JP6198196B2 - 緩み止めワッシャ - Google Patents

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Description

本発明は、緩み止めワッシャに関するものであり、特にはボルト、ナット締結時に、締め付けによって相手部材との間で圧縮、挟持され、これによって自身の弾性反発力を発揮することで該ボルト、ナットの緩みを防止するために使用される緩み止めワッシャに関する。
ボルト、ナット(以下、これらをまとめて「締結材」という。)を締結する際に、振動や温度変化等に起因する締結後の緩みを阻止するために使用される部材として、一般にスプリングワッシャが知られている。同じスプリングワッシャにも各種形式のものが知られており、中でも広く使用されているものは、スプリング材を使用した平坦な環状部材の一箇所が分断され、その分断部位の位相を軸方向に相互にずらせて形成したものである。締結材締結の際の圧縮力によってこの位相のずれを平坦に戻そうとする際に発生する弾性力を利用して締結材と相手部材との間の摩擦力を高め、緩みを防止する構造となっている(例えば、特許文献1参照。)。これと同じ思想ながら、環状部材を分断する代わりに一部(複数個所)に切欠き部を設け、これを軸方向に引き起こしておいて締結時の圧縮力でこれを押し戻し、同様に緩みを防止する構造のものも知られている(例えば、特許文献2参照。)
他の構造として、環状の平坦部材からなり、環状部に分断や切欠きを設けることなく、環状部全周にわたって軸方向にサインカーブ様に偏倚する波状となるよう形成し、あるいは平面にギザギザ様の突起部を半径方向に多数設け、この波状部あるいは突起部を締結時に圧縮することによって同様の効果を得るウェーブワッシャが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。スプリングワッシャにはこの他にもこれらの変形を含めた各種構造が知られており、例えば特定の用途に特化させた特殊形状のものも見られる(例えば、特許文献5参照。)。
特開平9−242736号公報 特開平10−331832号公報 特開平6−300028号公報 特開平10−73120号公報 特開2011−252573号公報
上述した従来知られた緩み止めワッシャには、それぞれ改善すべき点が見られた。例えば特許文献1、2、4に示すような形式のスプリングワッシャでは、切断部、切欠き部、突起部などのエッジが突出しているため、締結時にこれらが締結材や相手側部材の表面に食い込む傾向があり、一旦締結した後に締結材を緩めると該エッジが締結部や相手側部材の表面を削ぎ取ることがあり、このために再締結が困難な事態が生じ得た。特に相手側部材(締結材であってもよい)がアルミニウムなどの軟質材の場合にはこれが顕著となり得た。これを防ぐために平坦なワッシャが併用されることがあるが、このために余分な部材の追加となり、またワッシャが配置されない側の部材にはいずれにせよ同様な現象が残った。
特許文献3に示すウェーブワッシャでは、締結によって平坦に延ばされる環状部の変形量が半径方向内側と外側とで相違するため応力が偏在し、これによる材料破壊などを回避するためには板厚を薄くする必要があり、このため十分な緩み止め効果を得るには限界があった。また特許文献4に示す多数の突起部を有するものでは、突起部を形成するための機械加工の手間を余分に必要とされる欠点があった。さらに特許文献5に示すような特殊形状の緩み止め部材では汎用性に欠けるため、特定の目的に対しては機能し得ても、広い用途での緩み止め効果は期待できないものであった。また、従来に見られる緩み止め部材に共通する問題点として、少し緩みが出ると急激に緩みが進行する傾向にあることも挙げられる。
以上より、本発明では上述した従来技術における問題点を解消し、簡単な構造で十分な緩み止め効果を発揮し、十分な締結力が維持され、汎用性があり、締結材、相手側部材を傷つけることなく繰り返しの使用も可能とする緩み止めワッシャを提供することを目的としている。
本発明は、平坦な環状部材の中心を対称軸として環状部に一定幅、一定高さでアーチ状に軸方向に膨出するブリッジ部を形成し、かつ、該ブリッジ部の頂部で前記軸方向とは逆の方向に凹入する溝部を形成し、この両者の弾性変形による反発力を利用することで上記課題を解消するもので、具体的には以下の内容を含む。
すなわち、本発明に係る一つの態様は、締結材と被締結材との間に介在し、締結後の締結材の緩みを防止するための緩み止めワッシャであって、締結用の部材が貫通する内径部と、外縁に外径部もしくは非円形の外周部とを備えた板状ばね材からなり、平坦部と、前記平坦部から前記内径部の中心軸を対象軸として前記内径部の直径よりも狭い一定幅で前記中心軸の一方の方向に円弧状に膨出して該中心軸に直交する方向に一定幅で延びる複数のブリッジ部と、前記各ブリッジ部の頂部に沿って、該ブリッジ部よりも狭い一定幅で該ブリッジ部とは逆となる前記中心軸の他方の方向に円弧状に凹入して一定幅で延びる一定深さの溝部と、前記複数のブリッジ部の中間にある前記平坦部から前記一方の方向に突出するストッパと、を備えることを特徴とする緩み止めワッシャに関する。
前記ブリッジ部の一定幅をW、前記溝部の一定幅をwとしたとき、両者の比率であるW/wを3.3から6.0の範囲とすることができる。また、前記平坦部の表面の内、ブリッジ部が膨出する側の面を表面、他方の側の面を裏面としたとき、緩み止めワッシャが無負荷の状態で平坦部の裏面からブリッジ部の表面側までの高さHと、平坦部の裏面から溝部の裏面側までの高さhと、平坦部の裏面からストッパの表面側までの高さhsとの間を、hs=H−hを満たす関係とすることができる。
本発明にかかる緩み止めワッシャの好ましい形態として、全体形状を内径部および外径部を有する環状の板材とし、また前記ブリッジ部を、前記内径部の中心軸に対して対称となる位置に配置された一対のブリッジ部とすることができる。
本発明の実施の形態に係る緩み止めワッシャの全体像を示す斜視図である。 図1に示す緩み止めワッシャの構造、諸元を示す側面断面図である。 図2に示す緩み止めワッシャのボルト締結時の状態を示す側面断面図である。 従来技術によるスプリングワッシャの締結時のたわみ量を示す説明図である。 図1に示す緩み止めワッシャの諸元設定の例を示す参考図である。 図1に示す緩み止めワッシャに準じたテストピースを使用して荷重とたわみ量との関係を測定した実験結果を示すグラフである。
本発明の第1の実施の形態に係る緩み止めワッシャについて、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る緩み止めワッシャ1を示している。図1において、本実施の形態に係る緩み止めワッシャ1は、破線で補足する部分に示すように実質的に平坦な板状環状部材を基礎にするものであり、より具体的には、内径部11と、外径部12と、その両者の間を占める環状部とを備えた板状ばね材である。本緩み止めワッシャ1の特徴は、緩み止めワッシャ1の中心軸をCとすれば、環状部から、中心軸Cが延びる方向の一方に向かって膨出する一対のブリッジ部14と、ブリッジ部14の頂部で中心軸Cの逆の方向に向かって凹入する溝部16と、そして一対のブリッジ部14の中間位置となる環状部において、ブリッジ部14の中心線に対して90°ずれて中心軸Cを通る直線上でブリッジ部14と同じ方向に突出する一対のストッパ17が形成されていることである。本明細書では、環状部の内、膨出、凹入、突出のない緩み止めワッシャ1の平坦な部分を平坦部13と呼ぶ。さらに、平坦部13を形成する板状部材の両面において、ブリッジ部14が突出する側の面を表面13a、その反対側の面を裏面13bと呼ぶ。
ブリッジ部14は、緩み止めワッシャ1の中心軸Cと直交する方向に一定幅、一定高さで平坦部13から環状部の全幅に亘って延び、その幅の中心は中心軸Cと交差するよう形成されている。中心軸Cから見たブリッジ部14の形状は、いわゆるカテナリ曲線(懸垂曲線)として知られるアーチ状に湾曲した円弧形状であることが好ましい。次に溝部16は、同じく中心軸Cと直交する方向にブリッジ部14のアーチ状の頂部に一定幅、一定深さで環状部の全幅に亘って延び、その幅の中心はブリッジ部14の幅の中心と一致し、すなわち中心軸Cと交差するよう形成されている。本実施の形態では、一対のブリッジ部14が中心軸Cに対して対称位置に形成されているため、溝部16も同様に一対が中心軸Cに対して対称位置に配置されるものとなる。中心軸Cから見た溝部16は、ブリッジ部14とは逆方向にアーチ状に湾曲した円弧形状であることが好ましい。そしてストッパ17は、平坦部13の円周方向で一対のブリッジ部14の略中間点となる位置に、表面13aから半球乳頭状に突出するように一対が形成されている。
図2(a)は、図1のA−A線で見た平坦部13、ブリッジ部14、溝部16、ストッパ17の各断面と、これらの各主要諸元を示している。図2(a)において、ブリッジ部14は、平坦部13の裏面13bからブリッジ部14の表面側までの高さがH、幅(有効幅)がWである。ここでWは、内径部11の直径dに対してW≦dの関係にある。次に溝部16は、平坦部13の裏面13bから溝部16の裏面側までの高さがh、幅(有効幅)がwとなるよう形成されている。この高さHおよびhは、特記ない限り無負荷の状態での高さを示し、追って説明する締結材の締結時においはブリッジ部14の弾性変形によって高さhは0となる。
溝部16の幅wは、ブリッジ部14の幅Wとの関係で締結時の弾性変形による反力が最大化するような幅に調整される。一例として本実施の形態では、ブリッジ部14の幅Wに対してw=1/5Wの関係となる幅wに形成されている。この両者の関係については、追って詳述する。そしてストッパ17は、平坦部13の裏面13bからストッパ17の表面側までの高さhsが、後述するように締結材による締結時にブリッジ部14の弾性変形によって溝部16の高さhが0になることを許容する高さに形成される。この時の関係式はhs=H−hとなる。また、平坦部13の半径方向におけるストッパ17の配置幅dsは、好ましくは環状部13の内径11と外形12の中間点もしくはその近傍となるよう配置される。
図2(b)は、ストッパ17の代替例を示している。この内の(イ)は、上述した半球乳頭状の形状が平坦部13から突出したもの、(ロ)は平坦部13からヘミング等により円筒状に立ち上げたものを示しており、いずれも板金加工により形成が可能である。この他にも、平坦部13からの高さhs(図2(a)参照)を限定するものであれば、従来技術で知られた他の形態のストッパであってもよい。また、図1、図2(a)に示すストッパは、一対のブリッジ部14の丁度中間位置、すなわちブリッジ部14の中心線より90°ずれて中心軸C(図1参照)を通る直線上で平坦部13から突出するよう描かれているが、一対のブリッジ部14の中間に2つ、もしくはそれ以上の数のストッパ17が均等間隔で配置されていてもよい。
図3は、以上のように構成された緩み止めワッシャ1を使用し、締結材により最大限に締め付けられた状態を示している。ここでは、締結材としてボルト30、被締結材として板材40が使用され、本実施の形態に係る緩み止めワッシャ1を介して被締結材40を相手側部材50に締結する例を示している。図2(a)と比較して分かるように、ボルト30の締め付けによって緩み止めワッシャ1が板厚方向に圧縮され、ボルト30の軸方向の締め付け力が緩み止めワッシャ1の弾性変形を惹起し、緩み止めワッシャ1を介在してボルト30が板材40を相手側部材50に締結する。ボルト30を最大限にねじ込んだ図示の状態において、ボルト30のボルトヘッドの裏面がブリッジ部14の頂部に当接したまま溝部16の底が被締結材40の表面に突き当たり、同じくボルト30のボルトヘッドの裏面がストッパ17の頂部に当接してこの両者をボルトヘッドが被締結部材40に向けて押し付けることにより締結が完了する。この際の締め付けトルクは、ボルト径、緩み止めワッシャ1の板厚等の要因によって変化するが、締め付け動作の間で溝部16の底の被締結材40への突き当りと、ストッパ17の頂部のボルトヘッド裏面への当接とによって、締め付け量と締め付け力(締め付けに対する抗力)とが非線形に増大するため、マニュアルによる締め付けにおいてもインパクトレンチを使用する締め付けにおいても締結動作の完了を容易に感知することができる。
なお、図3では締結材としてボルト30を示しているが、締結材はナットであってもよい。ただし、この場合には相手側部材50からスタッドボルト等が延び、これにナットが締結されるものとなる。この際に緩み止めワッシャ1の内径部11を貫通するのは締結材ではなくスタッドボルト等となることから、本明細書では内径部11が貫通する部材をまとめて「締結用の部材」と呼ぶものとするが、便宜的にこれを締結材とも呼ぶ。締結材がボルト30である場合には、ボルト30が締結用の部材となる。
次に、以上のように構成され、動作する緩み止めワッシャ1の緩み止め効果を、従来技術におけるスプリングワッシャと対比してみる。まず、従来技術における例として、図4(a)には、例えば特許文献1に示すような一般的な形式のスプリングワッシャ2による締め付けを示している。図示の例では、スプリングワッシャ2は、有効径10mmのボルト用のもので、板厚tが2.5mm、内径が10mm、外径が21.5mmの環状に形成され、その一部が分断されて板厚方向にオフセットされた状態での板厚方向の高さfは5mmである。図示しないボルト等の締結材を相手側部材に締め付けることによってスプリングワッシャ2は図4(a)の下側の図に示すように板厚tに等しい2.5mmまで圧縮されて弾性反発力を発揮する。これに対して締結材の側では、図4(b)に示すように外周に切られたねじの勾配をθとすると、締結材一回転の間における軸方向の移動量Fはtanθ×πdで表される。ねじの勾配θを一般的な3°とすると、d=10であるから上記移動量Hは約1.6mmとなる。すなわち、高さ5mmのスプリングワッシャ2をその板厚2.5mmまで圧縮するにはボルトの約1.5回転(2.5/1.6)を要するものとなる。
一般に「ばね性」という場合、作用する力とそれによって変位する量とがリニアな比例関係となる、いわゆる「フックの法則」に従う範囲を言う。上記ボルトの1.5回転においても、ボルトの締め付け力とそれによるスプリングワッシャの軸方向圧縮量は基本的に比例関係にある(ボルトのねじ込みによる抗力増大などの要因を除く。)。一般にスプリングワッシャは、締め付けは容易であるが締結後に一旦僅かでも緩みがあると締め付け力が持続せず、急激に緩んでしまう傾向にあると言われる。このため、かかる比例関係にある締め付け力と変位量との関係を必ずしもリニアではなく、これを締め付けるに伴って非線形に増大するような変化を持たせることによってかかる従来のスプリングワッシャの弱点を克服できることが想定される。本発明では、ワッシャの環状部にカテナリ曲線、もしくはこれに準じた曲線に従う円弧状変形領域を二重に設けることによってこれを具体化することを骨子とするものである。
緩み止めワッシャ1の構造に関しては図1、2を参照して説明しているが、ここではこのような構造を有する部材のばね力について説明する。本実施の形態に示すような構造に関する解析結果は従来の文献には見られないため、本願発明者らはサンプル品を用いてその解析を行った。図5(a)を参照して、緩み止めワッシャ1に荷重Pが負荷されると、緩み止めワッシャ1は軸方向に圧縮されて変形する。その際、ブリッジ部14が高さ方向(図の上下方向)に圧縮されて弾性変形するのに伴い、これと一体に形成された溝部16も同時に変形してこの両者による弾性反発力が生ずるものとなる。図5(a)はこれを模式的に示すもので、ワッシャに荷重Pが負荷されると、まずブリッジ部14の湾曲が図の破線で示す円弧状状態から実線で示すようにフラットに近付くように弾性変形する。同時に、溝部16の幅方向両側に位置するブリッジ部14がアームとなって溝部16の湾曲部をその形状に応じて閉じる方向もしくは開く方向に力が作用するものと考えられる。なおこの際、平坦部13はブリッジ部14と溝部13の弾性変形に応じて両側に離れる方向に僅かに移動するものと考えられ、さらにストッパ17(図1、図2参照)による抑えが効かない間は、平坦部13がブリッジ14の沈み込みに応じて図の一点鎖線13aで示すよう起き上がるものと考えられる。ここで図示のように、ブリッジ部14のアーム長さをa(円弧長≒直線長さとする)、溝部16の湾曲部を円弧状と想定してその半径をbとする。
図5(b)は、緩み止めワッシャ1のばね定数kをk=KEI/a(E:縦弾性係数、I:緩み止めワッシャ1の断面二次モーメント)と表したときの「K」の値と「a/b」とがどのような関係になるかを実験で求めたグラフである(出典:日本規格協会編「ばねのおはなし」)。ここでKとは、ばねの使用状態によって異なる変数である。グラフ中の「U字」状の図で示すように、ここではU字状のバネの両側辺の長さをaとして、その両側辺の上端を開く方向でテストしているが、この結果はU字状の両上端を圧縮する場合にも適用可能である。この形状は、U字状の両側辺を本発明のブリッジ14、U字状の底辺部分を本発明の溝部16と捉え、ブリッジ14を介して半径bの溝部16と共にU字状のばねを変形させることになぞらえることができる。今、K=1.0とすると、グラフからa/bは約3.3、またK=1.18とするとa/bは約6と読める。これによれば、例としてa/bの比率を6とすれば、b=0.8mmでa=4.8mm(ブリッジ部14の幅W≒9.6mm)、同比率を5とすればb=1.0mmでa=5.0mm(同、10.0mm)となる。すなわち、a/bの幅は3.3から6.0の範囲を1つの目安とすることができ、この値はブリッジ部14と溝部16の設計時の一応の参考諸元となる。ばね定数kを大きくするにはKの値を大きく、すなわちa/bを大きくすればよいのだが、実際にはブリッジ部14の幅W(約2aに相当)の限られた寸法内で溝部16の幅w(約2bに相当)を極端に小さくするには加工上の限界がある。本実施の形態では、上述したようにブリッジ部14の幅Wと溝部16の幅wとの関係をw=1/5Wとなるようにしているが、これは、ここでいうa/bが5であることに実質的に対応している。
図6は、外径D=20mm、内径d=10mm、板厚t=0.2mm、ブリッジ部14の高さH=4.7mm、ブリッジ部14の平均アーム長a=5.0mm、溝部の半径b=1.5mm(a/b=3.3)、溝部16の高さh=2.0mm(いずれも図2(a)参照)とした実物大のテストピースを用いて、荷重(縦軸(ニュートン))と軸方向のたわみ量(横軸(mm))との関係を繰り返し測定した試験結果である(試験:東京都江東区、都立産業技術研究センター)。ただし、この時のテストピースは、ブリッジ部14が一定幅ではなく、軸芯Cを中心に放射状に広がる形状のブリッジ部とし、溝部16は一定幅としている。また、ストッパ17は設けていないもので、図1、2に示すものと形状は類似はするものの全く同一のものではない。
このテスト結果によれば、当該テストピースでは、従来技術のスプリングワッシャにあるような荷重とたわみ量がリニアに推移していないことが明らかであり、さらにはたわみ量が大きくなるに伴って荷重が2段階に亘って顕著な屈曲点を示して増大していることが分かる。具体的に、たわみ量が約1.6mm、荷重約12Nと、たわみ量約2.2mmで荷重約50Nの2つの位置でグラフに変化が生じ、最終的にたわみ量2.5mmに至っている。このたわみ量2.5mmは、図3で示した従来技術による10mm径の締結材に対応したスプリングワッシャのたわみ量と同じであり、すなわち締結材の約1.5回転に相当するたわみ量である。このような荷重−たわみ曲線から、当該テストピースを緩み止めワッシャとして使用した場合に、特には締結時のたわみ量が大きくなるにしたがって荷重が屈曲点を設けて増大することを意味し、この時の荷重はすなわち締結力と考えられることから、締結後により大きな緩み止め効果が維持できることを意味している。
以上の動作を要約して想定してみるに、本実施の形態に係る緩み止めワッシャ1は、締結材30の回転により生じた締め付け力を受けた円弧状のブリッジ部14が沈み始め、溝部16も含めた弾性変形の増大に伴い、当初は一定の割合でリニアに増加する抗力を示す。その間、荷重Pがブリッジ部14の中央に掛かるためにブリッジ部14につながる平坦部13が起き上がるが(図5(a)の一点鎖線13a参照)、いずれかの段階でストッパ17の頂部(ストッパ17がない場合には平坦部13自身)がボルト30のボルトヘッド裏面に当接して平坦部13の起き上がりが阻止され、さらなる締め付けによって平坦部13とブリッジ部14との間の成す角度を開く方向に押し戻される。その結果、締め付けに対する抗力が第1の屈曲点を設けて増大するものと推察される。さらにその後のいずれかの段階で溝部16の底面が被締付材40の表面に接するところまで沈み込み、これによる抗力がさらなる第2の屈曲点を設けて増大し、ピークに至るものと推察される。その状態で緩み止めワッシャ1は弾性復元力を確保しつつ締結状態を保持する緩み止め効果を発揮するものになると想定される。
上記のテストピースでは、図1、2に示すようなブリッジ部14が一定幅で延びる本実施の形態のワッシャ構造とは異なり、上述したようにブリッジ部14の幅が内径部11から外径部12に向けて広がる放射状に形成されている。したがって、上述した図6に示す荷重−たわみ曲線はあくまでも参考データである。上記テストの結果、このような構造では特にブリッジ部14の内径部12の近傍に極端な応力集中が見られ、条件によっては破断する恐れもあることが見出された。このため本願発明者らは、放射状に形成されたブリッジ部14を本実施の形態に示すような一定幅で延びる構造に改めるものとし、三次元キャドを利用した画像解析を行った(解析:東京都文京区 中央大学理工学部)。その際のワッシャの全体形状は環状ではなく、中央に内径部11を設けた矩形状のものとしている。その解析結果、ブリッジ部14から平坦部13への連結箇所に応力集中が見られるものの、ブリッジ部14が放射状に広がるテストピースで見られたような極端な応力集中ではないことから、諸元の適切な選択によって十分にワッシャとしての機能が果たせるものであるとの判断ができた。また、円弧状に膨らむブリッジ部14と、その頂部において凹入する溝部16とを備える基本構造に変わりがないことから、上述したような本実施の形態に係る緩み止めワッシャ1の特性は同様に果たせるものであると判断された。
以上、本発明の実施の形態に係る緩み止めワッシャ1について説明してきたが、上記実施の形態には幾つかの変形が考え得る。まず、全体形状について、上記例では内径部11、外径部12を有する環状部材であったが、この内の外径部12について非円形の外周部とし、例えば矩形、その他の多角形とすることでも良い。この際、外周部に突起、溝、穴等を設け、これを被締結材ほかの他の固定側の部材のエッジ等に絡めてワッシャの動きを拘束すれば、より信頼度の高い緩み止め効果を発揮することができる。なぜなら、締結の緩みは締結材30とワッシャ1との間、及びワッシャ1と被締結材40との間で生じうることから、少なくともワッシャ1と被締結材40との間の相対的動きを封じれば、それだけ緩み防止効果が高まるからである。また、上記例ではブリッジ部14は内径部11の中心軸Cを対称軸として一対が設けられているが、ブリッジ部14の数は他の複数とすることでもよい。例えば基本形が環状のワッシャである場合には、内径部11の中心軸Cを回転対称軸としてその周囲に3つ、もしくはそれ以上の数のブリッジ部14を配置することができる。矩形もしくは多角形のワッシャであれば、外周部の各辺に対して1つもしくはそれ以上の数のブリッジ部14を配置することができる。この場合のストッパ17は、各ブリッジ部14の間の中央位置に1つ、あるいは各ブリッジ14の間に2つもしくはそれ以上を例えば均等間隔に配置させることができる。以上述べたこれらの変形は、いずれも本発明の範疇に含まれるものとする。
その他の要素も含めて本発明にかかる緩み止めワッシャの特徴をまとめれば以下のようになる。
1.締め付けに伴う抗力は途中から非線形となって締め付けるほど抗力がより高い割合で増加し、これが締結材の緩み止め効果を高める。
2.ばね鋼のプレス成形が可能であり、製造は容易である。
3.同じ向きでの製品の積み重ねが可能であり、保管、搬送に場所を取らない。
4.従来のスプリングワッシャと異なって平坦部を自在に設けることができ、別部品となる平ワッシャを必ずしも必要としない。
5.平坦部の形状は自在であり、この観点から設計自由度を高める。
6.適用範囲について特別の制限はなく、汎用性を有する。
7.表面にエッジが立っていないので、締結部材、被締結部材を傷つけることがない。
本発明に係る緩み止めワッシャは、ワッシャの製造、販売を行う技術分野、さらに締結材を使用して締結作業を含む機械組み立て作業を行う産業分野等において広く利用することができる。
1.緩み止めワッシャ、 2.スプリングワッシャ、 11.内径部、 12.外径部、 13.平坦部、 13a.表面、 13b.裏面、 14.ブリッジ部、 16.溝部、 17.ストッパ、 30.ボルト(締結材)、 40.板材(被締結材)、 50.相手側部材。

Claims (4)

  1. 締結材と被締結材との間に介在し、締結後の締結材の緩みを防止するための緩み止めワッシャにおいて、
    締結用の部材が貫通する内径部と、外縁に円形もしくは非円形の外周部とを備えた板状ばね材からなり、
    平坦部と、前記平坦部から前記内径部の中心軸を対象軸として前記内径部の直径よりも狭い一定幅で前記中心軸の一方の方向に円弧状に膨出して該中心軸に直交する方向に一定幅で延びる一定高さの複数のブリッジ部と、
    前記各ブリッジ部の頂部に沿って、該ブリッジ部よりも狭い一定幅で該ブリッジ部とは逆となる前記中心軸の他方の方向に円弧状に凹入して一定幅で延びる一定深さの溝部と、
    前記複数のブリッジ部の各中間にある前記平坦部から前記一方の方向に突出するストッパと、
    を備えることを特徴とする緩み止めワッシャ。
  2. 前記ブリッジ部の一定幅をW、前記溝部の一定幅をwとしたとき、W/wが3.3から6.0の範囲にある、請求項1に記載の緩み止めワッシャ。
  3. 前記平坦部の表面の内、前記ブリッジ部が膨出する側の面を表面、他方の側の面を裏面としたとき、緩み止めワッシャが無負荷の状態で前記平坦部の裏面から前記ブリッジ部の表面側までの高さHと、前記平坦部の裏面から前記溝部の裏面側までの高さhと、前記平坦部の裏面から前記ストッパの表面側までの高さhsとの間に、hs=H−hの関係がある、請求項1に記載の緩み止めワッシャ。
  4. 前記緩み止めワッシャが内径部および円形の外周部を有する環状の板材からなり、前記ブリッジ部が前記内径部の中心軸に対して対称に配置された一対のブリッジ部からなる、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の緩み止めワッシャ。
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