JP6273567B2 - 粉末消火薬剤処理物を用いてなる肥料およびその製造方法 - Google Patents

粉末消火薬剤処理物を用いてなる肥料およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粉末消火薬剤を原料とする粉末消火薬剤処理物およびその製造方法に関する。より詳しくは、粉末消火薬剤が、リン酸2水素アンモニウムを含有し、撥水性被膜が形成された消火薬剤を原料とする粉末消火薬剤処理物に関するものである。
耐用年数を経過する等の理由で使用されなくなった消火器内の粉末消火薬剤は、一般的には産業廃棄物として処理されている。一方、消火薬剤の主な成分として窒素やリンが含まれていることから、これらを有効利用するために肥料化することが提案されている。しかしながら、粉末消火薬剤は一般的にシリコーン被膜等の撥水性被膜が形成されており水に沈降せず、また窒素やリンが溶出しにくいため、これらの撥水性被膜を除去することが必要である。
これらの消火薬剤の撥水性被膜を除去したり、親水性化したり、肥料化する技術が複数提案されている。例えば、特許文献1には、粉末消火薬剤廃棄物にアルコール水溶液を噴霧し、撹拌、アルコール成分の蒸発によりシリコーンコートを除去する親水化処理方法が提案されている。また、特許文献2には、衝撃、せん断、摩擦等の粉砕処理に供することによって、成型力1000kgで成形した試料の接触角が所定の角度となるように水滴を接触させながら滴下することで測定される濡れ性を向上させた粉末消火薬剤廃棄物の親水化処理方法が提案されている。さらに、特許文献3には、粉末消火薬剤と化学肥料との配合物を20MPa以上で加圧成型する肥料の製造方法が提案されている。
特許第5126561号 特許第3772181号 特開2010−100456号公報
しかし、粉末消火薬剤を粉砕処理により親水化し、肥料として用いるには特殊な粉砕機による粉砕が必要である。また、アルコール添加等により親水化するためには、アルコール添加、撹拌、乾燥といったプロセスが必要となりアルコール等の試薬が必要となる。また、他の資材と混合し加圧によりペレット化する場合も、資材との混合割合から粉末消火薬剤の再利用効率を向上させることが難しい場合があり、加圧する圧力も高圧となり特殊な加圧機が必要となる場合があった。かかる状況下、より生産効率が高く、リサイクル技術として優れた新規な粉末消火薬剤の処理技術が求められていた。本発明は、粉末消火薬剤を処理する方法、またその方法により得られる肥料等として使用することができる粉末消火薬剤処理物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の加熱工程と後処理工程とを組み合わせて行うことで、低コストで、かつ高い生産効率で粉末消火薬剤を肥料等として用いることが可能な粉末消火薬剤処理物とすることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 粉末消火薬剤を原料として得られる粉末消火薬剤処理物の製造方法であって、
粉末消火薬剤を160〜250℃で加熱処理する加熱工程と、当該加熱工程後の粉末消火薬剤を、粉砕、混合および加圧から選択される少なくとも一工程の後処理に供する後処理工程とを有することを特徴とする粉末消火薬剤処理物の製法方法。
<2> 前記粉末消火薬剤が、リン酸2水素アンモニウムを含有し、撥水性被膜が形成された消火薬剤である前記<1>記載の粉末消火薬剤処理物の製造方法。
<3> 前記加熱工程の温度が、170℃以上220℃以下である前記<1>または<2>記載の粉末消火薬剤処理物の製造方法。
<4> 前記後処理工程が、1MPa以上の圧力で加圧する加圧工程である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の粉末消火薬剤処理物の製造方法。
<5> 前記加圧工程の圧力が、5MPa以上20MPa以下である前記<4>記載の粉末消火薬剤処理物の製造方法。
<6> 前記粉末消火薬剤処理物が、ペレット状に成形されてなる前記<1>〜<5>のいずれかに記載の粉末消火薬剤処理物の製造方法。
<7> 粉末消火薬剤を原料として得られる粉末消火薬剤処理物であって、粉末消火薬剤を160〜250℃で加熱処理する加熱工程と、当該加熱工程後の粉末消火薬剤を、粉砕、混合および加圧から選択される少なくとも一工程の後処理に供する後処理工程とを行うことで得られてなることを特徴とする粉末消火薬剤処理物。
<8> 前記後処理工程が、1MPa以上の圧力で加圧する加圧工程である前記<7>記載の粉末消火薬剤処理物。
<9> 前記<7>または<8>記載の粉末消火薬剤処理物を用いてなる肥料。
<10> 粉末消火薬剤を原料とする粉末消火薬剤処理物であって、メタリン酸アンモニウムを含有し、当該粉末消火薬剤処理物のリン成分水溶出率が60重量%以上であることを特徴とする粉末消火薬剤処理物。
<11> 前記<10>記載の粉末消火薬剤処理物を用いてなる肥料。
本発明によれば、粉末消火薬剤を肥料等として利用することができる粉末消火薬剤処理物にすることができる。本発明の技術は、粉末消火薬剤単独を原料とし肥料としての適性を満足することができる粉末消火薬剤処理物を得ることができるものであり、さらに、従来公知の他の親水化技術よりも設備投資にかける費用を比較的低廉化にしやすく、高生産性を確保することができるものである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
本発明は、粉末消火薬剤を原料として得られる粉末消火薬剤処理物の製造方法であって、粉末消火薬剤を160〜250℃で加熱処理する加熱工程と、当該加熱工程後の粉末消火薬剤を、粉砕、混合および加圧から選択される少なくとも一工程の後処理に供する後処理工程とを有する粉末消火薬剤処理物の製法方法である。このような構成とすることで、粉末消火薬剤を効率的に肥料等として利用することができる粉末消火薬剤処理物にすることができる。また、得られた粉末消火薬剤処理物は、単独の粉末消火薬剤から製造しても、水に沈み、例えば肥料としての必須要件を達成することができるものとなる。
本発明は、粉末消火薬剤を原料とする。粉末消火薬剤とは、広く消火器のABC粉末試薬として知られており、リン酸二水素アンモニウム(NH42PO4)を含有し、撥水性被膜が形成されたものが一般的である。粉末消火薬剤中には、さらに硫酸アンモニウム((NH42SO4)や着色剤等、適宜、他の成分が含有されていても良いが、本発明においては肥料等としたときに毒性を持たないものを原料として用いることが好ましい。また、撥水性被膜は一般的には粉末消火薬剤の凝固を防止する等の目的で、粉末を被覆するように設けられ、主にシリコーンコートが行われている。本発明においては、以下の工程により、粉末消火薬剤を親水化し、リンや窒素の成分が肥料として有効に使用される態様の粉末消火薬剤処理物とする。
[加熱工程]
本発明の粉末消火薬剤処理物の製造方法は、粉末消火薬剤を160℃以上250℃以下の温度で加熱処理する加熱工程を行うことを特徴とする。ここで加熱処理する温度は、加熱処理される粉末消火薬剤の実際の温度として管理される温度である。例えば、粉末消火薬剤の中心に温度計を設置し、到達温度として測定することができる。また、乾燥器の温度として管理する場合、乾燥器内の雰囲気温度として設定し、その雰囲気温度に達するように熱処理条件を管理することが必要である。粉末消火薬剤は、当該温度範囲で加熱されることで、簡単な後処理で粘着性を示し、水に沈殿する物質に変化する。これによって、粉末消火薬剤処理物にするための要件の一つである水沈殿性を有するものとすることができる。これは、粉末消火薬剤の成分であるリン酸二水素アンモニウムがメタリン酸アンモニウム((NH4PO3)n)となることや、シリコーンコート層の被覆性が後処理と組み合わせることで低下しやすくなることなどが影響していると考えられる。加熱工程の温度は、170℃以上220℃以下であることが好ましく、180℃以上210℃以下であることがより好ましい。加熱温度が低すぎる場合、加熱時間を長時間化する必要があったり、後処理工程に要する圧力や時間が大きくなったり、親水化しない場合がある。一方、加熱温度が高すぎる場合、アンモニア成分等が揮発し、粉末消火薬剤処理物として利用することができない場合がある。さらに、加熱処理時間の下限は、1分以上であることが好ましく、10分以上であることがより好ましく、1時間以上であることがさらに好ましく、2時間以上であることが特に好ましい。また、加熱処理時間の上限は、200時間以下であることが好ましく、100時間以下であることがより好ましく、50時間以下であることがさらに好ましい。加熱処理時間が短すぎる場合、乾燥器内の粉末消火薬剤の温度が十分に上昇せず、親水化しない場合がある。一方、加熱時間が長すぎる場合、生産効率が低下するため好ましくない。また、加熱処理温度を高めに設定した場合、揮発成分が多くなり過ぎ、肥料として有効な成分が残存しない場合がある。
この加熱工程は、前記の温度範囲で制御することができ、粉末消火薬剤を十分に昇温することができるものであれば制限はないが、例えば、一般的な乾燥器等を用いることができる。また、効率よく、粉末消火薬剤全体を昇温するために、撹拌機能を有する乾燥器等を用いてもよい。
加熱処理後の粉末消火薬剤は、放冷してから後処理工程に供することが好ましい。放冷する方法としては、加熱処理時の温度より低ければどのような温度としてもよいが、常温にて放冷することが可能であり、費用を抑えた処理とすることができるため好ましい。この放冷時間は、加熱処理後の粉末消火薬剤の量や、実際の加熱温度、放冷する条件等により適宜設定されるが、たとえば、1分以上24時間以内等とすることができる。効率よく、本発明の粉末消火薬剤を製造するためには、1分以上3時間以内程度の範囲内にて放冷することが好ましい。
[後処理工程]
本発明は、前記加熱工程後の粉末消火薬剤を、粉砕、混合および加圧から選択される少なくとも一工程の後処理に供する後処理工程を有することを特徴とする。このような後処理工程を行うことで、一定の粘性を有し水沈降性となった加熱工程後の粉末消火薬剤の水沈降性をより安定させることができる。
後処理工程の一つである粉砕は、粉砕機等によりおこなうことができる。前記粉砕に使用し得る粉砕機として、例えば、ボール等の粉砕媒体を入れた容器を回転させ、それによって粉体に粉砕媒体間や該粉砕媒体と容器内壁間において衝撃力、剪断力、摩擦力等を加える広義のボールミル、粉砕ローラーを粉砕テーブル上に転動させ、それによって粉体に該粉砕ローラーと粉砕テーブル表面との間において圧縮力、剪断力等を加えるローラーミル、ハンマー、ピン、ディスク等を高速回転させ、それによって粉体に衝撃力、剪断力等を与える高速回転ミル、固定容器内に入れたボール等の粉砕媒体を粉体と共に撹拌し、それによって粉体に剪断力、摩擦力等を加える媒体撹拌ミル、高圧ジェット気流を噴出させ、それによって粉体に衝撃力、摩擦力等を加えるジェットミル、或は前記粉砕機を一部変形したものや複数の前記粉砕機における所要機能を適宜組み合わせたもの等が挙げられる。例えば、回転容器内の内壁に遠心力で押し付けられた粉体に、曲率半径の異なるインナーピースとの間で強力な圧縮力、剪断力等を加えるオングミルや、固定ディスクと回転ディスクとの間で粉体に圧縮力、摩擦力を加えるディスクミル等も好適に使用可能である。前記粉砕機は、それらの粉砕特性に応じて、所要の濡れ性向上に対応する粉砕処理が行われるように粉砕時間、粉砕力その他の運転条件が設定される。
また、加熱工程後の粉末消火薬剤は、混合の後処理工程に供することもできる。ここで混合とは、油粕や骨粉、魚粉などの有機質肥料や、化学肥料等と混合することを指す。この混合は、各種ミキサー等により撹拌混合により行うことができる。混合する場合、加熱工程後の粉末消火薬剤と、前記した有機質肥料等との混合比率は、加熱工程後の粉末消火薬剤の状態等に応じて適宜設定されるが、例えば、加熱工程後の粉末消火薬剤:有機質肥料等の重量比が、1:10〜10:1であることが好ましく、より好ましくは1:5〜5:1、特に好ましくは1:3〜3:1である。
[加圧工程]
また、本発明の加熱工程後の粉末消火薬剤は、加圧の後処理工程に供することもできる。本発明の粉末消火薬剤処理物の製造方法においては、前記加熱工程後の粉末消火薬剤を1MPa以上の圧力で加圧する加圧工程を後処理工程として選択することが好ましい。この加圧工程は、一定の粘性を有し水沈降性となった加熱工程後の粉末消火薬剤の水沈降性をより安定させることができる方法として好ましいものである。これは、一時的に崩壊しているシリコーン等の撥水性被膜を、加圧工程でさらに破壊等させることで全体を被覆しないようにすることができるためと考えられる。また、一般的には、粉末消火薬剤処理物の用途としては、ペレット化して用いられる態様が多いため、加圧工程によりペレット化することが好ましい。加圧工程の圧力は、5MPa以上20MPa以下であることが好ましく、6MPa以上15MPa以下であることがより好ましい。また、加圧時間は10秒以上10分以下であることが好ましい。加圧時間は加圧圧力や、加熱工程の熱履歴等により適宜変更されるが、これが短すぎる場合、肥料化することができなかったり、ペレット化することが困難となったりする場合がある。なお、本発明において圧力は別途説明がない限り、大気圧を0として表示するゲージ圧であり、正圧である。
本発明の特徴の一つは、このような1MPa以上、好ましくは5MPa以上というような低い圧力で粉末消火薬剤を親水化し、肥料等として用いることができることである。これは、本発明の特有の工程のひとつである前述の加熱工程により、粉末消火薬剤の組成を変性させているため達成できるものである。加圧工程の圧力が低すぎる場合、粉末消火薬剤を十分に親水化させることができず肥料化することができなかったり、ペレット化が困難となり使用し難かったりする場合がある。一方、加圧工程の上限は特に定めはないが、加圧圧力を高くするためには、特殊な装置が必要となることがあり、肥料化に要する費用が高くなる場合があるため、比較的、低廉で入手しやすい装置で達成することができる前記した圧力範囲にて加圧工程を行うことが好ましい。
加圧工程は、前記の圧力範囲で制御することができ、加熱処理後の粉末消火薬剤を加圧することで十分に親水性を得ることができるものであれば制限はないが、例えば、錠剤器や、ローラコンパクタ、ディスクペレッター、押出し造粒器等を用いておこなうことができる。これらの装置を用いて、加圧工程後に、肥料等として用いやすい形状に成形することができるものが好ましい。前述のように、肥料として用いやすい典型的な形状は、ペレット状とすることである。また、本発明は、前記粉末消火薬剤処理物の製造方法により得られてなることを特徴とする肥料として達成することができる。
本発明の粉末消火薬剤処理物は、土壌に混合させ、リン、窒素等の成分を供給する農作物等の肥料として使用することができる。
また、本発明は粉末消火薬剤を原料とする粉末消火薬剤処理物であって、メタリン酸アンモニウムを含有し、当該粉末消火薬剤のリン成分水溶出率が60重量%以上である粉末消火薬剤処理物としても達成することができる。このような構成とすることで、従来産業廃棄物として廃棄されることも多かった粉末消火薬剤を再利用することができるものとすることができる。また、当該粉末消火薬剤処理物を肥料として用いたとき、水溶出率が高いリン成分を含有するため、肥料として非常に適している。また、粉末消火薬剤由来のアンモニア成分を含有し、メタリン酸アンモニウムは徐々に肥料として適切な形状に変換されていくため、遅行性であり、長期間肥料としての効果を奏することが期待される。
本発明の粉末消火薬剤を原料とする粉末消火薬剤であって、メタリン酸アンモニウムを含有し、当該粉末消火薬剤のリン成分水溶出率が60重量%以上である粉末消火薬剤は、加熱工程と、粉砕や加圧等の後処理工程とを経ることで得ることができる。メタリン酸アンモニウムは、リン酸二水素アンモニウムが、160℃〜250℃等の加熱処理されることで生成される物質である。このメタリン酸アンモニウムは、リン酸二水素アンモニウムのような顕著な吸熱反応を示さないため、一般的には粉末消火薬剤にはほとんど含まれないが、本発明においては、前述したような加熱処理によって、リン酸二水素アンモニウムを一部、メタリン酸アンモニウムに変化させる。この変化量は、特に定めはないが、後処理工程に応じて、水に溶解、沈殿しやすいようなる程度に、原料となる粉末消火薬剤のリン酸二水素アンモニウムが減少し、メタリン酸アンモニウム等に変化していればよい。
また、本発明の肥料において、当該肥料のリン成分水溶出率が60重量%以上である。ここでリン成分水溶出率の測定は、試料1gを水80mLに添加し30分間十分にスターラー等を用いて撹拌したときに、濾過後、10mLを分取し、蛍光X線で分析したときのリン元素の量から、水に溶出したリン元素量を求めることができる。同様に、測定項目としてイオウ元素を測定することも有効であり、これらの水溶出量を測定することで、その肥料が水中に放出する栄養量を測ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[原料]
消火薬剤:粉末消火薬剤として、ABC粉末消火薬剤を用いた。当該粉末消火薬剤は、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、ZSX PrimusII)を用いて、ファンダメンタルパラメータ法で分析して、含まれる成分を評価した。ここで、原料として用いた粉末消火薬剤のMSDS情報等を基に、検出されたリン(P)はNH42PO4であるものとして、また、検出されたイオウ(S)は(NH42SO4として、検出されたシリコン(Si)はSiO2として、それぞれの量を求めた。その結果、NH42PO4:(NH42SO4:SiO2の重量比が、47:43:5であった。
[実施例1]
500gの粉末消火薬剤を、200℃に設定した乾燥器(三洋電気株式会社製、MOV−202F)で、3時間加熱し加熱処理された消火薬剤(a−1)を得た。
その後、加熱処理された消火薬剤(a−1)0.5gを、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−5kNX)を用いて、成型圧力6.3MPaで200秒間加圧成型してペレット型消火薬剤(b−1)を得た。得られたペレット型消火薬剤(a−1)に、水40ccを静かに入れた。当該消火薬剤は、しばらくして沈降した。
前記200℃で加熱処理された消火薬剤(a−1)を、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−5kNX)を用いて、成型圧力6.3MPaで200秒間加圧成型してペレット型消火薬剤(b−2)を得た。前記ペレット型消火薬剤(b−2)1gを、100mLの水に溶解させ、濾過後、10mLを分取し、リン成分とイオウ成分の含有量を蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、ZSX PrimusII)、設定条件で分析した。その結果、水に投入させたペレット型消火薬剤のリン成分とイオウ成分のうち、97重量%が水に溶解していることを確認した。
[実施例2〜5]
実施例1に用いた量の粉末消火薬剤を、加熱処理の条件および後処理にあたる加圧工程の条件を表1に示す条件に変更した以外は同一の方法で、実施例2、3、4および5のペレット型消火薬剤を製造した。実施例2〜5により得られるペレット型消火薬剤はいずれも、それぞれのペレット型消火薬剤に、水40ccを静かに入れたとき、しばらくして沈降した。
Figure 0006273567
[実施例6]
500gの粉末消火薬剤を、200℃に設定した乾燥器(三洋電気株式会社製、MOV−202F)で、3時間加熱し加熱処理された消火薬剤(a−2)を得た。その後、加熱処理された消火薬剤(a−2)40gを、自動乳鉢(日陶科学株式会社製、ANM1000型)を用いて、20分間撹拌処理した。その後、塊を乳鉢で解砕し顆粒状の消火薬剤(b−2)を得た。得られた顆粒状消火薬剤(b−2)に、水40ccを静かに入れた。当該消火薬剤は、暫くして沈降した。
[実施例7]
前記実施例6で得られた加熱処理された消火薬剤(a−2)3gを、乳鉢を用いて、15分間撹拌処理して塊を得た。その後、得られた塊を乳鉢で解砕し顆粒状の消火薬剤(b−3)を得た。得られた顆粒状消火薬剤(b−3)に、水40ccを静かに入れた。当該消火薬剤は、暫くして沈降した。
[比較例1]
熱処理せずそのままの状態の粉末消火薬剤0.5gを、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−5kNX)を用いて、成型圧力6.3MPaで200秒間加圧成型してペレット型消火薬剤(b)を得た。
得られたペレット型消火薬剤(b)に、水40ccを静かに入れた。当該消火薬剤は、沈降せず水に浮いた。
前記ペレット型消火薬剤(b)1gを、100mLの水に溶解させ、濾過後、10mLを分取し、リン成分とイオウ成分の含有量を蛍光X線分析装置で分析した。その結果、水に投入させたペレット型消火薬剤のリン成分とイオウ成分のうち、28重量%しか水に溶解しないことを確認した。
本発明によれば、産業廃棄物として処理されることが多かった消火薬剤を、低コストで親水化処理することができ、この処理を行った粉末消火薬剤処理物は、農作物の肥料等として使用することができるようになり有用である。

Claims (6)

  1. 粉末消火薬剤を原料として得られる粉末消火薬剤処理物を用いてなる肥料の製造方法であって、
    リン酸2水素アンモニウムを含有し、撥水性被膜が形成された粉末消火薬剤を160〜250℃で加熱処理する加熱工程と、
    当該加熱工程後の粉末消火薬剤を、粉砕、混合および加圧から選択される少なくとも一工程の後処理に供する後処理工程とを有することを特徴とする粉末消火薬剤処理物を用いてなる親水化した肥料の製造方法。
  2. 前記加熱工程の温度が、170℃以上220℃以下である請求項1記載の肥料の製造方法。
  3. 前記後処理工程が、1MPa以上の圧力で加圧する加圧工程である請求項1または2記載の肥料の製造方法。
  4. 前記加圧工程の圧力が、5MPa以上20MPa以下である請求項記載の肥料の製造方法。
  5. 前記粉末消火薬剤処理物が、ペレット状に成形されてなる請求項1〜のいずれか1項に記載の肥料の製造方法。
  6. 粉末消火薬剤を原料とする粉末消火薬剤処理物であって、メタリン酸アンモニウムを含有し、当該粉末消火薬剤処理物のリン成分水溶出率が60重量%以上であることを特徴とする粉末消火薬剤処理物を用いてなる肥料。
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