JP6217986B2 - 徐放性機能材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、徐放性機能材の製造方法に関する。
一般に、架橋ゼラチンゲル中に機能性素材を包摂し、粉末化することにより、消化管での滞留時間を長くして、包摂した機能性素材を徐放化することができることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、水溶性の機能性素材であるデオキシノジリマイシンを、トランスグルタミナーゼを添加したゼラチン溶液に加え、ゲル化させた後、フリーズドライして粉砕し、粉末化することで徐放化することが試験的に試みられている。
しかしながら、工業的量産化を考えた場合、ゼラチンとトランスグルタミナーゼとの反応を制御できなければ、架橋反応が速すぎて充填前にライン中で固まったり、反応が不十分で十分に架橋されなかったり、といった問題が起きる可能性がある。この問題を解決する方法として、本発明者等により、適切な種類のゼラチンを選択し、アンモニウム塩を加えることにより、ゼラチンとトランスグルタミナーゼとの反応を制御し、工業的に架橋ゼラチンゲルを量産する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
機能性素材を包摂した粉末は、芯殻構造を備えたマイクロカプセルが連なった、一種のマイクロスフィアであると考えられる。マイクロカプセルの代表的な製造法として、ゼラチン、アラビアガム系複合コアセルべーション法がある。また、この方法に、ゼラチンの重合剤としてトランスグルタミナーゼを用いた方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
小野瀬晋司、「桑1−デオキノジリマイシンのマイクロスフェア化による食後高血糖抑制作用の持続向上」、日本栄養・食糧学会大会講演要旨集、平成23年4月25日、5巻、132頁
特開2011−193842号公報 特開平5−292899号公報
特許文献1に記載の方法によれば、架橋ゼラチンゲルに目的とする機能性素材の成分を含ませることができるが、そのゲルを粉末化するまでの検討は行われていないという課題があった。また、特許文献2に記載の方法では、粒子が独立したマイクロサイズのカプセルを得ることができるが、工程数や、反応時間やpH等の管理項目が多く、製造工程が複雑であるという課題があった。また、得られる反応物は、反応液100質量%中、10質量%程度であり、収量が低いという課題もあった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、機能性素材をゼラチン中に包摂した粉末状の徐放性機能材を容易かつ高収量で製造することができる徐放性機能材の製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係る徐放性機能材の製造方法は、HLB3乃至11の乳化剤、または、HLB11乃至16の乳化剤とHLB1乃至9の乳化剤とを含むものを溶かした溶液に、DHAおよび/またはEPAを含む魚油と硬化油脂とから成る機能性素材であって前記硬化油脂は融点50℃以上のパーム油から成り前記魚油に対し10質量%以上含まれる機能性素材を加えた後、撹拌混合して原料を調製し、前記原料と、ブルームが280乃至320のゼラチンとトランスグルタミナーゼとアンモニウム塩とを撹拌混合した後、静置してゲルを形成し、前記ゲルをフリーズドライした後、粉砕して粉末化することを特徴とする。
本発明に関連の徐放性機能材は、本発明に係る徐放性機能材の製造方法により製造することができる。本発明に係る徐放性機能材の製造方法は、従来のゼラチン、アラビアガム系複合コアセルべーション法と比べて、工程数や管理項目が少ないため、機能性素材をゼラチン中に包摂した粉末状の徐放性機能材を、容易に製造することができる。また、収量を高めることができる。
本発明に関連の徐放性機能材は、乳化剤を含み、前記機能性素材は油脂から成る。本発明に係る徐放性機能材の製造方法で、前記機能性素材は油脂から成り、前記原料は、乳化剤を溶かした溶液に、前記機能性素材を加えた後、撹拌混合して調製される。このため、油脂から成る機能性素材を乳化させてゼラチンゲル中に包摂することができ、機能性素材による粉末状の徐放性機能材を得ることができる。
本発明に関連の徐放性機能材および本発明に係る徐放性機能材の製造方法で、前記機能性素材は硬化油脂を含んでいる。このため、得られる徐放性機能材の粉末からの油脂の染み出しを防ぐことができる。また、徐放性機能材の酸化安定性を高めることができ、臭いのマスキング効果を高めることができる。
本発明に関連の徐放性機能材および本発明に係る徐放性機能材の製造方法で、前記ゼラチンは、ブルームが280乃至320であり、前記乳化剤は、HLB3乃至11の乳化剤、または、HLB11乃至16の乳化剤とHLB1乃至9の乳化剤とを含むものから成り、前記油脂は、魚油と前記硬化油脂とを含み、前記硬化油脂はパーム油から成る。このため、優れた油脂の染み出し防止効果、ならびに、優れた酸化安定性およびマスキング効果を得ることができる。
本発明に関連の徐放性機能材および本発明に係る徐放性機能材の製造方法で、前記機能性素材は、本発明に係る徐放性機能材を摂取したときに吸収効率が上がるものを含んでいる。このような素材としては、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が挙げられる。機能性素材がDHAおよび/またはEPAを含むため、本発明に係る徐放性機能材を摂取することにより、DHAおよび/またはEPAの吸収効率を高めることができる。このため、心筋梗塞などの病気の予防のための健康食品として適しており、健康増進に寄与することができる。本発明に係る徐放性機能材は、ビタミン類、糖類など他の素材を含んでいてもよい。
本発明に関連の健康食品は、本発明に関連の徐放性機能材を含むことを特徴とする。本発明に関連の健康食品は、粉末状またはカプセル状であることが好ましい。
本発明によれば、機能性素材をゼラチン中に包摂した粉末状の徐放性機能材を容易かつ高収量で製造することができる徐放性機能材の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の徐放性機能材である粉末魚油(FPO−1670、FPO−170,1670)、および液体魚油(FPO)の、ヘッドスペース分析による酸素吸収量の時間変化を示すグラフである[平均値±標準偏差(n=3)]。 本発明の実施の形態の徐放性機能材である粉末魚油(FPO−1670、FPO−170,1670)、および液体魚油(FPO)の、過酸化物価の時間変化を示すグラフである[平均値±標準偏差(n=3)]。 本発明の実施の形態の徐放性機能材である粉末魚油の、水を用いた溶出試験での、(a)FPO−1670の水への投入直後、(b)投入15分後、(c)投入30分後、(d)FPO−170,1670の水への投入直後、(e)投入15分後、(f)投入30分後の観察結果を示す写真である。 本発明の実施の形態の徐放性機能材である粉末魚油の、人工胃液を用いた溶出試験での、(a)FPO−1670の人工胃液への投入直後、(b)投入15分後、(c)投入30分後、(d)FPO−170,1670の人工胃液への投入直後、(e)投入15分後、(f)投入30分後の観察結果を示す写真である。 本発明の実施の形態の徐放性機能材である粉末魚油の、有機溶媒を用いた溶出試験での、溶出した中性脂質濃度の時間変化を示すグラフである[平均値±標準偏差(n=3)]。 本発明の実施の形態の徐放性機能材である粉末魚油(FPO−1670、FPO−170,1670)、および液体魚油(FPO)の、血漿総脂肪酸分析によるAUC(血漿薬物濃度曲線下面積)の時間変化を示すグラフである[平均値±標準偏差(n=10)]。
本発明の実施の形態の徐放性機能材は、粉末状で、油脂から成る機能性素材とゼラチンとトランスグルタミナーゼとアンモニウム塩と乳化剤とを含んでいる。また、本発明の実施の形態の健康食品は、本発明の実施の形態の徐放性機能材を含んでいる。本発明の実施の形態の徐放性機能材は、以下に示す本発明の実施の形態の徐放性機能材の製造方法により製造される。すなわち、本発明の実施の形態の徐放性機能材の製造方法は、まず、乳化剤を溶かした溶液に、機能性素材を加えた後、撹拌混合して原料を調製する。次に、その原料とゼラチンとトランスグルタミナーゼとアンモニウム塩とを撹拌混合した後、一晩(8乃至10時間)静置してゲルを形成し、そのゲルをフリーズドライした後、粉砕して粉末化する。
本発明の実施の形態の徐放性機能材の製造方法は、従来のゼラチン、アラビアガム系複合コアセルべーション法と比べて、工程数や管理項目が少ないため、機能性素材をゼラチン中に包摂した粉末状の徐放性機能材を、効率良く容易に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態の徐放性機能材の各成分等について検討を行った。
[試験1:ゲル調製のための各成分の検討]
ゲルを形成するにあたり、最適なゼラチンの種類、ならびに、アンモニア塩および油脂の配合量の検討を行った。また、形成されたゲルが、粉砕し粉末化されるのに十分な強度を有しているかの確認も行った。
表1に示す配合で、各試験区を調製した。ゼラチンは、ブルーム200の酸処理ゼラチンおよびアルカリゼラチン、ブルーム250の酸処理ゼラチンおよびアルカリゼラチン、ブルーム300の酸処理ゼラチンを使用した。アンモニウム塩はリン酸アンモニウム、乳化剤はHLB11のショ糖脂肪酸エステル、油脂は魚油を使用した。なお、本明細書において、単に「%」と記載するときは、質量%を示す。
ゲルの調製は、まず、乳化剤を溶解した溶液に魚油を加え、ホモミキサーで10000rpm、5分処理して乳化液を調製した。この乳化液を65℃まで加熱した後、ゼラチン、アンモニウム塩、トランスグルタミナーゼを投入して再度ホモミキサーで5分処理し、完全溶解させ、それを容器に充填して4℃に一晩置いて酵素反応させた。架橋形成したゲルをフリーズドライした後、電動ミルで粉砕した。このときの充填適性およびゲルが粉砕可能な強度であるかどうかの確認を行った。
試験の結果を、表2に示す。表2に示す各評価基準は、以下の通りである。
充填適性評価基準 ○:充填可、
×:充填不可
ゲル強度評価基準 ○:粉末化可能、
△:粉末化可能であるが粉末粒子同士が付着する、
×:ゲルが押しつぶされ粉末化できない
表2に示すように、アンモニウム塩を添加しない全ての試験区1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29、および試験区30は、ゲルセット速度が速く、充填前にゲル化した。また、酸処理、アルカリ処理にかかわらず、ブルーム200のゼラチンを使用した試験区1〜12は、ゲルが弱く、電動ミルで粉砕されずに押しつぶされて団子状になった。ブルーム250のゼラチンを使用した試験区13〜24は、粉砕されて粉末状になったが、所々粉末粒子同士が付着し、塊になっていた。ブルーム300のゼラチンを使用した試験区25〜31は、完全に粉砕され、粉末化できた。総合的には、試験区28が最も良い結果となった。
以上の結果から、ゲルを調製するにあたり、ゲルセット速度を調整するためにアンモニウム塩を添加することが必要であることが確認された。また、ゲルをフリーズドライ後に粉砕し、粉末化するためには、適切なゲル強度が必要であり、ブルームすなわちゲル強度が高いゼラチンを使用する必要性が確認された。
[試験2:魚油配合量の検討]
試験1の結果、電動ミル処理で粉砕した後に、全ての試験区において、魚油の染みだしが認められたことから、魚油の配合量について検討を行った。具体的には、魚油の配合量を減らすことで、ゲル粉砕後の魚油の染み出しを無くせるかどうかの確認と、ゲル中に配合できる魚油の最大量の確認を行った。表3に示す配合で、各試験区を調製し、試験1と同様の方法で粉末化を試みた。このときのフリーズドライ前の乳化の状態と、粉砕後の魚油の染み出し状態の確認を行った。
試験の結果を、表4に示す。表4に示す染み出しの評価基準は、以下の通りである。
評価基準 ○:魚油の染み出し無し
△:魚油の染み出しややあり
×:魚油の染み出しあり
表4に示すように、試験区1〜3では、ゲル中に魚油を乳化して保持することができた。試験区4では、一部保持しきれずに表面に油が出てきた。試験区5では、乳化することができず、ゲルも形成できなかった。また、粉末化後、全ての試験区において魚油が染み出した。
以上の結果から、ゲル中に魚油を乳化して保持させようとした場合、ゲル中の水と油の重量比が1:1のときを境に、油が多くなるほど乳化が困難になることが確認された。魚油の配合量は、30質量%以下が妥当であることが確認された。また、染み出しの原因として、魚油は融点が低いことから、粉末化時の熱、室温に対し不安定であることが考えられる。
[試験3:硬化油脂および乳化剤の検討]
試験1および試験2における魚油の染み出しを改善するために、硬化油脂の添加、および乳化剤の種類について検討を行った。表5〜表9に示す配合で、各試験区を調製し、試験1と同様の方法で粉末化を試みた。各試験区を調製するとき、HLB1〜5のショ糖脂肪酸エステルは魚油に溶解させ、HLB7〜16のショ糖脂肪酸エステルはお湯に溶解させた。また、硬化油脂として融点が50℃のパーム油を使用し、パーム油を加熱溶解して魚油と共に加え、ホモミキサー処理を行った。このように調製された各試験区について、粉砕後の魚油の染み出し状態の確認を行った。
試験の結果を、表10に示す。表10に示す染み出しの評価基準は、以下の通りである。
評価基準 ○:魚油の染み出し無し
△:魚油の染み出しややあり
×:魚油の染み出しあり
−:乳化できない
表10に示すように、試験区1〜4では、乳化の段階で分離し、ゲルが作製できなかった。また、試験区15と17を除き、パーム油を添加した試験区5,7,9,11,13,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43,45,47,49,51,53は、粉末化したときの魚油の染み出しがなかった。パーム油を添加しなかった試験区6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38,40,42,44,46,48,50,52,54は全て、粉末化したときに魚油が染み出した。
一般的に、乳化に適している乳化剤のHLBは3〜11である。これは、親水性または親油性が極端に強い乳化剤は、界面での安定性が悪いと考えられているためである。表10に示す試験結果では、試験区15および17に示すように、HLB15および16の乳化剤でも乳化することはできたが、粉末化したときに魚油が染み出している。これは、HLB15および16の乳化剤が油脂中で結晶核となり、パーム油のみ結晶化を促進し、魚油と分離したためであると考えられる。また、HLB15および16の乳化剤に、HLB1〜9の乳化剤を併用すると(試験区21,23,27,29,33,35,39,41,45,47,51,53参照)、魚油の染み出しがなくなっている。これは、乳化剤同士が結合することで、パーム油のみで結晶化しなくなり、魚油が分離しなくなったためであると考えられる。
このように、魚油を粉末化したときに染み出さないようにするためには、パーム油のような融点の高い油脂を併用する必要があることが確認された。また、魚油および融点の高い油脂の混合物を乳化させるために、HLB3〜11の乳化剤を単独、または併用して使用するか、HLBが11より高い乳化剤を使用する場合は、HLB1〜9の乳化剤を併用する必要があることが確認された。
[試験4:パーム油の種類および配合量の検討]
魚油の染み出しを防止できる、適切な融点のパーム油を選定するとともに、パーム油の適切な配合量について検討を行った。表11に示す配合で、各試験区を調製し、試験3と同様の方法で粉末化を試みた。このときの各試験区の粉砕後の魚油の染み出し状態の確認を行った。
試験の結果を、表12に示す。表12に示す染み出しの評価基準は、以下の通りである。
評価基準 ○:魚油の染み出し無し
△:魚油の染み出しややあり
×:魚油の染み出しあり
表8に示すように、試験区9を除いて魚油の染み出しが認められた。試験区8では、若干の染み出しが認められた。この結果から、魚油の染み出しをなくすためには、高融点のパーム油を添加することが必要であることが確認された。そのようなパーム油として、例えば、融点の高いパルミチン酸やステアリン酸等の構成比率が高い種類のパーム油を選択する必要がある。また、魚油とパーム油との混合比率も重要であり、高融点のパーム油を、魚油に対し10質量%以上添加することが必要であることが確認された。
また、試験区9では、ゲル化させた反応液のうち、フリーズドライにより水分が60%とばされ、最終的な生成物として40%が残った。すなわち、収量が40%であった。このように、本発明の実施の形態の徐放性機能材の製造方法によれば、収量が10%程度の従来の方法と比べて、高収量で徐放性機能材を製造することができるといえる。
[試験5:乳化剤の配合比の検討]
試験3の結果から、HLB1〜9の低HLBの乳化剤と、HLB11〜16の高HLBの乳化剤とを併用することにより、魚油の染み出しをなくすことができることが確認されたことから、これらの最適な配合比について検討を行った。表13に示す配合で、各試験区を調製し、試験3と同様の方法で粉末化を試みた。このときの各試験区の粉砕後の魚油の染み出し状態の確認を行った。
試験の結果を、表14に示す。表14に示す染み出しの評価基準は、以下の通りである。
評価基準 ○:魚油の染み出し無し
△:魚油の染み出しややあり
×:魚油の染み出しあり
表14に示すように、全ての試験区において魚油の染み出しはなかった。この結果から、低HLBの乳化剤の比率が低くても、高HLBの乳化剤の影響を抑えるのに十分であることが確認された。これは、高HLBの乳化剤は親水性が高いことから、界面付近に集中するか、自身でミセルを形成し、油滴中に存在する量は僅かであるためと考えられる。
[試験6:乳化処理方法の検討]
乳化処理方法の違いが、魚油の染み出しに与える影響について検討を行った。具体的には、乳化剤を溶解した溶液に油脂を加えて撹拌混合するとき、ホモミキサーを使用して回転式乳化を行った場合と、ホモジナイザーを使用して高圧乳化を行った場合とについて、乳化粒子の平均粒径および粉末化したときの魚油の染み出し状態の確認を行った。
試験5の表13の試験区2の配合で試験を行った。ホモミキサー処理区では、試験3と同様の方法で粉末化を行った。ホモジナイザー処理区では、ホモミキサー処理の後に、45MPaの圧力でホモジナイザー処理をし、他は試験3と同様の方法で粉末化を行った。各試験区に対して、ゼラチン、酵素を加える前の乳化液を粒度分布計で測定し、平均粒径を求めた。また、粉砕後の魚油の染み出し状態の確認を行った。
試験の結果を、表15に示す。表15に示す染み出しの評価基準は、以下の通りである。
評価基準 ○:魚油の染み出し無し
△:魚油の染み出しややあり
×:魚油の染み出しあり
表15に示すように、ホモミキサー処理区の平均粒径は約13μm、ホモジナイザー処理区の平均粒径は約2μmであった。また、粉末化後の魚油の染み出しは両者ともなかった。この結果から、均一化処理(乳化処理)の方法の違いにより、粒子径の大きさが異なっても、粉末化した際の魚油の染み出しには影響しないことが確認された。このことから、染み出しに関しては、乳化処理方法の違いよりも、パーム油の融点のほうが影響すると考えられる。
[試験7:酸化安定性試験]
酸化開始点を測定することにより、粉末化した魚油の酸化安定性について評価を行った。試験試料として、魚油、融点50℃のパーム油、試験4の表11の試験区9で調製した粉末化した魚油(魚油とパーム油とを併用した粉末)のそれぞれについて、示差熱量計を用いて示差熱量測定を行った。測定条件として、雰囲気ガスに酸素と窒素とを用い、各サンプル2.5mgを室温から250℃まで10℃/分で昇温した。測定結果を、表16に示す。
粉末化した魚油は、パーム油を添加しているが、魚油の酸化開始点のほうが低いため、酸化開始点は魚油の酸化開始点と等しくなると予想される。しかしながら、表16に示すように、粉末化した魚油の酸化開始点は、魚油の酸化開始点よりも約20℃高くなっていることが確認された。これは、粉末化した魚油が架橋ゼラチン中に包摂されることにより、酸素との接触確率が低くなり、反応性が悪くなったためと考えられる。
次に、本発明の実施の形態の徐放性機能材として、表17に示す配合で調製した2種類の粉末魚油試料(「FPO−1670」および「FPO−170,1670」)について、示差熱量計を用いた示差熱量測定、ヘッドスペースGC分析、および、過酸化物価(PV)の測定を行い、酸素安定性について評価を行った。ここで、FPO−1670およびFPO−170,1670は、脂質割合が74%で、ともに魚油とパーム油とショ糖脂肪酸エステルとを、25:5:1.2の割合で含んでいる。また、FPO−1670は、ショ糖脂肪酸エステルとして、HLB16のもの(三菱化学フーズ社製;商品名「リョートーシュガーエステル s−1670」)のみを含んでおり、FPO−170,1670は、ショ糖脂肪酸エステルとして、HLB1のもの(三菱化学フーズ社製;商品名「リョートーシュガーエステル s−170」)とHLB16のものとを1:2の割合で含んでいる。また、比較のため、魚油とパーム油とを5:1で混合した液体魚油試料(表17中の「FPO」)についても、酸素安定性の評価を行った。
液体魚油FPOは、−30℃で保存されていた魚油とパーム油とを、70℃の湯浴で完全に融解させ、それらを5:1の割合で混合させることで調製した。また、FPO−1670およびFPO−170,1670は、それぞれFPOと所定のショ糖脂肪酸エステルと他の成分とを、表17に示す配合で調製し、試験3と同様の方法で粉末化して作製した。
ヘッドスペースGC分析では、以下の原理により、酸素吸収量の測定を行った。すなわち、空気には酸素と窒素が約20:80の割合で存在していることから、測定試料を密閉した容器の内部に入れると、試料が酸素を吸収することにより、酸素の存在比が経時的に減少していく。そこで、GC分析で密閉容器内部の酸素と窒素の比率変化を測定することにより、酸素の消費量を定量することができる。測定方法としては、試験管(16×150mm)に、粉末魚油(FPO−1670、FPO−170,1670)では500mg、液体魚油(FPO)では365mgを計りとり、天然ゴム製のセプタムラバー(φ18mm)で密栓した(密閉系)。その試験管を暗所に置き、40℃でインキュベートして自動酸化させた。経時的に試験管内部の空気を50μl採取し、GC分析に供した。GC分析条件を、表18に示す。
過酸化物価(PV)の測定では、まず、粉末魚油および液体魚油の試料1.5gをシャーレに量りとり、蓋をして(開放系)、暗所、40℃でインキュベートして自動酸化させた。粉末魚油の試料からは、Folch法により脂質を抽出してPV測定を行った。すなわち、魚油粉末(350〜100mg)に精製水1.5mlを加え、クロロホルム/メタノール(2/1,v/v,0.004%(w/v)ブチルヒドロキシトルエン(BHT)含有)6mLを混合し、5分間振とう後、遠心分離(3000rpm、4℃、10min)した。遠心分離後の下層を別の試験管に移し、残った上層に理論下層であるクロロホルム/メタノール(10/1,v/v)4.5mLを加えて混合し、1分間振とう後、遠心分離(3000rpm、4℃、10min)した。この遠心分離後の下層を先の下層と混合し、理論上層であるクロロホルム/メタノール/水(3/48/47,v/v/v)6mLを加えて混合し、1分間振とう後、遠心分離(3000rpm、4℃、10min)した。この遠心分離後の上層を除き、下層をロータリーエバポレーターで濃縮し、窒素乾固した後に重量を測定した。
こうして抽出された粉末魚油の油脂、および自動酸化させた液体魚油に対して、それぞれ酢酸/2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)(3/2,v/v)2.5mlを加え、静かに振り混ぜて試料を完全に溶かした。次に、飽和ヨウ化カリウム溶液5μlを加えて窒素ガスで十分に置換し、蓋をして1分間連続して円を描くように振り混ぜた。そして、精製水1.5mlを加え、再び栓をして約10秒間激しく振り混ぜた後、0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定した。測定液が微黄色を呈したら、デンプン溶液50μlを指示薬として加えて滴定を続け、デンプンによる青色の消失時を終点とした。なお、予め本試験に先立って空試験を行い、デンプン溶液を加えて青色とならないことを確認した。
過酸化物価は、以下の計算式により求めることができる。
過酸化物価(meq/kg)=(A×f×10)/B
A:0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム標準液の滴定料(ml)
f:0.01mol/チオ硫酸ナトリウム標準液のファクター
B:試料の採取量(g)
示差熱量測定の結果、酸化開始点は、液体魚油のFPOが162.5±1.6℃、粉末魚油のFPO−1670が188.9±0.2℃、FPO−170,1670が188.6±0.2℃であった。このことから、粉末魚油の方が、液体魚油よりも酸化開始点が高く、酸化安定性が高いといえる。なお、酸化開始点の測定値には、FPOとFPO−1670およびFPO−170,1670との間では有意な差(p<0.01)があったが、FPO−1670とFPO−170,1670との間では有意な差はなかった。
ヘッドスペースGC分析の結果を、図1に示す。図1に示すように、粉末魚油の方が、液体魚油よりも酸素吸収量が少なく、酸化安定性が高いといえる。なお、分析結果には、FPOとFPO−1670およびFPO−170,1670との間では、3日目以降に有意な差(p<0.01)が認められた。また、FPO−1670とFPO−170,1670との間では、14日目以降で有意な差(p<0.01)が認められた。
過酸化物価の測定結果を、図2に示す。図2に示すように、粉末魚油の方が、液体魚油よりも過酸化物価が小さく、酸化安定性が高いといえる。なお、測定結果には、FPOとFPO−1670およびFPO−170,1670との間では、3日目以降に有意な差(p<0.01)が認められた。また、FPO−1670とFPO−170,1670との間では10日目以降で有意な差(p<0.01)が認められた。
このように、パーム油を添加して架橋ゼラチン中に包摂し、粉末化した魚油は、酸化安定性が向上し、臭いのマスキング効果が高い。架橋ゼラチン中に包摂することにより、酸素との接触が妨げられると考えられるため、魚油以外の機能性素材を包摂した場合にも、酸化安定性が向上すると考えられる。
[試験8:徐放性試験]
表17に示す2種類の粉末魚油試料FPO−1670およびFPO−170,1670を用いて、水および人工胃液を用いた溶出試験、ならびに有機溶媒を用いた溶出試験を行い、徐放性について評価を行った。
水および人工胃液を用いた溶出試験では、あらかじめ粉末魚油の試料を作製する段階で、細胞の染色剤として利用されているoil redを、魚油とパーム油との合計量に対して0.05%添加し、油脂を赤色に染色したものを準備した。また、人工胃液として、精製水にHCl 7mlとNaCl 2gとを溶解させて1Lとし、pH1.2に調製した溶液を作製した。試験ではまず、100mlのビーカーに精製水または人工胃液50mlを入れ、37℃でインキュベートした。この状態に、赤色に染色した粉末魚油(FPO−1670、FPO−170,1670)250mgを投入し、経時的に観察を行った。
また、有機溶媒を用いた溶出試験では、まず、50mlのネジ付三角フラスコに、2−プロパノールを40mlとり、粉末魚油100mgを投入した。これを25℃でインキュベートし、100回/分で振とうした。測定のため、経時的(0〜120分)に200μlサンプリングすると同時に、200μl加えることで溶媒量が変わらないようにした。120分後、振とう速度を150回/分にし、さらに60分溶出させることで最終濃度とした。サンプリングした2−プロパノールは窒素乾固し、再度2−プロパノール300μlを加えて再溶解した。溶媒へ溶出した油脂量は、トリグリセライドE−テストワコーを用いて比色法で測定した(GPO・DAOS法)。
水および人工胃液を用いた溶出試験の結果を、それぞれ図3および図4に示す。図3および図4に示すように、FPO−1670およびFPO−170,1670のどちらも、15分後、30分後と時間が経つにつれて、水および人工胃液の表面が赤みを帯びるようになったのが確認された。このことから、粉末魚油は徐放性を有しているといえる。特に、図3に示す水の場合には、FPO−1670の油脂の溶出が顕著であった。また、図4に示す人工胃液の場合には、FPO−1670の方が、FPO−170,1670よりも油脂が溶出しているのが確認された。
有機溶媒を用いた溶出試験の結果を、図5に示す。図5に示すように、FPO−1670およびFPO−170,1670のどちらも、徐々に中性脂質濃度(油脂量)が上昇しているのが確認された。このことからも、粉末魚油は徐放性を有しているといえる。
[試験9:ヒト試験]
表17に示す2種類の粉末魚油試料FPO−1670およびFPO−170,1670、ならびに液体魚油FPOを、健常者に摂取させ、脂質吸収・代謝への影響を調べた。試験では、まず、事前検査(SCR)において、薬物治療を受けている等の除外基準に抵触していない者の中から、試験責任医師の判断により試験参加が妥当と判断された者10名を選抜し、被験者とした。また、試験では、各被験者に対して、以下の時間帯で採血を行った。試験は、シングルブラインドの3群比較とした。
観察1(Visit−1):試験品摂取前、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後
・Wash Out6日間
観察2(Visit−2):試験品摂取前、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後
・Wash Out6日間
観察3(Visit−3):試験品摂取前、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後
被験者には、以下の3種類のサンプルを各30粒のゼラチンカプセルに詰めたものを摂取させた。
・液体魚油(FPO) 10.5g
・粉末魚油(FPO−1670) 14.5g
脂質割合74%、脂質含量10.7g
・粉末魚油(FPO−170,1670) 14.5g
脂質割合74%、脂質含量10.7g
被験者には、試験2日前から、脂質の多い食事を控えさせた。特に、試験前日の夕食については、脂質の少ない食事を摂取させた。また、試験前日のアルコール摂取を禁止した。採血予定時刻の10時間前から、当日の検査終了まで絶食とした。ただし、水または白湯のみは十分補給するものとした。試験中は、試験品摂取開始から摂取6時間後の採血終了まで、座位での安静待機とした。ただし、うたた寝程度であれば可とした。水分は自由摂取とし、各自採血終了後には十分に補給するようにした。試験品摂取開始から検査終了までは、試験実施医療機関からの外出を禁止とした。
採血では、ヘパリン試験管に血液を採り、それを4℃で3000×10分間の遠心分離した後、得られた血漿を1ml×1本、残量×1本に分注し、−30℃で保存した。血漿中のDHA、EPAをはじめとした脂肪酸組成の経時的変化を観察するために、塩酸メタノール法を利用して、血漿中の脂質を脂肪酸メチルエステルとしてGCで分析を行った。すなわち、血漿100μlをスクリューキャップ付試験官にとり、5%塩酸メタノール−ベンゼンを2.2ml加え、0.01%BHTを2μl、C19 1mg/mlを内部標準として50μl加え、試験管内部を窒素で置換した後蓋をしめ、100℃のブロックヒーターで加熱した。加熱後、室温まで冷却し、6%KCO 5mlを加えて反応を止め、n−ヘキサン1mlを加えて3,000rpm、4℃で15分間、遠心分離を行った遠心分離した上層のヘキサン層を別の試験管にとり、下層にはn−ヘキサン1mlを加えて、3,000rpm、4℃で15分間、再度遠心分離し、上層を回収した。回収したヘキサン層は、脂肪酸メチルエステル精製キット(ナカライテスク株式会社製)に供して精製し、窒素乾固後、n−ヘキサン300μlに再溶解し、4.5μlをGCサンプルとした。GCの分析条件を、表19に示す。
GC分析による血漿総脂肪酸分析を行い、求められたAUC(血漿薬物濃度曲線下面積)の時間変化を、図6に示す。血漿中の脂肪酸の約70%をパルミチン酸(16:0)、オレイン酸(18:1 n−9)とリノール酸(18:2 n−6)が占めており、図6(a)〜(c)に示すように、この3種の脂肪酸はトリグリセリドの挙動と似た挙動を示すのが確認された。すなわち、摂取から2時間後までは減少傾向を示し、4時間後まで上昇した後また減少傾向を示した。これは、摂取2時間後までは、吸収された脂質量よりも消費される脂質量が上回っていたためと考えられる。
また、図6(e)および(f)に示すように、n−3系多価不飽和脂肪酸(EPA、DHA)の血漿中濃度は、全ての群で経時的な上昇傾向が確認できた。特に、FPOと比較して、FPO−1670およびFPO−170,1670での吸収量が高い傾向にあり、液体魚油に対して粉末魚油では、DHAおよびEPAの血漿中濃度が有意に上昇しているのが確認された(P<0.05)。
本試験では、液体魚油、粉末魚油共に、カプセルに封入してから摂取した。カプセルで包んでいることで、胃までは消化酵素などの影響を受けずに運ばれ、胃でカプセルが溶解して、液体、粉体の魚油が分散したと考えられる。このとき、粉体魚油は徐放性機能材で覆われているため、腸に到達するまでの間、脂質が保護され、これによりDHA、EPAの吸収に有利な状況を作り出した結果、液体魚油よりも有意に吸収されたものと考えられる。

Claims (1)

  1. HLB3乃至11の乳化剤、または、HLB11乃至16の乳化剤とHLB1乃至9の乳化剤とを含むものを溶かした溶液に、DHAおよび/またはEPAを含む魚油と硬化油脂とから成る機能性素材であって前記硬化油脂は融点50℃以上のパーム油から成り前記魚油に対し10質量%以上含まれる機能性素材を加えた後、撹拌混合して原料を調製し、前記原料と、ブルームが280乃至320のゼラチンと、トランスグルタミナーゼと、アンモニウム塩とを撹拌混合した後、静置してゲルを形成し、前記ゲルをフリーズドライした後、粉砕して粉末化することを特徴とする徐放性機能材の製造方法。
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