図1は、実施形態にかかる全体システムの構成例を示した図である。図1に示されるように、鉄道EMS(Energy Management System)110と電力管理装置150と、駅・電気鉄道システム100とで構成されている。
駅・電気鉄道システム100は、受電変圧器109、配電変圧器116、変換器108、各駅設備106と、駅蓄電池システム103と、駅蓄電池制御装置104と、列車102と、で構成されている。また、駅・電気鉄道システム100の配電系統105は、配電系統105から各駅設備106に電力を供給するための系統とする。
本実施形態では、き電線107と、き電線107に接続される列車102と、で構成された設備を、き電系統設備130と称す。き電線107は、列車102に電力を供給する。列車102は、き電線107を介して供給される電力で力行し、回生で生じた回生電力をき電線107を介して、他の列車や、駅蓄電池システム103に供給する。
受電変圧器109は、変電所(商用系統)180から交流電力を受電する。
配電変圧器116は、受電変圧器109で受電した交流電力の一部を降圧し、配電系統105を介して、各駅設備106に必要な電力を供給する。
変換器108は、交流電力を直流電力へ変換し、き電線107を介して列車102の走行に必要な電力を供給する。
各駅設備106は、駅内のエスカレータ、照明機器、OA機器などの負荷と太陽光発電などの電源を含んだ設備とする。
駅蓄電池制御装置104は、電力管理装置150からの命令に基づいて、駅蓄電池システム103を制御する。
駅蓄電池システム103は、駅蓄電池制御装置104の制御に従って、き電系統設備130内の列車102から生じた余剰回生電力を蓄電し、様々な設備で利用するための処理を行う。これにより、余剰回生電力を有効利用できる。
駅蓄電池システム103は、チョッパ113と、PCS111と、切替器114と、蓄電池112と、を備える。
チョッパ113は、き電線107から余剰回生電力を受電するとともに、き電線107の電圧を補償するため電力供給を行う。
蓄電池112は、き電線107を介して供給される余剰回生電力を貯める。
PCS(電力変換装置)111は、蓄電池112に貯められた直流電力を、各駅設備106で利用可能な交流電力に変換して配電系統105に供給するとともに、各駅設備106に電源や発電設備がある場合に各駅設備106で発生した発生する余剰電力を受電し、直流電力に変換して蓄電池112に蓄電させる。
切替器114は、蓄電池112の接続先を、PCS111及びチョッパ113のいずれか一つ以上に切り替える。
電力管理装置150は、配電EMS151と、き電系統EMS152と、駅EMS153と、通信制御部154と、で構成され、駅・電気鉄道システム100の電力を管理する。
通信制御部154は、駅・電気鉄道システム100の各構成と接続する通信I/Fを介して、駅・電気鉄道システム100の各構成との間で情報の送受信を行う。
そして、通信制御部154は、駅・電気鉄道システム100の各構成(例えば、蓄電池112、各駅設備106、き電系統設備130)から、各構成の状態を示す状態情報を受信する。そして、受信した状態情報を、各構成を管理するEMS(例えば、き電系統EMS152、又は駅EMS153)に受け渡す。
さらに、通信制御部154は、駅・電気鉄道システム100の各構成(例えば、蓄電池112、各駅設備106、及びき電系統設備130のうちいずれか一つ以上)の状態情報に基づいて各EMSで定められた命令を、各構成に対して送信する。送信される命令には、切替器114に対する、各駅設備106及びき電系統設備130のいずれか一つ以上に蓄電池112に蓄電された電力の供給先を切り替える命令が含まれている。
従来、列車がブレーキをかけて停車する際に発生する回生電力は、力行中の列車がいる場合には、その列車に融通される。一方、力行中の他の列車がいない場合、回生電力が発生できないために回生ブレーキが使えず、機械的なブレーキで停車していた。これに対して、本実施形態においては、力行中の他の列車がいない場合に、駅蓄電池システム103が、チョッパ113を介して回生電力を蓄電池112に貯める。これにより、列車102は、力行中の他の列車が存在しない場合に、回生ブレーキを有効に利用できる。機械的なブレーキを利用することなく、かつ余剰回生電力を貯めることができる。
駅蓄電池システム103は、駅蓄電池制御装置104からの命令に基づいて、蓄電池112の充放電を行うと共に、PCS111の電力授受とチョッパ113の電力授受を制御する。その際に、駅蓄電池システム103は、駅蓄電池制御装置104からの命令に従って、蓄電池112の接続先をPCS111又はチョッパ113に切り替えるための切替命令に従って、切替器114を動作させる。
図2は、電力管理装置150に設けられた各構成と、当該各構成間の命令の流れを示した図である。図2に示されるように、電力管理装置150の各構成は、鉄道EMS110からの命令に従って、駅・電気鉄道システム100内で担当する設備の電力を制御する。
配電EMS151は、鉄道EMS110からの時間帯別の省エネ指標値を受信し、き電系統設備130と各駅設備106との間で省エネ指標値を配分する。そして、配電EMS151は、配分した省エネ指標値を、き電系統EMS152と駅EMS153とに送信する。省エネ指標値とは、駅・電気鉄道システム100で消費される電力量を調整するために設定された指標値とする。本実施形態では、省エネ指標値で設定された電力の消費量や、電力の削減量を満たすように、き電系統設備130や各駅設備106を制御する。これにより駅・電気鉄道システム100全体の省エネルギー化を図ることができる。
き電系統EMS152は、き電系統設備130の電力の管理、制御を行う。本実施形態にかかるき電系統EMS152は、き電系統設備130の状態情報、(例えば消費電力等の)計測値を受信し、き電系統設備130の現在の状態に応じて制御命令等を行う。
また、き電系統EMS152は、配電EMS150から省エネ指標値を受信した場合に、き電系統設備130の現在の状態に応じて、省エネ指標値を達成できるか否か判定し、判定結果を省エネ指標値に対する応答として、配電EMS151に受け渡す。そして、き電系統EMS152は、省エネ指標値を達成できると判定し、当該応答を受け渡した後、省エネ指標値を達成するように、き電系統設備130に対して制御命令を送信する。
駅EMS153は、各駅設備106の電力の管理、制御を行う。本実施形態にかかる駅EMS153は、各駅設備106の状態情報、(例えば消費電力等の)計測値を受信し、各駅設備106の現在の状態に応じて制御命令等を行う。
また、駅EMS153は、配電EMS150から省エネ指標値を受信した場合に、各駅設備106の現在の状態に応じて、省エネ指標値を達成できるか否か判定し、判定結果を省エネ指標値に対する応答として、配電EMS151に受け渡す。そして、駅EMS153は、省エネ指標値を達成できると判定し、当該応答を受け渡した後、省エネ指標値を達成するように、各駅設備106に対して制御命令を送信する。
ところで、き電系統EMS152及び駅EMS153のうちいずれか一方で、配電EMS151から送信されてきた省エネ指標値を達成できない場合がある。このような場合に、き電系統EMS152及び駅EMS153のうちいずれか一方が、達成できない旨の応答を配電EMS151に送信する。達成できない旨の応答を受信した配電EMS151は、応答に基づいて再配分した省エネ指標値を、き電系統EMS152及び駅EMS153に送信する。当該処理を繰り返すことで、省エネ指標値の適切な配分を可能としている。
さらに、省エネ指標値に基づいた効率の良い電力制御を行うために、配電EMS151は、蓄電池112に蓄電されている電力を、き電系統設備130及び各駅設備106のうちどちらに供給するかを決定する。
そして、配電EMS151は、決定結果をき電系統EMS152及び駅EMS153に通知した上で、再配分した省エネ指標値を、き電系統EMS152及び駅EMS153に送信する。これにより、蓄電池112に蓄電されている電力を考慮した上で、省エネルギー化を実現できる。
図3は、本実施形態の蓄電池を制御するための構成例を示した図である。図3に示す様に、き電系統EMS152は、データ保存部301と、負荷予測部302と、制御部303と、を備える。
データ保存部301は、き電系統設備130、及び駅蓄電池制御装置104から送信された状態情報、計測値を保存すると共に、今まで保存してきた状態情報、及び計測値から学習した1日あたりの電力負荷の推移パターンを保持する。
負荷予測部302は、データ保存部301に保存されている状態情報、計測値、及び推移パターンに基づいて、き電系統設備130の電力負荷の推移を予測する。これにより、配電EMS151から送信されてきた省エネ指標値を達成できるか否かを判定できる。
そして、き電系統EMS152が省エネ指標値を達成できる旨応答した後、き電系統EMS152の制御部303は、省エネ指標値を達成するように、き電系統設備130の制御を行う。
さらに、配電EMS151から、き電系統EMS152に対して、蓄電池112の電力を利用する旨の命令を受信していた場合、き電系統EMS152の制御部303が、充放電命令を、駅蓄電池制御装置104に対して行う。また、制御部303が、必要に応じて、切替器114に対する切替命令等を行う。
一方、駅EMS153は、データ保存部311と、負荷予測部312と、制御部313と、を備える。
データ保存部311は、各駅設備106、及び駅蓄電池制御装置104から送信された状態情報、計測値を保存すると共に、今まで保存してきた状態情報、及び計測値から学習した電力負荷の推移パターンを保持する。
負荷予測部312は、データ保存部311に保存されている状態情報、計測値、及び推移パターンに基づいて、各駅設備106の電力負荷の推移を予測する。これにより、配電EMS151から送信されてきた省エネ指標値を達成できるか否かを判定できる。
そして、駅EMS153が省エネ指標値を達成できる旨応答した後、駅EMS153の制御部313は、省エネ指標値を達成するように、各駅設備106の制御を行う。
さらに、配電EMS151から、駅EMS153に対して、蓄電池112の電力を利用する旨の命令を受信していた場合、駅EMS153の制御部313が、充放電命令を駅蓄電池制御装置104に対して行う。また、制御部313が、必要に応じて、切替器114に対する切替命令等を、駅蓄電池制御装置104に対して行う。
通信制御部154は、き電系統EMS152の制御部303及び駅EMS153の制御部313のいずれか一つ以上による充放電命令や切替命令を、駅蓄電池制御装置104に対して送信する。このように、通信制御部154は、駅蓄電池制御装置104に対して各種命令を送信する。さらに、通信制御部154は、省エネ指標値を達成できるように設定した各種制御パラメータを、駅蓄電池制御装置104に対して送信する。
そして、駅蓄電池制御装置104は、き電系統EMS152の制御部303、又は駅EMS153の制御部313からの命令に従って、蓄電池112、切替器114、及びチョッパ113を制御する。
例えば、駅蓄電池制御装置104が、き電系統EMS152の制御部303、又は駅EMS153の制御部313から切替命令を受信していた場合、切替命令を、切替器114に送信する。
さらに、駅蓄電池制御装置104は、き電系統EMS152の制御部303、又は駅EMS153の制御部313から受信した充放電命令を、蓄電池112に送信する。
さらに、駅蓄電池制御装置104は、切替器114の切替先に応じた制御を行う。例えば、駅蓄電池制御装置104は、切替器114がPCS111と蓄電池112とを接続している場合に、PCS111に対して制御命令を送信する。また、駅蓄電池制御装置104は、切替器114がチョッパ113と蓄電池112とを接続している場合に、チョッパ113に対して制御命令を送信する。
これにより、本実施形態においては、省エネ指標値に基づいて、蓄電池112を利用することができると共に、き電系統設備130及び各駅設備106の制御を実現できる。
図4は、本実施形態にかかる駅蓄電池制御装置104の構成例を示した図である。なお、図1と同じ装置や構成については、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
図4に示されるように、駅蓄電池制御装置104は、システム状態検出部401と、チョッパ制御部402と、蓄電池切替部403と、PCS制御部404と、動作決定部405と、データ送信部406と、データ受信部407と、を備えている。
システム状態検出部401は、PCS111の状態情報(例えば、接続点電圧、消費電力などの状態量)を取得する。また、システム状態検出部401は、蓄電池112の状態情報(例えば端子電圧、電流、充電量(SOC)などの状態量)を取得する。さらに、システム状態検出部401は、チョッパ113の状態情報(接続点電圧、消費電力などの状態量)を取得する。
そして、システム状態検出部401は、受信した状態情報について加工を行った上で、加工された後の状態情報を、チョッパ制御部402、蓄電池切替部403、PCS制御部404、動作決定部405、データ送信部406に受け渡す。そして、データ送信部406は、受け渡された状態情報を、電力管理装置150に送信する。
動作決定部405は、受信した命令、及び状態情報等に基づいて動作モードを選択し、選択された動作モードに従って、チョッパ制御部402、蓄電池切替部403、及びPCS制御部404に対して、動作モードに対応する各種制御パラメータを送信する。
動作決定部405が動作モードを変更するトリガーは、例えば、蓄電池112の接続先の切替命令を受け取った場合が考えられる。本実施形態にかかる動作決定部405は、受け取った切替命令の切替先に対応した動作モードを選択する。これにより、切替命令に対応した制御が行われることになる。
チョッパ制御部402は、システム状態検出部401から受け取った状態情報、及び動作決定部405から受け渡されるチョッパ制御用パラメータ等に基づいて、チョッパ113を制御する。例えば、状態情報として、チョッパ113の接続端電圧と電力、動作状態および蓄電池112の充電量(SOC)などの情報が、チョッパ制御部402に受け渡される。
蓄電池切替部403は、システム状態検出部401から受け取った状態情報、及び動作決定部405から受け渡される各種パラメータ等に基づいて、蓄電池112を制御する。例えば、状態情報として、蓄電池112の充電量(SOC)やチョッパ113、PCS111の動作状態などの情報が、蓄電池切替部403に受け渡される。また、電力管理装置150からの切替命令に従って動作モードが選択された場合、蓄電池切替部403は、当該動作モードに基づく切替命令を、切替器114に対して送信する。
PCS制御部404は、システム状態検出部401から受け取った状態情報、及び動作決定部405から受け渡されるPCS制御用パラメータ等に基づいて、PCS111を制御する。例えば、状態情報として、PCS111の接続点電圧や電力、動作状態および蓄電池112の充電量(SOC)などの情報が、PCS制御部404に受け渡される。
データ送信部406は、電力管理装置150から要求された状態情報を、予め定められた周期あるいは要求命令に応じて、電力管理装置150に送信する。
データ受信部407は、電力管理装置150からの命令を受信する。この命令には、蓄電池112の接続先の切替命令が含まれている。さらに、データ受信部407は、電力管理装置150から、動作決定部405、チョッパ制御部402、蓄電池切替部403、及びPCS制御部404で使用される制御パラメータ等を、予め定められた周期あるいは情報更新時に受信する。そして、受信した命令や制御パラメータは、動作決定部405に受け渡される。
さらに、本実施形態においては、太陽光発電装置401を備え、PCS111と切替器114とを介して、駅蓄電池システム103の蓄電池112に蓄電するように構成しても良い。
図5は、本実施形態の動作決定部405の構成例を示した図である。図5に示されるように、動作決定部405は、設定データ保存部501と、設定データ格納部502と、動作モード選択部503と、チョッパ制御用パラメータ設定部504と、蓄電池切替用パラメータ設定部505と、PCS制御用パラメータ設定部506と、を備える。
設定データ格納部502は、データ受信部407から(動作決定部405、チョッパ制御部402、蓄電池切替部403、及びPCS制御部404で使用される)制御パラメータ等を受け取り、設定データ保存部501に保存する。設定データ保存部501に保存された場合、設定データ格納部502は、保存されている制御パラメータ等が更新されたことを、動作モード選択部503に通知する。
動作モード選択部503は、制御パラメータ等が更新された通知を受け付けた場合に、設定データ保存部501に保存されている制御パラメータ等に基づいて動作モードを選択する。動作モードを選択する際に、システム状態検出部401からの状態情報も判定条件として用いる。動作モードとは、チョッパ制御、蓄電池切り替え、PCS制御の各々に対して、制御を行うために予め定められたモードとする。設定データ保存部501に保存されている制御パラメータに基づいて動作モードを選択することで、省エネ指標値による省エネルギー化を達成できる。
そして、動作モード選択部503は、動作モードを選択し、選択された動作モードと、各種制御パラメータと、をチョッパ制御用パラメータ設定部504、蓄電池切替用パラメータ設定部505、及びPCS制御用パラメータ設定部506に送信する。
チョッパ制御用パラメータ設定部504は、動作モード選択部503で選択された動作モードと、各種制御パラメータとを受け取り、必要に応じて動作モードに合致する(チョッパ制御用の)制御パラメータ等を設定データ保存部501から読み出し、チョッパ制御用パラメータとして、チョッパ制御部402に送信する。
蓄電池切替用パラメータ設定部505は、動作モード選択部503からの選択された動作モードと、各種制御パラメータとを受け取り、必要に応じて動作モードに合致する(蓄電池切替用の)制御パラメータ等を設定データ保存部501から読み出し、状態量比較判別用パラメータとして、蓄電池切替部403に送信する。状態量比較判別用パラメータは、充電量SOC等と状態を比較するためのパラメータとする。
PCS制御用パラメータ設定部506は、動作モード選択部503からの選択された動作モードと、各種制御パラメータとを受け取り、必要に応じて動作モードに合致する(PCS制御用の)制御パラメータ等を設定データ保存部501から読み出し、PCS制御用パラメータとして、PCS制御部404に送信する。
図6は、本実施形態にかかるチョッパ制御部402の構成例を示した図である。図6に示されるように、チョッパ制御部402は、状態情報分配部601と、制御量演算部602と、制御用パラメータ分配部603と、制御量補正部604と、で構成されている。
状態情報分配部601は、システム状態検出部401から送信される状態情報を受け取り、その状態情報を制御量演算部602と制御量補正部604とに受け渡す。状態情報分配部601は、システム状態検出部401から送信されてきたチョッパ113の接続端電圧Vkdを制御量演算部602に受け渡す。また、状態情報分配部601は、システム状態検出部401から送信される蓄電池充電量SOCを、制御量補正部604を受け渡す。
制御用パラメータ分配部603は、動作決定部405から送られてくるチョッパ制御用パラメータを受け取り、そのパラメータを制御量演算部602と制御量補正部604とに受け渡す。
図6に示される例では、制御用パラメータ分配部603は、電圧目標Vref、不感帯上下限ChVl、ChVh、一次遅れ時定数ChT、ゲインChK、制御信号上下限リミットPchr、チョッパ定格出力、定格電圧を、制御量演算部602に送信する。また、制御用パラメータ分配部603は、蓄電池のSOC、維持目標、放電末、充放電可能最大電力Bmaxを制御量補正部604に送信する。
制御量演算部602は、状態情報分配部601から送られてくる状態情報と、制御用パラメータ分配部603から送られてくるパラメータと、に基づいて、チョッパ113の制御量を演算する。図6に示される例では、制御量演算部602は、チョッパ113の接続端電圧Vkdを入力する。そして、制御量演算部602は、チョッパ113の接続端電圧Vkdから、定格電圧1.5kVを除算する。その後、制御量演算部602は、除算された後の接続端電圧Vkdから目標電圧Vref(pu)を減算し、偏差ΔVkを演算する。そして、制御量演算部602は、偏差ΔVkが不感帯上下限ChVl、ChVhに含まれているか否かを判定する。制御量演算部602は、含まれていないと判定した場合に、偏差に対して、一次遅れ系の伝達関数(1/1+ts)を用いた演算や、ゲインK=ChKとの乗算を行った後、制御信号上下限リミット−Pchr〜Pchrの間に含まれているか否かを判定する。制御信号上下限リミット−Pchr〜Pchrに含まれていると判定した場合に、チョッパ定格出力MWを乗算して導出した値を制御量Pchとする。これにより、チョッパ113の電力命令に伴う制御量Pchを得られる。本実施形態では、制御量Pch<0の場合に、き電線107に電力を供給し、制御量Pch=0の場合に、き電線107に電力を供給しない例とする。
そして、制御量補正部604は、制御量演算部602から送られるチョッパ電力命令の制御量Pchに対して、蓄電池112の充電状態および最大出力制限に基づく補正を行う。そして、補正後の制御量Pchを含むチョッパ電力命令を、チョッパ113に送信する。
図6に示す例では、制御量補正部604は、チョッパ電力命令に従ってき電線107に蓄電池112の電力を供給する際、蓄電池112の充電量SOCが維持目標以下又は放電末以下である場合、チョッパ電力命令の制御量Pchを0.0に設定し、き電線107に電力供給を行わないようにする。また、チョッパ電力命令に従ってき電線107へ蓄電池112の電力を供給する際、制御量Pchが蓄電池112の充放電可能最大電力Bmaxを超えている場合(Pch<―Bmax)、制御量Pchを充放電可能最大電力Bmaxに抑えるように補正する(Pch=―Bmax)。
なお、制御量Pchの補正手法は、図6に示される例に制限するものではなく、他の手法を用いても良い。そこで、制御量の補正の変形例について説明する。図7は、変形例にかかるチョッパ制御部701の構成例を示した図である。図7に示されるように、チョッパ制御部701は、状態情報分配部601と、制御量演算部602と、制御用パラメータ分配部603と、制御量補正部711と、で構成されている。なお、本実施形態と同様の構成については、同じ符号を割り当て、説明を省略する。
変形例の制御量補正部711は、状態情報分配部601からチョッパ113の接続端電圧Vkdと蓄電池112の充電量SOCを受け取る。また、制御量補正部711は、制御用パラメータ分配部603から電圧補償優先判定電圧偏差ChVl2、蓄電池112のSOC維持目標、及び放電末且つ充放電可能最大電力Bmaxを受け取る。さらに、制御量補正部711は、制御量演算部602からチョッパ電力命令と、き電電圧偏差ΔVkdを受け取る。そして、制御量補正部711は、き電線107に電力を供給し(制御量Pch<0)、蓄電池112の充電量SOCが放電末よりも大きく(SOC>放電末)、き電電圧偏差ΔVkdが電圧補償優先判定電圧偏差−ChVI2を下回るか否かを判定する。
そして、制御量補正部711が、き電線107に電力を供給し(制御量Pch<0)、蓄電池112の充電量SOCが放電末よりも大きく(SOC>放電末)、き電電圧偏差ΔVkdが電圧補償優先判定電圧偏差−ChVI2を下回ると判定した場合(Yes)、SOC維持よりも電圧補償を優先させるようにチョッパ電力命令の制御量Pchを補正(Pch=―Bmax)する。
一方、制御量補正部711が、き電線107に電力を供給し(制御量Pch<0)、蓄電池112の充電量SOCが放電末よりも大きく(SOC>放電末)、き電電圧偏差ΔVkdが電圧補償優先判定電圧偏差−ChVI2以上と判定した場合(No)、実施形態と同様に、SOC維持目標を満足するようにチョッパ電力命令の制御量Pchを補正(Pch=0.0)する。
次に、本実施形態のPCS制御部404について説明する。図8は、本実施形態にかかるPCS制御部404の構成例を示した図である。図8に示されるように、PCS制御部404は、制御用パラメータ分配部801と、状態情報分配部802と、制御量演算部803とを備える。
状態情報分配部802は、システム状態検出部401から送られてくるPCS制御に必要な状態情報を受け取り、その状態情報を制御量演算部803へ送る。本実施形態では、蓄電池112の充電量SOCを制御量演算部803へ送っている。
制御用パラメータ分配部801は、動作決定部405から送られてくるPCS制御用パラメータを受け取り、そのパラメータを制御量演算部803へ送る。本実施形態では、PCS電力計画値Pcsp、蓄電池のSOC維持目標、放電末と充電末、および充放電可能最大電力Bmaxを送っている。
制御量演算部803は、状態情報分配部802から送られてくる状態情報と、制御用パラメータ分配部801から送られてくるパラメータと、を用いて、PCS111の出力電力命令を制御量として演算する。
図6では、制御量演算部803は、PCS111に電力を供給する計画値Pcspとチョッパ電力命令の制御量Pchとを入力する。そして、制御量演算部803は、チョッパ電力命令の制御量Pch≧0であるか否かを判定する(ステップS811)。制御量Pch<0であると判定した場合(ステップS811:No)、き電線107へ電力を供給する方向であり、き電線107への電力供給を優先させるため、PCS111に電力を供給する計画値Pcspを‘0’に設定した後(ステップS822)、PCS111への電力指令値Pcs=Pcspを設定して(ステップS823)、処理を終了する。
一方、制御量演算部803が、制御量Pch≧0であると判定した場合(ステップS811:Yes)、制御量演算部803は、PCS111に電力を供給する計画値Pcspが‘0’より大きいか否か(PCS出力が供給側であるか否か)を判定する(ステップS812)。
そして、電力を供給する計画値Pcspが‘0’より大きくないと判定した場合(ステップS812:No)、制御量演算部803は、PCS111に電力を供給する計画値Pcspが‘0’より小さいか否か(PCS出力が供給側であるか否か)を判定する(ステップS813)。制御量演算部803は、PCS111に電力を供給する計画値Pcspが‘0’より小さくないと判定した場合(ステップS813:No)、PCS111に電力を供給する計画値Pcspを‘0’に設定した後(ステップS822)、PCS111への電力指令値Pcs=Pcspを設定して(ステップS823)、処理を終了する。
一方、ステップS813で、制御量演算部803は、PCS111に電力を供給する計画値Pcspが‘0’より小さいと判定した場合(ステップS813:Yes)、蓄電池112の充電量SOCが充電末より小さいか否かを判定する(ステップS815)。充電量SOCが充電末より小さくないと判定した場合(ステップS815:No)、PCS111に電力を供給する計画値Pcspを‘0’に設定した後(ステップS822)、PCS111への電力指令値Pcs=Pcspを設定して(ステップS823)、処理を終了する。一方、充電量SOCが充電末より小さいと判定した場合(ステップS815:Yes)、ステップS816に処理が進む。
ステップS812において、電力を供給する計画値Pcspが‘0’より大きいと判定した場合(ステップS812:Yes)、充電量SOCが維持目標より大きいか否かを判定する(ステップS814)。充電量SOCが維持目標より大きくないと判定した場合(ステップS814:No)、PCS111に電力を供給する計画値Pcspを‘0’に設定した後(ステップS822)、PCS111への電力指令値Pcs=Pcspを設定して(ステップS823)、処理を終了する。一方、充電量SOCが維持目標より大きいと判定した場合(ステップS814:Yes)、ステップS816に処理が進む。
そして、制御量演算部803は、PCS111の計画値Pcpsによる電力が蓄電池112の定格以下(Pcsp−Pch≦Bmax)か否かを判定する(ステップS816)。蓄電池112の定格より大きいと判定した場合(ステップS816:No)、定格以内に収まるように電力を抑制する(Pcsp=Bmax+Pcs)(ステップS817)。
そして、PCS111の計画値Pcpsによる電力が蓄電池112の定格以下の場合(ステップS816:Yes)、又は定格以内に収まるように電力を抑制した(ステップS817)後、制御量演算部803は、PCS111の計画値Pcpsによる電力が電力定格出力Pcsr以下(|Pcsp|≦PCS111)であるか否かを判定する(ステップS818)。定格出力Pcsr以下であると判定した場合(ステップS818:Yes)、PCS111への電力指令値Pcs=Pcspを設定して(ステップS823)、処理を終了する。
また、制御量演算部803は、PCS111の計画値Pcpsによる電力が電力定格出力Pcsrより大きいと判定した場合(ステップS818:No)、さらにPCS111の計画値Pcpsが‘0’より大きいか否かを判定する(ステップS819)。そして、計画値Pcpsが‘0’より大きいと判定した場合(ステップS819:Yes)、PCS111の計画値Pcpsとして電力定格出力Pcsrを設定する(Pcsp=Pcsr)(ステップS820)。一方、そして、計画値Pcpsが‘0’以下であると判定した場合(ステップS819:No)、PCS111の計画値Pcpsとして電力定格出力−Pcsrを設定する(Pcsp=−Pcsr)(ステップS821)。その後、PCS111への電力指令値Pcs=Pcspを設定して(ステップS823)、処理を終了する。
次に、蓄電池切替部403について説明する。図9は、本実施形態にかかる蓄電池切替部403の構成例を示した図である。図9に示されるように、蓄電池切替部403は、比較判別部901と、状態決定部902と、信号出力部903と、を備える。
比較判別部901は、システム状態検出部401から送られる蓄電池112の充電量SOCと、動作決定部405から送られる状態量比較判別用パラメータと、を受け取る。そして、比較判別部901は、蓄電池112の充電量SOCと状態量比較判別用パラメータとを代入する比較判別式で、切替器114の状態を決定するためのパラメータを導出し、状態決定部902へ送る。
状態決定部902は、比較判別部901から送られたパラメータに基づいて、蓄電池112を、チョッパ113とPCS111とのどちらに接続するのか判定する。本実施形態の状態決定部902は、送られてきたパラメータが、予め設定された条件を満足したか否かに基づいて、時間帯毎の切替器114の切替先を導き出す。そして、当該時間帯で切替先を信号出力部903に送信する。
信号出力部903は、状態決定部902から切替器114の切替先を受け取り、切替先への切替信号を切替器114に出力する。
例えば、列車本数が少なく蓄電池112が満充電状態の場合、余剰回生電力を回収できるようにするために、列車本数が多くなる時間帯となる前に、蓄電池切替部403は、切替器114を介して蓄電池112の接続先をPCS111側に切り替えて、貯蔵された電力を高配側へ放出させておく。そして、蓄電池112を余剰回生電力を回収可能な状態にした後、蓄電池切替部403は、切替器114を介してチョッパ113側へ接続を切り替えさせる。
図10は、切替器114が蓄電池112の切替先を、チョッパ113とPCS111との間で交互に切り替える場合の動作波形を例示した図である。
まず、期間(1)においては、チョッパ113の接続端電圧Vkdが不感帯内のため、駅蓄電池制御装置104は、蓄電池112の充放電を行わない。なお、図10に示す導左派系では、説明を容易にするために、接続端電圧Vkdが不感帯内に含まれているか否かに基づいて、処理を切り替える例とするが、実際には、図6に示されるように偏差ΔVkが不感帯に含まれているか否かに応じて処理を切り替えても良い。なお、図10に示される例では、1.5(1+ChVh)〜1.5(1−ChVl2)までが不感帯とする。
期間(2)においては、チョッパ制御部402が、チョッパ113の接続端電圧Vkdが、不感帯上限を超えるので、チョッパ制御部402が、チョッパ113に対して、余剰回生電力を吸収するように制御する。これにより、蓄電池112が充電され、充電量SOCが増大する。この際に、蓄電池112の充電量SOCが維持目標を超えたものとする。
期間(3)においては、充電量SOCが維持目標を超えているが、チョッパ113の接続端電圧Vkdが不感帯内であるため、チョッパ制御部402が、チョッパ113に対して、蓄電池112からき電線107に電力供給をしないよう制御する。
期間(4)においては、接続端電圧Vkdが不感帯上限を超えるので、チョッパ制御部402は、チョッパ113に対して、蓄電池112が余剰回生電力を吸収するように制御する。これにより、蓄電池112が充電され、充電量SOCが上昇する。この際に、蓄電池112の充電量が充電末を超えたものとする。そこで、駅蓄電池制御装置104の蓄電池切替部403が、切替器114を制御して、PSC111と、蓄電池112と、の間の接続をオフからオンに切り替えさせる。
期間(5)においては、充電量SOCが充電末を超えているが、接続端電圧Vkdが不感帯内であるため、駅蓄電池制御装置104の蓄電池切替部403が、切替器114を制御して、チョッパ113と蓄電池112の接続をオンからオフに切り替えて、PCS111が各駅設備106へ電力供給を行う。その結果、蓄電池112が放電されて、充電量SOCが下降する。
期間(6)においては、接続端電圧Vkdは不感帯内であるが、充電量SOCが維持目標を超えており、チョッパ113と蓄電池112とが接続されておらず、PSC111と蓄電池112とが接続されている。このため、駅蓄電池制御装置104は、蓄電池112からPCS111を介して各駅設備106に電力供給を継続するように制御する。その結果、蓄電池112が放電されて、充電量SOCがさらに下降し、維持目標を下回る。このため、駅蓄電池制御装置104の蓄電池切替部403は、切替器114を介して、蓄電池112の接続先を、PCS111から、チョッパ113に切り替える。
期間(7)においては、充電量SOCが維持目標を下回っているが、接続端電圧Vkdは不感帯内であるため、駅蓄電池制御装置104のチョッパ制御部402は、チョッパ113がき電線107からの電力を蓄電池112に貯めるように制御を行わない。
期間(5)〜期間(7)に行われる制御により、充電末の蓄電池112を放電させることができ、蓄電池112に余剰回生電力を貯めさせるよう制御を行うことができる。
上述した処理を行うことで、き電系統設備130で生じた回生余剰電力の回収を行うことで、変電所180からの電力をピークカットさせることができる。
図11は、本実施形態の駅蓄電池制御装置104による制御で実行されるピークカットの例を示した図である。図11に示される例では、需要電力1201を満たすように、受電電力と、放電電力とを組み合わせる必要がある。このため、放電電量を利用しない場合に、ピーク時には受電電力Wh1が消費されることになる。しかしながら、本実施形態においては、ピーク時以外に、駅蓄電池制御装置104が、回生余剰電力を、充電電力1203として、蓄電池112に蓄電する制御を行うこととした。そして、ピーク時には、駅蓄電池制御装置104が、蓄電池112から放電電力1202を、き電系統設備130又は各駅設備106に供給するように制御する。これにより、ピーク時で受電電力Wh2に抑止することができる。
次に、本実施形態にかかる電力管理装置150における、電力の運用計画の設定処理について説明する。図12は、本実施形態にかかる電力管理装置150における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
まず、電力管理装置150の配電EMS151は、き電系統EMS152又は駅EMS153を介して、蓄電池112に貯められる回生余剰電力を取得する(ステップS1301)。
次に、配電EMS151は、鉄道EMS110からの省エネ指標値を、き電系統EMS152と駅EMS153とに配分した上で、変電所180からの受電電力の上限を設定する(ステップS1302)。
そして、き電系統EMS152は、変電所180からの受電電力の上限を考慮して、き電系統EMS152のデータ保存部301に保存されている1日あたりの電力負荷の推移パターンに基づいて、1日あたりの電力の運用計画を導出すると共に、駅EMS153は、変電所180からの受電電力の上限を考慮して、駅EMS153のデータ保存部311に保存されている1日あたりの電力負荷の推移パターンに基づいて、1日あたりの電力の運用計画を導出する(ステップS1303)。なお、時間帯毎にPCS111及びチョッパ113のどちらと蓄電池112が接続するのかは配電EMS151を介して、駅EMS153及びき電系統EMS152の間で調整する。
そして、配電EMS151が、き電系統EMS152の電力の運用計画及び駅EMS153の電力の運用計画の他に、蓄電池112の最大容量と、蓄電池112を使用しない時間とを考慮して、1日の電力料金の最小化を図った蓄電池112の充放電スケジュールを作成する(ステップS1304)。
その後、配電EMS151が、蓄電池112の利用スケジュールで、受電電力上限を逸脱しているか否かを判定する(ステップS1305)。配電EMS151が、逸脱していると判定した場合(ステップS1305:No)、配電EMS151が、省エネ指標値の配分を変更、又は充電電力の上限を修正した後(ステップS1306)、ステップS1303の処理から行う。
一方、配電EMS151が、逸脱していないと判定した場合(ステップS1305:Yes)、処理を終了する。
これにより、1日の運用計画に従って、蓄電池112の充放電が行われる。図13は、本実施形態にかかる電力管理装置150の作成した充放電スケジュールに従って、駅蓄電池制御装置104が制御した結果を例示した図である。
図13に示されるように、回生余剰電力が生じている場合には、電力負荷に対する受電電力が低減される。さらに、余裕のある時間帯1411で蓄電池112に電力を充電することで、ピーク時1412に、蓄電池112に貯められた電力を利用することができる。
図14は、図13に示される電力の利用時における蓄電池112の充電量SOCの遷移を示した図である。図14に示されるように、電力管理装置150の作成した充放電スケジュールに従って、駅蓄電池制御装置104が、6時〜8時までの間に蓄電池112の充電を行うように制御することで、充電量SOCを向上させる。その後、ピーク時に該当する16時〜19時の間に、蓄電池112の放電を行うように制御することで、充電量SOCを低減させる。当該制御を毎日繰り返すことで、毎日の電力のピークカットを行うことができる。
図15は、30分単位の受電電力量の積算値の遷移を示した図である。図15に示されるように、受電電力量に、チョッパ113からの蓄電池112の放電電力量とPCS111からの出力電力量とを組み合わせることで、需要電力量を満たしている。
上述した実施形態では、切替器114が、蓄電池112の接続先をPCS111又はチョッパ113に切り替える例について説明した。しかしながら、切替器114が、蓄電池112の接続先をPCS111又はチョッパ113に切り替える例に制限するものではない。そこで、変形例として、切替器114による切替を行わない例について説明する。
図16は、変形例にかかる駅蓄電池システムの構成例を示した図である。図16に示されるように、駅蓄電池システム1701は、PCS111、チョッパ113、及び蓄電池112で構成される。そして、PCS111、チョッパ113、及び蓄電池112の間を同時に接続することで、蓄電池112は、PCS111、及びチョッパ113に対して同時に電力を供給することができる。なお、他の構成については、上述した実施形態と同様として説明を省略する。
図17は、変形例にかかる駅蓄電池システム1701を動作させた場合の各構成の動作波形を例示した図である。
まず、期間(1)においては、チョッパ113の接続端電圧Vkdが不感帯内のため、駅蓄電池制御装置104は、蓄電池112の充放電を行わない。
期間(2)においては、チョッパ制御部402が、チョッパ113の接続端電圧Vkdが、不感帯上限を超えるので、チョッパ制御部402が、チョッパ113に対して、余剰回生電力を吸収するように制御する。これにより充電量SOCは上昇するが、維持目標まで達しないものとする。
期間(3)においては、チョッパ113の接続端電圧Vkdが不感帯を下回っているが、充電量SOCが維持目標を超えていないため、チョッパ制御部402が、チョッパ113に対して、蓄電池112からき電線107に電力供給をしないよう制御する。
期間(4)においては、接続端電圧Vkdが不感帯上限を超えるので、チョッパ制御部402は、チョッパ113に対して、蓄電池112が余剰回生電力を吸収するように制御する。これにより、蓄電池112が充電され、充電量SOCが上昇する。この際に、蓄電池112の充電量が維持目標を超えたものとする。
期間(5)においては、充電量SOCが維持目標を超えているが、接続端電圧Vkdが不感帯内であるため、チョッパ113を介した電力の供給は‘0’となる。一方、充電量SOCは、維持目標を超えているので、駅蓄電池制御装置104は、PCS111から蓄電池112の電力を各駅設備106に供給するよう制御する。その結果、蓄電池112が放電されて、充電量SOCが下降する。そして、期間(5)の後、再び期間(3)を経てから期間(6)に遷移する。
期間(6)においては、接続端電圧Vkdは不感帯を下回っており、且つ充電量SOCが維持目標に達していないが、駅蓄電池制御装置104が、き電系統設備130の電圧の維持のために、蓄電池112からき電線107に電力を供給する。
また、本変形例では、切替器を設けない例について説明したが、切替器を設けた上で、当該切替器が、蓄電池112、PCS111、及びチョッパ113を同時に接続するように切替を行っても良い。この場合に行われる制御は、変形例と同様のため、説明を省略する。
上述した実施形態及び変形例によれば、駅蓄電池システムを構成する機器の状態を把握して、チョッパにより発生する余剰回生電力を可能な限り回収し、PCSとチョッパの協調制御により蓄電池の充電量を維持しながら、走行車両や駅負荷への電力供給を行うことができる。これにより、駅や変電所の受電電力ピークを抑え、さらに変電所からの受電電力量を低減させることができる。
上述した実施形態及び変形例によれば、機器の状態に応じて、駅蓄電池システムの蓄電池の接続先をPCS及びチョッパのいずれか一つ以上に切替を行うことで、余剰回生電力を効率良く蓄電池に蓄積し、必要に応じて各駅設備やき電系統設備に電力を供給可能とした。これにより、蓄電池に蓄電された電力を効率的に利用できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。