JP6210192B2 - 原子発振器、原子発振器の製造方法 - Google Patents

原子発振器、原子発振器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、原子発振器、原子発振器の製造方法等に関する。
近年、携帯電話やスマートフォン等の情報機器の高度化・多機能化が進み、データ通信に使用される発振器の周波数精度や周波数安定度に対する要求がますます厳しくなっている。このような高い要求を満たす発振器としてルビジウムやセシウム等の原子の共鳴現象を利用した原子発振器が広く利用されている。
原子発振器としては、原子に共鳴周波数と一致する周波数差の2種類の共鳴光を同時に照射することで生じる電磁誘起透過(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象(CPT(Coherent Population Trapping)と呼ばれることもある)を利用するものや原子に励起光を照射するとともに空洞共振器に原子の共鳴周波数と一致するマイクロ波を印加することで生じる光マイクロ2重共鳴現象を利用するものが知られている。いずれの場合も、原子セルを透過する光の強度に応じて電圧制御発振器の発振周波数を制御し、この発振信号を周波数変換することで原子の共鳴周波数の信号を得ている。
ここで、例えば、電圧制御発振器の発振信号を原子発振器の出力信号として正確に所望の周波数(例えば10MHz)にしたい場合、ルビジウム原子の共鳴周波数は6.8346826128GHzであり、セシウム原子の共鳴周波数は9.192631770GHzであるため、原子の共鳴周波数は電圧制御発振器の発振周波数の整数倍の関係にはならない。
特許文献1の発明では、コイル及びコンデンサーを用いたLCタンク回路やバラクタダイオード等の受動的な逓倍回路を用いずに、所望の共鳴周波数信号を得ることができる。従って、低次逓倍器と原子共振器との間のインピーダンス整合等の調整を行なう必要が無く、振幅変調を利用してルビジウム原子の共鳴周波数を作成する必要も無いので、原子発振器の小型化、製造期間短縮及び製造コスト削減が可能となる。
特開2001−36405号公報
ここで、原子発振器は、原子セル(ガスセル)に注入されるネオン(Ne)やアルゴン(Ar)等のバッファーガスの圧力について製造ばらつきがある。バッファーガスの製造ばらつきに伴い共鳴周波数のシフト量もばらつくため、出力信号として所望の周波数を得るのに、特許文献1の発明はダイレクトディジタルシンセサイザ(以下、DDS)を備える必要がある。しかし、DDSを用いることで出力信号の波形が劣化する。
本発明は、以上の事を鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、出力信号の波形を劣化させずに、バッファーガスの製造ばらつきによる共鳴周波数のシフト量のばらつきを、調整が必要な共鳴周波数の全ての桁で調整でき、回路規模の増大も抑えられる原子発振器、原子発振器の製造方法等を提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る原子発振器は、原子が封入されている原子セルと、前記原子セルに磁界を与える磁界発生部と、前記原子セルから出力される原子共鳴信号に基づいて制御され、基準信号を生成する基準発振器と、前記基準信号を受け取り、前記原子の共鳴周波数を含む信号を生成するフラクショナルN−PLLと、を備え、前記フラクショナルN−PLLは、前記磁界発生部が調整可能な前記共鳴周波数の最大の桁を境界桁として、少なくとも前記境界桁よりも1桁大きい桁を調整可能である。
本適用例に係る原子発振器は、原子セルと、磁界発生部と、基準発振器と、フラクショナルN−PLLと、を含む。ここで、フラクショナルN−PLLは、分数分周方式のPLL(Phase Locked Loop)である。フラクショナルN−PLLは、分周比(整数値)を時分割で切り替えることにより、平均的に分数(小数点以下の値も含む数)での分周を実現できる。原子発振器では例えば10MHzといった端数のない周波数の出力信号を所望する場合に、その周波数と共鳴周波数とが整数倍の関係にならない。しかし、本適用例に係る原子発振器は、フラクショナルN−PLLを含むため、DDSを用いることなく端数のない周波数の出力信号を生成することができ、出力信号の波形を劣化させない。
ただし、バッファーガスの製造ばらつきによる共鳴周波数のシフト量のばらつきに対応するのに、共鳴周波数の小数点以下の桁まで調整が必要になることがある。このとき、GHzオーダーの共鳴周波数の小数点以下の桁までをフラクショナルN−PLLだけで調整すると回路規模の増大につながる。
そこで、本適用例に係る原子発振器は、磁界発生部が調整可能な共鳴周波数の最大の桁を境界桁として、少なくとも共鳴周波数の境界桁よりも上の桁をフラクショナルN−PLLが調整可能であるようにする。このとき、調整が必要な共鳴周波数の全ての桁で調整可能でありながら、フラクショナルN−PLLは磁界発生部が調整できない範囲を調整すればよいので、回路規模の増大を抑えることができる。
例えば、フラクショナルN−PLLは、境界桁が共鳴周波数の1桁であれば、共鳴周波数の10桁以上の部分をフラクショナルN−PLLが調整し、共鳴周波数の1桁や小数点以下の桁を磁界発生部が調整してもよい。
[適用例2]
上記適用例に係る原子発振器において、前記フラクショナルN−PLLは、分周比の小数部分を定めるnビットの小数設定部を含み、前記小数設定部のビット数をn、位相比較周波数をfPFD、前記共鳴周波数をfΔE、および前記磁界発生部の前記共鳴周波数に対する調整可能比率をRとしたとき、式(1)を満たしてもよい。
Figure 0006210192
[適用例3]
上記適用例に係る原子発振器において、前記フラクショナルN−PLLは少なくとも25ビットの小数設定部を含んでもよい。
本適用例に係る原子発振器のフラクショナルN−PLLは、分周比の小数部分を定めるnビットの小数設定部を含み、小数設定部のビット数のnは前記の式(1)を満たしてもよい。このとき、少なくとも共鳴周波数の境界桁よりも上の桁をフラクショナルN−PLLが調整することができる。フラクショナルN−PLLは分数での分周を実現できるが、その分周比のうちの整数部分を除く小数部分を設定するのが小数設定部である。例えば、小数設定部はnビットのレジスター(0〜2−1の値を設定可能)であってもよく、そのレジスターの値を2で割って得られる値が分周比の小数部分であってもよい。
なお、位相比較周波数とはフラクショナルN−PLLが含む位相比較器における周波数である。また、調整可能比率とは共鳴周波数に対する比率で調整可能な範囲を示す値である。例えば、磁界発生部の調整可能比率であるRが10−9である場合、セシウム原子の共鳴周波数は約9GHzであり、これらを乗じて1桁の値が得られる。このとき、磁界発生部が調整可能な共鳴周波数の最大の桁である境界桁は1桁になる。
このとき、式(1)を用いることによって、フラクショナルN−PLLに必要な小数設定部のビット数のnを容易に得ることができる。逆に、式(1)を満たすことで、少なくとも共鳴周波数の境界桁よりも上の桁をフラクショナルN−PLLが調整することができるので、不必要にnを大きくすることで回路規模を増大させることがない。
ここで、位相比較周波数であるfPFDを10MHzとする。そして、磁界発生部がC磁界を発生するコイルであるとするとRは例えば10−9である。すると、ルビジウム原子、セシウム原子の共鳴周波数はそれぞれ約6GHz、約9GHzであるので、n=25は式(1)を満たす。したがって、現実的な構成として、フラクショナルN−PLLは、25ビットの小数設定部を含んでもよい。なお、C磁界とは、レーザー光の進行方向と直交する方向に一様に印加される静磁界をいう。
[適用例4]
本適用例に係る原子発振器の製造方法は、原子が封入されている原子セル、前記原子セルに磁界を与えるコイルである磁界発生部、前記原子セルから出力される原子共鳴信号に基づいて制御され、基準信号を生成する基準発振器、および分周比の小数部分を定めるnビットの小数設定部を含み、前記基準信号を受け取って前記原子の共鳴周波数を有する信号を生成するフラクショナルN−PLLを含む原子発振器の製造方法であって、前記磁界発生部が調整可能な前記共鳴周波数の最大の桁を境界桁として、前記フラクショナルN−PLLが少なくとも前記境界桁よりも1桁大きい桁を調整可能であるように、前記フラクショナルN−PLLの小数設定部のビット数のnを定める工程、を含む。
[適用例5]
本適用例に係る原子発振器の製造方法は、原子が封入されている原子セル、前記原子セルに磁界を与えるコイルである磁界発生部、前記原子セルから出力される原子共鳴信号に基づいて制御され、基準信号を生成する基準発振器、および分周比の小数部分を定めるnビットの小数設定部を含み、前記基準信号を受け取って前記原子の共鳴周波数を有する信号を生成するフラクショナルN−PLLを含む原子発振器の製造方法であって、前記フラクショナルN−PLLが調整可能な前記共鳴周波数の最小の桁よりも1桁下の桁を境界桁として、前記磁界発生部が少なくとも前記共鳴周波数の前記境界桁以下の桁を調整可能であるように、前記磁界発生部の巻き数および電流のうち少なくとも1つを定める工程、を含む。
[適用例6]
上記適用例に係る原子発振器の製造方法において、前記フラクショナルN−PLLのnビットの小数設定部に初期値を与える工程と、前記小数設定部に設定された値を調整する
工程と、を含んでもよい。
[適用例7]
上記適用例に係る原子発振器の製造方法において、前記磁界発生部の電流を調整する工程を含んでもよい。
本適用例に係る原子発振器の製造方法は、フラクショナルN−PLLの小数設定部の適切なビット数のnを定めることができ、また、境界桁を決定する磁界発生部の巻き数および電流のうち少なくとも1つを定めることができる。そして、原子発振器を組み立てた後には、nビットの小数設定部の初期値を適宜調整すること、または磁界発生部の電流を調整することで所望の出力信号の周波数(以下、出力周波数とする)が得られる。
本適用例に係る原子発振器の製造方法によれば、出力信号の波形を劣化させずに、バッファーガスの製造ばらつきによる共鳴周波数のシフト量のばらつきを、調整が必要な共鳴周波数の全ての桁で調整でき、回路規模の増大も抑えられる原子発振器を製造することができる。
本実施形態の原子発振器の構成例を示す図。 本実施形態のPLL回路の構成例を示す図。 コイルを説明する図。 図4(A)はゼーマン分裂したエネルギー準位を示す図であり、図4(B)は分裂したEIT信号の一例を示す図。 コイルの電流と出力周波数との関係を示す図。 図6(A)はバッファーガスの圧力と出力周波数との関係を示す図であり、図6(B)は製造時のバッファーガスの圧力の分布を示す図。 図7(A)は比較例である整数分周PLLを用いた原子発振器の調整範囲を示す図。図7(B)は本実施形態の原子発振器の調整範囲を示す図。図7(C)は本実施形態の原子発振器でnを増やした場合の調整範囲を例示する図。 本実施形態の原子発振器の組み立て後の調整を例示する図。 本実施形態の原子発振器の製造方法のフローチャート。 変形例の原子発振器の構成例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.原子発振器
[原子発振器の構成]
図1は、アルカリ金属原子のEIT現象を利用した本実施形態の原子発振器200の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の原子発振器200は、駆動回路210、半導体レーザー220、ガスセル230、コイル231、光検出器240、検波回路250、変調回路252、低周波発振器254、検波回路260、低周波発振器264、電圧制御水晶発振器(VCXO270)、PLL回路280を含んで構成されている。ここで、ガスセル230は本発明の原子セルに対応し、コイル231は本発明の磁界発生部に対応し、VCXO270は本発明の基準発振器に対応し、PLL回路280は本発明のフラクショナルN−PLLに対応する。なお、本実施形態の原子発振器は、適宜、図1の構成要素(各部)の一部を省略又は変更してもよいし、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
ガスセル230(原子セル)は、ガラス等の透明部材でできた容器中に気体状のアルカリ金属原子(ナトリウム(Na)原子、ルビジウム(Rb)原子、セシウム(Cs)原子等)が封入されたものである。
半導体レーザー220は、ガスセル230に含まれるアルカリ金属原子にEIT現象を起こさせる共鳴光対となる2光波を含む光を発生させる。半導体レーザー220としては、端面発光レーザー(Edge Emitting Laser)や、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の面発光レーザーなどを用いることができる。半導体レーザー220が発生させた光は、ガスセル230に入射する。
コイル231は、ガスセル230に含まれるアルカリ金属原子にゼーマン分裂を起こさせるためのC磁界を発生させる。ここで、C磁界とは、半導体レーザー220が発生させた光の進行方向と直交する方向に一様に印加される静磁界である。
光検出器240は、ガスセル230を透過した光が入射し、入射した光の強度に応じた検出信号を出力する。光検出器240は、例えば、受光した光の強度に応じた検出信号を出力するフォトダイオード(PD:Photo Diode)を用いて実現することができる。光検出器240の出力信号は検波回路250と検波回路260に入力される。
検波回路250は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器254の発振信号を用いて光検出器240の出力信号を同期検波する。変調回路252は、検波回路250による同期検波を可能とするために、低周波発振器254の発振信号(検波回路250に供給される発振信号と同じ信号)を変調信号として検波回路250の出力信号を変調して駆動回路210に出力する。変調回路252は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)回路、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)回路等により実現することができる。
検波回路260は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器264の発振信号を用いて光検出器240の出力信号を同期検波する。そして、検波回路260の出力信号の大きさに応じて、VCXO270の発振周波数が微調整される。本実施形態の原子発振器200では、VCXO270の所望の出力周波数Fは10MHzであるとする。PLL回路280は、VCXO270の出力信号を周波数変換して駆動回路210に出力する。
駆動回路210は、半導体レーザー220のバイアス電流を設定するとともに、変調回路252の出力信号に応じて当該バイアス電流を微調整して半導体レーザー220に供給する。すなわち、半導体レーザー220、ガスセル230、光検出器240、検波回路250、変調回路252、駆動回路210を通るフィードバックループ(第1のフィードバックループ)により、半導体レーザー220が発生させる光の中心波長λ0(中心周波数f0)が微調整される。具体的には、第1のフィードバックループにより、ガスセル230に封入されているアルカリ金属原子の励起準位と一方の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ1(=v/f1:vは光の速度)、励起準位と他方の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ2(=v/f2)に対して、半導体レーザー220の出射光の中心波長λ0(=v/f0)が(λ1+λ2)/2とほぼ一致する(中心周波数f0が(f1+f2)/2とほぼ一致する)ようにフィードバック制御がかかる。
駆動回路210は、さらに、バイアス電流に、PLL回路280の出力周波数成分(変調周波数fm)の電流(変調電流)を重畳して半導体レーザー220に供給する。この変調電流により、半導体レーザー220に周波数変調がかかり、中心周波数f0の光ととも
に、その両側にそれぞれ周波数がfmだけずれた周波数f0±fm、f0±2fm、・・・の光を発生させる。そして、半導体レーザー220、ガスセル230、光検出器240、検波回路260、VCXO270、PLL回路280、駆動回路210を通るフィードバックループ(第2のフィードバックループ)により、周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光がガスセル230に封入されているアルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対となるように、すなわち、PLL回路280の出力周波数fmがアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差ΔE12に相当する周波数(共鳴周波数)f12の1/2に正確に一致するように微調整される。例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子であれば、共鳴周波数f12が9.192631770GHzなので、PLL回路280の出力周波数fmが4.596315885GHzと一致した状態で安定する。
このような構成により、本実施形態の原子発振器200は、理想的には所望の出力周波数Fを得ることができる。しかし、現実には、後述するようにガスセル230のバッファーガスの製造ばらつきによる共鳴周波数のシフト量のばらつきを調整する必要がある。なお、本実施形態の原子発振器200では、PLL回路280としてフラクショナルN−PLLを用いており、例えばDDSを用いる場合のように出力信号の波形を劣化させることはない。
[PLL回路]
図2は、本実施形態のPLL回路280の構成例を示す図である。図2に示すように、PLL回路280は、分周器10、位相比較器20、チャージポンプ30、ループフィルター40、電圧制御発振器50(VCO)、フラクショナル分周器60を含んで構成されている。なお、PLL回路280では、分周器10が整数での分周を行い、フラクショナル分周器60が分数での分周を行うが、逆の構成も可能である。
PLL回路280への入力信号(図2のIN)はVCXO270の出力信号であり、PLL回路280からの出力信号(図2のOUT)は駆動回路210に出力される。また、位相比較器20に入力される信号の周波数である位相比較周波数が、後に詳細説明する式(1)のfPFDである。
分周器10は、入力信号(図2のIN)の周波数を1/Rに分周して出力する。このとき、Rは1以上の整数であって、不図示のレジスターの設定値により所定の範囲で可変に設定される。
位相比較器20は、分周器10の出力信号の位相とフラクショナル分周器60の出力信号の位相とを比較し、その位相差に応じた信号を出力する。具体的には、分周器10の出力信号の位相がフラクショナル分周器60の出力信号の位相よりも早い時はその位相差に応じたパルス幅の正パルス信号を出力し、逆の場合にはその位相差に応じたパルス幅の負パルス信号を出力する。
チャージポンプ30は、位相比較器20の出力信号に応じて、ループフィルター40内の不図示のコンデンサーをチャージ/ディスチャージする。具体的には、チャージポンプ30は、位相比較器20が正パルス信号を出力する時はそのパルス幅に応じた電荷を当該コンデンサーにチャージし、位相比較器20が負パルス信号を出力する時はそのパルス幅に相当する電荷を当該コンデンサーからディスチャージする。
ループフィルター40は、不図示の抵抗やコンデンサーを用いて構成された積分回路であり、チャージポンプ30により発生するパルス状の電流を平滑化する。従って、位相比較器20が正パルス信号を出力する時はループフィルター40の出力電圧が上昇し、位相比較器20が負パルス信号を出力する時はループフィルター40の出力電圧が低下する。
電圧制御発振器50は、ループフィルター40の電圧に応じた(従って、位相比較器20の出力信号に応じた)周波数で発振する発振器である。具体的には、分周器10の出力信号の位相がフラクショナル分周器60の出力信号の位相よりも早い時はループフィルター40の電圧が上昇し、電圧制御発振器50の周波数も上昇する。逆の場合にはループフィルター40の電圧が低下し、電圧制御発振器50の周波数も低下する。この電圧制御発振器50の出力信号が、PLL回路280の出力信号(図2のOUT)となっている。
フラクショナル分周器60は、電圧制御発振器50の出力信号の周波数をK/Lに分周して出力する。K、Lは1以上の整数であって、不図示のレジスターの設定値により所定の範囲で可変に設定される。
ここで、PLL回路280は、分周比であるK/Lの整数部分を設定するレジスターと、小数部分を設定するレジスター(本発明の小数設定部に対応)を有する。ここで、小数部分を設定するレジスターはnビット(nは1以上の整数)であって、レジスターの値を2で割って得られる値が分周比の小数部分となる。
このとき、PLL回路280の出力信号の周波数の分解能は、前記の位相比較周波数であるfPFDを用いて、fPFDを2で割った値となる。例えば、fPFDを10MHzとすると、nが10、15、20、25、30、35の場合には、それぞれ9766Hz、305Hz、9.54Hz、0.298Hz、0.00931Hz、0.000291Hzの周波数ステップが可能である。
例えば、バッファーガスの製造ばらつきの影響を修正する場合、例えば小数点以下3桁までの周波数を調整できることが好ましい。仮に、PLL回路280の分周比の設定によって、小数点以下3桁までの周波数を調整しようとする場合、nを34にする(すなわち、小数設定部であるレジスターを34ビットにする)必要がある。しかし、nを34ビットまで拡張すると、回路規模が大きくなる可能性がある。そこで、本実施形態の原子発振器200が有する他の調整手段を考慮して、小数設定部のビット数のnを、回路規模の増大も抑えられる適切な値にすることが好ましい。
[コイルによる周波数調整]
図3は、原子発振器200が含むコイル231を説明する図である。コイル231はガスセル230を囲むように設けられており、半導体レーザー220が発生させたレーザー光LBの進行方向と直交する方向に一様に印加される静磁界(C磁界)を発生させる。コイル231には、不図示のメモリーに記憶された設定値に応じた大きさの電流が流れる。そのため、電流の大きさに応じて所望の強度のC磁界を発生させることができる。
このC磁界がガスセル230にかかると、アルカリ金属原子の各エネルギー準位が2F+1個に分裂(ゼーマン分裂)する。例えば、図4(A)に示すように、セシウム原子の場合、6S1/2,F=3の基底準位や6P3/2,F=3の励起準位は、磁気量子数mF=0,±1,±2,±3に対応する7つの準位に分裂し、6S1/2,F=4の基底準位や6P3/2,F=4の励起準位は、磁気量子数mF=0,±1,±2,±3,±4に対応する9つの準位に分裂する。
アルカリ金属原子にEIT現象を起こさせる共鳴光対の周波数(周波数差)は、磁気量子数mF毎に異なることが知られている。すなわち、ガスセル230に磁界がかかった状態では、半導体レーザー220が出射する2光波の周波数差をスイープすると、光検出器240の出力に複数のピーク、すなわち複数のEIT信号が観測される。例えば、図4(B)に示すように、セシウム原子の場合、磁気量子数mF=0,±1,±2,±3に対応
する7つのEIT信号が観測される。図4(B)において、横軸はスイープする2光波の周波数差であり、縦軸は光検出器240が検出する光の強度である。図4(B)に示すように、一般に、mF=0に対応するEIT信号の強度が最も高いので、mF=0に対応するEIT信号が発生するように、共鳴光対の周波数差が制御される。
ここで、コイル231の巻き数および電流は、C磁界の強さに影響し、その結果、ガスセル230のアルカリ金属原子のゼーマン分裂のしやすさにも影響する。特に電流については、メモリーに記憶される設定値を変更することで、コイル231の電流の大きさを容易に変えることができる。図5は、コイル231の電流と出力周波数との関係を示す図である。図5のように、出力周波数は電流の2乗に比例する。そのため、メモリーに記憶されるコイル231の電流の設定値を変更することで、原子発振器200の出力周波数を調整することが可能である。
ここで、原子発振器200に出力周波数の調整が必要な理由の1つとして、ガスセル230に注入されるネオン(Ne)やアルゴン(Ar)等のバッファーガスの圧力について製造ばらつきが挙げられる。バッファーガスの製造ばらつきによって、共鳴周波数のシフト量がばらつくため、所望の出力周波数F(ここでは10MHz)が得られない可能性がある。
例えば、図6(A)はバッファーガスの圧力と出力周波数との関係を示す図である。バッファーガスの圧力がPの場合に、所望の出力周波数Fが得られるものとする。しかし、バッファーガスの圧力がPよりも高くなると出力周波数はFよりも高く(例えば、10.1MHz)なり、バッファーガスの圧力がPよりも低くなると出力周波数はFよりも低く(例えば、9.9MHz)なる。
そして、図6(B)は原子発振器200の製造時のバッファーガスの圧力の分布を示す図である。バッファーガスの圧力がPとなるガスセル230が多いとしても、製造ばらつきはゼロではなく、バッファーガスの圧力がPより高いものも、低いものも製造されるのが通常である。
そのため、原子発振器200を組み立てた後(製品製造における調整段階)では所望の出力周波数Fが得られるように調整をする必要があり、原子発振器200を組み立てる前(製品製造における設計段階)では確実に調整が可能であるように、原子発振器200の仕様を決める必要がある。
コイル231は、巻き数および電流の変化によってC磁界の強さに影響を与えるので、原子発振器200の出力周波数調整に用いることが可能である。そのため、原子発振器200では、コイル231による調整を考慮して、PLL回路280の小数設定部のビット数のnを適切に選択し、回路規模の増大も抑えることが好ましい。
[調整範囲の決定]
ここで、コイル231によって調整可能な範囲は、共鳴周波数に対する調整可能比率をRとしてR=10−9程度であることが知られている。すなわち、共鳴周波数はGHzオーダーであるため、コイル231調整可能な前記共鳴周波数の最大の桁を境界桁とすると、境界桁は1桁となる。つまり、コイル231は、共鳴周波数の1桁および小数点以下の桁を調整することが可能である。そのため、原子発振器200のPLL回路280の分周比の設定によって、少なくとも共鳴周波数の残りの桁(境界桁よりも上の桁)を調整可能であるようにすればよい。
このとき、PLL回路280は境界桁よりも上の桁の全てを調整可能である必要がある
。例えば、PLL回路280を仮に分周比が整数値である整数分周PLLで実現したとすると、図7(A)のようにコイル231とPLL回路280とで調整しきれない桁が生じる。そのため、例えば別途DDSを設けて共鳴周波数の全ての桁を調整できるようにする必要が生じてしまう。原子発振器200では、PLL回路280が分数での分周を実現するフラクショナルN−PLLであるため、小数設定部のビット数のnを適切に選択することで、コイル231とPLL回路280とで共鳴周波数の全ての桁について調整できる。
例えば、図7(B)のように、PLL回路280は境界桁よりも1つ上の桁以上の桁を調整可能であってもよい。また、図7(C)のように、PLL回路280は、コイル231で調整可能な桁の一部についても調整可能であってもよい。このような、調整を可能にするPLL回路280の小数設定部のビット数のnは、式(1)の関係を満たす。
Figure 0006210192
ここで、fPFDは位相比較周波数であり、fΔEは共鳴周波数であり、Rは調整可能比率である。ここで、1つの例として、fPFDをVCXO270の所望の出力周波数Fと等しい10MHz、Rを10−9、fΔEをセシウム原子の共鳴周波数の約9GHzとすると、n=25は式(1)を満たす。すなわち、25ビットの小数設定部を含むPLL回路280を用いることで、共鳴周波数の全ての桁について調整が可能になる。
前記のように、PLL回路280だけで小数点以下3桁までの周波数を調整しようとすると、34ビット程度の小数設定部が必要であった。そのため、コイル231との関係を考慮した式(1)に基づいて、適切な小数設定部のビット数のnを求めることにより、回路規模の増大を抑えることができる。
式(1)は特に製品製造における設計段階において利用される。なお、式(1)はPLL回路280の小数設定部のビット数のnが予測または決定されている場合に、コイル231が満たすべき仕様を与える式でもある。つまり、式(1)を満たす調整可能比率Rを求めて、調整可能比率Rを実現できる巻き数のコイル231を選択したり、コイル231の電流の初期値を定めたりしてもよい。
そして、式(1)を満たすように製造された原子発振器200では、組み立て後、すなわち製品製造における調整段階において、共鳴周波数の全ての桁について調整が可能である。具体的には、PLL回路280の分周比の設定と、コイルの電流の大きさを変化させて、所望の出力周波数が得られるように調整できる。
図8は、本実施形態の原子発振器の組み立て後の調整を例示する図である。ガスセル230のバッファーガス圧力がPであるべきところ、製造ばらつきによって1.1×P、0.9×Pすなわち10%圧力が高くなった場合、低くなった場合の調整例を示している。バッファーガス圧力がPでない場合には、25ビットのレジスター値(PLL回路280の分周比の小数部分に対応)を、バッファーガス圧力がPの場合の値(初期値)から変更した上で、コイルに流す電流を調整する。例えば、ガスセル230のバッファーガス圧力がPより高い場合には電流を小さくし、逆の場合には電流を大きくする。
図8に示すように、製造ばらつきによってガスセル230のバッファーガス圧力がPでなくても、出力周波数として所望の周波数(ここでは、10MHz)が得られることがわかる。
2.原子発振器の製造方法
図9は、本実施形態の原子発振器200の製造方法のフローチャートである。まず、PLL回路280の小数設定部のビット数のnを定める(S10)。そして、コイル231の巻き数および電流のうち少なくとも1つを定める(S12)。このとき、S10とS12は前記の式(1)に基づいて実行される。なお、S10とS12の一方だけが実行されてもよいし、順序が逆であってもよい。例えば、小数設定部のビット数のnが既に決まっている場合にはS12だけが行われてもよいし、コイル231の仕様が既に決まっている場合にはS10だけが行われてもよい。
次に、nビットの小数設定部に初期値を与える(S14)。初期値は、所望の出力周波数Fが得られるように計算で求められた値であってもよい。なお、S14は、後述するS20(原子発振器200の組み立て)の後に実行されてもよい。S10、S12およびS14は、製品製造における設計段階に対応する。
次に、ガスセル230、コイル231、VCXO270、PLL回路280、その他必要な構成要素をそれぞれ所望の場所に配置して原子発振器200を組み立てる(S20)。そして、組み立てた原子発振器200を動作させる(S22)。
その結果、所望の出力周波数Fが得られた場合には(S30Y)、調整が不要であるので一連の工程を終了する。所望の出力周波数Fが得られなかった場合には(S30N)、nビットの小数設定部に設定された値を調整し(S40)、コイル231の電流を調整する(S42)。ここで、S40は図8の小数設定部のレジスター値(25bit)を初期値と違う値に調整することであり、S50はコイル231の電流の大きさを設定するメモリー上の設定値を変更することが対応する。なお、S40で分周比の整数部分を調整してもよいが、通常、ガスセル230の製造ばらつきに対しては整数部分までの調整は不要である場合が多い。
これらの調整をした後に、再びS22に戻って所望の出力周波数Fが得られるか(S30)の判断がされる。なお、S20、S22、S30、S40およびS42は、製品製造における調整段階に対応する。
以上のように、本実施形態の原子発振器200は、DDSといった回路が不要であるため出力信号の波形を劣化させない。そして、バッファーガスの製造ばらつきによる共鳴周波数のシフト量のばらつきを、調整が必要な共鳴周波数の全ての桁で調整でき、回路規模の増大も抑えられる。
3.変形例
図10は、アルカリ金属原子の光マイクロ2重共鳴現象を利用した変形例の原子発振器200の構成例を示す図である。図10に示すように、変形例の原子発振器200は、ランプ励振部310、ランプ320、マイクロ波共振器330、コイル331、ガスセル332、放射用アンテナ334、光検出器340、検波回路350、低周波発振器354、電圧制御水晶発振器(VCXO360)、PLL回路370を含んで構成されている。なお、本実施形態の原子発振器は、適宜、図10の構成要素(各部)の一部を省略又は変更してもよいし、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
ガスセル(原子セル)332は、ガラス等の透明部材でできた容器中に気体状のアルカリ金属原子(ナトリウム(Na)原子、ルビジウム(Rb)原子、セシウム(Cs)原子等)が封入されたものである。ガスセル332は、マイクロ波共振器330に収容されている。
マイクロ波共振器(空洞共振器)330は、放射用アンテナ334から放射されるマイクロ波の周波数で励振する。
ランプ320は、ランプ励振部310によって点灯し、ガスセル332に封入されているアルカリ金属原子を励起するための共鳴光を発生させる。具体的には、ランプ320は、ガスセル332に封入されているアルカリ金属原子の励起準位と一方の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ1の光を発生させる。例えば、ガスセル332にルビジウム
(Rb)原子が封入されている場合はランプ320としてルビジウムランプが用いられる。なお、コイル331は前記のコイル231と同様にC磁界を発生させるものであり詳細な説明を省略する。
光検出器340は、ガスセル332を透過した光が入射し、入射した光の強度に応じた検出信号を出力する。光検出器340は、例えば、受光した光の強度に応じた検出信号を出力するフォトダイオード(PD)を用いて実現することができる。光検出器340の出力信号は検波回路350に入力される。
検波回路350は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器354の発振信号を用いて光検出器340の出力信号を同期検波する。そして、検波回路350の出力信号の大きさに応じて、VCXO360の発振周波数が微調整される。VCXO360は、例えば、数MHz〜数10MHz程度で発振してもよい。
PLL回路370は、VCXO360の出力信号を周波数変換して放射用アンテナ334に出力する。放射用アンテナ334は、PLL回路370の出力周波数に応じたマイクロ波を放射する。
そして、ガスセル332、光検出器340、検波回路350、VCXO360、PLL回路370、放射用アンテナ334を通るフィードバックループにより、マイクロ波共振器330が、ガスセル332に封入されているアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差ΔE12に相当する周波数(共鳴周波数)f12で励振するように微調整される。例えば、アルカリ金属原子がルビジウム原子であれば、共鳴周波数f12が6.8346826128GHzなので、PLL回路370の出力周波数が6.8346826128GHzと一致した状態で安定する。
変形例の原子発振器200でも、アルカリ金属原子のEIT現象を利用した原子発振器200と同じように、PLL回路370としてフラクショナルN−PLLを用いて、例えば式(1)に基づいて適切な小数設定部のビット数のnを選択することができる。このとき、変形例の原子発振器200は、出力信号の波形を劣化させずに、バッファーガスの製造ばらつきによる共鳴周波数のシフト量のばらつきを、調整が必要な共鳴周波数の全ての桁で調整でき、回路規模の増大も抑えられる。
4.その他
本発明は、前記の実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10 分周器、20 位相比較器、30 チャージポンプ、40 ループフィルター、50 電圧制御発振器、60 フラクショナル分周器、200 原子発振器、210 駆動回路、220 半導体レーザー、230 ガスセル、231 コイル、240 光検出器、250 検波回路、252 変調回路、254 低周波発振器、260 検波回路、264 低周波発振器、270 VCXO、280 PLL回路、310 ランプ励振部、320 ランプ、330 マイクロ波共振器、331 コイル、332 ガスセル、334 放射用アンテナ、340 光検出器、350 検波回路、354 低周波発振器、360 VCXO、370 PLL回路

Claims (7)

  1. 原子が封入されている原子セルと、
    前記原子セルに磁界を与える磁界発生部と、
    前記原子セルから出力される原子共鳴信号に基づいて制御され、基準信号を生成する基準発振器と、
    前記基準信号を受け取り、前記原子の共鳴周波数を含む信号を生成するフラクショナルN−PLLと、
    を備え、
    前記フラクショナルN−PLLは、
    前記磁界発生部が調整可能な前記共鳴周波数の最大の桁を境界桁として、少なくとも前記境界桁よりも1桁大きい桁を調整可能であり、かつ、
    分周比の小数部分を定めるnビットの小数設定部を含み、
    位相比較周波数をf PFD 、前記共鳴周波数をf ΔE 、および前記磁界発生部の前記共鳴周波数に対する調整可能比率をR としたとき、式(1)を満たす、原子発振器。
    Figure 0006210192
  2. 前記フラクショナルN−PLLの前記小数設定部のビット数nは、少なくとも25ビットである、請求項に記載の原子発振器。
  3. 前記調整可能比率R は10 −9 である、請求項1又は2に記載の原子発振器。
  4. 原子が封入されている原子セル、前記原子セルに磁界を与えるコイルである磁界発生部、前記原子セルから出力される原子共鳴信号に基づいて制御され、基準信号を生成する基準発振器、および分周比の小数部分を定めるnビットの小数設定部を含み、前記基準信号を受け取って前記原子の共鳴周波数を有する信号を生成するフラクショナルN−PLLを含む原子発振器の製造方法であって、
    前記磁界発生部が調整可能な前記共鳴周波数の最大の桁を境界桁として、前記フラクショナルN−PLLが少なくとも前記境界桁よりも1桁大きい桁を調整可能であるように、かつ、前記フラクショナルN−PLLの位相比較周波数をf PFD 、前記共鳴周波数をf ΔE 、および前記磁界発生部の前記共鳴周波数に対する調整可能比率をR としたとき、式(1)を満たすように、前記フラクショナルN−PLLの小数設定部のビット数のnを定める工程、
    を含む、原子発振器の製造方法。
    Figure 0006210192
  5. 原子が封入されている原子セル、前記原子セルに磁界を与えるコイルである磁界発生部、前記原子セルから出力される原子共鳴信号に基づいて制御され、基準信号を生成する基準発振器、および分周比の小数部分を定めるnビットの小数設定部を含み、前記基準信号を受け取って前記原子の共鳴周波数を有する信号を生成するフラクショナルN−PLLを含む原子発振器の製造方法であって、
    前記フラクショナルN−PLLが調整可能な前記共鳴周波数の最小の桁よりも1桁下の桁を境界桁として、前記磁界発生部が少なくとも前記共鳴周波数の前記境界桁以下の桁を調整可能であるように、かつ、前記フラクショナルN−PLLの位相比較周波数をf PFD 、前記共鳴周波数をf ΔE 、および前記磁界発生部の前記共鳴周波数に対する調整可能比率をR としたとき、式(1)を満たすように、前記磁界発生部の巻き数および電流のうち少なくとも1つを定める工程、
    を含む、原子発振器の製造方法。
    Figure 0006210192
  6. 前記フラクショナルN−PLLのnビットの小数設定部に初期値を与える工程と、
    前記小数設定部に設定された値を調整する工程と、
    を含む、請求項4または5に記載の原子発振器の製造方法。
  7. 前記磁界発生部の電流を調整する工程を含む、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の原子発振器の製造方法。
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