JP6191569B2 - エンジンの冷却システム - Google Patents

エンジンの冷却システム Download PDF

Info

Publication number
JP6191569B2
JP6191569B2 JP2014195507A JP2014195507A JP6191569B2 JP 6191569 B2 JP6191569 B2 JP 6191569B2 JP 2014195507 A JP2014195507 A JP 2014195507A JP 2014195507 A JP2014195507 A JP 2014195507A JP 6191569 B2 JP6191569 B2 JP 6191569B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
engine
output
cooling water
control valve
flow path
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014195507A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016065517A (ja
Inventor
康太朗 ▲高▼橋
康太朗 ▲高▼橋
岡田 茂美
茂美 岡田
龍生 片本
龍生 片本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2014195507A priority Critical patent/JP6191569B2/ja
Publication of JP2016065517A publication Critical patent/JP2016065517A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6191569B2 publication Critical patent/JP6191569B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

本発明は、エンジンの冷却システムに関する。
従来、シリンダブロックを経由してシリンダヘッドに冷却水を導くブロック内経路と、このブロック内経路をバイパスしてシリンダヘッドに冷却水を導くブロックバイパス経路と、ブロック内経路とブロックバイパス経路の分岐点に配置されて冷却水を流す経路を切り換えるサーモスタット弁とを有するエンジンの冷却装置が知られている(特許文献1)。
この冷却装置においては、エンジンの暖機中には冷却水をブロックバイパス経路に流してシリンダブロックの暖機を促進し、暖機完了後には冷却水をブロック内経路に流してエンジンの過度な温度上昇を防止するように、サーモスタット弁を制御している。
また、この冷却装置は、シリンダブロックとシリンダヘッドの間に設けられ且つ所定温度に達すると開く感温弁と、この感温弁を介してシリンダブロックからシリンダヘッドに流入した冷却水の温度を検出する温度センサと、この温度センサの検出結果に基づいてサーモスタット弁の故障判定を行う演算部とを備えている。
この構成によれば、サーモスタット弁の故障によりブロック内経路へ冷却水を流すことができなくなって感温弁の温度が所定温度まで上昇したときに、感温弁が開く。感温弁が開くことにより、シリンダブロック内で温度が上昇した滞留冷却水が感温弁を介してシリンダヘッドへ流れてその温度が測定され、その測定結果からサーモスタット弁が故障していると判定される。サーモスタット弁が故障していると判定されると、エンジンの出力制限が行われてエンジンの焼き付きが防止される。
特開2009−197664号公報
ところで、冷却水の流れを制御する弁の故障時においては、車両を安全な場所やカーディーラまで走行させる必要がある(いわゆる退避走行)。その一方で、退避走行時にドライバの意図に反して急激に車速が低下すると、ドライバが不快に感じるのみならず、安全性が低下する虞がある。このため、上記故障時においては、エンジンのオーバーヒートを防止しつつ、退避走行時の出力性能をできるだけ低下させないことが望ましい。
しかしながら、特許文献1には、退避走行時の出力性能の低下を抑制する点については何ら示されていない。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたもので、冷却水の流れを制御する流量制御バルブの故障時において、エンジンのオーバーヒートを防止しつつ、退避走行時の出力性能の低下を抑制することができる、エンジンの冷却システムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、エンジンを経由する流路を含み、かつ冷却水が循環する冷却水流路と、前記冷却水流路内の冷却水を循環させる冷却水ポンプと、前記冷却水流路を流れる冷却水の流量を制御する流量制御バルブと、前記流量制御バルブの開度を制御するバルブ制御手段と、前記流量制御バルブの故障を検出する故障状態検出手段と、前記故障状態検出手段により故障が検出されたときに、前記エンジンの出力制限値を設定し、前記エンジンの出力を前記出力制限値以下に制限する出力制限手段とを備え、前記出力制限手段は、前記出力制限値を、前記エンジンを流れる冷却水の流量が多いほど、大きい値に設定することを特徴とする、エンジンの冷却システムを提供する。
本発明によれば、出力制限手段は、故障状態検出手段により故障が検出されたときに、エンジンの出力制限値を設定し、エンジンの出力を出力制限値以下に制限する。また、出力制限手段は、出力制限値を、エンジンを流れる冷却水の流量が多いほど、大きい値に設定する。エンジンを流れる冷却水の流量が多いときには、エンジンの出力を小さい値に制限しなくても、エンジンのオーバーヒートを防止することができる。従って、本発明によれば、流量制御バルブが故障した際に、エンジンのオーバーヒートを防止しつつ、エンジンの出力性能を必要以上に低下させることなく退避走行を行うことができる。
また、本発明においては、前記エンジンを流れる冷却水の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、前記出力制限手段は、前記温度検出手段で検出された温度が低いほど、前記出力制限値を大きい値に設定することが好ましい。
この構成によれば、温度検出手段で検出された温度が低いほど、エンジンの出力制限値が大きい値に設定される。エンジンを流れる冷却水の温度が低温であるときには、エンジンがオーバーヒート状態となるまでに温度的および時間的に余裕がある。従って、この構成によれば、エンジンの出力性能を必要以上に低下させることなく退避走行を行うという効果をより確実に奏することができる。
また、本発明においては、前記出力制限手段は、前記温度検出手段で検出された温度が予め定められた温度未満であるときには、前記出力制限値を予め定められた最大値に設定することが好ましい。
この構成によれば、温度検出手段で検出された温度が予め定められた温度未満であるときには、エンジンの出力制限値を予め定められた最大値に設定するので、退避走行時における出力低下を十分に抑制することができる。
本発明においては、前記出力制限手段は、エンジン回転数が低いほど、前記出力制限値を大きい値に設定することが好ましい。
この構成によれば、エンジン回転数が低いほど、エンジンの出力制限値を大きい値に設定する。エンジン回転数が低いほど、単位時間当たりのエンジンの発熱量は少ない。従って、エンジンの出力性能を必要以上に低下させることなく退避走行を行うという効果をより確実に奏することができる。
本発明においては、前記流量制御バルブは、開度と回転角度との間に予め定められた相関関係を有するロータリーバルブであり、前記冷却システムは、前記流量制御バルブの回転角度を検出する回転角度検出手段をさらに備え、前記故障状態検出手段は、前記回転角度検出手段で検出された検出回転角度と、前記バルブ制御手段から前記流量制御バルブに対して出力された前記回転角度の制御値である制御回転角度との差に基づいて、前記流量制御バルブの故障を検出することが好ましい。
この構成によれば、回転角度検出手段で検出された検出回転角度とバルブ制御手段から出力された制御回転角度との差に基づいて、流量制御バルブの故障を検出する。検出回転角度と制御回転角度の差が大きければ、流量制御バルブが故障していると考えられる。従って、流量制御バルブの故障を効果的に検出することができる。
本発明においては、前記冷却水流路は、ラジエータを経由するラジエータ経由流路を含み、前記出力制限手段は、前記流量制御バルブが前記ラジエータ経由流路に対して開かれているときには、前記流量制御バルブが前記ラジエータ経由流路に対して開かれていないときよりも、前記出力制限値を大きい値に設定することが好ましい。
この構成によれば、ラジエータに冷却水が流れるときには、ラジエータに冷却水が流れないときよりも、エンジンの出力制限値を大きい値に設定する。冷却水がラジエータを流れるときには、冷却水がラジエータによって冷却されるので、エンジンを効果的に冷却することができる。従って、ラジエータに冷却水が流れるか或いは流れないかに応じて、エンジンの出力制限値を変えることにより、エンジンの出力性能を必要以上に低下させることなく退避走行を行うという効果をより確実に奏することができる。
本発明においては、前記冷却水流路は、ラジエータを経由するラジエータ経由流路を含み、前記出力制限手段は、前記ラジエータ経由流路に対する前記流量制御バルブの開度レベル毎に予め設定され、かつ前記エンジンを流れる冷却水の温度と前記エンジンへの燃料噴射量の制限値との関係を規定する複数のエンジン出力制限パターンを記憶しているとともに、前記故障状態検出手段により故障が検出されたときに、前記複数のエンジン出力制限パターンの中から前記流量制御バルブの開度レベルに対応する一つのエンジン出力制限パターンを選択し、選択したエンジン出力制限パターンに基づいて燃料噴射量を制限することが好ましい。
この構成によれば、出力制限手段は、ラジエータ経由流路に対する流量制御バルブの開度レベル毎に予め設定され、かつエンジンを流れる冷却水の温度とエンジンへの燃料噴射量の制限値の関係を規定する複数のエンジン出力制限パターンが記憶している。そして、流量制御バルブの故障が検出されたときには、その複数のエンジン出力制限パターンの中から、流量制御バルブの開度に対応するエンジン出力制限パターンを選択して、燃料噴射量を制限する。ラジエータへの通水量が異なれば、エンジンの冷却能力も異なる。従って、ラジエータへの通水量に応じて出力制限パターンを変えることにより、退避走行時におけるエンジンの出力制限を細かく行うことができる。
本発明においては、前記複数のエンジン出力制限パターンは、前記ラジエータ経由流路に対する前記流量制御バルブの開度レベルが高いものほど、同じ冷却水温度における前記燃料噴射量の制限値が高く設定されていることが好ましい。
ラジエータ経由流路を流れる冷却水の流量が多いほど(流量制御バルブの開度が大きいほど)、エンジンの冷却能力が高くなる。従って、複数のエンジン出力制限パターンが、ラジエータ経由流路に対する流量制御バルブの開度レベルが高いものほど同じ冷却水温度における燃料噴射量の制限値が高く設定されていることにより、退避走行時におけるエンジンの出力を安全な範囲でできるだけ低下させないように適切に出力制限を行うことができる。
本発明によれば、冷却水の流れを制御する流量制御バルブの故障時において、エンジンのオーバーヒートを防止しつつ、退避走行時の出力性能の低下を抑制することができる。
本発明の実施形態におけるエンジンおよび吸排気システムを示す図である。 本発明の実施形態におけるPCM、入力装置、および出力装置を示す図である。 本発明の実施形態におけるエンジンの吸排気系統の制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態におけるエンジンの冷却システムを示すブロック図である。 本発明の実施形態における流量制御バルブの回転角度と開度(連通面積)の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態における冷却水流路の通水切替動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における流量制御バルブの段階的な開弁制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における流量制御バルブの開度増加のタイミングを示すグラフである。 本発明の実施形態における冷却水の温度変化(上段)および各流路に対する流量制御バルブの開度の和の変化(下段)を示すグラフである。 本発明の実施形態におけるエンジンの出力制限パターンを示す図であり、(a)はエンジン回転数が1600rpmのときの図、(b)はエンジン回転数が4500rpmのときの図である。 本発明の実施形態における流量制御バルブの故障判定動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態におけるエンジンの出力制限動作を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳述する。
まず、本発明の実施形態に係るエンジン9およびその吸排気システムについて説明する。
エンジン9は、車両駆動用のディーゼルエンジンである。
エンジン9は、複数の気筒(図1では一つのみを図示)が設けられたシリンダブロック9aと、シリンダブロック9aの上側に配設されたシリンダヘッド9bと、シリンダブロック9aの下側に配設されたオイルパン9cとを有している。
各気筒内には、コンロッド9dを介してクランクシャフト9eと連結されたピストン9fが往復可能に嵌挿されている。
シリンダヘッド9bには、吸気ポート9gおよび排気ポート9hが各気筒にそれぞれ形成されている。これら吸気ポート9gおよび排気ポート9hには、吸気バルブ9jおよび排気バルブ9kがそれぞれ配設されている。
また、シリンダヘッド9bには、各気筒内に燃料を噴射する電磁式の直噴インジェクタ9mが設けられている。直噴インジェクタ9mには、燃料タンクから燃料ポンプおよびコモンレール(いずれも図示略)を介して燃料が供給される。コモンレールには、燃料の圧力を検出する燃圧センサ36(図2参照)が設けられている。
エンジン9の吸排気システムは、吸入空気を吸気ポート9gを介して気筒内に導く吸気通路20と、気筒内で発生した排気ガスを大気中に排出する排気通路21とを備えている。
吸気通路20には、上流側から順に、吸入空気中に含まれる塵や埃を除去するエアクリーナ22、ターボチャージャのコンプレッサ24、吸気通路20を遮断する吸気シャッタバルブ11bおよび吸気シャッタバルブ11bを駆動する吸気シャッタバルブアクチュエータ38、コンプレッサ24によって圧縮されて高圧高温になった吸入空気を強制冷却するインタークーラ25、インタークーラ25に冷却水を送るインタークーラ用冷却水ポンプ26などが設けられている。
排気通路21には、上流側から順に、ターボチャージャの排気タービン27、ディーゼル酸化触媒(DOC)28、排気ガス中の排気微粒子を捕集するDPF(Diesel Particulate Filter)29などが設けられている。
また、この吸排気システムは、高圧EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置30と、低圧EGR装置31とを備えている。
高圧EGR装置30は、吸気通路20における吸気ポート9gの上流側と排気通路21における排気ポート9hの下流側とを接続する高圧EGR通路30aと、高圧EGR通路30aにおける高圧EGRガスの流量を調節する高圧EGRバルブ11aと、高圧EGRバルブ11aを駆動する高圧EGRバルブアクチュエータ30bとを有している。
低圧EGR装置31は、排気通路21におけるDPF29の下流側と吸気通路20におけるコンプレッサ24の上流側とを接続する低圧EGR通路31aと、低圧EGR通路31aにおける低圧EGRガスの流量を調節する低圧EGRバルブ11dと、低圧EGRバルブ11dを駆動する低圧EGRバルブアクチュエータ31bと、低圧EGRガスを冷却する低圧EGRクーラ11cとを有している。
このように構成されたエンジン9および吸排気システムは、PCM(Powertrain Control Module)8によって制御される。PCM8は、CPU、メモリ、インタフェイス等により構成されている。
PCM8には、図2に示されるように、各種のセンサの検出信号が入力される。この各種のセンサには、吸気ポート9gに取り付けられて気筒内に流入する直前の吸入空気の温度を検出する吸気ポート温度センサ33と、吸気ポート9g近傍におけるエンジン冷却水の温度を検出する水温センサ7と、クランクシャフト9eの回転角を検出するクランク角センサ34と、車両のアクセルペダル(図示略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサ35と、直噴インジェクタ9mに供給する燃料圧力を検出する燃圧センサ36と、DPF29の下流側における排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ32等が含まれる。
PCM8は、各センサの検出信号に基づいて種々の演算を行うことにより、エンジン9、吸排気システム等の状態を判断し、これに応じて直噴インジェクタ9mおよび各種バルブのアクチュエータ(吸気シャッタバルブアクチュエータ38、高圧EGRバルブアクチュエータ30b、低圧EGRバルブアクチュエータ31b)へ制御信号を出力する(エンジン制御機能および吸排気システム制御機能)。
次に、PCM8が行う制御について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、PCM8は、各種センサの検出値を読み込む(ステップS31)。
次いで、PCM8は、クランク角センサ34によって検出された回転角に基づいてエンジン回転数を算出し、そのエンジン回転数とアクセル開度センサ35によって検出されたアクセル開度とに基づき、目標トルクを設定する(ステップS32)。
次いで、PCM8は、エンジン回転数と目標トルクに基づいて、燃料の要求噴射量を設定する(ステップS33)。
次いで、PCM8は、メモリに予め記憶されている複数の燃料噴射パターンの中から、要求噴射量およびエンジン回転数に応じた燃料噴射パターンを選択する(ステップS34)。
次いで、PCM8は、要求噴射量とエンジン回転数に基づいて、直噴インジェクタ9mに供給する燃料の圧力(燃圧)を設定する(ステップS35)。
次いで、PCM8は、要求噴射量とエンジン回転数に基づいて、目標酸素濃度を設定する(ステップS36)。目標酸素濃度は、気筒内に流入する直前の混合空気の酸素濃度の目標値である。
次いで、PCM8は、要求噴射量とエンジン回転数に基づいて、目標吸気温度を設定する(ステップS37)。目標吸気温度は、気筒内に流入する直前の混合空気の温度の目標値である。
次いで、PCM8は、メモリに予め記憶されている複数のEGR制御モードの中から、要求噴射量およびエンジン回転数に応じたEGR制御モードを選択する(ステップS38)。EGR制御モードは、高圧EGR装置30および低圧EGR装置31についてそれぞれ選択される。
次いで、PCM8は、目標酸素濃度および目標吸気温度を実現する状態量(高圧EGR量、低圧EGR量、および過給圧)を設定する(ステップS39)。
次いで、PCM8は、各状態量の制限範囲をメモリから読み出す(ステップS40)。制限範囲は、エンジン9および吸排気システムが適切に作動するために各状態量が満たすべき範囲であり、メモリに予め記憶されている。
次いで、PCM8は、ステップS39において設定された状態量が制限範囲内に収まっているかどうかを判断する(ステップS41)。
状態量が制限範囲内に収まっていると判断された場合(ステップS41でYES)には、ステップS43に移行する。ステップS43では、PCM8は、ステップS39で設定された状態量に基づいて、直噴インジェクタ9m、吸気シャッタバルブアクチュエータ38、高圧EGRバルブアクチュエータ30b、および低圧EGRバルブアクチュエータ31bの制御量を設定する。
次いで、PCM8は、設定された制御量に基づいて、直噴インジェクタ9m、吸気シャッタバルブアクチュエータ38、高圧EGRバルブアクチュエータ30b、および低圧EGRバルブアクチュエータ31bを制御する(ステップS44)。
ステップS41において、制限範囲内に収まっていない状態量があると判断された場合には、PCM8は、当該状態量が制限範囲に収まるように補正する(ステップS42)。例えば、制限範囲内において、ステップS39で設定された状態量に最も近い制限値に、状態量を補正する。ステップS42の後、PCM8は、補正後の状態量に基づいて、直噴インジェクタ9m、吸気シャッタバルブアクチュエータ38、高圧EGRバルブアクチュエータ30b、および低圧EGRバルブアクチュエータ31bを制御する(ステップS44)。
次に、本発明の実施形態に係るエンジン9の冷却システムについて説明する。
図4に示されるように、エンジン9の冷却システム1は、第1流路2、第2流路3、および第3流路4を含む冷却水流路と、冷却水ポンプ5と、流量制御バルブ6と、水温センサ7と、PCM8とを備えている。冷却水流路内では冷却水が循環する。
第1流路2は、エンジン9のシリンダヘッド9bを経由する冷却水流路である。第1流路2は、シリンダヘッド9bの下流側に、第2流路3が分岐する分岐点P1を有している。第1流路2は、分岐点P1の下流側に、第1補機用流路2a(経路(1))を有している。第1補機用流路2aは、高圧EGRバルブ11aおよび吸気シャッタバルブ11bを経由する。
第2流路3は、エンジン9の補機11を経由する冷却水流路である。第2流路3は、分岐点P1の下流側に分岐点P2を有している。第2流路3は、分岐点P2に接続された第2補機用流路3a(経路(2))および第3補機用流路3b(経路(4))を有している。第2補機用流路3aと第3補機用流路3bは、分岐点P2において互いに並列に接続されている。
第2補機用流路3aは、低圧EGRバルブ11d、低圧EGRクーラ11c、およびヒータコア11eを経由する。
第3補機用流路3bは、ラジエータ11fを経由する。
第3流路4(経路(3))は、エンジン9のシリンダブロック9a、オイルクーラ11g、およびATF(Automatic Transmission Fluid)クーラ11hを経由する。
冷却水ポンプ5は、ターボ型ポンプであり、インペラがエンジン9のクランクシャフト9eに間接的に連結された構造を有している。冷却水ポンプ5の入力ポート5aは、流量制御バルブ6を介して、第1補機用流路2aの下流端、第2補機用流路3aの下流端、第3補機用流路3bの下流端、および第3流路4の下流端に接続されている。冷却水ポンプ5の出力ポート5bは、第1流路2の上流端および第3流路4の上流端に接続されている。
冷却水ポンプ5は、入力ポート5aを介して第1補機用流路2a、第2補機用流路3a、第3補機用流路3b、および第3流路4内の冷却水を、エンジントルクの一部を利用したインペラの回転動作に伴うポンプ作用により吸引し、出力ポート5bを介して第1流路2および第3流路4に吐出するように構成されている。冷却水ポンプ5内に吸引された冷却水は、冷却水ポンプ5内で撹拌された後、吐出される。
流量制御バルブ6は、単一のロータリーバルブである。流量制御バルブ6は、筒状のケーシングと、当該ケーシング内に回転可能に収容された筒状の弁体と、当該弁体を一方向に回転駆動するアクチュエータとを有している。アクチュエータは、PCM8から入力される(駆動電圧)に応じて弁体を回転駆動する。ケーシングの側面には、4個の入力ポートおよび4個の出力ポートが形成されている。4個の入力ポートは、第1補機用流路2aの下流端、第2補機用流路3aの下流端、第3補機用流路3bの下流端、および第3流路4の下流端に接続されている。また、4個の出力ポートは、冷却水ポンプ5の入力ポート5aに接続されている。
弁体の側面には、切欠き部が形成されている。当該切欠き部とケーシングに形成された出力ポートの連通面積Sは、第1補機用流路2a、第2補機用流路3a、第3補機用流路3b、および第3流路4に対して個別に設定される。以下の説明では、第1補機用流路2aに対する連通面積を「連通面積S2a」と称し、第2補機用流路3aに対する連通面積を「連通面積S3a」と称し、第3補機用流路3bに対する連通面積を「連通面積S3b」と称し、第3流路4に対する連通面積を「連通面積S4」と称する。
連通面積S2aは、弁体の回転角度に拘わらずゼロ近傍の小面積で一定であり(図5参照)、冷却水の流量をゼロ近傍の少量に抑えてシリンダヘッド9bを過冷却しないようになっているが、高圧EGRバルブ11aおよび吸気シャッタバルブ11bの冷却に必要な流量は確保できる面積とされている。
一方、連通面積S3a、連通面積S3b、および連通面積S4は、弁体の回転角度に応じて連続的に変化するようになっている(図5参照)。
すなわち、連通面積S3a(以下、「第2補機用流路3aに対する流量制御バルブ6の開度」と称する)の変化に応じて、第2補機用流路3aにおける冷却水の流量が変化する。
また、連通面積S3b(以下、「第3補機用流路3bに対する流量制御バルブ6の開度」と称する)の変化に応じて、第3補機用流路3bにおける冷却水の流量が変化する。
また、連通面積S4(以下、「第3流路4に対する流量制御バルブ6の開度」と称する)の変化に応じて、第3流路4における冷却水の流量が変化する。
水温センサ7は、第1流路2におけるシリンダヘッド9b近傍の冷却水の温度を検出する。水温センサ7で検出された温度の情報は、PCM8へ送信される。
PCM8は、上述のエンジン制御機能および吸排気システム制御機能に加えて、水温センサ7で検出された温度に基づいて流量制御バルブ6の開度を制御するバルブ制御機能と、流量制御バルブ6の故障を検出する故障状態検出機能と、故障状態検出機能により故障が検出されたときにエンジン9の出力を制限する出力制限機能とを有する。
まず、PCM8による流量制御バルブ6の制御(バルブ制御機能)について、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
なお、以下の説明では、第2補機用流路3a、第3補機用流路3b、および第3流路4に対する流量制御バルブ6の開度がゼロ(閉じている)の状態から制御が開始されるものとする。
まず、PCM8は、水温センサ7からシリンダヘッド9bにおける冷却水の温度Tを入力する(ステップS51)。
次いで、PCM8は、入力した温度Tが第1温度閾値T1未満であるかどうかを判断する(ステップS52)。ここで、第1温度閾値T1は、エンジン9の冷間始動後にエンジン9が冷間状態から温間状態に遷移するときの温度(例えば、概ね80℃)未満の温度、すなわちエンジン暖機中(暖機完了前)の温度であり、例えば50℃(図8参照)である。
温度Tが第1温度閾値T1未満であると判断された場合(ステップS52でYES)には、PCM8は、第2補機用流路3aに対する流量制御バルブ6の開度、および第3補機用流路3bに対する流量制御バルブ6の開度をゼロに維持する(図8のA0参照)ことにより、第1流路2における分岐点P1の上流側(以下、「第1流路2における上流側流路2b」と称する)を流れる冷却水の流量(シリンダヘッド9bを流れる冷却水の流量)を制限する制御を行う(ステップS53)。これにより、第1流路2における上流側流路2bを流れる冷却水の流量は、第1補機用流路2a(経路(1))を流れる冷却水の流量と等しくなり、ゼロ近傍の少量に抑えられる(図9のA1参照)。従って、シリンダヘッド9bの温度低下が抑制され、シリンダヘッド9bの温度は次第に上昇する(図9の第1通水状態)。なお、ステップS53において、PCM8は、第3流路4に対する流量制御バルブ6の開度もゼロに制御する。これにより、シリンダブロック9aの温度低下が抑制され、シリンダブロック9aの温度は次第に上昇する。ステップS53の後、ステップS51に戻る。
ステップS52において、温度Tが第1温度閾値T1以上であると判断された場合(ステップS52でNO)には、PCM8は、温度Tが第2温度閾値T2(例えば80℃。図8参照)未満であるかどうかを判断する(ステップS54)。なお、第2温度閾値T2は、第1温度閾値T1より高い値である。
温度Tが第2温度閾値T2未満であると判断された場合(ステップS54でYES)には、PCM8は、第2補機用流路3aに対する流量制御バルブ6の開度を増加させることにより、第1流路2における冷却水の流量制限を解除する制御を行う(ステップS55)。ステップS55の後、ステップS51に戻る。
ここで、ステップS55において行われる制御について、図7のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。まず、PCM8は、第2補機用流路3aに対する流量制御バルブ6の開度が目標開度未満の予め定められた開度(例えば、目標開度の1/3程度の開度。図8のA2参照)となるように流量制御バルブ6を制御する(ステップS61)。なお、ここに言う「目標開度」は、温間時の目標開度であり、第2補機用流路3aに対する流量制御バルブ6の最大開度(全開)を意味する。
これにより、第2補機用流路3aに冷却水が少し流れ始め、第2補機用流路3aを流れた冷却水は冷却水ポンプ5を介して第1流路2に流入する。つまり、第1流路2における上流側流路2bを流れる冷却水の流量は、第1補機用流路2a(経路(1))を流れる冷却水の流量と、第2補機用流路3a(経路(2))を流れる冷却水の流量の和となり、ステップS53のときよりも流量が増加する(図9のA3参照)。しかしながら、第2補機用流路3aに対する流量制御バルブ6の開度をいきなり全開にするのではなく、例えば全開の1/3程度の開度とするので、第1流路2における冷却水の流量制限の解除が緩やかに開始される。
次いで、PCM8は、水温センサ7で検出された温度Tが第1温度閾値T1より高く第2温度閾値T2より低い第3温度閾値T3(例えば75℃。図8参照)以上となったかどうかを判断する(ステップS62)。
温度Tが第3温度閾値T3以上であると判断された場合(ステップS62でYES)には、PCM8は、第2補機用流路3aに対する流量制御バルブ6の開度が温間時の目標開度(図8のA4参照)となるように流量制御バルブ6を制御する(ステップS63)。これにより、第2補機用流路3a(経路(2))を流れる冷却水の流量が温間時の目標流量(第2補機用流路3aにおける最大流量)まで増加し、その増加分だけ第1流路2における上流側流路2bを流れる冷却水の流量も増加する(図9のA5参照)。従って、ステップS61、S63の2段階で流量が徐々に増加するので、第1流路2における流量制限の解除が緩やかに行われる(図9の第2通水状態)。
図6に戻って、ステップS54において、温度Tが第2温度閾値T2以上であると判断された場合(ステップS54でNO)には、PCM8は、温度Tが第4温度閾値T4(例えば95℃。図8参照)未満であるかどうかを判断する(ステップS56)。なお、第4温度閾値T4は、第3温度閾値T3より高い値である。
温度Tが第4温度閾値T4未満であると判断された場合(ステップS56でYES)には、PCM8は、第3流路4に対する流量制御バルブ6の開度を増加させる制御を行う(ステップS57)。ステップS57の後、ステップS51に戻る。
ここで、ステップS57において行われる制御について、図7のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。まず、PCM8は、第3流路4に対する流量制御バルブ6の開度が目標開度未満の予め定められた開度(例えば、目標開度の1/2程度の開度。図8のA6参照)となるように流量制御バルブ6を制御する(ステップS61)。これにより、第3流路4に冷却水が少し流れ始め、第3流路4を流れた冷却水は冷却水ポンプ5を介して第1流路2および第3流路4に流入する(図9のA7参照)。なお、ここに言う「目標開度」は、温間時の目標開度であり、第3流路4に対する流量制御バルブ6の最大開度(全開)を意味する。
次いで、PCM8は、水温センサ7で検出された温度Tが第2温度閾値T2より高く第4温度閾値T4より低い第5温度閾値T5(例えば85℃。図8参照)以上となったかどうかを判断する(ステップS62)。
温度Tが第5温度閾値T5以上であると判断された場合(ステップS62でYES)には、PCM8は、第3流路4に対する流量制御バルブ6の開度が目標開度(図8のA8、図9のA9参照)となるように流量制御バルブ6を制御する(ステップS63)。これにより、第3流路4(経路(3))を流れる冷却水の流量が温間時の目標流量(第3流路4における最大流量)まで増加する。つまり、第3流路4から流出する冷却水の流量は、ステップS61、S63の2段階で徐々に増加する(図9の第3通水状態)。
図6に戻って、ステップS56において、温度Tが第4温度閾値T4以上であると判断された場合(ステップS56でNO)には、PCM8は、第3補機用流路3bに対する流量制御バルブ6の開度を増加させる制御を行う(ステップS58)。ステップS58の後、ステップS51に戻る。
ここで、ステップS58において行われる制御について、図7のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。まず、PCM8は、第3補機用流路3bに対する流量制御バルブ6の開度が目標開度未満の予め定められた開度(例えば、目標開度の1/2程度の開度。図8のA10)となるように流量制御バルブ6を制御する(ステップS61)。なお、ここに言う「目標開度」は、温間時の目標開度であり、第3補機用流路3bに対する流量制御バルブ6の最大開度(全開)を意味する。
これにより、第1流路2における上流側流路2bを流れる冷却水の流量は、ステップS55のときよりも流量が増加する(図9のA11参照)。しかしながら、第3補機用流路3bに対する流量制御バルブ6の開度をいきなり全開にするのではなく、例えば全開の1/2程度の開度とするので、第1流路2における冷却水の流量制限の解除が緩やかに行われる。
次いで、PCM8は、水温センサ7で検出された温度Tが第4温度閾値T4より高い第6温度閾値T6(例えば100℃。図8参照)以上となったかどうかを判断する(ステップS62)。
温度Tが第6温度閾値T6以上であると判断された場合(ステップS62でYES)には、PCM8は、第3補機用流路3bに対する流量制御バルブ6の開度が温間時の目標開度(図8のA12参照)となるように流量制御バルブ6を制御する(ステップS63)。これにより、第3補機用流路3b(経路(4))を流れる冷却水の流量が温間時の目標流量(第3補機用流路3bにおける最大流量)まで増加し、その増加分だけ第1流路2における冷却水の流量も増加する(図9のA13参照)。つまり、ステップS61、S63の2段階で流量が徐々に増加するので、第1流路2における流量制限の解除が緩やかに行われる(図9の第4通水状態)。
次に、PCM8の故障状態検出機能および出力制限機能ついて説明する。
PCM8は、エンジン9の出力制限を行う際に用いる複数の出力制限パターンマップ40(図10参照)を予め記憶している。
図10(a)および図10(b)に示されるように、出力制限パターンマップ40は、エンジン回転数毎に設定されており、例えば、図10(a)に示されるエンジン回転数が1600rpmのときの出力制限パターンマップ40Aと、図10(b)に示されるエンジン回転数が4500rpmのときの出力制限パターンマップ40Bとを有する。
なお、出力制限パターンマップ40Aおよび出力制限パターンマップ40Bは、PCM8に記憶された多数の出力制限パターンマップ40のうちの二例であり、PCM8は、他のエンジン回転数に対応する出力制限パターンマップ40も予め記憶している。
以下、出力制限パターンマップ40Aについて説明するが、以下の説明は出力制限パターンマップ40Bについても適用される。
図10(a)に示される出力制限パターンマップ40Aは、複数のエンジン出力制限パターンL1〜L4を有している。エンジン出力制限パターン(以下、「出力制限パターン」と称する)L1〜L4は、流量制御バルブ6の回転角度レベル毎に予め折れ線的または曲線的に設定されており(図10に示される例では折れ線的)、シリンダヘッド11bを流れる冷却水の温度(横軸)と、エンジン9への燃料噴射量の制限値(縦軸)との関係を規定している。燃料噴射量の制限値は、燃料噴射量の上限値である。エンジン9は、この制限値以下の燃料噴射量で燃料を噴射するように制御される。
具体的には、出力制限パターンマップ40Aは、流量制御バルブ6の回転角度が第1角度閾値未満(図5参照)である第1開度レベルの出力制限パターンL1と、回転角度が第1角度閾値以上第2角度閾値未満である第2開度レベルの出力制限パターンL2と、回転角度が第2角度閾値以上第3角度閾値未満である第3開度レベルの出力制限パターンL3と、回転角度が第3角度閾値以上である第4開度レベルの出力制限パターンL4とを有している。
流量制御バルブ6の合計開度レベル(経路(1)〜(4)に対する流量制御バルブ6の開度の合計レベル)が高いものから順に、第4開度の出力制限パターンL4、第3開度の出力制限パターンL3、第2開度の出力制限パターンL2、第1開度の出力制限パターンL1が配置されている。
出力制限パターンマップ40Aにおいては、出力制限パターンL1〜L4は、流量制御バルブ6の合計開度レベルが高いものほど、同じ冷却水温度における燃料噴射量の制限値が高く規定されている(図10(a)参照)。
例えば、冷却水温度が110〜120℃の区間において、第4開度レベルの出力制限パターンL4で設定された燃料噴射量の制限値は、第1開度レベルの出力制限パターンL1、第2開度レベルの出力制限パターンL2、および第3開度レベルの出力制限パターンL3で設定された燃料噴射量の制限値よりも高くなっている。
出力制限パターンL1〜L4は、実験やシミュレーションを行うことにより予め設定される。
また、出力制限パターンマップ40Aは、最大燃料噴射量ラインLsを有している。最大燃料噴射量ラインLsは、エンジン回転数毎に異なる高さで予め設定されている(出力制限パターンマップ40Bも参照)。最大燃料噴射量ラインLsの高さは最大燃料噴射量を示しており、その値は、回転角度がどのような値であっても超えてはならない値(回転角度に拘わらず一定の値)として設定されている。出力制限パターンマップ40Aにおいては、最大燃料噴射量は、58mm/ストローク程度に設定されている。
次に、PCM8で行われる故障状態検出動作および出力制限動作について、図11を参照しつつ説明する。
ここでは、図6のステップS55の制御と並行して行われる流量制御バルブ6の故障検出動作について説明する。なお、図6のステップS53、S55、S57、およびS58の制御と並行して、図11と同様の故障検出動作が行われる。
図11に示されるように、まず、PCM8は、図6のステップS55において出力した制御回転角度を読み込む(ステップS91)。「制御回転角度」は、ステップS55においてPCM8から流量制御バルブ6に対して出力された流量制御バルブ6の回転開度の制御値である。
次いで、PCM8は、流量制御バルブ6に設けられた図外の回転角度センサで検出された流量制御バルブ6の回転角度(以下、「検出回転角度」と称する)を読み込む(ステップS92)。
次いで、PCM8は、制御回転角度と検出回転角度の差が、予め定められた差閾値以上であるかどうかを判断する(ステップS93)。
制御回転角度と検出回転角度の差が、差閾値以上であると判断した場合には(ステップS93でYES)、PCM8は、図外の故障判定カウンタにおいてカウント値を一つインクリメントする(ステップS94)。
次いで、PCM8は、故障判定カウンタにおけるカウント値が、予め定められたカウント閾値以上であるかどうかを判断する(ステップS95)。
故障判定カウンタにおけるカウント値が、予め定められたカウント閾値以上であると判断された場合には(ステップS95でYES)、PCM8は、故障判定フラグを「1」にセットする(ステップS96)。なお、故障判定フラグは、ステップS91の処理を行う前の状態において、「0」に設定されている。
次いで、PCM8は、エンジン9の出力制限動作を行う(ステップS97)。
なお、ステップS93において、制御回転角度と検出回転角度の差が差閾値未満であると判断した場合には(ステップS93でNO)、PCM8は、故障判定カウンタのカウント値を一つデクリメントし(ステップS98)、ステップS95に移行する。
また、ステップS95において、故障判定カウンタにおけるカウント値が、カウント閾値未満であると判断した場合には(ステップS95でNO)、PCM8は、ステップS91に戻って処理を継続する。
次に、ステップS97において行われるエンジン9の出力制限動作について、図12を参照しつつ説明する。
図12に示されるように、まず、PCM8は、故障判定フラグが「1」であるかどうかを判断する(ステップS101)。
故障判定フラグが「1」であると判断した場合には(ステップS101でYES)、PCM8は、回転角度センサで検出された流量制御バルブ6の回転角度(以下、「故障回転角度」と称する)を読み込む(ステップS102)。
次いで、PCM8は、水温センサ7で検出された冷却水の温度と、エンジン回転数とを読み込む(ステップS103)。
次いで、PCM8は、読み込んだエンジン回転数に対応する出力制限パターンマップ40を、複数の出力制限パターンマップ40の中から選択して読み込む(ステップS104)。例えば、エンジン回転数が1600回転であるときは、出力制限パターンマップ40Aを選択して読み込む。
次いで、PCM8は、選択して読み込んだ出力制限パターンマップ40を参照して、故障回転角度および冷却水温度に応じた燃料噴射量の制限値を読み込む(ステップS105)。例えば、故障回転角度が第3開度レベル、冷却水温度が110℃であるときは、出力制限パターンL3を参照して、燃料噴射量の制限値(例えば40mm/ストローク)を読み込む(図10(a)参照)。
次いで、PCM8は、読み込んだ燃料噴射量の制限値以下の燃料噴射量で、予め定められた時間の間、エンジン9を制御する(ステップS106)。予め定められた時間が経過すると、PCM8は、ステップS102に戻って処理を継続する。
なお、流量制御バルブ6が故障した後、流量制御バルブ6の弁体が回転せず、故障回転角度が経時的に一定である(角度が固着している)こともあれば、流量制御バルブ6が故障した後、流量制御バルブ6の弁体が回転して故障回転角度が経時的に変化することも考えられる。
以上説明したように、本実施形態によれば、流量制御バルブ6の故障が検出されたときには、シリンダヘッド9bを流れる冷却水の流量が多いほど、PCM8は、エンジン9の出力制限値(エンジン出力の上限値)を大きい値に設定する。シリンダヘッド9bを流れる冷却水の流量が多いときには、エンジン9の出力制限値を小さい値に設定しなくても、エンジン9のオーバーヒートを防止することができる。従って、本実施形態によれば、流量制御バルブ6が故障した際に、エンジン9のオーバーヒートを防止しつつ、エンジン9の出力性能を必要以上に低下させることなく退避走行を行うことができる。
また、本実施形態においては、水温センサ7で検出された温度が低いほど、エンジン9の出力制限値を大きい値に設定する。シリンダヘッド9bを流れる冷却水の温度が低温であるときには、エンジン9がオーバーヒート状態となるまでに温度的および時間的に余裕がある。従って、エンジン9の出力性能を必要以上に低下させることなく退避走行を行うという効果をより確実に奏することができる。
また、本実施形態においては、水温センサ7で検出された温度が予め定められた温度Tk(図10(a)参照)未満であるときには、エンジン9の出力制限値を予め定められた最大値(例えば58mm/ストローク程度)に設定するので、退避走行時における出力低下を十分に抑制することができる。ここに言う「予め定められた温度」とは、例えば、図10(a)において、出力制限パターンL1と最大噴射量ラインLsの交点Kにおける冷却水温度Tkである。
また、本実施形態においては、エンジン回転数が低いほど、エンジン9の出力制限値を大きい値に設定する。エンジン回転数が低いほど、単位時間当たりのエンジン9の発熱量は少ない。従って、エンジン9の出力性能を必要以上に低下させることなく退避走行を行うという効果をより確実に奏することができる。
また、本実施形態においては、回転角度センサで検出された検出回転角度とPCM8から出力された制御回転角度との差に基づいて、流量制御バルブ6の故障を検出する。検出回転角度と制御回転角度の差が大きければ、流量制御バルブ6が故障していると考えられる。従って、流量制御バルブ6の故障を効果的に検出することができる。
また、本実施形態においては、ラジエータ11fに冷却水が流れるときには、ラジエータ11fに冷却水が流れないときよりも、エンジン9の出力制限値を大きい値に設定する。冷却水がラジエータ11fを流れるときには、冷却水がラジエータ11fによって冷却されるので、エンジン9を効果的に冷却することができる。従って、ラジエータ11fに冷却水が流れるか、或いは流れないかに応じて、エンジン9の出力制限値を変えることにより、エンジン9の出力性能を必要以上に低下させることなく退避走行を行うという効果をより確実に奏することができる。
また、本実施形態においては、PCM8は、流量制御バルブ6の開度レベル毎に予め設定された複数の出力制限パターンL1〜L4を記憶している。そして、流量制御バルブ6の故障が検出されたときには、複数のエンジン出力制限パターンL1〜L4の中から、流量制御バルブ6の開度に対応するエンジン出力制限パターンを選択して、燃料噴射量を制限する。流量制御バルブ6の開度レベルが異なれば、エンジン9の冷却能力も異なる。従って、この構成によれば、退避走行時におけるエンジンの出力制限を、エンジン9の冷却能力に応じて細かく行うことができる。
また、本実施形態においては、流量制御バルブ6の開度レベルが高いときの燃料噴射量の制限値を高く設定する。流量制御バルブ6の開度が大きいほど、エンジン9の冷却能力が高くなる。従って、退避走行時におけるエンジン9の出力を安全な範囲内でできるだけ低下させないように適切に出力制限を行うことができる。
また、本実施形態においては、シリンダヘッド9bを流れる冷却水の温度が第1温度閾値T1以上であるときには、第2補機用流路3aおよび第3補機用流路3bに対する流量制御バルブ6の開度が予め定められた目標開度まで段階的に増加するように制御されるので、シリンダヘッド9bを流れる冷却水の流量制限が徐々に解除され、シリンダヘッド9bの温度低下(過冷却)を抑制することができる。
1 エンジンの冷却システム
2 第1流路
2a 第1補機用流路
2b 上流側流路
3 第2流路
3a 第2補機用流路
3b 第3補機用流路
4 第3流路
5 冷却水ポンプ
5a 冷却水ポンプの入口ポート
5b 冷却水ポンプの出口ポート
6 流量制御バルブ
7 水温センサ
8 PCM
9 エンジン
9a シリンダブロック
9b シリンダヘッド
11 補機
11a 高圧EGRバルブ
11b 吸気シャッタバルブ
11c 低圧EGRクーラ
11d 低圧EGRバルブ
11e ヒータコア
11f ラジエータ
11g オイルクーラ
11h ATFクーラ
40,40A,40B 出力制限パターンマップ
L1〜L4 エンジン出力制限パターン

Claims (8)

  1. エンジンを経由する流路を含み、かつ冷却水が循環する冷却水流路と、
    前記冷却水流路内の冷却水を循環させる冷却水ポンプと、
    前記冷却水流路を流れる冷却水の流量を制御する流量制御バルブと、
    前記流量制御バルブの開度を制御するバルブ制御手段と、
    前記流量制御バルブの故障を検出する故障状態検出手段と、
    前記故障状態検出手段により故障が検出されたときに、前記エンジンの出力制限値を設定し、前記エンジンの出力を前記出力制限値以下に制限する出力制限手段とを備え、
    前記出力制限手段は、前記出力制限値を、前記エンジンを流れる冷却水の流量が多いほど、大きい値に設定することを特徴とする、エンジンの冷却システム。
  2. 前記エンジンを流れる冷却水の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
    前記出力制限手段は、前記温度検出手段で検出された温度が低いほど、前記出力制限値を大きい値に設定することを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの冷却システム。
  3. 前記出力制限手段は、前記温度検出手段で検出された温度が予め定められた温度未満であるときには、前記出力制限値を予め定められた最大値に設定することを特徴とする、請求項2に記載のエンジンの冷却システム。
  4. 前記出力制限手段は、エンジン回転数が低いほど、前記出力制限値を大きい値に設定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンの冷却システム。
  5. 前記流量制御バルブは、開度と回転角度との間に予め定められた相関関係を有するロータリーバルブであり、
    前記冷却システムは、前記流量制御バルブの回転角度を検出する回転角度検出手段をさらに備え、
    前記故障状態検出手段は、前記回転角度検出手段で検出された検出回転角度と、前記バルブ制御手段から前記流量制御バルブに対して出力された前記回転角度の制御値である制御回転角度との差に基づいて、前記流量制御バルブの故障を検出することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のエンジンの冷却システム。
  6. 前記冷却水流路は、ラジエータを経由するラジエータ経由流路を含み、
    前記出力制限手段は、前記流量制御バルブが前記ラジエータ経由流路に対して開かれているときには、前記流量制御バルブが前記ラジエータ経由流路に対して開かれていないときよりも、前記出力制限値を大きい値に設定することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のエンジンの冷却システム。
  7. 前記冷却水流路は、ラジエータを経由するラジエータ経由流路を含み、
    前記出力制限手段は、前記ラジエータ経由流路に対する前記流量制御バルブの開度レベル毎に予め設定され、かつ前記エンジンを流れる冷却水の温度と前記エンジンへの燃料噴射量の制限値との関係を規定する複数のエンジン出力制限パターンを記憶しているとともに、前記故障状態検出手段により故障が検出されたときに、前記複数のエンジン出力制限パターンの中から前記流量制御バルブの開度レベルに対応する一つのエンジン出力制限パターンを選択し、選択したエンジン出力制限パターンに基づいて燃料噴射量を制限することを特徴する、請求項1乃至6のいずれかに記載のエンジンの冷却システム。
  8. 前記複数のエンジン出力制限パターンは、前記ラジエータ経由流路に対する前記流量制御バルブの開度レベルが高いものほど、同じ冷却水温度における前記燃料噴射量の制限値が高く設定されていることを特徴とする、請求項7に記載のエンジンの冷却システム。
JP2014195507A 2014-09-25 2014-09-25 エンジンの冷却システム Active JP6191569B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014195507A JP6191569B2 (ja) 2014-09-25 2014-09-25 エンジンの冷却システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014195507A JP6191569B2 (ja) 2014-09-25 2014-09-25 エンジンの冷却システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016065517A JP2016065517A (ja) 2016-04-28
JP6191569B2 true JP6191569B2 (ja) 2017-09-06

Family

ID=55805182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014195507A Active JP6191569B2 (ja) 2014-09-25 2014-09-25 エンジンの冷却システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6191569B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6477636B2 (ja) * 2016-09-07 2019-03-06 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
JP6461221B2 (ja) * 2017-03-30 2019-01-30 株式会社Subaru エンジンの制御装置
JP6989407B2 (ja) * 2018-02-14 2022-01-05 日立Astemo株式会社 運転制御装置
KR102496808B1 (ko) * 2018-07-19 2023-02-06 현대자동차 주식회사 통합 유량 제어 밸브 장착 차량 및 통합 유량 제어 밸브 장착 차량의 제어 방법
JP7230664B2 (ja) * 2019-04-22 2023-03-01 マツダ株式会社 エンジンの冷却装置
JP2020176581A (ja) * 2019-04-22 2020-10-29 マツダ株式会社 エンジンの制御装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000303842A (ja) * 1999-04-21 2000-10-31 Honda Motor Co Ltd エンジンの冷却制御装置
JP2002098245A (ja) * 2000-09-21 2002-04-05 Denso Corp 流量制御弁およびそれを用いた内燃機関の冷却装置
JP4045894B2 (ja) * 2002-08-19 2008-02-13 株式会社デンソー エンジンおよび燃料電池の冷却装置
JP2004124798A (ja) * 2002-10-02 2004-04-22 Denso Corp 内燃機関の制御装置
JP2004176591A (ja) * 2002-11-26 2004-06-24 Denso Corp ラジエータファン駆動制御装置
JP2005256641A (ja) * 2004-03-09 2005-09-22 Toyota Motor Corp 内燃機関の冷却制御装置
JP2006105105A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Aisan Ind Co Ltd エンジンの冷却装置
JP4575934B2 (ja) * 2007-06-19 2010-11-04 本田技研工業株式会社 エキゾーストマニホールド用冷却装置
JP5878052B2 (ja) * 2012-03-21 2016-03-08 日立オートモティブシステムズ株式会社 エンジンの制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016065517A (ja) 2016-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6191569B2 (ja) エンジンの冷却システム
JP6319018B2 (ja) エンジンの冷却システム
JP6210040B2 (ja) エンジンの冷却システム
KR102440603B1 (ko) 이지알 쿨러를 구비한 엔진 냉각시스템
JP6645459B2 (ja) 車載内燃機関の冷却液循環システム
JP4288200B2 (ja) 高、低温冷却系を備えた内燃機関
EP3364012B1 (en) Controller and control method for internal combustion engine
JP5204609B2 (ja) エンジンの制御装置
JP6414194B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2015059458A (ja) クーリングシステムの制御装置
JP6210041B2 (ja) エンジンの冷却システム
JP6007128B2 (ja) 排気再循環装置の冷却装置
JP2006161806A (ja) 液冷式内燃機関の冷却装置
JP5490987B2 (ja) エンジンの冷却装置
JP6098595B2 (ja) エンジンの排気還流制御装置
JP6098593B2 (ja) エンジンの排気還流制御装置
JP2006105093A (ja) エンジンの冷却装置
JP6813072B2 (ja) 車載内燃機関の冷却液循環システム
JP7272077B2 (ja) エンジンの排気ガス還流装置
JP2011185245A (ja) 内燃機関の冷却装置
JP2006105105A (ja) エンジンの冷却装置
JP2005201092A (ja) 内燃機関用過給システム
JP2006105104A (ja) エンジンの冷却装置
JP2006105106A (ja) エンジンの冷却装置
JP2006112234A (ja) エンジンの冷却装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170403

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170711

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170724

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6191569

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150