以下、図面を参照して、本実施形態にかかる商品販売データ処理装置及びプログラムについて詳細に説明する。
図1は、本実施形態にかかる会計システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、会計システム1は、携帯端末10と、決済装置20と、ストアサーバ30と、無線アクセスポイント40とを備える。決済装置20、ストアサーバ30及び無線アクセスポイント40は、有線LAN(Local Area Network)等のネットワークNによって接続されている。また、携帯端末10は、無線通信によって無線アクセスポイント40や決済装置20に接続する。ここで、本実施形態では、携帯端末10及び決済装置20が、前捌きシステムを構成する。なお、携帯端末10、決済装置20及び無線アクセスポイント40の個数は、特に問わないものとする。
会計システム1は、百貨店等の店舗に設置される。この会計システム1は、決済装置20における商品の決済前に、店員が操作する携帯端末10によって客が購入する商品の商品識別子(商品識別コード)を登録する。登録された商品識別コードは、携帯端末10の端末識別子(端末番号)と関連付けて後述するマスタ機に管理される。そして、店員は客とともに決済装置20へ向かい、自身が所持する携帯端末10の端末番号をキャッシャに伝える。端末番号を受け付けたキャッシャは、決済装置20を操作することでその端末番号に関連付けされた商品識別コードをマスタ機から取得する。そして、決済装置20は、取得した商品識別コードに基づき商品の決済を行う。
携帯端末10は、タブレット端末等の携帯型の情報処理端末である。携帯端末10は、店舗の店員等に携帯され、商品の登録時等に操作される。なお、携帯端末10の各々には、他の携帯端末10と識別するための固有の端末番号が予め付与されているものとする。
図2は、携帯端末10の概略構成を示す図である。図2に示すように、携帯端末10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、通信I/F14と、操作部15と、表示部16と、記憶部17と、スキャナ部18とを備える。また、携帯端末10は、日時を計時するRTC(Real Time Clock)等の計時部を備える(図示せず)。
ROM12は、CPU11が実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAM13は、CPU11が各種プログラムを実行する際に、一時的にデータやプログラムを記憶する。CPU11は、ROM12や記憶部17に格納された各種プログラムをRAM13に展開して実行することで各種の機能を実現させる。
通信I/F14は、無線通信可能な通信インタフェースである。携帯端末10は、通信I/F14を介して、無線アクセスポイント40や決済装置20と通信を行うことが可能である。
操作部15は、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置である。操作部15は、オペレータ(店員)による操作を受け付け、その操作内容をCPU11に出力する。表示部16は、LCD等の表示デバイスである。表示部16は、CPU11の制御の下、各種の情報を表示する。なお、表示部16をタッチパネル構成としてもよい。この場合、表示部16のタッチパネルは操作部15として機能する。
記憶部17は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。記憶部17は、CPU11が実行する各種プログラムや各種データを記憶する。また、記憶部17は、自装置に割り振られた端末番号を記憶する。
スキャナ部18は、バーコードや二次元コード等のコードシンボルを読み取るコードスキャナである。スキャナ部18は、商品に付されたコードシンボルから商品識別コードを読み取る。ここで、商品識別コードは、例えばJAN(Japanese Article Number)コードやUPC(United Product Code)等の商品識別番号である。なお、スキャナ部18は、携帯端末10が具備する撮像部(図示せず)と、コードシンボルをデコード可能なプログラムとの協働により実現する形態としてもよい。この場合、スキャナ部18は、撮像部によって撮像されたコードシンボルの画像から、当該コードシンボルをデコードすることで商品識別コードの読み取りを行う。
携帯端末10では、スキャナ部18により商品識別コードが読み取られると、その商品識別コードをRAM13に一時記憶する。そして、操作部15を介して、取引の確定を指示する操作が行われると、携帯端末10は、RAM13に記憶された商品識別コードの各々を自装置に割り振られた端末番号と関連付け、前捌きデータとして後述するマスタ機20aに送信する。
図1に戻り、決済装置20は、店舗の会計エリアに設けられるPOS端末等の商品販売データ処理装置である。決済装置20は、保持する機能の違いから一のマスタ機20aと、一又は複数のサテライト機20bとに大別される。以下、マスタ機20aとサテライト機20bとを区別する必要がないときは、単に決済装置20と表記する。
図3は、決済装置20の概略構成を示す図である。図3に示すように、決済装置20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、通信I/F24と、操作部25と、表示部26と、記憶部27と、スキャナ部28と、プリンタ部29とを備える。また、決済装置20は、日時を計時するRTC等の計時部を備える(図示せず)。
ROM22は、CPU21が実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAM23は、CPU21が各種プログラムを実行する際に、一時的にデータやプログラムを記憶する。CPU21は、ROM22や記憶部27に格納された各種プログラムをRAM23に展開して実行することで各種の機能を実現させる。
通信I/F24は、ネットワークNに接続可能な通信インタフェースである。決済装置20は、通信I/F24を介して、携帯端末10やストアサーバ30、他の決済装置20等と通信を行うことが可能である。
操作部25は、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置である。係るキーボードは、数字や算術演算子等のテンキーや、取引の完了を指示するための締めキー等の他、後述する選択画面呼出キーを含む。操作部25は、オペレータ(キャッシャ)の操作を受け付け、その操作内容をCPU21に出力する。
表示部26は、LCD等の表示デバイスである。表示部26は、CPU21の制御の下、取引内容等の各種情報を表示する。また、表示部26は、キャッシャ用の表示デバイスの他、客用の表示デバイスを備えてもよい。また、表示部26をタッチパネル構成としてもよい。この場合、表示部26のタッチパネルは操作部25として機能する。
記憶部27は、HDDやSSD等の記憶装置である。記憶部27は、CPU21が実行する各種プログラムや各種データを記憶する。また、記憶部27は、各商品に関する情報(以下、商品情報という)を格納した商品情報テーブル271を記憶する。ここで、商品情報は、商品識別コード、その商品の部門、商品名、単価、値引又は割引の値等を含む。また、マスタ機20aの記憶部27は、携帯端末10から送信された前捌きデータを記憶・管理するために設けられたデータ格納部272(格納領域)を有する。
スキャナ部28は、コードシンボルを読み取るコードスキャナである。スキャナ部28は、商品に付されたコードシンボルを読み取り、そのコードシンボルに含まれた商品識別コードをCPU21に出力する。プリンタ部29は、レシート用紙等の用紙に印字を行う印字装置である。プリンタ部29は、CPU21の制御の下、一取引の取引内容を用紙に印字する。
決済装置20は、前捌きデータ等を介して一取引分の商品の商品識別コードを受け付けると、それら商品の決済処理を実行する。また、決済装置20は、一取引の内訳を記録した商品販売データをストアサーバ30に送信する。また、決済装置20は、一取引の内訳を記録したレシートをプリンタ部29から出力させる。
図1に戻り、ストアサーバ30は、決済装置20の各々に対し、各商品の商品データを提供する。また、ストアサーバ30は、決済装置20の各々から送信される商品販売データを記憶・管理する。
次に、上述した携帯端末10及び決済装置20(マスタ機20a、サテライト機20b)の機能構成について、図4を参照して説明する。
図4は、携帯端末10及び決済装置20(マスタ機20a、サテライト機20b)の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、携帯端末10のCPU11は、ROM12や記憶部17に記憶されたプログラムを実行することで、コード取得部111及びデータ送信部112を機能部として備える。マスタ機20aのCPU21は、ROM22や記憶部27に記憶されたプログラムを実行することで、データ管理部211、状態監視部212、表示制御部213、選択受付部214、データ提供部215、データ取得部216及び決済処理部217を機能部として備える。また、サテライト機20bのCPU21は、ROM22や記憶部27に記憶されたプログラムを実行することで、表示制御部311、選択受付部312、データ取得部313及び決済処理部314を機能部として備える。
携帯端末10のコード取得部111は、スキャナ部18で読み取られた商品識別コードを取得する。また、携帯端末10のコード取得部111は、取得した商品識別コードをRAM13等に一時記憶することで、商品の事前登録を行う。
携帯端末10のデータ送信部112は、操作部15を介して行われる取引確定の操作に応じて、前捌きデータをマスタ機20aに送信する。ここで、前捌きデータには、事前登録された商品識別コードの他、自装置の端末番号が含まれる。なお、前捌きデータを送信した後に、事前登録された商品識別コードを自動的に消去する形態としてもよい。
マスタ機20aのデータ管理部211は、携帯端末10から送信された前捌きデータを受け付けると、その前捌きデータを記憶部27のデータ格納部272に格納する。また、データ管理部211は、特定の端末番号を指示した決済済情報を受け付けると、その端末番号を含んだ前捌きデータを、データ格納部272から削除する。また、データ管理部211は、データ格納部272に格納可能な前捌きデータの個数が、各携帯端末10(端末番号)につき最大一つとなるよう制御することが好ましい。
マスタ機20aの状態監視部212は、データ格納部272の状態を監視することで、携帯端末10の各々から送信される前捌きデータの受信状態(状況)を監視する。また、状態監視部212は、データ格納部272の状態に応じ、前捌きデータの存否を通知する。具体的に、状態監視部212は、データ格納部272の状態変化を検知すると、その状態に応じた通知を決済装置20全体(マスタ機20a、サテライト機20b)に行う。ここで、データ格納部272の状態は、例えば以下の3つに大別することができる。
第1の状態として、空のデータ格納部272に前捌きデータが格納された状態が挙げられる。状態監視部212は、データ格納部272が第1の状態に変化したことを検知すると、前捌きデータが存在することを指示する存在情報を決済装置20全体に通知(送信)する。また、状態監視部212は、データ格納部272に格納された前捌きデータに含まれる端末番号を、決済装置20全体に通知(送信)する。
第2の状態として、前捌きデータが格納済のデータ格納部272に、新たな前捌きデータが格納された状態が挙げられる。状態監視部212は、データ格納部272が第2の状態に変化したことを検知すると、データ格納部272に格納された前捌きデータの各々に含まれる端末番号を、決済装置20全体に通知(送信)する。
第3の状態として、データ格納部272が空の状態が挙げられる。状態監視部212は、データ格納部272が第3の状態に変化したことを検知すると、前捌きデータが存在しないことを指示する非在情報を決済装置20全体に通知(送信)する。
マスタ機20aの表示制御部213は、表示部26の表示制御を行う機能部である。具体的に、表示制御部213は、決済装置20の業務に関係する各種の画面を表示部26に表示させる。また、表示制御部213は、状態監視部212からの存在情報の通知に応じて、前捌きデータが存在することを通知する通知情報を表示部26に表示させる。ここで、通知情報は、例えばアイコンやメッセージ等を用いることができる。
図5は、表示制御部213が表示する画面(商品登録画面)の一例を示す図である。この、商品登録画面は、客が購入する一取引分の商品(商品情報)をキャッシャに提示するための画面である。
図5に示すように、商品登録画面51は、第1表示領域A1と、第2表示領域A2とを有する。第1表示領域A1は、一取引で購入される商品の商品情報を表示するための領域である。第1表示領域A1は、各商品に関する商品情報として、各商品の部門を示す「部門」と、商品名を示す「商品名」、単価を示す「単価」、点数を示す「点数」、値引又は割引の値を示す「値引」、各商品の金額であって、値引が有る場合にはその値を反映した金額を示す「金額」等の項目を有する。なお、同一の商品が複数ある場合には、「点数」項目の値が増加する。
第2表示領域A2は、商品登録した商品の値引額、M&MA(Mixed MAtch)等によるまとめ値引額、外税、合計金額、預かり金額、請求残高等を表示するための領域である。
第1表示領域A1の上方には、各種情報を表示するための第3表示領域A3が設けられている。この第3表示領域A3には、店舗を識別する店舗コード、決済装置20を識別するレジコード、キャッシャを識別する責任者コードや氏名等が表示される。
表示制御部213は、状態監視部212から存在情報の通知を受け付けると、図6に示すように、前捌きデータが存在することを通知する通知情報G1を第3表示領域A3に表示させる。ここで、図6は、通知情報の表示例を示す図である。また、表示制御部213は、状態監視部212から非在情報の通知を受け付けると、第3表示領域A3に表示していた通知情報G1を消去する。
なお、図6の例では、通知情報G1として、携帯端末10を表すアイコンを表示する形態としたが、表示形態はこれに限らないものとする。例えば、状態監視部212から通知された端末番号の個数に応じて、第3表示領域A3に表示する通知情報G1の個数を増減させてもよい。
図7は、上述した通知情報の他の表示例を示す図である。図7の商品登録画面51は、状態監視部212から3つの端末番号が通知された場合の画面例を示している。この場合、表示制御部213は、第3表示領域A3に3つの通知情報G1を表示させる。また、この場合、通知情報G1に関連付けて、通知された端末番号を表示させる形態としてもよい。
さらに、表示制御部213は、選択画面呼出キー(操作部25)の操作を受け付けると、端末番号を選択させるための選択画面を表示部26に表示させる。具体的に、表示制御部213は、状態監視部212から通知された端末番号に基づき、その端末番号を選択可能とした選択画面52を表示させる。例えば、8台の携帯端末10に、1〜8の端末番号がそれぞれ割り振られているとする。この場合、状態監視部212から端末番号1、3、8が通知されたとすると、表示制御部213は、図8に示すように、端末番号1、3、8を選択可能とした選択画面52を表示させる。
ここで、図8は、表示制御部213が表示する画面(選択画面)の一例を示す図である。図8に示すように、選択画面52には、各携帯端末10の端末番号1〜8が表示される。また、1〜8の端末番号のうち、状態監視部212から通知された端末番号1、3、8が選択可能に有効化されている。
なお、選択画面52の表示形態は、図8に限らないものとする。例えば、図8では、状態監視部212から通知された端末番号のみ選択可能としたが、これに限らず、未通知の端末番号についても選択可能としてもよい。これにより、前捌きデータをマスタ機20aに送信したにも関わらず、端末番号の通知が遅れている携帯端末10が存在するような場合に、その端末番号を含む前捌きデータを取得することができる。また、図8では、商品登録画面51に重ねて選択画面52を表示する形態としたが、これに限らず、例えば選択画面52を表示している間、商品登録画面51を非表示としてもよい。
また、本実施形態では、選択画面呼出キーの操作に応じて選択画面52を表示することとしたが、これに限らないものとする。例えば、第3表示領域A3に表示された通知情報G1に対して操作(タッチ操作等)が行われた場合に、選択画面52を表示してもよい。また、通知情報G1に関連付けて端末番号を表示する形態の場合には、この通知情報G1を選択画面52での選択項目としてもよい。具体的には、通知情報G1の操作に応じて、その通知情報G1に関連付けられた端末番号が選択されたと判定する。
図4に戻り、マスタ機20aの選択受付部214は、選択画面52に対する選択操作を受け付ける。また、選択受付部214は、選択された端末番号を指示する取得要求を、マスタ機20aのデータ提供部215に出力(送信)する。例えば、図8の選択画面52から端末番号1が選択されると、選択受付部214は、その端末番号1を指示する取得要求をデータ提供部215に出力する。
マスタ機20aのデータ提供部215は、選択受付部214(或いは選択受付部312)から送信された取得要求を受け付ける。データ提供部215は、取得要求で指示された端末番号を含む前捌きデータをデータ格納部272から読み出す。そして、データ提供部215は、読み出した前捌きデータを、取得要求を送信した決済装置20(マスタ機20a、サテライト機20b)のデータ取得部216、313に提供する。なお、データ提供部215は、異なる決済装置20に同一の前捌きデータを多重に提供しないよう、排他制御を行うものとする。
マスタ機20aのデータ取得部216は、データ提供部215から提供された前捌きデータを取得する。また、データ取得部216は、商品情報テーブル271から、前捌きデータに含まれた商品識別コードの各々に対応する商品情報を取得する。そして、データ取得部216は、表示制御部213と協働することで、商品登録画面51の第1表示領域A1に商品情報を入力する。
図9は、表示制御部213が表示する画面(商品登録画面)の一例を示す図である。図9の商品登録画面51に示すように、データ取得部216が取得した前捌きデータに対応する商品情報が、第1表示領域A1の該当する項目に入力される。また、第1表示領域A1の入力に伴い、第2表示領域A2の表示内容も更新される。つまり、携帯端末10において事前に登録された一取引分の商品情報が、決済装置20のキャッシャに提示される。
マスタ機20aの決済処理部217は、第1表示領域A1に入力された各商品の決済に係る決済処理を実行する。具体的に、決済処理部217は、第1表示領域A1に入力された各商品の販売個数等に基づいて販売登録を行う。ここで、販売登録とは、各商品の商品情報を、その商品の購入数等と関連付けてRAM23上に保持したり、ストアサーバ30に登録したりすること等を意味する。また、決済処理部217は、決済処理が完了すると、その決済の対象となった前捌きデータに含まれる端末番号を指示した決済済情報を、データ管理部211に送信(出力)する。
なお、サテライト機20bが有する表示制御部311、選択受付部312、データ取得部313及び決済処理部314の機能は、上述したマスタ機20aでの同名称の機能部(表示制御部213、選択受付部214、データ取得部216及び決済処理部217)と同様である。そのため、サテライト機20bの機能部についての説明は省略する。
以下、会計システム1(前捌きシステム)の動作について説明する。ここで、図10は、携帯端末10及び決済装置20(マスタ機20a、サテライト機20b)が実行する前捌き処理の一例を示すシーケンス図である。
まず、携帯端末10を携帯する店員は、売り場等において客が購入を所望した商品の商品登録を行う。ここで、店員が商品に付されたコードシンボルを携帯端末10のスキャナ部18にかざすと、携帯端末10のコード取得部111は、その商品の商品識別コードを取得する(ステップS11)。次いで、携帯端末10のデータ送信部112は、取引確定の操作を受け付けると、商品識別コードと端末番号とを含んだ前捌きデータをマスタ機20aに送信する(ステップS12)。
マスタ機20aのデータ管理部211は、携帯端末10から送信された前捌きデータを記憶部27のデータ格納部272に格納する(ステップS13)。続いて、マスタ機20aの状態監視部212は、データ格納部272の状態変化(第1の状態又は第2の状態)に応じた通知を、自装置(マスタ機20a)及びサテライト機20bに行う(ステップS14)。
続いて、マスタ機20aの表示制御部213及びサテライト機20bの表示制御部311は、状態監視部212からの通知に応じて、通知情報を商品登録画面上に表示させる(ステップS15、S16)。これにより、決済装置20のキャッシャは、表示部26に通知情報が表示されたことで、未決済の前捌きデータが存在することを把握することができる。
一方、携帯端末10を携帯する店員は、決済処理を行うため客とともに決済装置20の何れかに向かうと、その携帯端末10の端末番号を決済装置20のキャッシャに通知する。そして、通知を受けたキャッシャは、選択画面呼出キー等を操作することで、選択画面の表示を行う。なお、本処理では、サテライト機20bの何れかで、選択画面呼出キーの操作が行われたものとする。
サテライト機20bの表示制御部311は、選択画面呼出キーの操作を受け付けると、選択画面を表示部26に表示させる(ステップS17)。サテライト機20bの選択受付部312は、選択画面から端末番号の選択を受け付けると、この端末番号を指示した取得要求をマスタ機20aに送信する(ステップS18)。
マスタ機20aのデータ提供部215は、取得要求を受け付けると、この取得要求で指示された端末番号を含む前捌きデータをデータ格納部272から読み出す(ステップS19)。次いで、マスタ機20aのデータ提供部215は、読み出した前捌きデータを、取得要求を送信した決済装置20(サテライト機20b)に提供(送信)する(ステップS20)。なお、ステップS20で提供した前捌きデータについては、他の決済装置20に多重に提供してしまうことを防ぐため、排他制御を行うものとする。
サテライト機20bのデータ取得部313は、マスタ機20aから前捌きデータを取得すると、この前捌きデータに含まれた商品識別コードに対応する商品情報を商品情報テーブル271から読み出す(ステップS21)。次いで、サテライト機20bのデータ取得部313は、表示制御部311と協働することで、読み出した商品情報を商品登録画面上に表示させる(ステップS22)。
サテライト機20bの決済処理部314は、締めキー等の操作に応じて決済処理を行う(ステップS23)。続いて、サテライト機20bの決済処理部314は、決済対象の前捌きデータに含まれる端末番号を指示した決済済情報を、マスタ機20aに送信する(ステップS24)。
そして、マスタ機20aのデータ管理部211は、決済済情報を受け付けると、この決済済情報で指示された端末番号を含む前捌きデータを、データ格納部272から削除する(ステップS25)。なお、前捌きデータの削除に伴い、データ格納部272が空となった場合、マスタ機20aの状態監視部212は非在情報の通知を行うものとする。
以上のように、本実施形態の決済装置20によれば、データ格納部272の状態を監視することで、携帯端末10の各々から送信される前捌きデータの受信状態を監視する。また、決済装置20は、データ格納部272に前捌きデータが存在する場合に、その旨を通知する通知情報を表示部26に表示させ、その前捌きデータに含まれた端末番号を表示部26に表示させる。これにより、決済装置20を操作するキャッシャは、前捌きデータが存在することや、その前捌きデータがどの携帯端末10で事前登録されたものかを容易に判別することができる。そのため、キャッシャは、事前登録された商品の決済処理業務を円滑に進めることができるため、前捌きシステムを用いた決済処理業務の効率化を図ることができる。
また、本実施形態の決済装置20によれば、一のマスタ機20aが備えるデータ格納部272において前捌きデータの記憶・管理を行い、当該データ格納部272の状態をサテライト機20bに通知する。これにより、前捌きデータを一元的に管理することができるため、携帯端末10の各々から送信された前捌きデータの管理を効率的に行うことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。また、上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、マスタ機20aを、サテライト機20bと同様の決済装置20としたが、これに限らず、前捌きデータの記憶・管理を行う専用のサーバ装置としてもよい。この場合、マスタ機20aは、データ管理部211、状態監視部212及びデータ提供部215の機能部を備えるものとする。
また、上記実施形態では、データ格納部272の状態をマスタ機20aの状態監視部212が監視する形態としたが、これに限らず、サテライト機20bの各々で監視する形態としてもよい。具体的には、サテライト機20bの各々が、状態監視部212と同等の機能を備えることで、データ格納部272の状態を直接監視する構成としてもよい。なお、この構成を採用する場合、サテライト機20bの状態監視部212は、自装置の表示制御部311へのみ通知を行うことが好ましい。また、この構成を採用する場合、マスタ機20aの状態監視部212からサテライト機20bへの通知は不要としてもよい。
また、上記実施形態では、複数台の決済装置20を用いた例を説明したが、これに限らず、一台構成としてもよい。この場合、決済装置20は、マスタ機20aのスタンドアロン構成としてもよい。また、前捌きデータの記憶・管理を行う専用のサーバ装置を設ける場合、サテライト機20bのスタンドアロン構成としてもよい。
また、上記実施形態では、携帯端末10において、事前登録された商品の内訳として当該商品の商品識別コードを前捌きデータに含める形態としたが、これに限らないものとする。例えば、各商品から読み取った商品識別コードに対応する商品情報を、決済装置20やストアサーバ30の商品情報テーブル271から読み出し、当該商品情報を前捌きデータに含める構成としてもよい。
上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するが、これに限らないものとする。例えば、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。更に、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供する構成としてもよい。また、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布する構成としてもよい。