JP6196295B2 - 自己注射器 - Google Patents
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Description
自己注射器は、いくつかの要件については必ず対応して信頼性を確保する必要がある比較的複雑な装置である。装置の頑健性、操作性、およびユーザーにとっての使いやすさもまた重要な要素である。
市場には非常に多くの自己注射器が出回っているが、これらはすべて、何らかの欠点を有する。
したがって、例えば輸送中や保管中に自己注射器が不意に作動するのを防止するため、装置は信頼性の高いロック手段を備えているべきである。同様に、ユーザーが自己注射器を使用しようと、例えばキャップを外してロックを解除したとき、装置が意図せず作動するのは避けるべきであり、ユーザーが本当に望むとき、すなわち、ユーザーが注射したい体の部位に装置を当てたときにのみ作動すべきである。
したがって、自己注射器のロック手段の安全性と使用および駆動の簡便性との間で妥協点を見つけるのは困難である。本発明の目的の一つは、この問題を解決することである。
また、体内における正しい深さ、すなわち、正しい組織に確実に製剤が注入されることも重要である。針が最終的な位置に到達したときに初めて注入が始まるよう、注入開始を制御することもまた重要な要素である。
また、もしユーザーが、注入が完了する前に体から外してしまうなど、自己注射器を不適切に作動させた場合においても、適切に対処できる装置であるべきである。
本発明のもう一つの目的は、使用時における信頼性が高く、流体製品の全量を確実に意図した位置に注入可能で、使用後、いつ体から外すべきか、あるいは、いつ外すことが可能かをユーザーが判断でき、安全で怪我の危険性が少なく、また、製造および組み立てが簡単で、コストの安い自己注射器を提供することである。
また、前記注入手段をブロックする注入ロック手段を備え、前記貯蔵器移動装置は、前記針が前記注入位置に到達したときに、前記注入ロック手段によるブロックを解除して前記注入手段を駆動することとしてもよい。
前記針が前記注入位置に到達した後、前記制御リングが、前記注入ロック手段によるブロックを解除して前記注入手段を駆動し、前記規制摺動部材は、前記制御リングと協働して前記制御リングの回転を再びブロックすることとしてもよい。
前記駆動スリーブは、当該駆動スリーブが駆動後または駆動中に第2の突出位置に戻るように前記規制摺動部材と協働し、前記規制摺動部材は、前記制御リングの回転のブロックを解除する位置に移動し、これにより前記針を退避させることとしてもよい。
実施の形態1は、図1〜図46に、実施の形態2は、図47〜図74(c)に、それぞれ示されている。
ただし、複雑な装置である自己注射器は、いくつかの機能を実行するためのいくつかのモジュールを備える。これらのモジュールは、他のモジュールと組み合わせることなく、それぞれ個別に独立して利用可能であり、特に、図に示されているのとは異なる構成の自己注射器において用いることができることに留意されたい。
実施の形態1では、自己注射器は、参照番号の順に、中央本体部1、制御リング(control ring)2、挿針用ばね3、制御スリーブ4、ピストンロッド5、支持ペレット6、三つのブロック要素7(ここではボール状)、注入用ばね8、規制摺動部材9、下側本体部10、駆動スリーブ11、駆動スリーブ用ばね12、貯蔵器収容部13、キャップ14、上側本体部15、複数の太陽歯車16、複数の遊星歯車17、遅延ばね18、トリガー19、ロックピン20、ワイヤー21、外側シェル22、およびブロックリング23を備えている。
キャップ14は、特に輸送中や保管中に自己注射器をロックする。キャップ14は、下側本体部10に取り付けられると、駆動スリーブ11のあらゆる動作を防止し、それによって自己注射器のあらゆる突発的動作を防止する
貯蔵器Aを当該自己注射器に挿入することができる。この貯蔵器は、流体製品を収容し、ピストンと針とを備える。ピストンは、タンク内で移動して流体製品を針に注入するように構成されている。
好ましくは、シリンジAは、あらかじめ充填されたシリンジである。なお、自己注射器の使用前において針を保護し隔離する、針キャップBを備えていれば有利である。また、針キャップBは、下側本体部10からキャップ14を取り外す際に、自動的に取り外されれば有利である。
図2(a)において、自己注射器は、使用前の静止状態にあり、キャップ14は取り外されている。
自己注射器を使用する際、ユーザーは、例えば外側シェル22を持って装置を手に取り、駆動スリーブ11を押し当てる。駆動スリーブ11は、第1突出位置にあるときには、ユーザーが注射したい部位に対して下側本体部10から突出している。図2(b)は、ユーザーによって駆動スリーブ11に加えられた力が駆動スリーブ11を下側本体部10の内方に向けてスライドさせ、これとともに駆動スリーブ用ばね12が圧縮する様子を示している。
針が完全に挿入され注入位置に到達すると、注入段階が開始する。これは図2(c)および図2(d)に示されている。なお、ピストンロッド5は、注入用ばね8の作用でピストンを押すことにより、シリンジA内でスライドする。これにより流体製品が吐出される。
引き込みが完了すると、駆動スリーブ11は、駆動スリーブ用ばね12の作用で、再び下側本体部10から出て第2突出位置に向けて移動する。このとき駆動スリーブ11はロックされ、ユーザーの安全は完全に確保され、装置の使用後の針による怪我を防止する。なお、駆動スリーブ11の第1および第2突出位置は、この例では異なる位置であるが、同じ位置であってもよい。
駆動スリーブ11は、2方向に可撓性を有する可撓ピン110を備える。まず、径方向における可撓性を有する。すなわち、駆動スリーブ11の内方に向けて変形する。そして、横方向における可撓性を有する。すなわち、駆動スリーブ11の周縁に沿って変形する。このような可撓ピンを備える駆動スリーブ11は成形が容易であり、生産コストの観点で好適である。可撓ピン110は、可撓性を有し、かつヘッド部112を終端とするロッド部111を備えていれば、有利である。可撓ピン110は、駆動スリーブ11が第1の突出位置から駆動位置に向けて移動し、その後、駆動位置から第2の突出位置に戻る際に、一方では径方向に変形し、また、他方では中央本体部1に対して横方向に変形するよう構成されている。
図3(a)、3(b)、および3(c)は、駆動スリーブ11の終端位置の三つの部分概略斜視図である。具体的には、図3(a)は、駆動前の静止状態における第1の突出位置を、図3(b)は、駆動スリーブ11が下側本体部10の内部に最大限挿入された駆動位置を、そして図3(c)は、使用の最終段階において、駆動スリーブ11が下側本体部10に対してロックされた第2の突出位置を示す。
中央本体部1は、略軸方向に延伸する第1の溝101と開口103とを備え、開口103は第1の溝101とは分かれているが、第1の溝101の軸方向の延長線上に位置する。中央本体部1は、第1の溝101と開口103との間に位置する径方向カム102を備える。図6および7に示すように、径方向カム102は、中央本体部1の壁部における、傾斜した、径方向に厚くなっている部分から構成可能で、この厚くなっている部分は、第1の溝101の軸方向終端部に形成されている。
中央本体部1は、開口103に対し軸方向および横方向にずれた最終受付領域105を備える。図に示すように、この最終受付領域105は、第1の溝101と軸方向においておおよそ同じ高さに位置している。開口103は、横方向傾斜溝104によって最終受付領域105に繋がっている。軸方向肩部106が、最終受付領域105と横方向傾斜溝104との間に形成されている。したがって、可撓ピン110のヘッド部112は、駆動スリーブ11が駆動位置から第2の突出位置に戻る際に、横方向傾斜溝104内をスライドし、可撓ピン110を横方向に変形させる。
図4〜図8は、開始位置、すなわち、ユーザーが自己注射器の使用を開始した瞬間を示す。これらの図に示すように、ヘッド部112は、中央本体部1の第1の溝101内に位置する。駆動スリーブ11が下側本体部10の内方に向けてスライドする際、可撓ピン110のヘッド部112は、中央本体部1の溝101の内部をスライドする。ヘッド部112が第1の溝101の軸方向終端部に到達すると、径方向カム102はヘッド部112と協働する。これにより径方向カム102は、可撓ピン110、とりわけそのロッド部111を、その長手方向の中心軸に向けて、径方向内側に変形させる。
この駆動位置において、可撓ピン110は、弾性的に、径方向に変形されていない状態に戻る。図14に示すように、可撓ピン110のヘッド部112は、開口103内に戻る。
上述の駆動スリーブは、特に効果的で信頼性があり、また頑強でシンプルであり、安価に成形できる。
図32〜46は、下側本体部10におけるシリンジを作動させる装置を、より詳細に描いた図である。この作動装置は、挿針、すなわちユーザーの体内への針の挿入、および注入後の針の引き込みを確実にする。
図33〜35は、シリンジが挿針のために移動する前の、開始位置を示す。なお、制御リング2は、挿針用ばね3によって、回転方向に駆動される。このばねは、ねじり方向に作用するばねである。このようなねじりばねにより、痛みのない挿針が可能となる。
図3(b)に示すように、駆動スリーブ11が下側本体部10内の終端位置に到達すると、駆動スリーブ11の肩部118が規制摺動部材9の肩部92と協働して、当該規制摺動部材9を、図36に示す軸方向上方に移動させる。この規制摺動部材9の軸方向の移動により、制御リング2の回転が解放され、負荷のかかった挿針用ばね3の作用で回転可能となる。
制御リング2は、例えばスロープのような第1の内側傾斜面24を備え、これが制御スリーブ4の突起44と協働する。したがって、制御リング2は、回転することによって制御スリーブ4を少しずつ軸方向に移動させる。制御スリーブ4はシリンジを収容するシリンジ収容部13と協働し、制御スリーブ4が動くことにより下側本体部10内のシリンジAが動き、挿針を実行する。
制御スリーブ4が移動し、それにより針がユーザーの体内に挿入される間、規制摺動部材9の突起91もまた、制御リング2の、例えば外側のスロープである外側傾斜面25と接触し、規制摺動部材9は、駆動スリーブ11に対して、軸方向にさらに変形する。これにより、針を刺す間、規制摺動部材9は駆動スリーブ11と同じ方向に動くことになる。その結果、図44に示すように、規制摺動部材9の突起92は、駆動スリーブ11の上側突起119に近接し、規制摺動部材9の突起95は、トリガー19の突起191に近接する。
一方、多くの自己注射器では、その製造上の公差のため、針が最終的な挿入位置に到達する少し前に注入を開始する必要があるが、第1の内側傾斜面24における平坦部241がこの現象を回避する。
規制摺動部材9が図44に示す位置にあるとき、もしユーザーが、注入の途中、あるいは注入後であって遅延の終了前に自己注射器を外すと、駆動スリーブ11のばね12は、駆動スリーブ11を下側本体部10から戻すように作用する。駆動スリーブ11のこの動作によって、規制摺動部材9は、上側突起119と、当該規制摺動部材9の肩部92とが協働することにより、図44に示す軸方向下方に向けて引っ張られる。
図19〜26は、好適な注入ロック手段の概略図である。
図19に示すように、注入ロック手段は、中央本体部1内に配置された制御スリーブ4を備え、制御スリーブ4は、ピストンロッド5および注入用ばね8を包含し、ピストンロッド5は、少なくとも一つのブロック要素7をブロック位置とブロック解除位置との間で移動可能に収容する径方向窪部50を備える。
当該ボール7は、ピストンロッド5によって径方向外方に向けて付勢されており、本実施の形態ではブロックリング23により構成されるブロック手段によって、ブロック位置に保持されている。このブロックリング23は、ブロック要素1007をブロック位置に固定するロック位置と、ブロック要素1007が解放され上記注入ロック手段を解除するロック解除位置との間で、ピストンロッド5に対して軸方向に移動可能である。
図20は、ブロック位置にある注入ロック手段を示す。注入用ばね8は、一方ではピストンロッド5と、他方では支持ペレット6と協働する。支持ペレット6は、ピストンロッド5の周囲に配置されたリングからなる。ピストンロッド5は、好ましくは、傾斜面51を有する径方向窪部50を備える。径方向窪部50はピストンロッド5を縮径することにより形成されている。
図20に示すように、ボール7はピストンロッド5の径方向窪部50内に配置されており、これにより、一方ではピストンロッド5の傾斜面51と、他方では支持ペレット6の上面61と、協働する。
ブロックリング23は、ボール7の径方向外方に位置し、ブロック位置にある当該ボールを径方向にブロックする。特に、図22に示すように、ボール7は制御スリーブ4のハウジング内に収容可能で、ブロックリング23は、各ボール7について一つの突起231を備え、これらがボール7と接触することにより、ボール7が径方向外方に向けて移動するのを防ぐ。
したがって、ブロック位置にあるロック手段に及ぼされるすべての力を支えているのがボール7であり、力F1、力F2、および力F3の影響下で、3点で均衡がとれている。このようなロック手段は極めて安定的で頑強であり、落下テストにも耐えうる。このテストは、キャップ14を外した後に自己注射器を床に落とす行為をシミュレーションするものであり、その目的は、落下の際に注入ロックが作動するのを防ぐことである。
なお、ボール7を、球体ではなく、より複雑な丸みを帯びた要素、例えば、円筒形や豆形の要素と置き換えて、ロックの安定性をさらに改善することも可能である。この場合、これらの非球体可動要素は、金属で形成可能で、例えば鋼線を切断することによって形成可能である。
なお、変形例として、ブロックリング23は、ボール7を開放する位置まで回転して移動するとしてもよい。支持ペレット6は、図21の矢印E3が示すように、制御スリーブ4の内側のへりに当たって止まる。この位置では、もはやピストンロッド5はボール7に固定されず、軸方向、すなわち、図21の左方に向かって移動し、流体製品を注入する。
図23〜26は、図20および21を参照して上述した注入ロック手段のブロック位置およびブロック解除位置をわずかに異なる視点から描いた図である。
図19〜26に示す注入ロック手段は、ブロックリング23に対して比較的弱く制御が容易な力を加えることによって、圧縮ばね、ここでは注入用ばね8がおよぼす強い力を解放する。具体的には、ブロックリング23をブロック解除位置に移動するのに必要な力は、注入用ばね8がおよぼす力の僅か10%、あるいは5%程度である。これは、装置の信頼性の高い動作を保証する、非常に重要な性能である。
注入段階においては、ロックピン20は、トリガー19を介し、上側本体部15の中央路151内に延伸する。遅延ばね18は、ここではらせん状のばねであり、トリガー19を回転方向に付勢する。この回転は、好ましくは長方形のロックピン20によってブロックされている。ロックピン20は、トリガー19と一体的に回転するが、上側本体部15の中央路151によって回転がブロックされるように構成されている。
図27〜31は、好適な遅延装置を示す。
図27は、この遅延装置の分解概略図である。上側本体部15、数個の太陽歯車16と数個の遊星歯車17、遅延ばね18、トリガー19、ロックピン20、ワイヤー21、およびピストンロッド5を備える。ピストンロッド5が注入終了位置に到達して流体製品がすべて注入されたときに、ピストンロッド5が遅延装置を駆動する。
図30に示すように、上側本体部15は、その内側面にギア155を備える。上側本体部15の、この内側ギア155は、太陽歯車16に組み合わされた複数の遊星歯車17と協働する。図28に示す例では、数個の太陽歯車が軸方向に互いに重ねられている。太陽歯車16は、円盤状のプレートを備え、その片側の面上に複数の遊星歯車支持ロッド161が形成されており、それぞれが一つの遊星歯車17を回転可能に支持している。図の例では、各段に三つの遊星歯車17があり、三つの遊星歯車支持ロッド161がある。
段の数、および/または、遊星歯車の数、および/または、太陽歯車の形状、および/または、利用される歯車の寸法によって、当該遅延装置が作動してからトリガー19が所定の回転を行ってシリンジを引き込むまでの遅延時間は、以下に説明するように、かなり正確に調整することができる。また、例えば遊星歯車17と上側本体部15の内側面ギア155との間に、摩擦ブレーキを備えていてもよい。
なお、延伸可能なワイヤーの一端をピストンロッド5に接続し、他端をロックピン20に接続する原理は、図27〜31に示すような遊星歯車列のシステムなしに利用することができる。これについては、実施の形態2を参照して別途後述する。
したがって、図2(a)〜2(f)に示すように、外側シェル22は、いくつかの表示窓を備えてもよく、図の例では三つのウィンドウ221、222、および223が、異なる駆動段階それぞれにおいて、可動要素を表示する。この要素はインジケーターからなり、典型的には、色からなる。
なお、駆動スリーブ11は、規制摺動部材9第1の位置に戻ったときに初めて第2の突出位置に到達する。規制摺動部材9は一つ以上のカラーインジケーター、例えば図1に示すように赤色領域を備える。したがって、規制摺動部材9は、一方では駆動スリーブ11の突出位置(第1の位置)を、他方では挿針および注入段階(第2の位置)を示すのに用いることができる。
したがって、第1のウィンドウ221は、注入の完了を示すウィンドウであってもよく、すなわち、注入が完了してシリンジが後退したときに、所定の色、例えば赤色がウィンドウ221に表示されるとしてもよい。これによりユーザーは、この第1のウィンドウ221が赤色のときに自己注射器を体から安全に取り外すことができると分かる。こうした表示は、例えばトリガー19によって提供される。
第3の表示窓223は、駆動スリーブ11のものであってもよく、駆動スリーブ11が下側本体部10の外の突出位置にあるときに赤色が表示されるとしてもよい。この第3の表示窓223は、駆動前は赤色で、また、使用後に駆動スリーブ11が安全な位置にロックされたときに再び赤色になる。こうした表示は、例えば規制摺動部材9によって提供される。
なお、他の表示あるいは指示手段が利用可能であることは言うまでもない。また、外側シェル22が何個の表示窓を有していてもよく、当該ウィンドウは、いかなる形状や大きさであってもよく、また、図に示された変形例とは異なる位置にあってもよい。一つのウィンドウが複数の機能を有していてもよい。
また、外側シェル22は、注入する流体製品の温度を示す温度計を備えていてもよい。実際、多くの注入用製品は8度で保管され、30分〜60分前に取り出すことが推奨されている場合が多い。注入の際に製品の温度が低すぎると、患者に苦痛をもたらす可能性がある。例えば、外側シェル22は、注入用製品を収容する貯蔵器の温度を示す温度計を備えていてもよい。
図47〜74(c)は、本発明の実施の形態2のいくつかの変形例を示す図である。実施の形態2は、簡略化した自己注射器に関し、部品の数が少ない。したがって、製造および組み立てが、より簡単で、コストが安い。
実施の形態1同様、シリンジAは、あらかじめ充填されたシリンジである。なお、自己注射器の使用前において針を保護し隔離する、針キャップBを備えていれば有利である。また、針キャップBは、下側本体部1010からキャップ1014を取り外す際に、自動的に取り外されれば有利である
なお、実施の形態2は、実施の形態1と類似する構成要素をいくつか有しており、これらの要素については、実施の形態1の参照番号に1000を加えた、類似の参照番号によって示されている。したがって、例えば実施の形態1の駆動スリーブの参照番号11は、実施の形態2では1011となる。その他の要素や機能についても、二つの実施の形態の間で、まったく同じではないとしても類似しているため、実施の形態2の説明では、主に、上述した実施の形態1との差異について説明する。
図48(a)〜48(e)は、図47の自己注射器の使用における複数の段階を示す。
ユーザーが自己注射器を使用する際には、ユーザーは、例えば外側シェル1022を持って装置を手に取り、駆動スリーブ1011を保持する。駆動スリーブ1011は、第1の突出位置では、下側本体部1010から、ユーザーが注射したい部位に対して突出する。
駆動スリーブ1011が駆動位置、すわなち、下側本体部1010内の終端位置に到達すると、それにより、図48(c)および48(d)に示すように、注入段階が開始される。なお、ピストンロッド1005は、注入用ばね1008の作用でピストンを押すことにより、シリンジA内でスライドする。流体製品はこれにより吐出される。
この場合、可撓ピン1110のヘッド部1112は、駆動の開始時に、横方向の変形に耐え、ある種の予圧を発生させる必要がある。それにより、駆動スリーブ1011が下側本体部1010の内部に向けてスライドしたときに、針が確実に所望の位置に挿入される。図51の例では、この抵抗力は、下側本体部1010の肩部1019が発生させる。
図52は、二つの破断可能なブリッジ1500を示しており、これらは、ユーザーが自己注射器を注射位置上で所定の力で押圧したときに破断し、それにより駆動スリーブ1011が下側本体部1010に対してスライドできるようになる。
なお、可撓ピン1110は、ロッド部1111のみにおいて駆動スリーブ1011に固定されていてもよく、この場合、ヘッド部1112は、当該可撓ピンの自由端となる。また、可撓ピン1110を駆動スリーブ1011の両側に固定し、ヘッド部1112を二つの固定位置の間に配置することとしてもよい。これにより、特に可撓ピン1110の堅牢性を高めることができる。この変形例は、実施の形態1の可撓ピンにも適用することができる。
図72〜74(c)は、駆動スリーブの別の変形例を示す図である。この変形例では、参照番号は、上述した参照番号と類似しているが、2000を加えてある。したがって、例えば駆動スリーブの参照番号は2011である。この特定の変形例では、駆動スリーブ2011の機能と下側本体部2010の機能とが逆になっており、下側本体部2010が可撓ピン2110を備え、駆動スリーブ2011が、可撓ピン2110と協働する傾斜面を備えている。しかし、その動作は上述した動作と同様であり、可撓ピン2110が、当該傾斜面、特に、開口2103を最終受付領域2105に連通させる傾斜溝2104において、徐々にスライドする。
図53(a)〜53(b)、54(a)〜54(b)、57(a)〜57(c)、および58(a)〜58(c)は、実施の形態1に記載した注入ロック手段を実施の形態2に適用した例を示す。
また、図53(a)〜53(b)、54(a)〜54(b)、57(a)〜57(c)、および58(a)〜58(c)に示すように、上記注入ロック手段は、外側シェル1022内に配置された制御スリーブ1004を備え、制御スリーブ1004は、ピストンロッド1005と、注入用ばね1008と、支持ペレット1006を有する。
支持ペレット1006は、ピストンロッド1005の周囲に配置されたリングからなる。ピストンロッド1005は、少なくとも一つのブロック要素1007をブロック位置とブロック解除位置との間で移動可能に収容する、少なくとも一つの径方向窪部1050を備える。
第1の変形例では、音および/または感触による通知装置1500は、中央部1501を備え、中央部1501は、可撓性を有し、かつ/または破断可能なリンク1503によって当該中央部1501に接続された少なくとも一つの側部1502を備える。図55〜59(c)の例では、二つの側部1502があり、それぞれが破断可能なリンク1503によって中央部1501に接続されている。
このときから、ワイヤー1021は中央部1501に対して牽引力をおよぼし、制御スリーブ1004の上端の反応の影響を受けつつ、側部1502が移動および/または変形する。
この移動は、注入用ばね1008のもたらす力のもとで生じるため、やや唐突であり、制御スリーブ1004、側部1502、および/または、外側シェル1022の間に、衝撃を発生させる。この衝撃は、ユーザーに音および/または感触として伝わり、よってユーザーは、注入の完了を知る。このような音および/または感触による通知装置1500が駆動した後は、図59(a)および59(b)に概略を示すように、ワイヤー1021は、完全に伸び切らない。
したがって、このスライドの後は、ヘッド部1122が制御スリーブ1004の可塑性ピン1510と協働することはなく、可塑性ピン1510は、径方向内方へ変形可能となる。これにより制御スリーブ1004のロックが解除され、制御スリーブ1004は、注入用ばね1008の力の作用により、外側シェル1022に対して第3の位置に移動する。その結果、音またはその他による、ユーザーが知覚可能な衝撃が発生し、ユーザーは注入の完了を知ることができる。
なお、上述の一つ以上の表示窓1023は、当該シェルの軸方向からも径方向からも視認できるように、外側シェル1022の、針から遠い側の端部の表面上または内部に形成されていれば有利である。これにより、ユーザーが自己注射器を握った際に上述の一つ以上の表示窓1023が隠れてしまうのを防止し、使用段階の初めから最後までずっと、確実に表示窓1023から情報が表示されるようになる。外側シェル1022の針から遠い側の端部の周りに、複数、特に三つの表示窓1023が配置されている場合、使用中の自己注射器の向きに関わらず完全な表示を保証できる。
これにより、これら三つの異なる位置を、適切な表示窓1221で容易に表示することができる。もちろん、実施の形態2の外側シェル1022も、実施の形態1の場合同様、複数の表示窓を備えることができる。
図69〜71は、音および/または感触による通知装置の動作をより詳細に示す。図69において、可塑性ピン1520は、鍵部1120のヘッド部1122によって、径方向内方への変形が防止されている。
本発明は、特に、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病などの、自己免疫疾患の治療や、癌の治療や、肝炎などの抗ウイルス療法による治療や、糖尿病の治療や、貧血の治療や、アナフィラキシーショックなどの危機的状況の治療に用いられる装置に適用される。
Claims (7)
- 自己注射器であって、
貯蔵器を収容する下側本体部(10)を備え、前記貯蔵器は、流体製品を貯蔵し、かつ、ピストンと針を備え、前記自己注射器は、前記下側本体部(10)に固定された中央本体部(1)、および、ユーザーの体と接触するよう設計された接触端を有する駆動スリーブ(11)を備え、前記駆動スリーブ(11)は、突出位置と駆動位置との間で移動可能であり、前記駆動スリーブ(11)は、前記自己注射器の駆動前および駆動後には突出位置にあり、前記針が前記ユーザーの体内に挿入された注入位置にあるときに当該針を介して前記流体製品を注入するための注入手段(5、8)を備え、前記自己注射器は、貯蔵器移動装置(2、4、9)を備え、前記貯蔵器移動装置は、一方では前記針を前記注入位置に向けて移動させ、また他方では、前記流体製品の注入後に前記ユーザーの体内から前記針を引き抜き、前記貯蔵器移動装置は、前記中央本体部(1)内で回転可能に搭載された制御リング(2)を備え、前記制御リング(2)は、前記貯蔵器に固定された制御スリーブ(4)の内側突起(44)と協働する第1の内側傾斜面(24)を有し、前記制御スリーブ(4)は、前記中央本体部(1)の軸方向に移動可能に構成されており、当該制御スリーブ(4)は、前記制御リング(2)の回転により軸方向に移動し、
前記制御リング(2)が、ねじりばねで構成される挿針ばね(3)によって回転方向に駆動され、前記制御リング(2)のこの回転は、前記中央本体部(1)の軸方向に移動可能な規制摺動部材(9)によってブロックされ、前記駆動スリーブ(11)がその駆動位置に到達したとき、前記規制摺動部材(9)と協働して当該規制摺動部材(9)を軸方向に移動させて前記制御リング(2)の回転のブロックを解除し、それにより前記貯蔵器を前記針の前記注入位置に向けて移動させ、前記規制摺動部材(9)は、前記駆動スリーブ(11)がその駆動位置に到達するまで前記制御リング(2)の回転をブロックする突起(91)を備え、前記制御リング(2)が回転して前記針をその注入位置に移動させる間、前記突起(91)が当該制御リング(2)の外側傾斜面(25)と協働し、それにより、前記規制摺動部材(9)が当該制御リング(2)に対して軸方向に移動する
ことを特徴とする自己注射器。 - 前記駆動スリーブ(11)が、その駆動位置において、前記貯蔵器移動装置(2、4、9)と協働して、前記針をその注入位置に向けて移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の自己注射器。 - 前記注入手段(5、8)をブロックする注入ロック手段を備え、前記貯蔵器移動装置(2、4、9)は、前記針が前記注入位置に到達したときに、前記注入ロック手段によるブロックを解除して前記注入手段を駆動する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自己注射器。 - 前記流体製品の注入後、前記注入手段(5、8)が、前記貯蔵器移動装置(2、4、9)と協働して前記針を引き抜く
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の自己注射器。 - 前記針が前記注入位置に到達した後、前記制御リング(2)が、前記注入ロック手段によるブロックを解除して前記注入手段を駆動し、前記規制摺動部材(9)は、前記制御リング(2)と協働して前記制御リング(2)の回転を再びブロックする
ことを特徴とする請求項3に記載の自己注射器。 - 注入の完了後、前記規制摺動部材(9)がトリガー(19)と協働して軸方向に移動し、前記制御リング(2)の回転を再びブロック解除し、これにより前記貯蔵器を前記針の退避位置に向けて移動させる
ことを特徴とする請求項5に記載の自己注射器。 - 前記駆動スリーブ(11)は、当該駆動スリーブ(11)が駆動後または駆動中に第2の突出位置に戻るように前記規制摺動部材(9)と協働し、前記規制摺動部材(9)は、前記制御リング(2)の回転のブロックを解除する位置に移動し、これにより前記針を退避させる
ことを特徴とする請求項1乃至6に記載の自己注射器。
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