JP6215329B2 - ネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類粉末又はスパッタリングターゲットの製造方法、同希土類元素からなる粉末又はスパッタリングターゲット及びネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類磁石用薄膜又はその製造方法 - Google Patents
ネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類粉末又はスパッタリングターゲットの製造方法、同希土類元素からなる粉末又はスパッタリングターゲット及びネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類磁石用薄膜又はその製造方法 Download PDFInfo
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Description
Systems)やエナジーハーベスト(環境発電)などのエネルギー分野や医療機器分野などへの応用が期待されている。
しかしながら、これらの方法で作製した希土類磁石の薄膜は、未だバルク磁石並みの磁気特性は得られておらず、現段階において製品化に至っていない。
佐川氏はHeガスを用いたジェットミルを使用することにより1.1μmまで微細化することに成功し、さらに、モールド充填か焼結までの工程をArガスによる酸素フリー雰囲気とする一貫製造プロセス(Pressless Process)とすることにより、1500ppm程度の低酸素濃度を達成し、20kOeにまで保磁力を高めることに成功している(特許文献4、非特許文献4)。
しかしながら、焼結法は溶解法に比べて、製造工程数が多く、希土類磁石薄膜の磁気特性に大きな影響を及ぼす酸素が混入し易いという製造工程上の問題があり、酸素混入を効果的に遮断することが強く求められる。
1)希土類粉末の製造方法であって、ネオジム、鉄、ボロンを主成分とする原料を真空中で溶解、鋳造して合金インゴットを作製して、インゴット中の含有酸素濃度が300wtppm以下とし、次に該合金インゴットを、不活性ガスを用いたガスアトマイズ法にて微粉砕することで、当該粉末中の含有酸素濃度を500wtppm以下とすることを特徴とするネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類粉末の製造方法。
2)前記原料を真空中で溶解、鋳造するに際して、該真空溶解法で用いる坩堝を、原料投入前に、予め真空中もしくは不活性雰囲気中で100℃以上の温渡で加熱し、水分を除去することを特徴とする上記1)に記載の希土類粉末の製造方法。
4)前記原料を真空中で溶解、鋳造するに際して、該真空溶解法で用いる坩堝を、原料投入前に、予め真空中もしくは不活性雰囲気中で100℃以上の温渡で加熱し、水分を除去することを特徴とする上記3)に記載の希土類スパッタリングターゲットの製造方法。
6)前記原料を真空中で溶解、鋳造する方法が、コールドクルーシブル溶解法であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一項に記載の希土類粉末の製造方法又はスパッタリングターゲットの製造方法。
7)前記原料を真空中で溶解、鋳造する際に使用する坩堝が水冷銅製坩堝であることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか一項に記載の希土類粉末の製造方法又はスパッタリングターゲットの製造方法。
9)前記ガスアトマイズ工程において用いる坩堝を、原料を投入する前に、予め真空中もしくは不活性雰囲気中で100℃以上の温渡で加熱する際、該加熱温度は、ガスアトマイズ炉内における炉内の最低温度部分の温度であることを特徴とする上記8)のいずれか一項に記載の希土類粉末の製造方法又はスパッタリングターゲットの製造方法。
11)前記ガスアトマイズ工程で使用される坩堝がジルコニア、アルミナ、又は、マグネシア製であることを特徴とする上記1)〜10)のいずれか一項に記載の希土類粉末の製造方法又はスパッタリングターゲットの製造方法。
13)ネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類元素からなるスパッタリングターゲットであって、当該ターゲット中の酸素濃度が500wtppm以下であることを特徴とするネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類元素からなるスパッタリングターゲット。
15)前記12)又は13)のいずれか一項に記載するガスアトマイズ粉又はスパッタリングターゲットを用いてパルスレーザーデポジション又はスパッタリングにより作製されたネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類元素からなる希土類磁石用薄膜。
本発明のガスアトマイズ粉は、酸素含有量が500wtppm以下とすることが特徴である。酸素はガス成分の中でも磁気特性に大きな影響を及ぼすので、これを極力低減することで安定的で良好な磁気特性を得ることが可能となる。
本発明者らは多くの試験を行い、ガスアトマイズ粉、スパッタリングターゲット及び薄膜中の酸素含有量を500ppmに達成することを可能としたものである。
高温にさらされる溶解、微粉砕、焼結の各工程において、真空雰囲気若しくは不活性ガス雰囲気とする必要があるが、具体的には、溶解、微粉砕、焼結を、以下のようにして行う。
次に、これらの原料を2×10−4Torr程度以下の高真空中で溶解、鋳造して合金インゴットを作製する。その後、この合金インゴットを再溶解した後、不活性ガスでガスアトマイズして微粉末を作製する。次に、このようにして得られた微粉末をホットプレス又は熱間静水圧プレスにて焼結することで焼結体を作製することができる。そして、この焼結体を表面研磨などの機械加工を行って、薄膜形成用の希土類磁石ターゲットを作製することができる。
この問題の解決法について鋭意検討した結果、原料を坩堝に充填する前に真空もしくは不活性ガス雰囲気中で坩堝を100℃以上の条件で加熱し、水分除去処理し、その後、原料を坩堝に充填すれば、インゴット中の酸素濃度の増加を抑制できることが分かった。
また、坩堝の加熱・水分除去処理の際、処理に使用する溶解炉内において、坩堝を含み、炉内での最低温度部分の加熱温度が100℃以上であることが重要であることも分かった。
雰囲気中に残留酸素があると、急冷凝固中に微粉体の表面に自然酸化膜が形成され易くなるので、原料をアトマイズ装置の坩堝に挿入後は、直ちに真空引きを行ってから、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス又はこれらの混合ガス等の不活性ガスを導入することが重要である。
そこで、坩堝に付着した水分量と溶解後のガスアトマイズ粉中の酸素濃度との関係について詳細に調べた結果、原料投入直前の坩堝表面の水分付着量を0.03%以下に押さえることができれば、原料投入前における100℃以上での坩堝加熱処理により、ガスアトマイズ粉の酸素濃度を安定して500wtppm以下に低減できることがわかった。
ここで、坩堝の水分量は、赤外線ヒーターにより坩堝を400℃/分の昇温速度で加熱した後、200℃で約10分維持した後の坩堝の質量変化を測重し、(加熱前の坩堝質量−加熱後の坩堝質量)/加熱前の坩堝質量×100(%)として定義した。坩堝の粉砕粉10gを赤外線ヒーター加熱して、0.03%の水分量が確認された場合の温度チャートと重量変化の結果を、図1に示す。
実施結果を表1の実施例1に示す。原料として、純度2N7のネオジム、純度4Nの鉄、純度3Nのボロンを準備した。なお、いずれの原料もブロック状のものを用いた。
各原料中の酸素濃度については、LECO法で分析したネオジムが約86wtppm、鉄が約40wtppm、ボロンが約30wtppmであった。ネオジムについては表面油分、酸化膜を除去するために、エタノール等の有機溶剤で除去後、硝酸エタノール(3vol%)等を用いて表面の酸化物を除去した。
その後、Nd15−Fe75−B10(at%)の組成となるように秤量を行い、表面酸化膜の発生を防止するために原料を真空パックし、保管した。
次に、スカル溶解を行うにあたり、原料を坩堝内に充填する前に、コールドクルーシブル炉で使用する水冷銅製坩堝の加熱・水分除去処理を行った。
合金化するためのNd、Fe、Bの各原料は、予め、溶解炉の真空予備室に充填し、坩堝の前記加熱水分除去処理の後、真空予備室から溶解炉に移し、1×10−4Torrの真空中で、1320℃、60分以上で溶融し、約3.5kgのインゴットに合金化した。溶解後のインゴット中の酸素濃度はLECO法で分析し、210wtppmであった。
図1は、上記の通り、赤外ヒーター式水分計で測定した坩堝の重量変化と設定ヒートサイクルを示すが、この図1に示すように、含有水分量が0.02%であることを確認したジルコニア坩堝をガスアトマイズ装置に装着した後、坩堝のAr雰囲気中で101℃、8時間の加熱を行い、水分除去処理を行った。その後、合金原料を坩堝に充填し、1×10 −2Torrに排気後、Arガスを導入した。ここでArガスの純度は4N5とした。
Arガス雰囲気中でガスアトマイズ粉を取り出し、表面酸化を防止するため直ちに真空パックを行ない、この粉末について酸素濃度をLECO法で分析した結果、360wtppmであった。
また、ガス成分元素の分析をLECO法で行い、酸素、炭素、窒素、水素のガス成分を分析した結果、それぞれ360wtppm、420wtppm、10wtppm、30wtppmであった。
スカル溶解前の坩堝の加熱水分除去条件を500℃、3時間とし、ガスアトマイズで使用する含有水分成分0.03%の坩堝を800℃、2時間で加熱する条件以外、実施例1と同じ条件でNdFeB合金を製造した結果を、表1の実施例2に示す。
スカル溶解後の合金インゴット中の酸素濃度は220wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末中の酸素濃度は380wtppmであった。また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、380wtppmであった。
このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の純度は3N3であり、また、該薄膜の保磁力は13.5kOeと良好な磁気特性が得られた。
スカル溶解前における坩堝の加熱条件を98℃、20時間とし、ガスアトマイズで使用する含有水分成分0.02%の坩堝を101℃、8時間の加熱する条件以外、実施例1と同様の条件で製造した合金の結果を表1の比較例1に示す。スカル溶解後の合金インゴットの酸素濃度は350wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末の酸素濃度は520wtppmであった。
また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、520wtppmであった。このようなターゲット材中の酸素濃度の増加は、スカル溶解工程における坩堝の酸素除去が充分でないことが原因と考えられた。
このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の保磁力は11.0kOeと低下した。
スカル溶解前における坩堝の加熱処理を行わず、ガスアトマイズで使用する含有水分成分0.01%の坩堝を700℃、2時間で加熱する以外、実施例1と同様の条件で製造した結果を表1の比較例2に示す。スカル溶解後の合金インゴットの酸素濃度は370wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末の酸素濃度は560wtppmであった。
また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、560wtppmであった。このようなターゲット材中の酸素濃度の増加は、スカル溶解工程における坩堝の酸素除去をしなかったので、スカル溶解での酸素除去が充分でないことが原因と考えられた。
このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の保磁力は10.6kOeと低下した。
スカル溶解前における坩堝の加熱条件を101℃、10時間とし、ガスアトマイズで使用する含有水分成分0.03%の坩堝を97℃、20時間の加熱する条件以外、実施例1と同様の条件で製造した結果を表1の比較例3に示す。スカル溶解後の合金インゴットの酸素濃度は210wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末の酸素濃度は900wtppmであった。
また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、900wtppmであった。このような酸素の増加は、ガスアトマイズに使用する坩堝の酸素除去が充分でないことに原因があると考えられた。
このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の保磁力は9.1kOeと低下した。
スカル溶解前における坩堝の加熱条件を500℃、3時間とし、ガスアトマイズで使用する坩堝の含有水分成分量を0.02%とし、ガスアトマイズ用坩堝の加熱処理を行うことなく、その他の条件は実施例1と同様の条件として製造した合金の結果を表1の比較例4に示す。
スカル溶解後の合金インゴットの酸素濃度は220wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末の酸素濃度は950wtppmであった。このような酸素の増加は、ガスアトマイズに使用する坩堝の酸素除去をしなかったことに原因があると考えられた。
また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、950wtppmであった。このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の保磁力は9.2kOeと低下した。
スカル溶解前における坩堝の加熱条件を101℃、10時間とし、ガスアトマイズで使用する含有水分成分0.04%の坩堝を101℃、8時間の加熱する条件以外、実施例1と同様の条件で製造した結果を表1の比較例5に示す。
スカル溶解後の合金インゴットの酸素濃度は210wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末の酸素濃度は600wtppmであった。また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、600wtppmであった。このような酸素の増加は、ガスアトマイズに使用する坩堝に含有している酸素が多いことに原因があると考えられた。
このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の保磁力は10.0kOeと低下した。
スカル溶解前における坩堝の加熱条件を500℃、3時間とし、ガスアトマイズで使用する含有水分成分0.05%の坩堝を800℃、2時間の加熱する条件以外、実施例1と同様の条件で製造した結果を表1の比較例6に示す。
スカル溶解後の合金インゴットの酸素濃度は220wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末の酸素濃度は650wtppmであった。また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、650wtppmであった。このような酸素の増加は、ガスアトマイズに使用する坩堝に含有している酸素が多いことに原因があると考えられた。このような傾向は、比較例5よりも顕著であった。
このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の保磁力は10.3kOeと低下した。
スカル溶解前における坩堝の加熱処理を行わず、ガスアトマイズで使用する坩堝の含有水分成分を0.03%とし、ガスアトマイズ用坩堝の加熱処理も行うことなく、その他の条件は実施例1と同様の条件として製造した合金の結果を表1の比較例7に示す。
スカル溶解後の合金インゴットの酸素濃度は360wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末の酸素濃度は1200wtppmであった。また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、1200wtppmと著しく増加した。これはスカル溶解及びガスアトマイズに使用する坩堝の酸素除去が行われていないことに原因があると考えられた。
このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の保磁力は9.5kOeと低下した。
スカル溶解前における坩堝の加熱処理を行わず、ガスアトマイズで使用する坩堝の含有水分成分を0.05%とし、ガスアトマイズ用坩堝の加熱処理も行うことなく、その他の条件は実施例1と同様の条件として製造した合金の結果を表1の比較例8に示す。
スカル溶解後の合金インゴットの酸素濃度は360wtppmであり、ガスアトマイズ後の合金粉末の酸素濃度は1500wtppmであり、著しく増加した。これはスカル溶解及びガスアトマイズに使用する坩堝の酸素除去が行われていないこと、さらにガスアトマイズに使用する坩堝そのものの酸素量が多いことが原因と考えられた。
また、該合金粉末を焼結プレスして製造されたターゲット材中の酸素濃度は、1500wtppmであった。このターゲットを使用して、実施例1と同様のスパッタリング条件で製膜した希土類磁石の薄膜の保磁力は9.0kOeとさらに低下した。
上記から明らかなように、スパッタリングターゲットの原料となるネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類粉末の製造に際して、スカル溶解及びガスアトマイズ工程における酸素低減が重要であり、これによってスパッタリングターゲット中の酸素量に直接影響することが分かる。そして、酸素量の低減化は、スパッタリング成膜の磁気特性に影響を与え、保磁力を向上させることが可能となる。本願発明においては、保磁力は13kOe以上を達成することが可能である。
さらに、前記スカル溶解後のNdFeBインゴット、及びガスアトマイズ工程後のNdFeB粉末、焼結後のNdFeBターゲット中の酸素濃度を低減させるには、溶解用坩堝に付着する水分量や坩堝の加熱条件(加熱温度、加熱時間)が大きく影響する結果が得られた。
Claims (2)
- 希土類粉末の製造方法であって、ネオジム、鉄、ボロンを必須成分とし、ネオジム以外の希土類元素、遷移金属元素、典型金属元素を任意成分として添加した原料を真空中でコールドクルーシブル溶解法により、溶解、鋳造して合金インゴットを作製する第1工程において、コールドクルーシブル真空溶解炉内における炉内の最低温度部分の温度を100℃以上の温度とし、当該溶解法で用いる水冷銅製坩堝を、原料投入前に、予め真空中もしくは不活性雰囲気中で加熱して、水分を除去した後、溶解鋳造することにより、得られた合金インゴット中の含有酸素濃度を300wtppm以下とし、次に該合金インゴットを、不活性ガスを用いたガスアトマイズ法によって微粉砕する第2の工程において、予め、真空中もしくは不活性雰囲気中で、ガスアトマイズ炉内における炉内の最低温度部分の温度を100℃以上として、当該ガスアトマイズ法に使用する坩堝を加熱し、当該坩堝に付着した水分濃度を0.03wt%以下としたジルコニア製、アルミナ製又はマグネシア製の坩堝を用いて、ガスアトマイズ法により微粉砕して、当該粉末中の含有酸素濃度を380wtppm以下とすることを特徴とするネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類粉末の製造方法。
- 希土類スパッタリングターゲットの製造方法であって、ネオジム、鉄、ボロンを必須成分とし、ネオジム以外の希土類元素、遷移金属元素、典型金属元素を任意成分として添加した原料を真空中でコールドクルーシブル溶解法により、溶解、鋳造して合金インゴットを作製する第1工程において、コールドクルーシブル真空溶解炉内における炉内の最低温度部分の温度を100℃以上の温度とし、当該溶解法で用いる水冷銅製坩堝を、原料投入前に、予め真空中もしくは不活性雰囲気中で加熱して、水分を除去した後、溶解鋳造することにより、得られた合金インゴット中の含有酸素濃度を300wtppm以下とし、次に該合金インゴットを、不活性ガスを用いたガスアトマイズ法によって微粉砕する第2の工程において、予め、真空中もしくは不活性雰囲気中で、ガスアトマイズ炉内における炉内の最低温度部分の温度を100℃以上として、当該ガスアトマイズ法に使用する坩堝を加熱し、当該坩堝に付着した水分濃度を0.03wt%以下としたジルコニア製、アルミナ製又はマグネシア製の坩堝を用いて、ガスアトマイズ法により微粉砕し、作製した微粉末をホットプレス又は熱間静水圧プレスにより焼結して、当該焼結体ターゲットの含有酸素濃度を380wtppm以下とすることを特徴とするネオジム、鉄、ボロンを主成分とする希土類スパッタリングターゲットの製造方法。
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