以下、図面を参照し本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システムの概要>
図1は、第1の実施の形態の通信システム100の概要を示す図である。通信システム100は、車両1内に持ち込まれる複数の携帯端末である携帯端末2および携帯端末2aと、車両1に搭載される車載装置3とを備えている。
携帯端末2および携帯端末2aは、ユーザが所持する可搬型の電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等である。
車載装置3は、車両1に搭載された電子機器であり、目的地までのルートを案内するナビゲーション機能や楽曲を再生するオーディオ機能等の各種機能を実行する。また車載装置3は、他の装置(例えば、携帯端末)と機能の実行において連携動作を行う連携装置であり、後述するように車載装置3と複数の携帯端末との無線接続が確立され、車載装置3と各携帯端末との間で通信を行う。
携帯端末2と車載装置3とは、第1通信方式と第2通信方式との複数の通信方式により相互に無線通信する。第1通信方式は、例えば10cm程度の比較的短い距離間で通信する近距離通信の方式である。例えば第1通信方式は、NFC(Near Field Communication)標準規格に従った通信方式である。一方、第2通信方式は、第1通信方式よりも長い距離間(例えば、約3m〜5m)で通信するための遠距離通信の方式である。例えば第2通信方式は、Wi−Fi(登録商標)の規格により標準化されている無線LANや、BTの通信方式である。
また、携帯端末2aは携帯端末2および車載装置3と無線通信する。携帯端末2aと携帯端末2とは第1通信方式により通信を行い、携帯端末2aと車載装置3とは第2通信方式により通信を行う。
本実施の形態の通信システム100は、このような複数の通信方式を用いることで、携帯端末2と車載装置3との無線通信の接続設定や、携帯端末2aと車載装置3との無線通信の接続設定を容易化したシステムである。
また、本実施の形態に係る通信システム100は、車載装置3の利用に関する複数のユーザの競合を防止するシステムである。例えば通信システム100では、1台の携帯端末(例えば、携帯端末2)に対してオーナー機能を有する(以下、オーナー機能を有する携帯端末を「オーナー携帯端末」と称する)。このオーナー機能は、他の携帯端末の車載装置との連携動作を制御する機能で、例えば他の端末(例えば、携帯端末2a)から車載装置3への操作の受付可否を決定する機能である。これにより、携帯端末2a含む複数の携帯端末による車載装置3の利用に関する競合を防止でき、車載装置3を利用するユーザの利便性を向上させられる。
以下、通信システム100の構成および処理方法に基づき、主に「無線通信の接続設定の容易化」と「車載装置の利用に関する競合の防止」との実現手段について説明する。
<1−2.携帯端末および車載装置の構成>
図2は、携帯端末2および車載装置3の構成を示すブロック図である。図2上段は携帯端末2の構成であり、図2下段は車載装置3の構成である。
携帯端末2は、表示部21と、操作部22と、第1通信部23と、第2通信部24と、記憶部25と、制御部26とを有する。
表示部21は、携帯端末2の各種機能の操作用画像や、無線接続された車載装置3の各種機能の操作用画像等を表示する表示装置である。表示部21としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。
操作部22は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部22を操作することによって実現される携帯端末2の各種機能の操作を行う。また、携帯端末2と車載装置3とが無線接続された場合、ユーザは操作部22を操作することで、車載装置3の各種機能の実行や停止等の車載装置の利用に関する操作を行う。
第1通信部23は、NFC標準仕様に従ったNFC通信機等、近距離通信方式の通信機であり、近距離通信方式の第1通信方式による無線通信を行う。第1通信部23は、後述する車載装置3の第1通信部33と無線通信を行い、車載装置3との第2通信方式の接続設定に用いられる設定情報等の通信を行う。この設定情報は携帯端末の識別情報であるSSID(Service Set Identifier)と、認証情報であるパスワードとを含む情報である。なお、以下では、携帯端末2の設定情報を第1設定情報という。
第2通信部24は、IEEE802.11a、b、g、n、ac等による標準仕様に従った無線LAN通信機や、IEEE802.15.1による標準仕様に従ったBT通信機であり、遠距離通信方式の第2通信方式による無線通信を行う。第2通信部24は、後述する車載装置3の第2通信部34と無線通信を行う。第2通信部24と車載装置3の第2通信部34との無線通信の接続設定は、第1設定情報を用いて行われる。この接続設定は、携帯端末2と車載装置3とが第2通信方式により初めて接続を確立する場合に行われる初期設定である。初期設定の完了後に携帯端末2と車載装置3との無線接続が切断されても、再接続する場合は所定の条件を満たすことで、新たに接続設定を行わずとも無線接続される。第2通信方式による無線通信の接続設定の詳細については後述する。
記憶部25は、プログラム25a、第1設定情報25b等を記憶する。本実施の形態における記憶部25は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部25としては、例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)やフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム25aは、制御部26により読み出され、制御部26が各種制御を行うために実行する、例えば携帯端末2を制御するために実行する、いわゆるシステムソフトウェアである。
第1設定情報25bは、上述のとおり第2通信方式の接続設定に用いられる携帯端末2のSSIDと、パスワードとを含む情報である。
制御部26は、装置各部を制御する図示しないCPU、RAM、および、ROMで構成されるコンピュータで、携帯端末2が備える第1通信部23、第2通信部24、および、記憶部25等と接続され、記憶部25に記憶されたプログラム25aに基づいて携帯端末2の各部、そして全体の動作を制御する。そして、主な制御機能を構成表現すると、制御部26は、表示制御部26aと、通信制御部26bと、指示部26cとを備えている。つまり、表示制御部26aと、通信制御部26bと、指示部26cとは、コンピュータのプログラム25aに基づいた動作により、その機能構成が実現することになる。
表示制御部26aと、通信制御部26bと、指示部26cとを備えており、図示しないCPU、RAM、および、ROMで構成されるコンピュータである。制御部26は、携帯端末2が備える第1通信部23、第2通信部24、および、記憶部25等と接続され、記憶部25に記憶されたプログラム25aに基づいて情報の送受信を行い、携帯端末2の全体の動作を制御する。
表示制御部26aは、携帯端末2の表示部21に表示させる画像を生成し、この生成した画像を表示部21に表示させる制御を行う。表示制御部26aは、例えば、車載装置3との第2通信方式の接続設定に関する画像を表示する。
通信制御部26bは、第1通信部23および第2通信部24を用いて無線通信を行う。通信制御部26bが第1通信部23および第2通信部24を用いて無線通信を行う詳細な処理内容については後述する。
指示部26cは、他の携帯端末(例えば、携帯端末2a)と車載装置3との連携動作を許可するか否かの指示信号を車載装置3に送信する。指示部26cは、携帯端末2aと車載装置3との連携動作を許可する場合は、車載装置3の後述する第2通信部34に許可信号を送信し、車載装置3への操作を許可しないときは第2通信部34に不許可信号を送信する。なお、指示部26cは、携帯端末がオーナー携帯端末となった場合にのみ機能することとなる。
次に、車載装置3の構成について説明する。車載装置3は、表示部31と、操作部32と、第1通信部33と、第2通信部34と、記憶部35と、制御部36とを有する。
表示部31は、車載装置3の各種機能の操作用画像等を表示する表示装置である。表示部31としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。
操作部32は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部32を操作することによって、車載装置3の各種機能の操作を行う。
第1通信部33は、携帯端末2の第1通信部23との間で、第1通信方式による無線通信を行う。第1通信部33は、例えば、第2通信方式の接続設定に用いられる第1設定情報を携帯端末2の第1通信部23との間で通信する。
第2通信部34は、携帯端末2の第2通信部24との間で、第2通信方式による無線通信を行う。第2通信部34と携帯端末2の第2通信部24との無線通信の接続設定は、第1設定情報を用いて行われる。第2通信方式による無線通信の接続設定の詳細については後述する。
記憶部35は、プログラム35a、目的地情報35b、車載設定情報35c、第1端末情報35d等の各種データを記憶している。本実施の形態における記憶部35は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部35としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
プログラム35aは、制御部36により読み出され、制御部36が各種制御を行うために実行する、例えば車載装置3を制御するために実行する、いわゆるシステムソフトウェアである。
目的地情報35bは、ナビゲーション機能に用いられるユーザが設定した目的地の位置情報であり、例えば、ユーザの自宅の経度・緯度の情報や、その他の施設等の地点の経度・緯度の情報である。
車載設定情報35cは、第2通信部34と、携帯端末2aの第2通信部(例えば、後述する図6の携帯端末2aの第2通信部24)との第2通信方式の接続設定に用いられる設定情報である。車載設定情報35cは車載装置3のSSIDとパスワードとを含む情報である。
第1端末情報35dは、第1通信方式により取得された設定情報を用いて、車載装置3との第2通信方式の無線通信の接続が確立した携帯端末(以下、「第1携帯端末」という。)のSSIDの情報である。言い換えると、第1端末情報35dは、オーナー携帯端末のSSIDの情報である。
なお、第1通信方式により設定情報が取得されていない場合、第1端末情報35dとして記憶されることはない。例えば、車載装置3が携帯端末2から第1通信方式により第1設定情報を取得せずに、ユーザが車載装置3の操作部32を用いて携帯端末2のSSIDに対応するパスワードを手動で入力した場合、制御部36は第1通信方式により設定情報の取得動作が行われていいないことに基づき、当該携帯端末2のSSIDを第1端末情報35dには記憶しない。
以下では、携帯端末が第1通信方式により当該携帯端末の設定情報(例えば、第1設定情報25b)を車載装置3に取得させ、この設定情報に基づき車載装置3との第2通信方式の無線通信の接続を確立することを「第1接続確立」という。
第1端末情報35dにSSIDが記憶された第1携帯端末は、オーナー携帯端末として車載装置3に設定されたこととなる。つまり、第1携帯端末は、他の携帯端末における車載装置3との第2通信方式の接続確立に対する制御動作を行い、車載装置3との第2通信方式の接続が確立した他の携帯端末(以下、「第2携帯端末」という。)から車載装置3への操作の可否を決定するオーナー携帯端末として車載装置3に設定されたこととなる。
ここで、第2携帯端末は、車載装置3との接続が確立され、連携動作が可能となった携帯端末のうち、オーナー携帯端末以外の携帯端末をいい、例えば後述するように第1携帯端末との第1通信方式により車載装置3の設定情報を取得し、第2通信方式により車載装置3との接続が確立した携帯端末や、車載装置3の遠距離通信の通信圏内で車載装置3のSSIDを取得し、ユーザが手動で車載装置3のパスワードを入力して、第2通信方式による車載装置3との接続が確立した携帯端末等が該当する。
制御部36は、装置各部を制御する図示しないCPU、RAM、および、ROMで構成されるコンピュータで、車載装置3が備える第1通信部33、第2通信部34、および、記憶部35等と接続され、記憶部35に記憶されたプログラム35aに基づいて車載装置3の各部、そして全体の動作を制御する。そして、主な制御機能を構成表現すると、制御部36は、表示制御部36aと、ナビゲーション部36bと、通信制御部36cと、第1端末設定部36dと、機能判定部36eとを備えている。つまり、表示制御部36aと、ナビゲーション部36bと、通信制御部36cと、第1端末設定部36dと、機能判定部36eとは、コンピュータのプログラム35aに基づいた動作により、その機能構成が実現することになる。
表示制御部36aは、車載装置3の表示部31に表示させる画像を生成し、この生成した画像を表示部31に表示させる制御を行う。表示制御部36aは、例えば、携帯端末2との第2通信方式の接続設定に関する画像を表示する。
ナビゲーション部36bは、ユーザの設定した目的地までの走行経路を案内するナビゲーション機能を実行する。ナビゲーション部36bは、ユーザにより目的地が設定されると、GPS等の測位システムで取得される車両1の現在位置から目的地までの経路を導出し、ユーザへの案内を行う。また、ナビゲーション部36bは、ユーザの設定した目的地の位置情報を含む目的地情報35bを記憶部35に記憶する。
通信制御部36cは、第1通信部33および第2通信部34を用いて無線通信を行う。通信制御部36cが第1通信部33および第2通信部34を用いて無線通信を行う詳細な処理内容については後述する
第1端末設定部36dは、第1携帯端末のSSIDを第1端末情報35dとして記憶部35に記憶する。
機能判定部36eは、携帯端末2の指示部26cからの指示信号を第2通信方式で受信し、その指示信号に応じて第2携帯端末から車載装置3への操作を受け付けるか否か(車載装置3の機能を実行するか否か)を判定する。例えば機能判定部36eは第1携帯端末(例えば、携帯端末2)から、第2携帯端末(例えば、携帯端末2a)による車載装置3のナビゲーション機能に関する操作を不許可とする指示信号を受信した場合、携帯端末2aの操作による車載装置3のナビゲーション機能の実行等を制限する。
<1−3.処理フローチャート>
次に、図3〜図5を用いて携帯端末2と車載装置3との無線通信の接続設定の処理について説明する。図3は、携帯端末2と車載装置3の無線通信の接続設定の処理を説明するフローチャートである。図4および図5は、図3を用いた説明で具体例をあげる場合に参照する。図3の処理は、携帯端末2と車載装置3とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり、携帯端末2が電源ON状態でNFC通信可能状態となっている。言い換えると、携帯端末2は車載装置3と連携動作を行っていない。また車載装置3は、車両1のACC−ONにより電源ON状態で、オーナー携帯端末が設定されていない。図3の処理はこのような場合に実行される処理である。
車載装置3の通信制御部36cは第1通信部33を制御して、設定情報要求信号を送信する(ステップS101)。この設定情報要求信号は、車載装置3の位置を略中心とする半径約10cmの範囲の近距離通信範囲に送信される信号である。携帯端末2はその位置が近距離通信範囲内で、設定情報要求信号を受信した場合(ステップS102でYes)は、車載装置3との連携動作を行うアプリケーション(以下、「車載連携アプリ」という。)が起動しているか否かを判定する(ステップS101b)。なお携帯端末2の制御部26は、携帯端末2が設定情報要求信号を受信しなかった場合(ステップS102でNo)は処理を終了させる。
図4を用いて具体的に説明する。図4は携帯端末2の位置が、車載装置3の第1通信方式による近距離通信範囲SAの範囲内となった状態を示す図である。図4に示すように運転席付近の位置にある携帯端末2が車載装置3に近接し、近距離通信範囲SAの範囲内に存在する場合に、携帯端末2の第1通信部23は、車載装置3の第1通信部33からの設定情報要求信号を受信する。なお、図4の車載装置3の位置を略中心とする遠距離通信範囲LAは、車載装置3の通信制御部36cが第2通信部34を制御して、第2通信方式の接続設定に用いられる車載装置3のSSIDを送信する範囲である。
図3に戻り、ステップS102の処理の後、携帯端末2は車載連携アプリが起動していない場合(ステップS101bでNo)は、車載連携アプリを起動して(ステップS102b)、第1設定情報25bを送信する(ステップS103)。第1設定情報25bには、携帯端末2のSSIDと、パスワードが含まれる。車載装置3の第1通信部33が、第1通信方式による無線通信で第1設定情報25bを受信した場合(ステップS104でYes)、車載装置3の制御部36は第1設定情報25bを記憶部35に記憶する(ステップS105)。なお制御部36は、車載装置3が第1設定情報25bを受信しなかった場合(ステップS104でNo)は処理を終了させる。
図5を用いて具体的に説明する。図5は車載装置3の位置が、携帯端末2の第1通信方式による近距離通信範囲NAの範囲内となった状態を示す図である。図5に示すように携帯端末2が車載装置3と近接し、近距離通信範囲NAの範囲内に存在する場合、車載装置3は携帯端末2から第1設定情報25bを受信する。なお、携帯端末2の位置を略中心とする遠距離通信範囲WAは、通信制御部26bが第2通信部24を制御し、第2通信方式の接続設定に用いられる携帯端末2のSSIDを送信する範囲である。
図3に戻り、ステップS105の処理の後、車載装置3の通信制御部36cは第2通信部34を制御して、第1設定情報25bと、車載装置3のSSIDおよびパスワードを含む情報である車載設定情報35cとを送信する(ステップS106)。携帯端末2は車載装置3から送信された第1設定情報25bと車載設定情報35cとを受信し(ステップS107)、車載設定情報35cを記憶部25に記憶する(ステップS108)。
そして、携帯端末2の制御部36は、車載装置3から受信した第1設定情報25bが、携帯端末2との第2通信方式の接続設定の条件を充足する場合(ステップS109でYes)は、第2通信方式による接続設定を行い、第2通信部24と車載装置3の第2通信部34との無線通信の接続を確立する(ステップS110、S111)。具体的には車載装置3が携帯端末2に送信した第1設定情報25bのSSIDおよびパスワードが、携帯端末2と車載装置3とのWi−Fiの接続設定に必要な条件を満たしている場合は、携帯端末2と車載装置3との接続が確立する。
なお制御部26は、車載装置3から受信した第1設定情報25bが第2通信方式の接続設定の条件を充足しない場合(ステップS109でNo)は、車載装置3との接続は確立することなく処理を終了させる。
ステップS111の処理の後、車載装置3の第1端末設定部36dは、第1通信方式により取得した第1設定情報を用いて、第2通信方式の無線通信の接続を確立した携帯端末2のSSIDの情報を第1端末情報35dとして記憶部35に記憶する(ステップS112)。言い換えると、第1端末設定部36dは、オーナー携帯端末2のSSIDの情報を第1端末情報35dとして記憶部35に記憶する。
車載装置3の通信制御部36cは第2通信部34を制御し、携帯端末2のSSIDが第1端末情報35dとして記憶部35に記憶された旨の登録情報を携帯端末2に送信する(ステップS113)。携帯端末2は、携帯端末2のSSIDが第1端末情報35dとして記憶部35に記憶された旨の登録情報を受信する(ステップS114)。そして、携帯端末2は、オーナー機能が付与された旨の画像を表示部21に表示してユーザに報知する。このように、第1通信方式により携帯端末2と車載装置3とを近接させて第1設定情報を送受信し、携帯端末2と車載装置3との第2通信方式の接続設定を行うことで、ユーザは無線通信の接続設定を容易に行える。
次に携帯端末2aと車載装置3との無線通信の接続設定の容易化について図6〜図10を用いて説明する。図6は携帯端末2aの構成を示すブロック図である。
<1−4.携帯端末のブロック図>
図6の携帯端末2aは、図2で説明した携帯端末2と略同じ構成を有している。携帯端末2aと携帯端末2とが異なる点は、記憶部25に記憶されている第1設定情報が、携帯端末2aのSSIDと、パスワードとを含む第2設定情報に変更されている点である。
図7は、携帯端末2aと車載装置3との無線通信の接続設定の処理を説明するフローチャートである。図8〜図10は、図7を用いた説明で具体例をあげる場合に参照する。
<1−5.処理フローチャート>
図7の処理は、携帯端末2と携帯端末2aと車載装置3とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり携帯端末2が車載装置3との連携動作を開始しているオーナー携帯端末である。言い換えると携帯端末2は車載装置3との第1接続確立が成立している。また携帯端末2aは,電源ON状態でNFC通信可能状態となっている。言い換えると携帯端末2aは,車載装置3と連携動作を行っていない。さらに車載装置3は、車両1のACC−ONにより電源ON状態で、携帯端末2がオーナー携帯端末として設定されている。図7の処理はこのような場合に実行される処理である。
携帯端末2aの通信制御部26bは第1通信部23を制御して、設定情報要求信号を送信する(ステップS201)。この設定情報要求信号は、携帯端末2aの位置を略中心とする半径約10cmの範囲の近距離通信範囲に送信される信号である。携帯端末2はその位置が近距離通信範囲内となり設定情報要求信号を受信した場合(ステップS202でYes)、車載設定情報35cを送信する(ステップS203)。つまり、通信制御部26bが第2通信部24を制御して、車載装置3の車載設定情報35cを近距離通信範囲に送信する。この車載設定情報35cは、図3で説明したステップS107の処理で、携帯端末2が第1接続確立を行う際に車載装置3から受信し、ステップS108の処理で記憶部25に記憶した設定情報である。なお制御部26は、携帯端末2が設定要求を受信しなかった場合(ステップS202でNo)は処理を終了させる。
図8を用いて具体的に説明する。図8は携帯端末2の位置が、携帯端末2aの近距離通信範囲SAの範囲内となった状態を示す図である。図8に示すように、車載装置3との第1接続確立が成立した第1携帯端末である携帯端末2が、携帯端末2aに近接し近距離通信範囲SAの範囲内に存在する場合、携帯端末2の第1通信部23は携帯端末2aから設定情報要求信号を受信する。その結果、第1通信部23は、車載設定情報35cを送信する。なお、車載装置3の位置を略中心とする遠距離通信範囲LAには、車載装置3のSSIDが送信される。
図7に戻り、ステップS203の処理の後、携帯端末2aの第1通信部23は、第1通信方式による無線通信で車載設定情報35cを受信した場合(ステップS204でYes)、制御部26は車載設定情報を35cを記憶部25に記憶する(ステップS205)。なお制御部26は、携帯端末2aが車載設定情報35cを受信しなかった場合(ステップS204でNo)は処理を終了させる。
図9を用いて具体的に説明する。図9は携帯端末2aの位置が、携帯端末2の近距離通信範囲NAの範囲内となった状態を示す図である。図9に示すように携帯端末2aが携帯端末2と近接し、近距離通信範囲NAの範囲内に存在する場合に、携帯端末2aは携帯端末2から車載設定情報35cを受信する。
図7に戻り、ステップS205の処理の後、携帯端末2aは遠距離通信範囲LAの範囲内に存在し、車載装置3のSSIDを第2通信部24で受信した場合(ステップS207でYes)、SSIDが一致するか否かを判定する(ステップS208)。車載装置3から受信するSSIDは、車載装置3の通信制御部36cが第2通信部34を制御し、車載装置3の位置を略中心とする遠距離通信範囲LAの範囲内に送信した(ステップS206)ものである。なお制御部26は、携帯端末2aが車載装置3のSSIDを受信しなかった場合(ステップS207でNo)は処理を終了させる。
携帯端末2aは車載装置3からSSIDを受信し、そのSSIDが携帯端末2から受信した車載設定情報35cに含まれるSSIDとが一致する場合(ステップS208でYes)は、携帯端末2aの通信制御部26bが第2通信部24を制御して、車載設定情報35cと携帯端末2aのSSIDとを送信する(ステップS209)。なお制御部26は、車載装置3から受信したSSIDと、携帯端末2から受信した車載設定情報35cに含まれるSSIDとが一致しない場合は(ステップS208でNo)処理を終了させる。
車載装置3の第2通信部34は、携帯端末2aから送信された車載設定情報35cと携帯端末2aのSSIDとを受信した場合(ステップS210でYes)、制御部36は車載設定情報35cが携帯端末2aとの第2通信方式の接続設定の条件を充足するか否かを判定する(ステップS211)。なお制御部36は、車載装置3が車載設定情報35cと携帯端末2aのSSIDと受信しなかった場合(ステップS210でNo)は処理を終了させる。
車載設定情報35cが携帯端末2aとの第2通信方式の接続設定の条件を充足する場合(ステップS211でYes)は、第2通信方式による接続設定を行う。その結果、車載装置3の第2通信部34と、携帯端末2aの第2通信部24との無線通信の接続が確立する(ステップS212、S213)。具体的には携帯端末2aが車載装置3に送信した車載設定情報35cに含まれるSSIDおよびパスワードが、携帯端末2aと車載装置3とのWi−Fiの接続設定に必要な条件を満たしている場合は、携帯端末2aと車載装置3との接続が確立する。
なお、ステップS211で、制御部36は、携帯端末2aから受信した車載設定情報35cが第2通信方式の接続設定の条件を満たさない場合(ステップS211でNo)は、携帯端末2aと車載装置3との接続が確立することなく処理を終了させる。
車載装置3は接続が確立した携帯端末2aのSSIDを携帯端末2に送信する(ステップS214)。携帯端末2は携帯端末2aのSSIDを受信した場合は(ステップS215でYes)、携帯端末2aのSSIDを記憶部25に記憶する(ステップS216)。この携帯端末2aのSSIDは、後述する携帯端末2が携帯端末2aから車載装置3への操作の受付可否を指示する場合に用いられる。例えば、携帯端末2は車載装置のナビゲーション機能に関し、携帯端末2aからの操作は受付を不許可とする指示をし、他の携帯端末からの操作は受付を許可する指示を行う場合、携帯端末2aと他の携帯端末とを区別するために用いる。このように、第2接続確立により接続された携帯端末2aのSSIDは、オーナー機能を有する第1携帯端末に送信される。また、オーナー携帯端末の携帯端末2と車載装置3との第1接続確立が成立している場合に、他の携帯(例えば、携帯端末2a)がユーザによる手動の接続操作により車載装置3との接続が確立した場合も、他の携帯端末のSSIDが車載装置3から携帯端末2に送信される。
なお、ステップS215の処理で、制御部26は、第2通信部24が携帯端末2aのSSIDを受信しなかった場合は(ステップS215でNo)処理を終了させる。
また、車載装置3は携帯端末2aから受信した携帯端末2aのSSIDを、Wi−Fiの接続が確立した他の携帯端末と携帯端末2aとを区別する識別情報として用いる。例えば、車載装置3は無線接続された複数の携帯端末のうち、携帯端末2aと情報の送受信を行う場合は、携帯端末2aのSSIDに基づき情報の送受信を行う。
このように、第1通信方式により携帯端末2と携帯端末2aとを近接させて第1設定情報を送受信し、携帯端末2aと車載装置3との第2通信方式の接続設定を行うことで、ユーザは無線通信の接続設定を容易に行える。ここで、以下では、携帯端末が第1通信方式により他の携帯端末から取得した車載装置3の設定情報(例えば、車載設定情報35c)を用いて、車載装置3との第2通信方式の無線通信の接続を確立することを「第2接続確立」という。
図10は、携帯端末2および携帯端末2aの複数の携帯端末と車載装置3との接続が確立した状態を示す図である。図10では、携帯端末2と車載装置3との第1接続確立が成立し、携帯端末2aと車載装置3との第2接続確立が成立している。そして、このように携帯端末2および携帯端末2aと、車載装置3とが第2通信方式により無線通信されている場合、携帯端末2および携帯端末2aの複数の携帯端末のそれぞれが自由に車載装置3を利用できる。このような場合、1台の車載装置3に対する携帯端末2および携帯端末2aの複数のユーザによる競合が発生し、ユーザの利便性が低下する。
そのため、1台の携帯端末にオーナー機能を付与し、他の携帯端末の車載装置3の利用を制限する。例えば、携帯端末2は、車載装置3の機能のうち携帯端末2aの操作による利用の制限を予め設定する。具体的には携帯端末2は、車載装置3との第2通信方式の接続が確立している状態で、携帯端末2のユーザが操作部22を操作して、携帯端末2aによる車載装置3のナビゲーション機能の実行を制限する設定を行う。このような車載装置3の利用に関する競合の防止について次に説明する。
<1−6.処理フローチャート>
図11は、車載装置3の利用に関する競合防止処理を説明する処理フローチャートである。図11の処理は、携帯端末2と携帯端末2aと車載装置3とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり携帯端末2は車載装置3との連携動作を開始しているオーナー携帯端末である。以下の処理説明では携帯端末2と車載装置3との第1接続確立が成立している場合と、成立していない場合(例えば、過去に第1接続確立が成立したが、現在は接続が確立していない場合)とに分けて説明する。また携帯端末2aは、車載装置3との連携動作が開始されている。言い換えると携帯端末2aは、車載装置3との第2接続確立が成立している。さらに車載装置3は、携帯端末2と携帯端末2aとの連携動作が開始されている。図11の処理はこのような場合に実行される処理である。
携帯端末2aの通信制御部26bは第2通信部24を制御し、車載装置3に操作信号を送信する(ステップS301)する。この操作信号は、車載装置3の利用に関する操作信号である。車載装置3は携帯端末2aから送信された操作信号を受信した場合(ステップS302でYes)、第1携帯端末との第1接続確立が成立しているか否かを判定する(ステップS301b)。車載装置3は、第1携帯端末との第1接続確立が成立している場合(ステップS301bでYes)、車載装置3の通信制御部36cは第2通信部34を制御し、第1携帯端末である携帯端末2に、携帯端末2aから送信された操作信号を送信する(ステップS303)。このように車載装置3は、第2携帯端末から送信された操作信号を第1携帯端末に送信する。第1携帯端末である携帯端末2は車載装置3から送信された操作信号を受信した場合(ステップS304でYes)、第2携帯端末である携帯端末2aの操作信号に応じた車載装置3の利用を許可するか否かを判定し、その判定結果に応じた信号を第2通信部24により送信する(ステップS305)。制御部26は、携帯端末2が車載装置3から送信された操作信号を受信しなかった場合(ステップS304でNo)処理を終了させる。
なお、第1携帯端末のユーザは、車載装置3の複数の機能のうち第2携帯端末の利用を制限する機能を上述のように予め設定していてもよいし、判定が必要な場合に機能の利用を許可するか否かを決定してもよい。
車載装置3は、携帯端末2の判定結果に応じた指示信号を受信し、その指示信号が車載装置3の利用を不許可とする信号の場合(ステップS306でYes)、携帯端末2aによる車載装置3の利用を許可せず機能を実行しない(ステップS307)。これにより例えば、携帯端末2を所持するドライバーが車載装置3のナビゲーション機能により目的地を設定している場合に、携帯端末2aを所持する他のユーザが自由に目的地の設定を変更すること防止できる。
また、車載装置3は、携帯端末2の判定結果に応じた指示信号が車載装置3の利用を許可する信号の場合(ステップS306でNo)、携帯端末2aによる車載装置3の利用を許可し機能を実行する(ステップS308)。例えば、携帯端末2aの利用が制限されている機能がナビゲーション機能の場合に、携帯端末2aの操作信号がオーディオ機能の操作信号のときは、車載装置3はオーディオ機能を実行する。このように携帯端末の操作に基づく車載装置3の利用の可否を決定するオーナー機能を1台の携帯端末に対して付与することで、複数のユーザによる車載装置3の利用の競合を防止し、ユーザの利便性を向上させられる。
ステップS301bの処理に戻り、車載装置3と第1携帯端末との第1接続確立が成立していない場合(ステップS301bでNo)、車載装置3の記憶部35に記憶されている操作受付テーブルに基づき、携帯端末2aからの操作信号の受付が可能か否かを判定する(ステップS302b)。
図12は操作受付テーブルTsを示す図である。操作受付テーブルTsには、第2携帯端末のSSIDと、操作を許可する機能と、操作を許可しない(不許可)の機能とが記録されている。例えば、SSIDが「0001」の第2携帯端末は、機能a、b、cが操作許可の対象の機能であり、機能d、e,fが不許可の機能である。具体的には、機能aがオーディオ機能であり、機能dがナビゲーション機能である。なお、この操作受付テーブルTsは、第1携帯端末であるオーナー携帯端末が許可、不許可の設定内容を変更する度に車載装置3に送信され、当該車載装置3の記憶部35に記憶される。
図11のステップS302bに戻り、制御部36は操作受付テーブルTsに基づき、携帯端末2aからの指示信号が車載装置3の利用を不許可とする信号の場合(ステップS302bでYes)、携帯端末2aによる車載装置3の利用を許可せず機能を実行しない(ステップS307)。なお制御部36は、携帯端末2aからの指示信号が車載装置3の利用を許可する信号の場合(ステップS302bでNo)、携帯端末2aによる車載装置3の利用を許可し機能を実行する(ステップS308)。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態では、上述の第1の実施の形態の通信システム100における第1携帯端末の変更について説明する。例えば、第1携帯端末である携帯端末2が車載装置3と第2通信方式で無線接続した後に、携帯端末2以外の他の携帯端末(例えば、後述する携帯端末2b)との第1接続確立が成立したときは、携帯端末2bが第1携帯端末となる。携帯端末2bが新たな第1携帯端末となった場合、過去に第1携帯端末であった携帯端末2は第2携帯端末となる。このように第2の実施の形態の通信システム100では、携帯端末2とは異なる他の携帯端末2bが車載装置3に近接した場合に、オーナー携帯端末が携帯端末2から携帯端末2bに更新される。
この第2の実施の形態の携帯端末2、および、車載装置3の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。また携帯端末2bは携帯端末2aの構成と略同じ構成で、記憶部25に記憶されている第2設定情報が携帯端末2bのSSIDと、パスワードとを含む第3設定情報に変更されている点が異なる。以下では、本実施の形態における第1携帯端末の変更処理について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
図12は、第1携帯端末の変更処理について説明するフローチャートである。図14および図15は、図12を用いた説明で具体例をあげる場合に参照する。
<2−1.処理フローチャート>
図12の処理は、携帯端末2と携帯端末2bと車載装置3とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり携帯端末2は車載装置3との連携動作を開始しているオーナー携帯端末である。言い換えると携帯端末2は車載装置3との第1接続確立が成立している。また携帯端末2bは,電源ON状態でNFC通信可能状態となっている。言い換えると携帯端末2bは,車載装置3と連携動作を行っていない。さらに車載装置3は、車両1のACC−ONにより電源ON状態で、携帯端末2がオーナー携帯端末として設定されている。図7の処理はこのような場合に実行される処理である。
図12の、ステップS101a〜ステップS114aの基本的な処理は、第1の実施の形態で説明した図3の処理フローチャートのステップS101〜ステップS114と同じ処理である。図12の処理が図3の処理と異なる点は、第1の実施の形態の図3では車載装置3との接続確立の処理を行う対象が携帯端末2であったのに対して、本実施の形態の図12では携帯端末2bの点ある。
また他の異なる点は、接続確立の処理を行う対象が携帯端末2から携帯端末2bに変更となったことで、携帯端末から車載装置3に送信する設定情報が携帯端末2の第1設定情報から携帯端末2bのSSIDと、パスワードとを含む第3設定情報に変更される点である。
そして、図12のステップS101aとステップS102aとの処理内容は、具体的には図14に示す状態となる。図14は携帯端末2bの位置が、車載装置3の第1通信方式による近距離通信範囲SAの範囲内となった状態を示す図である。図14に示すように、携帯端末2と携帯端末2aとが車載装置3と第2通信方式により接続を確立している。このような場合に助手席付近の位置にある携帯端末2bが車載装置3に近接し、近距離通信範囲SAの範囲内に存在するときは、携帯端末2bの第1通信部23は車載装置3から設定情報要求信号を受信する。
図13に戻りステップS102aの処理の後、ステップS103aとステップS104aの処理内容は、具体的には図15に示す状態となる。図15は車載装置3の位置が、携帯端末2bの第1通信方式による近距離通信範囲NAの範囲内となった状態を示す図である。図15に示すように携帯端末2bが車載装置3と近接し、近距離通信範囲NAの範囲内に存在する場合に、車載装置3は携帯端末2bから第3設定情報を受信する。
図13に戻りステップS104の処理の後、ステップS105a〜ステップS111aの処理が行われ、車載装置3の第1端末設定部36dは、携帯端末2bのSSIDの情報を第1端末情報35dとして記憶部35に記憶する(ステップS112a)。この携帯端末2bは、車載装置3が第1通信方式により取得した第3設定情報を用いて、第2通信方式の無線通信の接続を確立した携帯端末である。なお、携帯端末2bよりも前にSSIDの情報が記憶された携帯端末2のSSIDの情報は、引き続き記憶部35に記憶される。つまり、複数の携帯端末のSSIDが第1端末情報35dとして記憶部35に記憶される。
このように複数の携帯端末のSSIDが第1端末情報35dとして記憶された場合、最後に第1接続確立が成立した携帯端末が、第2携帯端末からの車載装置3への操作の受付可否を決定する携帯端末として登録される。オーナー機能を有する第1携帯端末は1台のみとし、最後に識別情報が設定された第1携帯端末に対してオーナー機能を付与するものである。これにより、ユーザはオーナー機能を付与したい携帯端末を車載装置3に近接させるだけで、容易にオーナー機能を有する携帯端末を変更できる。
そして、図13では、ステップ112aの処理の後、車載装置3の通信制御部36cは第2通信部34を制御し、携帯端末2bのSSIDが第1端末情報35dとして記憶部35に記憶された旨の登録情報を携帯端末2bに送信する(ステップS113a)。なお、このような登録情報とともに、車載装置3と第2接続確立が成立している第2携帯端末があれば、その携帯端末のSSIDを送信する。
携帯端末2bは、携帯端末2bのSSIDが第1端末情報35dとして記憶部35に記憶された旨の信号を受信する(ステップS114a)。また、携帯端末2bは、第2携帯端末のSSIDを受信する。そして携帯端末2bは、オーナー機能が付与された旨の画像を表示部21に表示してユーザに報知する。
また、車載装置3の通信制御部36cは第2通信部34を制御し、携帯端末2の第1携帯端末の設定が解除された旨の信号を送信する(ステップS115a)。なお、この際に新たに第1携帯端末として設定された携帯端末2bに関する情報を送信する。携帯端末2の制御部26は、第1携帯端末の設定が解除された旨の信号を受信した場合(ステップS116aでYes)、オーナー機能が解除された旨の画像を表示部21に表示してユーザに報知する。なお、制御部26は、携帯端末2が第1携帯端末の設定が解除された旨の信号を受信しなかった場合(ステップS116aでNo)処理を終了させる。
さらに、これまで述べたオーナー機能を有する携帯端末の変更は、第1携帯端末と車載装置3との第1接続確立が成立している場合にのみ行うことが可能となる。言い換えると、第1携帯端末と車載装置3との第1接続確立による接続が切断されている場合は、他の携帯端末との第1接続確立は行えない。これにより、オーナー機能を有する第1携帯端末のユーザの許可なく、他のユーザの携帯端末にオーナー機能が付与されることを防止できる。また、第1携帯端末のユーザの許可なく他のユーザが当該第1携帯端末のオーナーの機能を解除することを防止できる。
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態では、上述の第1の実施の形態の通信システム100において第1携帯端末として車載装置3と無線接続された携帯端末が車載装置3との無線接続が切断された後に、車載装置3の通信圏内に存在する場合は、車載装置3との再接続を行う。この処理について図16を用いて説明する。
<3−1.処理フローチャート>
図16は、第1携帯端末の再接続の処理を説明する処理フローチャートである。図16の処理では、携帯端末2と車載装置3とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり携帯端末2は過去にオーナー携帯端末であった端末で、現在は連携動作の接続が切断された状態である。言い換えると、携帯端末2は第1接続確立の実績がある携帯端末である。なお、以下の処理では携帯端末2に第1接続確立の実績がない場合についても説明する。また車載装置3は、車両1のACC−ONにより電源ON状態で、携帯端末2との接続が確立していない状態である。図16の処理はこのような場合に実行される処理である。
図16に示す携帯端末2の通信制御部26bは第2通信部24を制御して、携帯端末2のSSIDを遠距離通信範囲WAの範囲内に送信する(ステップS401)。車載装置3は遠距離通信範囲WAの範囲内に存在して、携帯端末2のSSIDを受信した場合(ステップS402でYes)、携帯端末2のSSIDと第1端末情報35dとに基づき、当該第2携帯端末が第1接続確立の実績がある携帯端末か否かを判定する(ステップS403)。なお制御部36は、携帯端末2のSSIDを受信した場合(ステップS402でYes)、処理を終了させる。
ステップS403の処理で、車載装置3の制御部36は、記憶部35に記憶された第1端末情報35dのSSIDと、携帯端末2のSSIDとを照合して、第1端末情報35dに該当する携帯端末のSSIDが存在する場合(ステップS403でYes)、該当する携帯端末のSSIDが1つか否かを判定する(ステップS404)。つまり、車載装置3の制御部36は、過去に第1接続確立の実績のある携帯端末が、車載装置3の第2通信方式の通信圏内に1台のみ存在するか否かを判定する。
そして、第1端末情報35dに該当するSSIDが、携帯端末2のSSIDの1つだけの場合(ステップS404でYes)、車載装置3の通信制御部36cが第2通信部34を制御して、過去に第1接続確立を行う際に取得した携帯端末2の第1設定情報を携帯端末2に送信する(ステップS405)。
なお、上述のステップS403の処理で、携帯端末2が過去に車載装置3と第1接続確立の実績のない携帯端末の場合(ステップS403でNo)や、ステップS404の処理で、第1端末情報35dに該当するSSIDが複数存在する場合(ステップS404でNo)、車載装置3の通信制御部36cは携帯端末2との第2通信方式による接続を確立させない。そして、車載装置3の表示制御部36aは表示部31に携帯端末2を車載装置3に近接させることを要求する旨の表示画像を表示する(ステップS407)。この表示画像をみたユーザが、携帯端末を車載装置3に近接させることで、第1接続確立が新たに成立し、第1端末情報35dに新たなSSIDが追加される。そして、新たにオーナー機能を有する携帯端末と、車載装置3との第2通信方式による接続が確立する。
ステップS405の処理の後、携帯端末2は車載装置3から送信された第1設定情報を受信した場合(ステップS406でYes)、ステップS109の処理を行う。なお制御部26は、携帯端末2が車載装置3から送信された第1設定情報を受信しなかった場合(ステップS406でNo)、処理を終了させる。
ステップS406の処理の後のステップS109〜S114の処理は、第1の実施の形態の図3を用いて説明したステップS109〜ステップS114の処理と同じ処理となる。このように過去に第1接続確立が成立した第1携帯端末が車載装置3との第2通信方式の通信圏内に1台のみ存在する場合、車載装置3と当該第1携帯端末との再接続が確立される。言い換えると、過去の前記オーナー携帯端末の設定履歴と、通信圏内の携帯端末の存在状況とに応じてオーナー携帯端末が設定される。これによりユーザは一度でも車載装置3と第1接続確立が成立した携帯端末の再接続を容易に行える。
<4.第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態を説明する。第4の実施の形態では、上述の第1の実施の形態の通信システム100において第2携帯端末として車載装置3と無線接続された携帯端末が車載装置3との無線接続が切断された後に、車載装置3の通信圏内に存在する場合は、車載装置3との再接続を確立する。この処理について図17を用いて説明する。
<4−1.処理フローチャート>
図17は、第2携帯端末の再接続の確立処理を説明する処理フローチャートである。
図17の処理では、携帯端末2aと車載装置3とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり携帯端末2aは過去に車載装置3との連携動作の接続が確立していた端末で、現在は連携動作の接続が切断された状態である。言い換えると、携帯端末2は第2接続確立の実績がある携帯端末である。また車載装置3は、車両1のACC−ONにより電源ON状態で、携帯端末2との接続が確立していない状態である。なお、以下の処理では、車載装置3が携帯端末2と接続が確立している場合についても説明する。図16の処理はこのような場合に実行される処理である。
図17に示す車載装置3の通信制御部36cは第2通信部34を制御して、車載装置3のSSIDを遠距離通信範囲LAの範囲内に送信する(ステップS501)。携帯端末2aは遠距離通信範囲WAの範囲内に存在して、携帯端末2のSSIDを受信した場合(ステップS502でYes)、過去に車載装置3との第2接続確立の実績があるか否かを判定する(ステップS503)。具体的には、携帯端末2aの制御部26は、記憶部25に記憶された第3設定情報25cのSSIDと、車載装置3のSSIDとを照合して、両者が適合するSSIDが存在するか否かを判定する。つまり、携帯端末2aの制御部26は、過去に車載装置3との第2接続確立が成立したか否かを判定する。
携帯端末2aの第2接続確立の実績がある場合(ステップS503でYes)、携帯端末2aの通信制御部26bは第2通信部24を制御して、過去に第2接続確立を行う際に取得した車載装置3の車載設定情報35cを車載装置3に送信する(ステップS504)。なお制御部26は、携帯端末2aが車載装置3のSSIDを受信していない場合(ステップS502でNo)や、第2接続確立の実績がない場合(ステップS503でNo)は処理を終了させる。
ステップS504の処理の後、車載装置3は、携帯端末2aから送信された車載設定情報35cを受信した場合は(ステップS505でYes)、ステップS211、S212、S213、ステップS506、および、S507の処理を行う。なお制御部36は、携帯端末2aから送信された車載設定情報35cを受信しなかった場合は(ステップS505でNo)処理を終了させる。
ここで、ステップS211〜S213の処理は、第1の実施の形態の図7を用いて説明したステップS211〜S213の処理と同一の処理である。そして、ステップS506の処理では、車載装置3の制御部36が車載装置3と第1携帯端末との第1接続確立が現在も成立しているか否かを判定する。制御部36は、車載装置3と第1携帯端末との第1接続確立が成立している場合(ステップS506でYes)は、第1接続確立が成立している第1携帯端末(例えば、携帯端末2)と、携帯端末2aとの組み合わせで車載装置3との接続が成立していたか否かを判定する(ステップS507)。なお制御部36は、車載装置3と第1携帯端末との第1接続確立が成立していない場合、つまり接続が切断されている場合(ステップS506でNo)は処理を終了させる。
そしてステップS507の処理では、第1接続確立が成立している携帯端末2と、携帯端末2aとの組み合わせで過去に車載装置3との接続が成立していた場合(ステップS507でYes)は、第2通信方式の接続を確立する(ステップS212、213)。
このように第1携帯端末の第1接続確立が成立している場合で、過去に第2接続確立が成立した第2携帯端末が車載装置3との第2通信方式の通信圏内に1台のみ存在するとき、車載装置3と当該第2携帯端末との再接続が確立されることで、ユーザは一度でも車載装置3と第2接続確立が成立した携帯端末の再接続を容易に行える。
<5.第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態を説明する。第5の実施の形態では、上述の第1の実施の形態の通信システム100において第2携帯端末として車載装置3と無線接続された携帯端末2aと別の携帯端末2cとが近接することで、車載装置3との無線接続が確立される。この処理について図18および図19を用いて説明する。携帯端末2cは、図2で説明した携帯端末2と略同じ構成を有している。携帯端末2cと携帯端末2とが異なる点は、記憶部25に記憶されている第1設定情報が、携帯端末2cのSSIDと、パスワードとを含む設定情報に変更されている点である。
<5−1.処理フローチャート>
図18は、携帯端末2cと車載装置3との無線通信の接続設定の処理を説明するフローチャートである。図19は、携帯端末2と車載装置3との情報の送受信を説明するフローチャートである。
図18および図19の処理は、携帯端末2aと携帯端末2cと車載装置3とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり携帯端末2aが車載装置3との連携動作を開始している第2携帯端末である。言い換えると携帯端末2aは車載装置3との第2接続確立が成立している。また携帯端末2cは,電源ON状態でNFC通信可能状態となっている。言い換えると携帯端末2cは,車載装置3と連携動作を行っていない。さらに車載装置3は、車両1のACC−ONにより電源ON状態で、携帯端末2がオーナー携帯端末として設定されている。言い換えると、携帯端末2は、オーナー携帯端末として車載装置3との連携動作を開始している携帯端末である。図18および図19の処理はこのような場合に実行される処理である。
図18のステップS201〜ステップS213と、図19のステップS214〜S216は第1の実施の形態で説明した図7のステップS201〜S216の処理と基本的には同じ処理である。図18の処理において、図7の処理と異なる点は次の点である。ステップS202の処理で携帯端末2aが設定情報要求を受信した場合(ステップS202でYes)、制御部26が車載装置3からの情報に基づき、当該車載装置3が第1携帯端末との第1接続確立が成立しているか否かを判定する点である。
制御部26は車載装置3からの情報に基づき、車載装置3と携帯端末2との第1接続確立が成立している場合(ステップS201b)は、車載設定情報35cを送信する(ステップS203)。
このように車載装置3との接続が確立していない携帯端末2cが、第2携帯端末である携帯端末2aから受信した車載設定情報35cを用いて、車載装置3との第2通信方式による接続の確立を行う。これにより、ユーザは車載装置と複数の携帯端末との遠距離通信の接続確立を容易に行える。
また、上述のような携帯端末2aから他の携帯端末への第1通信方式による送信は、第1携帯端末である携帯端末2と車載装置3との第2通信方式による接続の確立が成立している場合にのみ可能としてもよい。これにより、オーナー機能を有する第1携帯端末の許可なく、他の携帯端末と車載装置3との接続が確立されることを防止できる。
<6.第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態を説明する。上述の第1の実施の形態の通信システム100では、1台の車両内においてオーナー機能を有する第1携帯端末と車載装置3との第2通信方式による接続が確立し、第2携帯端末と車載装置3との第2通信方式による接続が確立した状態で、第1携帯端末が、第2携帯端末から車載装置3への操作の受付可否を決定するシステム構成について説明した。
第6の実施の形態では、他の車両内においてもこのような通信システムが構成され、各通信システムにおける第1携帯端末がネットワークを介してサーバ装置と情報の送受信を行う。そして、サーバ装置は各通信システムの第1携帯端末が所定の条件を満たすことで、1つのグループとして登録する。サーバ装置はグループ化された複数の第1携帯端末のうち1台の第1携帯端末がサーバ装置に送信した情報をグループ内の別の第1携帯端末と共有させる。
以下では、各通信システムのグループ設定の処理について説明し、次に、各通信システムにおけるサーバ装置を用いた情報の共有、および、グループの解除処理について説明する。また、以下では第1の実施の形態と同様の構成および処理の説明は省略し、相違点を中心に説明する。
<6−1.システムの全体概要>
図20は、第6の実施の形態の通信システムの全体概要を示す図である。本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した通信システム100に加えて、通信システム200と、サーバ装置4と、ネットワーク5とが示されている。通信システム200は、通信システム100と同様の構成であり、第1携帯端末の携帯端末20と車載装置3とが第2通信方式で接続され、第2携帯端末の携帯端末20aと車載装置3とが第2通信方式で接続されている。つまり、通信システム100と同じシステムが複数存在する。
そして、通信システム100の第1携帯端末である携帯端末2と、通信システム200の携帯端末20は、インターネット等のネットワーク5を介して、サーバ装置4と相互にデータを送受信する。
<6−2.携帯端末の構成>
図21は、本実施の形態の携帯端末2(20)の構成を示す図である。図19に示す携帯端末2(20)は、第1の実施の形態の携帯端末2の構成に加えて第3通信部27を新たに備える構成である。第3通信部27は、サーバ装置4とネットワーク5を介して通信可能に接続され、サーバ装置4との間でデータの送受信を行う通信機である。第3通信部27は、WiMAX(登録商標)やLTE(登録商標)等の規格により標準化されている通信方式により通信を行う。
<6−3.サーバ装置の構成>
次にサーバ装置4の構成について説明する。図22はサーバ装置4の構成を示すブロック図である。図22に示すように、サーバ装置4は、第3通信部41と、記憶部42と、制御部43とを備えている。
第3通信部41は、携帯端末2(20)とネットワーク5を介して通信可能に接続され、携帯端末2(20)との間でデータの送受信を行う。
記憶部42は、プログラム42aと、グループ情報42bとを記憶している。本実施の形態における記憶部33は、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成されている。なお、記憶部33としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリ等の、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリを用いてもよい。
制御部43は、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部43は、サーバ装置4が備える第3通信部41や記憶部42と接続され、記憶部42に記憶されたプログラム42aに基づいてデータの送受信を行い、サーバ装置4の全体を制御する。記憶部42に記憶されたプログラム42aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、制御部43の各機能が実現される。例えば、制御部43の機能は、複数の携帯端末のSSIDを1つのグループとして登録する機能がある。また制御部43の別の機能は第3通信部41を制御してグループ内の携帯端末に対してデータを送信する機能等がある。
プログラム42aは、制御部43により読み出され、制御部43がサーバ装置4を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。グループ情報42bは、制御部43がグループとして登録した携帯端末のSSIDの情報である。
<6−4.処理フローチャート>
次に、図23〜図26を用いてグループ設定について説明する。図23および図24は、グループ設定の処理を説明する処理フローチャートである。図25および図26は、図21を用いた説明で具体例をあげる場合に参照する。
図23および図24の処理は、車両1の車載装置3と、車両10の車載装置30とが電源ON状態となっており、携帯端末2を所持するユーザと、携帯端末20を所持するユーザとが車室外の比較的近接した位置に存在する場合に行われる処理である。
図23および図24の処理では、携帯端末2と携帯端末20とサーバ装置4とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり携帯端末2は、車載装置3との第1接続確立が成立しているオーナー携帯端末である。また携帯端末20は、車載装置30との第1接続確立が成立しているオーナー携帯端末である。さらにサーバ装置4は電源ON状態であり、携帯端末との通信が可能な状態である。図23および図24の処理はこのような場合に実行される処理である。
携帯端末2の通信制御部26bは第1通信部23を制御して、携帯端末2の位置を略中心とする近距離通信範囲SAの範囲に設定情報要求信号を送信する(ステップS601)。携帯端末20は、携帯端末2の近距離通信範囲SAの範囲内で設定情報要求信号を受信した場合(ステップS602でYes)、通信制御部26bは第1通信部23を制御して、車載設定情報を近距離通信範囲の範囲内に送信する(ステップS603)。この車載設定情報は携帯端末20が車載装置30との第1接続確立が成立した際に車載装置30から取得した設定情報である。以下では、この車載設定情報を「車載設定情報A」といい、携帯端末2が車載装置3との第1接続確立が成立した際に車載装置3から取得した車載設定情報35cを「車載設定情報B」という。
なおステップS602の処理で、携帯端末20の制御部26は、携帯端末20が設定情報要求を受信しなかった場合(ステップS602でNo)処理を終了させる。
ステップS604の処理に戻り、携帯端末2は携帯端末20から送信された車載設定情報Aを受信した場合(ステップS604でYes)、車両10の車載装置30との第2通信方式による接続を確立させる(ステップS605)。なお、携帯端末2の制御部26は、携帯端末2が車載設定情報Aを受信しなかった場合(ステップS604でNo)処理を終了させる。
ここまでの処理を図25および図26を用いて具体的に説明する。図25は携帯端末2の位置が、携帯端末20の第1通信方式による近距離通信範囲NAの範囲内となった状態を示す図である。図25に示すように携帯端末2が携帯端末20と近接し、近距離通信範囲NAの範囲内に存在する場合に、携帯端末2は携帯端末20から車載設定情報Aを受信する。なお、車載装置30の位置を略中心とする遠距離通信範囲LA1は、車載装置30の通信制御部36cが第2通信部34を制御し、第2通信方式の接続設定に用いられる車載装置30のSSIDを送信する範囲である。
そして、携帯端末2は、携帯端末20から取得した車載設定情報Aに含まれるSSIDと、遠距離通信範囲LA1の範囲内で受信した車載装置30のSSIDとが一致する場合、通信制御部26bが第2通信部24を制御して、第2通信方式による車載装置30との接続を確立させる。車載装置30は、携帯端末2から送信された車載設定情報Aに含まれるパスワードが適合した場合、第2通信方式による接続を確立させる。
図26は携帯端末2と車載装置30との第2通信方式による接続が確立した状態を示す図である。図26に示すように携帯端末2は、車載装置30との接続が確立される前に、車両1の車載装置3との接続が確立されており、この車載装置3との第1接続確立が成立した状態で、車載装置30との第2接続確立を行う。言い換えると、通信システム200の車両10における第1携帯端末は携帯端末20であり、第2携帯端末は携帯端末20aと携帯端末2とになる。このように車載装置30と携帯端末2との第2通信方式による接続が確立した場合、第1携帯端末である携帯端末20のSSIDが、車載装置30から携帯端末2に送信される。
図23の処理に戻り、ステップS605の処理が終了した後、携帯端末2は車載装置3経由で車載装置3との無線接続が確立している他の携帯端末(例えば、携帯端末2a)に車載設定情報Aを送信する(ステップS601b)。これにより携帯端末2aが車載装置30との無線接続確立が行えるようにする。また、グループ内の各携帯端末2、2aの設定情報を携帯端末20に送信する(ステップS602b)。
携帯端末20は、携帯端末2および2aの設定情報を受信した場合(ステップS603bでYes)、これらの設定情報を記憶部25に記憶する(ステップS604b)。そして、携帯端末20は車載装置30にこれらの設定情報を送信する。これにより携帯端末2および2aが車載装置30との無線接続確立が行え、連携動作できるようにする。なお携帯端末20の制御部26は、携帯端末20が携帯端末2および2aの設定情報を受信しなかった場合は(ステップS603bでNo)処理を終了させる。
携帯端末2の通信制御部26bは、第3通信部37を制御して、サーバ装置4にグループ情報を送信する(ステップS606)。このグループ情報は、携帯端末2のSSIDと携帯端末20のSSIDの情報である。サーバ装置4は携帯端末2からのグループ情報を受信して、記憶部42に記憶する(ステップS607)。
上述のステップS601〜S607の処理では、通信システム100の第1携帯端末である携帯端末2が、他の通信システム200の車載装置30との第2接続確立を行い、通信システム100における第2携帯端末となる処理の説明を行った。以下の図24に示すステップS608〜614では、通信システム200の第1携帯端末である携帯端末20が、他の通信システム100の車載装置3との第2接続確立を行い、通信システム200のおける第2携帯端末となる処理の説明を行う。処理内容においてステップS601〜S607と同様の処理内容は簡略化して説明する。
携帯端末20の通信制御部26bは近距離通信範囲SAの範囲に設定情報要求信号を送信する(ステップS608)。携帯端末2は、携帯端末20の近距離通信範囲SAの範囲内で設定情報要求信号を受信した場合(ステップS609でYes)、通信制御部26bは、車載設定情報Bを近距離通信範囲の範囲内に送信する(ステップS610)。
なおステップS609の処理で、携帯端末2の制御部26は、携帯端末2が設定情報要求を受信しなかった場合(ステップS609でNo)処理を終了させる。
携帯端末20は携帯端末2から送信された車載設定情報Bを受信した場合(ステップS611でYes)、通信システム200の車載装置30との第2通信方式による接続を確立させる(ステップS612)。つまり、携帯端末20は、車載装置30との第1接続確立が成立した状態で、車載装置3とは第2接続確立を行う。言い換えると、通信システム100の車両1における第1携帯端末は携帯端末2であり、第2携帯端末は携帯端末2aと携帯端末20となる。このように車載装置3と携帯端末20との第2通信方式による接続が確立した場合、第1携帯端末である携帯端末2のSSIDが、車載装置3から携帯端末20に送信される。なお、制御部26は、携帯端末2が車載設定情報Bを受信しなかった場合(ステップS611でNo)処理を終了させる。
ステップS612の処理が終了した後、携帯端末20は車載装置30経由で車載装置30との無線接続が確立している他の携帯端末(例えば、携帯端末20a)に車載設定情報Bを送信する(ステップS605b)。これにより携帯端末20aが車載装置3との無線接続確立が行えるようにする。また、グループ内の各携帯端末20、20aの設定情報を携帯端末2に送信する(ステップS606b)。
携帯端末2は、携帯端末20および20aの設定情報を受信した場合(ステップS607bでYes)、これらの設定情報を記憶部25に記憶する(ステップS608b)。そして、携帯端末2は車載装置3にこれらの設定情報を送信する。これにより携帯端末20および20aが車載装置3との無線接続確立が行え、連携動作できるようにする。なお携帯端末2の制御部26は、携帯端末2が携帯端末20および20aの設定情報を受信しなかった場合は(ステップS607bでNo)処理を終了させる。
携帯端末2の通信制御部26bは、サーバ装置4にグループ情報を送信する(ステップS613)。このグループ情報は、携帯端末20のSSIDと携帯端末2のSSIDの情報である。サーバ装置4は携帯端末20からのグループ情報を受信した場合は(ステップS614でYes)、グループ設定を行う(ステップS615)。なお、サーバ装置4は携帯端末20からのグループ情報を受信しなかった場合は、処理を終了させる。
ステップS615の処理では、サーバ装置4はステップS607で携帯端末2から受信したグループ情報と携帯端末20から受信したグループ情報とに基づき、携帯端末2と携帯端末20とのグループ設定を行う(ステップS615)。具体的にはサーバ装置4は携帯端末2のSSIDと携帯端末20のSSIDとをグループとして設定する。そして、サーバ装置4は、グループ設定情報を携帯端末2および携帯端末20に送信する(ステップS616)。
携帯端末2および携帯端末20は、サーバ装置4から送信されたグループ設定情報を受信する(ステップS617、618)。携帯端末2および携帯端末20は、グループ設定がされた旨の画像を表示部21に表示してユーザに報知する。このようにユーザは複数の通信システムのグループ化を携帯端末により容易に行える。なお、本実施の形態のグループは2つの通信システムの場合を説明したが、サーバ装置が3つ以上の第1携帯端末のSSIDをグループ登録することで、3つ以上の通信システムのグループ化も可能である。
次に、グループ内の情報の共有、および、グループの解除処理について説明する。図27は、グループ内の情報共有、および、グループの解除の処理を説明するフローチャートである。以下では、車載装置3のナビゲーション機能を用いた目的地設定を例にグループ内の情報共有、および、グループ解除の処理を説明する。
図27の処理は、携帯端末2と携帯端末20とサーバ装置4とが次の状態の場合に実行される処理である。つまり携帯端末2は、車載装置3との第1接続確立が成立しているオーナー携帯端末であり、携帯端末20とのグループ設定が行われている。また携帯端末20は、車載装置30との第1接続確立が成立しているオーナー携帯端末であり、携帯端末2とのグループ設定が行われている。さらにサーバ装置4は、電源ON状態で、携帯端末2と携帯端末20とのSSIDに基づき、これらの携帯端末のグループ情報が記憶されている。図27の処理はこのような場合に実行される処理である。
図27では、ユーザが携帯端末2を用いて車載装置3のナビゲーション機能を操作して目的地設定を行った場合、携帯端末2の通信制御部26bは第3通信部27を制御して、目的地の緯度・経度情報をサーバ装置4に送信する(ステップS701)。サーバ装置4は携帯端末2から目的地情報を受信した場合(ステップS702でYes)、受信した目的地情報を携帯端末2と同じグループの携帯端末20に送信する(ステップS703)。なお制御部43は、サーバ装置4が目的地情報を受信しなかった場合(ステップS702でNo)処理を終了させる。
携帯端末20がサーバ装置4から送信された目的地情報を受信した場合(ステップS704でYes)。携帯端末20と連携動作している車載装置30のナビゲーション部36bは目的地情報に基づき目的地設定を行う。このように、ユーザは同一グループの通信システム間での情報の共有を容易に行える。なお制御部26は、携帯端末20がサーバ装置4から送信された目的地情報を受信しなかった場合(ステップS704でNo)は、処理を終了させる。
次に、ステップS705において、車載装置3のナビゲーション部36bが、車両1が目的地に到着したことを検出すると、携帯端末2の通信制御部26bは第3通信部27を制御して、目的地に到達した旨の情報(以下、「目的地到達情報」という。)をサーバ装置4に送信する(ステップS705)。サーバ装置4は、携帯端末2から目的地到達情報を受信する(ステップS706)。
次に、車両10のナビゲーション部36bが、車両10が目的地に到達したことを検出すると、携帯端末20の通信制御部26bは第3通信部27を制御して、目的地到達情報をサーバ装置4に送信する(ステップS707)。サーバ装置4は、携帯端末20から目的地到達情報を受信する(ステップS708)。そして、サーバ装置4は、1つのグループ内の全ての第1携帯端末から目的地到達情報を受信することで、携帯端末2と携帯端末20とのグループ設定を解除する(ステップS709)。このようにグループが解除されることで、複数の第1携帯端末間での情報の共有が実施されなくなる。サーバ装置4は、グループ解除情報を携帯端末2および携帯端末20に送信する(ステップS710)。
携帯端末2および携帯端末20は、サーバ装置4から送信されたグループ解除情報を受信する(ステップS711、712)。携帯端末2および携帯端末20は、グループ設定が解除された旨の画像を表示部21に表示してユーザに報知する。このようにユーザは、グループの目的を達成した場合にグループ解除を容易に行える。
<7.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記各実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
上記実施の形態では、通信システム(例えば、通信システム100)において、車載装置と複数の携帯端末とが無線通信で接続し、連携動作を行うシステムについて説明した。このため上記通信システムは携帯連携システムであるともいえる。
また、上記実施の形態では、連携装置の例として車載装置3について説明を行ったが、連携装置は車載装置3以外の装置であってもよい。例えば連携装置は、PC、スマートフォン、タブレット、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の装置であってもよい。
上記実施の形態では、車両1に持ち込まれる複数の携帯は携帯端末2および携帯端末2aの2台の携帯端末として説明したが、3台以上の携帯端末が車両1に持ち込まれた場合に、オーナー機能を有する携帯端末として1台の携帯端末に対して第1接続確立が成立し、他の複数台の携帯端末に対して第2接続確立が成立するようにしてもよい。
上記実施の形態では、第1接続確立および第2接続確立における第2通信方式の接続の確立は、例えば、図3のステップS109において、車載設定情報が携帯端末2との第2通信方式の接続設定の条件を充足する場合(ステップS109でYes)は、第2通信方式による接続設定を行うこととして説明した。これ以外にも、第2通信方式の接続設定を行う際に、接続設定の条件を充足した場合でも、車載装置3が第2通信方式により携帯端末2から受信するSSIDの情報の受信時間に応じて接続設定を行うか否かを判定してもよい。例えば、車載装置3の第2通信部34が所定時間を超えて携帯端末のSSIDを受信した場合にのみ第2通信方式のよる接続設定を行うようにしてもよい。言い換えると、車載装置3の第2通信部34が携帯端末のSSIDを受信する時間が所定時間以下の場合は、第2通信方式による接続設定を成立しないこととする。これにより、車室内に存在するユーザが所持する携帯端末のみが車載装置3と第2通信方式による接続確立がなされ、車室外で車両1の近傍をユーザが通過したような場合に、そのユーザが有する携帯端末との接続確立を防止できる。
上記実施の形態では、第1通信方式による設定情報の送受信は、両方の端末が近接した場合に行われると説明した。例えば、車載装置3の位置が、携帯端末2の第1通信部23による近距離通信範囲NAの範囲内となった場合に、携帯端末2の第1設定情報が車載装置3に送信されることについて説明した。これに対して、両方の端末の近接を車両1に備えられたカメラ等により検出し、その画像情報から2つの端末が近接した場合に、設定情報の送受信を行うようにしてもよい。また、カメラ以外にも少なくともいずれか一方の端末に振動センサを設けて、振動センサが2つの端末が接触したことにより生じる所定値以上の振動を検出した場合に、設定情報の送受信を行うようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現される説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。
また、上記第1の実施の形態では、第1携帯端末および第2携帯端末のそれぞれが車載装置3と第2通信方式による無線通信の接続が確立している状態で、第2携帯端末から車載装置3への操作の受付の可否が行われることについて説明した。これに対して、第1携帯端末が車載装置3と第2通信方式による接続が切断されている場合は、第2携帯端末から車載装置3への全ての操作の受付を不許可としてもよい。
また、上記第6の実施の形態では、グループ解除の条件はグループ内の全ての第1携帯端末が目的地到達情報をサーバ装置に送信し、サーバ装置4がこれらの目的地到達情報を受信した場合とした。この条件以外にも別の条件によりグループ解除を行ってもよい。例えば、各通信システムの第1携帯端末がその通信システム内の第2携帯端末の数(第2携帯端末のSSIDの数)を取得しておく。そして、車載装置3と第2携帯端末との第2通信方式による無線接続が切断された場合に、第1携帯端末がサーバ装置4に第2携帯端末の接続数が減少した旨の信号を送信する。その結果、サーバ装置4がグループ解除を行うようにしてもよい。さらに、グループ解除の条件として目的地到達情報および第2携帯端末の接続数の減少の情報など複数条件を組合せ、それらの条件を全て満たした場合に行うようにしてもよい。
上記第6の実施の形態では、通信システムの第2携帯端末が他の通信システムの車載装置の車載設定情報を取得し、取得した車載設定情報に基づき他の通信システムの車載装置との無線接続が確立されるようにしてもよい。例えば、通信システム100の携帯端末2aでは、第1携帯端末である携帯端末2が携帯端末20と近接して車載設定情報Aを取得した場合に、車載設定情報Aが車載装置3に送信される。そして、車載装置3が車載設定情報Aを携帯端末2aに送信し、携帯端末2aがこの車載設定情報Aを記憶する。これにより、携帯端末2aのユーザが車両1から他の通信システムの車両10に乗り換えた場合でも、携帯端末2aに記憶された車載設定情報Aに基づき、携帯端末2aと車載装置30との第2通信方式による接続が確立される。このようにグループ化された通信システム間の場合は、第2携帯端末のユーザが他の通信システムの車両に乗り換えても、乗り換え後の車両に備えられている車載装置と容易に接続できる。なお、このように複数の通信システム間で、ユーザが車両を乗り換えた後に車載装置と携帯端末との接続を行う場合、必ずしも第1携帯端末がサーバ装置と通信を行う必要はない。つまり、複数の通信システムがグループ化されている必要性はない。