JP6201258B2 - 柱体の固定構造及び柱体の改修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、柱体の固定構造及び柱体の改修方法に関する。
鉄道の電化区間においては、列車に電力を供給する架線を架設するために、複数の電化柱が線路の延在する方向に沿って配列される。電化柱は、高架橋や路盤等の基礎に固定されている。
ところが、近年発生した大規模地震の際には、電化柱が折損する被害が多発した。したがって、より有効な耐震補強の実施、又は鋼管柱への交換の必要性が増している。
このような電化柱の耐震補強として、特許文献1と特許文献2に示される技術が知られている。
特許文献1に示される電柱の耐震補強構造は、電柱の外径より大きな内径を有する筒体で電柱の外周を包囲し、上記筒体と電柱との隙間に、補強用の充填材を注入し硬化させるものである。該筒体は、その周方向について少なくとも2つの筒構成部材に分割して形成される。さらに、該筒体を構成する部材同士は、ボルト等の締付部材にて固定されて1つの筒体を形成する。
特許文献2に示されるコンクリート製電柱では、強度が劣化した鉄筋コンクリート柱の表面に、強化繊維シートが強化繊維の配列方向が柱の軸方向及び周方向となるようにして少なくとも1層ずつ巻き付けられる。さらに、その最外層上に絶縁性繊維の強化繊維シートを巻き付けるとともに、該シートの巻き付け前又は巻き付け後に強化繊維に含浸したマトリックス樹脂を硬化させて、繊維強化プラスチックとする補強構造が示されている。
特開2005−336746号公報 特開平5−332032号公報
しかしながら、電化柱の耐震強度を超える大規模地震が発生した場合には、電化柱の倒壊とともに該電化柱を支える基礎にも損壊が生じる可能性があった。そのため、その後の修復作業がより困難なものとなる。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、大規模地震が発生した場合において、柱体の完全な倒壊及び該柱体が基礎部から倒壊することを防止できる柱体の固定構造及び柱体の改修方法を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の一態様に係る柱体の固定構造は、上下方向にわたって延びる柱体補強線材を内部に有するとともに、下部が基礎部に埋設された柱体と、前記基礎部とを固定する柱体の固定構造であって、前記基礎部の上方に設けられて、前記柱体の外周部の下部を周方向に覆う下側補強部と、前記下側補強部の上方に設けられて、前記外周部を周方向に覆う上側補強部と、前記柱体の前記下側補強部と前記上側補強部との間における前記外周部を覆う中間補強部と、上下方向に延在するとともに、下端部が前記基礎部よりも上方に位置して前記下側補強部に接続されるとともに上端部が前記上側補強部に接続された複数の改修用補強線材とを備え、前記柱体補強線材は、前記中間補強部の上下方向位置で上下に分断されていることを特徴とする。
このような柱体の固定構造では、上側補強部、中間補強部及び下側補強部が一体となって固定構造を形成するため、地震の揺れに対して十分な耐力を発揮することができる。また、地震による柱体の倒壊を生じても、改修用補強線材が基礎部に埋設されていないことにより、基礎部に損傷を与えることを防止することができる。
さらに、既存の基礎部に対して改修用補強線材を埋設するための工程を省略することができ、より容易に柱体の改修を行うことができる。
また、本発明の一態様に係る柱体の固定構造においては、上下方向に延びる前記上側補強部及び前記下側補強部の中心軸が、上下方向に延びる前記柱体の中心軸よりも水平方向第一方向に偏心していることを特徴とする。
このような柱体の固定構造は、上側補強部、中間補強部及び下側補強部が一体となって固定構造を形成するため、地震の揺れに対して十分な耐力を発揮することができる。加えて、柱体の近傍に側壁等の障害物が設置されている場合であっても、側壁と干渉することなく柱体を固定し、耐震補強を図ることができる。
また、本発明の一態様に係る柱体の固定構造は、前記複数の改修用補強線材のうち、前記柱体よりも前記水平方向第一方向側に位置する前記改修用補強線材が、前記上側補強部及び前記下側補強部の外周側に設けられていることを特徴とする。
このような柱体の固定構造は、柱体近傍の側壁等に制約されて補強部と柱体との間に十分なスペースを確保できない場合であっても、改修用補強線材を柱体の外周部全体にわたって設けることができる。したがって、柱体の設置場所に制約がある場合であっても、地震の揺れに対して十分な耐力を発揮する耐震補強を施すことができる。
また、本発明の一態様に係る柱体の固定構造において、前記上側補強部は上下方向に延びる筒状の上側補強板材と、前記上側補強板材と前記外周部との間の領域を閉塞するように前記上下方向と直交する水平面上に設けられた上側補強部底枠とを有し、前記下側補強部は、上下方向に延びる筒状の下側補強板材と、前記下側補強板材と前記外周部との間の領域を閉塞するように前記水平面上に設けられた下側補強部底枠とを有し、前記中間補強部は、上下方向に延びる筒状の包囲板材とを有し、前記上側補強板材、前記包囲板材及び前記下側補強板材は、前記柱体の周方向において2つに分割されて、前記上側補強板材は上側補強板第一部材と上側補強板第二部材から構成され、前記包囲板材は包囲板第一部材と包囲板第二部材から構成され、前記下側補強板材は下側補強板第一部材と下側補強板第二部材から構成されることを特徴とする。
このような柱体の固定構造によれば、上側補強部、中間補強部及び下側補強部が一体となって固定構造を形成するため、地震の揺れに対して十分な耐力を発揮する耐震補強を施すことができるとともに、すでに基礎部に埋設済みの柱体に対して、柱体を撤去することなく容易に改修を施すことができる。
また、本発明の一態様に係る柱体の改修方法は、上下方向にわたって柱体補強線材を内部に有するとともに、下部が基礎部に埋設された柱体と、前記基礎部とを固定する柱体の固定構造を改修する柱体の改修方法であって、前記柱体の外周部に、前記改修用補強線材によって互いに接続された前記上側補強部と前記下側補強部を備える補強板ユニットを設置する補強板ユニット配設工程と、前記外周部と前記下側補強板材との間、及び前記外周部と前記上側補強板材との間に充填材を充填する第1充填工程と、前記基礎部の上方かつ前記上側補強板材の下方に位置する柱体補強線材を切断する切断工程と、前記基礎部の上方かつ前記上側補強板材の下方に位置する部分に前記包囲板を設置する包囲板材配設工程と、前記外周部と前記包囲板材との間に充填材を充填する第2充填工程とを備えることを特徴とする。
このような柱体の改修方法では、切断工程により柱体補強線材は切断されて中間補強部の内方の柱体の強度が低下しているため、大規模地震発生時においても該柱体が変形し易くなっている。よって、中間補強部及び該中間補強部内方の柱体を塑性変形させることで柱体に作用する地震エネルギーを吸収することができる。一方、上側及び下側補強板材の内方の柱体は改修用補強線材及び上側及び下側補強板材で補強されているため、大規模地震に抗することができる。したがって、柱体の耐震性能を向上することができるとともに、柱体が基礎部から倒壊することを防止することができる。
本発明に係る柱体の固定構造及び柱体の改修方法によれば、大規模地震が発生した場合において、柱体の完全な倒壊及び該柱体が基礎部から倒壊することを防止できる。
本発明の実施形態に係る柱体の固定構造の適用例としての構造物(高架橋)を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る柱体の固定構造を示す断面図である。 図2の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図、(c)C−C断面図である。 (a)は本発明の実施形態に係る上側補強部本体(下側補強部本体)と上側補強部添接部材(下側補強部添接部材)の分解断面図であり、(b)は上側補強板材(包囲板材、下側補強板材)の分割線を説明する図である。 本発明の実施形態に係る柱体の施工方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る柱体の施工方法における上側補強部及び下側補強部の配設工程を説明する断面図である。 本発明の第一実施形態に係る柱体の施工方法における切断工程を説明する正面視した断面図である。 本発明の第一実施形態に係る柱体の固定構造で固定された柱体の耐力の模式図である。 既存の柱体を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明においては、柱体5は地表面に対して垂直な方向に設置されるものとする。柱体5の延在する方向を上下方向と定義し、該上下方向と直交する面を水平面と定義する。
まず、本実施形態に係る柱体の固定構造1の対象の一例である高架橋2について説明する。
図1に示すように、高架橋2は、地面から上方に延びるように立設された橋脚3と、該橋脚3の上方に設けられ、水平方向に延在する基礎部4(主桁)と、該基礎部4上に立設された柱体5(電化柱)と、該柱体5の近傍に設けられ基礎部4の延在方向に向かって延在する側壁6とを有している。また、基礎部4の上方には床板Fが設けられ、該床板Fの上方に列車(不図示)走行用の線路Rが設けられている。
(基礎部及び柱体)
図2及び図3に示すように、基礎部4は、例えば鉄筋コンリートで形成されており(不図示)、該基礎部4には下方に向かって凹む固定用穴部4Aが穿設されている。
柱体5は、その下部が基礎部4に穿設された固定用穴部4Aに埋設されるとともに、上下方向に向かって延在する円柱形状の部材である。この柱体5は、断面視中心部に第一充填材が充填された充填部5Dと、該充填部5Dの外周に設けられた構造部5Eとを有している。
充填部5Dは、上下方向に向かって延びる円柱状に形成され、例えば第一充填材として無収縮モルタルが充填されている。
構造部5Eは、周方向に離間して配置されるとともに上下方向に向かって延在する例えばPC鋼材で構成される柱体補強線材7と、該柱体補強線材7を埋設する環状の環状部8とを有している。
上記の基礎部4と柱体5とは、本実施形態に係る柱体の固定構造1で固定されている。
以下、柱体の固定構造1について詳細に説明する。
柱体の固定構造1は、基礎部4の上方であって柱体5の下部に設けられた下側補強部20と、該下側補強部20の上方に設けられた中間補強部30と、該中間補強部30の上方に設けられた上側補強部40とを備えている。
さらに、柱体の固定構造1では、柱体補強線材7が中間補強部30の上下方向位置で上下に分断されて構成されている。
(下側補強部)
下側補強部20は、柱体5の外周部5Xを覆うように設けられた筒状の下側補強板材26と、柱体5と下側補強板材26の間を充填する下側固定部29とを有している。
下側補強板材26は、円管状の部材であり、本実施形態では円管状に形成された鋼板で構成されている。また、下側補強板材26の下側底面付近には、径方向内側に向かって水平面上に延在する板状の下側補強部底枠27が形成されている。言い換えると、下側補強部底枠27は、柱体5の外周部5Xと下側補強板材26との間の領域を閉塞する。また、図3(b)に示すように、下側補強部底枠27は、その中心部に柱体5の外周部5Xの外径に対応する円形の開口部を有している。
さらに、図3に示すように、下側補強板材26の水平面上における中心軸は柱体5の水平面上における中心軸に対して、線路R側に近づく方向(水平方向第一方向)に向かって偏心している。したがって、柱体5から線路R側に向かう方向における、柱体5の外周部5Xから下側補強板材26までの距離は、柱体5から側壁6側に向かう方向における、柱体5の外周部5Xから下側補強板材26までの距離よりも大きい。
下側固定部29は、柱体5の外周部5Xと下側補強板材26の内周部との間に、無収縮モルタルやコンクリート等の第二充填材を充填して構成されている。
(中間補強部)
中間補強部30は、柱体5の外周部5Xを覆うように設けられた筒状の包囲板材36と、これらの間を充填する中間固定部39とを有している。
包囲板材36は、円管状の部材であり、本実施形態では円管状に形成された鋼板で構成されている。
中間固定部39は、柱体5の外周部5Xと包囲板材36の内周部との間に、無収縮モルタルやコンクリート等の第二充填材を充填して構成されている。
(上側補強部)
上側補強部40は、下側補強部20の上方に離間して設けられ、柱体5の外周部5Xを覆うように設けられた筒状の上側補強板材46と、これらの間を充填する上側固定部49とを有している。
上側補強板材46は、円管状の部材であり、本実施形態では円管状に形成された鋼板で構成されている。下側補強板材26と同様に、上側補強板材46の下側底面付近には、径方向内側に向かって水平面上に延在する板状の上側補強部底枠47が形成されており、上側補強部底枠47の中心部には柱体5の外周部5Xの外径に対応する円形の開口部が設けられている。
また、上側補強板材46の水平面上における中心軸は柱体5の水平面上における中心軸に対して、線路R側に近づく方向(水平方向第一方向)に向かって偏心している。したがって、柱体5から線路R側に向かう方向における、柱体5の外周部5Xから上側補強板材46までの距離は、柱体5から側壁6側に向かう方向における、柱体5の外周部5Xから上側補強板材46までの距離よりも大きい。
上側固定部49は、柱体5の外周部5Xと上側補強板材46の内周部との間に、無収縮モルタルやコンクリート等の第二充填材を充填して構成されている。
さらに、下側補強板材26、上側補強板材46は、いずれも同一の分割方法によって分割された2つの部材からそれぞれ構成される。すなわち、下側補強板材26は下側補強板第一部材20Aと下側補強板第二部材20Bから構成され、上側補強板材46は上側補強板第一部材40Aと上側補強板第二部材40Bから構成される。以下では、図4を参照して下側補強板材26の構成について代表的に説明する。
図4に示すように、下側補強板材26は、下側補強板第一部材20Aと下側補強板第二部材20Bの2つの部材から構成されている。そして、下側補強板第一部材20Aと下側補強板第二部材20Bはボルト等の係止器具(不図示)によって一体に固定されて、下側補強部20を形成する。
円管状を成す下側補強板材26の外周壁は、第一分割線D1と第二分割線D2によって周方向に分割されている。下側補強部底枠27も、第一分割線D1と第二分割線D2によって2つに分割される。以下では、図4(b)を参照して、第一分割線D1と第二分割線D2の詳細について説明する。
まず、柱体5の水平方向における断面円の中心点O1と、下側補強板材26の水平方向における断面円の中心点O2を通る直線を第一仮想直線L1とする。さらに、中心点O1を通って、第一仮想直線L1と角度Φを成す直線を第二仮想直線L2とする。第二仮想直線L2と柱体5の外周部5Xの2つの交点をそれぞれ交点F1、F2とする。そして、交点F1,F2における柱体5の外周部5Xの接線が下側補強板材26の外周円と交わる点をそれぞれ交点F3、F4とする。
第一分割線D1は、F1からF3までの線分であり、第二分割線D2はF2からF4までの線分である。これらの第一分割線D1と第二分割線D2によって、下側補強部底枠27は2つに分割される。2つに分割された下側補強部底枠27のうち、第一分割線D1と第二分割線D2によって囲まれた領域は、下側底枠添接部27Bを形成する。下側補強部底枠27から下側底枠添接部27Bを除いた領域は、下側底枠本体部27Aを形成する。
上述のように分割されることによって、下側補強板第一部材20Aの外周を成す円弧は下側補強板第二部材20Bの外周円弧よりも大きく形成される。また、下側補強板第一部材20Aの底枠は、一部に切欠きCを有する円弧状を成している。さらに、第一分割線D1側(すなわち交点F1,F3側)の径方向の幅は、第二分割線D2側(すなわち交点F2,F4側)の径方向の幅よりも相対的に小さく形成される。
また、包囲板材36は周方向において2つに分割されている。すなわち、上側補強板材46と下側補強板材26における第一分割線D1(交点F3)及び第二分割線D2(交点F4)に対応する位置で周方向において2つに分割されている。このように分割された包囲板材36は、それぞれ包囲板第一部材30Aと包囲板第二部材30Bとから構成される。
包囲板第一部材30Aの周方向の寸法は、上側補強板第一部材40A又は下側補強板第一部材20Aの周方向の寸法と同一である。また、包囲板第二部材30Bの周方向の寸法は、上側補強板第二部材40B又は下側補強板第二部材20Bの周方向の寸法と同一である。
(改修用補強線材)
改修用補強線材Lは、上下方向に沿って延在する棒状の部材である。改修用補強線材Lは、上述の柱体補強線材7と同様に、例えば異形棒鋼から構成される。改修用補強線材Lの上端部は、例えば溶接等によって上側補強板材46に固定され、下端部は下側補強板材26に固定される。なお、該下端部は、基礎部4から上方に間隔を空けて設けられる。言い換えると、改修用補強線材Lの下端部は基礎部4に埋設されていない。したがって、基礎部4に対して改修用補強線材Lを埋設するための施工を施す必要はない。
以下では、改修用補強線材Lの詳細な配置について、図4(a)を参照して説明する。図4(a)において、+R方向は線路Rが位置する側を示し、−R方向は例えば側壁6等の障害物が設置されている側を示す。図4(a)に示すように、下側補強板材26及び上側補強板材46に設けられる改修用補強線材Lのうち、+R側に位置する改修用補強線材Lは、上側補強板材46及び下側補強板材26の径方向内側の壁面(内周側)に固定される。一方で、−R側に位置する改修用補強線材Lは、上側補強板材46及び下側補強板材26の径方向外側の壁面(外周側)に固定される。
また、上述のように、上側補強板第一部材40Aと下側補強板第一部材20Aとは改修用補強線材Lによって上下方向に一体に接続されて、補強板ユニット50Aを構成する。
同様に、上側補強板第二部材40Bと下側補強板第二部材20Bとは改修用補強線材Lによって上下方向に一体に接続されて、添接部材ユニット50Bを構成する。
なお、改修用補強線材Lは包囲板材36に対しては固定されていない。したがって、包囲板材36は上側補強板材46及び下側補強板材26と同様の形状を有しながら、改修用補強線材Lを有しないで構成されている。また、上述の補強板ユニット50Aと添接部材ユニット50Bと同様に、包囲板材36は包囲板第一部材30Aと包囲板第二部材30Bの2つの部材から構成される。
また、図2及び図3(c)に示すように、柱体補強線材7は、中間補強部30の上下方向位置の位置Pで上下に分断されて構成されており、本実施形態では複数ある柱体補強線材7の全てが上下方向に分断されている。
次に、既存の柱体の固定構造1で固定された柱体5を改修する改修方法について説明するにあたり、まず既存の柱体の固定構造1について説明する。
図9に示すように、柱体5は、例えば基礎部4における柱体5の外周部5Xには管状にモルタル等の介在部材(不図示)が設けられ、該介在部材を介して固定されている。
次に、上記の既存の柱体5を改修する改修方法について説明する。
図5に示すように、柱体5の改修方法は、補強板ユニット配設工程S01と、第一充填工程S02と、切断工程S03、包囲板材配設工程S04と、第二充填工程S05とを備えている。
まず、補強板ユニット配設工程S01を実行する。
上述のように、上側補強部40本体と下側補強板部本体は、改修用補強線材Lによって一体に接続されて、補強板ユニット50Aを形成している。補強板配設工程においては、この補強板ユニット50Aを柱体5の外周部5Xに沿って設置する。
図6は、補強板ユニット配設工程S01の詳細を示した図である。初めに、図6(a)に示すように、線路R側から、補強板ユニット50Aの切欠き部Cを柱体5にはめ込み、補強板ユニット50Aの内壁を柱体5の外周部5Xに当接させる。
次に、補強板ユニット50Aを上方に持ち上げながら、切欠き部Cが線路R側に対向するまで補強板ユニット50Aを時計回りに回転させる(図6(b))。
その後、添接部材ユニット50Bを切欠き部Cに対してはめ込み、ボルト等の係止手段(不図示)によって添接部材ユニット50Bと補強板ユニット50Aを互いに固定する。以上で補強板ユニット配設工程S01が完了する(図6(c))。
次に、第1充填工程を実行する。第1充填工程では、柱体5の外周部5Xと下側補強板材26との間、及び柱体5の外周部5Xと上側補強板材46との間に、第二充填材を充填する。第二充填材が凝固することで、下側固定部29と上側固定部49がそれぞれ形成される。
次いで、切断工程S03を実行する。
すなわち、基礎部4の上方且つ上側補強板材46の下方に位置する柱体補強線材7を位置Pで切断する。
本実施形態では、図7に示すように、ワイヤーソーWを用いて、第一位置P1に一対のプーリーW1を配置する。該第一位置P1から柱体5の外周部5Xを囲むように円弧状の切断部W2を設けて、該柱体5の外周部5Xから内方に向かって切断する。そして、柱体補強線材7を切断すると、第二位置P2にプーリーW1を移動させる。このとき、第一位置P1近傍の柱体補強線材7(図7に示すR部分)は切断されていない。
次に、第一位置P1と対向する第二位置P2にプーリーW1を配置する。該第二位置P2から柱体5の外周部5Xを囲むようにして平面視柱体5の外周部5Xと改修用補強線材Lとの間に切断部W2を設けて、該柱体5の外周部5Xから内方に向かって切断する。
このとき、残っていた柱体補強線材7(図7に示すR部分)を切断することができる。以上により、図2に示すように、柱体5の外周部5Xに切断部が形成される。
次に、包囲板材配設工程S04を実行する。
包囲板材配設工程S04においては、基礎部4の上方且つ上側補強部40の下方であって、上記の示す切断された柱体補強線材7を囲う部分における改修用補強線材Lの外周を覆う包囲板材36を設置する。包囲板材36の配設の詳細は、図7に示した方法と同様である。すなわち、包囲板第一部材30Aを柱体5の外周部5Xに沿って設置した後、包囲板第二部材30Bをはめ込む。
最後に、第2充填工程を実行する。第2充填工程では、包囲板材配設工程S04で設けられた包囲板材36と柱体5の外周部5Xとの間に、第二充填材が充填される。これにより中間固定部39が形成される。
以上で、柱体5の改修が完了する。
次に、このように構成された柱体の固定構造1で固定された柱体5の外力に対する耐力について、図8を用いて説明する。
図8に示すように、上側補強部40の内方における柱体5の耐力は、その上方の部分よりも大きくなっている。また、中間補強部30の内方における柱体5の耐力は、上部から位置Pに向かうにしたがって減少し、該位置Pから下部に向かうにしたがって増加している。また、下側補強部20の内方における柱体5の耐力は、上側補強部40の上方の部分よりも大きくなっている。
このように構成された柱体の固定構造1では、柱体5、改修用補強線材L及び下側補強板材26が下側固定部29にて固定されているため、中間補強部30の下方の柱体5に作用する地震エネルギーに対して、柱体5、改修用補強線材L及び下側補強板材26で抗することができる。よって、柱体5が下側補強部20で倒壊することはないため、柱体5が基礎部4から倒壊することを確実に防止することができる。
さらに、改修用補強線材Lの下側の端部は基礎部4に埋設されていない。したがって、たとえ柱体の倒壊が生じても、改修用補強線材Lが基礎部4に損傷を与えることを防止することができる。
また、上側補強部40の内方の柱体5は、該柱体5、改修用補強線材L及び上側補強板材46が上側固定部49にて固定されて耐力が大きくなっているため、中間補強部30の上方の柱体5に作用する地震エネルギーに対して、柱体5及び上側補強部40で抗することができる。よって、柱体5が上側補強部40で倒壊することを防止することができる。
ここで、中間補強部30の改修用補強線材Lは溶接等で固定されず該改修用補強線材Lの周囲が第二充填剤で充填されているだけであるため、中間補強部30及び該中間補強部30内方の柱体5は確実に塑性変形することができ、柱体5に作用する地震エネルギーを吸収することができる。
また、中間補強部30は所定の上下方向の長さを有しているため、該所定の長さにわたって塑性変形が可能となる。一般に、極小領域で地震エネルギーを負担する場合には柱体5が局所的に変形して大きく倒壊してしまうが、本実施形態では所定の長さにわたって地震エネルギーに抗することができるため大きな倒壊を防止することができる。
さらに、中間補強部30の上方の柱体5に作用する地震エネルギーに対しては上側補強部40で抗することができ、中間補強部30の下方の柱体5に作用する地震エネルギーに対しては下側補強部20で抗することができる。よって、柱体5が基礎部4から倒壊することを確実に防止することができる。
また、改修工事の途中において、切断工程S03直後は柱体補強線材7が位置Pで切断されているため柱体5の強度が低下しているものの、改修用補強線材Lが設けられており、該改修用補強線材Lが柱体5の転倒を防止する支持部材の役割を担っている。よって、施工時に方杖等の支持部材を仮設する必要がないため、施工の手間を省き、施工時間を短縮できるとともにコストを削減することができる。
また、ワイヤーソーWを用いることで、柱体5の内部を損傷させることなく、柱体補強線材7のみを切断することができる。
また、柱体5の近傍に側壁6が設けられている場合でも、該側壁6とは異なる箇所にプーリーW1を配置することで、柱体補強線材7を切断することが可能となる。
さらに、上側補強板材46と下側補強板材26が改修用補強線材LLで互いに接続されて、あらかじめ一体の部材として構成されているため、工事現場での工数を削減することができる。また、資材管理コストも削減することができる。
また、本実施形態に係る固定構造は、補強板ユニット50Aと添接部材ユニット50Bとに分割されている。側壁6の近傍に位置する既存の柱体5に対して改修工事を施す場合、側壁6と柱体5との間のスペースは限定的であるが、補強板ユニット50Aと添接部材ユニット50Bに分割されていることで、補強板ユニット50Aを柱体5の線路R側から設置した後、柱体5周りに回転させて、線路R側から添接部材ユニット50Bをはめ込むことが可能となる。すなわち、側壁6を撤去することなく施工することができるため、施工の手間を省き、施工時間とコストを低減することができる。
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、複数ある柱体補強線材7のうち一部が上下方向に分断され、分断されていない柱体補強線材7を設けても良い。
この場合においても、大規模地震時に柱体5が変形し易くなっているため、中間補強部30及び該中間補強部30内方の柱体5を塑性変形させることで地震エネルギーを吸収することができる。さらに、分断された柱体補強線材7の数量及び分断されていない柱体補強線材7の数量を調整することで、柱体5の変形量を調整することができる。
また、包囲板材36が上下方向に例えば2,3分割等複数に分割されて形成されていてもよい。
この場合においては、大規模地震時に包囲板材36の分割部分において柱体5がより一層変形し易くなるため、中間補強部30及び該中間補強部30内方の柱体5を塑性変形させることで地震エネルギーを確実に吸収することができる。
また、切断工程S03において、改修用補強線材Lに固定部材(不図示)を設け、該固定部材に滑車(不図示)を設けることで、柱体補強線材7を切断してもよい。
この場合は、滑車がプーリーW1として構成されるためコンパクトな装置で、柱体補強線材7の切断が可能となる。
また、一対のプーリーW1を上下方向に離間して配置し、上方のプーリーW1の外縁から柱体5の外周部5Xの対角側に切断部W2を延出して、該切断部W2を柱体5の外周部5Xに沿って設けて、下方のプーリーW1の対角側の外縁に向かって戻すように平面視8の字状に切断部W2を設けてもよい。
この場合には、柱体補強線材7の全周にわたって切断部W2を設けることができるため、プーリーW1を一箇所に配置したまま柱体補強線材7を切断することができ、作業性を向上させることができる。
上記において、内部に充填部5Dが設けられている柱体5について説明してきたが、充填部5Dが設けられておらず中空状態で形成された柱体の固定構造1についても適用可能である。また、中空状態で形成された既存の柱体5の改修方法として、柱体5の内部に無収縮モルタルを充填して充填部5Dを形成することとしてもよい。
1 柱体の固定構造
2 高架橋
3 橋脚
4 基礎部
4A 固定用穴部
5 柱体
5D 充填部
5E 構造部
5X 外周部
6 側壁
7 柱体補強線材
8 環状部
20 下側補強部
30 中間補強部
40 上側補強部
26 下側補強板材
29 下側固定部
27 下側補強部底枠
36 包囲板材
39 中間固定部
46 上側補強板材
49 上側固定部
47 上側補強部底枠
20A 下側補強板第一部材
27A 下側底枠本体部
20B 下側補強板第二部材
27B 下側底枠添接部
30A 包囲板第一部材
30B 包囲板第二部材
40A 上側補強板第一部材
40B 上側補強板第二部材
D1 第一分割線
D2 第二分割線
L 改修用補強線材
50A 補強板ユニット
50B 添接部材ユニット
S01 補強板ユニット配設工程
S02 第一充填工程
S03 切断工程
S04 包囲板材配設工程
S05 第二充填工程
F 床板
R 線路

Claims (5)

  1. 上下方向にわたって延びる柱体補強線材を内部に有するとともに、下部が基礎部に埋設された柱体と、前記基礎部とを固定する柱体の固定構造であって、
    前記基礎部の上方に設けられて、前記柱体の外周部の下部を周方向に覆う下側補強部と、
    前記下側補強部の上方に設けられて、前記外周部を周方向に覆う上側補強部と、
    前記柱体の前記下側補強部と前記上側補強部との間における前記外周部を覆う中間補強部と、
    上下方向に延在するとともに、下端部が前記基礎部よりも上方に位置して前記下側補強部に接続され、上端部が前記上側補強部に接続された複数の改修用補強線材とを備え、
    前記柱体補強線材は、前記中間補強部の上下方向位置で上下に分断されていることを特徴とする柱体の固定構造。
  2. 上下方向に延びる前記上側補強部及び前記下側補強部の中心軸が、上下方向に延びる前記柱体の中心軸よりも水平方向第一方向に偏心していることを特徴とする請求項1に記載の柱体の固定構造。
  3. 前記複数の改修用補強線材のうち、前記柱体よりも前記水平方向第一方向側に位置する前記改修用補強線材が、前記上側補強部及び前記下側補強部の外周側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の柱体の固定構造。
  4. 前記上側補強部は、上下方向に延びる筒状の上側補強板材と、前記上側補強板材と前記外周部との間の領域を閉塞するように前記上下方向と直交する水平面上に設けられた上側補強部底枠とを有し、
    前記下側補強部は、上下方向に延びる筒状の下側補強板材と、前記下側補強板材と前記外周部との間の領域を閉塞するように前記水平面上に設けられた下側補強部底枠とを有し、
    前記中間補強部は、上下方向に延びる筒状の包囲板材を有し、
    前記上側補強板材、前記包囲板材及び前記下側補強板材は、前記柱体の周方向において2つに分割されて、前記上側補強板材は上側補強板第一部材と上側補強板第二部材から構成され、前記包囲板材は包囲板第一部材と包囲板第二部材から構成され、前記下側補強板材は下側補強板第一部材と下側補強板第二部材から構成されることを特徴とする請求項3に記載の柱体の固定構造。
  5. 上下方向にわたって柱体補強線材を内部に有するとともに、下部が基礎部に埋設された柱体と、前記基礎部とを固定する柱体の固定構造を改修する柱体の改修方法であって、
    前記柱体の外周部に、改修用補強線材によって互いに接続された上側補強部と下側補強部とを有する補強板ユニットを設置する補強板ユニット配設工程と、
    前記外周部と下側補強板材との間、及び前記外周部と上側補強板材との間に充填材を充填する第1充填工程と、
    前記基礎部の上方かつ前記上側補強板材の下方に位置する前記柱体補強線材を切断する切断工程と、
    前記基礎部の上方かつ前記上側補強板材の下方に位置する部分に包囲板材を設置する包囲板材配設工程と、
    前記外周部と前記包囲板材との間に充填材を充填する第2充填工程と、
    を備えることを特徴とする柱体の改修方法。
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