JP6201258B2 - 柱体の固定構造及び柱体の改修方法 - Google Patents
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特許文献1に示される電柱の耐震補強構造は、電柱の外径より大きな内径を有する筒体で電柱の外周を包囲し、上記筒体と電柱との隙間に、補強用の充填材を注入し硬化させるものである。該筒体は、その周方向について少なくとも2つの筒構成部材に分割して形成される。さらに、該筒体を構成する部材同士は、ボルト等の締付部材にて固定されて1つの筒体を形成する。
特許文献2に示されるコンクリート製電柱では、強度が劣化した鉄筋コンクリート柱の表面に、強化繊維シートが強化繊維の配列方向が柱の軸方向及び周方向となるようにして少なくとも1層ずつ巻き付けられる。さらに、その最外層上に絶縁性繊維の強化繊維シートを巻き付けるとともに、該シートの巻き付け前又は巻き付け後に強化繊維に含浸したマトリックス樹脂を硬化させて、繊維強化プラスチックとする補強構造が示されている。
本発明の一態様に係る柱体の固定構造は、上下方向にわたって延びる柱体補強線材を内部に有するとともに、下部が基礎部に埋設された柱体と、前記基礎部とを固定する柱体の固定構造であって、前記基礎部の上方に設けられて、前記柱体の外周部の下部を周方向に覆う下側補強部と、前記下側補強部の上方に設けられて、前記外周部を周方向に覆う上側補強部と、前記柱体の前記下側補強部と前記上側補強部との間における前記外周部を覆う中間補強部と、上下方向に延在するとともに、下端部が前記基礎部よりも上方に位置して前記下側補強部に接続されるとともに上端部が前記上側補強部に接続された複数の改修用補強線材とを備え、前記柱体補強線材は、前記中間補強部の上下方向位置で上下に分断されていることを特徴とする。
さらに、既存の基礎部に対して改修用補強線材を埋設するための工程を省略することができ、より容易に柱体の改修を行うことができる。
なお、以下の説明においては、柱体5は地表面に対して垂直な方向に設置されるものとする。柱体5の延在する方向を上下方向と定義し、該上下方向と直交する面を水平面と定義する。
図1に示すように、高架橋2は、地面から上方に延びるように立設された橋脚3と、該橋脚3の上方に設けられ、水平方向に延在する基礎部4(主桁)と、該基礎部4上に立設された柱体5(電化柱)と、該柱体5の近傍に設けられ基礎部4の延在方向に向かって延在する側壁6とを有している。また、基礎部4の上方には床板Fが設けられ、該床板Fの上方に列車(不図示)走行用の線路Rが設けられている。
図2及び図3に示すように、基礎部4は、例えば鉄筋コンリートで形成されており(不図示)、該基礎部4には下方に向かって凹む固定用穴部4Aが穿設されている。
柱体5は、その下部が基礎部4に穿設された固定用穴部4Aに埋設されるとともに、上下方向に向かって延在する円柱形状の部材である。この柱体5は、断面視中心部に第一充填材が充填された充填部5Dと、該充填部5Dの外周に設けられた構造部5Eとを有している。
構造部5Eは、周方向に離間して配置されるとともに上下方向に向かって延在する例えばPC鋼材で構成される柱体補強線材7と、該柱体補強線材7を埋設する環状の環状部8とを有している。
以下、柱体の固定構造1について詳細に説明する。
さらに、柱体の固定構造1では、柱体補強線材7が中間補強部30の上下方向位置で上下に分断されて構成されている。
下側補強部20は、柱体5の外周部5Xを覆うように設けられた筒状の下側補強板材26と、柱体5と下側補強板材26の間を充填する下側固定部29とを有している。
中間補強部30は、柱体5の外周部5Xを覆うように設けられた筒状の包囲板材36と、これらの間を充填する中間固定部39とを有している。
中間固定部39は、柱体5の外周部5Xと包囲板材36の内周部との間に、無収縮モルタルやコンクリート等の第二充填材を充填して構成されている。
上側補強部40は、下側補強部20の上方に離間して設けられ、柱体5の外周部5Xを覆うように設けられた筒状の上側補強板材46と、これらの間を充填する上側固定部49とを有している。
包囲板第一部材30Aの周方向の寸法は、上側補強板第一部材40A又は下側補強板第一部材20Aの周方向の寸法と同一である。また、包囲板第二部材30Bの周方向の寸法は、上側補強板第二部材40B又は下側補強板第二部材20Bの周方向の寸法と同一である。
以下では、改修用補強線材Lの詳細な配置について、図4(a)を参照して説明する。図4(a)において、+R方向は線路Rが位置する側を示し、−R方向は例えば側壁6等の障害物が設置されている側を示す。図4(a)に示すように、下側補強板材26及び上側補強板材46に設けられる改修用補強線材Lのうち、+R側に位置する改修用補強線材Lは、上側補強板材46及び下側補強板材26の径方向内側の壁面(内周側)に固定される。一方で、−R側に位置する改修用補強線材Lは、上側補強板材46及び下側補強板材26の径方向外側の壁面(外周側)に固定される。
また、上述のように、上側補強板第一部材40Aと下側補強板第一部材20Aとは改修用補強線材Lによって上下方向に一体に接続されて、補強板ユニット50Aを構成する。
同様に、上側補強板第二部材40Bと下側補強板第二部材20Bとは改修用補強線材Lによって上下方向に一体に接続されて、添接部材ユニット50Bを構成する。
なお、改修用補強線材Lは包囲板材36に対しては固定されていない。したがって、包囲板材36は上側補強板材46及び下側補強板材26と同様の形状を有しながら、改修用補強線材Lを有しないで構成されている。また、上述の補強板ユニット50Aと添接部材ユニット50Bと同様に、包囲板材36は包囲板第一部材30Aと包囲板第二部材30Bの2つの部材から構成される。
図5に示すように、柱体5の改修方法は、補強板ユニット配設工程S01と、第一充填工程S02と、切断工程S03、包囲板材配設工程S04と、第二充填工程S05とを備えている。
上述のように、上側補強部40本体と下側補強板部本体は、改修用補強線材Lによって一体に接続されて、補強板ユニット50Aを形成している。補強板配設工程においては、この補強板ユニット50Aを柱体5の外周部5Xに沿って設置する。
次に、補強板ユニット50Aを上方に持ち上げながら、切欠き部Cが線路R側に対向するまで補強板ユニット50Aを時計回りに回転させる(図6(b))。
その後、添接部材ユニット50Bを切欠き部Cに対してはめ込み、ボルト等の係止手段(不図示)によって添接部材ユニット50Bと補強板ユニット50Aを互いに固定する。以上で補強板ユニット配設工程S01が完了する(図6(c))。
すなわち、基礎部4の上方且つ上側補強板材46の下方に位置する柱体補強線材7を位置Pで切断する。
本実施形態では、図7に示すように、ワイヤーソーWを用いて、第一位置P1に一対のプーリーW1を配置する。該第一位置P1から柱体5の外周部5Xを囲むように円弧状の切断部W2を設けて、該柱体5の外周部5Xから内方に向かって切断する。そして、柱体補強線材7を切断すると、第二位置P2にプーリーW1を移動させる。このとき、第一位置P1近傍の柱体補強線材7(図7に示すR部分)は切断されていない。
このとき、残っていた柱体補強線材7(図7に示すR部分)を切断することができる。以上により、図2に示すように、柱体5の外周部5Xに切断部が形成される。
包囲板材配設工程S04においては、基礎部4の上方且つ上側補強部40の下方であって、上記の示す切断された柱体補強線材7を囲う部分における改修用補強線材Lの外周を覆う包囲板材36を設置する。包囲板材36の配設の詳細は、図7に示した方法と同様である。すなわち、包囲板第一部材30Aを柱体5の外周部5Xに沿って設置した後、包囲板第二部材30Bをはめ込む。
以上で、柱体5の改修が完了する。
図8に示すように、上側補強部40の内方における柱体5の耐力は、その上方の部分よりも大きくなっている。また、中間補強部30の内方における柱体5の耐力は、上部から位置Pに向かうにしたがって減少し、該位置Pから下部に向かうにしたがって増加している。また、下側補強部20の内方における柱体5の耐力は、上側補強部40の上方の部分よりも大きくなっている。
さらに、改修用補強線材Lの下側の端部は基礎部4に埋設されていない。したがって、たとえ柱体の倒壊が生じても、改修用補強線材Lが基礎部4に損傷を与えることを防止することができる。
また、柱体5の近傍に側壁6が設けられている場合でも、該側壁6とは異なる箇所にプーリーW1を配置することで、柱体補強線材7を切断することが可能となる。
この場合においても、大規模地震時に柱体5が変形し易くなっているため、中間補強部30及び該中間補強部30内方の柱体5を塑性変形させることで地震エネルギーを吸収することができる。さらに、分断された柱体補強線材7の数量及び分断されていない柱体補強線材7の数量を調整することで、柱体5の変形量を調整することができる。
この場合においては、大規模地震時に包囲板材36の分割部分において柱体5がより一層変形し易くなるため、中間補強部30及び該中間補強部30内方の柱体5を塑性変形させることで地震エネルギーを確実に吸収することができる。
この場合は、滑車がプーリーW1として構成されるためコンパクトな装置で、柱体補強線材7の切断が可能となる。
この場合には、柱体補強線材7の全周にわたって切断部W2を設けることができるため、プーリーW1を一箇所に配置したまま柱体補強線材7を切断することができ、作業性を向上させることができる。
2 高架橋
3 橋脚
4 基礎部
4A 固定用穴部
5 柱体
5D 充填部
5E 構造部
5X 外周部
6 側壁
7 柱体補強線材
8 環状部
20 下側補強部
30 中間補強部
40 上側補強部
26 下側補強板材
29 下側固定部
27 下側補強部底枠
36 包囲板材
39 中間固定部
46 上側補強板材
49 上側固定部
47 上側補強部底枠
20A 下側補強板第一部材
27A 下側底枠本体部
20B 下側補強板第二部材
27B 下側底枠添接部
30A 包囲板第一部材
30B 包囲板第二部材
40A 上側補強板第一部材
40B 上側補強板第二部材
D1 第一分割線
D2 第二分割線
L 改修用補強線材
50A 補強板ユニット
50B 添接部材ユニット
S01 補強板ユニット配設工程
S02 第一充填工程
S03 切断工程
S04 包囲板材配設工程
S05 第二充填工程
F 床板
R 線路
Claims (5)
- 上下方向にわたって延びる柱体補強線材を内部に有するとともに、下部が基礎部に埋設された柱体と、前記基礎部とを固定する柱体の固定構造であって、
前記基礎部の上方に設けられて、前記柱体の外周部の下部を周方向に覆う下側補強部と、
前記下側補強部の上方に設けられて、前記外周部を周方向に覆う上側補強部と、
前記柱体の前記下側補強部と前記上側補強部との間における前記外周部を覆う中間補強部と、
上下方向に延在するとともに、下端部が前記基礎部よりも上方に位置して前記下側補強部に接続され、上端部が前記上側補強部に接続された複数の改修用補強線材とを備え、
前記柱体補強線材は、前記中間補強部の上下方向位置で上下に分断されていることを特徴とする柱体の固定構造。 - 上下方向に延びる前記上側補強部及び前記下側補強部の中心軸が、上下方向に延びる前記柱体の中心軸よりも水平方向第一方向に偏心していることを特徴とする請求項1に記載の柱体の固定構造。
- 前記複数の改修用補強線材のうち、前記柱体よりも前記水平方向第一方向側に位置する前記改修用補強線材が、前記上側補強部及び前記下側補強部の外周側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の柱体の固定構造。
- 前記上側補強部は、上下方向に延びる筒状の上側補強板材と、前記上側補強板材と前記外周部との間の領域を閉塞するように前記上下方向と直交する水平面上に設けられた上側補強部底枠とを有し、
前記下側補強部は、上下方向に延びる筒状の下側補強板材と、前記下側補強板材と前記外周部との間の領域を閉塞するように前記水平面上に設けられた下側補強部底枠とを有し、
前記中間補強部は、上下方向に延びる筒状の包囲板材を有し、
前記上側補強板材、前記包囲板材及び前記下側補強板材は、前記柱体の周方向において2つに分割されて、前記上側補強板材は上側補強板第一部材と上側補強板第二部材から構成され、前記包囲板材は包囲板第一部材と包囲板第二部材から構成され、前記下側補強板材は下側補強板第一部材と下側補強板第二部材から構成されることを特徴とする請求項3に記載の柱体の固定構造。 - 上下方向にわたって柱体補強線材を内部に有するとともに、下部が基礎部に埋設された柱体と、前記基礎部とを固定する柱体の固定構造を改修する柱体の改修方法であって、
前記柱体の外周部に、改修用補強線材によって互いに接続された上側補強部と下側補強部とを有する補強板ユニットを設置する補強板ユニット配設工程と、
前記外周部と下側補強板材との間、及び前記外周部と上側補強板材との間に充填材を充填する第1充填工程と、
前記基礎部の上方かつ前記上側補強板材の下方に位置する前記柱体補強線材を切断する切断工程と、
前記基礎部の上方かつ前記上側補強板材の下方に位置する部分に包囲板材を設置する包囲板材配設工程と、
前記外周部と前記包囲板材との間に充填材を充填する第2充填工程と、
を備えることを特徴とする柱体の改修方法。
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