JP6180551B2 - 半球共振型ジャイロ - Google Patents

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Description

本発明は、半球共振型ジャイロ(HRG:Hemispherical Resonator Gyro)に関し、特に、半球状の共振器を1次共振させ、当該共振モードの位相変化から回転角度を検出するか、あるいは、当該共振モードの位相変化を抑制するための制御量から回転角速度を検出する半球共振型ジャイロに関するものである。
従来の半球共振型ジャイロとして、例えば特許文献1に記載された振動回転センサーがある。この振動回転センサーの主要な機械系構成は、半球共振器、フォーサ、および、ピックオフである。フォーサによって半球共振器に1次共振モードを励起させ、ピックオフによって当該共振モードの位相変化を検出することで、センサ計測軸方向の回転角度を検出している。
一方、当該振動回転センサーの電気系および制御系は、(1)基準位相発生器、(2)1次共振振幅制御、(3)直角位相振動制御、(4)1次共振モードの位相角検出、の4機能で構成される。これら(1)〜(4)の機能について以下に説明する。
はじめに、基準位相発生器に実装したフェーズ・ロックド・ループPLLによって、ピックオフから出力される検出信号に基づいて半球共振器の1次共振周波数をロックし、更に、各種基準位相信号を生成する。ピックオフから出力される検出信号は、基準位相発生器で生成した基準位相信号に基づいて復調され、半球共振器に励起された1次共振モード、および、波節直角位相振動の振幅に変換される。
1次共振振幅制御では、半球共振器に励起された1次共振モードの振幅が予め設定された一定値となるように、基準位相発生器で生成した基準位相信号に基づいて、フォーサに印加する方形波電圧を制御する。
直角位相振動制御では、1次共振モードの波腹位相角から22.5度ずれた直交軸に対して負のばね剛性を付加するように、フォーサに印加する直流電圧を制御することで、波節直角位相振動の振幅を零に抑制して、半球共振器上に1次共振モードのみが励起された状態を実現する。
最後に、1次共振モードの位相角検出において、半球共振器に励起された1次共振モードの波腹位相角を算出し、当該位相角の変化量に対して半球共振器固有のスケールファクタを乗ずることで、センサ計測軸方向の回転角度を検出している。
また、従来の半球共振型ジャイロの他の例として、例えば特許文献2に記載された振動式ジャイロスコープの制御回路がある。
この振動式ジャイロスコープの制御回路では、共振器上に励起された1次共振モードを、当該共振器上を周方向に時計回り、および、反時計回りに進行する2つの進行波の合成として捉え、ピックオフから出力される検出信号に基づいて、フェーズ・ロックド・ループPLLによって各々の進行波に対する基準位相信号を生成する。
更に、共振器振動の減衰損失を補正して各進行波の振動振幅を予め設定された一定値に維持すること、および、共振器に対して効率的に1次共振モードを励起することを目的として、上記基準位相信号に基づき、各進行波の半径方向変位に対して90度位相を進ませた状態で、フォーサ印加電圧が制御される。
最後に、フェーズ・ロックド・ループPLLで生成した各進行波に関する基準位相信号の位相差から、共振器上に励起された1次共振モードの波腹位相角を算出し、当該位相角の変化量に対して共振器固有のスケールファクタを乗ずることで、センサ計測軸方向の回転角度を検出している。
特開昭60−166818号公報 特開平6−241810号公報
このような半球共振型ジャイロでは、半球共振器における1次共振周波数のロック、および、当該1次共振周波数に対する各種基準位相信号の生成に関して、フェーズ・ロックド・ループPLLを適用している。
しかしながら、フェーズ・ロックド・ループPLLでは、内部のループフィルタ設計によっては、PLL自体の安定性が損なわれるという問題点があった。
また、理想的なPLL出力としては、低位相雑音特性、および、スプリアス抑圧特性を両立したスペクトル純度の高さが要求されるが、一般にこれらの特性はトレードオフの関係にあり、スペクトル純度の高いPLL出力を得ることが難しいという問題点もあった。
加えて、半球共振型ジャイロによる検出分解能を高めるためには、基準位相信号の位相分解能を向上させることが不可欠となる。しかしながら、例えば1次共振周波数4kHzの信号に対して、位相分解能0.1度を実現するための等価な時間分解能は70nsとなる。そのため、PLLでは基準位相信号の位相分解能、換言すれば、半球共振型ジャイロの検出分解能に限界があるという問題点もあった。
更に、従来の半球共振型ジャイロでは、理想的な共振系では、加振力に対する強制振動変位の位相特性が−90度となることを前提として、共振器に対して効率的に1次共振モードを励起するために、共振器の半径方向変位に対してフォーサ駆動電圧指令の位相を90度進ませている。
しかしながら、フォーサ駆動電圧指令から共振器変位までの位相特性には、理想的な共振系における加振力から強制振動変位の位相特性−90度に加えて、フォーサ駆動電圧指令からフォーサで発生する真の加振力までの位相特性、および、真の共振器変位からピックオフ検出信号までの位相特性も重畳されるため、後者を考慮しなければ共振器に対する効率的な1次共振モードの励起とはならないという問題点もあった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに角度検出または角速度検出を行うことで、常に安定に動作し、更に半球共振器の1次共振周波数ロックに対する極めてスペクトル純度の高い動作と、当該1次共振周波数に対する高位相分解能を実現することで、角度または角速度検出分解能を向上させた半球共振型ジャイロを得ることを目的としている。
本発明は、計測軸としての角度計測軸に対して軸対称な半球形状を有し、前記角度計測軸に対して垂直な平面において共振パターンを維持させるための半球共振器と、前記半球共振器に対して前記角度計測軸回りに配置され、前記半球共振器に対して半径方向の吸引力を発生させる複数のアクチュエータと、前記半球共振器に対して前記角度計測軸回りに配置され、前記半球共振器の半径方向の変位を検出する複数の変位センサと、複数の前記変位センサから出力される前記半球共振器の半径方向の前記変位に基づいて、前記計測軸まわりに互いに45度ずれた位置に配置された前記変位センサの出力をそれぞれ実数部および虚数部として得られる複素表現を前記アクチュエータの駆動周波数に一致する回転速度で回転する回転座標系の表現に変換したものから、予め設定された正方向回転の低周波成分と予め設定された負方向回転の低周波成分を求め、これらの低周波成分から前記アクチュエータの交流駆動信号に対する共振位相特性を求め、これらの低周波成分と前記共振位相特性から、前記半球共振器に励起された共振モードの振動振幅及び波腹方位角、および、前記半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅を抽出する振動形状抽出手段と、前記振動形状抽出手段から出力される前記アクチュエータの前記交流駆動信号に対する前記共振位相特性に基づいて、前記アクチュエータの前記駆動周波数を前記半球共振器の共振周波数に一致させる駆動周波数補正手段と、前記振動形状抽出手段から出力される前記波節直角位相振動の前記振動振幅および前記共振モードの前記波腹方位角に基づいて、前記波節直角位相振動を抑制するための複数の前記アクチュエータの直流駆動信号を生成する波節直角位相振動制御手段と、前記振動形状抽出手段から出力される前記共振モードの前記振動振幅および前記波腹方位角に基づいて、前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記振動振幅を予め設定された一定値に制御し、かつ、前記共振モードの前記角度計測軸回りの自由な回転を実現するための複数の前記アクチュエータの前記交流駆動信号を生成する共振制御手段とを備え、前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記波腹方位角から、前記半球共振器の前記角度計測軸方向の回転角度を検出する半球共振型ジャイロである。
本発明によれば、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに、半球共振器に励起された1次共振モードおよび波節直角位相振動の詳細な振動形状を抽出することができるため、半球共振型ジャイロの動作を常に安定化し、半球共振器の1次共振周波数に対する極めてスペクトル純度の高い動作と高精度なロックが可能となり、さらに、1次共振周波数に対して高位相分解能を実現することで、角度検出分解能を向上させることができる。
本発明の実施の形態1から実施の形態4による、角度または角速度計測軸を含む平面に沿った、半球共振型ジャイロの簡略断面図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による、角度または角速度計測軸に垂直な平面に沿った、半球共振型ジャイロの半球共振器、アクチュエータ、変位センサの空間配置を示す簡略図である。 本発明の実施の形態1および実施の形態2による半球共振型ジャイロの全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による振動形状抽出手段の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による振動形状抽出手段において、正方向回転座標系、および負方向回転座標系の概要を示す簡略図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による駆動周波数補正手段において、共振制御手段から出力されるアクチュエータ交流駆動信号から、振動形状抽出手段で抽出される共振モードのアクチュエータ交流駆動信号に対する共振位相特性までの位相関係の概要を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による駆動周波数補正手段において、共振制御手段から出力されるアクチュエータ交流駆動信号に対する、半球共振器変位の周波数特性を示す簡略図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による駆動周波数補正手段の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による波節直角位相振動制御手段の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による波節直角位相振動制御手段において、動作の概要を示す簡略図である。 本発明の実施の形態1および実施の形態2による共振制御手段の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1から実施の形態4による共振制御手段において、動作の概要を示す概略図である。 本発明の実施の形態3および実施の形態4による半球共振型ジャイロの全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3および実施の形態4による共振制御手段の内部構成を示すブロック図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る半球共振型ジャイロの機械系構成を図1および図2に示す。
図1は、本発明の実施の形態1に係る半球共振型ジャイロの機械系構成を説明するための、角度計測軸を含む平面に沿った断面図である。図2は、本発明に係る半球共振型ジャイロの機械系構成を説明するための、角度計測軸に垂直な平面に沿った、半球共振器、アクチュエータ、変位センサの空間配置を示す簡略図である。
図1に示したように、本実施の形態1に係る半球共振型ジャイロの機械系は、角度計測軸1(Z軸)に対して軸対称な半球形状を有する半球共振器2を備える。半球共振器2は、角度計測軸1に対して垂直な平面(XY平面)において、共振パターンを維持することができる。なお、図1に示すように、X軸はZ軸に対して垂直な軸であり、また、図1においては、Y軸の図示を省略しているが、Y軸は、図2に示すように、X軸およびZ軸に対して垂直な軸である。半球共振器2は、上側ハウジング3および下側ハウジング4によって角度計測軸1を介して支持されている。上側ハウジング3は、下方が開口した、矩形の箱型で、断面形状は台形となっている。また、下側ハウジング4は、板状部材で、上側ハウジング3の開口を塞ぐ大きさを有している。半球共振器2は、上側ハウジング3および下側ハウジング4から構成された筺体内に収容されている。上側ハウジング3には、半球共振器2に対して半径方向吸引力を発生させるための複数のアクチュエータDj(j=1、2、・・・)が、角度計測軸1の回りに等間隔で配置されている。更に下側ハウジング4には、半球共振器2の半径方向変位を検出するための複数の変位センサSk(k=1、2、・・・)が、角度計測軸1の回りに等間隔で配置されている。
本発明に係る半球共振型ジャイロの最も一般的な構成としては、図2に示したように、計16個のアクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)を角度計測軸1の回りに22.5度間隔で配置した構成のものである。当該構成においては、各アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)が発生する半径方向吸引力を制御することで、半球共振器2に対して1次共振モードを発生させる。この1次共振モードは、角度計測軸1に対して垂直な平面(XY平面)において楕円形状となり、例えばX−Y直交軸を基準に1次共振モードを励起させた場合、図2において破線で示したX軸方向を長軸とする楕円形状と、同じく図2において一点鎖線で示したY軸方向を長軸とする楕円形状を、1/2周期毎に交互に繰り返す振動モードとなる。このとき、例えば点5で示す振動振幅が最大となる半球共振器2上の点を波腹、例えば点6で示す振動振幅が発生しない半球共振器2上の点を波節と呼ぶ。更に、本実施の形態に係る半球共振型ジャイロの最も一般的な構成としては、図2に示したように計8個の変位センサSk(k=1、2、・・・、8)を角度計測軸1の回りに45度間隔で配置して、半球共振器2に励起された振動に起因する半径方向変位を検出する。
次に、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロを図3〜図12に示す。
図3は、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロの全体構成を示すブロック図である。図3に示したように、この実施の形態1による半球共振型ジャイロは、半球共振器2、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)、変位センサSk(k=1、2、・・・、8)、基準信号生成手段10、振動形状抽出手段11、駆動周波数補正手段12、波節直角位相振動制御手段13、共振制御手段14、角度スケールファクタ乗算手段15、および、アクチュエータ駆動信号合成手段16を備えている。
図3に示した構成において、基準信号生成手段10は、アクチュエータ駆動周波数ωrに対応する正弦波信号sin(ωrt)、および余弦波信号cos(ωrt)を生成する。
振動形状抽出手段11では、基準信号生成手段10から出力される正弦波信号sin(ωrt)および余弦波信号cos(ωrt)と、複数の変位センサSk(k=1、2、・・・、8)から出力される変位センサ出力Ek(k=1、2、・・・、8)とに基づいて、半球共振器2に励起された1次共振モードの振動振幅A、波腹方位角θr、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する共振位相特性φr、および、半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅Bを抽出する。
駆動周波数補正手段12では、振動形状抽出手段11から出力されるアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する共振位相特性φrに基づいて、アクチュエータ駆動周波数ωrを半球共振器2の共振周波数に一致させる。
波節直角位相振動制御手段13では、振動形状抽出手段11から出力される波節直角位相振動の振動振幅Bおよび1次共振モードの波腹方位角θrに基づいて、波節直角位相振動を抑制するための複数のアクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)を生成する。
共振制御手段14では、振動形状抽出手段11から出力される1次共振モードの振動振幅Aおよび波腹方位角θrと、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号cos(ωrt)に基づいて、半球共振器2に励起された1次共振モードの振動振幅Aを予め設定された一定値に制御し、かつ、1次共振モードの角度計測軸1の回りの自由な回転を実現する複数のアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を生成する。
アクチュエータ駆動信号合成手段16では、波節直角位相振動制御手段13から出力される複数のアクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)と、共振制御手段14から出力される複数のアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)とを加算し、当該加算結果を加算信号として、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)に出力する。こうして、この加算信号に基づいて、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)を制御することで、アクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)によって半球共振器2上に1次共振モードのみが励起された状態を実現し、更に、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)によって1次共振モードの振動振幅Aを予め設定された一定値に制御する。
このとき、振動形状抽出手段11から出力される1次共振モードの波腹方位角θrに対して、角度スケールファクタ乗算手段15により、予め設定された角度スケールファクタKθを乗ずることで、角度計測軸1方向の回転角度θを検出することができる。
図4は、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロにおいて、振動形状抽出手段11の内部構成を示すブロック図、図5は、本発明の実施の形態1による振動形状抽出手段11における、正方向回転座標系28および負方向回転座標系29の概要を示す簡略図である。
図4に示したように、この実施の形態1による半球共振型ジャイロの振動形状抽出手段11は、第1の合成手段20、第2の合成手段21、正方向回転座標変換手段22、負方向回転座標変換手段23、正方向低周波抽出手段24、負方向低周波抽出手段25、位相特性抽出手段26、および、振動特性抽出手段27から構成されている。
当該構成において、まず、第1の合成手段20によって、角度計測軸1に直交する第1の直交軸(図2におけるX−Y直交軸)方向に配置された変位センサSk(k=1、3、5、7)から出力される変位センサ出力Ek(k=1、3、5、7)を合成する。
また、第2の合成手段21によって、角度計測軸1に直交し、かつ、第1の直交軸に対して角度計測軸1の回りに45度位相がずれた第2の直交軸方向に配置された変位センサSk(k=2、4、6、8)から出力される変位センサ出力Ek(k=2、4、6、8)を合成する。
次に、第1の合成手段20からの出力を実数部EReとし、第2の合成手段21からの出力を虚数部EImとする、複素表現ERe+jEImを、正方向回転座標変換手段22および負方向回転座標変換手段23に入力する。
正方向回転座標変換手段22では、基準信号生成手段10から出力される正弦波信号sin(ωrt)および余弦波信号cos(ωrt)に基づいて、複素表現ERe+jEImを、図5(a)に示すようにアクチュエータ駆動周波数ωrに一致する回転速度ωrで正方向に回転する正方向回転座標系28による表現E+に変換する。
同様に、負方向回転座標変換手段23では、基準信号生成手段10から出力される正弦波信号sin(ωrt)および余弦波信号cos(ωrt)に基づいて、複素表現ERe+jEImを、図5(b)に示すようにアクチュエータ駆動周波数ωrに一致する回転速度−ωrで負方向に回転する負方向回転座標系29による表現E-に変換する。
正方向回転座標変換手段22から出力される正方向回転座標系表現E+、および、負方向回転座標変換手段23から出力される負方向回転座標系表現E-は、それぞれ、正方向低周波抽出手段24および負方向低周波抽出手段25に入力される。
正方向低周波抽出手段24は、正方向回転座標変換手段22から出力された正方向回転座標系表現E+から、予め設定された低周波成分EDC+を抽出する。
負方向低周波抽出手段25は、負方向回転座標変換手段23から出力される負方向回転座標系表現E-から、予め設定された低周波成分EDC-を抽出する。
位相特性抽出手段26では、正方向低周波抽出手段24からの出力EDC+、および、負方向低周波抽出手段25からの出力EDC-に基づいて、半球共振器2に励起された1次共振モードのアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する共振位相特性φrを算出して出力する。
また、振動特性抽出手段27では、正方向低周波抽出手段24からの出力EDC+、負方向低周波抽出手段25からの出力EDC-、および、位相特性抽出手段26から出力される共振位相特性φrに基づいて、半球共振器2に励起された1次共振モードの振動振幅A、波腹方位角θr、および、半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅Bを算出して出力する。
図6は、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロにおいて、共振制御手段14から出力されるアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)から、振動形状抽出手段11で抽出される共振位相特性φrまでの位相関係の概要を示すブロック図である。図7は、本発明の実施の形態1による駆動周波数補正手段12において、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する半球共振器変位の周波数特性を示す簡略図である。図8は、本発明の実施の形態1による駆動周波数補正手段12の内部構成を示すブロック図である。
本発明に係る半球共振型ジャイロでは、図6に示すように、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)において、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)から半球共振器2に対して作用する真の半径方向吸引力までの特性として、アクチュエータ駆動周波数ωrにおいて位相特性ΨDが存在する。また、変位センサSk(k=1、2、・・・、8)においても、半球共振器2における真の半径方向変位から変位センサ出力Ek(k=1、2、・・・、8)までの特性として、アクチュエータ駆動周波数ωrにおいて位相特性ΨSが存在する。一方、半球共振器2における真の半径方向吸引力から真の半径方向変位までの位相特性は、アクチュエータ駆動周波数ωrに応じて0度から−180度まで変化し、振動形状抽出手段11における変位センサ出力Ek(k=1、2、・・・、8)から共振位相特性φrまでの位相特性は、アクチュエータ駆動周波数ωrによらずほぼ0度となる。
図6に示す位相関係を踏まえると、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する半球共振器変位の周波数特性は、図7に示す通りとなり、ゲイン特性30は半球共振器2の1次共振周波数32において共振ピークを生ずる。一方、共振位相特性φrに関する位相特性31は、アクチュエータ駆動周波数ωrに応じてΨD+ΨSからΨD+ΨS−180度まで変化し、かつ、半球共振器2の1次共振周波数32においてΨD+ΨS−90度となる。
図8に示したように、この実施の形態1による半球共振型ジャイロの駆動周波数補正手段12は、積分器33を備え、振動形状抽出手段11から出力される共振位相特性φrから共振位相特性指令φr *を減じた信号を積分器33によって積分し、積分器33の出力とアクチュエータ駆動周波数の初期値ωr0との加算値によって、アクチュエータ駆動周波数ωrを制御している。
図9は、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロにおいて、波節直角位相振動制御手段13の内部構成を示すブロック図である。図10は、本発明の実施の形態1による波節直角位相振動制御手段13において、動作の概要を示す概略図である。
図9に示したように、この実施の形態1による半球共振型ジャイロの波節直角位相振動制御手段13は、電気的剛性制御手段40と直流駆動電圧分配手段41とを備えている。
電気的剛性制御手段40は、振動形状抽出手段11から出力される波節直角位相振動の振動振幅Bの符号反転値が入力され、波節直角位相振動を抑制するための電気的剛性補正指令uNQを生成する。
直流駆動電圧分配手段41は、電気的剛性制御手段40から出力される電気的剛性補正指令uNQ、および、振動形状抽出手段11から出力される1次共振モードの波腹方位角θrに基づいて、電気的剛性補正指令uNQが正符号の場合には、図10(a)に示すように、波腹方位角θrに対して+22.5度位相がずれた直交軸方向を、半球共振器2に対する電気的剛性補正軸42とする。一方、電気的剛性補正指令uNQが負符号の場合には、図10(b)に示すように、波腹方位角θrに対して−22.5度位相がずれた直交軸方向を半球共振器2に対する電気的剛性補正軸42とする。更に、図10において、太線矢印で示したように、電気的剛性補正軸42に沿って、電気的剛性補正指令uNQの絶対値に対応する半径方向吸引力が半球共振器2に作用するように、電気的剛性補正軸42の両側に配置された各1個のアクチュエータに対して、アクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)を分配する。
図11は、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロにおいて、共振制御手段14の内部構成を示すブロック図である。図12は、本発明の実施の形態1による共振制御手段14において、動作の概要を示す概略図である。
図11に示したように、この実施の形態1による半球共振型ジャイロの共振制御手段14は、共振振幅制御手段50と、交流駆動電圧分配手段51とを備えている。
当該構成において、まず、振動形状抽出手段11から出力される半球共振器2に励起された1次共振モードの振動振幅Aと、予め一定値に設定された振動振幅指令A*との振動振幅偏差が、共振振幅制御手段50に入力される。
共振振幅制御手段50では、振動振幅偏差を零とするような制御指令を算出し、当該制御指令と振動振幅指令A*との加算値を共振振幅指令uRESとして交流駆動電圧分配手段51に対して出力する。
交流駆動電圧分配手段51では、振動形状抽出手段11から出力される半球共振器2に励起された1次共振モードの波腹方位角θrを共振位相指令χとして、共振振幅指令uRES、共振位相指令χ、および、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号cos(ωrt)に基づいて、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)に対するアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を分配する。
特に、本発明の実施の形態1による交流駆動電圧分配手段51では、図12において太線矢印で示したように、共振振幅指令uRESと余弦波信号cos(ωrt)で決定されるそれぞれ逆位相の半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]、uRES[−cos(ωrt)+1]が、共振位相指令χで規定される直交軸に沿って90度間隔で交互に半球共振器2に対して作用するように、当該直交軸の両側に配置された各1個のアクチュエータに対して、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を分配する構成としている。
次に、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロの動作について説明する。
図1および図2に示したように、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロの半球共振器2は、角度計測軸1(Z軸)に対して軸対称な半球形状であり、上側ハウジング3、および下側ハウジング4によって角度計測軸1で支持されている。上側ハウジング3には、計16個のアクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)を角度計測軸1の回りに22.5度間隔で配置しており、半球共振器2に対して各アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)で発生する半径方向吸引力を制御することで、1次共振モードを発生させる。更に、下側ハウジング4には、計8個の変位センサSk(k=1、2、・・・、8)を角度計測軸1の回りに45度間隔で配置しており、半球共振器2に励起された振動の半径方向変位を検出する。
半球共振器2に励起される1次共振モードは、角度計測軸1に対して垂直な平面(XY平面)において楕円形状となる。例えば、図2に示すアクチュエータD1、D9の組、および、D5、D13の組に対するアクチュエータ交流駆動信号fRES1、fRES9、およびfRES5、fRES13として、それぞれ、下記の(1)式に示す、同一振幅で逆位相の余弦波駆動信号を作用させた場合、半球共振器2には破線で示したX軸方向を長軸とする楕円形状と、一点鎖線で示したY軸方向を長軸とする楕円形状を、1/2周期毎に交互に繰り返す1次共振モードが励起される。
Figure 0006180551
半球部分の密度および剛性が完全に均一となる理想的な半球共振器2では、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)による上記のような強制加振によって、半球共振器2上に1次共振モードのみが励起される。しかしながら、密度および剛性に不均一性を有する現実の半球共振器2では、例えば、図2の点6で示す1次共振モードの波節を新たな波腹とし、かつ、1次共振モードに対して90度位相差で振動する波節直角位相振動が発生し、当該振動が半球共振型ジャイロで検出する回転角度のドリフト要因となる。
半球共振器2に励起された1次共振モード、および、波節直角位相振動による半径方向変位は、図3に示したように変位センサSk(k=1、2、・・・、8)によって検出され、このときの変位センサ出力Ek(k=1、2、・・・、8)は、一般に次式(2)で与えられる。
Figure 0006180551
ただし、A:1次共振モード・振動振幅、
θr:1次共振モード・波腹方位角、
φr:1次共振モード・アクチュエータ交流駆動信号に対する共振位相特性、
B:波節直角位相振動・振動振幅、
ωr:アクチュエータ駆動周波数≒1次共振周波数。
振動形状抽出手段11では、式(2)で与えられる変位センサ出力Ek(k=1、2、・・・、8)、および、基準信号生成手段10で生成されるアクチュエータ駆動周波数ωrに対応する正弦波信号sin(ωrt)および余弦波信号cos(ωrt)を入力として、半球共振器2に励起された1次共振モードの振動振幅A、波腹方位角θr、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する共振位相特性φr、および、半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅Bを抽出する。
具体的には、図4に示すように、第1の直交軸(図2におけるX−Y直交軸)方向に配置された変位センサSk(k=1、3、5、7)による変位センサ出力Ek(k=1、3、5、7)、および、第1の直交軸に対して角度計測軸1の回りに45度位相がずれた第2の直交軸方向に配置された変位センサSk(k=2、4、6、8)による変位センサ出力Ek(k=2、4、6、8)を、それぞれ第1の合成手段20、および、第2の合成手段21によって次式(3)で合成する。
Figure 0006180551
次に、第1の合成手段20からの出力EReを実数部とし、第2の合成手段21からの出力EImを虚数部とする下記の式(4)で示す複素表現を求め、正弦波信号sin(ωrt)および余弦波信号cos(ωrt)と共に正方向回転座標変換手段22、および、負方向回転座標変換手段23に入力する。
Figure 0006180551
正方向回転座標変換手段22、および負方向回転座標変換手段23では、式(4)で与えられる複素表現Eを、次式(5)を用いて、図5に示したアクチュエータ駆動周波数ωrに一致する回転速度で正負方向に回転する正方向回転座標系28、および、負方向回転座標系29による表現E+、E-に変換する。
Figure 0006180551
式(5)で与えられる正方向回転座標系表現E+、および負方向回転座標系表現E-は、それぞれ正方向低周波抽出手段24、および負方向低周波抽出手段25によって、下式(6)で示される低周波成分EDC+,EDC-が抽出される。
Figure 0006180551
また、位相特性抽出手段26によって、低周波成分EDC+,EDC-から、下式(7)を用いて、半球共振器2に励起された1次共振モードのアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する共振位相特性φrが算出される。
Figure 0006180551
ただし、ここでは、実際の1次共振モードおよび波節直角位相振動の振動振幅が、下式(8)の関係となることを用いている。
Figure 0006180551
更に、振動特性抽出手段27において、正方向低周波抽出手段24および負方向低周波抽出手段25からの出力EDC+,EDC-(式(6)参照)、および、位相特性抽出手段26から出力される共振位相特性φr(式(7)参照)に基づいて、下式(9)で示されるEa,Ebを算出する。
Figure 0006180551
振動特性抽出手段27は、Ea,Ebを用いて、半球共振器2に励起された1次共振モードの波腹方位角θrを下式(10)で算出し、振動振幅Aを下式(11)で算出し、波節直角位相振動の振動振幅Bを下式(12)で算出する。
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
図3に示す駆動周波数補正手段12では、振動形状抽出手段11から出力される共振位相特性φrに基づいて、アクチュエータ駆動周波数ωrが半球共振器2の1次共振周波数に一致するように補正する。
一般に、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)から、振動形状抽出手段11で抽出される共振位相特性φrまでの位相関係は図6に示す通りである。すなわち、共振位相特性φrには、半球共振器2における真の半径方向吸引力から真の半径方向変位までの、アクチュエータ駆動周波数ωrに応じて0度から−180度まで変化する位相特性に加えて、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)における、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)から半球共振器2に対して作用する真の半径方向吸引力までの位相特性ΨD、および、変位センサSk(k=1、2、・・・、8)における、半球共振器2における真の半径方向変位から変位センサ出力Ek(k=1、2、・・・、8)までの位相特性ΨSが存在する。
したがって、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する半球共振器変位の周波数特性は、図7に示す通りとなる。すなわち、共振位相特性φrに関する位相特性31は、アクチュエータ駆動周波数ωrに応じてΨD+ΨSからΨD+ΨS−180度まで変化し、かつ、半球共振器2の1次共振周波数32においてΨD+ΨS−90度となる。
そこで、駆動周波数補正手段12では、アクチュエータ駆動周波数ωrおけるアクチュエータ位相特性ΨD、および変位センサ位相特性ΨSを用いて、図8における共振位相特性指令φr *を下式(13)に設定し、共振位相特性φrから共振位相特性指令φr *を減じた信号を積分器33によって積分して、積分器33の出力とアクチュエータ駆動周波数の初期値ωr0との加算値を求め、当該加算値によって、アクチュエータ駆動周波数ωrを制御している。
Figure 0006180551
これにより、
(a)アクチュエータ駆動周波数ωr<半球共振器2の1次共振周波数32
⇔ 共振位相特性φr>共振位相特性指令φr *の場合は、
アクチュエータ駆動周波数ωrが高周波側へシフトし、
(b)アクチュエータ駆動周波数ωr>半球共振器2の1次共振周波数32
⇔ 共振位相特性φr<共振位相特性指令φr *の場合は、
アクチュエータ駆動周波数ωrが低周波側へシフトする。
そのため、
アクチュエータ駆動周波数ωr=半球共振器2の1次共振周波数32
⇔ 共振位相特性φr=共振位相特性指令φr *で、
駆動周波数補正手段12が安定化し、半球共振器2における真の1次共振周波数32を高精度にロックする。
図3に示す波節直角位相振動制御手段13では、振動形状抽出手段11から出力される波節直角位相振動の振動振幅Bおよび1次共振モードの波腹方位角θrに基づいて、波節直角位相振動を抑制するための複数のアクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)を生成する。
具体的には、図9に示すように波節直角位相振動における振動振幅Bの符号反転値から、連続系伝達関数が下式(14)で与えられるPI制御器で構成した電気的剛性制御手段40によって、波節直角位相振動を抑制するための電気的剛性補正指令uNQを生成する。
Figure 0006180551
ただし、KNQP:比例ゲイン、
NQI:積分ゲインとする。
直流駆動電圧分配手段41では、はじめに、電気的剛性補正指令uNQの符号、および振動形状抽出手段11から出力される1次共振モードの波腹方位角θrに基づいて、電気的剛性補正指令uNQが正符号の場合には、図10(a)に示すように波腹方位角θrに対して+22.5度位相がずれた直交軸方向を、負符号の場合には、図10(b)に示すように波腹方位角θrに対して−22.5度位相がずれた直交軸方向を、半球共振器2に対する電気的剛性補正軸42として設定する。次に、図10の太線矢印で示したように、電気的剛性補正軸42に沿って電気的剛性補正指令uNQの絶対値に対応する半径方向吸引力が半球共振器2に作用するように、下式(15)〜(18)に基づいてアクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)を決定する。
ただし、ξ:XY平面第1象限に存在する電気的剛性補正軸42が、X軸となす角度とする。
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
これは、電気的剛性補正軸42の両側に配置された各1個のアクチュエータによって、電気的剛性補正指令uNQを実現することに対応しており、本構成によって現実の半球共振器2における不均一性を電気的に補正し、波節直角位相振動を抑制する。
図3に示す共振制御手段14では、振動形状抽出手段11から出力される1次共振モードの振動振幅Aおよび波腹方位角θrと、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号cos(ωrt)とに基づいて、半球共振器2に励起された1次共振モードの振動振幅Aを予め設定した一定値に制御し、かつ、1次共振モードの角度計測軸1の回りの自由な回転を実現するアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を生成する。
具体的には、図11に示すように、予め設定された一定値に設定した振動振幅指令A*と、実際の振動振幅Aとの振動振幅偏差とから、連続系伝達関数が下式(19)で与えられるPI制御器で構成した共振振幅制御手段50によって振動振幅偏差を零とするような制御指令を算出し、当該制御指令と振動振幅指令A*との加算値を、共振振幅指令uRESとする。
Figure 0006180551
ただし、KAP:比例ゲイン、
AI:積分ゲインとする。
更に、半球共振器2に励起された1次共振モードの波腹方位角θrをそのまま共振位相指令χとして、共振振幅指令uRES、共振位相指令χ、および、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号cos(ωrt)を、交流駆動電圧分配手段51に入力する。交流駆動電圧分配手段51では、図12の太線矢印で示したように、共振振幅指令uRESと余弦波信号cos(ωrt)で決定されるそれぞれ逆位相の半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]、および、uRES[−cos(ωrt)+1]が、共振位相指令χで規定される直交軸に沿って90度間隔で交互に半球共振器2に対して作用するように、下式(20)〜(27)に基づいてアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を決定する。
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
これは、共振位相指令χで規定される直交軸の両側に配置された各1個のアクチュエータによって、半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]、および、uRES[−cos(ωrt)+1]を実現することに対応しており、本構成によって1次共振モードの振動振幅Aを予め設定された一定値に制御し、かつ角度計測軸1の回りの自由な回転を実現する。
図3に示すアクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)、および、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)は、アクチュエータ駆動信号合成手段16によって加算され、当該加算信号に基づいてアクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)を制御する。このとき、振動形状抽出手段11から出力される1次共振モードの波腹方位角θrに対して、角度スケールファクタ乗算手段15で、予め設定された角度スケールファクタKθを乗ずることで、角度計測軸1方向の回転角度θが検出される。
このように、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロにより、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに半球共振器2に励起された1次共振モード、および、波節直角位相振動の詳細な振動形状を抽出することができるため、半球共振型ジャイロの動作を常に安定化することが可能となる。また、半球共振器2の1次共振周波数32に対する極めてスペクトル純度の高い動作と高位相分解能を実現することができるため、半球共振型ジャイロの角度検出分解能を向上させることが可能となる。
更に、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロによって、半球共振器2における真の1次共振周波数32を高精度にロックすることが可能となるため、半球共振器2に対して効率的な1次共振モードの励起を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の位相特性を生成することが可能となる。また、1次共振モードの角度計測軸1の回りの自由な回転を実現するためのアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に関して、その生成に必要な制御演算量を低減することが可能となる。
加えて、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロによって、波節直角位相振動を抑制し、半球共振器2に対して1次共振モードのみが励起された状態を実現することができるため、半球共振型ジャイロで検出する回転角度のドリフトを抑制することが可能となる。
なお、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロでは、計16個のアクチュエータ、および計8個の変位センサを適用し、その空間配置を図2に示す構成としたが、本発明はこれに限定するものではなく、アクチュエータに関しては半球共振器2に対する1次共振モードの励起と波節直角位相振動の抑制が実現できる構成であればよく、変位センサに関しては互いに45度位相がずれた2組の直交軸方向について、半球共振器2の半径方向変位が検出できる構成であればよい。
また、本発明の実施の形態1による半球共振型ジャイロでは、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の生成に関して、アクチュエータ駆動周波数ωrの余弦波信号cos(ωrt)を適用したが、本発明はこれに限定するものではなく、対応する数式を適宜変更することにより、正弦波信号sin(ωrt)を適用してもよい。
以上のように、本実施の形態1は、計測軸としての角度計測軸1に対して軸対称な半球形状を有し、角度計測軸1に対して垂直な平面において共振パターンを維持させるための半球共振器2と、半球共振器2を角度計測軸1を介して支持する上側ハウジング3および下側ハウジング4と、上側ハウジング3に対して角度計測軸回りに等間隔で配置され、半球共振器2に対して半径方向の吸引力を発生させる複数のアクチュエータDjと、下側ハウジング4に対して角度計測軸回りに等間隔で配置され、半球共振器2の半径方向の変位を検出する複数の変位センサSkと、アクチュエータDjの駆動周波数に対応する正弦波信号および余弦波信号を生成する基準信号生成手段10と、基準信号生成手段10から出力される正弦波信号および余弦波信号と、複数の変位センサSkから出力される半球共振器2の半径方向の変位とに基づいて、半球共振器2に励起された共振モードの振動振幅及び波腹方位角、アクチュエータDjの交流駆動信号に対する共振位相特性、および、半球共振器2に励起された波節直角位相振動の振動振幅を抽出する振動形状抽出手段11と、振動形状抽出手段11から出力されるアクチュエータDjの交流駆動信号に対する共振位相特性に基づいて、アクチュエータDjの駆動周波数を半球共振器2の共振周波数に一致させる駆動周波数補正手段12と、振動形状抽出手段11から出力される波節直角位相振動の振動振幅および共振モードの波腹方位角に基づいて、波節直角位相振動を抑制するための複数のアクチュエータDjの直流駆動信号を生成する波節直角位相振動制御手段13と、振動形状抽出手段11から出力される共振モードの振動振幅および波腹方位角と、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号とに基づいて、半球共振器2に励起された共振モードの振動振幅を予め設定された一定値に制御し、かつ、共振モードの角度計測軸回りの自由な回転を実現するための複数のアクチュエータDjの交流駆動信号を生成する共振制御手段14とを備え、半球共振器2に励起された共振モードの波腹方位角から、半球共振器2の角度計測軸方向の回転角度を検出する半球共振型ジャイロである。
この構成により、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに半球共振器に励起された1次共振モード、および波節直角位相振動の詳細な振動形状を抽出することができるため、半球共振型ジャイロの動作を常に安定化し、半球共振器の1次共振周波数に対する極めてスペクトル純度の高い動作と高精度なロックが可能となる。
また、本構成に基づく振動形状抽出により、半球共振器の1次共振周波数に対して高位相分解能を実現することができ、半球共振型ジャイロの角度検出分解能を向上させることが可能となる。
更に、本構成によって半球共振器における真の1次共振周波数を高精度にロックすることが可能となるため、半球共振器に対して効率的な1次共振モードの励起を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号の位相特性を生成することができる。
また、本実施の形態においては、振動形状抽出手段11が、角度計測軸1に直交する第1の直交軸方向に配置された変位センサSkの出力を合成する第1の合成手段20と、角度計測軸1に直交し、第1の直交軸に対して計測軸回りに45度位相がずれた第2の直交軸方向に配置された変位センサSkの出力を合成する第2の合成手段21と、第1の合成手段20からの出力を実数部として第2の合成手段21からの出力を虚数部とする複素表現を、アクチュエータDjの駆動周波数に一致する回転速度で正方向に回転する回転座標系による表現に変換する正方向回転座標変換手段22と、第1の合成手段20からの出力を実数部として第2の合成手段21からの出力を虚数部とする複素表現を、アクチュエータDjの駆動周波数に一致する回転速度で負方向に回転する回転座標系による表現に変換する負方向回転座標変換手段23と、正方向回転座標変換手段22の出力から予め設定された低周波成分を抽出する正方向低周波抽出手段24と、負方向回転座標変換手段23の出力から予め設定された低周波成分を抽出する負方向低周波抽出手段25と、正方向低周波抽出手段24および負方向低周波抽出手段25の出力に基づいて、半球共振器2に励起された共振モードのアクチュエータDjの交流駆動信号に対する共振位相特性を算出する位相特性抽出手段26と、正方向低周波抽出手段24および負方向低周波抽出手段25の出力および位相特性抽出手段26の出力に基づいて、半球共振器2に励起された共振モードの振動振幅及び波腹方位角、および、半球共振器2に励起された波節直角位相振動の振動振幅を抽出する振動特性抽出手段27とを有している。
この構成により、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに半球共振器に励起された1次共振モード、および波節直角位相振動の詳細な振動形状を抽出することができるため、半球共振型ジャイロの動作を常に安定化し、更に半球共振器の1次共振周波数に対して極めてスペクトル純度の高い動作と、当該1次共振周波数に対する高位相分解能の実現により、半球共振型ジャイロの角度検出分解能を向上させることができる。
また、本実施の形態においては、駆動周波数補正手段12が、振動形状抽出手段11から出力されるアクチュエータDjの交流駆動信号に対する共振位相特性を、アクチュエータDjの駆動周波数におけるアクチュエータ位相特性と、アクチュエータDjの駆動周波数における変位センサ位相特性と、−90度との合計値に固定するように、アクチュエータDjの駆動周波数を制御する。
この構成により、半球共振器2における真の1次共振周波数を高精度にロックすることが可能となり、更に半球共振器2に対して効率的な1次共振モードの励起を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号の位相特性を生成することができる。
また、波節直角位相振動制御手段13が、振動形状抽出手段11から出力される波節直角位相振動の振動振幅に基づいて、波節直角位相振動を抑制するための電気的剛性補正指令を生成する電気的剛性制御手段40と、電気的剛性制御手段40から出力される電気的剛性補正指令の符号に応じて、前記符号が正符号の場合には共振モードの波腹方位角に対して+22.5度位相がずれた直交軸方向を、符号が負符号の場合には共振モードの波腹方位角に対して−22.5度位相がずれた直交軸方向を、半球共振器2に対する電気的剛性補正軸とし、電気的剛性補正軸の両側に配置された各1個のアクチュエータDjに対して、電気的剛性補正指令の絶対値に基づいてアクチュエータDjの直流駆動信号を分配する直流駆動電圧分配手段41とを有する。
この構成により、波節直角位相振動を抑制して、半球共振器に対して1次共振モードのみが励起された状態を実現することができるため、半球共振型ジャイロで検出する角度出力のドリフトを抑制することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、共振制御手段14が、半球共振器2に励起された共振モードの振動振幅を一定値に制御する共振振幅指令を生成する共振振幅制御手段50と、半球共振器2に励起された共振モードの波腹方位角を共振位相指令として、共振振幅指令、共振位相指令、および、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号に基づいて、複数のアクチュエータDjに対する交流駆動信号を分配する交流駆動電圧分配手段51とを有する。
この構成により、半球共振器に対する効率的な1次共振モードの励起と、1次共振モードの角度計測軸回りの自由な回転を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号を生成することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、共振制御手段14の交流駆動電圧分配手段51は、共振位相指令で規定される角度計測軸1に直交する直交軸の両側に配置された各1個のアクチュエータDjに対して、共振振幅制御手段50から出力される共振振幅指令および基準信号生成手段10から出力される余弦波信号に基づいて、アクチュエータDjの交流駆動信号を分配する。
この構成により、半球共振器に対する所望の1次共振モード励起に関して、アクチュエータ交流駆動信号の生成に必要な制御演算量を低減することが可能となる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロにおいて、半球共振型ジャイロの機械系構成に関する角度計測軸を含む平面に沿った断面図、および、角度計測軸に垂直な平面に沿った、半球共振器、アクチュエータ、変位センサの空間配置を示す簡略図は、実施の形態1の図1および図2と同一である。
また、本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロにおいて、全体構成を示すブロック図、振動形状抽出手段11の内部構成を示すブロック図、振動形状抽出手段11において適用する正方向回転座標系28、および、負方向回転座標系29の概要を示す簡略図、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)から共振位相特性φrまでの位相関係の概要を示すブロック図、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する半球共振器変位の周波数特性を示す簡略図、および、駆動周波数補正手段12の内部構成を示すブロック図は、実施の形態1の図3、図4、図5、図6、図7、および図8と同一である。
更に、本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロにおいて、波節直角位相振動制御手段13の内部構成を示すブロック図、波節直角位相振動制御手段13における動作の概要を示す簡略図、共振制御手段14の内部構成を示すブロック図、および、共振制御手段14における動作の概要を示す簡略図は、実施の形態1の図9、図10、図11、および図12と同一である。
従って、本実施の形態2においては、実施の形態1の図1〜図12を参照し、ここでは、同一の構成については説明を省略し、以下では、実施の形態1と異なる動作について説明する。
以下、本発明の実施の形態2に係る半球共振型ジャイロの動作について説明する。
本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロの駆動周波数補正手段12では、図7に示した共振位相特性φrに関する位相特性31について、半球共振器の共振周波数32に対して予め設定された一定の周波数だけアクチュエータ駆動周波数ωrを低く設定した場合の共振位相特性を、下式(28)とし、
Figure 0006180551
半球共振器の共振周波数32に対して予め設定された一定の周波数だけアクチュエータ駆動周波数ωrを高く設定した場合の共振位相特性を、下式(29)として取得し、
Figure 0006180551
図8における共振位相特性指令φr *を、当該位相特性の平均値として、下式(30)に設定する。
Figure 0006180551
一般に、半球共振器2における1次共振特性のQ値は非常に高く、位相特性31は共振周波数32の近傍で急峻に変化するため、アクチュエータ駆動周波数ωrを共振周波数32に対して概略ア1Hz程度変化させることで、式(28)および式(29)を取得することができる。本構成により、アクチュエータ駆動周波数ωrにおけるアクチュエータ位相特性ΨD、および、変位センサ位相特性ΨSが不明でも、式(28)および式(29)で与えられる共振位相特性を特定することで、半球共振器2における真の1次共振周波数32を高精度にロックすることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロの交流駆動電圧分配手段51では、図12の太線矢印で示したように、共振振幅指令uRESと余弦波信号cos(ωrt)で決定されるそれぞれ逆位相の半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]およびuRES[−cos(ωrt)+1]が、共振位相指令χで規定される直交軸に沿って90度間隔で交互に半球共振器2に対して作用するように、下式(31)〜(38)に基づいてアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を決定する。
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
これは、各アクチュエータにおける発生吸引力のノルムが最小となるように、共振位相指令χで規定される直交軸の両側に配置された各2個のアクチュエータによって、半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]およびuRES[−cos(ωrt)+1]を実現することに対応している。また、余弦波吸引力指令の平方根をアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)とすることで、アクチュエータとして発生吸引力が印加電圧の2乗に比例するような静電容量式アクチュエータを適用した場合において、より正確なアクチュエータ発生吸引力の制御を可能とする。
このように、本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロにより、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに、半球共振器2に励起された1次共振モードおよび波節直角位相振動の詳細な振動形状を抽出することができるため、半球共振型ジャイロの動作を常に安定化することが可能となる。また、半球共振器2の1次共振周波数32に対する極めてスペクトル純度の高い動作と高位相分解能を実現することができるため、半球共振型ジャイロの角度検出分解能を向上させることが可能となる。
更に、本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロによって、アクチュエータ駆動周波数ωrにおけるアクチュエータ位相特性ΨD、および変位センサ位相特性ΨSが不明でも、半球共振器2における真の1次共振周波数32を高精度にロックすることが可能となるため、半球共振器2に対して効率的な1次共振モードの励起を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の位相特性を生成することが可能となる。また、1次共振モードの角度計測軸1の回りの自由な回転を実現するためのアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に関して、アクチュエータとして発生吸引力が印加電圧の2乗に比例するような静電容量式アクチュエータを適用した場合において、各アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の印加電圧レベルを低減すると共に、より正確なアクチュエータ発生吸引力の制御が可能となる。
加えて、本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロによって、波節直角位相振動を抑制し、半球共振器2に対して1次共振モードのみが励起された状態を実現することができるため、半球共振型ジャイロで検出する回転角度のドリフトを抑制することが可能となる。
なお、本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロでは、計16個のアクチュエータ、および計8個の変位センサを適用し、その空間配置を図2に示す構成としたが、本発明はこれに限定するものではなく、アクチュエータに関しては半球共振器2に対する1次共振モードの励起と波節直角位相振動の抑制が実現できる構成であればよく、変位センサに関しては互いに45度位相がずれた2組の直交軸方向について、半球共振器2の半径方向変位が検出できる構成であればよい。
また、本発明の実施の形態2による半球共振型ジャイロでは、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の生成に関して、アクチュエータ駆動周波数ωrの余弦波信号cos(ωrt)を適用したが、本発明はこれに限定するものではなく、対応する数式を適宜変更することにより、正弦波信号sin(ωrt)を適用してもよい。
以上のように、本実施の形態2によれば、上記の実施の形態1と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態によれば、駆動周波数補正手段12は、振動形状抽出手段11から出力されるアクチュエータDjの交流駆動信号に対する共振位相特性を、半球共振器2の共振周波数に対して予め設定された周波数だけアクチュエータDjの駆動周波数を低く設定した場合の共振位相特性と、半球共振器2の共振周波数に対して予め設定された周波数だけアクチュエータDjの駆動周波数を高く設定した場合の共振位相特性との平均値に固定するように、アクチュエータDjの駆動周波数を制御する。
この構成により、アクチュエータ駆動周波数におけるアクチュエータ位相特性、および変位センサ位相特性が不明でも、半球共振器における真の1次共振周波数を高精度にロックすることが可能となり、更に半球共振器に対して効率的な1次共振モードの励起を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号の位相特性を生成することができる。
また、本実施の形態によれば、共振制御手段14の交流駆動電圧分配手段51は、共振位相指令で規定される直交軸の両側に配置された各2個のアクチュエータDjに対して、アクチュエータDjの発生吸引力のノルムが最小となるように、共振振幅制御手段50から出力される共振振幅指令および基準信号生成手段10から出力される余弦波信号に基づいて余弦波吸引力指令を算出し、余弦波吸引力指令の平方根を、アクチュエータDjの交流駆動信号として分配する。
この構成により、アクチュエータとして発生吸引力が印加電圧の2乗に比例するような静電容量式アクチュエータを適用した場合において、半球共振器に対する所望の1次共振モード励起に関して、各アクチュエータ交流駆動信号の印加電圧レベルを低減すると共に、より正確なアクチュエータ発生吸引力の制御が可能となる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロにおいて、半球共振型ジャイロの機械系構成に関する角速度計測軸を含む平面に沿った断面図、および、角速度計測軸に垂直な平面に沿った、半球共振器、アクチュエータ、変位センサの空間配置を示す簡略図は、実施の形態1の図1および図2と同一である。
また、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロにおいて、振動形状抽出手段11の内部構成を示すブロック図、振動形状抽出手段11において適用する正方向回転座標系28、および負方向回転座標系29の概要を示す簡略図、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)から共振位相特性φrまでの位相関係の概要を示すブロック図、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する半球共振器変位の周波数特性を示す簡略図、および、駆動周波数補正手段12の内部構成を示すブロック図は、実施の形態1の図4、図5、図6、図7、および図8と同一である。
更に、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロにおいて、波節直角位相振動制御手段13の内部構成を示すブロック図、波節直角位相振動制御手段13における動作の概要を示す簡略図、および、共振制御手段14における動作の概要を示す簡略図は、実施の形態1の図9、図10、および、図12と同一である。
従って、本実施の形態3においては、実施の形態1の図1、図2、図4〜図10、および、図12を参照し、ここでは、同一の構成については説明を省略し、以下では、実施の形態1と異なる構成および動作について説明する。
以下、本発明の実施の形態3に係る半球共振型ジャイロについて説明する。
図13は、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロの全体構成を示すブロック図である。図13の構成と実施の形態1で示した図3の構成との大きな違いは、図13においては、角度スケールファクタ乗算手段15が設けられていない点である。従って、実施の形態3による半球共振型ジャイロは、図13に示したように、半球共振器2、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)、変位センサSk(k=1、2、・・・、8)、基準信号生成手段10、振動形状抽出手段11、駆動周波数補正手段12、波節直角位相振動制御手段13、共振制御手段14、および、アクチュエータ駆動信号合成手段16を備えている。
図13に示したように、本実施の形態3による半球共振型ジャイロでは、まず、基準信号生成手段10によって、アクチュエータ駆動周波数ωrに対応する正弦波信号sin(ωrt)および余弦波信号cos(ωrt)を生成する。
振動形状抽出手段11では、基準信号生成手段10から出力される正弦波信号sin(ωrt)および余弦波信号cos(ωrt)と、複数の変位センサSk(k=1、2、・・・、8)から出力される変位センサ出力Ek(k=1、2、・・・、8)とに基づいて、半球共振器2に励起された1次共振モードの振動振幅A、波腹方位角θr、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する共振位相特性φr、および、半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅Bを抽出する。
駆動周波数補正手段12では、振動形状抽出手段11から出力されるアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する共振位相特性φrに基づいて、アクチュエータ駆動周波数ωrを半球共振器2の共振周波数に一致させる。
波節直角位相振動制御手段13では、振動形状抽出手段11から出力される波節直角位相振動の振動振幅Bおよび1次共振モードの波腹方位角θrに基づいて、波節直角位相振動を抑制するための複数のアクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)を生成する。
共振制御手段14では、振動形状抽出手段11から出力される1次共振モードの振動振幅Aおよび波腹方位角θrと、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号cos(ωrt)とに基づいて、半球共振器2に励起された1次共振モードに関して振動振幅Aおよび波腹方位角θrの双方を、予め設定された一定形状に制御するための複数のアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を生成する。
こうして波節直角位相振動制御手段13から出力される複数のアクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)と、共振制御手段14から出力される複数のアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)とは、アクチュエータ駆動信号合成手段16によって加算され、加算信号として出力される。当該加算信号に基づいてアクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)を制御することで、アクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)によって半球共振器2上に1次共振モードのみが励起された状態を実現し、更にアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)によって1次共振モードを予め設定された一定形状に制御する。
このとき、共振制御手段14において、波腹方位角θrを一定角度に維持するための制御指令は、角速度計測軸1方向の回転角速度ωに比例するため、当該制御指令に対して予め設定された角速度スケールファクタを乗ずることで、角速度計測軸1方向の回転角速度ωを検出することができる。
図14は、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロにおいて、共振制御手段14の内部構成を示すブロック図である。図14に示したように、この実施の形態3による半球共振型ジャイロの共振制御手段14は、共振振幅制御手段50と、交流駆動電圧分配手段51と、共振位相制御手段52と、角速度スケールファクタ乗算手段53とを備えている。
図14に示すように、本実施の形態3による半球共振型ジャイロの共振制御手段14では、振動形状抽出手段11から出力される半球共振器2に励起された1次共振モードの振動振幅Aと、予め一定値に設定された振動振幅指令A*との振動振幅偏差が、共振振幅制御手段50に入力される。
共振振幅制御手段50では、振動振幅偏差を零とするような制御指令を算出し、当該制御指令と振動振幅指令A*との加算値を共振振幅指令uRESとして交流駆動電圧分配手段51に対して出力する。
一方、振動形状抽出手段11から出力される半球共振器2に励起された1次共振モードの波腹方位角θrと、予め一定角度に設定された波腹方位角指令θr *との波腹方位角偏差が、共振位相制御手段52に入力される。
共振位相制御手段52では、波腹方位角偏差を零とするような制御指令を算出し、当該制御指令と波腹方位角指令θr *との加算値を共振位相指令χとして交流駆動電圧分配手段51に対して出力する。
交流駆動電圧分配手段51では、共振振幅指令uRES、共振位相指令χ、および、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号cos(ωrt)に基づいて、アクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)に対するアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を分配する。このとき、共振位相制御手段52から出力される制御指令は、角速度計測軸1方向の回転角速度ωに比例するため、当該制御指令に対して角速度スケールファクタ乗算手段53により、予め設定された角速度スケールファクタKωを乗ずることで、角速度計測軸1方向の回転角速度ωを検出することができる。
特に、本発明の実施の形態3による交流駆動電圧分配手段51では、図12において太線矢印で示したように、共振振幅指令uRESと余弦波信号cos(ωrt)とで決定されるそれぞれ逆位相の半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]、uRES[−cos(ωrt)+1]が、共振位相指令χで規定される直交軸に沿って90度間隔で交互に半球共振器2に対して作用するように、当該直交軸の両側に配置された各2個のアクチュエータに対して、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)のノルムが最小となるように分配する構成としている。
次に、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロの動作について説明する。
本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロでは、図1に示す半球共振器2の対称軸(Z軸)が、角速度計測軸1となる。
半球共振器2に励起された1次共振モードおよび波節直角位相振動による半径方向変位は、図13に示すように変位センサSk(k=1、2、・・・、8)によって検出され、このときの変位センサ出力Ek(k=1、2、・・・、8)は、式(2)で与えられる。
図13において、基準信号生成手段10、振動形状抽出手段11、および、波節直角位相振動制御手段13の構成および動作は、実施の形態1による半球共振型ジャイロのものと同一であり、駆動周波数補正手段12の構成および動作は、実施の形態2による半球共振型ジャイロのものと同一である。従って、これらの構成については、説明を省略する。
図13に示す共振制御手段14では、振動形状抽出手段11から出力される1次共振モードの振動振幅Aおよび波腹方位角θrと、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号cos(ωrt)とに基づいて、半球共振器2に励起された1次共振モードに関して振動振幅A及び波腹方位角θrの双方を、予め設定された一定形状に制御するためのアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を生成する。
具体的には、図14に示すように、まず、予め一定値に設定した振動振幅指令A*と、実際の振動振幅Aとの振動振幅偏差から、連続系伝達関数が式(19)で与えられるPI制御器で構成した共振振幅制御手段50によって、振動振幅偏差を零とするような制御指令を算出し、当該制御指令と振動振幅指令A*との加算値を、共振振幅指令uRESとする。
また、予め一定角度に設定した波腹方位角指令2θr *と、実際の波腹方位角2θrとの波腹方位角偏差から、連続系伝達関数が、下式(39)で与えられるPI制御器で構成した共振位相制御手段52によって、波腹方位角偏差を零とするような制御指令を算出し、当該制御指令と波腹方位角指令2θr *との加算値を、共振位相指令2χとする。
Figure 0006180551
ただし、KθP:比例ゲイン、
θI:積分ゲインとする。
交流駆動電圧分配手段51では、共振振幅指令uRES、共振位相指令2χ、および、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号cos(ωrt)に基づいて、図12の太線矢印で示したように、共振振幅指令uRESと余弦波信号cos(ωrt)で決定されるそれぞれ逆位相の半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]およびuRES[−cos(ωrt)+1]が、共振位相指令χで規定される直交軸に沿って90度間隔で交互に半球共振器2に対して作用するように、下式(40)〜(47)に基づいてアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を決定する。
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
Figure 0006180551
これは、各アクチュエータにおける発生吸引力のノルムが最小となるように、共振位相指令χで規定される直交軸の両側に配置された各2個のアクチュエータによって、半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]およびuRES[−cos(ωrt)+1]を実現することに対応しており、本構成によって1次共振モードを予め設定した一定形状に制御する。
図13に示すアクチュエータ直流駆動信号fNQj(j=1、2、・・・、16)およびアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)は、アクチュエータ駆動信号合成手段16によって加算され、当該加算信号に基づいてアクチュエータDj(j=1、2、・・・、16)を制御する。このとき、共振位相制御手段52から出力される制御指令に対して、角速度スケールファクタ乗算手段53により、予め設定された角速度スケールファクタKωを乗ずることで、角速度計測軸1方向の回転角速度ωが検出される。
このように、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロにより、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに、半球共振器2に励起された1次共振モードおよび波節直角位相振動の詳細な振動形状を抽出することができるため、半球共振型ジャイロの動作を常に安定化することが可能となる。また、半球共振器2の1次共振周波数32に対する極めてスペクトル純度の高い動作と高位相分解能を実現することができるため、半球共振型ジャイロの角速度検出分解能を向上させることが可能となる。
更に、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロによって、アクチュエータ駆動周波数ωrにおけるアクチュエータ位相特性ΨD、および変位センサ位相特性ΨSが不明でも、半球共振器2における真の1次共振周波数32を高精度にロックすることが可能となるため、半球共振器2に対して効率的な1次共振モードの励起を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の位相特性を生成することが可能となる。また、1次共振モードに関して振動振幅A、波腹方位角θrの双方を予め設定された一定形状(一定値および一定角度)に制御するためのアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)について、各アクチュエータに対する印加電圧レベルを低減することが可能となる。
加えて、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロによって、波節直角位相振動を抑制し、半球共振器2に対して1次共振モードのみが励起された状態を実現することができるため、半球共振型ジャイロで検出する回転角速度のドリフトを抑制することが可能となる。
なお、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロでは、計16個のアクチュエータ、および計8個の変位センサを適用し、その空間配置を図2に示す構成としたが、本発明はこれに限定するものではなく、アクチュエータに関しては半球共振器2に対する1次共振モードの励起と波節直角位相振動の抑制が実現できる構成であればよく、変位センサに関しては互いに45度位相がずれた2組の直交軸方向について、半球共振器2の半径方向変位が検出できる構成であればよい。
また、本発明の実施の形態3による半球共振型ジャイロでは、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の生成に関して、アクチュエータ駆動周波数ωrの余弦波信号cos(ωrt)を適用したが、本発明はこれに限定するものではなく、対応する数式を適宜変更することにより、正弦波信号sin(ωrt)を適用してもよい。
以上のように、本実施の形態3によれば、計測軸としての角速度計測軸1に対して軸対称な半球形状を有し、角速度計測軸1に対して垂直な平面において共振パターンを維持させるための半球共振器2と、半球共振器2を角速度計測軸1を介して支持する上側ハウジング3および下側ハウジング4と、上側ハウジング3に対して角速度計測軸回りに等間隔で配置され、半球共振器2に対して半径方向の吸引力を発生させる複数のアクチュエータDjと、下側ハウジング4に対して角速度計測軸回りに等間隔で配置され、半球共振器2の半径方向の変位を検出する複数の変位センサSkと、アクチュエータDjの駆動周波数に対応する正弦波信号および余弦波信号を生成する基準信号生成手段10と、基準信号生成手段10から出力される正弦波信号および余弦波信号と、複数の変位センサSkから出力される半球共振器2の半径方向の変位とに基づいて、半球共振器2に励起された共振モードの振動振幅及び波腹方位角、アクチュエータDjの交流駆動信号に対する共振位相特性、および、半球共振器2に励起された波節直角位相振動の振動振幅を抽出する振動形状抽出手段11と、振動形状抽出手段11から出力されるアクチュエータDjの交流駆動信号に対する共振位相特性に基づいて、アクチュエータDjの駆動周波数を半球共振器2の共振周波数に一致させる駆動周波数補正手段12と、振動形状抽出手段11から出力される波節直角位相振動の振動振幅および共振モードの波腹方位角に基づいて、波節直角位相振動を抑制するための複数のアクチュエータDjの直流駆動信号を生成する波節直角位相振動制御手段13と、振動形状抽出手段11から出力される共振モードの振動振幅および波腹方位角と、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号とに基づいて、半球共振器2に励起された共振モードの振動振幅及び波腹方位角の双方を予め設定された一定値及び一定角度に制御するための複数のアクチュエータDjの交流駆動信号を生成する共振制御手段14とを備え、共振制御手段14における波腹方位角を一定角度に維持するための制御指令から、半球共振器2の角速度計測軸方向の回転角速度を検出する。
この構成により、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに半球共振器に励起された1次共振モード、および波節直角位相振動の詳細な振動形状を抽出することができるため、半球共振型ジャイロの動作を常に安定化し、半球共振器の1次共振周波数に対する極めてスペクトル純度の高い動作と高精度なロックが可能となる。
また、本構成に基づく振動形状抽出により、半球共振器の1次共振周波数に対して高位相分解能を実現することができ、半球共振型ジャイロの角速度検出分解能を向上させることが可能となる。
更に、本構成によって半球共振器における真の1次共振周波数を高精度にロックすることが可能となるため、半球共振器に対して効率的な1次共振モードの励起を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号の位相特性を生成することができる。
また、本実施の形態によれば、共振制御手段14は、半球共振器2に励起された共振モードの振動振幅を一定値に制御する共振振幅指令を生成する共振振幅制御手段50と、半球共振器2に励起された共振モードの波腹方位角を一定角度に制御する共振位相指令を生成する共振位相制御手段52と、共振振幅指令、共振位相指令、および、基準信号生成手段10から出力される余弦波信号に基づいて、複数のアクチュエータDjに対する交流駆動信号を分配する交流駆動電圧分配手段51とを有する。
この構成により、半球共振器に対する効率的な1次共振モードの励起と、1次共振モードに関して振動振幅、波腹方位角の双方を予め設定された一定形状に制御するための、アクチュエータ交流駆動信号を生成することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、共振制御手段14の交流駆動電圧分配手段51は、共振位相指令で規定される角速度計測軸1に直交する直交軸の両側に配置された各2個のアクチュエータDjに対して、アクチュエータDjの駆動電圧のノルムが最小となるように、共振振幅制御手段50から出力される共振振幅指令および基準信号生成手段10から出力される余弦波信号に基づいてアクチュエータDjの交流駆動信号を分配する。
この構成により、半球共振器に対する所望の1次共振モード励起に関して、各アクチュエータ交流駆動信号の印加電圧レベルを低減することが可能となる。
また、上記の実施の形態1、2と同じ構成については、実施の形態1、2で上述した効果が得られることは言うまでもない。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロにおいて、半球共振型ジャイロの機械系構成に関する角速度計測軸を含む平面に沿った断面図、および、角速度計測軸に垂直な平面に沿った、半球共振器、アクチュエータ、変位センサの空間配置を示す簡略図は、実施の形態1の図1および図2と同一である。
また、本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロにおいて、全体構成を示すブロック図は実施の形態3の図13と同一であり、振動形状抽出手段11の内部構成を示すブロック図、振動形状抽出手段11において適用する正方向回転座標系28、および負方向回転座標系29の概要を示す簡略図、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)から共振位相特性φrまでの位相関係の概要を示すブロック図、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)に対する半球共振器変位の周波数特性を示す簡略図、および駆動周波数補正手段12の内部構成を示すブロック図は、実施の形態1の図4、図5、図6、図7、および、図8と同一である。
更に、本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロにおいて、波節直角位相振動制御手段13の内部構成を示すブロック図、波節直角位相振動制御手段13における動作の概要を示す簡略図、および共振制御手段14における動作の概要を示す簡略図は、実施の形態1の図9、図10、および、図12と同一であり、共振制御手段14の内部構成を示すブロック図は、実施の形態3の図14と同一である。
従って、本実施の形態4においては、実施の形態1の図1、図2、図4〜図10および図12、並びに、実施の形態3の図14を参照し、ここでは、同一の構成については説明を省略し、以下では、実施の形態1および3と異なる動作について説明する。
以下、本発明の実施の形態4に係る半球共振型ジャイロの動作について説明する。
本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロでは、図1に示す半球共振器2の対称軸(Z軸)が、角速度計測軸1となる。
図13において、基準信号生成手段10、振動形状抽出手段11、駆動周波数補正手段12、および波節直角位相振動制御手段13の構成および動作は、実施の形態1による半球共振型ジャイロのものと同一であり、共振制御手段14の構成は、実施の形態3による半球共振型ジャイロのものと同一である。
本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロの交流駆動電圧分配手段51では、図12の太線矢印で示したように、共振振幅指令uRESと余弦波信号cos(ωrt)で決定されるそれぞれ逆位相の半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]、および、uRES[−cos(ωrt)+1]が、共振位相指令χで規定される直交軸に沿って90度間隔で交互に半球共振器2に対して作用するように、下式(48)〜(55)に基づいてアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)を決定する。
Figure 0006180551
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これは、共振位相指令χで規定される直交軸の両側に配置された各1個のアクチュエータによって、半径方向吸引力uRES[cos(ωrt)+1]およびuRES[−cos(ωrt)+1]を実現することに対応している。また、余弦波吸引力指令の平方根をアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)とすることで、アクチュエータとして発生吸引力が印加電圧の2乗に比例するような静電容量式アクチュエータを適用した場合において、より正確なアクチュエータ発生吸引力の制御を可能とする。
このように、本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロにより、従来のフェーズ・ロックド・ループPLLを使用せずに、半球共振器2に励起された1次共振モードおよび波節直角位相振動の詳細な振動形状を抽出することができるため、半球共振型ジャイロの動作を常に安定化することが可能となる。また、半球共振器2の1次共振周波数32に対する極めてスペクトル純度の高い動作と高位相分解能を実現することができるため、半球共振型ジャイロの角速度検出分解能を向上させることが可能となる。
更に、本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロによって、半球共振器2における真の1次共振周波数32を高精度にロックすることが可能となるため、半球共振器2に対して効率的な1次共振モードの励起を実現するための、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の位相特性を生成することが可能となる。また、1次共振モードに関して振動振幅A、波腹方位角θrの双方を予め設定された一定形状(一定値および一定角度)に制御するためのアクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)について、アクチュエータとして発生吸引力が印加電圧の2乗に比例するような静電容量式アクチュエータを適用した場合において、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の生成に必要な制御演算量を低減すると共に、より正確なアクチュエータ発生吸引力の制御が可能となる。
加えて、本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロによって、波節直角位相振動を抑制し、半球共振器2に対して1次共振モードのみが励起された状態を実現することができるため、半球共振型ジャイロで検出する回転角速度のドリフトを抑制することが可能となる。
なお、本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロでは、計16個のアクチュエータ、および計8個の変位センサを適用し、その空間配置を図2に示す構成としたが、本発明はこれに限定するものではなく、アクチュエータに関しては半球共振器2に対する1次共振モードの励起と波節直角位相振動の抑制が実現できる構成であればよく、変位センサに関しては互いに45度位相がずれた2組の直交軸方向について、半球共振器2の半径方向変位が検出できる構成であればよい。
また、本発明の実施の形態4による半球共振型ジャイロでは、アクチュエータ交流駆動信号fRESj(j=1、2、・・・、16)の生成に関して、アクチュエータ駆動周波数ωrの余弦波信号cos(ωrt)を適用したが、本発明はこれに限定するものではなく、対応する数式を適宜変更することにより、正弦波信号sin(ωrt)を適用してもよい。
以上のように、本実施の形態4によれば、上記の実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態によれば、共振制御手段14の交流駆動電圧分配手段51が、共振位相指令で規定される直交軸の両側に配置された各1個のアクチュエータDjに対して、共振振幅制御手段50から出力される共振振幅指令および基準信号生成手段10から出力される余弦波信号に基づいた余弦波吸引力指令の平方根を、アクチュエータDjの交流駆動信号として分配する。
この構成により、アクチュエータとして発生吸引力が印加電圧の2乗に比例するような静電容量式アクチュエータを適用した場合において、半球共振器に対する所望の1次共振モード励起に関して、アクチュエータ交流駆動信号の生成に必要な制御演算量を低減すると共に、より正確なアクチュエータ発生吸引力の制御が可能となる。
また、上記の実施の形態1,2と同じ構成については、実施の形態1,2で上述した効果と同じ効果が得られることは言うまでもない。

Claims (13)

  1. 計測軸としての角度計測軸に対して軸対称な半球形状を有し、前記角度計測軸に対して垂直な平面において共振パターンを維持させるための半球共振器と、
    前記半球共振器に対して前記角度計測軸回りに配置され、前記半球共振器に対して半径方向の吸引力を発生させる複数のアクチュエータと、
    前記半球共振器に対して前記角度計測軸回りに配置され、前記半球共振器の半径方向の変位を検出する複数の変位センサと、
    複数の前記変位センサから出力される前記半球共振器の半径方向の前記変位に基づいて、前記計測軸まわりに互いに45度ずれた位置に配置された前記変位センサの出力をそれぞれ実数部および虚数部として得られる複素表現を前記アクチュエータの駆動周波数に一致する回転速度で回転する回転座標系の表現に変換したものから、予め設定された正方向回転の低周波成分と予め設定された負方向回転の低周波成分を求め、これらの低周波成分から前記アクチュエータの交流駆動信号に対する共振位相特性を求め、これらの低周波成分と前記共振位相特性から、前記半球共振器に励起された共振モードの振動振幅及び波腹方位角、および、前記半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅を抽出する振動形状抽出手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記アクチュエータの前記交流駆動信号に対する前記共振位相特性に基づいて、前記アクチュエータの前記駆動周波数を前記半球共振器の共振周波数に一致させる駆動周波数補正手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記波節直角位相振動の前記振動振幅および前記共振モードの前記波腹方位角に基づいて、前記波節直角位相振動を抑制するための複数の前記アクチュエータの直流駆動信号を生成する波節直角位相振動制御手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記共振モードの前記振動振幅および前記波腹方位角に基づいて、前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記振動振幅を予め設定された一定値に制御し、かつ、前記共振モードの前記角度計測軸回りの自由な回転を実現するための複数の前記アクチュエータの前記交流駆動信号を生成する共振制御手段と
    を備え、
    前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記波腹方位角から、前記半球共振器の前記角度計測軸方向の回転角度を検出する
    半球共振型ジャイロ。
  2. 計測軸としての角速度計測軸に対して軸対称な半球形状を有し、前記角速度計測軸に対して垂直な平面において共振パターンを維持させるための半球共振器と、
    前記半球共振器に対して前記角速度計測軸回りに配置され、前記半球共振器に対して半径方向の吸引力を発生させる複数のアクチュエータと、
    前記半球共振器に対して前記角速度計測軸回りに配置され、前記半球共振器の半径方向の変位を検出する複数の変位センサと、
    複数の前記変位センサから出力される前記半球共振器の半径方向の前記変位に基づいて、前記計測軸まわりに互いに45度ずれた位置に配置された前記変位センサの出力をそれぞれ実数部および虚数部として得られる複素表現を前記アクチュエータの駆動周波数に一致する回転速度で回転する回転座標系の表現に変換したものから、予め設定された正方向回転の低周波成分と予め設定された負方向回転の低周波成分を求め、これらの低周波成分から前記アクチュエータの交流駆動信号に対する共振位相特性を求め、これらの低周波成分と前記共振位相特性から、前記半球共振器に励起された共振モードの振動振幅及び波腹方位角、および、前記半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅を抽出する振動形状抽出手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記アクチュエータの前記交流駆動信号に対する前記共振位相特性に基づいて、前記アクチュエータの前記駆動周波数を前記半球共振器の共振周波数に一致させる駆動周波数補正手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記波節直角位相振動の前記振動振幅および前記共振モードの前記波腹方位角に基づいて、前記波節直角位相振動を抑制するための複数の前記アクチュエータの直流駆動信号を生成する波節直角位相振動制御手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記共振モードの前記振動振幅および前記波腹方位角に基づいて、前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記振動振幅及び前記波腹方位角の双方を予め設定された一定値及び一定角度に制御するための複数の前記アクチュエータの前記交流駆動信号を生成する共振制御手段と
    を備え、
    前記共振制御手段における前記波腹方位角を前記一定角度に維持するための制御指令から、前記半球共振器の前記角速度計測軸方向の回転角速度を検出する
    半球共振型ジャイロ。
  3. 計測軸としての角度計測軸に対して軸対称な半球形状を有し、前記角度計測軸に対して垂直な平面において共振パターンを維持させるための半球共振器と、
    前記半球共振器に対して前記角度計測軸回りに配置され、前記半球共振器に対して半径方向の吸引力を発生させる複数のアクチュエータと、
    前記半球共振器に対して前記角度計測軸回りに配置され、前記半球共振器の半径方向の変位を検出する複数の変位センサと
    前記計測軸に直交する第1の直交軸方向に配置された前記変位センサの出力を合成する第1の合成手段、
    前記計測軸に直交し、前記第1の直交軸に対して計測軸回りに45度位相がずれた第2の直交軸方向に配置された前記変位センサの出力を合成する第2の合成手段、
    前記第1の合成手段からの出力を実数部として前記第2の合成手段からの出力を虚数部とする複素表現を、前記アクチュエータの駆動周波数に一致する回転速度で正方向に回転する回転座標系による表現に変換する正方向回転座標変換手段、
    前記第1の合成手段からの出力を実数部として前記第2の合成手段からの出力を虚数部とする複素表現を、前記アクチュエータの前記駆動周波数に一致する回転速度で負方向に回転する回転座標系による表現に変換する負方向回転座標変換手段、
    前記正方向回転座標変換手段の出力から予め設定された低周波成分を抽出する正方向低周波抽出手段、
    前記負方向回転座標変換手段の出力から予め設定された低周波成分を抽出する負方向低周波抽出手段、
    前記正方向低周波抽出手段および前記負方向低周波抽出手段の出力に基づいて、前記半球共振器に励起された共振モードの前記アクチュエータの交流駆動信号に対する共振位相特性を算出する位相特性抽出手段、及び、
    前記正方向低周波抽出手段および前記負方向低周波抽出手段の出力および前記位相特性抽出手段の出力に基づいて、前記半球共振器に励起された前記共振モードの振動振幅及び波腹方位角、および、前記半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅を抽出する振動特性抽出手段
    を有する振動形状抽出手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記アクチュエータの前記交流駆動信号に対する前記共振位相特性に基づいて、前記アクチュエータの前記駆動周波数を前記半球共振器の共振周波数に一致させる駆動周波数補正手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記波節直角位相振動の前記振動振幅および前記共振モードの前記波腹方位角に基づいて、前記波節直角位相振動を抑制するための複数の前記アクチュエータの直流駆動信号を生成する波節直角位相振動制御手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記共振モードの前記振動振幅および前記波腹方位角に基づいて、前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記振動振幅を予め設定された一定値に制御し、かつ、前記共振モードの前記角度計測軸回りの自由な回転を実現するための複数の前記アクチュエータの前記交流駆動信号を生成する共振制御手段と
    を備え、
    前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記波腹方位角から、前記半球共振器の前記角度計測軸方向の回転角度を検出する
    半球共振型ジャイロ。
  4. 計測軸としての角速度計測軸に対して軸対称な半球形状を有し、前記角速度計測軸に対して垂直な平面において共振パターンを維持させるための半球共振器と、
    前記半球共振器に対して前記角速度計測軸回りに配置され、前記半球共振器に対して半径方向の吸引力を発生させる複数のアクチュエータと、
    前記半球共振器に対して前記角速度計測軸回りに配置され、前記半球共振器の半径方向の変位を検出する複数の変位センサと
    前記計測軸に直交する第1の直交軸方向に配置された前記変位センサの出力を合成する第1の合成手段、
    前記計測軸に直交し、前記第1の直交軸に対して計測軸回りに45度位相がずれた第2の直交軸方向に配置された前記変位センサの出力を合成する第2の合成手段、
    前記第1の合成手段からの出力を実数部として前記第2の合成手段からの出力を虚数部とする複素表現を、前記アクチュエータの駆動周波数に一致する回転速度で正方向に回転する回転座標系による表現に変換する正方向回転座標変換手段、
    前記第1の合成手段からの出力を実数部として前記第2の合成手段からの出力を虚数部とする複素表現を、前記アクチュエータの前記駆動周波数に一致する回転速度で負方向に回転する回転座標系による表現に変換する負方向回転座標変換手段、
    前記正方向回転座標変換手段の出力から予め設定された低周波成分を抽出する正方向低周波抽出手段、
    前記負方向回転座標変換手段の出力から予め設定された低周波成分を抽出する負方向低周波抽出手段、
    前記正方向低周波抽出手段および前記負方向低周波抽出手段の出力に基づいて、前記半球共振器に励起された共振モードの前記アクチュエータの交流駆動信号に対する共振位相特性を算出する位相特性抽出手段、及び、
    前記正方向低周波抽出手段および前記負方向低周波抽出手段の出力および前記位相特性抽出手段の出力に基づいて、前記半球共振器に励起された前記共振モードの振動振幅及び波腹方位角、および、前記半球共振器に励起された波節直角位相振動の振動振幅を抽出する振動特性抽出手段
    を有する振動形状抽出手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記アクチュエータの前記交流駆動信号に対する前記共振位相特性に基づいて、前記アクチュエータの前記駆動周波数を前記半球共振器の共振周波数に一致させる駆動周波数補正手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記波節直角位相振動の前記振動振幅および前記共振モードの前記波腹方位角に基づいて、前記波節直角位相振動を抑制するための複数の前記アクチュエータの直流駆動信号を生成する波節直角位相振動制御手段と、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記共振モードの前記振動振幅および前記波腹方位角に基づいて、前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記振動振幅及び前記波腹方位角の双方を予め設定された一定値及び一定角度に制御するための複数の前記アクチュエータの前記交流駆動信号を生成する共振制御手段と
    を備え、
    前記共振制御手段における前記波腹方位角を前記一定角度に維持するための制御指令から、前記半球共振器の前記角速度計測軸方向の回転角速度を検出する
    半球共振型ジャイロ。
  5. 前記駆動周波数補正手段は、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記アクチュエータの前記交流駆動信号に対する前記共振位相特性を、前記アクチュエータの前記駆動周波数におけるアクチュエータ位相特性と、前記アクチュエータの前記駆動周波数における変位センサ位相特性と、−90度との合計値に固定するように、前記アクチュエータの前記駆動周波数を制御する
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の半球共振型ジャイロ。
  6. 前記駆動周波数補正手段は、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記アクチュエータの前記交流駆動信号に対する前記共振位相特性を、前記半球共振器の前記共振周波数に対して予め設定された周波数だけ前記アクチュエータの前記駆動周波数を低く設定した場合の共振位相特性と、前記半球共振器の前記共振周波数に対して予め設定された周波数だけ前記アクチュエータの前記駆動周波数を高く設定した場合の共振位相特性との平均値に固定するように、前記アクチュエータの前記駆動周波数を制御する
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の半球共振型ジャイロ。
  7. 前記波節直角位相振動制御手段は、
    前記振動形状抽出手段から出力される前記波節直角位相振動の前記振動振幅に基づいて、前記波節直角位相振動を抑制するための電気的剛性補正指令を生成する電気的剛性制御手段と、
    前記電気的剛性制御手段から出力される前記電気的剛性補正指令の符号に応じて、前記符号が正符号の場合には前記共振モードの前記波腹方位角に対して+22.5度位相がずれた直交軸方向を、前記符号が負符号の場合には前記共振モードの前記波腹方位角に対して−22.5度位相がずれた直交軸方向を、前記半球共振器に対する電気的剛性補正軸とし、前記電気的剛性補正軸の両側に配置された各1個の前記アクチュエータに対して、前記電気的剛性補正指令の絶対値に基づいて前記アクチュエータの前記直流駆動信号を分配する直流駆動電圧分配手段と
    を有する請求項1からまでのいずれか1項に記載の半球共振型ジャイロ。
  8. 前記アクチュエータの前記駆動周波数に対応する正弦波信号および余弦波信号を生成する基準信号生成手段を備え、
    前記共振制御手段は、
    前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記振動振幅を前記一定値に制御する共振振幅指令を生成する共振振幅制御手段と、
    前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記波腹方位角を共振位相指令として、前記共振振幅指令、前記共振位相指令、および、前記基準信号生成手段から出力される前記余弦波信号に基づいて、複数の前記アクチュエータに対する前記交流駆動信号を分配する交流駆動電圧分配手段と
    を有する請求項1または3に記載の半球共振型ジャイロ。
  9. 前記アクチュエータの前記駆動周波数に対応する正弦波信号および余弦波信号を生成する基準信号生成手段を備え、
    前記共振制御手段は、
    前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記振動振幅を前記一定値に制御する共振振幅指令を生成する共振振幅制御手段と、
    前記半球共振器に励起された前記共振モードの前記波腹方位角を前記一定角度に制御する共振位相指令を生成する共振位相制御手段と、
    前記共振振幅指令、前記共振位相指令、および、前記基準信号生成手段から出力される前記余弦波信号に基づいて、複数の前記アクチュエータに対する前記交流駆動信号を分配する交流駆動電圧分配手段と
    を有する請求項2または4に記載の半球共振型ジャイロ。
  10. 前記共振制御手段の前記交流駆動電圧分配手段は、
    前記共振位相指令で規定される前記計測軸に直交する直交軸の両側に配置された各1個の前記アクチュエータに対して、前記共振振幅制御手段から出力される前記共振振幅指令および前記基準信号生成手段から出力される前記余弦波信号に基づいて、前記アクチュエータの前記交流駆動信号を分配する
    請求項またはに記載の半球共振型ジャイロ。
  11. 前記共振制御手段の前記交流駆動電圧分配手段は、
    前記共振位相指令で規定される前記計測軸に直交する直交軸の両側に配置された各2個の前記アクチュエータに対して、前記アクチュエータの駆動電圧のノルムが最小となるように、前記共振振幅制御手段から出力される前記共振振幅指令および前記基準信号生成手段から出力される前記余弦波信号に基づいて前記アクチュエータの前記交流駆動信号を分配する
    請求項またはに記載の半球共振型ジャイロ。
  12. 前記共振制御手段の前記交流駆動電圧分配手段が、
    前記共振位相指令で規定される前記計測軸に直交する直交軸の両側に配置された各1個の前記アクチュエータに対して、前記共振振幅制御手段から出力される前記共振振幅指令および前記基準信号生成手段から出力される前記余弦波信号に基づいた余弦波吸引力指令の平方根を、前記アクチュエータの前記交流駆動信号として分配する
    請求項またはに記載の半球共振型ジャイロ。
  13. 前記共振制御手段の前記交流駆動電圧分配手段は、
    前記共振位相指令で規定される前記計測軸に直交する直交軸の両側に配置された各2個の前記アクチュエータに対して、前記アクチュエータの発生吸引力のノルムが最小となるように、前記共振振幅制御手段から出力される前記共振振幅指令および前記基準信号生成手段から出力される前記余弦波信号に基づいて余弦波吸引力指令を算出し、前記余弦波吸引力指令の平方根を、前記アクチュエータの前記交流駆動信号として分配する
    請求項またはに記載の半球共振型ジャイロ。
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