JP6265029B2 - 電子デバイス用の接合構造及び電子デバイス - Google Patents

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Description

本発明は電子デバイス用の接合構造及び当該接合構造を備える電子デバイスに関する。
電子デバイスを構成する部材同士をAuSn系ろう材を介して接合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。「ろう材(braze material)」とは、接合される部材(基板又は導体層等)よりも融点の低い合金を意味する。AuSn系ろう材を用いた接合では、接合される一対の部材の両方の表面に予めAuめっき層を形成する。そして、一対のAuめっき層の間に挟んだAuSn系ろう材を加熱して溶融させることで、部材間に接合構造が形成され、部材同士が電気的に接続される。この接合方法において、Auめっき層は、部材表面に対するAuSn系ろう材の濡れ性を向上させる。
特開2005−262317号公報
従来のAuSn系ろう材を用いた接合方法では、AuSn系ろう材から形成されたAuSn系ろう層とこれに隣接するAu層(Auめっき層に由来する層)との界面(接合界面)に、ボイド(気泡)又はクラック(ひび)が発生し易い。接合界面にボイド又はクラックが形成された接合構造に剪断力が加わると、接合構造は接合界面において破損し易い。つまり、従来のAuSn系ろう材を用いて形成した接合構造では、部材間の十分な接合強度を達成することが困難である。したがって、従来の接合構造を備える電子デバイスに落下等の衝撃が加わると、接合構造が容易に破損して、部材間の電気的接続が破断してしまう。
また、従来の接合構造はAuSn共晶を含むため、従来の接合構造の融点は低く、278℃程度である。したがって、ろう材を用いた2回以上の部材同士の接合(加熱工程)が必要とされる電子デバイスの製造過程では、1次接合によって形成された接合構造が、2次接合の際に再び溶融し、接合構造を介した部材間の電気的接続が破断してしまうことがある。つまり、従来の接合構造は耐熱性に劣る。
本願発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、接合強度及び耐熱性に優れた電子デバイス用の接合構造、及び当該接合構造を備える電子デバイスを提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る電子デバイス用の接合構造は、ニッケルを含む第1金属層と、第1金属層の上に形成され、金、スズ及びニッケルを含む第2金属層と、を備え、第2金属層における金の含有量が、第2金属層の全体に対してx質量%であり、第2金属層におけるスズの含有量が、第2金属層の全体に対してy質量%であるとき、y/xが0.8〜5.0である。
本発明の一側面に係る電子デバイス用の接合構造では、第2金属層におけるニッケルの含有量が、第2金属層の全体に対して5〜25質量%であってもよい。
本発明の一側面に係る電子デバイス用の接合構造では、第2金属層が、パラジウムを含でいてもよい。
本発明の一側面に係る電子デバイス用の接合構造では、パラジウムの含有量が他の元素の含有量よりも大きい部位Aが、第2金属層内に存在していてもよい。
本発明の一側面に係る電子デバイス用の接合構造では、部位Aが、第1金属層及び第2金属層の間の界面に垂直な方向における第2金属層の中央に位置していてもよい。
本発明の一側面に係る電子デバイスは、上記接合構造を備える。
本願発明によれば、接合強度及び耐熱性に優れた電子デバイス用の接合構造、及び当該接合構造を備える電子デバイスが提供される。
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの断面の模式図である。 本発明の一実施形態に係る接合構造の断面の模式図である。 図3(a)及び図3(b)は、本発明の一実施形態に係る接合構造の製造方法を示す模式図であって、接合構造がパラジウムを含まない場合の製造方法を示す図である。 図4(a)及び図4(b)は、本発明の一実施形態に係る接合構造の製造方法を示す模式図であって、接合構造がパラジウムを含む場合の製造方法を示す図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、各図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付与す。図1〜4は模式図に過ぎず、接合構造及び電子デバイスの形状及び縦横比は図1〜4に示すものに限定されない。
(接合構造及び電子デバイス)
図1は、本実施形態の電子デバイス100(モジュール)の断面を示す。断面とは、第1基板40及び第2基板60の表面に垂直な方向(基板が互いに対向する方向)における断面である。本実施形態の電子デバイス100は、第1基板40、第2基板60、チップ90、及び接合構造10を備えてよい。接合構造10は、第1基板40と第2基板60との間に位置し、第1基板40と第2基板60とを接合して、これらを電気的に接続する。また接合構造10は、第2基板60とチップ90の間に位置し、第2基板60とチップ90とを接合して、これらを電気的に接続する。なお、電子デバイス100は、接合構造10によって接合された一対の電子部品を備えてもよい。
第1基板40及び第2基板60は、Si又はセラミック等の無機物から構成される基板であってよい。また、第1基板40及び第2基板60は、樹脂等の有機化合物から構成される基板(例えばマザーボード)であってもよい。ただし、第1基板40及び第2基板60は、接合構造10の形成に要する加熱温度よりも高い融点を有する無機物からなっていてよい。融点が高い無機物からなる第1基板40及び第2基板60は、接合構造10の形成に必要な加熱によって溶融し難く、損傷し難いからである。チップ90は、半導体素子等の電子部品であればよい。
図2は、本実施形態に係る電子デバイス100用の接合構造10の断面を示す。断面とは、第1基板40及び第2基板60の表面に垂直な方向(基板が互いに対向する方向)における断面である。第1基板40の上には、第1導体層15が形成されている。接合構造10は、第1導体層15上に積層された第1金属層11と、第1金属層11上に積層された第2金属層12と、を備える。第1金属層11はニッケル(Ni)を含む。第1金属層11はニッケルのみからなっていてもよい。第2金属層12は、金(Au)、スズ(Sn)及びニッケルを含む。第2金属層12は、金、スズ及びニッケルからなっていてもよい。接合構造10は、第2金属層12上に積層された第3金属層13を備えていてもよい。第3金属層13上には、第2導体層14が形成されていてもよい。第3金属層13が含む金属は、例えば、ニッケル又はチタン(Ti)等であってよい。第1導体層15及び第2導体層14は、金、銀(Ag)、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等の電気伝導性に優れた物質からなっていてよい。第1導体層15及び第2導体層14を設けることにより、第1基板40と第2基板60との間の電気伝導性が高まる。また、第1導体層15と第1基板40との間に、チタン等からなるシード(seed)層16を設けてもよい。シード層16により、第1導体層15と第1基板40との密着性が向上する。第2導体層14と第2基板60との間に、チタン等からなるシード層17を設けてもよい。シード層17により、第2導体層14と第2基板60との密着性が向上する。
第2金属層12における金の含有量が、第2金属層12の全体に対してx質量%であり、第2金属層12におけるスズの含有量が、第2金属層12の全体に対してy質量%であるとき、y/xは0.8〜5.0である。y/xは0.8〜4.8であってもよい。y/xが上記範囲である場合、第2金属層12は従来のAuSn系ろう材よりも多量のスズを含むため、第2金属層12内では、過剰なスズが、金のみならず、ニッケルと金属間化合物を形成している。つまり、第2金属層12は、スズ及び金から構成される金属間化合物(若しくは合金)のみならず、スズ及びニッケルから構成される金属間化合物(若しくは合金)を含む。または、第2金属層12は、スズ、金及びニッケルから構成される金属間化合物(若しくは合金)を含む。その結果、第2金属層12は、AuSn共晶から構成される層(従来のAuSn系ろう層)よりも高い融点を有する。したがって、本実施形態に係る接合構造10の耐熱性は、従来の接合構造に比べて向上する。また、第1金属層11及び第2金属層12の組成が、ニッケルを含有する点において連続的であるため、第1金属層11及び第2金属層12は、強固に接合されている。したがって、本実施形態に係る接合構造10は接合強度にも優れる。
本実施形態の接合構造10は耐熱性に優れるため、2回以上の部材同士の接合(加熱工程)が必要とされる電子デバイスの製造過程において、1次接合によって形成された接合構造10が、2次接合の際に再び溶融し難く、接合構造10を介した部材間の電気的接続が破断し難い。
第2金属層12におけるニッケルの含有量は、第2金属層12の全体に対して5〜25質量%、又は、6〜24質量%であってよい。第2金属層12におけるニッケルの含有量が、上記範囲にある場合、接合構造10の接合強度が向上し易く、接合構造10の耐熱性が向上し易い傾向がある。
第2金属層12はパラジウム(Pd)を含んでいてもよい。第2金属層12は、金、スズ、ニッケル及びパラジウムからなっていてもよい。第2金属層12は、スズ、金及びニッケルからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、パラジウムとから構成される金属間化合物(又は合金)を含んでよい。第2金属層12が、パラジウム、又はパラジウム及びスズを含む金属間化合物(若しくは合金)を含むことにより、第2金属層12の融点がより高まり、接合構造10の耐熱性がより向上する傾向がある。第2金属層12におけるパラジウムの含有量は、特に限定されないが、第2金属層12の全体に対して3.0〜35.0質量%、3.3〜34.7質量%、6.7〜34.7質量%、又は、17.0〜34.7質量%であってよい。第2金属層12におけるパラジウムの含有量が上記範囲にある場合、第2金属層12の融点が高まり易く、接合構造10の耐熱性が向上し易い傾向がある。
第2金属層12がパラジウムを含む場合、y/xは、1.0〜5.0、1.3〜4.8、3.0〜5.0、3.1〜4.8、又は3.1〜3.5であってよい。第2金属層12がパラジウムを含まない場合、y/xは0.8〜3.0、又は0.8〜2.9であってよい。
第2金属層12がパラジウムを含む場合、パラジウムの含有量が他の元素の含有量よりも大きい部位Aが、第2金属層12内に存在していてもよい。この場合、第2金属層12の融点が高まり易く、接合構造10の耐熱性が向上し易い傾向がある。
部位Aは、第1金属層11及び第2金属層12の間の界面Bに垂直な方向における第2金属層12の中央Cに位置していてもよい。この場合、第2金属層12の融点が高まり易く、接合構造10の耐熱性が向上し易い傾向がある。
第1金属層11におけるニッケル含有量は、特に限定されないが、第1金属層11全体に対して60〜100質量%程度であってよい。第1金属層11は、リン(P)、硫黄(S)、又は炭素(C)等を含有してもよい。これらの元素が第1金属層11に含まれる場合、第1金属層11の硬さが向上し易く、接合構造10の接合強度が向上し易い傾向がある。
第3金属層13はニッケルを含んでよい。第3金属層13がニッケルを含む場合、第2金属層12及び第3金属層13の組成が、ニッケルを含有する点において連続的であるため、第2金属層12及び第3金属層13は強固に接合されている。したがって、接合構造10の接合強度が向上し易い傾向がある。第3金属層13がニッケルを含む場合、第3金属層13の組成は第1金属層11の組成と略同じであってよい。
接合構造10内の任意の位置における各元素の含有量(単位:質量%)は、例えば、以下の方法により測定される。まず、接合構造10を、積層方向(第1金属層11及び第2金属層12の間の界面Bに垂直な方向)に沿って切断する。露出した接合構造10の断面を、エネルギー分散型X線分光(EDS)又はオージェ電子分光(AES)等の方法で分析することにより各元素の含有量を特定する。金の含有量x、及びスズの含有量yは、第2金属層12の断面から任意に選んだ複数の箇所(例えば3箇所、又は5箇所)において測定した金及びスズ其々の含有量を平均することにより算出される。
第1金属層11の厚さは、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であればよい。
第2金属層12の厚さは、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であればよい。
第3金属層13の厚さは、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であればよい。
第1導体層15の厚さは、特に限定されないが、1〜50μm程度であればよい。
第2導体層14の厚さは、特に限定されないが、1〜50μm程度であればよい。
接合構造10が備える各層の厚さは、例えば、以下の方法により測定される。まず、接合構造10を、積層方向に沿って切断する。露出した接合構造10の断面を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて10万倍程度に拡大して観察する。そして、断面から任意に選んだ複数の箇所(例えば3箇所、又は5箇所)において測定した各層の厚さを平均することにより、各層の厚さが算出される。
(接合構造の製造方法)
本実施形態の接合構造10の製造方法を、以下に説明する。本実施形態の接合構造10の製造方法のうち、パラジウムを含まない第2金属層12を備える接合構造10の製造方法を、以下では、「第1の製造方法」と記す。パラジウムを含む第2金属層12を備える接合構造10の製造方法を、以下では「第2の製造方法」と記す。
図3(a)及び図3(b)に示すように、接合構造10の第1の製造方法は、第1基板40の表面に第1前駆体構造21を形成する工程と、第2基板60の表面に第2前駆体構造22を形成する工程と、第1前駆体構造21と第2前駆体構造22とを接合する工程と、を備える。
図4(a)及び図4(b)に示すように、接合構造10の第2の製造方法は、第1基板40の表面に第1前駆体構造21を形成する工程と、第2基板60の表面に第2前駆体構造28を形成する工程と、第1前駆体構造21と第2前駆体構造28とを接合する工程と、を備える。
<第1の製造方法>
[第1前駆体構造21の形成工程]
まず、第1の製造方法について説明する。図3(b)は、第1基板40上に形成された第1前駆体構造21の断面を模式的に示す。第1前駆体構造21は、第1基板40上に形成されたシード層16と、シード層16上に形成された第1導体層15と、第1導体層15上に形成され、ニッケルを主成分として含むニッケル層23(第1下地層)と、ニッケル層23上に形成され、スズを主成分として含むスズ層24(第1表層)と、を備える。第1前駆体構造21は以下の方法により形成される。
第1基板40の上にシード層16及び第1導体層15を形成する。シード層16及び第1導体層15は、スパッタリング、化学気相蒸着又はめっき等によって形成すればよい。シード層16を構成する材料は、例えば、チタン又はクロム等であってよい。シード層16は、第1基板40と第1導体層15との密着性を高める。シード層16を介在させずに第1基板40の表面に直接第1導体層15を形成してもよい。第1導体層15を構成する金属は、例えば、銅、金、銀又はアルミニウム等の電気伝導性に優れた金属であってよい。レジストフィルムを用いた第1導体層15のパターニングを行ってもよい。レジストフィルム及びシード層16を第1基板40の表面(第1導体層15が形成された部分を除く。)から剥離する前の時点では、後述する各層を電解めっき又は無電解めっきのどちらで形成してもよい。レジストフィルム及びシード層16を第1基板40の表面から剥離した後では、各層の位置及び形状を調整し易い無電解めっきを用いればよい。
第1導体層15に対して、必要に応じて前処理を行った後、第1導体層15上に、ニッケル層23(第1下地層)を形成する。第1導体層15が、金、銀若しくは銅又はこれらを主に含む合金からなる場合、第1導体層15の前処理として、脱脂、酸洗及び活性化処理等を行えばよい。第1導体層15が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合、第1導体層15の前処理として、脱脂、酸洗及びジンケート処理等を行えばよい。
ニッケル層23の形成方法は、例えば、無電解ニッケルめっき又は電解ニッケルめっきであればよい。無電解ニッケルめっきでは、例えば、ニッケル塩、錯化剤及び還元剤を含むめっき液から、ニッケル層23を形成する。無電解ニッケルめっきの作業性(浴の安定性、ニッケルの析出速度)を向上させるために、還元剤として次亜リン酸を含むめっき液を用いてよい。無電解ニッケルめっき液の温度は、例えば、50〜95℃、又は60〜90℃であればよい。無電解ニッケルめっき液はリンを含んでもよい。無電解ニッケルめっき液のpHは4.0〜6.0程度であればよい。pHは、例えば希硫酸やアンモニアを用いて調整すればよい。
電解ニッケルめっきでは、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸を含むめっき液を用いればよい。また、電解ニッケルめっき液はリンを含んでもよい。この場合、めっき液のpHは、例えば、4.5〜5.5であればよい。めっき液の温度は、例えば、40〜60℃であればよい。めっき時の電流密度は、例えば、1〜7A/dmであればよい。
ニッケル層23上にスズ層24(第1表層)を形成する。スズ層24は、例えば、還元型無電解スズめっき又は電解スズめっきにより形成することができる。
還元型無電解スズめっきでは、例えば、スズ化合物、有機錯化剤、有機イオウ化合物、酸化防止剤、及び還元剤(チタン化合物)を含むめっき液を用いればよい。めっき液の温度は、例えば、40〜90℃又は50〜80℃であればよい。
電解スズめっきでは、フェロスタン法、ハロゲン法又はアルカリ法等を採用すればよい。フェロスタン法及びハロゲン法では、酸性浴を用いる。フェロスタン法では、フェノールスルホン酸スズを使用する。ハロゲン法では、塩化第一スズを使用する。アルカリ法では、スズ酸ソーダを主成分とするめっき液を用いる。その他、硫酸第一スズ又はホウフッ化スズを主成分として含有するめっき液を用いてもよい。
以上の工程によって、シード層16、第1導体層15、ニッケル層23(第1下地層)及びスズ層24(第1表層)が順次積層された第1前駆体構造21が第1基板40上に形成される。
[第2前駆体構造22の形成工程]
図3(a)は、第2基板60上に形成された第2前駆体構造22の断面を模式的に示す。第2前駆体構造22は、第2基板60上に設けられたシード層17と、シード層17上に形成された第2導体層14と、第2導体層14上に形成され、ニッケル又はチタン等の金属を主成分として含む層(第2下地層27)と、第2下地層27上に形成され、金を主成分として含む金層25(第2表層)とから構成される。シード層17を介在させずに、第1基板40の表面に直接第2導体層14が形成されていてもよい。第2下地層27を設けずに、第2導体層14上に金層25が形成されていてもよい。
第2基板60の上にシード層17及び第2導体層14を形成する。シード層17及び第2導体層14は、第1前駆体構造21の場合と同様の方法で形成すればよい。
第2導体層14に対して、必要に応じて前処理を行った後、第2導体層14上に第2下地層27を形成する。第2下地層27の形成方法は、無電解めっき又は電解めっきであってよい。第2下地層27が主成分としてニッケルを含む場合、第2下地層27は、第1前駆体構造21のニッケル層23と同様の形成方法で形成すればよい。
第2下地層27上に金層25(第2表層)を形成する。金層25の形成方法は、例えば、無電解金めっき又は電解金めっきであってよい。例えば、無電解金めっきでは、第2下地層27を無電解金めっき液に浸漬すればよい。これにより、第2下地層27の表面に金層25が形成される。金層25の厚さ及び組成は、無電解金めっき液の種類、めっき液の温度、pH、第2下地層27をめっき液に浸漬する時間等によって自在に制御できる。無電解金めっき液としては、市販の無電解金めっき液を用いてもよい。
以上の工程によって、シード層17、第2導体層14、第2下地層27及び金層25(第2表層)が順次積層された第2前駆体構造22が第2基板60上に形成される。
[第1前駆体構造21及び第2前駆体構造22の接合工程]
第1前駆体構造21のスズ層24(第1表層)と、第2前駆体構造22の金層25(第2表層)とが対向するように、第1基板40上に第2基板60を載置する。
第1前駆体構造21と第2前駆体構造22とを加熱しながら圧着する。加熱により、融点の低いスズ層24が金層25よりも先に溶融し、溶融したスズ層24が金層25の表面全体を濡らし、金層25の表面全体に広がる。また、ニッケル層23の一部が溶融したスズ層24内へ移動(拡散)する。なお、溶融したスズ層24は、溶融した従来のAuSn系ろう材に比べて、ニッケルの移動(拡散)を助長し易い。次いで、溶融したスズ層24、金層25、及びスズ層24内へ移動したニッケルが混合する。これらの金属を冷却することにより、ニッケル層23が第1金属層11となり、金、スズ及びニッケルを含む第2金属層12が、第1金属層11上に形成される。溶融したスズ層24が金層25の表面全体を斑なく濡らし、金層25の表面全体に広がるので、接合構造10におけるボイド及びクラックの発生が抑制される。ニッケル層23の一部が、溶融したスズ層24内へ移動(拡散)するので、第1金属層11及び第2金属層12の組成は、ニッケルを含有する点において連続的になる。第2下地層27は第3金属層13となり、第2金属層12上に形成される。第2下地層27がニッケルを含む場合、接合工程において、第2下地層27中のニッケルの一部も拡散して、第2金属層12に混合されてよい。その結果、第2金属層12及び第3金属層13の組成が、ニッケルを含有する点において連続的になる。
本実施形態において、仮にニッケル層23が存在しない場合、接合工程においてスズ層24を構成するスズ原子が第1導体層15へ向かって過度に移動(拡散)して、第1導体層15を構成する原子と反応し、脆いスズ合金が形成されることがある。しかし、本実施形態では、ニッケル層23が、スズ層24から第1導体層15へのスズの移動を抑制し、脆いスズ合金が生成する反応を抑制する。脆いスズ合金の生成が抑制されることにより、接合構造10の接合強度が向上する。ニッケル層23の場合と同様に、第2下地層27も、スズ層24から第2導体層14へのスズの移動を抑制し、第2導体層14を構成する原子とスズとの反応を抑制し、脆いスズ合金の生成を抑制する。
上述した工程を経て、接合構造10が形成され、第1基板40と第2基板60とが接合構造10を介して接合される。
従来のAuSn系ろう材を用いた接合構造の製造では、第1前駆体構造21のスズ層24の代わりに、AuSn系ろう材からなる層(AuSn系ろう層)を形成していた。溶融したAuSn系ろう層の濡れ性(wettability)は、同一の温度で溶融したスズ層24に比べて劣る。したがって、従来は、AuSn系ろう材が濡れ広がり易い金層を、第1前駆体構造の第1下地層とAuSn系ろう層との間に設ける必要があった。つまり、従来のAuSnろう材を用いた接合では、接合される一対の部材の双方に金層を設ける必要があった。一方、本実施形態では、第1前駆体構造21が、従来のAuSn系ろう層ではなく、スズ層24を有するので、第1前駆体構造21が金層を有する必要がない。つまり、本実施形態では、部材の一方(第2前駆体構造22)にのみ金層25を設けることにより、接合強度に優れた接合構造10を製造することができる。したがって、本実施形態では、接合構造の製造に必要な金の量を低減し、接合構造の製造コストが低減される。
第1金属層11の組成及び厚さ、第2金属層12の組成及び厚さ、並びに第3金属層13の組成及び厚さは、以下の条件によって自在に制御される。
ニッケル層23(第1下地層)の組成、厚さ及びめっき法。
スズ層24(第1表層)の組成、厚さ及びめっき法。
金層25(第2表層)の組成、厚さ及びめっき方法。
第2下地層27の組成、厚さ及びめっき法。
接合工程における加熱温度及び加熱時間。
第1前駆体構造21におけるスズ層24(第1表層)の厚さがT1であり、第2前駆体構造22における金層25(第2表層)の厚さがT2であるとき、T1/T2は、例えば、2.0〜13.0であればよい。T1/T2を上記範囲に調整することにより、y/xを0.8〜5.0、又は0.8〜4.8に制御することができる。第1の製造方法では、T1/T2は、2.0〜8.0であってもよい。この場合、y/xを、0.8〜3.0、又は0.8〜2.9に制御することができる。
第1前駆体構造21におけるスズ層24(第1表層)の厚さT1は、例えば、0.1〜5μm程度であればよい。
第2前駆体構造22における金層25(第2表層)の厚さT2は、例えば、0.1〜1μm程度であればよい。金は高価であるため、金層25が薄いほど接合構造10の製造コストが抑制される。
第1前駆体構造21におけるニッケル層23の厚さは、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であればよい。
第2前駆体構造22における第2下地層27の厚さは、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であればよい。
第1前駆体構造21及び第2前駆体構造22が備える各層の厚さは、例えば、蛍光X線分析(XRF)を用いて測定される。例えば、第1前駆体構造21のスズ層24(第1表層)の厚さT1を測定する場合、スズ層24の表面から任意に選んだ複数の箇所(例えば3箇所)におけるスズ層24の厚さを、蛍光X線膜厚計を用いて測定する。各箇所におけるスズ層24の厚さを平均することにより、スズ層24(第1表層)の厚さT1が算出される。例えば、第2前駆体構造22の金層25(第2表層)の厚さT2を測定する場合、金層25の表面から任意に選んだ複数の箇所(例えば3箇所)における金層25の厚さを、蛍光X線膜厚計を用いて測定する。各箇所における金層25の厚さを平均することにより、金層25(第2表層)の厚さT2が算出される。
第1前駆体構造21及び第2前駆体構造22の接合工程は、フリップチップボンダー又はリフロー炉を用いて、第1前駆体構造21と、第2前駆体構造22とを加熱すればよい。例えば、第1前駆体構造21と、第2前駆体構造22とを、280〜400℃で加熱すればよい。例えば、第1前駆体構造21と、第2前駆体構造22とを、0.1〜120秒間加熱すればよい。加熱温度及び加熱時間がこれらの範囲内である場合、スズ層24が溶融し易く、接合強度に優れた接合構造10が形成され易い。
<第2の製造方法>
[第1前駆体構造21の形成工程]
以下では、第2の製造方法を説明する。第1の製造方法及び第2の製造方法に共通する事項の説明は省略する。図4(b)は、第1基板40上に形成された第1前駆体構造21の断面を模式的に示す。第2の製造方法における第1前駆体構造21は、第1の製造方法における第1前駆体構造21と同一であってよい。第2の製造方法における第1前駆体構造21の形成方法は、第1の製造方法における第1前駆体構造21の形成方法と同一であってよい。
[第2前駆体構造28の形成工程]
図4(a)は、第2基板60上に形成された第2前駆体構造28の断面を模式的に示す。第2前駆体構造28は、第2基板60上に設けられたシード層17と、シード層17上に形成された第2導体層14と、第2導体層14上に形成され、ニッケル又はチタン等の金属を主成分として含む層(第2下地層27)と、第2下地層27上に形成され、パラジウムを主成分として含むパラジウム層26(中間層)と、パラジウム層26上に形成され、金を主成分として含む金層25(第2表層)と、を備える。シード層17を介在させずに、第1基板40の表面に直接第2導体層14が形成されていてもよい。第2下地層27を設けずに、第2導体層14上にパラジウム層26が形成されていてもよい。
第2基板60の上にシード層17、第2導体層14、及び第2下地層27を形成する。第2の製造方法におけるシード層17の組成及び形成方法は、第1の製造方法において形成されるシード層17と同じであってよい。第2の製造方法における第2導体層14の組成及び形成方法は、第1の製造方法において形成される第2導体層14と同じであってよい。第2の製造方法における第2下地層27の組成及び形成方法は、第1の製造方法において形成される第2下地層27と同じであってよい。
第2下地層27上にパラジウム層26(中間層)を形成する。パラジウム層26の形成方法は、例えば、無電解パラジウムめっき又は電解パラジウムめっきであってよい。例えば、無電解パラジウムめっきでは、第2下地層27を無電解パラジウムめっき液に浸漬する。これにより、パラジウム層26が第2下地層27の表面に形成される。パラジウム層26の厚さ及び組成は、無電解パラジウムめっき液の種類、温度、pH、及び第2下地層27をめっき液に浸漬する時間等によって自在に制御できる。無電解パラジウムめっき液として、市販の無電解パラジウムめっき液を用いてもよい。
パラジウム層26の形成後、第1の製造方法と同様の方法で、金層25(第二表層)をパラジウム層26(中間層)上に形成する。以上の工程により、第2前駆体構造28が形成される。なお、金層25を第2下地層27上に形成した後、パラジウム層26を金層25上に形成してもよい。
[第1前駆体構造21及び第2前駆体構造28の接合工程]
第1前駆体構造21のスズ層24と、第2前駆体構造28の金層25とが対向するように、第1基板40上に第2基板60を載置する。
第1前駆体構造21と第2前駆体構造28とを加熱しながら圧着する。加熱により、融点の低いスズ層24が金層25よりも先に溶融し、溶融したスズ層24が金層25の表面全体を濡らし、金層25の表面全体に広がる。また、ニッケル層23の一部が溶融したスズ層24内へ移動(拡散)する。なお、溶融したスズ層24は、溶融した従来のAuSn系ろう材に比べて、ニッケルの移動(拡散)を助長し易い。次いで、溶融したスズ層24、金層25、パラジウム層26、及びスズ層24内へ移動したニッケルが混合する。これらの金属を冷却することにより、ニッケル層23が第1金属層11となり、金、スズ、ニッケル及びパラジウムを含む第2金属層12が第1金属層11上に形成される。溶融したスズ層24が金層25の表面全体を斑なく濡らし、金層25の表面全体に広がるので、接合構造10におけるボイド及びクラックの発生が抑制される。ニッケル層23の一部が、溶融したスズ層24内へ移動(拡散)するので、第1金属層11及び第2金属層12の組成は、ニッケルを含有する点において連続的になる。第2下地層27は第3金属層13となり、第2金属層12上に形成される。第2下地層27がニッケルを含む場合、接合工程において、第2下地層27中のニッケルの一部も拡散して、第2金属層12へ混合されてよい。その結果、第2金属層12及び第3金属層13の組成は、ニッケルを含有する点において連続的になる。
接合工程では、パラジウムの含有量が他の元素の含有量よりも大きい部位Aが第2金属層12の内部(例えば、第2金属層12の中央C)に形成されることがある。部位Aが形成される原因は、必ずしも定かではない。スズとパラジウムとの親和性が高いため、溶融したスズ層24、金層25、スズ層24内へ移動したニッケル及びパラジウム層26の混合に伴い、パラジウムの移動(拡散)が助長される結果、部位Aが第2金属層12の内部(例えば、第2金属層12の中央)に形成される、と推測される。
上述した工程を経て、接合構造10が形成され、第1基板40と第2基板60とが接合構造10を介して接合される。
接合構造10のうち、第1金属層11の組成及び厚さ、第2金属層12の組成及び厚さ、並びに第3金属層13の組成及び厚さは、以下の条件によって自在に制御される。
ニッケル層23(第1下地層)の組成、厚さ及びめっき法。
スズ層24(第1表層)の組成、厚さ及びめっき法。
金層25(第2表層)の組成、厚さ及びめっき方法。
パラジウム層26(中間層)の組成、厚さ及びめっき法。
第2下地層27の組成、厚さ及びめっき法。
接合工程における加熱温度及び加熱時間。
T1/T2は、例えば、2.0〜13.0であればよい。第2の製造方法では、T1/T2は、3.6〜13.0であってもよい。この場合、y/xを1.0〜5.0、又は1.3〜4.8に制御することができる。第2の製造方法では、T1/T2は、8.0〜13.0であってもよい。この場合、y/xを3.0〜5.0、又は3.1〜4.8に制御することができる。
第2前駆体構造28におけるパラジウム層26(中間層)の厚さがT3であるとき、T3/T2は、例えば、0.1〜4.0であってよい。
第2前駆体構造28におけるパラジウム層26(中間層)の厚さT3は、特に限定されないが、0.1〜1μm程度であればよい。
第2前駆体構造28が備えるパラジウム層26(中間層)の厚さT3は、例えば、蛍光X線分析(XRF)を用いて測定される。例えば、金層25をパラジウム層26上に形成する前に、パラジウム層26の表面から任意に選んだ複数の箇所(例えば3箇所、又は5箇所)におけるパラジウム層26の厚さを、蛍光X線膜厚計を用いて測定する。各箇所におけるパラジウム層26の厚さを平均することにより、パラジウム層26の厚さT3が算出される。
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
例えば、ニッケル層23(第1下地層)、スズ層24(第1表層)及び第2下地層27を無電解めっき又は電解めっきでなく、スパッタリング又は化学気相蒸着によって形成してもよい。金層25(第2表層)及びパラジウム層26(中間層)を、無電解めっき又は電解めっきではなく、スパッタリング又は化学気相蒸着によって形成してもよい。
上記の本実施形態と同様の方法で、基板と電子部品とを接合構造10によって接合してもよく、電子部品同士を接合構造10によって接合してもよい。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[第1前駆体構造の形成工程]
第1基板としてシリコン基板を準備した。第1基板の寸法は10×10mmであり、第1基板の厚さは0.6mmであった。第1基板の表面(被接合部位)に、チタンからなるシード層を形成した後、電解銅めっきにより、銅からなる第1導体層をシード層上に形成した。このとき、レジストフィルムを用いたパターニングにより、第1導体層の寸法及び厚さを調整した。第1導体層の厚さは5μmであり、導体層の寸法は100×100μmであった。電解銅めっき用のめっき液として、硫酸銅を含む酸性の電解銅めっき液を用いた。
レジストフィルム及びシード層を第1基板の表面(第1導体層が形成された部分を除く。)から剥離した。電解ニッケルめっきにより、ニッケル層(第1下地層)を第1導体層の表面に形成した。ニッケル層(第1下地層)の厚さは、下記表1に示す値に調整した。電解ニッケルめっき用のめっき液として、硫酸ニッケルを含む弱酸性の電解ニッケルめっき液を用いた。
電解スズめっきにより、スズ層(第1表層)をニッケル層の表面に形成した。以上の工程により、第1前駆体構造を第1基板上に形成した。スズ層(第1表層)の厚さT1は、下記表1に示す値に調整した。電解スズめっき用のめっき液として、硫酸第一スズを含む酸性の電解スズめっき液を用いた。
[第2前駆体構造の形成工程]
第2基板としてシリコン基板を準備した。第2基板の寸法は0.2×0.2mmであり、第2基板の厚さは0.6mmであった。次に、第2基板の被接合部位に、上記の方法で、チタンからなるシード層、及び銅からなる第2導体層を形成した。レジストフィルムを用いたパターニングにより、第2導体層の寸法及び厚さを調整した。第2導体層の厚さは5μmであり、第2導体層の寸法は100×100μmであった。
レジストフィルム及びシード層を第2基板の表面(第2導体層が形成された部分を除く。)から剥離した。第1下地層の場合の同様の電解ニッケルめっきにより、ニッケル層(第2下地層)を第2導体層の表面に形成した。ニッケル層(第2下地層)の厚さは、下記表1に示す値に調整した。
電解金めっきにより、金層(第2表層)をニッケル層(第2下地層)の表面に形成した。金層(第2表層)の厚さT2は、下記表1に示す値に調整した。電解金めっき用のめっき液として、シアン化金カリウムを含む弱酸性の電解金めっき液を用いた。以上の工程により、第2前駆体構造を第2基板上に形成した。
[第1前駆体構造及び第2前駆体構造の接合工程]
第1前駆体構造のスズ層(第1表層)と第2前駆体構造の金層(第2表層)とが対向するように、第1基板上に第2基板を載置した。この第1前駆体構造及び第2前駆体構造を、窒素雰囲気において60秒間300℃で加熱することにより、両者を圧着し、急冷した。この熱圧着にはフリップチップボンダーを用いた。以上の工程により、実施例1の接合構造を作製した。
(実施例2)
第2前駆体構造の金層(第2表層)の厚さT2を下記表1に示す値に調整したこと以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の接合構造を作製した。
(実施例3)
実施例3では、第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を、下記表1に示す値に調整した。
実施例3の第2前駆体構造の作製では、電解ニッケルめっきの代わりに、無電解ニッケルめっきによって、リンを含むニッケル層(第2下地層)を形成した。無電解ニッケルめっきでは、次亜リン酸イオン(還元剤)を含む無電解ニッケルめっき液を用いた。
実施例3の第2前駆体構造の作製では、電解金めっきの代わりに、無電解金めっきによって、金層(第2表層)を形成した。無電解金めっき用のめっき液として、ホルマリン(還元剤)を含む無電解金めっき液を用いた。金層(第2表層)の厚さT2を、下記表1に示す値に調整した。
以上の事項以外は実施例1と同様の方法で、実施例3の接合構造を作製した。
(実施例4)
第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表1に示す値に調整したこと以外は実施例3と同様の方法で、実施例4の接合構造を作製した。
(実施例5)
第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表1に示す値に調整したこと以外は実施例3と同様の方法で、実施例5の接合構造を作製した。
(比較例1)
比較例1では、第1基板上に形成されたシード層と、シード層上に形成された第1導体層と、第1導体層15上に形成された金層(第1下地層)と、金層上に形成されたAuS系ろう層(第1表層)と、から構成される第1前駆体構造を形成した。
つまり、比較例1の第1前駆体構造の作製では、第1下地層として、ニッケル層の代わりに、金層を形成した。金層は、実施例1の第2表層と同様の電解金めっきによって形成した。金層(第1下地層)の厚さは、下記表1に示す値に調整した。
また、比較例1の第1前駆体構造の作製では、第1表層として、スズ層の代わりに、AuSn系ろう材からなるAuSn系ろう層を形成した。AuSn系ろう層は、スパッタリングによって形成した。AuSn系ろう層における金の含有量を79質量%に調整し、AuSn系ろう層におけるスズの含有量を21質量%に調整した。AuSn系ろう層(第1表層)の厚さT1は、下記表1に示す値に調整した。
以上の事項を除いて実施例3と同様の方法で、比較例1の接合構造を作製した。
(比較例2)
比較例2では、AuSn系ろう層における金の含有量を66質量%に調整し、AuSn系ろう層におけるスズの含有量を34質量%に調整した。AuSn系ろう層の組成を変更したこと以外は比較例1と同様の方法で、比較例2の接合構造の作製を試みた。しかし、比較例2では、第1前駆体構造及び第2前駆体構造を窒素雰囲気において60秒間300℃で加熱しても、両構造が接合されなかった。つまり、比較例2の接合構造を形成することはできなかった。このことは、比較例2のAuSn系ろう層の融点が高過ぎたため、60秒間300℃で加熱してもAuSn系ろう層が溶融しなかったことに起因する、と本発明者らは推測する。
実施例1〜5其々のT1/T2を、下記表1に示す。実施例1〜5其々のT1は、第1前駆体構造が備えるスズ層(第1表層)の厚さである。実施例1〜5其々のT2は、第2前駆体構造が備える金層(第2表層)の厚さである。
上述した実施例1〜5並びに比較例1及び2其々の第1下地層、第1表層、第2表層及び第2下地層の形成方法を、下記表2にまとめる。
Figure 0006265029
Figure 0006265029
<接合構造の構造及び組成の分析>
実施例1〜5及び比較例1の各接合構造を、各接合構造の積層方向に沿って切断した。各接合構造の積層方向における断面をSEMで観察した。各断面の組成をEDSにより分析した。
実施例1〜5其々の接合構造は、第1導体層上に積層された第1金属層と、第1金属層上に積層された第2金属層と、第2金属層上に積層された第3金属層と、を備えることが確認された。実施例1〜5其々の接合構造を介して、第1基板の第1導体層と、第2基板の第2導体層とが、接合されていることが確認された。実施例1〜5其々の接合構造では、第1金属層及び第3金属層はニッケルを含み、第2金属層は、金、スズ及びニッケルを含むことが確認された。実施例3〜5其々の第3金属層は、ニッケルに加えてリンも含むことが確認された。
比較例1の接合構造は、第1導体層上に積層された第1金属層と、第1金属層上に積層された第2金属層と、第2金属層上に積層された第3金属層と、を備えることが確認された。比較例1の接合構造によって、第1基板の第1導体層と、第2基板の第2導体層とが、接合されていることが確認された。比較例1の第1金属層は、金を含むことが確認された。比較例1の第2金属層は、金、スズ及びニッケルを含み、第2金属層中の金及びスズはAuSn共晶を形成していることが確認された。比較例1の第3金属層は、ニッケル及びリンを含むことが確認された。
実施例1〜5及び比較例1其々の第2金属層の断面に属し、第1金属層及び第2金属層の界面に対して略平行に並ぶ5箇所において、ニッケル、スズ及び金其々の含有量を測定した。5箇所における各元素の含有量をそれぞれ平均した。実施例1〜5及び比較例1其々の第2金属層における各元素の含有量の平均値を、下記表3に示す。下記表3中のyは、第2金属層におけるスズの含有量の平均値を意味する。下記表3中のxは、第2金属層における金の含有量の平均値を意味する。実施例1〜5及び比較例1其々のy/xを算出した。各y/xを、下記表3に示す。
<構造的欠陥の評価>
SEMで撮影した実施例1〜5及び比較例1其々の接合構造の積層方向における断面の写真に基づき、各接合構造の断面における構造的欠陥(クラック及びボイド)の有無を確認した。各接合構造の断面における構造的欠陥の有無を、下記表3に示す。表3に示すように、実施例1〜5の接合構造の断面には、クラック及びボイドがなかった。一方、比較例1の接合構造の断面には、クラック及びボイドがあることが確認された。
<接合強度の評価>
実施例1〜5及び比較例1其々の接合構造の接合強度(shear強度)を、以下の方法で評価した。接合強度の評価には、shear testerを用いた。
接合構造と接合された第1基板を固定した。同接合構造と接合された第2基板に対して、第2基板の表面に略平行な剪断力を作用させた。剪断力を増加させたときに、接合構造が破壊された時点における剪断力(接合構造の最大強度)を測定した。接合構造が破壊された時点における剪断力が大きいことは、接合構造が接合強度に優れることを意味する。接合強度の評価結果を、下記表3に示す。表3に記載の「A」とは、接合構造が破壊された時点における剪断力が100gf以上であったことを意味する。表3に記載の「B」とは、接合構造が破壊された時点における剪断力が100gf未満であったことを意味する。表3に記載の「C」とは、第1前駆体構造及び第2前駆体構造を、窒素雰囲気において60秒間300℃で加熱しても、接合構造が形成されなったことを意味する。
<耐熱性の評価>
実施例1〜5及び比較例1其々の接合構造の耐熱性を、以下の試験1〜3により評価した。
試験1では、接合構造を介して第2基板と接合された第1基板を垂直に立てて固定した状態で、300℃で1分間、接合構造を加熱した。この加熱に伴う、第2基板の垂直方向における移動量(自重によるズレ量)を測定した。大きい移動量は、接合構造(又はその第2金属層)が溶融し易く、接合構造が耐熱性に劣ることを意味する。
試験2では、接合構造を介して第2基板と接合された第1基板を垂直に立てて固定した状態で、330℃で1分間、接合構造を加熱した。この加熱に伴う、第2基板の垂直方向における移動量を測定した。
試験3では、接合構造を介して第2基板と接合された第1基板を垂直に立てて固定した状態で、360℃で1分間、接合構造を加熱した。この加熱に伴う、第2基板の垂直方向における移動量を測定した。
試験1〜3の結果を、下記表3に示す。表3に記載の「pass」とは、第2基板の垂直方向における移動量が1μm未満であったことを意味する。表3に記載の「fail」とは、第2基板の垂直方向における移動量が1μm以上であったことを意味する。表3のgradeの欄に記載の「B」とは、試験1の結果が「pass」であり、試験2及び3の結果が「fail」であったことを意味する。表3のgradeの欄に記載の「C」とは、試験1〜3の結果が「fail」であったことを意味する。
Figure 0006265029
表3に示すように、実施例1〜5のy/xは0.8〜5.0の範囲内であることが確認された。実施例1〜5の接合構造の接合強度は、比較例1の接合構造の接合強度よりも優れることが確認された実施例1〜5の接合構造の耐熱性は、比較例1の接合構造の耐熱性よりも優れていることが確認された。
(実施例6)
[第1前駆体構造の形成工程]
スズ層(第1表層)の厚さを下記表4に示す値に調整以外は実施例1と同様の方法で、実施例6の第1前駆体構造を第1基板上に形成した。
[第2前駆体構造の形成工程]
第2基板としてシリコン基板を準備した。第2基板の寸法は0.2×0.2mmであり、第2基板の厚さは0.6mmであった。次に、第2基板の被接合部位に、上記の方法でチタンからなるシード層、及び銅からなる第2導体層を形成した。レジストフィルムを用いたパターニングにより、第2導体層の寸法及び厚さを調整した。導体層の厚さは5μmであり、導体層の寸法は100×100μmであった。
レジストフィルム及びシード層を第2基板の表面(導体層が形成された部分を除く。)から剥離した。無電解ニッケルめっきによって、リンを含むニッケル層(第2下地層)を第2導体層の表面に形成した。ニッケル層(第2下地層)の厚さは、下記表1に示す値に調整した。無電解ニッケルめっき用のめっき液として、次亜リン酸イオン(還元剤)を含む無電解ニッケルめっき液を用いた。
無電解パラジウムめっきにより、リンを含むパラジウム層(中間層)をニッケル層(第2下地層)の表面に形成した。パラジウム層(中間層)の厚さT3を、下記表4に示す値に調整した。無電解パラジウムめっき用のめっき液として、亜リン酸二ナトリウム(還元剤)を含む無電解パラジウムめっき液を用いた。
無電解金めっきにより、金層(第2表層)をパラジウム層(中間層)の表面に形成した。金層(第2表層)の厚さT2を、下記表4に示す値に調整した。無電解金めっきでは、実施例3の金層の形成に用いたものと同じめっき液を用いた。以上の工程により、第2前駆体構造を第2基板上に形成した。
[第1前駆体構造及び第2前駆体構造の接合工程]
第1前駆体構造のスズ層(第1表層)と第2前駆体構造の金層(第2表層)とが対向するように、第1基板上に第2基板を載置した。第1前駆体構造及び第2前駆体構造を、窒素雰囲気において60秒間300℃で加熱することにより、両者を圧着し、急冷した。この熱圧着にはフリップチップボンダーを用いた。以上の工程により、実施例6の接合構造を作製した。
(実施例7)
実施例7では、第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整した。また実施例7では、第2前駆体構造のパラジウム層(中間層層)の厚さT3を下記表4に示す値に調整した。これらの事項以外は実施例6と同様の方法で、実施例7の接合構造を作製した。
(実施例8)
第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整したこと以外は実施例7と同様の方法で、実施例8の接合構造を作製した。
(実施例9)
第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整したこと以外は実施例7と同様の方法で、実施例9の接合構造を作製した。
(実施例10)
実施例10では、第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整した。また実施例10では、第2前駆体構造のパラジウム層(中間層層)の厚さT3を下記表4に示す値に調整した。これらの以外は実施例6と同様の方法で、実施例10の接合構造を作製した。
(実施例11)
実施例11では、第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整した。また実施例11では、第2前駆体構造のパラジウム層(中間層層)の厚さT3を下記表4に示す値に調整した。これらの以外は実施例6と同様の方法で、実施例11の接合構造を作製した。
(実施例12)
実施例12では、第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整した。
実施例12の第2前駆体構造の作製では、無電解ニッケルめっきの代わりに、電解ニッケルめっきによって、ニッケル層(第2下地層)を形成した。電解ニッケルめっきでは、実施例1のニッケル層(第1下地層)の形成に用いたものと同じめっき液を用いた。
実施例12の第2前駆体構造の作製では、無電解パラジウムめっきの代わりに、電解パラジウムめっきにより、パラジウム層(中間層)を形成した。電解パラジウムめっき用のめっき液として、塩化パラジウムを含む酸性の電解パラジウムめっき液を用いた。パラジウム層(中間層)の厚さT3を、下記表4に示す値に調整した。
実施例12の第2前駆体構造の作製では、無電解金めっきの代わりに、電解金めっきにより、金層(第2表層)を形成した。電解金めっきでは、実施例1の金層(第2表層)の形成に用いたものと同じめっき液を用いた。金層(第2表層)の厚さT3を、下記表4に示す値に調整した。
以上の事項以外は実施例6と同様の方法で、実施例12の接合構造を作製した。
(実施例13)
実施例13では、第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整した。また実施例13では、第2前駆体構造のパラジウム層(中間層)の厚さT3を、下記表4に示す値に調整した。これらの事項以外は実施例12と同様の方法で、実施例13の接合構造を作製した。
(実施例14)
実施例14では、第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整した。また実施例14では、第2前駆体構造の金層(第2表層)の厚さT2を、下記表4に示す値に調整した。これらの事項以外は実施例13と同様の方法で、実施例14の接合構造を作製した。
(比較例3)
第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整したこと以外は実施例1と同様の方法で、比較例3の接合構造を作製した。
(比較例4)
比較例4では、第1前駆体構造のスズ層(第1表層)の厚さT1を下記表4に示す値に調整した。比較例4では、第2前駆体構造の金層(第2表層)の厚さT2を、下記表4に示す値に調整した。これらの事項以外は実施例13と同様の方法で、比較例4の接合構造を作製した。
(比較例5)
AuSn系ろう層(第1表層)の厚さを下記表4に示す値に調整したこと以外は比較例1と同様の方法で、比較例5の第1前駆体構造を作製した。比較例5では、比較例4と同様の第2前駆体構造を作製した。第1前駆体構造のAuSn系ろう層(第1表層)と第2前駆体構造の金層(第2表層)とが対向するように、第1基板上に第2基板を載置した。第1前駆体構造及び第2前駆体構造を、窒素雰囲気において60秒間300℃で加熱することにより、両者を圧着し、急冷した。この熱圧着にはフリップチップボンダーを用いた。以上の工程により、比較例5の接合構造を作製した。
実施例6〜14並びに比較例3及び4其々のT1/T2を、下記表4に示す。実施例6〜14並びに比較例3及び4其々のT1は、第1前駆体構造が備えるスズ層(第1表層)の厚さである。実施例6〜14及び比較例3及び4其々のT2は、第2前駆体構造が備える金層(第2表層)の厚さである。
実施例6〜14並びに比較例3及び4其々のT3/T2を、下記表4に示す。
実施例6〜14並びに比較例3〜5其々の第1下地層、第1表層、第2表層、中間層及び第2下地層の形成方法を、下記表5にまとめる。
Figure 0006265029
Figure 0006265029
<接合構造の構造及び組成の分析>
実施例1等と同様の方法で、実施例6〜14及び比較例及3〜5其々の接合構造の構造及び組成を分析した。
実施例6〜14並びに比較例3〜5其々の接合構造は、第1導体層上に積層された第1金属層と、第1金属層上に積層された第2金属層と、第2金属層上に積層された第3金属層と、を備えることが確認された。実施例6〜14並びに比較例3〜5其々の接合構造によって、第1基板上に形成された第1導体層と、第2基板上に形成された第2導体層とが、接合されていることが確認された。
実施例6〜14の接合構造では、第1金属層及び第3金属層はニッケルを含み、第2金属層は、金、スズ、ニッケル及びパラジウムを含むことが確認された。実施例6〜11其々の第3金属層は、ニッケルに加えてリンも含むことが確認された。
実施例3及び4の接合構造では、第1金属層及び第3金属層が、ニッケルを含むことが確認された。比較例3の第2金属層は、金、スズ及びニッケルを含み、パラジウムを含まないことが確認された。比較例4の第2金属層は、金、スズ、ニッケル及びパラジウムを含むことが確認された。比較例3及び4の第2金属層中の金及びスズは、AuSn共晶を形成していることが確認された。
比較例5の第1金属層は、金を含むことが確認された。比較例5の第2金属層は、金、スズ、ニッケル及びパラジウムを含み、第2金属層中の金及びスズはAuSn共晶を形成していることが確認された。比較例5の第3金属層は、ニッケルを含むことが確認された。
実施例6〜14及び比較例及3〜5其々の第2金属層の断面に属する下記部分a1、a2及びa3の3箇所において、ニッケル、パラジウム、スズ及び金其々の含有量を測定した。測定結果を下記表6に示す。
部分a1:第2金属層及び第3金属層の界面近傍に位置する部分。
部分a2:部分a1と部分a3との間に位置し、部分a1からの距離と部分a3からの距離とが等しい部分。つまり、第1金属層及び第2金属層の間の界面に垂直な方向における第2金属層の中央に位置する部分。
部分a3:第1金属層及び第2金属層の界面近傍に位置する部分。
部分a1、a2及びa3における各元素の含有量をそれぞれ平均した。実施例6〜14及び比較例及3〜5其々の第2金属層における各元素の含有量の平均値を、下記表7に示す。下記表7中のzは、第2金属層におけるパラジウムの含有量の平均値を意味する。実施例6〜14及び比較例及3〜5其々のy/xを算出した。各y/xを、下記表3に示す。実施例6〜14及び比較例及3〜5其々のz/xを算出した。各z/xを、下記表3に示す。
<構造的欠陥の評価>
SEMで撮影した実施例6〜14及び比較例3〜5其々の接合構造の積層方向における断面の写真に基づき、各接合構造の断面における構造的欠陥(クラック及びボイド)の有無を確認した。各接合構造の断面における構造的欠陥の有無を、下記表7に示す。表7に示すように、実施例6〜14並びに比較例3及び4の接合構造の断面には、クラック及びボイドはなかった。一方、比較例5の接合構造の断面には、クラック及びボイドがあることが確認された。
<接合強度の評価>
実施例1等と同様の方法で、実施例6〜14及び比較例3〜5其々の接合構造の接合強度を評価した。接合強度の評価結果を、下記表7に示す。
<耐熱性の評価>
実施例1等と同様の方法で、実施例6〜14及び比較例3〜5其々の接合構造の耐熱性を、試験1〜3により評価した。試験1〜3の結果を、下記表7に示す。表7のgradeの欄に記載の「A」とは、試験1及び2の結果が「pass」であり、試験3の結果が「fail」であったことを意味する。表7のgradeの欄に記載の「A+」とは、試験1〜3の結果が「pass」であったことを意味する。
Figure 0006265029
Figure 0006265029
表7に示すように、実施例6〜14では、y/xが0.8〜5.0の範囲内であることが確認された。
実施例6〜14並びに比較例3及び4の接合強度は、比較例5の接合強度よりも優れていることが確認された。
実施例6〜14の接合構造の耐熱性は、比較例3〜5の接合構造の耐熱性よりも優れていることが確認された。y/xが3.1〜3.5の範囲内である実施例6、10及び11の接合構造の耐熱性は、他の実施例の接合構造の耐熱性に比べて優れていることが確認された。実施例6、10及び11の第2金属層のうち、実施例6及び10の第2金属層は、パラジウムの含有量が他の元素の含有量よりも大きい部位Aを含むことが確認された。実施例6及び10の部位Aは、第1金属層及び第2金属層の間の界面に垂直な方向における第2金属層の中央(部分a2)に位置することが確認された。
本発明によれば、接合強度及び耐熱性に優れた接合構造を備える電子デバイスを製造することが可能となる。
10…接合構造、11…第1金属層、12…第2金属層、13…第3金属層、14…第2導体層、15…第1導体層、16,17…シード層、21…第1前駆体構造、22,28…第2前駆体構造、23…ニッケル層(第1下地層)、24…スズ層(第1表層)、25…金層(第2表層)、26…パラジウム層(中間層)、27…第2下地層、40…第1基板、60…第2基板、90…チップ(電子部品)、100…電子デバイス、A…パラジウムの含有量が他の元素の含有量よりも大きい部位、B…第1金属層及び第2金属層の間の界面、C…第2金属層の中央。

Claims (6)

  1. ニッケルを含む第1金属層と、
    前記第1金属層の上に形成され、金、スズ及びニッケルを含む第2金属層と、
    を備え、
    前記第2金属層における金の含有量が、前記第2金属層の全体に対してx質量%であり、
    前記第2金属層におけるスズの含有量が、前記第2金属層の全体に対してy質量%であるとき、
    y/xが0.8〜5.0であり、
    前記第2金属層におけるニッケルの含有量が、前記第2金属層の全体に対して5〜25質量%である、
    電子デバイス用の接合構造。
  2. 前記第2金属層が、パラジウムを含む、
    請求項1に記載の電子デバイス用の接合構造。
  3. パラジウムの含有量が、金、スズ及びニッケルのいずれの元素の含有量よりも大きい部位Aが、前記第2金属層内に存在する、
    請求項に記載の電子デバイス用の接合構造。
  4. 前記部位Aが、前記第1金属層及び前記第2金属層の間の界面に垂直な方向における前記第2金属層の中央に位置する、
    請求項に記載の電子デバイス用の接合構造。
  5. 前記y/xが3.1〜4.8である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の電子デバイス用の接合構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の接合構造を備える、
    電子デバイス。
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