JP6278378B1 - 残存型枠パネルのひび割れ抑止方法、及び残存型枠パネル - Google Patents
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Abstract
Description
この乾燥収縮ひび割れを防止するために、例えば、コンクリートの水分量を減らしたり、収縮量に対応した膨張剤をコンクリートに混合したりする方法が行われている(例えば、特許文献1)。
また、残存型枠の表面までひび割れが生じた場合、残存型枠の外観を損なわないようにひび割れ部分に粉体を塗布し、ひび割れを化粧する対応がなされている。しかし、粉体を塗布する作業時間とコストが生じるという問題に加え、時間が経過すると粉体が残存型枠から剥がれ落ちてしまい、再度ひび割れが露出するという問題がある。
なお、弾性変位追従機能とは、コンクリートの収縮に追従して、弾性変位することをいう。
以下、本実施形態に係るひび割れ抑止方法、及びひび割れ抑止方法に使用する残存型枠パネルを、図1から図3を参照し、説明する。
残存型枠パネル1は、図1(a)に示すように、残存型枠パネル本体2(以下、パネル本体2)と、パネル本体2の背面の所定の位置に設けられた被連結金具3と、この被連結金具3に設けられた樹脂製カバー4を備えている。
パネル本体2は、図1(b)に示すように、矩形状であり、その背面には、高さ方向X及び幅方向Yに2つずつ被連結金具3が設けられている。被連結金具3は、その一部がパネル本体2の背面から突出させて設けられている(図1(a))。
このパネル本体2のサイズは、適宜変更できるが、例えば、高さ300mm、幅900mmものが使用される。パネル本体2の内部の左右方向X及び高さ方向Yには、パネル本体2の強度を確保するために、複数の鉄筋5が設けられている。
被連結金具3は、図2(a)に示すように、U字状に形成されたフック部6と、このフック部6の両端に連結された埋設部7とを備えている。そして、フック部6の両側の一部の周囲が、弾性樹脂製カバー材4によって覆われている。
この被連結金具3には、金属製のものを使用でき、耐食性に優れた素材を使用することが好ましく、例えば、ステンレス鋼材(SUS304)が使用される。
被連結金具3は、埋設部7がパネル本体2の内部に埋め込まれることで、パネル本体2に設けられている(図1(a))。
弾性樹脂製カバー材4は、樹脂製で、円筒状に形成された部材である。この弾性樹脂製カバー材4には、例えば、シリコン樹脂製のチューブ状のものを使用できる。
弾性樹脂製カバー材4は、図2(b)に示すように、フック部6の両側に、その周囲を取り囲むように取り付けられる。そして、この弾性樹脂製カバー材4は、被連結金具3において、パネル本体2の背面から少なくとも10mmの範囲を覆うように設けられている。なお、フック部6の一部に限定されず、図2(d)に示すように、フック部6全体の周囲を覆うように設けることもできる。
弾性樹脂製カバー材4には、その内径がフック部6の直径よりも大きく設計されているものを使用する。そのため、図2(c)に示すように、フック部6の周囲と弾性樹脂製カバー材4の内壁との間に隙間が形成される。弾性樹脂製カバー材4の径方向への厚みは、コンクリート12のひび割れの幅を考慮して、適宜変更できる。
本実施形態に係るひび割れ抑止方法は、図3(b)に示すように、パネル本体2の背面から少なくとも10mmの範囲を弾性樹脂製カバー材4で覆われた被連結金具3がパネル本体2の背面の所定の位置に設けられた残存型枠パネル1を積み重ね、擁壁の前面に残存型枠10を構築する。この際、被連結金具3と擁壁とをセパレータ11によって連結することで、残存型枠パネル1は、擁壁の前面に固定される。この残存型枠パネル1を用いて残存型枠10を構築した後に、図3(a)に示すように、残存型枠パネル1の背面にコンクリート12を打設するコンクリート打設工程を実施する。そして、コンクリート12を打設した後、コンクリート12を硬化させるコンクリート硬化工程を実施する。
コンクリート12が硬化する際に、コンクリート12が収縮することで、残存型枠パネル1の背面とコンクリート12との間には、0.3mmから1.0mm程度の微小な隙間が形成される。この微小な隙間が形成されることで、コンクリート12に生じるひび割れ変位が伝わることはない。
なお、弾性変位追従機能及び弾性変位追従機能については、後述する。
この残存型枠パネル201を使用して構築された残存型枠210は、コンクリート12が硬化する際に、コンクリート12が収縮する変位が左右方向Xに加わり、コンクリート12にひび割れC2が発生する。そして、この収縮する変位が発生すると、図5(b)に示すように、被連結金具203を介し、残存型枠パネル201に対し、残存型枠パネル201を左右方向Xに引き裂く力が生じ、残存型枠パネルにひび割れC1が発生する。
このように、従来の構築方法によって発生するひび割れC1を抑止するために用いられる方法が、本実施形態に係るひび割れ抑止方法である。
打設されたコンクリート12は、コンクリート硬化過程において、左右方向X(図3(a)の矢印方向)に収縮し、コンクリート12にはひび割れCが生じる。
コンクリート12が左右方向Xに収縮すると、弾性樹脂製カバー材4はコンクリート12に押しつぶされ、弾性変位する。つまり、コンクリート12の収縮に追従して、弾性樹脂製カバー材4が弾性変位する。そうすると、弾性樹脂製カバー材4はコンクリート12から加わる力を吸収する。そのため、コンクリート12の収縮によって生じる変位(残存型枠パネル1が引き裂かれる力)は、被連結金具203を介して、残存型枠パネル1に加わらず、残存型枠パネル1にひび割れが生じることが抑止される(図3(b))。
このコンクリート12の収縮に追従して、弾性樹脂製カバー材4が弾性変位することを、弾性樹脂製カバー材の弾性変位追従機能とよぶ。
そうすると、本実施形態に係る残存型枠パネル1は、コンクリート12の収縮によって生じる力が、弾性樹脂製カバー材4及び被連結金具3によって吸収される。そのため、コンクリート12の収縮によって生じる力は、残存型枠パネル1に加わらず、残存型枠パネル1にひび割れが生じることが抑止される。
このコンクリート12の収縮に追従して、被連結部材3が弾性変位することを、被連結部材3の弾性変位追従機能とよぶ。
以上説明したように、残存型枠パネル1を使用し、残存型枠10を構築することで、施工した後に、残存型枠パネル1にひび割れが生じることを確実に抑止することができる。
弾性樹脂製カバー材4の弾性変位追従機能は、弾性樹脂製カバー材4の径方向の厚みに大きく依存する。そのため、弾性樹脂製カバー材4の種類や弾性樹脂製カバー材4の径方向の厚みを適宜決定することで、弾性変位追従機能を調整することができる。
2 残存型枠パネル本体(パネル本体)
3 被連結金具
4 弾性樹脂製カバー材
5 鉄筋
6 フック部
7 埋設部
10 残存型枠
11 セパレータ
12 コンクリート
101 残存型枠パネル
110 残存型枠
103 被連結金具
104 鋼矢板
111 セパレータ
201 残存型枠パネル
202 残存型枠パネル本体(パネル本体)
203 被連結金具
210 残存型枠
C,C1,C2 ひび割れ
X 左右方向
Y 高さ方向
Claims (2)
- 残存型枠パネルの施工後に生じるひび割れを抑止する残存型枠パネルのひび割れ抑止方法であって、
前記残存型枠パネルのパネル本体の背面から少なくとも10mmの範囲を弾性樹脂製カバー材で覆われた被連結金具が、前記パネル本体の背面の所定の位置に設けられ、
前記被連結金具とセパレータとを連結して残存型枠を構築した後に、前記残存型枠パネルの背面にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリートを打設した後、前記コンクリートを硬化させるコンクリート硬化工程をと、を含み、
前記被連結金具の前記弾性樹脂製カバー材で覆われた部分は、前記コンクリートによって固められず、
前記コンクリート硬化工程において前記コンクリートの収縮によって生じるひび割れ変位や、外力によって前記コンクリートに生じるひび割れ変位が、前記弾性樹脂製カバー材の弾性変位追従機能と前記被連結金具の弾性変位追従機能によって、前記パネル本体にほとんど伝わらないことにより、施工した後に、前記残存型枠パネルにひび割れが生じることが抑止される、
ことを特徴とする残存型枠パネルのひび割れ抑止方法。 - 請求項1に記載の残存型枠パネルのひび割れ抑止方法に使用される残存型枠パネルであって、
ステンレス鋼(SUS304)で構成され、U字状のフック部を有し、前記残存型枠パネルのパネル本体の背面の所定の位置に、前記フック部が前記背面側に突出するように設けられた被連結金具を備え、
前記被連結金具の、前記パネル本体の背面から少なくとも10mmの範囲が弾性樹脂製カバー材で覆われている、
ことを特徴とする残存型枠パネル。
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