JP6269721B2 - 浚渫土の改質方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水域環境修復材(例えば、浅場や干潟の造成材)などに用いる浚渫土の改質方法に関する。
水質環境改善などを目的として、浅場や干潟の造成が行われている。従来、浅場や干潟の造成は、砕石を用いて沖合に土留め潜堤を設置した後、その岸側(陸側)に中詰材として浚渫土を設置し、その表層に天然砂を覆砂するような工法が採られている。
これに対して、特許文献1には、浚渫土砂と鉄鋼スラグとからなる非固結性の浅場・干潟造成材が開示されている。また、特許文献2〜4には、鉄鋼スラグに含まれるCaO分を積極的に活用し、浚渫土に鉄鋼スラグを混合して強度改質を行う技術が示されている。この技術では、主に鉄鋼スラグのCaO分と浚渫土のSi、Al等とのポゾラン反応により、浚渫土の強度改質を行うものである。このように鉄鋼スラグを用いて軟弱浚渫土の強度改善を図ることは、今まで利用できなかった浚渫土を、鉄鋼スラグの元来の固有特性であるCaOと結びつけて活用できるため、社会的に有用性が極めて高い。
特開2005−133309号公報 特開2009−121167号公報 特開2011−206625号公報 特開2011−208365号公報 特開2012−31618号公報 特開平8−60152号公報 特開平9−100470号公報
鉄鋼スラグを混合した浚渫土を浅場・干潟造成材などのような水域環境修復材として用いる場合、鉄鋼スラグの混合による強度改質が十分でないと、設置した水域環境修復材が流出したり、構造的な安定性が確保できないなどの問題を生じる。しかし、実際の浚渫土の性質は地域や海域によってさまざまであり、鉄鋼スラグを混合することによる固化(強度発現)の度合いは、浚渫土によって大きく異なる。そのため、浚渫土に鉄鋼スラグを混合する方法を実際に適用する場合には、事前に配合テストを実施するか、その浚渫土の物理的特性に応じて適用するスラグを選定する必要がある(例えば、特許文献5)。
また、基本的にはこれらの対応によって浚渫土の強度は発現するが、本発明者らは様々な浚渫土を対象に試験を行った結果、鉄鋼スラグを50体積%に近い割合まで混合しても強度がほとんど発現しない浚渫土が稀にではあるが存在することが判った。鉄鋼スラグを50体積%に近い割合まで混合すると浚渫土の割合が少なくなるため、浚渫土を有効利用するという本来の目的が達成できなくなる。また、この状態は鉄鋼スラグの粒どうしが接触して構造を保持できるレベルであるとも考えられ、鉄鋼スラグと浚渫土によるポゾラン反応が十分作用していないとみなされる。このような浚渫土に対しては、製鋼スラグ以外のセメントや石灰といった材料を添加した場合でも、強度発現性が劣ることが判った。このような浚渫土を固化するには有効な手法がなく、浚渫土は有効利用できずに廃棄するしかない状況であった。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、鉄鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う方法において、事前に配合テストを実施したり、浚渫土の物理的特性に応じて鉄鋼スラグを選定したりすることなく、浚渫土を十分な強度を発現できる性状に改質することができ、特に、鉄鋼スラグを混合するだけでは強度が発現しない浚渫土についても、十分な強度を発現させることができる改質方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、鉄鋼スラグを混合するだけでは強度が発現しない浚渫土であっても、浚渫土の間隙水のSO濃度を一定レベル以上とした上で鉄鋼スラグを混合するか、或いは浚渫土に対して鉄鋼スラグとともに微量の石膏を添加することにより、施工に必要な流動性を確保しつつ、施工後に流出を生じない十分な強度を有する浚渫土に改質できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]鉄鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う方法において、浚渫土に対して、浚渫土の間隙水のSO濃度を1000mg/L以上とした上で鉄鋼スラグを混合することを特徴とする浚渫土の改質方法。
[2]鉄鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う方法において、浚渫土に対して、鉄鋼スラグとともに石膏を混合し、該石膏の混合材中での割合を0.5体積%以上とすることを特徴とする浚渫土の改質方法。
[3]上記[1]または[2]の改質方法において、浚渫土が、遊離CaO含有量が10質量%の鉄鋼スラグを20体積%混合しても7日後の一軸圧縮強度が30kN/mを超えない浚渫土であることを特徴とする浚渫土の改質方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの改質方法において、浚渫土に鉄鋼スラグまたは鉄鋼スラグと石膏を混合した混合材のフロー値が8.5cm以上であることを特徴とする浚渫土の改質方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの改質方法において、浚渫土が、有機炭素量が4質量%以上の浚渫土であることを特徴とする渫土の改質方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの改質方法において、鉄鋼スラグは遊離CaOを0.5質量%以上含むことを特徴とする浚渫土の改質方法。
[7]鉄鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う方法において、
浚渫土の間隙水のSO濃度と乾燥後の有機炭素量を測定し、測定されたSO濃度と有機炭素量に応じて、下記(a)または(b)を行うことを特徴とする浚渫土の改質方法。
(a)SO濃度が1000mg/L以上で、かつ有機炭素量が4質量%未満のときには、浚渫土に鉄鋼スラグのみを添加して混合する。
(b)SO濃度が1000mg/L未満または/および有機炭素量が4質量%以上のときには、浚渫土に鉄鋼スラグとともに石膏を混合し、該石膏の混合材中での割合を0.5体積%以上とする。
本発明によれば、鉄鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う方法において、鉄鋼スラグを混合するだけでは強度が発現しない浚渫土であっても、事前に配合テストを実施したり、浚渫土の物理的特性に応じて鉄鋼スラグを選定したりすることなく、施工後に流出を生じない十分な強度を有する浚渫土に改質することができる。このため、従来使用できなかったような浚渫土を浅場・干潟造成材料などの水域環境修復材として有効利用することができ、また、鉄鋼スラグもエージング処理などを施すことなく使用できるので、鉄鋼スラグを経済的に利材化できる利点もある。
海底から回収した浚渫土の間隙水を置換してそのSO濃度を変えた上で、製鋼スラグを所定量混合した材料(混合材)について、強度発現(平面式土壌硬度)を調べた結果を示すグラフ 製鋼スラグを混合する前の浚渫土の間隙水のSO濃度と、浚渫土と製鋼スラグとの混合材の一軸圧縮強さとの関係を示すグラフ 浚渫土に製鋼スラグとともに石膏を0〜1.0体積%の範囲で混合した混合材について、石膏の配合割合と混合材の一軸圧縮強さとの関係を示すグラフ 浚渫土に製鋼スラグのみを混合した混合材と、浚渫土に製鋼スラグとともに石膏を混合した混合材について、製鋼スラグの混合率と混合材の一軸圧縮強さとの関係を示すグラフ 浚渫土に製鋼スラグとともに石膏を混合した混合材について、製鋼スラグの混合率と混合材のフロー値との関係を示すグラフ
本発明の浚渫土の改質方法は、浚渫土と鉄鋼スラグの混合材(以下、単に「混合材」という場合がある)を、例えば、浅場・干潟造成材などのような水域環境修復材として用いようとする際に、浚渫土の混合利用量を十分に確保しつつ、混合材の強度を改善することができる改質方法である。また、特に、標準的な浚渫土に対して混合した場合には強度が発現する鉄鋼スラグを混合したにも関わらず、強度が発現しないような浚渫土に対して適用し、十分な強度を発現させることができる改質方法である。
浚渫土に鉄鋼スラグを混合した場合の通常の硬化は、ポゾラン反応によってなされるとされている。すなわち、浚渫土のSi、Al成分と、製鋼スラグのCaとが主に反応し、その結果として、セメントで見られるようなCa−Si−Al−HOの生成物が形成されて硬化すると考えられる。したがって、この反応を阻害するような因子が浚渫土に含まれる場合には、硬化が阻害されることになる。これを補う方法としては、主にCa−Si−Al−HOをより積極的に生成させるため、セメントや高炉スラグ微粉末を添加するのが代表的な対処方法である。
ところが、このような反応阻害物質の種類や量は、浚渫土によってまちまちであり、また場合によっては、セメントなどを加えても効果がほとんどない場合すらあった。そこで本発明者らは、全く違った反応を組み合わせることで強度発現をさせることを検討することにした。一般に陸上の土壌の改良はセメントなどを添加して行われるが、強度が発現しにくい原因として有機性土壌が知られており、その対策としてエトリンガイト系化合物を生成させる方法が知られている。陸上の軟弱な土壌にスラグと石膏とを同時に添加する方法は、特許文献6、7などで提案されている。本発明者らは、浚渫土においても、これと類似の機構が働く可能性があると考え、一般的に評価されるような、浚渫土の固形分に含まれるSO量と強度発現との相関を調査したが、浚渫土の場合にはあまり明瞭な関係は見られなかった。また、上述の方法の場合には陸上での施工であるため、同時に含有する水はほとんどなく、例えば、特許文献6、7では含水率32%の土壌を対象とした配合試験例が示されている。このような場合には、もともとの土が流動するような特性を持っておらず、浚渫土と製鋼スラグの混合材を海中施工する際に想定されているような、混合材の流動性を確保できない。
そこで、さらに検討を進めた結果、陸上で使用しているような、常に空気にさらされている土壌と、浚渫土のように空気と遮断されている土壌とでは、環境が全く異なり、反応経路を含めて考慮すべきであることが判った。さらに、浚渫土は陸上の土壌とは異なり間隙水を多量に含んでいるため、その影響が無視できないことも判った。通常、海域の浚渫土の間隙水であるので、そのイオン種や濃度は海水とほぼ同じであると考えられていたが、実際の状況を調査してみると、原因は不明であるが、浚渫土によって間隙水に含まれるイオン種の濃度が大きく異なることが判明した。そして、間隙水の水質のなかで、特にSO濃度が不足している場合に、強度発現性が低下していることを見出し、そこに必要な量のSOイオンを供給することによって、固化を進行させることができることを見出した。
図1に、海底から回収した浚渫土の間隙水を置換してそのSO濃度を25mg/L、1200mg/L、2400mg/Lと変えた上で、製鋼スラグを20体積%混合した材料について、強度発現(土壌硬度)を調べた結果を示す。なお、強度(土壌硬度)は山中式土壌硬度計(平面型)を用いて評価した。図1によれば、製鋼スラグを混合する前の浚渫土のSO濃度を高くすることで、混合材の強度が大幅に改善されることが判る。
実水域において、水域によって浚渫土の間隙水のSO濃度が小さくなる原因は、必ずしも明確ではないが、淡水が入り込むことによる希釈、海底に有機物が堆積することによって、酸化還元電位が低下して硫酸塩が硫化物に変異する、などの原因が考えられる。
以上の調査結果から、鉄鋼スラグを混合する浚渫土の間隙水のSO濃度を十分に高めることにより、鉄鋼スラグを混合するだけでは強度が発現しない浚渫土であっても、鉄鋼スラグを混合した混合材の強度を発現させることができ、一方、鉄鋼スラグを混合すると強度が発現するような浚渫土では、強度をさらに高めることができることが判った。
このため本発明の第一の改質方法では、浚渫土に対して、浚渫土の間隙水のSO濃度を1000mg/L以上、好ましくは1800mg/L以上とした上で鉄鋼スラグを混合するものである。なお、間隙水のSO濃度の測定は、例えば、浚渫土を遠心分離し、その上澄み部のSO濃度を測定する。
浚渫土の間隙水のSO濃度を高めるには、当該浚渫土の間隙水のSO濃度よりも高いSO濃度の溶液を浚渫土に添加すればよいが、標準的な海水にはSOが2400mg/L程度含まれているため、間隙水のSO濃度を高める簡便な方法としては、もとの浚渫土の水分調整する際に海水を加える方法がある。また、海水以外のSOイオン含有溶液を添加してもよい。海水などのSOイオン含有溶液を浚渫土に添加するのは、浚渫土を掘り出した後、鉄鋼スラグを混合するまでの任意のタイミングで行うことができる。
なお、浚渫土の間隙水のSO濃度を高める場合において、SO濃度の上限は特にないが、SO濃度が高くなりすぎるとエトリンガイトが過剰に生成するため、浚渫土の種類によっては膨張崩壊が起こるおそれがあるので、2800mg/L程度を上限することが好ましい。
また、本発明の第二の改質方法では、浚渫土に対して、鉄鋼スラグとともに石膏を混合するものであり、この方法は、石膏を加えて、より直接的に溶解あるいは反応させるものである。混合材(浚渫土+鉄鋼スラグ+石膏)中での石膏の割合は0.5体積%以上、好ましくは1.0体積%以上とする。石膏の割合が0.5体積%未満では、添加効果が十分に得られない。一方、石膏の割合が多くなると、均質に混合するために必要な時間が長くなったり、流動性を確保するために浚渫土中の水の再調整が必要となるため、混合材(浚渫土+鉄鋼スラグ+石膏)中での石膏の割合は3.0体積%以下が好ましい。このような石膏の添加量は、通常の陸上の土壌改質での石膏系材料の添加量(例えば、5〜20体積%(文献値))に比べてきわめて少量である。このように微量の石膏添加であれば、浚渫土と鉄鋼スラグとあわせて混合しても、混合材の流動性、換言すれば混合材の施工性を阻害することなく浚渫土を改質することができる。
本発明で使用する石膏の種類に特別な制限はないが、石膏のなかでも特に二水石膏が好ましい。本発明における浚渫土と鉄鋼スラグとの混合材は、流動性をもった状態で施工されるが、陸上の土質改良剤で主に使用される半水石膏では、半水石膏に水を取り込まれてしまうため、余剰に加水する必要があるためである。
石膏の添加・混合は、鉄鋼スラグの添加・混合と同時に行ってもよいし、鉄鋼スラグの添加・混合と相前後して行ってよい。
本発明の第一の改質方法や第二の改質方法のように、微量の水質の調整や石膏の添加により、浚渫土と鉄鋼スラグの混合材の固化が進行するようになるメカニズムは、必ずしも明確ではないが、エトリンガイトやタウマライトといった硫黄を含む結晶が生成する際に、反応阻害物質を結晶内に取り込んだり、吸着したりすることによって反応阻害物質による影響が軽減され、その結果として鉄鋼スラグが関与するポゾラン反応も機能することができるようになり、その結果、固化が進行して強度が発現することなどが考えられる。
以下、本発明法のその他の条件について説明する。
本発明において浚渫土に混合する鉄鋼スラグ(鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ)としては、高炉スラグ、製鋼スラグ、鉱石還元スラグなどがある。高炉スラグには、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグがある。また、製鋼スラグとしては、溶銑予備処理、転炉吹錬、鋳造などの工程で発生する製鋼系スラグ(例えば、脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、造塊スラグなど)、電気炉スラグなどが挙げられる。この中でも、ポゾラン反応を有効に作用させる観点から製鋼系スラグが好ましく、なかでも転炉脱炭スラグが特に好ましい。
一般に鉄鋼スラグを使用する場合、事前にエージングが施される。エージングとは、大気中でウェザリングしたり、蒸気雰囲気中に一定期間置くことによって、スラグの体積安定性や表面鉱物の安定性を確保するものである。しかし、本発明の場合には、スラグ表面の化学的反応も強度発現に寄与しているため、エージングは特に必要としない。
鉄鋼スラグは、遊離CaO含有量が0.5質量%以上であることが好ましい。遊離CaO含有量が0.5質量%未満では、上述したようなポゾラン反応が十分に生じないおそれがある。但し、遊離CaO含有量が10質量%を超えるとアルカリ溶出量が多くなるため、遊離CaO含有量は10質量%以下が好ましい。
鉄鋼スラグの粒度は特に制限はないが、比表面積が小さいと反応性が低下するため、最大粒度を40mm以下とし、微粒分まで含む粒度(例えば、40−0mm、20−0mm、5−0mmなどの粒度)が好ましく、特に、礫状材料が混合することによる改良効果が得られるようにするため、40−0mmないし20−0mmの粒度が好ましい。
また、混合材中での鉄鋼スラグの割合(混合率)は10〜50体積%が好ましい。鉄鋼スラグの混合率が10体積%未満では、上述の礫状の鉄鋼スラグを混合させる利点が少なくなり、また、ポゾラン反応を作用させる鉄鋼スラグによる浚渫土の改質効果が小さくなる。一方、鉄鋼スラグの混合率が50体積%を超えると、浚渫土の割合が少なくなるので、浚渫土を有効利用するという意義が小さくなるとともに、施工性の管理やpHの制御が難しくなる。なお、後述するように混合材のフロー値は8.5以上が好ましいが、このフロー値を確保する観点からは、鉄鋼スラグの混合率は50体積%未満(特に48体積%以下)とすることが好ましい。
また、以上のような観点から、鉄鋼スラグの混合率のより好ましい範囲は15〜30体積%である。
本発明を適用する浚渫土の種類にも特別な制限はないが、ポゾラン反応性が劣る浚渫土に適用することが有用である。特に、遊離CaO含有量が10質量%の鉄鋼スラグを20体積%混合しても7日後の一軸圧縮強度が30kN/mを超えない浚渫土は、鉄鋼スラグを混合するだけでは強度が発現しない浚渫土であるといえるので、このような浚渫土に適用することが有用である。ただし、本発明をポゾラン反応性が高い浚渫土(特に、遊離CaO含有量が10質量%の鉄鋼スラグを20体積%混合した場合に7日後の一軸圧縮強度が30kN/mを超える浚渫土)に適用することもでき、これにより、強度をさらに高めることができる。
また、浚渫土の有機炭素量が多いと強度が発現しにくくなるので、本発明は有機炭素量が比較的多い浚渫土、なかでも有機炭素量が4質量%以上の浚渫土の改質に特に有用である。有機炭素量が4質量%未満の浚渫土であっても本発明の効果は得られるが、有機炭素量がその範囲では、基本的に製鋼スラグの量を調整することによって必要な強度は確保できる。一方、有機炭素量が4質量%以上の浚渫土は、鉄鋼スラグの混合だけでもある程度は強度が上昇するが、所望の強度を得ようとすると鉄鋼スラグを大量(例えば、混合材中の割合で50体積%を超える量)に混合する必要があり、本来有効利用する対象である浚渫土の使用比率が大幅に低下してしまう。
浚渫土と鉄鋼スラグの混合材(浚渫土に鉄鋼スラグまたは鉄鋼スラグと石膏を混合した混合材。以下同様)は流動性を有するものであり、流動性の程度に特に制限はないが、施工性および鉄鋼スラグの粒子を浚渫土が安定的に覆う効果を考慮した場合、混合材のフロー値は8.5cm以上が好ましい。一方、混合材のフロー値が大きすぎると浚渫土と製鋼スラグの分離が起こってしまい、施工後の品質が確保できなかったり、施工直後に流出してしまうなどの問題を生じやすい。このためフロー値は23.0cm未満が好ましい。ここで、フロー値の測定は、JHS−A−313(日本道路公団規格)の「シリンダーフロー試験」に準拠して行う。浚渫土と鉄鋼スラグの混合材のフロー値は、浚渫土の含水率、浚渫土と鉄鋼スラグの混合割合などで調整することができる。
本発明(第二の改質方法)を実施するに当たっては、例えば、浚渫土の間隙水のSO濃度と乾燥後の有機炭素量を測定し、測定されたSO濃度と有機炭素量に応じて、下記(a)または(b)を行うようにすることができる。
(a)SO濃度が1000mg/L以上で、かつ有機炭素量が4質量%未満のときには、浚渫土に鉄鋼スラグのみを添加して混合する。
(b)SO濃度が1000mg/L未満または/および有機炭素量が4質量%以上のときには、浚渫土に鉄鋼スラグとともに石膏を混合し、この石膏の混合材中での割合を0.5体積%以上とする。
本発明により改質された浚渫土(混合材)は、浅場・干潟造成材をはじめ、水域での種々の用途に適用できる。
東京湾の工業地帯エリアから回収された浚渫土を対象として、製鋼スラグを混合することで改質を行った。浚渫土の基本物性を表1に示す。これによると、強熱減量が比較的高く、有機分が多いことが示唆される。また、この浚渫土は、乾土に含まれるSOが2.6質量%と一般の浚渫土(0.8質量%以下)と比較して高いが、間隙水のSO濃度は780mg/Lと低レベルであった。なお、間隙水のSO濃度は、浚渫土を遠心分離し、その上澄み部のSO濃度を測定したものである。
製鋼スラグとしては、JIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」においてCS20相当の粒度を持つ転炉脱炭スラグを用いた。この転炉脱炭スラグは、表乾密度が3.11、遊離CaO量が3質量%である。
Figure 0006269721
[実施例1]
浚渫土の間隙水のSO濃度を、SO濃度のみを変えた人工海水で置換することで調整した上で、これらの浚渫土と製鋼スラグを体積%で70(浚渫土):30(製鋼スラグ)の割合で混合し、混合材の養生後の強度を調査した。この混合材の強度の調査では、混合材をφ5cm×10cm高さのモールドに入れて養生し、浚渫土と製鋼スラグを混合して7日後の一軸圧縮強さを測定した。一軸圧縮強さの測定は、JIS A1108に規定されたコンクリートの圧縮強度試験方法に準拠して行った。
図2に測定結果(図2の横軸は、製鋼スラグを混合する前の浚渫土の間隙水のSO濃度である)を示す。これによると、間隙水のSO濃度(製鋼スラグを混合する前の間隙水のSO濃度)が1000mg/L未満の浚渫土では、混合材の強度は十分に発現していない。これに対して、間隙水のSO濃度が1000mg/L以上の浚渫土では、混合材の強度が発現し、特に、SO濃度が1800mg/L以上の浚渫土では、7日後の一軸圧縮強さが約200kN/mとなり、海底地盤として十分利用できる強度が確保できている。このように、浚渫土の間隙水のSO濃度を十分に高めた状態で製鋼スラグを添加・混合することにより、ただ単に製鋼スラグを混合するだけでは強度発現しないような浚渫土であっても、強度を安定的に発現させることができる。
[実施例2]
浚渫土に製鋼スラグとともに石膏を混合し、混合材の養生後の強度を調査した。浚渫土、製鋼スラグ、石膏の配合割合は、浚渫土を70体積%、製鋼スラグ+石膏を30体積%で固定し、石膏の割合を全体の0〜1.0体積%の範囲で変えた。この混合材の強度の調査では、上述のとおり製鋼スラグとして20−0mmの粒度のものを用い、混合材をφ10cm×20cm高さのモールドに入れて養生し、浚渫土と製鋼スラグ(および石膏)を混合して7日後と、28日後の一軸圧縮強さをそれぞれ測定した。石膏としては、二水石膏(吉野石膏(株)製、表乾密度2.32)を用いた。混合材の一軸圧縮強さの測定は、JIS A1108に規定されたコンクリートの圧縮強度試験方法に準拠して行った。
図3に測定結果を示す。これによると、石膏の添加量が0.3体積%添加までは変化がほとんど見られないが、0.5体積%になると強度の上昇が明確になり、1.0体積%ではさらに高くなり、陸上の改良土としても使用できるレベルまで強度が上昇している。
また、表1の浚渫土とは異なる場所(東京湾沿岸部)で回収された表2に示す基本物性の浚渫土を対象とし、石膏(添加量0.5体積%)を添加した混合材と、石膏を添加しない混合材であって、それぞれ製鋼スラグの混合率(混合材中での割合)を変化させたものについて、28日後の一軸圧縮強さを測定した結果を図4に示す。これによると、製鋼スラグの混合率に関わりなく、石膏の添加によって強度が上昇しているが、特に製鋼スラグを10体積%以上混合することが有効であることが判る。また、その際のフロー値の測定結果を図5に示す。これによれば、製鋼スラグの混合率が大きいとフロー値が小さくなり、施工性が低下するが、混合率が50体積%未満(特に48体積%以下)であれば、フロー値は8.5以上を確保できており、安定した施工性が確保できていることが確認された。
Figure 0006269721

Claims (1)

  1. 鉄鋼スラグを混合して浚渫土の改質を行う方法において、
    浚渫土の間隙水のSO濃度と乾燥後の有機炭素量を測定し、測定されたSO濃度と有機炭素量に応じて、下記(a)または(b)を行うことを特徴とする浚渫土の改質方法。
    (a)SO濃度が1000mg/L以上で、かつ有機炭素量が4質量%未満のときには、浚渫土に鉄鋼スラグのみを添加して混合する。
    (b)SO濃度が1000mg/L未満または/および有機炭素量が4質量%以上のときには、浚渫土に鉄鋼スラグとともに石膏を混合し、該石膏の混合材中での割合を0.5体積%以上とする。
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