以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈1.全体構成〉
図1に、ビデオカメラ100の斜視図を、図2に、ビデオカメラ100の概略的なブロック図を示す。
ビデオカメラ100は、カメラ本体1と、レンズ鏡筒2と、ビューファインダ3とを備えている。ビデオカメラ100は、撮影した画像をデジタルデータに変換し、後述する記録部12に記録する。この例では、ビデオカメラ100は、高精細度の映像の撮影が可能であり、例えば、HD映像の撮影が可能である。ビデオカメラ100は、撮像装置の一例である。
カメラ本体1は、イメージセンサ11と、記録部12と、ビデオカメラ100全般を制御する制御部13とを有している。
イメージセンサ11は、撮像面に形成された像を光電変換によって電気信号に変換する。イメージセンサ11は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサである。記録部12は、イメージセンサ11からの電気信号に信号処理を施して生成される映像データを記録する。記録部12は、例えば、ハードディスク、光ディスク又はメモリカードである。制御部13は、例えば、プロセッサを有し、ビデオカメラ100全般の制御を行う。制御部13は、例えば、イメージセンサ11を介して取得した映像をビューファインダ3の表示部41(詳しくは後述する)に表示させる。
レンズ鏡筒2は、光軸A1上に配列された複数のレンズを有している。複数のレンズは、撮像光学系S1を形成している。撮像光学系S1は、被写体からの光を集光して、イメージセンサ11の撮像面に結像させる。レンズ鏡筒2は、ズームレンズ、フォーカスレンズ、及び像ブレ補正レンズ等を有している。撮影者は、ズームレンズ及びフォーカスレンズの位置を変更することによって、被写体の倍率を調整したり、被写体の合焦状態を調整したりする。
ビューファインダ3は、詳しくは後述するが、カメラ本体1のイメージセンサ11を介して取得された映像を表示する表示部41と、撮影者が表示部41に表示される映像を観察するためのファインダ光学系S2とを少なくとも有している。撮影者はビューファインダ3を介して影像を観察しながら、撮影を行う。
〈2.ビューファインダの詳細構成〉
以下、ビューファインダ3の構成について詳細に説明する。図3は、ビューファインダ3の分解斜視図である。図4は、ビューファインダ3の縦断面図である。図5は、一部の部材の図示を省略したビューファインダ3の斜視図である。
ビューファインダ3は、ベース4と、表示部41と、本体枠5と、ズーム枠6と、1群枠7と、2群枠8と、視度調整部9と、操作部10と、ファインダ光学系S2とを備えている。
以下、特段の断りがない場合には、「光軸」は、ファインダ光学系S2の光軸A2を、「光軸方向」は、ファインダ光学系S2の光軸A2に沿う方向を、「半径方向」は、ファインダ光学系S2の光軸A2を中心とする半径方向を、「周方向」は、ファインダ光学系S2の光軸A2回りの周方向を意味する。また、特段の断りがない場合には、「回転」は、ファインダ光学系S2の光軸A2回りの回転を意味する。
ベース4は、ビューファインダ3において光軸方向の一端部に設けられている。ベース4は、中央に開口を有する。ベース4の中央には、表示部41及び第3レンズ群L3が取り付けられている。表示部41及び第3レンズ群L3は、ファインダ光学系S2の光軸A2上に配置されている。第3レンズ群L3は、1枚のレンズで構成されている。第3レンズ群L3は、負の屈折力を有する。第3レンズ群L3は、第3レンズの一例である。以下、光軸方向におけるベース4側を「前側」とし、光軸方向におけるベース4とは反対側を「後側」とする。
表示部41は、液晶ディスプレイで形成されている。表示部41は、カメラ本体1で取得された映像及び撮影に関する種々の情報を表示する。尚、表示部41は、液晶ディスプレイに限られず、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)であってもよい。
本体枠5は、光軸方向に延びる円筒状の部材である。本体枠5の前端部にベース4が取り付けられている。本体枠5には、光軸方向に延びる複数の直線溝51が形成されている。また、本体枠5には、後述するズーム枠6の第1連結ピン61を外部に露出させる第1開口部52及びズーム枠6の第2連結ピン62を外部に露出させる第2開口部53が形成されている。直線溝51、第1開口部52及び第2開口部53は、本体枠5を半径方向へ貫通している。
ズーム枠6は、光軸方向に延びる円筒状の部材である。ズーム枠6は、本体枠5に対して回転可能な状態で本体枠5内に収容される。ズーム枠6の外周面には、半径方向に突出する第1連結ピン61及び第2連結ピン62が設けられている。第1連結ピン61は、ズーム枠6のうち、本体枠5の第1開口部52から露出する部分に設けられている。第1連結ピン61は、操作部10の後述するズームリング102と係合している。つまり、ズームリング102が回転操作されることによって、ズーム枠6は、本体枠5に対して回転する。第2連結ピン62は、ズーム枠6のうち、本体枠5の第2開口部53から露出する部分に設けられている。第2連結ピン62は、詳しくは後述するが視度調整部9と係合している。ズーム枠6は、枠体の一例である。
また、ズーム枠6には、複数の第1カム溝63と、複数の第2カム溝64とが形成されている。第1カム溝63及び第2カム溝64は、ズーム枠6を半径方向へ貫通している。第1カム溝63は、ズーム枠6が回転する際の1群枠7の光軸方向への移動を規定する。また、第2カム溝64は、ズーム枠6が回転する際の2群枠8の光軸方向への移動を規定する。第1カム溝63及び第2カム溝64は、カム溝の一例である。
1群枠7は、光軸方向に延びる円筒状の部材である。1群枠7は、第1レンズ群L1を保持している。第1レンズ群L1は、複数のレンズで構成されている。第1レンズ群L1は、正の屈折力を有する。第1レンズ群L1は、第1レンズの一例である。1群枠7の外周面には、半径方向に突出する複数の1群連結ピン71が設けられている。
2群枠8は、光軸方向に延びる円筒状の部材である。2群枠8は、第2レンズ群L2を保持している。第2レンズ群L2は、複数のレンズで構成されている。第2レンズ群L2は、正の屈折力を有する。第2レンズ群L2は、第2レンズの一例である。2群枠8の外周面には、半径方向に突出する複数の2群連結ピン81が設けられている。
1群枠7及び2群枠8は、ズーム枠6内に収容される。この状態において、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、光軸A2上に配置されている。2群枠8の方がベース4の近くに配置されている。すなわち、光軸A2上において後側から、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、表示部41の順に配列されている。
また、1群連結ピン71は、ズーム枠6の第1カム溝63を貫通して、本体枠5の直線溝51に係合している。2群連結ピン81は、ズーム枠6の第2カム溝64を貫通して、本体枠5の直線溝51に係合している。尚、組み立てる際には、ズーム枠6を本体枠5内に収容し、1群枠7及び2群枠8をズーム枠6内に収容した状態において、1群連結ピン71を、半径方向外側から本体枠5の直線溝51とズーム枠6の第1カム溝63とを貫通させて1群枠7の外周面に取り付け、2群連結ピン81を、半径方向外側から本体枠5の直線溝51とズーム枠6の第2カム溝64とを貫通させて2群枠8の外周面に取り付ける。
第1レンズ群L1、第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3がファインダ光学系S2を形成する。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、ズームレンズとして機能する。すなわち、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、ファインダ光学系S2を介して観察される表示部41の画像のズーム倍率を、光軸方向位置を変更することによって変更する。第3レンズ群L3は、表示部41への入射角を小さくするためのレンズである。これにより、表示部41の入射角依存性を低減することができる。すなわち、入射角に応じた、色ずれや輝度変化が大きい表示部41であっても、第3レンズ群L3によって入射角が小さくされるので、色ずれや輝度変化が低減される。
視度調整部9は、調整枠91と、ガイド部92とを有している。視度調整部9は、ファインダ光学系S2の視度を調整する。具体的には、視度調整部9は、ズーム枠6が回転する際の該ズーム枠6の光軸方向への移動を規定する。
調整枠91は、光軸方向に延びる円筒状の部材である。調整枠91は、本体枠5に対して回転可能な状態で本体枠5の外周面に装着される。つまり、本体枠5は、調整枠91内に挿入される。調整枠91には、カム溝93が形成されている。カム溝93は、周方向に対して傾斜する方向に延びている。また、調整枠91には、ズーム枠6の第1連結ピン61を外部に露出させる開口部91aが形成されている。カム溝93及び開口部91aは、調整枠91を半径方向へ貫通している。
調整枠91のうち、光軸方向後側の端部には、図5に示すように、光軸方向に陥没する凹部91bが形成されている。凹部91bは、操作部10の後述する視度リング104と係合している。
ガイド部92は、ズーム枠6と係合し、回転するズーム枠6を案内する。図6(A)に、ガイド部92の斜視図を示し、図6(B)に、(A)とは異なる角度から見た、ガイド部92の斜視図を示す。図7は、ガイド部92が見える状態のビューファインダ3の側面図であり、(A)は、視度を遠視側に調整した状態であり、(B)は、視度を近視側に調整した状態である。ガイド部92は、概ね周方向に沿って湾曲した板状の部材である。ガイド部92のうち、周方向の一端部には、孔94が形成されている。孔94には、本体枠5に取り付けられる回転軸95が挿通される。つまり、ガイド部92は、回転軸95回りに傾動可能な状態で本体枠5に取り付けられている。ガイド部92は、第2開口部53を概ね覆う状態で本体枠5に取り付けられている。
一方、ガイド部92のうち、周方向の他端部には、係合片96とフック97とが設けられている。本体枠5には、係合片96を摺動可能に保持するホルダ54が取り付けられている。すなわち、係合片96は、本体枠5とホルダ54との間の隙間に摺動可能に収容されている。これにより、ガイド部92が回転軸95回りに傾動する際の、ガイド部92の浮き上がりが防止される。フック97には、コイルバネ98の一端部が連結される。コイルバネ98は、概ね光軸方向に延びる状態で配置され、その他端部が本体枠5(具体的には、ホルダ54)に連結されている。コイルバネ96は、自然長よりも伸びた状態となっている。つまり、コイルバネ96は、ガイド部92のうちフック97が設けられた端部を光軸方向前側へ付勢している。
また、ガイド部92のうち、本体枠5と対向する面(即ち、半径方向内側の面)には、突起99が設けられている。突起99は、調整枠91のカム溝93に係合している。つまり、調整枠91が回転すると、突起99は、カム溝93の形状に応じて移動し、それに応じてガイド部92が回転軸95回りに傾動する。
ガイド部92には、概ね周方向に延びるガイド溝910が形成されている。ガイド溝910は、ガイド部92を半径方向に貫通している。ガイド溝910には、第2開口部53を介して外方に突出する、ズーム枠6の第2連結ピン62が係合している。つまり、ガイド溝910は、ズーム枠6が回転する際に第2連結ピン62を案内する。
操作部10は、図3,4に示すように、固定リング101と、ズームリング102と、中間リング103と、視度リング104とを有している。
固定リング101は、後側から本体枠5の外周面に装着されている。すなわち、本体枠5の後側の概ね半分の部分は、固定リング101内に挿入されている。固定リング101は、本体枠5の後端面に取り付けられている。ズームリング102、中間リング103及び視度リング104は、固定リング101の外周面に装着されている。視度リング104、中間リング103及びズームリング102は、光軸方向において後側からこの順で並んで配置されている。ズームリング102は、光軸A2回りに回転可能となっている。中間リング103は、固定リング101に回転不能に取り付けられている。視度リング104は、光軸A2回りに回転可能となっている。尚、図5,7においては、固定リング101及び中間リング103の図示が省略されている。
ズームリング102は、ファインダ光学系S2を介して観察される画像のズーム倍率を調整するために撮影者が操作する部分である。ズームリング102が回転すると、1群枠7及び2群枠8が光軸方向へ移動する。ズームリング102には、図5に示すように、光軸方向前側へ延びる係合部121が設けられている。係合部121には、光軸方向に延びる係合溝122が形成されている。係合溝122は、本体枠5の第1開口部52及び調整枠91の開口部91aを介して外部に露出している第1連結ピン61に係合している。ズームリング102が回転させられると、係合溝122と第1連結ピン61との係合を介して、ズーム枠6もズームリング102と一体的に回転する。
視度リング104は、ファインダ光学系S2の視度を調整するために撮影者が操作する部分である。視度リング104は、操作部の一例である。図8に、視度リング104を斜め前方から見た斜視図を示し、(A)は全体図であり、(B)は回り止めピン105の拡大図である。視度リング104には、回り止めピン105が設けられている。視度リング104は、回り止めピン105を押圧操作されることによって回転可能となり、回り止めピン105が押圧操作されていないときには回転不能となっている。視度リング104には、前側へ突出する突起141が設けられている。突起141は、図5に示すように、調整枠91の凹部91bに係合している。つまり、視度リング104が回転させられると、突起141と凹部91bとの係合を介して、調整枠91も視度リング104と一体的に回転する。
視度リング104は、外環部142と、内環部143と、外環部142と内環部143とを連結する連結部144とを有している。外環部142及び内環部143は、光軸A2を中心とする円筒状に形成されている。外環部142は、内環部143よりも半径が大きく、内環部143の外周に配置されている。内環部143は、固定リング101の外周面に摺接している。連結部144は、外環部142の光軸方向後側の端部と、内環部143の光軸方向後側の端部とを連結する。
視度リング104には、半径方向に延びる配設孔145が形成されている。配設孔145は、外環部142を貫通している。配設孔145は、内環部143及び連結部144にも形成されている。ただし、外環部142における配設孔145は、完全な円形であるのに対し、内環部143及び連結部144における配設孔145は、円弧状であり、内環部143及び連結部144を部分的に切り欠いた状態となっている。つまり、配設孔145内に配設される回り止めピン105は、内環部143及び連結部144において前側に露出している。また、配設孔145は、内環部143を貫通していない。
回り止めピン105は、頭部151と、頭部151よりも外径が小さい小径部152と、小径部152よりも外径が大きい中径部153と、中径部153よりも外径が大きい大径部154とを有している。頭部151、小径部152、中径部153及び大径部154は、円柱形状であり、同心円状に形成されている。頭部151、小径部152、中径部153及び大径部154は、この順で並んでいる。つまり、回り止めピン105は、段差状に形成されている。
回り止めピン105は、配設孔145内に配設されている。頭部151は、外環部142における配設孔145に嵌まっており、外環部142よりも半径方向外側へ突出している。小径部152、中径部153及び大径部154は、外環部142よりも半径方向内側に位置している。
回り止めピン105の大径部154と内環部143との間には、コイルバネ155が設けられている。コイルバネ155は、圧縮された状態で配設されており、回り止めピン105を半径方向外側へ付勢している。
図9に、斜め後方から見た中間リング103の斜視図を示す。図10は、回り止めピン105が見えるように切断した視度リング104の断面図であり、(A)は回り止めピン105が押圧されていない状態を、(B)は回り止めピン105が押圧された状態を示す。ここで、中間リング103には、光軸方向後側へ突出する突出片131が設けられている。突出片131は、周方向に延びている。また、突出片131は、光軸方向へは、図10(A)、(B)に示すように、視度リング104の外環部142の半径方向内側まで延びている。つまり、半径方向に見たときに、外環部142と突出片131とは部分的に重なっている。突出片131の光軸方向後側の端部には、複数の凹部132が周方向に並んで形成されている。凹部132は、中径部153の外径と略同一の(厳密には、僅かに大きい)内径を有する円弧状に形成されている。すなわち、凹部132の内径は、大径部154の外径よりも小さく、小径部152の外径よりも大きい。凹部132の円弧の中心は、配設孔145の軸心、即ち、回り止めピン105の軸心と略一致している。
通常時、即ち、視度リング104を操作しないときには、回り止めピン105は押圧されておらず、コイルバネ155の付勢力により半径方向外側へ押し上げられている。このとき、回り止めピン105の大径部154は、図10(A)に示すように、突出片131に対し半径方向内側から当接している。これにより、回り止めピン105の半径方向外側への移動が制止されている。つまり、大径部154は、回り止めピン105の配設孔145からの抜け止めとして機能している。
この状態において、頭部151は、外環部142から半径方向外側へ突出している。また、中径部153は、突出片131の凹部132に嵌まっている。中径部153が凹部132に係合することによって、回り止めピン105が中間リング103に対して光軸A2回りに回転すること、即ち、視度リング104の中間リング103に対する光軸A2回りの回転が制止されている。中間リング103は固定リング101に固定され、固定リング101は本体枠5に固定されているので、視度リング104は、本体枠5に対して回転不能となっている。
一方、視度リング104を操作するときには、回り止めピン105が半径方向内側へ押圧される。回り止めピン105が半径方向内側へ押圧されると、回り止めピン105は、コイルバネ155の付勢力に抗して半径方向内側へ移動する。すると、図10(B)に示すように、中径部153と凹部132との係合が解除され、半径方向において凹部132の位置には小径部152が位置することになる。突出片131は、光軸方向において小径部152まで達していないので、小径部152と凹部132とは係合しない。そのため、視度リング104は、中間リング103に対して光軸A2回りに回転することができる。つまり、撮影者は、回り止めピン105を半径方向内側に押圧した状態で視度リング104を回転させる。そして、視度リング104を適切な位置まで回転させた後に回り止めピン105の押圧を解除すると、中径部153が凹部132に再び係合し、視度リング104の回転が制止される。
〈3.ズーム動作〉
続いて、ズーム動作について説明する。
撮影者がズームリング102を回転させると、ズーム枠6がズームリング102と一体的に本体枠5に対して回転する。ズーム枠6の第2連結ピン62がガイド部92のガイド溝910に係合しているので、ズーム枠6は、回転する際にガイド溝910に案内される。ここで、ズーム枠6の内側に収容された1群枠7の1群連結ピン71は、ズーム枠6の第1カム溝63を貫通して、本体枠5の直線溝51に係合している。同様に、ズーム枠6の内側に収容された2群枠8の2群連結ピン81は、ズーム枠6の第2カム溝64を貫通して、本体枠5の直線溝51に係合している。このように、1群枠7及び2群枠8は、本体枠5の直線溝51により回転が規制されている一方で、直線溝51に沿って光軸方向に移動可能となっている。そのため、ズーム枠6が回転すると、1群枠7は第1カム溝63の形状に応じて、2群枠8は第2カム溝64の形状に応じて光軸方向へ移動する。
1群枠7(即ち、第1レンズ群L1)と表示部41との距離及び2群枠8(即ち、第2レンズ群L2)と表示部41との距離が変化すると、ファインダ光学系S2を介して観察される、表示部41の画像のズーム倍率が変化する。詳しくは、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の距離が変化すると、それらの合成焦点距離が変化する。両者の距離が長くなると、合成焦点距離が大きくなり、表示部41の画像が小さく見える。両者の距離が短くなると、合成焦点距離が小さくなり、表示部41の画像が大きく見える。
尚、ズーム枠6自体もガイド溝910に案内されて光軸方向へ移動し得るので、1群枠7の光軸方向への全移動量は、ガイド部92により案内されたズーム枠6の光軸方向への移動量と、第1カム溝63により案内された1群枠7の光軸方向への移動量との合計である。同様に、2群枠8の光軸方向への全移動量は、ガイド部92により案内されたズーム枠6の光軸方向への移動量と、第2カム溝64により案内された2群枠8の光軸方向への移動量との合計である。
〈4.視度調整〉
次に、視度調整について説明する。
ズーム枠6を回転させることによって1群枠7及び2群枠8を第1カム溝63及び第2カム溝64の形状に応じて光軸方向に移動させてズーム倍率を変更する構成においては、通常、ズーム枠6の回転に応じて1群枠7及び2群枠8がズーム倍率に対応する適切な位置に移動するように第1カム溝63及び第2カム溝64の形状が形成されている。このとき、ズーム倍率に対応する1群枠7及び2群枠8の位置は、ファインダ光学系S2の視度が所定の基準となる視度(以下、「基準視度」という)に維持されるように設定されている。つまり、第1カム溝63及び第2カム溝64は、ファインダ光学系S2の視度を基準視度に維持したままズーム倍率が変更されるように形成されている。
ビューファインダ3においては、ファインダ光学系S2の視度が調整されると共に、ズーム倍率が変化しても、調整後の視度が維持されるように構成されている。具体的には、ズーム枠6の光軸方向位置が調整されることによって視度が調整される。それに加えて、ズーム倍率が変更される際にズーム枠6自体が光軸方向へ移動し、このズーム枠6の光軸方向への移動態様が視度に応じて変更される。これにより、ズーム時の1群枠7及び2群枠8の移動態様が視度に応じて変更され、調整された視度を維持したままズーム倍率が変更される。
詳しくは、ビューファインダ3においては、視度リング104を回転させることによってファインダ光学系S2の視度が調整可能となっている。視度リング104が回転すると、調整枠91が視度リング104と一体的に本体枠5に対して回転する。調整枠91のカム溝93には、ガイド部92の突起99が係合している。そのため、調整枠91が回転すると、突起99がカム溝93内を相対移動し、それに応じて、ガイド部92が回転軸95を中心として傾動する。ガイド部92が傾動すると、ガイド部92のガイド溝910の、周方向に対する傾斜角が変化する。つまり、周方向に対するガイド溝910の傾斜角が視度に応じて変更される。以下、特段の断りがない限り、「傾斜角」は、周方向に対する傾斜角を意味する。
ガイド溝910にはズーム枠6の第2連結ピン62が係合しているので、ズームを行うべくズーム枠6が回転するときに、第2連結ピン62がガイド溝910内を移動する。つまり、ズーム枠6は、回転する際にガイド溝910の形状に応じて光軸方向へ移動する。周方向に対するガイド溝910の傾斜角が変更されると、回転時のズーム枠6の光軸方向への移動態様が変更される。例えば、周方向に対するガイド溝910の傾斜角が大きい場合には、ズーム枠6が回転する際の光軸方向への移動量が大きくなり、周方向に対するガイド溝910の傾斜角が小さい場合には、ズーム枠6が回転する際の光軸方向への移動量が小さくなる。尚、ガイド溝910が周方向に対して傾斜していないとき、即ち、ガイド溝910の延びる方向が周方向と一致しているときには、ズーム枠6は回転時に光軸方向へ移動しない。また、ガイド溝910が周方向に対してどちら側に傾くかによって、ズーム枠6が回転時に光軸方向のどちら側へ移動するかが変わる。ガイド溝910の傾斜は、視度に応じて調整される。
一方、ズーム枠6が回転すると、ズーム枠6内の1群枠7及び2群枠8はそれぞれ第1カム溝63及び第2カム溝64の形状に応じて光軸方向へ移動する。1群枠7及び2群枠8のズーム枠6に対する相対的な移動は、第1カム溝63及び第2カム溝64の形状に依存しているので、ガイド溝910の傾斜角が変更されても、1群枠7及び2群枠8のズーム枠6に対する相対的な移動態様は変化しない。
このように、ズーム枠6が回転すると、ズーム枠6自体がガイド溝910に案内されて光軸方向へ移動すると共に、1群枠7及び2群枠8が、ズーム枠6に対して相対的に光軸方向へ移動する。1群枠7及び2群枠8の光軸方向への全移動量は、ズーム枠6自体の光軸方向への移動量と、ズーム枠6に対する1群枠7及び2群枠8の光軸方向への移動量との合計となる。そして、ズーム枠6自体の光軸方向への移動量は、視度に応じて調整される。つまり、ズーム枠6自体の光軸方向への移動は、1群枠7及び2群枠8の光軸方向位置を視度に応じて(具体的には、視度を所望の値に維持するように)補正する役割を果たしている。
続いて、ズーム枠6自体の具体的な移動態様について説明する。図11に、ズーム枠6の回転角に対する、ズーム枠6の光軸方向位置の関係を示す。視度は、前述の如く、視度リング104を回転させることによって調整される。視度リング104が回転すると、調整枠91が回転し、調整枠91の回転に応じてガイド部92が傾動する。ガイド部92が傾動することによって、ズーム枠6の光軸方向へ移動し、視度が調整される。それに加えて、ガイド部92の傾動によりガイド溝910の傾斜角度が変化するので、ズーム時のガイド溝910に応じたズーム枠6の光軸方向への移動態様が変化する。これにより、ズーム時には、1群枠7及び2群枠8が調整後の視度を維持する態様で光軸方向へ移動するようになる。尚、ズーム倍率は、前述の如く、ズームリング102を回転させることによって調整される。
詳しくは、第1カム溝63及び第2カム溝64は、前述の如く、ファインダ光学系S2の視度が基準視度に維持される状態でズーム倍率が変更されるように設計されている。例えば、本実施形態のビューファインダ3の基準視度が−1dp(diopter)に設定されている。物点距離をL[m]とするときに、視度は、−1/L[dp]で表される。
ファインダ光学系S2の視度を−1dpとするときは、ズーム枠6自体を光軸方向へ移動させる必要はなく、1群枠7及び2群枠8をズーム枠6に対して相対的に移動させることだけで、視度を−1dpに維持した状態でズーム倍率を変更することができる。そのため、ファインダ光学系S2の視度が−1dpのときは、ガイド溝910の延びる方向が周方向と実質的に一致する(即ち、ガイド溝910の傾斜角が実質的に0°になる)ように、ガイド部92の位置(即ち、姿勢)が調整される。ガイド溝910が周方向に延びているので、ズーム枠6は、回転する際にガイド溝910によって周方向のみに案内され、光軸方向への移動が規制される。つまり、図11に示すように、ファインダ光学系S2の視度が−1dpのときは、ズーム動作のためにズーム枠6が回転してもズーム枠6の光軸方向位置は変わらない。ズーム枠6自体の光軸方向への移動による1群枠7及び2群枠8の光軸方向への移動(即ち、ズーム枠6自体の光軸方向への移動による、1群枠7及び2群枠8の光軸方向位置の補正量)は零となるので、1群枠7及び2群枠8の光軸方向への移動は、ズーム枠6に対する相対的な移動のみとなる。
視度を基準視度から変更する場合、ガイド部92の位置を変更する。具体的には、ガイド部92を傾動させて、ガイド溝910を周方向に対して傾斜させる。ガイド部92が傾動することによって、ズーム枠6の光軸方向位置が変更される。さらに、ガイド溝910が傾斜することによって、ズーム枠6が回転する際にズーム枠6自体が光軸方向へ移動するようになる。
具体的には、視度をマイナス側、即ち、近視側に変更する場合(例えば、−2dpに変更する場合)、ガイド部92を図7(B)に示すように前側へ傾動させる。すなわち、ガイド部92のうち回転軸95と反対側の端部が前側へ移動するようにガイド部92を傾動させる。ズーム枠6は、ガイド部92に係合しているので、ガイド部92の前側への傾動に伴って基準視度のときよりも前側へ移動する。例えば、ズーム倍率が最低倍率の状態で視度を調整する場合、ズーム枠6は、図11の矢印Aで示すように前側へ移動する。このズーム枠6の光軸方向への移動により、1群枠7及び2群枠8の光軸方向位置が補正され、視度が−1dpから−2dpへ変更される。尚、ズーム枠6の光軸方向への移動量、即ち、ガイド部92の傾動量を調整することによって、視度が所望の値に調整される。
ここで、1群枠7及び2群枠8の光軸方向位置の補正量は、ズーム倍率に応じて異なる。すなわち、視度を−2dpに維持するためのズーム枠6の光軸方向位置はズーム倍率に応じて異なる。例えば、図11の破線で示すように、最低倍率の状態でズーム枠6の光軸方向位置を変更して視度を−2dpに調整した後に、ズーム枠6の光軸方向位置を変更せずにズーム動作を行うと、最低倍率以外のズーム倍率のときには視度が−2dpからずれてしまう。
それに対し、ビューファインダ3では、ガイド部92の傾動により、ガイド溝910が周方向に対して傾く。そのため、図11の矢印Bで示すように、ズーム倍率を変更すべくズーム枠6が回転すると、ズーム枠6はガイド溝910に案内されて光軸方向へも移動する。つまり、1群枠7及び2群枠8の光軸方向位置の補正量がズーム枠6の回転に伴って、即ち、ズーム倍率の変更に伴って変更される。具体的には、ガイド溝910は、ズーム倍率が高くなる方向へズーム枠6が回転するに従って、ズーム枠6が後側へ移動するように傾斜する。その結果、低倍率の方が補正量は大きく、高倍率の方が補正量は小さくなる。
より詳しくは、ガイド溝910は、ガイド部92を平らにした場合に直線となるように形成されているので、ガイド溝910が周方向に対して傾斜している状態において、ズーム枠6の光軸方向への移動量はズーム枠6の回転角に対して線形的に変化する。具体的には、図11に示すように、ズーム枠6が低倍率側から高倍率側へ回転すると、ズーム枠6は、その回転角に比例して、光軸方向において後側へ移動する。このズーム枠6の光軸方向への移動によって、ズーム動作中も視度が−2dpに維持される。すなわち、ズーム枠6の回転角に対してズーム枠6を光軸方向へ線形的に移動させることによってズーム倍率変更時の視度が維持されるように、第1カム溝63及び第2カム溝64が形成されている。
また、視度を一定に維持するための1群枠7及び2群枠8の光軸方向位置の補正量(即ち、ズーム枠6の光軸方向への移動量)は、前述の如く、視度に応じて異なる。そのため、ズーム倍率に応じたズーム枠6の光軸方向位置の変化態様も、視度に応じて異なる。
ここで、ビューファインダ3においては、ズーム枠6の回転角に応じてズーム倍率が変わるときに視度を維持するために必要なズーム枠6の光軸方向への移動量が該回転角に対して比例関係となるように、第1カム溝63及び第2カム溝64の形状が設定されている。このような構成においては、ファインダ光学系S2の視度が変わっても、ズーム枠6の回転角に対するズーム枠6の光軸方向への移動量の変化率を視度に応じて変更すれば、ズーム動作中の視度を維持することができる。つまり、視度の調整に応じてガイド溝910の傾きを変更すれば、任意の視度に関し、ズーム動作中の視度を維持することができる。
具体的には、視度を−3dpに調整するときには、ガイド部92は視度が−2dpのときよりも前側へ傾動させられる。これにより、ズーム枠6の光軸方向位置は、視度が−2dpのときよりもさらに前側へ変更される。それに加えて、ガイド溝910の傾斜角の絶対値は、視度が−2dpのときよりも大きくなる。すなわち、ズーム枠6の回転角に対するズーム枠6の光軸方向への移動量の変化率の絶対値は、視度が−2dpのときよりも大きくなる。その結果、ズーム動作中も視度が−3dpに維持されるようになる。
一方、視度をプラス側、即ち、遠視側に変更する場合(例えば、0dpに変更する場合)、ガイド部92を図7(A)に示すように後側へ傾動させる。すなわち、ガイド部92のうち回転軸95と反対側の端部が後側へ移動するようにガイド部92を傾動させる。ズーム枠6は、ガイド部92に係合しているので、ガイド部92の後側への傾動に伴って基準視度のときよりも後側へ移動する。これにより、視度が−1dpから0dpへ変更される。
それに加え、ガイド部92の傾動により、ガイド溝910が周方向に対して傾く。具体的には、ズーム倍率が高くなる方向へズーム枠6が回転するに従って、ズーム枠6が前側へ移動するようにガイド溝910が傾斜する。その結果、図11に示すように、ズーム枠6が低倍率側から高倍率側へ回転すると、ズーム枠6は、その回転角に比例して、光軸方向において前側へ移動する。このズーム枠6の光軸方向への移動によって、ズーム動作中も視度が0dpに維持される。
視度をさら遠視側へ変更する(例えば、+1dpに調整する)場合には、ガイド部92は、視度が0dpのときよりも後側へ傾動させられる。これにより、ズーム枠6は、視度が0dpのときよりもさらに後側へ移動する。それに加えて、ガイド溝910の傾斜角の絶対値は、視度が0dpのときよりも大きくなる。すなわち、ズーム枠6の回転角に対するズーム枠6の光軸方向への移動量の変化率の絶対値は、視度が0dpのときよりも大きくなる。これにより、ズーム動作中も視度が+1dpに維持されるようになる。
このように、基準視度よりも近視側の視度の場合には、ズーム枠6は、光軸方向において基準視度のときよりも前側に位置している。そして、基準視度のときのズーム枠6の光軸方向位置から前側へ離れる量は、ズーム倍率が低くなるほど、及び、視度が小さくなるほど大きくなっている。一方、基準視度よりも遠視側の視度の場合には、ズーム枠6は、光軸方向において基準視度のときよりも後側に位置している。そして、基準視度のときのズーム枠6の光軸方向位置から後側へ離れる量は、ズーム倍率が低くなるほど、及び、視度が大きくなるほど、大きくなっている。
尚、図11では、視度を−3dp、−2dp、−1dp、0dp、+1dpに調整する場合を図示しているが、これらの視度の間の値にも視度を調節することができる。例えば、視度を−0.7dpに調整することもできる。
〈5.まとめ〉
以上のように、ビューファインダ3は、光軸A2上に配置された第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を含み、該第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の光軸方向位置が変更されることによってズーム倍率が変更されるファインダ光学系S2と、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を案内する第1カム溝63及び第2カム溝64が形成され、光軸A2回りに回転することによって該第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を該第1カム溝63及び第2カム溝64の形状に応じて光軸方向に移動させるズーム枠6と、ファインダ光学系S2の視度を調整する視度調整部9とを備え、視度調整部9は、ズーム枠6の光軸方向への位置を変更することによってファインダ光学系S2の視度を調整すると共に、該ズーム枠6が回転する際に該ズーム枠6の光軸方向位置を視度が維持されるように調整する。
この構成によれば、ズーム枠6が回転することによって第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が第1カム溝63及び第2カム溝64の形状に応じて光軸方向に移動し、ファインダ光学系S2のズーム倍率が変更される。そして、ズーム枠6の光軸方向位置が変更されることによって、ファインダ光学系S2の視度が調整される。
ここで、ズーム枠6を光軸方向へ移動させて視度を調整したとしても、ズーム倍率を変更するために第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2が第1カム溝63及び第2カム溝64の形状に応じて光軸方向へ移動すると、ファインダ光学系S2の視度は、調整した視度からずれてしまう。
それに対し、前記の構成によれば、第1カム溝63及び第2カム溝64のみによる第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の移動ではずれてしまう視度を、ズーム枠6自体の光軸方向への移動によって補正している。詳しくは、ズーム枠6が回転する際、即ち、ズーム倍率が変更される際に、視度が維持されるようにズーム枠6の光軸方向位置が調整される。これにより、ファインダ光学系の視度を調節可能であるにもかかわらず、ズーム倍率を変更する際の視度の変化が低減され、調整後の視度を維持することができる。尚、「視度が維持される」とは、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を第1カム溝63及び第2カム溝64のみによって光軸方向へ移動させる場合と比べて、視度の変化が低減されることを意味し、視度が全く変化してはいけないというものではない。
また、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の光軸方向位置を規定するズーム枠6自体の光軸方向位置を調整することによって視度の調整及び調整後の視度の維持を実現できるので、視度調整のためだけのレンズや該レンズの位置を調整する機構を別途設ける必要がない。その結果、ビューファインダの構成を簡易にすることができる。
また、視度調整部9は、ズーム枠6が回転する際の該ズーム枠6の光軸方向位置の調整量を視度に応じて変更する。
この構成によれば、様々な視度について、ズーム倍率変更時の視度が維持される。つまり、ズーム倍率が同じであっても、視度が異なれば、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の適切な位置は異なる。そのため、ズーム倍率が変更される際に視度を維持するために必要なズーム枠6の光軸方向への移動量は視度に応じて異なる。そこで、視度調整部9は、ズーム枠6が回転する際のズーム枠6の光軸方向位置の調整量を視度に応じて変更している。これにより、様々な視度について、ズーム倍率変更時に視度を維持することができる。
また、視度調整部9は、回転するズーム枠6を案内し、該ズーム枠6が回転する際の該ズーム枠6の光軸方向位置を規定するガイド溝910を有している。
この構成によれば、ズーム枠6が回転すると、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の光軸方向位置が変化するだけでなく、ズーム枠6自体の光軸方向位置も変化する。つまり、本来的には第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の光軸方向位置を変更するためのズーム枠6の回転を利用して、ズーム枠6自体を光軸方向へ移動させる。その結果、視度変化を低減するためだけの操作を必要とせず、ズーム倍率を変更する操作を行うことによって、同時にズーム枠6自体を光軸方向へ移動させて視度変化を低減させることができる。
また、視度調整部9は、光軸A2回りの周方向に対するガイド溝910の傾きを視度に応じて変更することによって、ズーム枠6が回転する際の該ズーム枠6の光軸方向位置を視度が維持されるように調整する。
様々な視度に対して、視度を維持しつつズーム倍率を変更するためには、ズーム枠6が回転する際のズーム枠6自体の光軸方向への移動態様を視度に応じて変更する必要がある。ズーム枠6が回転する際のズーム枠6自体の光軸方向への移動態様は、ガイド溝910に依存している。前記の構成によれば、ガイド溝910の傾きを変更することによって、ズーム枠6自体の光軸方向への移動態様を変更する。ガイド溝910の傾きが変われば、ズーム枠6の回転量に対するズーム枠6の光軸方向への移動量が変わる。そのため、ガイド溝910の傾きを調整することによって、ズーム倍率が変更される際に視度を維持することができる。
また、視度調整部9は、ガイド溝910が形成されたガイド部92を有し、ガイド部92を傾動させることによって光軸A2回りの周方向に対するガイド溝910の傾きを変更するように構成されている。
前記の構成によれば、ガイド溝910の傾きの変更は、ガイド部92の傾動により実現される。例えば、ガイド溝910が形成された部材を、傾きの異なるガイド溝910が形成された別の部材に置き替えることによっても、ガイド溝910の傾きを変更することができる。しかし、そのような構成の場合、視度調整の作業が煩雑になる。それに対して、前記の構成によれば、ガイド部92を傾動させるという簡単な操作によってガイド溝910の傾きを変更することができる。
また、ガイド溝910は、ズーム枠6の回転角に対する該ズーム枠6の光軸方向への移動量が線形的に変化するように形成されている。
前記の構成によれば、ズーム枠6の回転角に応じてズーム倍率が変わるときに視度を維持するために必要なズーム枠6の光軸方向への移動量が該回転角に対して比例関係となるように、第1カム溝63及び第2カム溝64の形状が設定されている。このような構成の場合、ズーム枠6の回転角に対するズーム枠6の光軸方向への移動量の変化率を視度に応じて変更する、即ち、ガイド溝910の傾きを視度に応じて変更することによって、ズーム動作中の視度を維持することができる。つまり、ガイド溝910の傾きを調整するという簡単な操作によって、任意の視度について、ズーム動作中に視度を維持することができる。
また、視度調整部9は、光軸A2回りに回転するように構成された調整枠91を有し、ガイド部92は、調整枠91の回転に応じて傾動するように該調整枠91に連結されている。
前記の構成によれば、調整枠91を回転させることによって、ガイド部92を傾動させることができる。
また、視度調整部9は、調整枠91に連結され、撮影者が操作する視度リング104を有し、調整枠91は、視度リング104によって回転させられる。
前記の構成によれば、撮影者が視度リング104を操作することによって、調整枠91が回転させられ、それによりガイド部92が傾動させられる。
さらに、ビューファインダ3は、画像を表示する表示部41と、光軸A2上に配置され、負の屈折力を有する第3レンズ群L3とをさらに備え、第3レンズ群L3は、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3のうちで最も表示部41の近くに配置されている。
この構成によれば、第3レンズ群L3を設けることによって、表示部41への入射角を小さくすることができる。これにより、表示部41の視野角依存性が大きくても、色ずれや輝度変化を低減することができ、表示部41の視認性を向上させることができる。
ビデオカメラ100は、ビューファインダ3と、ビューファインダ3が取り付けられるカメラ本体1とを備えている。
前記の構成によれば、視度を調整した後にズーム倍率を変更しても、視度変化を低減することができる。その結果、操作性が高いビューファインダ3を備えたビデオカメラ100を提供することができる。
ビューファインダ3は、調整枠91を回転させるための視度リング104(操作部)をさらに備え、視度リング104には、視度リング104の光軸A2回りの回転を規制する回り止めピン105(回り止め部)が設けられており、回り止めピン105は、視度リング104の光軸A2回りの回転を規制する規制状態と、視度リング104の光軸A2回りの回転を可能とする解除状態とに切り替え可能に構成されている。
この構成によれば、視度リング104が誤って操作されることを防止することができる。つまり、回り止めピン105によって視度リング104の回転を規制しておくことによって、撮影者が視度リング104に触れた場合であっても視度が変更されることを防止することができる。特に、ビューファインダ3のように、視度リング104がズームリング102の近くに配置されている構成においては、ズームリング102を操作する際に視度リング104に触れてしまう可能性がある。このような構成であっても、回り止めピン105により視度リング104の回転を規制しておくことによって、視度が誤って変更されてしまうことを防止することができる。
また、ビューファインダ3は、視度リング104が回転可能に取り付けられる固定リング101をさらに備え、固定リング101には、回り止めピン105と係合する突出片131(係合部)が設けられ、回り止めピン105は、コイルバネ155(付勢部)により光軸A2を中心とする半径方向外側に付勢されており、規制状態においては、回り止めピン105は、コイルバネ155により半径方向外側に付勢されて突出片131と係合することによって視度リング104の回転を規制しており、解除状態においては、回り止めピン105は、コイルバネ155の付勢力に抗して半径方向内側へ移動することによって突出片131との係合が解除されることによって視度リング104の回転を許容している。
この構成によれば、回り止めピン105の押圧操作及びその解除という簡単な操作によって、視度リング104の規制状態と解除状態とを切り替えることができる。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
ビデオカメラ100は、撮像装置の一例であり、撮像装置は、ビデオカメラ100に限られるものではない。例えば、カメラ本体1やレンズ鏡筒2の構成は、前記の説明に限られるものではない。
ビューファインダ3の構成も一例に過ぎない。レンズや枠体の構成は、前記の構成に限られるものではない。例えば、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、複数のレンズではなく、1枚のレンズで構成されていてもよい。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、負の屈折力を有するものであってもよい。第3レンズ群L3は、1枚のレンズではなく、複数のレンズで構成されていてもよい。第3レンズ群L3は、正の屈折力を有するものであってもよい。さらに、ビューファインダ3は、第1〜第3レンズ群L1〜L3以外のレンズ群を含んでいてもよい。また、ビューファインダ3は、第3レンズ群L3を省略してもよい。
また、ビューファインダ3では、ズーム枠6の光軸方向への移動を規定するガイド部92を、視度リング104及び調整枠91を介して傾動させているが、これに限られるものではない。視度リング104及び調整枠91を介さずに、ガイド部92を直接、傾動させる構成であってもよい。
さらに、ビューファインダ3では、ズーム枠6が回転する際のズーム枠6の光軸方向への移動態様を変更するために、ガイド部92、即ち、ガイド溝910を傾動させているが、ズーム枠6の光軸方向への移動態様を変更する手法はこれに限られるものではない。例えば、視度に応じて、ガイド部92をガイド溝910の形状が異なる別のガイド部92に取り替える構成であってもよい。視度は撮影者に固有であり、ビデオカメラ100の撮影者があまり変わらない場合等には視度を頻繁に調整する必要がないので、ガイド部92を取り替える構成であってもよい。
また、ガイド溝910は、ズーム枠6の回転角に対してズーム枠6の光軸方向への移動量が線形的に変化するように形成されているが、これに限られるものではない。ズーム動作中にズーム枠6の光軸方向位置を調整しない構成に比べて、ズーム動作中の視度の変化を低減できる限りは、ガイド溝910を任意の形状とすることができる。
また、ガイド部92を回転軸95を中心に傾動させることによってガイド溝910の、周方向に対する傾斜角を調整しているが、これに限られるものではない。ズーム枠6が回転する際のズーム枠6の光軸方向への移動態様を変更できる限りは、ガイド部92をどのように移動させてもよい。
尚、図11では、視度を−3dp、−2dp、−1dp、0dp、+1dpに調整する場合について説明したが、視度をもっと細かく調整してもよい。前記の構成では、視度リング104の回り止めピン105が突出片131の凹部132に係合する状態で視度リング104の位置が固定されるため、視度調整の最小分解能は、凹部132のピッチに対応する。そのため、視度を略連続的に調整できるものの、厳密には視度を離散的にしか調整できない。そこで、例えば、回り止めピン105及び突出片131を省略して視度リング104に回り止め機構を設けない構成や、回り止めピン105と突出片131との係合以外の方法で視度リング104の回り止めを実現する構成においては、視度リング104の位置を連続的に変化させることができ、視度を連続的に調整することができる。また、基準視度は、−1dpに限られるものではなく、0dp等の別の値であってもよい。
あるいは、ビューファインダ3は、視度を基準視度と、基準視度よりも近視側の視度と、基準視度よりも遠視側の視度との3種類の視度にのみ調整できるように構成してもよい。例えば、ガイド部92の位置(傾動角)を3段階のみに調整できるように構成してもよい。かかる構成においては、ガイド部92を、視度リング104及び調整枠91等を介して連続的に傾動可能に構成する必要はなく、視度調整部9の構成を簡易にすることができる。尚、調整できる視度は、3段階に限られるものではなく、2段階や4段階以上の視度に調整可能であってもよい。何れにしても、視度を略連続的に調整可能なビューファインダ3よりも構成を簡易にすることができる。