JP6272498B2 - アセトニトリルの製造方法 - Google Patents
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Description
CH3COOH+NH3→CH3CN+2H2O
2CH3COOH→CH3COCH3+CO2+H2O
〔1〕
酢酸とアンモニアとを固体酸触媒の存在下に気相反応させて含水粗アセトニトリルを得る気相反応工程と、
前記含水粗アセトニトリル、及び/又は、前記含水粗アセトニトリルの精製物を、活性炭処理する活性炭処理工程と、を有する、
アセトニトリルの製造方法。
〔2〕
前記固体酸触媒が、中間細孔径ゼオライトである、前項〔1〕に記載のアセトニトリルの製造方法。
〔3〕
前記活性炭処理工程後の、前記含水粗アセトニトリル、及び/又は前記含水粗アセトニトリルの精製物中のトルエンの含有量が、アセトニトリル100質量%に対して、1.0質量ppm未満である、前項〔1〕又は〔2〕に記載のアセトニトリルの製造方法。
〔4〕
前記活性炭処理工程において、前記含水租アセトニトリルを活性炭処理する、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のアセトニトリルの製造方法。
〔5〕
前記気相反応工程において、WHSVが、0.5〜20h−1である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のアセトニトリルの製造方法。
〔6〕
前記中間細孔径ゼオライトが、ZSM−5型ゼオライトを含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のアセトニトリルの製造方法。
〔7〕
前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のアセトニトリルの製造方法により製造された、アセトニトリル。
本実施形態のアセトニトリルの製造方法は、酢酸とアンモニアとを固体酸触媒の存在下に気相反応させて含水粗アセトニトリルを得る気相反応工程と、前記含水粗アセトニトリル、及び/又は、前記含水粗アセトニトリルの精製物を、活性炭処理する活性炭処理工程と、を有する。
気相反応工程は、酢酸とアンモニアとを固体酸触媒の存在下に気相反応させて含水粗アセトニトリルを得る工程である。具体的には、固体酸触媒を充填した反応器内で、所定の温度にて、酢酸とアンモニアと触媒とを気相接触させることにより、実施することができるが、特に限定されない。
気相反応の原料となる酢酸及びアンモニアとしては、特に限定されず、各種化学合成法などから製造されたものを用いることができる。酢酸及びアンモニアは、必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのものでよい。例えば、酢酸としては、一般に工業的に用いられる酢酸水溶液を用いることができる。
本実施形態で用いる固体酸触媒は、ブレンステッド酸点を有する固体状のものであれば特に限定されず、従来公知の触媒が用いられる。例えば、カオリン等の粘土鉱物;粘土鉱物等の担体に硫酸、リン酸等の酸を含浸・担持させたもの:酸性型イオン交換樹脂;中間細孔径ゼオライト等のゼオライト類;活性アルミナ類;リン酸アルミニウム類;メソポーラスシリカアルミナ等が挙げられる。
中間細孔径ゼオライトを含有する触媒について以下説明する。「ゼオライト」とは一般的に結晶性の多孔質アルミノシリケートの総称である。ゼオライトは、四面体構造である(SiO4)4−と(AlO4)5−とを基本構造単位として有し、これらが三次元的に連結することで結晶が形成される。また、アルミニウムイオン以外の3価あるいは4価の元素をシリケート骨格に組み込んだメタロシリケートもゼオライトに含まれる。ゼオライトは構造及び組成が多様であるため、構造コード、生成過程、鉱物学、細孔径、細孔の次元、アルミニウム濃度、他のカチオン濃度及び構造元素などのさまざまな観点から異なる分類がなされている(ゼオライトの科学と工学、小野嘉夫・八嶋建明/編、講談社サイエンティフィック参照)。また、国際ゼオライト学会(IZA)により多様なフレームワーク型コードが規定されている。
ここで、「中間細孔径ゼオライト」とは、細孔径の範囲が、A型ゼオライトに代表される小細孔径ゼオライトの細孔径と、モルデナイトやX型やY型ゼオライトに代表される大細孔径ゼオライトの細孔径との中間にある細孔径を有するゼオライトを意味し、その結晶構造中に、例えば酸素10員環を有するゼオライトを意味する。中間細孔径ゼオライトの有する細孔径は、好ましくは5〜6.5Åである。
中間細孔径ゼオライトの構造としては、特に限定されないが、例えば、国際ゼオライト学会(IZA)が規定するフレームワーク型コード(FTC)において、AEL、EUO、FER、HEU、MEL、MFI、NES、TON、及びWEI等で示される構造が挙げられる。このなかでも、MFIで示される構造を有する中間細孔径ゼオライトが好ましい。MFIで示される構造を有する中間細孔径ゼオライトとしては、具体的にはZSM−5型ゼオライトが挙げられる。このような中間細孔径ゼオライトを用いることにより、活性、選択性、触媒寿命がより向上する傾向にある。
中間細孔径ゼオライトのシリカ/アルミナ比(モル比、以下同様。)は、好ましくは20〜1000であり、より好ましくは20〜500であり、さらに好ましくは20〜300である。シリカ/アルミナ比が20以上であることにより中間細孔径ゼオライト触媒をより安定に製造できる傾向にある。また、シリカ/アルミナ比が1000以下であることにより活性がより向上する傾向にある。ゼオライトのシリカ/アルミナ比は、公知の方法、例えばゼオライトをアルカリ水溶液に完全に溶解し、得られる溶液をプラズマ発光分光分析法により分析することで求めることができる。なお、中間細孔径ゼオライトがメタロアルミノシリケート又はメタロシリケートである場合のシリカ/アルミナ比は、上記元素に置換されたアルミニウム原子の量をAl2O3(アルミナ)のモル数に換算した上で、算出される。
中間細孔径ゼオライトを含有する触媒の調製方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。なお、中間細孔径ゼオライトは、水熱合成後にイオン交換、脱アルミニウム処理、含侵や担持などの修飾により組成を変えることが可能である。本実施の形態においては、中間細孔径ゼオライトのイオン交換サイトの少なくとも一部が、プロトンで交換されていることが好ましい。このような中間細孔径ゼオライトを含有する触媒を用いることにより、活性がより向上する傾向にある。
中間細孔径ゼオライトを含有する触媒の形状は、粉状でも粒状でもよく、気相反応工程等のプロセスに応じて適した形状に成型加工した成形体とすることができる。中間細孔径ゼオライトを含有する触媒の成形方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。具体的には、触媒の前駆体を噴霧乾燥する方法、触媒成分を圧縮成型する方法、触媒成分を押出成型する方法が挙げられる。これら成形方法においては、バインダーや成形用希釈剤(マトリックス)を用いてもよい。バインダー及び成形用希釈剤としては、特に限定されないが、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、カオリン、ケイソウ土、粘土等の多孔性耐火性無機酸化物が挙げられる。これらは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。これらのバインダー及び成形用希釈剤は、市販のものを用いてもよく、常法により合成してもよい。中間細孔径ゼオライトを含有する触媒をバインダーを用いて成型加工する場合における、中間細孔径ゼオライト/(バインダー及び成形用希釈剤)の質量比率は、好ましくは10/90〜90/10であり、より好ましくは20/80〜80/20である。
次いで、活性アルミナ類について以下説明する。活性アルミナ類としては、特に限定されないが、例えば、市販の活性アルミナが挙げられる。活性アルミナ類の形状は、粉状でも粒状でもよく、気相反応工程等のプロセスに応じて適したものとすることができる。
気相反応工程において用いられる反応器としては、特に限定されないが、例えば、固定床式反応器、流動床式反応器、移動床式反応器等が挙げられる。反応方式としては、バッチ式及び流通式のいずれもが使用可能であるが、生産性を考慮すれば、流通式が好ましい。なお、本明細書の記載は当業者が容易に調節しうる程度の反応条件の変更を妨げるものではない。
気相反応工程において、反応器に供給するアンモニア/酢酸のモル比は、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.0〜2.0であり、さらに好ましくは1.1〜1.5である。アンモニア/酢酸のモル比が1.0以上であることにより、反応効率がより向上する傾向にある。また、アンモニア/酢酸のモル比が1.5以下であることにより、精製工程において、後述する含水粗アセトニトリルからアンモニアを分離除去するためのエネルギー消費量をより低減できる傾向にある。
WHSV(重量空間速度)は、反応器への触媒充填重量に対する、1時間あたりに流れる原料重量であり、下式にて求めることができる。
WHSV[h−1]=1時間あたりに流れる原料重量[g/h]/触媒充填重量[g]
気相反応工程においては、酢酸及びアンモニアの他に、希釈剤を用いてもよい、希釈剤としては、特に限定されないが、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、水、パラフィン系炭化水素ガス類、及びそれらの混合物など、反応に不活性な気体が挙げられる。このなかでも、窒素及び水が好ましい。希釈剤は、反応原料に含まれている不純物をそのまま使用してもよいし、別途調製した希釈剤を反応原料と混合して用いてもよい。また、希釈剤は反応器に入れる前に反応原料と混合してもよいし、反応原料とは別に反応器に供給してもよい。また、後述する含水粗アセトニトリルの水分量を調整する目的で、酢酸とアンモニアとの気相反応により生成する含水粗アセトニトリルに、水を希釈剤として混合して精製に供してもよい。
気相反応の反応温度は、好ましくは250℃以上であり、より好ましくは300℃以上であり、さらに好ましくは350℃以上である。また、気相反応の反応温度は、好ましくは600℃以下であり、より好ましくは550℃以下であり、さらに好ましくは520℃以下である。反応温度が250℃以上であることにより、反応収率がより向上する傾向にある。また、反応温度が600℃以下であることにより、副生物の生成をより抑制でき、触媒の劣化も抑制できる傾向にある。尚、本実施形態における気相反応は脱水反応(吸熱反応)であるので、反応器内を所望の反応温度に制御するためには、反応器に熱源を設置することが好ましい。例えば、固定床反応器で工業的に気相反応を実施する場合には、多管式シェル&チューブ方式反応器を用いることが考えられる。
気相反応の反応圧力は、本実施形態の気相反応の反応平衡上は、低圧が有利であるが、圧力が高いと反応速度は向上する。従って、平衡転化率と反応速度の兼ね合いであり、好ましくは常圧〜0.3MPaG(ゲージ圧、以下同様。)であり、より好ましくは0.03〜0.25MPaGであり、さらに好ましくは、0.05〜0.20MPaGである。
「含水粗アセトニトリル」とは、10質量%以上70質量%以下のアセトニトリルと、30質量%以上90質量%以下の水と、を含み、その他に0質量%以上60質量%以下の不純物を含み得る組成物である。該不純物としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア、酢酸、アセトアミド、アセトン、トルエン等の芳香族化合物、が挙げられる。
本実施形態のアセトニトリルの製造方法は、含水粗アセトニトリルを精製して、製品アセトニトリルを得る精製工程を有していてもよい。精製工程に含まれる工程としては、含水粗アセトニトリルから水、アンモニア及びその他不純物を除去するように構成されていれば特に限定されないが、例えば、濃縮工程及び脱水工程などが挙げられる。
濃縮工程は、含水粗アセトニトリルからアンモニアを分離し、粗アセトニトリルを得る工程である。アンモニアの分離方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸留塔を用いる方法が挙げられる。ここで、「粗アセトニトリル」とは、含水粗アセトニトリルから、大部分のアンモニアが除かれて濃縮されたアセトニトリルであり、主に50質量%以上75質量%未満のアセトニトリルと、25質量%以上50質量%以下の水と、その他不純物と、を含み得る混合物である。
脱水工程は、粗アセトニトリルから水を分離し、脱水アセトニトリルを得る工程である。水の分離方法としては、特に限定されないが、例えば、粗アセトニトリルにアルカリを添加し、抽出脱水を行う方法が挙げられる。用い得るアルカリとしては、特に限定されないが、例えば、苛性ソーダが挙げられる。また、アルカリの使用量は、粗アセトニトリル中の水分含有量によって適宜調整することができ、粗アセトニトリルの水分含有量に対して、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは30〜60質量%である。抽出温度は、好ましくは5〜60℃であり、より好ましくは10〜35℃である。
ここで、「脱水アセトニトリル」とは、75質量%以上99質量%以下のアセトニトリルと、0質量%以上25質量%未満の水と、その他不純物と、を含み得る混合物である。
精製工程は、その他の工程、例えば低沸分除去工程及び高沸分除去工程を有していてもよい。低沸分除去工程及び高沸分除去工程は、脱水アセトニトリルからアセトニトリルの沸点未満の低沸成分と、アセトニトリルの沸点超過の高沸成分と、を除去し、後述する製品アセトニトリルを得る工程である。低沸分除去方法及び高沸分除去方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸留塔を用いる方法が挙げられる。
また、含水粗アセトニトリルは、既に公知であるプロピレン又はイソブテンとアンモニア及び分子状酸素との接触的アンモ酸化反応によってアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する際に副生成物として得られる副生粗アセトニトリルの蒸留精製方法と同様に、或いは、該蒸留精製方法に倣って精製することもできる。参考となる従来技術としては、特に限定されないが、例えば、特開昭55−153757号公報、特許第3104312号公報、WO2013/146609号パンフレット等を挙げることができる。
「製品アセトニトリル」とは、アセトニトリルの含有量が99質量%超であり、アセトニトリル以外の不純物の含有量が1質量%未満のアセトニトリルをいう。製品アセトニトリルに含まれるアセトニトリルの含有量は、好ましくは99.5質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは99.9質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは99.99質量%以上100質量%以下である。
活性炭処理工程は、含水粗アセトニトリル、及び/又は、含水粗アセトニトリルの精製物を、活性炭処理する工程である。より具体的には、反応器出口から排出される含水粗アセトニトリル、及び/又は、上記精製工程における蒸留塔出口から排出される含水粗アセトニトリルの精製物を活性炭処理することが挙げられるが、特に限定されない。ここで、「含水粗アセトニトリルの精製物」とは、濃縮工程後の粗アセトニトリル、脱水工程後の脱水アセトニトリル、低沸分除去工程後のアセトニトリル、及び高沸分除去工程後のアセトニトリルを含む包括表現である。すなわち、活性炭処理工程は、気相反応工程後であれば、どの段階で行ってもよく、例えば、気相反応工程後かつ精製工程前、精製工程中又は精製工程後に行うことができる。より具体的に、精製工程中とは、濃縮工程後、脱水工程後、及び低沸分除去工程後のいずれかであって高沸分除去工程前を意味する。
活性炭処理工程後の、前記含水粗アセトニトリル及び/又は前記含水粗アセトニトリルの精製物中のトルエンの含有量は、アセトニトリル100質量%に対して、好ましくは1.0質量ppm未満であり、より好ましくは0.5質量ppm以下であり、さらに好ましくは0.1質量ppm以下である。活性炭処理工程後の、含水粗アセトニトリル及び/又は製品アセトニトリルに含まれるトルエンの含有量の下限は、特に限定されないが、好ましくは検出限界量以下であり、より好ましくはアセトニトリル100質量%に対して0質量%である。活性炭処理工程後の、含水粗アセトニトリル及び/又は含水粗アセトニトリルの精製物中のトルエンの含有量が上記範囲内であることにより、より高品質なアセトニトリルとなる。
本実施形態のアセトニトリルは、上記製造方法により得られる。このようにして得られるアセトニトリルは、化学反応用の溶媒、特には医薬中間体の合成用溶媒、精製用溶媒、高速液体クロマトグラフィーの移動相溶媒、DNA合成用溶媒及び精製用溶媒、有機EL材料合成用溶媒、或いは、電子部品の洗浄溶剤として好適に用いることができる。なお、本実施形態のアセトニトリルは、製品アセトニトリルと同義である。
<アセトニトリルの製造>
日揮触媒化成株式会社製H−ZSM−5ゼオライトの押出成型触媒(MFI−30/Al2O3=80/20)を用いて、酢酸とアンモニアの気相反応を行い、含水粗アセトニトリルの製造実験を行った。反応には、流通式固定床反応装置を用いた。内径21.2mmのSUS製反応管に、上記触媒73.3gを充填した。触媒層高さは340mmであった。この反応管に水分量20質量%の酢酸水溶液(80%酢酸水溶液)及びアンモニアを供給した。
なお、組成分析は以下の条件で実施した(以下同様)。
・装置:株式会社島津製作所製「GC2010」
・カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製「HP−INNOWAX」
・検出器:TCD
・カラム温度:60℃(1分保持)→100℃(昇温速度10℃/分)→180℃(昇温速度20℃/分)
・インジェクション温度:200℃
・検出器温度:200℃
・キャリアガス:ヘリウム
上記条件での経過時間80h、及び160h後の含水粗アセトニトリルを分析した結果は以下の通りであった。得られた含水粗アセトニトリル中の水分量は51〜52質量%であった。
経過時間 (h) 80 160
アセトニトリル収率 (モル%) 97.4 97.3
(含水粗アセトニトリル組成)
アンモニア (質量%) 5.5 5.5
アセトニトリル (質量%) 41.6 42.0
酢酸 (質量%) 1.0 1.0
アセトン (質量%) 0.2 0.2
アセトアミド (質量%) 0.2 0.2
2CH3COOH→CH3COCH3+CO2+H2O
・装置:株式会社島津製作所製「GC−17A」
・カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製「HP−5」
・検出器:FID
・カラム温度:50℃(3分保持)→200℃(昇温速度10℃/分)
・インジェクション温度:250℃
・検出器温度:250℃
・キャリアガス:窒素
上記含水粗アセトニトリル2,000gをステンレス製容器に受け入れ、そこへ、日本エンバイロケミカルズ株式会社製粒状白鷺S2Xを200g添加して密閉し、室温下、15分間攪拌混合した。しかる後、フィルターを介して活性炭処理工程後のアセトニトリル液のみを回収した。
・装置:アジレント・テクノロジー株式会社製「HP−6890/5973N」
・カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製「HP−INNOWAX」
・オーブン温度:40℃(5分保持)→200℃(昇温速度10℃/分)
・インジェクション温度:200℃
・インターフェース温度:240℃
・キャリアガス:ヘリウム
<アセトニトリルの製造>
住友化学製活性アルミナKHD−46を用いて、酢酸とアンモニアの気相反応を行い、含水粗アセトニトリルの製造実験を行った。内径20mmの石英ガラス製反応管に、上記触媒3.13gを充填した。触媒層高さは20mmであった。この反応管に水分量20質量%の酢酸水溶液(80%酢酸水溶液)及びアンモニアを供給した。
経過時間 (h) 2 6
反応温度 (℃) 424 467
アセトニトリル収率 (モル%) 51.8 69.3
(含水粗アセトニトリル組成)
アンモニア (質量%) 15.6 15.7
アセトニトリル (質量%) 20.9 28.4
酢酸 (質量%) 16.0 5.9
アセトン (質量%) 2.9 5.3
アセトアミド (質量%) 6.2 1.6
上記含水粗アセトニトリル100gをステンレス製容器に受け入れ、そこへ、日本エンバイロケミカルズ株式会社製粒状白鷺S2Xを10g添加して密閉し、室温下、15分間攪拌混合した。しかる後、フィルターを介して活性炭処理工程後のアセトニトリル液のみを回収した。
<アセトニトリル/トルエン/水 模擬組成液を用いた活性炭処理実験>
活性炭処理工程におけるトルエンの除去効率に対する被処理液の水分含有量の影響をみるため、模擬液を用いて活性炭処理工程を行った。模擬液としては、トルエンの含有量をアセトニトリル100質量%に対して13.5質量ppmとし、該アセトニトリルに水を添加し、液中水分含有量を0,10,20,40,60質量%に調整したものを用意した。
<アセトニトリル/トルエン/水 模擬組成液を用いた活性炭処理実験>
活性炭として日本エンバイロケミカルズ株式会社製粒状白鷺S2Xを用い、模擬液としてトルエンの含有量をアセトニトリル100質量%に対して13.55質量ppmとしたアセトニトリル水溶液(液中水分含有量0質量%、60質量%)を用いたこと以外は、実施例3と同様に活性炭処理試験を行った。結果を図2に示す。
<アセトニトリル/トルエン/水 模擬組成液を用いた活性炭処理実験>
活性炭として日本エンバイロケミカルズ株式会社製粒状白鷺G2Cを用いたこと以外は、実施例4と同様に活性炭処理試験を行った。結果を図3に示す。活性炭の銘柄や使用量により前後はするが、実施例3〜5の結果から、含水アセトニトリル中の微量のトルエンは、該含水アセトニトリルの水分量が多いほど効果的に除去できることがわかる。
<含水粗アセトニトリルの活性炭カラム処理実験>
内径30mmで高さ350mmのステンレス管に日本エンバイロケミカルズ株式会社製活性炭粒状白鷺S2Xを400g充填した。実施例1で得られた含水粗アセトニトリルをポンプにて32ml/分の供給速度で該活性炭カラム下部より通液し、カラム上部から処理後の含水粗アセトニトリルを回収した。カラムでの該含水粗アセトニトリルの活性炭層滞留時間は30分と見積もられる。該条件にて1kgの含水粗アセトニトリルを処理し、処理後の含水粗アセトニトリル中のトルエン含有量をガスクロマトグラフィーで分析したが、検出限界以下であった。
Claims (6)
- 酢酸とアンモニアとを固体酸触媒を含有する触媒の存在下に気相反応させて含水粗アセトニトリルを得る気相反応工程と、
前記含水粗アセトニトリル、及び/又は、前記含水粗アセトニトリルの精製物を、活性炭処理する活性炭処理工程と、を有する、
アセトニトリルの製造方法であって、
前記含水粗アセトニトリル中の水の含有量が、含水粗アセトニトリル100質量%に対して30質量%以上90質量%以下である、
アセトニトリルの製造方法。 - 前記固体酸触媒が中間細孔径ゼオライトである、請求項1に記載のアセトニトリルの製造方法。
- 前記活性炭処理工程後の、前記含水粗アセトニトリル及び/又は前記含水粗アセトニトリルの精製物中のトルエンの含有量が、アセトニトリル100質量%に対して、1.0質量ppm未満である、請求項1又は2に記載のアセトニトリルの製造方法。
- 前記活性炭処理工程において、前記含水租アセトニトリルを活性炭処理する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアセトニトリルの製造方法。
- 前記気相反応工程において、WHSVが、0.5〜20h-1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアセトニトリルの製造方法。
- 前記中間細孔径ゼオライトが、ZSM−5型ゼオライトを含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載のアセトニトリルの製造方法。
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