JP6280832B2 - ブロー成形容器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブロー成形により製造されるブロー成形容器に関する。
延伸ポリプロピレン(OPP)製の壜体やポリエチレンテレフタレート(PET)製の壜体(ペットボトル)に代表されるような樹脂製の壜体は、洗剤用、飲料用、食品用、化粧料用等の様々な用途に使用されている。
このような壜体を製造する方法としては、射出成形により有底筒状に形成された樹脂製のプリフォームを、延伸効果を発現させることのできる温度にまで加熱し、この状態でブロー成形装置の金型に設置して、延伸ロッドによりプリフォームを縦方向(軸方向)に延伸させつつ、プリフォーム内に加圧した空気を供給してプリフォームを横方向(径方向)に延伸させて、プリフォームを金型のキャビティに沿った形状の壜体に成形する、エアブローによる2軸延伸ブロー成形が知られている(特許文献1参照)。
特開平5−24099号公報
しかしながら、容器胴部の中心軸線に垂直な断面において、互いに直交する長軸および短軸を有する扁平形状の扁平容器を、上記のようなエアブローによる2軸延伸ブロー成形で製造しようとすると、金型に設置したプリフォームの外面から当該金型のキャビティまでの距離が長軸側と短軸側とで異なるため、延伸量に差が生じて肉厚が不均一となり、場合によっては延伸量が大きい部分(長軸側)が薄肉となりすぎ、孔空きが生じるおそれがあるという問題があった。
また、容器の口部の中心軸線に対して胴部の中心軸線が偏心している(つまり、口部の中心軸線と胴部の中心軸線とが同一直線上にない)偏心形状の容器を、エアブローによる2軸延伸ブロー成形する場合にも、上記の扁平容器の場合と同様に、金型に設置したプリフォームの外面から当該金型のキャビティまでの距離が周方向に均一でないため、容器を適切な肉厚で形成することが難しく、製造が困難であった。
このような問題を解消する方法として、例えば、周方向に厚みを変化させた特殊な形状のプリフォームを成形し、キャビティまでの距離が大きい位置にプリフォームの厚肉部分が位置するよう金型に配置してエアブローする方法が考えられる。しかしながら、この場合には、特殊な形状のプリフォームを成形しなければならず、さらに、金型に対してプリフォームを正確に位置決めする必要があるため、装置の構造が複雑になり、寸法精度や成形効率が悪化する虞がある。
また、他の方法として、周方向に温度差が形成されるようにプリフォームを特殊な加熱方法で加熱して、キャビティまでの距離が大きい位置に比較的低温の部分が位置するよう金型に配置する方法が考えられる。この場合、エアブロー時にはプリフォームの低温部分よりも高温部分が優先的に延伸するので、キャビティまでの距離が大きい部分の肉厚が薄くなり過ぎるのを防止することができるが、この場合にも、加熱したプリフォームをブロー成形用の金型に設置する際の正確な位置決めが必要となることに加え、加熱設備も複雑なものとなってしまう。
それゆえ本発明は、特殊な形状のプリフォームや特殊な加熱方法を用いることなく製造可能な、胴部が扁平形状の、又は、口部の中心軸線に対して胴部の中心軸線が偏心しているブロー成形容器を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のブロー成形容器の製造方法は、試験管形状の本体部及び前記本体部の上端に一体に設けられた円筒状の口部を有し、前記本体部の中心軸線と前記口部の中心軸線とが一致する有底筒状のプリフォームをブロー成形用の金型に装着する工程と、加圧した液体を前記プリフォームの内部に供給して、前記金型のキャビティに沿った形状に軸延伸ブロー成形するブロー成形工程と、を含み、
前記ブロー成形容器は、筒状の口部と、前記口部に連なる中空の胴部と、前記胴部の下端開口部を閉塞する底部と、を備え、
前記ブロー成形容器の前記口部の中心軸線に対して前記胴部の中心軸線が偏心していることを特徴とする。
また、本発明のブロー成形容器の製造方法にあっては、前記胴部は前記胴部の中心軸線に垂直な断面において扁平形状であことを特徴とする。
本発明によれば、特殊な形状のプリフォームや特殊な加熱方法を用いることなく製造可能な、胴部が扁平形状の、又は、口部の中心軸線に対して胴部の中心軸線が偏心しているブロー成形容器を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るブロー成形容器の正面図である。 (a)は、図1のブロー成形容器におけるA−A断面図であり、(b)は、図1に示すブロー成形容器の平面図である。 本発明の一実施形態に係るブロー成形容器を製造する際に用いるプリフォームの一例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明をより具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るブロー成形容器1の正面図である。
本実施形態のブロー成形容器1は、筒状の口部2と、当該口部2に連なる中空の胴部3と、該胴部3の下端開口部を閉塞する底部4と、を備える。
本実施形態において、口部2は円筒形状で外周面に外ねじ部5が設けられており、当該外ねじ部5に対応する内ねじ部を有するキャップ(図示しない)を着脱可能としている。また、外ねじ部5の下方には、口部2の外周面から突出するネックリング6が形成されている。
胴部3は、口部2の下端から、徐々に拡径しながら下方に延びる比較的小径な小径部7と、小径部7の下方に延び、比較的大径の主要部8とを有する。ここで、図1、2に示すように、本実施形態において胴部3の中心軸線C1は、口部2の中心軸線C2に平行で、上記主要部8の最大断面積位置における横断面であるA−A断面の中心点を通る線としている。なお、本実施形態において胴部3の中心軸線C1および口部2の中心軸線C2は、図1に示すブロー成形容器1の正立姿勢において鉛直方向に延びるものとしている。
また、胴部3の主要部8は、図2(a)に示すように、胴部3の中心軸線C1に垂直なA−A断面において、相互に直交する長軸Lと短軸Sを有する扁平形状となっている。また、本実施形態のブロー成形容器1は、図1、2に示すように、口部2の中心軸線C2に対して胴部3の中心軸線C1が偏心している。なお、本実施形態のブロー成形容器1の形状は、胴部3が扁平形状であり、且つ、口部2の中心軸線C2に対して胴部3の中心軸線C1が偏心した形状としたが、これに限定されるものではない。すなわち、胴部3が扁平形状でなく円筒形状である場合でも、口部2の中心軸線C2に対して胴部3の中心軸線C1が偏心している形状であればよく、口部2の中心軸線C2に対して胴部3の中心軸線C1が偏心していない場合でも、胴部3が扁平形状であればよい。また、胴部3の形状は、本実施形態のように小径部7と主要部8を有する形状に限定されず、任意の中空形状とすることができ、部分的に凸部や凹部が形成された形状も含むものとする。
以下に、上記のような構成を有するブロー成形容器1を製造する際の処理手順の一例について説明する。
先ず、予め射出成形等により形成したプリフォームを、ブロー成形に適した温度に加熱してブロー成形用の金型に設置する。ここで、図3に示すように、プリフォーム10としては、例えばポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料により、全体として有底円筒状に形成され、その試験管形状となる本体部11の上端に円筒状の口部12が一体に設けられるとともに、口部12の下端部にネックリング13が一体に設けられた形状のものを用いることができる。また、プリフォーム10の本体部11の肉厚は周方向に均一とし、プリフォーム10を射出成形する際のゲート位置は、中心軸線C3上で、本体部11の下端14に位置することが一般的である。このプリフォーム10は、加熱した後、口部12が金型の外部に突出し、本体部11が金型のキャビティ内となるよう、その中心軸線C3に沿って配置される。またこの時、ネックリング13が金型の上面に当接した状態で金型に装着される。
次いで、上下方向に移動自在の延伸ロッドを備えたノズルユニットを上方から配置してブローノズルを口部12に嵌合させる。そして、延伸ロッドを下方に向けて移動させてプリフォーム10を縦方向(軸方向)に延伸させつつ、ブローノズルを通してプリフォーム10内に加圧し液体を供給してプリフォーム10を横方向(径方向)に延伸させることにより、プリフォーム10を金型のキャビティに沿った形状の壜体に成形する。なお、ブロー成形の際には、延伸ロッドを備えていないノズルユニットを用いることも可能であり、この場合、口部12に嵌合させたブローノズルから加圧した液体を供給することにより、プリフォーム10を縦方向(軸方向)及び横方向(径方向)に延伸させることができる。また、プリフォーム10に加圧した液体を供給するための機構としては、例えば、電動モータにより駆動されるサーボプランジャータイプのプランジャーポンプを用いることができる。
以上、ブロー成形容器1の製造方法の一例を説明したが、製造に用いる装置や処理の手順は特に限定されるものではなく、加圧した液体を用いた2軸延伸ブロー成形であれば、任意の装置及び手順を採用することができる。
ここで、上記のような扁平形状のブロー成形容器1を、従来のような加圧エアを使用したエアブローによる2軸延伸ブロー成形で成形しようとした場合には、プリフォーム10が径方向外側に向けて延伸する際に、キャビティまでの距離が小さい部分は延伸量が小さいため肉厚が厚くなる一方で、キャビティまでの距離が大きい部分は大きく延伸して肉厚が薄くなってしまい、薄肉部分に破断や孔空きが生じることがあるため、製造が困難であった。これに対して、本実施形態のように、プリフォーム10内に加圧エア(気体)ではなく、加圧した液体を供給して成形する場合には、液体の熱伝達率が気体よりも高いため、ブロー成形時の冷却効率が高くなり、プリフォーム10の温度低下が速くなる。なお、供給される加圧液体は、加熱したプリフォーム10に比べて低い温度に設定されている。加圧液体の温度は、予め温度調節器具を用いて調節しても良いし、常温で管理しても良い。また、プリフォーム10が延伸して肉厚が薄くなるほど温度が低下し易くなり、温度が低下すると、樹脂は延伸し難くなるため、ブロー成形の過程で、厚肉で温度の高い部分が優先的に延伸することとなり、肉厚が適切に分配されることとなる。その結果、加圧エアを使用した場合に比べて、加圧した液体を使用した場合には、適切な肉厚で成形することが可能となる。なお、図3に示すプリフォーム10において、中心軸線C3上の、本体部11の下端14に位置していたゲート位置は、ブロー成形後、図1に示すブロー成形容器1においては、底部4における、口部2の中心軸線C2上に位置することとなる。
上記のような作用により、本実施形態のブロー成形容器1のように、胴部3が扁平形状、且つ、口部2の中心軸線C2に対して胴部3の中心軸線C1が偏心しているブロー成形容器1を、加圧した液体を用いた2軸延伸ブロー成形により成形することで、特殊な形状のプリフォームや特殊な加熱方法を用いることなく、適切な肉厚の容器を容易に製造することが可能となる。
ここで、本実施形態では、胴部3が扁平形状、且つ、口部2の中心軸線C2に対して胴部3の中心軸線C1が偏心している形状としたが、胴部3が扁平形状でなく、口部2の中心軸線C2に対して胴部3の中心軸線C1が偏心している形状、及び、口部2の中心軸線C2と、胴部3の中心軸線C1が同一直線上であり胴部3が扁平形状の容器においても、本発明の効果を得ることができる。
なお、本実施形態のブロー成形容器1を成形するにあたっては、プリフォーム内に供給する液体として、洗剤、飲料、化粧品、薬品等の最終的に製品として壜体に充填される内容液を使用することが好ましく、これにより、壜体への内容液の充填工程を省略して、その生産工程やブロー成形装置の構成を簡略化することができる。
また、本実施形態においては、ブロー成形容器1の製造方法として、2軸延伸ブロー成形を用いることを前提として説明したものの、加圧した液体を用いたダイレクトブロー成形に応用することも可能である。具体的には、チューブ状に押出したパリソンを金型で挟み、底部を閉塞して有底筒状としたパリソンの内部に、加圧した液体を供給してブロー成形してパリソンを延伸させ、金型のキャビティに沿った形状に成形する。
1 ブロー成形容器
2 口部
3 胴部
4 底部
5 外ねじ部
6 ネックリング
7 小径部
8 主要部
10 プリフォーム
11 本体部
12 プリフォームの口部
13 プリフォームのネックリング
C1 胴部の中心軸線
C2 口部の中心軸線
C3 プリフォームの中心軸線

Claims (2)

  1. ブロー成形容器の製造方法であって、
    試験管形状の本体部及び前記本体部の上端に一体に設けられた円筒状の口部を有し、前記本体部の中心軸線と前記口部の中心軸線とが一致する有底筒状のプリフォームをブロー成形用の金型に装着する工程と、加圧した液体を前記プリフォームの内部に供給して、前記金型のキャビティに沿った形状に軸延伸ブロー成形するブロー成形工程と、を含み、
    前記ブロー成形容器は、筒状の口部と、前記口部に連なる中空の胴部と、前記胴部の下端開口部を閉塞する底部と、を備え、
    前記ブロー成形容器の前記口部の中心軸線に対して前記胴部の中心軸線が偏心している、ブロー成形容器の製造方法
  2. 前記ブロー成形容器の前記胴部は前記胴部の中心軸線に垂直な断面において扁平形状である、請求項1に記載のブロー成形容器の製造方法
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