ、として示す。また、車両から取り外した状態の部品においては、取付け状態における向きを記載する。

図１に示すように、自動二輪車１の車体フレーム２は、前輪ＦＷを軸支したフロントフォーク６を操向可能に支承するヘッドパイプ３と、ヘッドパイプ３から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム５と、メインフレーム５の後部に一体に連設されて下方に延びる左右一対のピボットフレーム８と、メインフレーム５の後部から後上がりに延びる左右一対のシートレール１９とを備える。

車体フレーム２におけるメインフレーム５の後部に設けられる上ハンガ部５１、ピボットフレーム８の下部に設けられる下ハンガ部５２等を介して、メインフレーム５の下方に水冷式の内燃機関Ｅが支持される。また、内燃機関Ｅの動力で駆動される後輪ＲＷを後端部で軸支するスイングアーム５５の前端部がピボットフレーム８の下部に上下揺動可能に支承される。またスイングアーム５５の前部およびピボットフレーム８の下部間にはリンク機構５６が設けられており、リンク機構５６およびスイングアーム５５の上部間にリヤクッションユニット５８が設けられている。

内燃機関Ｅの上方でメインフレーム５に燃料タンク５９が搭載され、この燃料タンク５９の後方に配置される乗車用前部シート６０ならびにこの乗車用前部シート６０のさらに後方に配置される乗車用後部シート６１がシートレール１９に支持されている。

内燃機関Ｅは、車体フレーム２の幅方向に延びる軸線を有するクランクシャフト４１を回転自在に支承するクランクケース４２と、このクランクケース４２に前部上端から前上がりに延びるシリンダブロック４３と、シリンダブロック４３の上端に結合されるシリンダヘッド４４と、このシリンダヘッド４４の上端に結合されるヘッドカバー４５とを有している。そして、本実施形態における内燃機関Ｅは、例えば直列４気筒に構成され、この内燃機関Ｅの前方かつ前輪ＦＷの後方には、車体フレーム２の前部で支持されたラジエータ４６が配置される。

シリンダヘッド４４の後部側面に接続される吸気系９は、燃料タンク５９で覆われるエアクリーナ装置１０と、車体前部側に開口してエアをエアクリーナ装置１０に取り入れるエア取入路１５と、４つの気筒ごとにエアクリーナ装置１０およびシリンダヘッド４４間に介設されるスロットルボディ３５とを備える。また、シリンダヘッド４４の前部側面に接続される排気系６５は、その後端に排気マフラー６８を備え、この排気マフラー６８は後輪ＲＷの上方に配置される。

また、本実施形態において、カバー部材として、前面にヘッドライト７４等を備えるフロントカウル７０、燃料タンク５９および乗車用前部シート６０の下方側を覆うサイドカバー７１、乗車用前部シート６０から乗車用後部シート６１の下側を覆うリヤカウル７２、さらに、前輪ＦＷの上部を覆うフロントフェンダ７５、後輪ＲＷの上部を覆うリアフェンダ７６を備えている。

エアクリーナケース１１は、図２に示すように、前方側にはエア取入路１５に連通してエアを導入するエア導入部１２を備え、後下方側にはシリンダヘッド４４に連通するエア排出部１３を備えている。なお、エア取入路１５の前部開口１５ｆは、例えば、左右一対のヘッドライト７４の間に開口している。また、エア取入路１５は、詳しい構造については省略するが、ヘッドパイプ３等を避けるように左右適宜分かれた経路を有している。

エア排出部１３には、スロットルバルブ３５ｖおよび噴射装置３５ｉを備えるスロットルボディ３５に連通されたファンネル１３ａが取り付けられている。このように構成されたエアクリーナケース１１内のエア流れは、前方から導入されるエアが、下方に排出されるように大きく曲がるエア流れ経路ＡＦが形成されている。

ここで、エアクリーナケース１１は、図２に示すように、上ケース部材１１ａと、下ケース部材１１ｂと、蓋ケース部材１１ｃと、前ケース部材１１ｄと、により内部空間が形成されている。そして、前ケース部材１１ｄには、エア取入路１５に連通するエア導入部１２が前方に向かって開口しており、下ケース部材１１ｂには下方に向かって４つのエア排出部１３が左右方向に並んで配置されている。エア排出部１３には、それぞれ略上下方向に延出されたスロットルボディ３５が配置されている。蓋ケース部材１１ｃは、エアクリーナケース１１の内部メンテナンスをするときに開閉できるように構成されている。

エアクリーナケース１１内には、図４を参照して、異物除去部材３０を支持する支持部材２０がエア導入部１２とエア排出部１３と間であって下ケース部材１１ｂに配置されている。この支持部材２０は、後述するエア偏向ガイド部２１を一体に備えている。支持部材２０は、下方に延出された３つの係合突起２０ｄを下ケース部材１１ｂのケース底部に係合させて位置決めした状態で、上側の枠固定部２０ｊがネジ止にて下ケース部材１１ｂのケース前部に固定される。そして、支持部材２０は、上部側が前方へ傾くように配置される（図２参照）。

図４には省略してあるが、支持部材２０には、図５に示すように、異物除去部材３０が、支持部材２０の下流側端面２０ｒに取り付けられる。これは、エア導入部１２側から流入したエア内の異物を、この異物除去部材３０によって除去するように構成されている。ここで、異物除去部材３０は、例えば、網目状に形成された異物除去面３０ａを囲む縁部３０ｅを備えている。そして、異物除去部材３０は、支持部材２０の枠部２０ａの下流側端面２０ｒに配置され、取付ビス８０を支持部材２０の縁部３０ｅに設けられた固定ボス部２０ｈにねじ込むことにより固定される。

支持部材２０には、図６および図７に示すように、エア流れ経路ＡＦ内に延出（図２参照）してエアの流れ方向を偏向させるエア偏向ガイド部２１が一体形成されている。このエア偏向ガイド部２１は、エア流れ経路ＡＦを左右方向に横断するように設けられ、上下方向に３つの板状形状の上ガイド部材２１ａ、中央ガイド部材２１ｂ、下ガイド部材２１ｃが並設されている。そして、これらの上ガイド部材２１ａ、中央ガイド部材２１ｂ、下ガイド部材２１ｃは、側面視で下流に従いエア排出部１３から離れる方向、すなわち斜め上方へ向かって傾斜する構造となっている。

また、上ガイド部材２１ａ、中央ガイド部材２１ｂ、下ガイド部材２１ｃは、互いに略平行になるよう構成され、隣り合うもの同士の間隔が略同一になるように配置されている。さらにエア偏向ガイド部２１には、上ガイド部材２１ａ、中央ガイド部材２１ｂ、下ガイド部材２１ｃと交差する方向に延びる縦板ガイド部材２１ｄが一体成形されている。この縦板ガイド部材２１ｄは、左右方向の略中央に配置されることで、支持部材２０が補強されている。

これら上ガイド部材２１ａ、中央ガイド部材２１ｂ、下ガイド部材２１ｃのうち、上ガイド部材２１ａ及び中央ガイド部材２１ｂは、側面視で異物除去部材３０が配置された下流側端面２０ｒから延出して上流側端面２０ｆから突出して形成されている。

また、側面視で、最上位に配置された上ガイド部材２１ａの全長Ｓ１に比べて下位に配置された中央ガイド部材２１ｂの全長Ｓ２が短く構成され、中央ガイド部材２１ｂよりも下位に配置された下ガイド部材２１ｃの全長Ｓ３が中央ガイド部材２１ｂの全長Ｓ２よりもさらに短く構成されている。

また、中央ガイド部材２１ｂは、異物除去部材３０が配置される下流側の端部が上位に配置された上ガイド部材２１ａに対してエアの流れの上流側にオフセットして配置されている。すなわち、図７に示すように、上位の上ガイド部材２１ａの上位側後端部２１ａｒよりも下位の中央ガイド部材２１ｂの下位側後端部２１ｂｒがエア流れの上流側に位置している。

以下、本発明のエア偏向ガイド部２１を有するエアクリーナ装置１０を用いた吸気テストのシミュレーションについて説明する。このシミュレーションは、下記の条件において、エアクリーナケースおよびその前後のエア流れ経路内のエアの圧力分布を測定した。その結果を図８および図９に示す。なお、図８は、本発明の実施例のテスト結果を示す図であって、エアの流れを偏向した場合の圧力分布を示す。一方、図９は、比較例のテスト結果を示す図であって、エアの流れを偏向しない場合の圧力分布を示す図である。

シミュレーションの実施条件は下記の条件とした。
１）内燃機関Ｅは中排気量直列４気筒。
２）車体前方からの吸気経路およびエアクリーナケース１１の形状（エア流れ経路ＡＦ）は図２に示すものと同じ構造。
３）エア偏向ガイド部２１は、三つのガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃを平行に上下に並べて傾斜させ、中央ガイド部材２１ｂの下流端を上流側にオフセットして配置。
４）内燃機関Ｅの回転数は、中回転域〜高回転域。
５）図５に示すエア偏向ガイド部２１（３つのガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃ）を有する支持部材２０で、支持部材２０の後方側に異物除去部材３０を設けた状態。

比較例においては、エア偏向ガイド部２１を有しない支持部材２０にて、実施例と同じ異物除去部材３０を設けた状態とし、その他は実施例と全く同じ条件とした。
上記条件において、エア導入部１２の前方側から４個の各ファンネル１３ａ（エア排出部１３）に吸引されるエア流れ経路の圧力分布をそれぞれ別々に測定した。
図８および図９に示す圧力分布の表示は、Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４，Ｐ５，Ｐ６，Ｐ７，Ｐ８の８段階表示とした。また、圧力の大小関係は、Ｐ１＜Ｐ２＜Ｐ３＜Ｐ４＜Ｐ５＜Ｐ６＜Ｐ７＜Ｐ８とした。

図９に示す比較例においては、エア流れ経路からファンネル１３ａの直上までの高圧域（圧力分布Ｐ８→Ｐ７→Ｐ６にて表した領域）がエアクリーナケース１１の前後方向に略真っ直ぐにできており、また、ファンネル１３ａの前方側（図中左側）で低圧域（圧力分布Ｐ１にて表した領域）が発生して、吸気が滞留していることが分かる。

これに対して、図８の本発明の実施例においては、エア流れ経路からファンネル１３ａの直上までの高圧域（圧力分布Ｐ８→Ｐ７→Ｐ６にて表した領域）がエアクリーナケース１１の斜め後方に向かって広くできている。

すなわち、図８の本発明の実施例では、エア偏向ガイド部２１が設けられていることで、エアクリーナケース１１の上方且つ後方側に向けて、所謂エア排出部１３から離れる遠回りの偏向流が発生したことが推測される。この結果、ファンネル１３ａの前方側（図中左側）での低圧域が減少し（Ｐ１にて示す低圧域が無くなっている）、吸気特性が改善されていることが分かる。
なお、図８および図９に示す圧力分布の傾向は、内燃機関Ｅの回転数が変化しても同様の結果を得ることができた。また、４個のファンネル全てにおいて同様の圧力分布の傾向であった。

以上説明したように本実施形態によれば、エアクリーナケース１１内に設けられた支持部材２０には、エア流れ経路ＡＦ内に延出してエアの流れ方向を偏向させるエア偏向ガイド部２１が一体形成されているので、従来のエア偏向用のガイド部材をエアクリーナケース内に組み付ける場合に比較して、エアクリーナケース１１の大幅な形状変更を伴うことなく、最小限の設計変更でエア偏向用のガイド部材を追加することができる。

また、本実施形態においては、エア偏向ガイド部２１は、板状形状でエア流れ経路ＡＦを横断するように設けられると共に、側面視で下流に従いエア排出部１３から離れる方向へ向かって傾斜するので、エア導入部１２から導入されたエア流れの一部を、エア排出部１３から離れる遠回りの偏向流とすることができ、エアクリーナケース１１の空間を有効に利用して大きく湾曲する流れを形成できる。したがって、エアの滞留を抑制し、吸気特性の性能向上を図ることができる。

また、本実施形態においては、異物除去部材３０は、エアの流れ方向において支持部材２０の下流側端面２０ｒに配置され、エア偏向ガイド部２１は、側面視で下流側端面２０ｒから前方側へ延出し上流側端面２０ｆから突出して形成されているので、エア偏向ガイド部２１の寸法を大きく形成できる。この結果、エアの偏向方向及び偏向流量の調整幅の自由度を大きくできる。

また、本実施形態においては、エア偏向ガイド部２１は、互いに略平行になるよう設けられた複数のガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃを有するので、ガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃ間の幅を適宜設定して偏向させたいエアの流量を調整できる。また、ガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃ同士が略平行に構成されていることで、支持部材２０を成型するときの型抜きを容易にすることができる。

また、本実施形態においては、ガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃが、少なくとも３つ設けられており、隣り合うガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃ同士の間隔が略同一になるように配置されていることで、側面視でエア流れの均衡を図ることができる。

また、本実施形態においては、複数のガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃは側面視で斜め上下方向に並べて配置され、最上位に配置された上ガイド部材２１ａに比べて下位に配置された中央ガイド部材２１ｂ及び下ガイド部材２１ｃの全長が短く構成されるので、ガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃ間を通過するエアの抵抗を下位側で減らすことができる。この結果、エアクリーナケース１１の下方に配置されたエア排出部１３に向かって湾曲するエア流れにおいて、湾曲内側のエアの抵抗を小さくして流れ易くできるので、吸気性能の低下が発生することを抑制することができる。

また、本実施形態においては、下位に配置された中央ガイド部材２１ｂは、異物除去部材３０が配置される側の端部が上位に配置された上ガイド部材２１ａに対してエアの流れの上流側に寸法ｈだけオフセットして配置されているので、エア排出部１３において支持部材２０を基準に近位側と遠位側の吸入バランスを改善できる。

また、本実施形態においては、エア偏向ガイド部２１には、複数のガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃと交差する方向に延びる縦板ガイド部材２１ｄが一体成形されているので、偏向されるエア流れの流量をエア偏向ガイド部２１の幅方向（左右方向）に対して流量を均衡させることができる。また、縦板ガイド部材２１ｄが設けられることにより、エア偏向ガイド部２１ならびに支持部材２０を補強することができる。

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、適宜変更できる。
例えば、上記実施形態では、エア偏向ガイド部を支持部材の上流側の端側面から突出するように構成したが、異物除去部材を上流側に配置し、下流側へ突出するように構成しても良い。

また、上記実施形態においては、エア偏向ガイド部２１のガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃを３つ並べた構成としたが、１つ或いは４つ以上設けた構成であっても良い。また、複数設けられたガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃにおいては、ガイド部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃ同士が並行でなく傾斜角が異なるように設けても良い。上記実施形態は、４気筒の内燃機関について説明したが、本発明はこれに限るものでない。
また、上記実施形態においては、自動二輪車について説明したが、本発明は、他の鞍乗型車両でもよい。

１ 自動二輪車（鞍乗型車両）
１１ エアクリーナケース
１０ エアクリーナ装置
１２ エア導入部
１３ エア排出部
１３ａ ファンネル
１５ エア取入路
２０ 支持部材
２１ エア偏向ガイド部
２１ａ 上ガイド部材（ガイド部材）
２１ｂ 中央ガイド部材（ガイド部材）
２１ｃ 下ガイド部材（ガイド部材）
２０ｒ 下流側端面（一側端面）
２０ｆ 上流側端面（他側端面）
２１ｄ 縦板ガイド部材
３０ 異物除去部材
ＡＦ エア流れ経路

Claims (5)

1. エア導入部（１２）及びエア排出部（１３）を備えたエアクリーナケース（１１）と、
   前記エアクリーナケース（１１）に設けられ、前記エア導入部（１２）から前記エア排出部（１３）までのエア流れ経路（ＡＦ）の途中でエア内の異物を除去する異物除去部材（３０）と、を備えるエアクリーナ装置（１０）であって、
   前記エアクリーナケース（１１）には、前記異物除去部材（３０）を支持する支持部材（２０）が設けられ、
   前記支持部材（２０）には、前記エア流れ経路内（ＡＦ）に延出してエアの流れ方向を偏向させるエア偏向ガイド部（２１）が一体形成され、
   前記エア偏向ガイド部（２１）は、板状形状を有し、前記エア流れ経路（ＡＦ）を横断するように設けられると共に、側面視で下流に従い前記エア排出部（１３）から離れる方向へ向かって傾斜し、
   前記エア偏向ガイド部（２１）は、互いに略平行になるよう設けられた複数のガイド部材（２１ａ，２１ｂ，２１ｃ）を有し、
   前記エア排出部（１３）は、前記エアクリーナケース（１１）の下方に配置され、
   複数の前記ガイド部材（２１ａ，２１ｂ，２１ｃ）は、側面視で斜め上下方向に並べて配置され、
   最上位に配置された前記ガイド部材（２１ａ）に比べて下位に配置された前記ガイド部材（２１ｂ，２１ｃ）の全長が短く構成されていることを特徴とするエアクリーナ装置（１０）。
2. エア導入部（１２）及びエア排出部（１３）を備えたエアクリーナケース（１１）と、
   前記エアクリーナケース（１１）に設けられ、前記エア導入部（１２）から前記エア排出部（１３）までのエア流れ経路（ＡＦ）の途中でエア内の異物を除去する異物除去部材（３０）と、を備えるエアクリーナ装置（１０）であって、
   前記エアクリーナケース（１１）には、前記異物除去部材（３０）を支持する支持部材（２０）が設けられ、
   前記支持部材（２０）には、前記エア流れ経路内（ＡＦ）に延出してエアの流れ方向を偏向させるエア偏向ガイド部（２１）が一体形成され、
   前記エア偏向ガイド部（２１）は、板状形状を有し、前記エア流れ経路（ＡＦ）を横断するように設けられると共に、側面視で下流に従い前記エア排出部（１３）から離れる方向へ向かって傾斜し、
   前記エア偏向ガイド部（２１）は、互いに略平行になるよう設けられた複数のガイド部材（２１ａ，２１ｂ，２１ｃ）を有し、
   前記エア排出部（１３）は、前記エアクリーナケース（１１）の下方に配置され、
   下位に配置された前記ガイド部材（２１ｂ）は、前記異物除去部材（３０）が配置される側の端部が上位に配置された前記ガイド部材（２１ａ）に対してエアの流れの上流側にオフセットして配置されていることを特徴とするエアクリーナ装置（１０）。
3. 前記異物除去部材（３０）は、エアの流れ方向において、前記支持部材（２０）の一側端面（２０ｒ）に配置され、
   前記エア偏向ガイド部（２１）は、側面視で前記一側端面（２０ｒ）から延出し他側端面（２０ｆ）から突出して形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のエアクリーナ装置（１０）。
4. 前記ガイド部材（２１ａ，２１ｂ，２１ｃ）が、少なくとも３つ設けられており、
   隣り合う前記ガイド部材（２１ａ，２１ｂ，２１ｃ）の間隔が略同一になるように配置されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載のエアクリーナ装置（１０）。
5. 前記エア偏向ガイド部（２１）には、複数の前記ガイド部材（２１ａ，２１ｂ，２１ｃ）と交差する方向に延びる縦板ガイド部材（２１ｄ）が一体成形されていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載のエアクリーナ装置（１０）。

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