以下、本発明の第1実施形態にかかるワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法について説明する。まず、本発明の第1実施形態のワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法によって製造されるワイヤハーネスについて図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法によって製造されるワイヤハーネスの一例を示す図である。この図1に示されるワイヤハーネス1は、複数本の電線13それぞれの一端を所定本数ずつまとめてなる4本の電線束の末端に設けられた4つの第1コネクタ11と、複数本の電線13それぞれの他端を所定本数ずつまとめてなる2本の電線束の末端に設けられた2つの第2コネクタ12と、を有している。第2コネクタ12は、電力や制御信号の供給元の機器に接続される親側コネクタとなっており、この第2コネクタ12よりも小型の第1コネクタ11は、供給先の機器に接続される子側コネクタとなっている。また、詳細な図示は省略するが、第1コネクタ11及び第2コネクタ12は、いずれも、電線が圧接によって接続される圧接コネクタとなっている。
このワイヤハーネス1では、4つの第1コネクタ11のうち2つの第1コネクタ11aまでの電線長Laが、他の2つの第1コネクタ11bまでの電線長Lbよりも長くなっている。複数本の電線13は、第2コネクタ12の近傍から分岐位置P1までは全電線13が1つに束ねられており、分岐位置P1から長尺側の第1コネクタ11aへ向かう電線13と、短尺側の第1コネクタ11bへ向かう電線13とがそれぞれ別個に束ねられている。
そして、このような電線13の束ねに、このワイヤハーネス1では、平面状に広げられ、一方の面が粘着面14aとなる粘着シート14が用いられている。粘着シート14は、複数本の電線13それぞれの電線長よりも短い帯状のシートであり、第2コネクタ12の近傍から分岐位置P1の近傍までと、分岐位置P1の近傍から長尺側の第1コネクタ11aの近傍までと、分岐位置P1の近傍から短尺側の第1コネクタ11bの近傍までとの3箇所に1枚ずつ合計で3枚設けられている。そして、このワイヤハーネス1では、各粘着シート14に、電線13がフラットケーブル様に並べられて貼付されることで束ねられている。
また、このワイヤハーネス1は、粘着シート14の外側に位置する分岐位置P1(曲げ箇所)において、長尺側の第1コネクタ11aへと向かう電線13が曲げ方向R1に曲げられて配索されるようになっている。このため、長尺側の電線13からなる枝線部分1aの根元に当たる分岐位置P1における各電線13の電線部分の長さが、次のような長さに整えられている。即ち、この分岐位置P1では、曲げの外側に配置される電線部分ほど長く(逆に、曲げの内側に配置される電線部分ほど短く)なるように整えられている。分岐位置P1の電線部分の長さがこのような長さに整えられることで、このワイヤハーネス1をその分岐位置P1で無理なく曲げて配索することができる。
次に、本発明の第1実施形態にかかるワイヤハーネス製造装置について、図2〜図14を参照して説明する。
図2は、本発明の第1実施形態にかかるワイヤハーネス製造装置を示す模式的な平面図であり、図3は、図2に示されているワイヤハーネス製造装置の模式的な斜視図である。このワイヤハーネス製造装置5は、電線供給装置51(電線供給手段)、ベース板52、圧接装置53、及びコネクタ移動装置54(コネクタ移動手段)を備えている。
電線供給装置51は、複数本の電線13を引き出し可能に保持するものであり、複数の電線リール511と、電線送り機512と、電線ノズル513とを備えている。複数の電線リール511は、複数列に配列されている。電線送り機512は、対向配置された2本のローラ512aを有しており、複数の電線リール511から引きだされた複数本の電線13を、ニップ部に並行に配列された状態で受け入れて送り出す。電線ノズル513は、電線送り機512から送り出されてくる複数本の電線13を、その並行の配列状態を維持したまま下流側へと案内する。
ベース板52は、電線供給装置51からの電線13の引出し方向について、電線送り機512の下流側に配置され、その引出し方向に延在する長方形状の板である。このベース板52上には、電線供給装置51における電線ノズル513や圧接装置53やコネクタ移動装置54等、このワイヤハーネス製造装置5の構成要素が、詳細については後述するコネクタ移動装置54によるコネクタ移動方向D1に沿って配置される。
圧接装置53は、電線供給装置51から引き出される複数本の電線13を、4つの第1コネクタ11及び2つの第2コネクタ12に圧接するものであり、第1コネクタ搭載部531と、第1圧接スタンプ532と、第2コネクタ搭載部533と、第2圧接スタンプ534と、ピッチ変換機構535(ピッチ変換手段)とを備えている。
第1コネクタ搭載部531には、コネクタ移動方向D1と直交する直交方向D2に4つの第1コネクタ11が並べられて搭載される。第1圧接スタンプ532は、第1コネクタ搭載部531に配置された4つの第1コネクタ11それぞれに、電線供給装置51から引き出された複数本の電線13のうちの対応する電線13の一端を圧接する。本実施形態では、第1圧接スタンプ532は、その直交方向D2のサイズが、直交方向D2に並んだ4つの第1コネクタ11に対し電線13を、この第1コネクタ11の個数よりは少ない2回に分けて圧接するサイズとなっている。
第2コネクタ搭載部533は、コネクタ移動方向D1について、第1コネクタ搭載部531の後方に配置される。この第2コネクタ搭載部533には、上記の直交方向D2に2つの第2コネクタ12が並べられて搭載される。第2圧接スタンプ534は、第1コネクタ11が圧接されて引き出された複数本の電線13のうちの対応する電線13の他端を圧接する。本実施形態では、第2圧接スタンプ534は、その直交方向D2のサイズが、直交方向D2に並んだ2つの第2コネクタ12に対し電線を、この第2コネクタ12の個数と同数の2回に分けて圧接するサイズとなっている。さらに、この第2圧接スタンプ534は、圧接後の電線13におけるその圧接箇所よりもコネクタ移動方向D1の後方寄りの箇所を切断する。
第1コネクタ搭載部531と第2コネクタ搭載部533とを合わせたものが、本発明にいうコネクタ保持手段の一例に相当する。
ピッチ変換機構535は、電線供給装置51から引き出された複数本の電線13における、上記の直交方向D2の電線ピッチを第1コネクタ11に対応した幅広の第1ピッチと第2コネクタ12に対応した幅狭の第2ピッチとの間で変換する。
本実施形態では、図2に示されているように、ベース板52の側方にコネクタ棚6が配置されている。コネクタ棚6には、第1コネクタ11及び第2コネクタ12のそれぞれが、ワイヤハーネス1の複数セット分保持されており、第1コネクタ搭載部531にはこのコネクタ棚6から4つずつ第1コネクタ11が供給され、第2コネクタ搭載部533にはコネクタ棚6から2つずつ第2コネクタ12が供給される。
以下、圧接装置53における構成要素の詳細について、図4〜図12を参照し、所々で別例も交えつつ説明する。
図4は、図3に示されている圧接装置を、第1圧接スタンプ及び第2圧接スタンプの周辺の構造が見える様に示す斜視図である。圧接装置53において、第1圧接スタンプ532は第1コネクタ搭載部531の直上に、矢印D4方向に上下動自在に配置され、第2圧接スタンプ534は第2コネクタ搭載部533の直上に、矢印D5方向に上下動自在に配置される。
圧接装置53には、第1圧接スタンプ532及び第2圧接スタンプ534それぞれを上下動させるシリンダ536と、このシリンダ536ごと第1圧接スタンプ532及び第2圧接スタンプ534を直交方向D2にスライド移動させる移動機構537が設けられている。移動機構537は、シリンダ536を支持し、レール537aに沿って直交方向D2に移動自在となったテーブル537bを備えている。さらに、移動機構537は、直交方向D2に沿って延びるボールネジ537cと、そのボールネジ537cを回転駆動するモータ537dと、ボールネジ537cに螺合されるとともにテーブル537bに固定されたネジ受け部537eとを備えている。移動機構537は、モータ537dがボールネジ537cを回転駆動することで、ネジ受け部537eを介してテーブル537bをレール537aに沿って直交方向D2に移動させる。これにより、シリンダ536ごと第1圧接スタンプ532及び第2圧接スタンプ534を直交方向D2にスライド移動することとなっている。
本実施形態では、このスライド移動が図4中で手前側の位置と奥側の位置との2箇所の間で行われる。手前側の位置にあるときに第1コネクタ搭載部531に載せられている4つの第1コネクタ11のうち手前側2つの第1コネクタ11に電線13が圧接される。そして、奥側の位置にあるときに奥側2つの第1コネクタ11に電線13が圧接される。また、手前側の位置にあるときに第2コネクタ搭載部533に載せられている2つの第2コネクタ12のうち手前側の第2コネクタ12に電線13が圧接される。そして、奥側の位置にあるときに奥側の第2コネクタ12に電線13が圧接される。
ここで、圧接装置53では、シリンダ536は、第1圧接スタンプ532の上下動と第2圧接スタンプ534の上下動とが次のような機構によって切り換えて行われる。
図5は、図4に示されているシリンダによる第1圧接スタンプの上下動と第2圧接スタンプの上下動とを切り換える機構を示す図である。この図5に示されているように、第1圧接スタンプ532の上部にはシリンダ536からの上下方向の駆動力を受ける突起532aが設けられ、第2圧接スタンプ534の上部にも同様の突起534aが設けられている。一方、シリンダ536の下部からは第1圧接スタンプ532の突起532aに係止して駆動力を伝える第1ピストン536aと、第2圧接スタンプ534の突起534aに係止して駆動力を伝える第2ピストン536bとが突出している。
このとき、第1ピストン536a及び第2ピストン536bは直交方向D2にずれた位置に配置されている。図5に示されているように第1ピストン536aが図中手前側、第2ピストン536bが奥側に配置されている。そして、第1ピストン536a及び第2ピストン536bは、第1ピストン536aが第1圧接スタンプ532の突起532aに係止して第2ピストン536bが第2圧接スタンプ534の突起534aから外れる第1位置と、第1ピストン536aが第1圧接スタンプ532の突起532aから外れて第2ピストン536bが第2圧接スタンプ534の突起534aに係止する第2位置との間で、直交方向D2に移動自在となっている。図5の例では、第1ピストン536a及び第2ピストン536bは第1位置にあり、第1ピストン536aが第1圧接スタンプ532の突起532aに係止して第2ピストン536bが第2圧接スタンプ534の突起534aから外れている。
第1ピストン536a及び第2ピストン536bはシリンダ536によって同時に上下動するが、第1位置にあるときには第1ピストン536aのみが第1圧接スタンプ532の突起532aに係止して駆動力が伝達される。このときに、第1圧接スタンプ532によって第1コネクタ11への電線13の圧接が行われる。他方、第2位置にあるときには第2ピストン536bのみが第2圧接スタンプ534の突起534aに係止して駆動力が伝達され、第2圧接スタンプ534によって第2コネクタ12への電線13の圧接が行われる。以上に説明した機構によって第1圧接スタンプ532の上下動と第2圧接スタンプ534の上下動とが切り換えられて、第1コネクタ11及び第2コネクタ12それぞれへの電線13の圧接が行われる。
圧接装置53において、第1圧接スタンプ532、シリンダ536、及び移動機構537を合わせた機構が、本発明にいう第1圧接手段の一例に相当し、第2圧接スタンプ534、シリンダ536、及び移動機構537を合わせた機構が、本発明にいう第2圧接手段の一例に相当する。また、第1圧接スタンプ532及びシリンダ536を合わせた機構と、第2圧接スタンプ534及びシリンダ536を合わせた機構と、のそれぞれが本発明にいう圧接機構の一例に相当し、移動機構537が、本発明にいう移動機構の一例に相当する。また、第2圧接スタンプ534は、上述したように圧接後の電線13の切断を行う役割も果たすように構成されており、本発明にいう電線切断手段の一例にも相当している。
尚、本実施形態では、本発明にいう移動機構の一例として、直交方向D2にのみ第1圧接スタンプ532及び第2圧接スタンプ534を移動させる移動機構537が例示されている。しかしながら、本発明にいう移動機構はこれに限るものではなく、例えば、直交方向D2とともにコネクタ移動方向D1にも第1圧接スタンプ532及び第2圧接スタンプ534を移動させるものであってもよい。
図6は、直交方向とともにコネクタ移動方向にも第1圧接スタンプ及び第2圧接スタンプを移動させる、別例の移動機構を有する圧接装置を示す図である。尚、この図6では、図4と同等な構成要素については図4と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素の重複説明を省略する。
図6に示されている圧接装置53’が有する別例の移動機構537’には、コネクタ移動方向D1に沿って延びるボールネジ537fと、そのボールネジ537fを回転駆動するモータ537gとを備えており、テーブル537bに固定されたネジ受け部537e’には、直交方向D2のボールネジ537cに交差するようにコネクタ移動方向D1のボールネジ537fが螺合している。この移動機構537’では、モータ537gがコネクタ移動方向D1のボールネジ537fを回転駆動することで、ネジ受け部537e’を介してテーブル537bを、コネクタ移動方向D1のレール537hに沿ってコネクタ移動方向D1に移動させる。これにより、シリンダ536ごと第1圧接スタンプ532及び第2圧接スタンプ534をコネクタ移動方向D1の前後にもスライド移動することとなっている。
この別例の移動機構537’を有する圧接装置53’には、図5を参照して説明したような切換え機構は設けられていない。この圧接装置53’では、別例の移動機構537’により第1圧接スタンプ532を第1コネクタ搭載部531の直上までコネクタ移動方向D1前方にスライド移動させて第1コネクタ11への圧接が行われる。他方、第2圧接スタンプ534を第2コネクタ搭載部533の直上までコネクタ移動方向D1後方にスライド移動させて第2コネクタ12への圧接が行われる。
次に、本実施形態の圧接装置53が備えているピッチ変換機構535について説明する。図7は、図2及び図3に示されているピッチ変換機構を示す模式図である。この図7に示されているように、第1コネクタ搭載部531に配置される4つの第1コネクタ11における圧接端子111と、第2コネクタ搭載部533に配置される2つの第2コネクタ12における圧接端子121とでは、直交方向D2のピッチが異なる。このため、各コネクタ11,12に電線13を圧接する際には、電線供給装置51から引き出された複数本の電線13における直交方向D2の電線ピッチを、各コネクタ11,12における圧接端子111,121に合致するように変換する必要がある。
ピッチ変換機構535はこのような電線ピッチの変換を行うものであり、2つの電線移動機構535aを備えている。これら2つの電線移動機構535aは、第2コネクタ搭載部533を挟んで、コネクタ移動方向D1の前後に配置されている。これら2つの電線移動機構535aは、互いに同等な構成を有しており、4つの電線把持ブロック535bと、直交方向D2に延びるガイドロッド535cとを備えている。4つの電線把持ブロック535bは、直交方向D2に配列された状態で、この直交方向D2に移動自在にガイドロッド535cに挿通されている。
図8は、図7に示されている電線保持ブロックを拡大して示す模式的な斜視図である。この図8に示されているように、電線把持ブロック535bには、電線13が1本通るコネクタ移動方向D1に延びる電線溝535b−1が複数本、直交方向D2に配列されて設けられている。そして、電線把持ブロック535bは、直交方向D2に移動自在にガイドロッド535cに挿通されている。
次に本実施形態のピッチ変換機構535において実行される電線ピッチの変換について、図7と図9を参照して説明する。図7には、電線ピッチが、第1コネクタ11における圧接端子111のピッチに合うように設定された様子が示されている。そして、図9は、図7に示されているピッチ変換機構によって、電線ピッチが、第2コネクタにおける圧接端子のピッチに合うように設定される様子を示す図である。
複数本の電線13の電線ピッチが、第1コネクタ搭載部531に配置される4つの第1コネクタ1における圧接端子111のピッチに合うように設定される際には、2つの電線移動機構535aそれぞれにおける4つの電線把持ブロック535bが、図7に示されているように、4つの第1コネクタ1に対してコネクタ移動方向D1に一対一に並ぶ位置に配置される。ここで、2つの電線移動機構535aは互いに連動しており、電線把持ブロック535bは、2つの電線移動機構535aの相互間で直交方向D2に同じ位置に配置される。一方、複数本の電線13の電線ピッチが、第2コネクタ搭載部533に配置される2つの第2コネクタ12における圧接端子121のピッチに合うように設定される際には、2つの電線移動機構535aそれぞれにおける電線把持ブロック535bが、図9に矢印D6,D7で示されているように、2つの第2コネクタ12に対してコネクタ移動方向D1に2つずつ並ぶ位置に配置される。に寄せられる。
尚、本実施形態では、本発明にいうピッチ変換手段の一例として、上述した2つの電線移動機構535aを備えて電線13を移動させて電線ピッチを変換するピッチ変換機構535という動的な形態が例示されている。しかしながら、本発明にいうピッチ変換手段はこれに限るものではなく、例えば以下に説明する静的な形態のものであってもよい。
図10は、本発明にいうピッチ変換手段の別例であるピッチ変換プレートを示す模式的な平面図である。また、図11は、図10に示されているピッチ変換プレートを示す模式的な斜視図である。図10及び図11に示されているピッチ変換プレート61は、図11に示されているように矢印D8方向に開閉自在に重ね合わされた上下2枚のプレート61a,61bを備えている。そして、2枚のプレート61a,61bが重ね合わされたときに電線13が1本ずつ内部を通る電線経路611が複数本形成されるように、それら2枚のプレート61a,61bの対向面それぞれに溝が形成されている。
このピッチ変換プレート61では、図10に示されているように、各電線経路611が、このピッチ変換プレート61に隣接配置される第2コネクタ搭載部533上の第2コネクタ12の各圧接端子121の近傍から、第1コネクタ搭載部531上の第1コネクタ11の各圧接端子111の近傍まで途中で斜行しつつコネクタ移動方向D1に電線13を1本ずつ案内する経路となっている。各電線経路611に各電線13を通すことで、複数本の電線13における直交方向D2の電線ピッチが、第1コネクタ11における圧接端子111のピッチに対応した電線ピッチと、第2コネクタ12における圧接端子121のピッチに対応した電線ピッチと、の間で変換される。各コネクタ11,12への圧接後には、2枚のプレート61a,61bが開かれて電線13が取り出される。
図12は、ピッチ変換プレートの別例を示す模式的な斜視図である。上述した図10及び図11に示されているピッチ変換プレート61では、複数の電線経路611が、互いに交差することなく直交方向D2に間を開けて形成されている。これに対し、図12に示されている別例のピッチ変換プレート61’では、複数の電線経路611’が途中で交差しつつ斜行してコネクタ移動方向D1に延びている。このような電線経路611’の交差は、交差点で上側を通る電線経路611’を上側のプレート61a’に寄せて形成し、下側を通る電線経路611’を下側のプレート61b’に寄せて形成することでなされている。この別例のピッチ変換プレート61’によれば、電線ピッチの変換のみならず、電線13の直交方向D2の位置の入れ替えることもできる。
以上で、各構成要素の別例も含む、図2及び図3に示されている圧接装置53の説明を終了し、このワイヤハーネス製造装置5における他の構成要素の説明を行う。
図2及び図3に示されているコネクタ移動装置54は、第1圧接スタンプ532による第1コネクタ11の圧接後に、複数本の電線13を、上記の長尺側の第1コネクタ11aまでの電線長と短尺側の第1コネクタ11bの電線長とのそれぞれの長さに更に引き出す。コネクタ移動装置54は、第1コネクタ11をコネクタ移動方向D1に移動させることによりこの電線13の引出しを行う。コネクタ移動装置54は、上記のベース板52にコネクタ移動方向D1にスライド移動可能に設けられており、図3に示されているように電線把持アーム541を4本備えている。
図13は、図2及び図3に示されているコネクタ移動装置によって行われるコネクタ移動の様子を示す図である。各電線把持アーム541は、圧接装置53において4つの第1コネクタ11に圧接された複数本の電線13における各第1コネクタ11の近傍を把持する。コネクタ移動装置54は、各電線把持アーム541による把持後にコネクタ移動方向D1にスライド移動することでコネクタ移動を行うことで、各第1コネクタ11に圧接されている電線13の引出しを行う。
ベース板52には、図2や図3にも示されているように、長尺側の第1コネクタ11aまでの電線長に対応した引出位置に、その長尺側の第1コネクタ11aが2つ載置される載置部521aが設けられ、短尺側の第1コネクタ11bまでの電線長に対応した位置にその短尺側の第1コネクタ11bを2つ保持する載置部521bが設けられている。コネクタ移動装置54によるコネクタ移動後には各第1コネクタ11a,11bが、各載置部521a,521bに載置される。
本実施形態では、コネクタ移動装置54は、4本の電線把持アーム541の全てが電線13を把持した状態でコネクタ移動方向D1のスライド移動を開始する。その後、コネクタ移動装置54は、電線把持アーム541の先端が短尺側の載置部521bの近傍に達した時点でスライド移動を一旦停止する。そして、短尺側の電線13の第1コネクタ11b寄りを把持している電線把持アーム541が電線13を開放し、電線13とともに解放された短尺側の第1コネクタ11bが載置部521bに載置されて保持される。その後、コネクタ移動装置54はスライド移動を再開し、次は、電線把持アーム541の先端が長尺側の載置部521aの近傍に達した時点でスライド移動を停止する。そして、長尺側の電線13の第1コネクタ11a寄りを把持している電線把持アーム541が電線13を開放し、電線13とともに解放された長尺側の第1コネクタ11aが載置部521aに載置されて保持される。このように、本実施形態のコネクタ移動装置54は、複数の第1コネクタ11の移動を一括して開始し、第1コネクタ11それぞれについて予め定められた引出位置で、第1コネクタ11それぞれの移動を止めるものとなっている。
また、本実施形態のハーネス製造装置5では、図2及び図3に示されているように、ベース板52に、上述した粘着シート14を保持する粘着シート保持部522(粘着シート保持手段)が3箇所に設けられている。各粘着シート保持部522には、矩形状の粘着シート14の4つ角を保持する爪522aが設けられている。粘着シート保持部522は、この爪522aで粘着シート14の角を保持することで粘着シート14を保持する。
本実施形態では、図2に示されているように、ベース板52の側方にシート切断機7が配置されている。シート切断機7には、第2コネクタ12寄りに設けられて複数本の電線13を全て束ねる幅広の粘着シート14と、第1コネクタ11寄りに設けられて長尺側と短尺側とのそれぞれの電線13を束ねる幅狭の粘着シート14とのそれぞれを供給する供給部が設けられている。各幅の粘着シート14は、供給部から必要な長さ分切り出される。そして、粘着面14aを上方に向けて各粘着シート保持部522に載置されて保持される。このシート切断機7による粘着シート14の切断及び粘着シート保持部522への粘着シート14の載置は、上述した圧接装置53での第1コネクタ11への電線13の圧接に先立って行われる。
また、ベース板52には、コネクタ移動後の複数本の電線13を、図1に示されている分岐形状に分岐させるとともに各部において電線13をフラットケーブル様に並んだ状態に整列させる複数の電線クリップ523が載置される。
図14は、図2及び図3に示されている電線クリップの部分拡大図である。この図14に示されているように電線クリップ523は、2本のクリップロッド523aがヒンジ523bを介して矢印D9に開閉自在に連結されたものである。2本のクリップロッド523aが閉じられると、両者間には電線13の1本の太さよりも若干広い程度の間隙が生じる。この間隙に複数本の電線13を通すことで、それら複数本の電線13がフラットケーブル様に並んだ状態に整列される。
図15は、図14に示されている電線クリップを用いて、コネクタ移動後の複数本の電線を、図1に示されている分岐形状に分岐させた状態に整列させる様子を示す図である。コネクタ移動方向D1について分岐位置P1の後方側には、電線供給装置51からの電線13の全てを束ねるように長めの電線クリップ523が配置され、分岐位置P1の前方側には、長尺側の電線13と、短尺側の電線13とをそれぞれ別個に束ねるように短めの電線クリップ523が配置される。これにより、上記のコネクタ移動後の電線13が、分岐形状に分岐させた状態に整列する。また、ここでの例では、3箇所の粘着シート保持部522で保持された粘着シート14の粘着面14a(図3参照)上で電線13がフラットケーブル様に並べられてコネクタ移動方向D1に直進するように、各粘着シート保持部522の前後に電線クリップ523が配置される。
さらに、ベース板52には、長尺側の電線13からなる枝線部分1aを、図1に示されている分岐位置P1において曲げ方向R1に無理なく曲げて配索することができるように、この分岐位置P1における電線13の電線部分の長さを整えることを目的とした電線13の押上げ機構524(押上げ手段)が設けられている。
図16は、押上げ機構を拡大して示す斜視図である。押上げ機構524は、ベース板52に形成された穴52aから矢印D10方向に突出自在に設けられている。この押上げ機構524は、直交方向D2に延びるとともに、ベース板52の幅方向中央側から側縁側にかけて段状に低くなった略半円錐状の形状を有している。
この押上げ機構524は、操作を受けると上記のようにフラットケーブル様に整列された長尺側の電線13それぞれにおける分岐位置P1の電線部分を下から押し上げるようにベース板52の穴52aから突出する。これにより、突出した際に、曲げの外周側に位置する電線13の電線部分ほど高く押し上げられて電線長が延ばされる。その結果、長尺側の電線13の分岐位置P1における電線部分の長さが、曲げの外側に配置される電線部分ほど長く(逆に、曲げの内側に配置される電線部分ほど短く)なるように整えられる。分岐位置P1の電線部分の長さがこのような長さに整えられることで、製造後のワイヤハーネス1をその分岐位置P1で無理なく曲げて配索することができようになっている。
次に、以上に説明したワイヤハーネス製造装置5を用いて、図1に示されているワイヤハーネス1を製造するワイヤハーネス製造方法について、ここまでの説明と若干重複するが、図3、図13、及び図15を参照して説明する。
このワイヤハーネス製造方法では、まず、第1コネクタ搭載部531に4つの第1コネクタ11が搭載され、第2コネクタ搭載部533に2つの第2コネクタ12が搭載される(コネクタ保持工程)。また、このタイミングで、3箇所の粘着シート保持部522それぞれに粘着シート14が載置されて保持される。
次に、電線供給装置51から引き出された複数本の電線13が、圧接装置53における第1圧接スタンプ532によって、第1コネクタ搭載部531に直交方向D2に並べて配置された4つの第1コネクタ11に2回に分けて圧接される(第1圧接工程)。このとき、複数本の電線13における電線ピッチは、ピッチ変換機構535によって、第1コネクタ11に対応した幅広の第1ピッチに設定されている。そして、この圧接後に、長尺側の第1コネクタ11aまでの電線長と、短尺側の第1コネクタ11bまでの電線長とのそれぞれについてコネクタ移動方向D1に複数本の電線13が引き出されるように、コネクタ移動装置54によるコネクタ移動が行われる(コネクタ移動工程)。
本実施形態では、このコネクタ移動後、まず、電線クリップ523を使い、複数本の電線13をフラットケーブル様に並べるとともに、分岐位置P1で分岐させて整列させる整列工程が行われる。さらに、上述した押上げ機構524の突出によって長尺側の電線13の分岐位置P1における電線部分の長さを、上述したように曲げに対応した長さに整える電線長調整工程が行われる。
そして、上記の整列工程と電線長調整工程の後、粘着シート14の粘着面14aの直上をフラットケーブル様に並べられて直進する電線13が、例えばローラの押付け等により粘着面14aに貼付される。
その後、ピッチ変換機構535によって複数本の電線13における電線ピッチが、第1コネクタ11に対応した幅広の第1ピッチから第2コネクタ12に対応した幅狭の第2ピッチへと変換される。電線ピッチの変換後に、圧接装置53における第2圧接スタンプ534によって、複数本の電線13が、第2コネクタ搭載部533に直交方向D2に並べて配置された2つの第2コネクタ12に2回に分けて圧接され、同時にコネクタ移動方向D1の後方側の余長部が切断される(第2圧接工程)。この第2コネクタ12への圧接と余長部の切断によって図1に示されているワイヤハーネス1の1つの製造が終了し、ワイヤハーネス製造装置5は、次の製造に備える。
以上に説明した第1実施形態のワイヤハーネス製造装置5、及びそのワイヤハーネス製造装置5を用いたワイヤハーネス製造方法によれば、上記のコネクタ移動方向D1に沿って第1コネクタ11と第2コネクタ12とが並べて保持される。これにより、第1コネクタ11への電線圧接、第1コネクタ11の移動による電線引出し、第2コネクタ12への電線圧接及び切断を一連の流れで行うことができる。さらに、複数の第1コネクタ11については、上記直交方向D2に並べて保持されることから、2回での圧接というように、第1コネクタ11への圧接にかかる工数を抑えた運用が可能となる。以上のことから、例えば、各コネクタへの電線の圧接を個別に行う場合や、各コネクタに応じた長さの電線の切り出し等といった複数の工程をそれぞれ個別の作業場所で行う場合等と比較してワイヤハーネス1の製造にかかる工数を抑えることができる。
また、第1実施形態によれば、2つの第1コネクタ11への電線13の圧接が、第1コネクタ11の個数よりは少ない2回で行われる。これにより、電線長が他と異なるものを含む複数の第1コネクタ11について電線13の圧接が、各第1コネクタ11について個別に圧接を行う場合に比べて工数を抑えて行われることから、一層工数を抑えてワイヤハーネス1を製造することができる。
また、第1実施形態によれば、複数の第1コネクタ11の移動が一括して開始され、第1コネクタ11それぞれについて予め定められた引出位置で、第1コネクタ11それぞれの移動が停止することにより、第1コネクタ11の移動を個別に順次行う場合に比べてコネクタ移動にかかる工数を抑えることができる。即ち、本実施形態によれば、工数を一層抑えてワイヤハーネス1を製造することができる。
また、第1実施形態によれば、粘着シート保持部522によって保持された粘着シート14の粘着面14aに、複数本の電線13が貼付されることで複数本の電線13が束ねられてワイヤハーネス1が形成される。これにより、コネクタ圧接後の電線13を束ねるために付線板等の別装置へ移動させることは勿論のこと、結束バンドによる結束やコルゲートチューブを被せる等といった手間のかかる作業も不要となり、工数を一層抑えてワイヤハーネス1を製造することができる。
また、第1実施形態によれば、押上げ機構524によって曲げの外側に位置する電線13ほど電線長が延ばされることで、容易にワイヤハーネス1の途中に曲げ癖を付与することができる。
また、第1実施形態によれば、ピッチ変換機構535での電線ピッチの変換により、第1コネクタ11と第2コネクタ12との個数やサイズの相違によらず、両コネクタ間に電線13を確実に配置することがきできる。
また、第1実施形態では、第1コネクタ11の個数が4つとなっているが、図4に示されている移動機構537により第1圧接スタンプ532を直交方向D2にスライド移動させつつ2回に分けることで確実に電線13の圧接を行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態にかかるワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法について説明する。まず、本発明の第2実施形態のワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法によって製造されるワイヤハーネスについて図17を参照して説明する。
図17は、本発明の第2実施形態のワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法によって製造されるワイヤハーネスの一例を示す図である。この図17に示されているワイヤハーネス2は、図1に示されているワイヤハーネス1と同様に、複数本の電線23それぞれの一端を所定本数ずつまとめてなる4本の電線束の末端に設けられた4つの第1コネクタ21と、複数本の電線23それぞれの他端を所定本数ずつまとめてなる2本の電線束の末端に設けられた2つの第2コネクタ22と、を有している。第2コネクタ22は親側コネクタとなっており、この第2コネクタ22よりも小型の第1コネクタ21は子側コネクタとなっている。また、第1コネクタ21及び第2コネクタ22は、いずれも圧接コネクタとなっている。
この図17に示されているワイヤハーネス2は、図1に示されているワイヤハーネス1とは、その分岐形状が異なっている。このワイヤハーネス2では、4つの第1コネクタ21のうち2つの第1コネクタ21aまでの電線長L2aが、他の2つの第1コネクタ21b,21cまでの電線長L2b,L2cよりも長くなっている。また、2つの第1コネクタ21b,21cのうち一方の第1コネクタ21bまでの電線長L2bが、他方の第1コネクタ21cまでの電線長L2cよりも長くなっている。複数本の電線23は、第2コネクタ22の近傍から第1分岐位置P21までは全電線23が1つに束ねられており、第1分岐位置P21から長尺側の第1コネクタ21aへ向かう電線23と、中尺側及び短尺側の第1コネクタ21b、21cへ向かう電線23とがそれぞれ別個に束ねられている。さらに、中尺側及び短尺側の第1コネクタ21b、21cへ向かう電線23が、第2分岐位置P22で分岐している。
粘着面24aを有する粘着シート24は、第2コネクタ22の近傍から第1分岐位置P21の近傍までと、第1分岐位置P21の近傍から長尺側の第1コネクタ21aに至る中間位置までと、その中間位置から長尺側の第1コネクタ21aの近傍までと、第1分岐位置P21の近傍から第2分岐位置P22の近傍までとの4箇所に1枚ずつ合計で4枚設けられている。
次に、本発明の第2実施形態にかかるワイヤハーネス製造装置について、図18〜図31を参照して説明する。
図18は、本発明の第2実施形態にかかるワイヤハーネス製造装置の模式的な斜視図である。尚、この図18では、電線供給装置(電線供給手段)については図3に示されている第1実施形態の電線供給装置51と同等であるため、図3と同じ符号「51」が付されている。また、この電線供給装置51の構成要素についても同様に図示されており、この電線供給装置51については重複説明を省略する。また、このワイヤハーネス製造装置8におけるコネクタ移動方向及び直交方向についても、図3に示されている第1実施形態のコネクタ移動方向D1及び直交方向D2と同等であるため、各々図3と同じ符号「D1」、「D2」が付されている。
本実施形態のワイヤハーネス製造装置8は、電線供給装置51の他に、ベース板81、圧接装置82、及びコネクタ移動装置83(コネクタ移動手段)を備えている。
圧接装置82において、4つの第1コネクタ21及び2つの第2コネクタ22が、各々、第1コネクタ21aのコネクタ移動方向D1に対する直交方向D2に並べられて保持される。また、この圧接装置82において、第1コネクタ21及び第2コネクタ22への電線23の圧接が行われる。圧接装置82については、後で詳細に説明する。
ベース板81は、コネクタ移動方向D1について圧接装置82の前方に配置されており、このベース板81に、コネクタ移動装置83が、コネクタ移動方向D1に移動自在に設けられている。
コネクタ移動装置83は、圧接装置82での第1コネクタ21の圧接後に、複数本の電線23を、上記の長尺側の第1コネクタ21aまでの電線長、中尺側の第1コネクタ21bまでの電線長、及び、短尺側の第1コネクタ21cの電線長のそれぞれの長さに更に引き出す。コネクタ移動装置83は、第1コネクタ21をコネクタ移動方向D1に移動させることによりこの電線23の引出しを行う。コネクタ移動装置83は、電線把持アーム831を4本備えている。
また、本実施形態では、コネクタ移動装置83には、電線把持アーム831を開閉するための開閉レバー832が4本設けられている。図18に示されているように、開閉レバー832が上げられると、その開閉レバー832に対応する電線把持アーム831が閉じ、開閉レバー832が下げられると、その開閉レバー832に対応する電線把持アーム831が開くように構成されている。開閉レバー832の操作によって、各電線把持アーム831が圧接後の各第1コネクタ21の近傍の電線23を把持すると、コネクタ移動装置83がベース板81上をコネクタ移動方向D1に移動して電線23の引出しが行われる。
ベース板81には、長尺側の第1コネクタ21aまでの電線長に対応した引出位置に、その長尺側の第1コネクタ21aが2つ載置されるコネクタ載置部811aが設けられている。また、中尺側の第1コネクタ21bまでの電線長に対応した位置にその中尺側の第1コネクタ21bを保持するコネクタ載置部811bが設けられ、短尺側の第1コネクタ21cまでの電線長に対応した位置にその短尺側の第1コネクタ21cを保持するコネクタ載置部811cが設けられている。コネクタ移動装置83によるコネクタ移動後には各第1コネクタ21a,21b,21cが、各コネクタ載置部811a,811b,811cに載置される。
また、ベース板81には、上述した粘着シート24を保持する粘着シート保持部812(粘着シート保持手段)が、第1コネクタ21a,21b,21cの移動に伴う電線23の引出し経路に応じた4箇所に設けられている。
さらに、ベース板81には、粘着シート保持部812に対してコネクタ移動方向D1に隣接する位置で電線23を把持して図17に示されている分岐形状を形成するための電線クリップ813が設けられている。
ここで、上述した第1実施形態では、載置部521a,521bや、粘着シート保持部522や、電線クリップ523は、ベース板52においてコネクタ移動方向D1及び直交方向D2に交差する上下方向D3について、第1コネクタ11a,11bの移動経路の下方にあって第1コネクタ11a,11bの移動を妨げない位置に固定的に配置されている。
これに対し、本実施形態では、コネクタ載置部811a,811b,811cや、粘着シート保持部812や、電線クリップ813が、上下方向D3について移動可能に設けられている。コネクタ載置部811a,811b,811cや、粘着シート保持部812や、電線クリップ813は、第1コネクタ21a,21b,21cの移動中は、その移動経路の下方に位置して第1コネクタ21a,21b,21cの移動を妨げない退避位置に位置する。そして、第1コネクタ21a,21b,21cの移動後に後述の上昇位置へと動かされる。
ベース板81には、コネクタ載置部811a,811b,811cや、粘着シート保持部812や、電線クリップ813が上下方向D3に通過する通過孔81aが3箇所に設けられている。また、ベース板81には、コネクタ載置部811a,811b,811cや、粘着シート保持部812や、電線クリップ813を移動させるための操作機構814が設けられている。操作機構814による各部の移動操作については後で詳細に説明する。
まず、本実施形態における圧接装置82について図19〜図28を参照して詳細に説明する。
図19は、図18に模式的に示されている圧接装置を詳細に示す斜視図である。この図19には、圧接装置82を、コネクタ移動方向D1の前方から見た斜視図が示されている。この圧接装置82は、圧接機構821と、ピッチ変換機構822(ピッチ変換部)とを備えている。ピッチ変換機構822は、コネクタ移動方向D1の前方側に位置する前方機構822aと、コネクタ移動方向D1の後方側に位置する後方機構822bとを有している。
図20は、図19に示されている圧接機構の側面図である。圧接装置82は、第1コネクタ搭載部821aと、第2コネクタ搭載部821bと、第1圧接スタンプ821cと、第2圧接スタンプ821dと、スタンプ移動機構821eと、を備えている。
第1コネクタ搭載部821aは、4つの第1コネクタ21を直交方向D2に並べて保持する。第2コネクタ搭載部821bは、コネクタ移動方向D1について、第1コネクタ搭載部821aの前方に配置され、2つの第2コネクタ22を直交方向D2に並べて保持する。また、本実施形態では、第1コネクタ搭載部821a及び第2コネクタ搭載部821bは、各々上下方向D3に移動可能に、不図示のフレームに支持されている。本実施形態では、これら第1コネクタ搭載部821a及び第2コネクタ搭載部821bを合わせたものが、本発明にいうコネクタ保持手段の一例に相当する。
第1圧接スタンプ821cは、第1コネクタ搭載部821aで保持された4つの第1コネクタ21それぞれの直上に位置するように、直交方向D2に4つ配列されて設けられている。また、第2圧接スタンプ821dは、第2コネクタ搭載部821bで保持された2つの第2コネクタ22それぞれの直上に位置するように、直交方向D2に2つ配列されて設けられている。
スタンプ移動機構821eは、4つの第1圧接スタンプ821cと2つの第2圧接スタンプ821dを、上下方向D3に移動可能に保持している。4つの第1コネクタ21に対する電線23の圧接時には、スタンプ移動機構821eが、4つの第1圧接スタンプ821cを4つの第1コネクタ21に向かって一度に降下させて圧接を行う。また、2つの第2コネクタ22に対する電線23の圧接時には、スタンプ移動機構821eが、2つの第2圧接スタンプ821dを2つの第2コネクタ22に向かって一度に降下させて圧接を行う。本実施形態では、第1圧接スタンプ821cとスタンプ移動機構821eとを合わせたものが本発明にいう第1圧接手段の一例に相当し、第2圧接スタンプ821dとスタンプ移動機構821eとを合わせたものが本発明にいう第2圧接手段の一例に相当する。
図21は、図19に示されているピッチ変換機構の平面図である。このピッチ変換機構822の前方機構822aは、コネクタ移動方向D1について、第2コネクタ搭載部821b上の第2コネクタ22よりも前方側となる位置に配置される。そして、ピッチ変換機構822の後方機構822bは、コネクタ移動方向D1について前方機構822aの後方に配置される。本実施形態では、この後方機構822bは、前方機構822aの後方において、後述するように、第1コネクタ搭載部821a上の第1コネクタ21や第2コネクタ22の後方側で隣接する位置までコネクタ移動方向D1に移動可能に構成されている。
前方機構822aは、電線23を4本ずつ保持する第1保持部分822a−1を4つ備えている。各第1保持部分822a−1は、台部822a−1aと5本のピン822a−1bとを有する。5本のピン822a−1bは、台部822a−1aから上下方向D3に突出するとともに1本の電線23が通る間隔を相互間に空けて直交方向D2に配列されている。1つの第1保持部分822a−1が、1つの第1コネクタ21に至る1本の電線束をなす4本の電線23を保持する。
第1保持部分822a−1は、図21に示されているように2つが平面視でC字状となるように一体的に形成されてC字ブロック822a−2を成している。前方機構822aは、C字ブロック822a−2を、平面視で各々の開口が向き合うように2つ備えている。2つのC字ブロック822a−2は、一方のC字ブロック822a−2における1つの第1保持部分822a−1が、他方のC字ブロック822a−2の内側に位置するように配置されている。
2つのC字ブロック822a−2は、直交方向D2に移動可能となっている。前方機構822aは、これら2つのC字ブロック822a−2の移動範囲を規定するフレーム822a−3を備えている。フレーム822a−3は、2つのC字ブロック822a−2を収納するようにコネクタ移動方向D1の後方に向かって開口したC字状を有している。その内側には、コネクタ移動方向D1の後方に向かって突出した突出壁822a−3aが設けられている。2つのC字ブロック822a−2、つまりは4つの第1保持部分822a−1が、フレーム822a−3の内壁面と突出壁822a−3aとで規定される範囲内で、直交方向D2に移動可能となっている。
また、前方機構822a、つまりは4つの第1保持部分822a−1が、詳細については後述するように上下方向D3に移動可能となっている。
後方機構822bは、矩形状のフレーム板822b−1に、前方機構822aにおける4つの第1保持部分822a−1と一対一に対応する4つの第2保持部分822b−2が支持されたものである。
各第2保持部分822b−2は、一端を第1保持部分822a−1に向けて延びて電線23を内部に1本通すパイプ822b−2aが4本、直交方向D2に並べられて構成されている。そして、各パイプ822b−2aにおける第1保持部分822a−1側の一端が、直交方向D2に移動可能にフレーム板822b−1に支持されている。1つの第2保持部分822b−2が、第1保持部分822a−1と同様に、1つの第1コネクタ21に至る1本の電線束をなす4本の電線23を保持する。
また、後方機構822bには、4本のパイプ822b−2aにおける第1保持部分822a−1側の一端を直交方向D2に後述するように移動させるための移動機構822b−3が2つ設けられている。1つの移動機構822b−3が、2つの第2保持部分822b−2それぞれの4本のパイプ822b−2aの一端を移動させるようになっている。一方、パイプ822b−2aの他端は、不図示の回動軸に軸支されている。これにより、パイプ822b−2aは、この回動軸を中心に一端が回動するように構成されている。
次に、以上に説明した圧接装置82において、第1コネクタ21に電線23が圧接された後、コネクタ移動装置83によって第1コネクタ21が移動されつつ電線23のピッチ変更が行われるまでの一連の動きについて、図22〜図28を参照して説明する。尚、ここでいう、電線23のピッチ(電線ピッチ)とは、4つの第1コネクタ21とともに引き出され、各第1コネクタ21についてまとまった4本の電線束の、直交方向D2の間隔である。そして、ピッチ変更とは、これら4本の電線束の間隔を変更することで、2本ずつまとめて2つの第2コネクタ22に至る2本の電線束を形成することに相当する。この点は、上述した第1実施形態におけるピッチ変換も同様である。
図22は、第1コネクタに電線が圧接された後、第1コネクタの移動のためにコネクタ移動装置における電線把持アームが圧接装置の内部へと進入した状態を側面図で示す図である。図23は、図22に示されている状態を、ピッチ変換機構、第1コネクタ搭載部、及び第2コネクタ搭載部を平面図で示す図である。
図22及び図23に示されている状態では、ピッチ変換機構822の後方機構822bが、コネクタ移動方向D1について、第1コネクタ搭載部821a上の第1コネクタ21の後方側で隣接する位置に配置される。そして、ピッチ変換機構822の後方機構822bにおける第2保持部分822b−2のパイプ822b−2aの一端から1本ずつ突出した電線23が、第1コネクタ搭載部821a上の第1コネクタ21に、第1圧接スタンプ821cによって圧接される。
このとき、後方機構822bにおける第2保持部分822b−2のパイプ822b−2aが、図23に示されているような状態となっている。即ち、移動機構822b−3においてパイプ822b−2aの一端を移動させるための一対のアーム822b−3aが、矢印D21で示されているように、直交方向D2について先開き状に開く。これにより、4つの第2保持部分822b−2におけるパイプ822b−2aの一端が、第1コネクタ搭載部821a上の4つの第1コネクタ21に対応した第1ピッチに応じた第1位置に配置される。この状態では、4つの第2保持部分822b−2におけるパイプ822b−2aの全てが、直交方向D2に並行に配列される。
また、このときには、前方機構822aにおける4つの第1保持部分822a−1も、後方機構822bにおける4つの第2保持部分822b−2と一対一に対応するように、第1ピッチに応じた第1位置に配置される。
ここで、コネクタ移動装置83における電線把持アーム831の移動経路、延いては第1コネクタ21の移動経路を確保するために、圧接装置82の内部が次のような状態となっている。即ち、図22に示されているように、スタンプ移動機構821eによって、第2圧接スタンプ821dが上方向D31に引き上げられる。また、第2コネクタ22が搭載された第2コネクタ搭載部821bが下方向D32に下げられる。このときには、ピッチ変換機構822の前方機構822aも、第2コネクタ搭載部821bと一緒に下げられる。これにより、この前方機構822aにおける第1保持部分822a−1が、第1コネクタ21が上方を移動できるように上下方向D3に退避される。このようにして確保された空間に、電線把持アーム831が進入方向D11に進入し、第1コネクタ21に圧接された複数本の電線23における各第1コネクタ21の近傍を把持する。
本実施形態では、電線把持アーム831の移動開始前に作業者が開閉レバー832を操作して電線把持アーム831を開く。そして、電線把持アーム831が把持可能位置まで進入すると、作業者が開閉レバー832を操作して電線把持アーム831を閉じる。これにより、電線把持アーム831による把持が行われる。この把持後、電線23及び第1コネクタ21を把持した電線把持アーム831は、コネクタ移動方向D1に圧接装置82の外部へと移動する。
図24は、電線把持アームがコネクタ移動方向に移動して圧接装置の外部に達した状態を側面図で示す図である。図25は、図24に示されている状態を、ピッチ変換機構、第1コネクタ搭載部、及び第2コネクタ搭載部を平面図で示す図である。
電線23及び第1コネクタ21を把持したコネクタ移動装置83の電線把持アーム831が、第1コネクタ搭載部821a及び第2コネクタ搭載部821bの上方をコネクタ移動方向D1に移動する。すると、上記のように引き上げられていた第2圧接スタンプ821dがスタンプ移動機構821eによって下方向D33に下げられて定位置に戻される。また、このとき、上記のように第2コネクタ搭載部821bと一緒に退避していたピッチ変換機構822の前方機構822aが第2コネクタ搭載部821bと一緒に上方向D34に上昇する。このときの上昇は、前方機構822aの4つの第1保持部分822a−1が電線23を保持する電線保持位置に達するまで行われる。第1保持部分822a−1が電線保持位置に達する際に、第1保持部分822a−1における5本のピン822a−1aの相互間の間隙に電線23が1本ずつ導かれることで、5本のピン822a−1aにつき4本の電線23が保持される。
第1保持部分822a−1による電線23の保持完了後も電線把持アーム831は移動し続ける。一方、電線23を保持した4つの第1保持部分822a−1が、直交方向D2に次のように移動してピッチ変換が行われる。
図26は、4つの第1保持部分が、直交方向に移動してピッチ変換が行われるときの状態を側面図で示す図である。図27は、図26に示されている状態を、ピッチ変換機構、第1コネクタ搭載部、及び第2コネクタ搭載部を平面図で示す図である。
本実施形態では、第1保持部分822a−1で電線23が保持された段階で、ピッチ変換機構822の後方機構822bが、コネクタ移動方向D1に、第2コネクタ搭載部821bに隣接する位置まで移動する。その後、後方機構822bにおける移動機構822b−3が第2保持部分822b−2のパイプ822b−2aの一端を移動させると同時に、前方機構822aにおけるC字ブロック822a−2の移動により第1保持部分822a−1が動かされてピッチ変換が行われる。
後方機構822bにおける移動機構822b−3では、一対のアーム822b−3aが、矢印D22で示されているように、直交方向D2について先閉じ状に閉じる。これにより、4つの第2保持部分822b−2におけるパイプ822b−2aの一端が、第2コネクタ搭載部821b上の2つの第2コネクタ22に対応した第2ピッチに応じた第2位置に配置される。
また、前方機構822aでは、図27中で左方に開口したC字ブロック822a−2が、図中下側の外側面がフレーム822a−3の突出壁822a−3aに当接するまで直交方向D2にスライド移動する。そして、図27中で右方に開口したC字ブロック822a−2が、図中下側の内側面がフレーム822a−3の突出壁822a−3aに当接するまで直交方向D2にスライド移動する。これにより、電線23を保持した4つの第1保持部分822a−1が、矢印D23で示されているように直交方向D2に移動して、第2コネクタ搭載部821b上の2つの第2コネクタ22に対応した第2ピッチに応じた第2位置に配置される。
図28は、第1保持部分による電線の保持と、その移動によるピッチ変換について模式的に示す斜視図である。図28(a)には、第1保持部分822a−1によって電線23が保持される様子が示され、図28(b)には、第1保持部分822a−1の移動によって電線23のピッチ変換が行われる様子が示されている。
この図28を参照してまとめると、本実施形態では、第1保持部分822a−1は、第1コネクタ21の移動時には、上下方向D3について、第1コネクタ21の移動を妨げない位置に退避する。そして、第1コネクタ21の移動後に、上記の第1位置において電線保持位置まで上下方向D3について上方向D34に移動するとともに第2位置まで直交方向D2について矢印D23方向に移動する。また、このときには、第2保持部分822b−2についても、パイプ822b−2aの一端が第2位置まで直交方向D2に動かされる。以上の動作により、電線ピッチが、第2コネクタ22に応じた第2ピッチへと変換される。
図18に示されているワイヤハーネス製造装置8では、圧接装置82において、第1コネクタ21への電線23の圧接後、途中で上記のように電線ピッチの変換が行われつつ、コネクタ移動装置83による第1コネクタ21の移動が電線23を引き出しながら行われる。この電線23の引出しを伴う第1コネクタ21の移動中、ベース板81では、粘着シート保持部812、電線クリップ813、及び、第1コネクタ21のコネクタ載置部811a,811b,811cが、各々次のような状態にある。
図29は、コネクタ移動装置による電線の引出しを伴う第1コネクタの移動中における、粘着シート保持部、電線クリップ、及び、第1コネクタの載置部を示す図である。尚、この図29では、ベース板81が、コネクタ載置部811a,811b,811cや、粘着シート保持部812や、電線クリップ813の通過孔81aが設けられた天井板部分が除かれ、フレームや各種機構が見える状態で示されている。図29(a)は、そのような状態のベース板81の上面図が示され、図29(b)は、ベース板81の側面図が示されている。
上述したように、本実施形態では、コネクタ載置部811a,811b,811cや、粘着シート保持部812や、電線クリップ813が、上下方向D3について移動可能に設けられている。図29には、コネクタ移動装置83による電線23の引出しを伴う第1コネクタ21の移動中における、コネクタ載置部811a,811b,811c、粘着シート保持部812、及び電線クリップ813が示されている。この状態では、コネクタ載置部811a,811b,811c、粘着シート保持部812、及び電線クリップ813は、いずれも第1コネクタ21の移動の妨げとならないように、第1コネクタ21の移動経路の下方に退避する。各部の退避は、作業者が、操作機構814を後述するように操作することで行われる。
図30は、第1コネクタの移動完了後における、粘着シート保持部、電線クリップ、及び、第1コネクタの載置部を示す図である。尚、この図30でも、図29と同様に、ベース板81が、フレームや各種機構が見える状態で示されている。図30(a)は、そのような状態のベース板81の上面図が示され、図30(b)は、ベース板81の側面図が示されている。
上述したように、第1コネクタ21の移動は、4つの第1コネクタ21それぞれの引出位置で一旦停止しつつ行われ、最も遠いコネクタ載置部811aの近傍に達すると完了する。このとき、各停止時に、各引出位置のコネクタ載置部811a,811b,811cに第1コネクタ21が載置される。ここで、本実施形態では、最も遠いコネクタ載置部811aに第1コネクタ21が載置されるまでは、コネクタ載置部811a,811b,811c、粘着シート保持部812、及び電線クリップ813が、図29に示されているように、第1コネクタ21の移動経路の下方に退避している。そして、第1コネクタ21の移動と載置が完了すると、コネクタ載置部811a,811b,811c、粘着シート保持部812、及び電線クリップ813が、操作機構814への操作により、図30に示されているように上昇する。
図31は、図29及び図30に示されている載置部、粘着シート保持部、及び電線クリップが、操作機構への操作により上昇する様子を示す図である。図31(a)には、粘着シート保持部812の上昇が示されており、図31(b)には、電線クリップ813の上昇が示されている。また、図31(c)には、最も遠いコネクタ載置部811aの上昇が、隣接する電線クリップ813の上昇とともに示されている。
本実施形態では、粘着シート保持部812が、上下方向D3について、第1コネクタ21の移動経路の下方に降下して第1コネクタ21の移動を妨げないシート降下位置P111と、シート降下位置P111から上昇したシート上昇位置P112と、の間で移動可能に設けられている。シート降下位置P111とシート上昇位置P112との間の粘着シート保持部812の移動は、その粘着シート保持部812に対応する操作機構814の操作レバー814aを上下動させることで行われる。各位置における粘着シート保持部812の固定は、ラッチ操作部814bを操作することで行われる。例えば、シート降下位置P111からシート上昇位置P112への粘着シート保持部812の移動は、ラッチ操作部814bによる固定を解除し、図31(a)に示されているように、操作レバー814aを上方向D35に動かして粘着シート保持部812を上方向D36に上昇させることで行われる。上昇後のラッチ操作部814bへの操作により、粘着シート保持部812は、シート上昇位置P112に固定される。シート上昇位置P112からシート降下位置P111への粘着シート保持部812の移動は、操作機構814に対する逆向きの操作によって行われる。
同様に、電線クリップ813は、電線降下位置P121と電線上昇位置P122との間で移動可能に設けられている。ラッチ操作部814bによる固定を解除し、図31(b)に示されているように操作レバー814aを上方向D37に動かすことで、電線クリップ813は電線上昇位置P122へと上方向D38に上昇する。電線上昇位置P122から電線降下位置P121への電線クリップ813の移動は、操作機構814に対する逆向きの操作によって行われる。
また、コネクタ載置部811aは、コネクタ降下位置P131とコネクタ上昇位置P132との間で移動可能に設けられている。ラッチ操作部814bによる固定を解除し、図31(c)に示されているように操作レバー814aを上方向D39に動かすことで、コネクタ載置部811aはコネクタ上昇位置P132へと上方向D40に上昇する。コネクタ上昇位置P132からコネクタ降下位置P131へのコネクタ載置部811aの移動は、操作機構814に対する逆向きの操作によって行われる。他のコネクタ載置部811b,811cについても同様に操作される。ここで、本実施形態では、最も遠いコネクタ載置部811aと最も近いコネクタ載置部811cについては各々隣接する電線クリップ813と一緒に移動するように構成されている。中間位置のコネクタ載置部811bについては、単独で移動するように構成されている。
ここで、上述した圧接装置82では、電線23の圧接時には、第1コネクタ搭載部821a及び第2コネクタ搭載部821bが、上下方向D3について、上記のシート降下位置P111よりも高いコネクタ保持位置に第1コネクタ21及び第2コネクタ22を保持する。そして、粘着シート保持部812のシート上昇位置P112が、上記のコネクタ保持位置に応じた高さ、具体的には略同等な高さまでシート降下位置P111から上昇した位置となっている。
また、上記の電線降下位置P121は、上下方向D3について、シート降下位置P111に応じた高さ、具体的には略同等な高さの位置となっている。そして、電線上昇位置P122は、シート上昇位置P112に応じた高さ、具体的には略同等な高さまで電線降下位置P121から上昇した位置となっている。同様に、上記のコネクタ降下位置P131は、上下方向D3について、シート降下位置P111に応じた高さ、具体的には略同等な高さの位置となっている。そして、コネクタ上昇位置P132は、シート上昇位置P112に応じた高さ、具体的には略同等な高さまでコネクタ降下位置P131から上昇した位置となっている。
次に、以上に説明したワイヤハーネス製造装置8を用いて、図17に示されているワイヤハーネス2を製造するワイヤハーネス製造方法について、ここまでの説明と若干重複するが、図18〜図31を参照して説明する。
このワイヤハーネス製造方法では、まず、圧接装置82における第1コネクタ搭載部821aに4つの第1コネクタ21が搭載され、第2コネクタ搭載部821bに2つの第2コネクタ22が搭載される(コネクタ保持工程)。また、このタイミングで、4箇所の粘着シート保持部812それぞれに粘着シート24が載置されて保持される。尚、このときには、操作機構814への操作によって、粘着シート保持部812はシート降下位置P111に下げられ、電線クリップ813は電線降下位置P121に下げられ、コネクタ載置部811a,811b,811cもコネクタ降下位置P131に下げられた状態にある。
次に、電線供給装置51から引き出された複数本の電線23が、圧接装置82における第1圧接スタンプ821cによって4つの第1コネクタ21に1回で圧接される(第1圧接工程)。このとき、複数本の電線23における電線ピッチは、ピッチ変換機構822によって、第1コネクタ21に対応した幅広の第1ピッチに設定されている。そして、この圧接後に、コネクタ移動装置83によるコネクタ移動が行われる(コネクタ移動工程)。
また、本実施形態では、このコネクタ移動の際に並行して、電線ピッチが、ピッチ変換機構822によって、第1コネクタ21に対応した第1ピッチから第2コネクタ22に対応した第2ピッチへと変換される(ピッチ変換工程)。
コネクタ移動後、まず、コネクタ載置部811a,811b,811cへの第1コネクタ21の載置が行われる。その後、操作機構814への操作によって、粘着シート保持部812がシート上昇位置P112に上げられ、電線クリップ813が電線上昇位置P122に上げられ、コネクタ載置部811a,811b,811cもコネクタ上昇位置P132に上げられる。
続いて、電線クリップ813を使い、複数本の電線23をフラットケーブル様に並べるとともに、第1分岐位置P21及び第2分岐位置P22で分岐させて整列させる整列工程が行われる。
そして、上記の整列工程の後、粘着シート24の粘着面24aの直上をフラットケーブル様に並べられて直進する電線23が、例えばローラの押付け等により粘着面24aに貼付される。
その後、圧接装置82における第2圧接スタンプ821dによって、複数本の電線23が、第2コネクタ搭載部821bに直交方向D2に並べて配置された2つの第2コネクタ22に1回で圧接され(第2圧接工程)、同時にコネクタ移動方向D1の後方側の余長部が切断される(電線切断工程)。この第2コネクタ22への圧接と余長部の切断によって図17に示されているワイヤハーネス2の1つの製造が終了し、ワイヤハーネス製造装置8は、次の製造に備える。
以上に説明した第2実施形態のワイヤハーネス製造装置8、及びそのワイヤハーネス製造装置8を用いたワイヤハーネス製造方法によれば、上述した第1実施形態と同様に、
ワイヤハーネスの製造にかかる工数を抑えることがきできることはいうまでもない。また、第2実施形態のワイヤハーネス製造装置8、及びそのワイヤハーネス製造装置8を用いたワイヤハーネス製造方法によれば、第1保持部分822a−1や第2保持部分822b−2の移動により、第1コネクタ21と第2コネクタ22との個数やサイズの相違によらず、電線ピッチの変換に係る工数を抑えて両コネクタ間に電線23を確実に配置することがきできる。
また、第2実施形態によれば、粘着シート24の粘着面24aに電線23が貼付されることで電線23が束ねられてワイヤハーネス2が構成される。これにより、コネクタ圧接後の電線23を束ねるために付線板等の別装置へ移動させることは勿論のこと、結束バンドによる結束やコルゲートチューブを被せる等といった手間のかかる作業も不要となり、工数を一層抑えてワイヤハーネス2を製造することができる。また、粘着シート24は、第1コネクタ21の移動中は、第1コネクタ21の移動経路の下方で第1コネクタ21の移動を妨げない位置に保持される。このため、上記のように粘着シート24を利用して工数が抑えられたワイヤハーネス2の製造を無理なく行うことができる。
尚、上述した第1実施形態においても、電線把持ブロック535bの移動により、第1コネクタ11と第2コネクタ12との個数やサイズの相違によらず、電線ピッチの変換に係る工数を抑えて両コネクタ間に電線13を確実に配置することがきできる。
また、第1実施形態においても、粘着シート14の利用により工数を一層抑えてワイヤハーネス2を製造することができる。また、この第1実施形態では、粘着シート14は、第1コネクタ11の移動経路の下方で第1コネクタ11の移動を妨げない位置に固定的に設けられた粘着シート保持部522に保持される。このため、第1実施形態においても、上記のように粘着シート14を利用して工数が抑えられたワイヤハーネス1の製造を無理なく行うことができる。
また、第2実施形態によれば、コネクタ移動方向D1について、第2コネクタ搭載部821bに保持されている第2コネクタ22を挟んで配列されて互いに対をなす第1保持部分822a−1と第2保持部分822b−2で電線23を保持するので、電線23を安定して保持して電線ピッチの変換を行うことができる。
また、第2実施形態によれば、コネクタ移動方向D1の前方側の第1保持部分822a−1が、第1コネクタ搭載部821aに保持されている第1コネクタ21に対してコネクタ移動方向D1の前方に配置される。これにより、コネクタ移動装置83による移動に先立って電線23が圧接される第1コネクタ21を、電線供給装置51になるべく近づけて配置して、第1コネクタ21に対する電線23の位置合わせの精度を高めて圧接を行うことができる。そして、第1コネクタ21の移動時には、上下方向D3について、第1保持部分822a−1が、第1コネクタ21の移動を妨げない位置に退避する。そして、第1コネクタ21の移動後に電線保持位置まで移動して電線ピッチの変換に寄与するように構成されている。このため、上記のように第1コネクタ21に対する電線23の位置合わせの精度を高めつつも、第1コネクタ21の移動とその後の電線ピッチの変換を無理なく行うことができる。
また、第2実施形態によれば、第1保持部分822a−1が、直交方向D2及び上下方向D3に移動可能な台部822a−1aと、その台部822a−1aから上下方向D3に突出するとともに1本の電線23が通る間隔を相互間に空けて直交方向D2に配列された複数本のピン822a−1bと、を有している。第1保持部分822a−1をこのような構成とすることで、第1保持部分822a−1が上下方向D3に電線保持位置に移動する際に、ピン822a−1bの相互間に電線23が1本ずつ導かれて無理なく保持されることとなっている。
また、第2実施形態によれば、コネクタ移動方向D1の後方側の第2保持部分822b−2が、第2コネクタ搭載部821bに保持されている第2コネクタ22及び第1コネクタ搭載部821aに保持されている第1コネクタ21の両方に対してコネクタ移動方向D1の後方に配置されている。これにより、電線供給装置51から引き出される電線23を、第1コネクタ21や第2コネクタ22よりもコネクタ移動方向D1の後方側で第1ピッチや第2ピッチに配列して安定的に第1コネクタ21や第2コネクタ22へと導くことができる。
また、第2実施形態によれば、粘着シート保持部812をシート上昇位置P112に移動させることで、粘着シート24の上下方向D3の位置を、第1コネクタ21や第2コネクタ22のコネクタ保持位置に応じた位置に設定することができる。これにより、引き出された電線23を、その端部が圧接された第1コネクタ21や第2コネクタ22のコネクタ保持位置に応じた高さで、粘着シート24に安定的に貼付することができる。
また、第2実施形態によれば、コネクタ載置部811a,811b,811cをコネクタ上昇位置P132に移動させることで、引出位置における第1コネクタ21の上下方向D3の位置を、上記のシート上昇位置P112に応じた位置に設定することができる。これにより、引き出された電線23を、引出位置における第1コネクタ21に至るまでその高さを揃えることで、粘着シート24に一層安定的に貼付することができる。
また、第2実施形態によれば、電線クリップ813を電線上昇位置P122に移動させることで、電線23の上下方向D3の把持位置を、上記のシート上昇位置P112に応じた位置に設定することができる。これにより、引出位置における第1コネクタ21に至るまでその高さが揃えられた電線23を、粘着シート保持部812やコネクタ載置部811a,811b,811cに隣接する位置で把持することで、粘着シート24に一層安定的に貼付することができる。
尚、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法は、これらの実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、本発明にいうワイヤハーネスの一例として、4つの第1コネクタ11,21と2つの第2コネクタ12,22とが複数本の電線13,23に圧接されて分岐した形態のワイヤハーネス1,2が例示されている。しかしながら、本発明にいうワイヤハーネスは、これに限るものではなく、複数本の電線を有するものであれば、両端のコネクタの個数や分岐の有無や分岐の数等を問うものではない。
尚、上述した実施形態のワイヤハーネス製造装置5,8は、上記形態のワイヤハーネス1,2を製造する装置であるが、両端に1つずつコネクタが圧接された分岐無しの1本形態のワイヤハーネスの製造や、両端に2つずつコネクタが圧接された分岐無しの1本形態のワイヤハーネスの製造に用いることも可能である。この場合、ワイヤハーネス製造装置5,8を用いることで、例えば、上記のような1本形態のワイヤハーネスを4本同時に製造することが可能であり、両端に2つずつコネクタが圧接された1本形態のワイヤハーネスを2本同時に製造することも可能である。ただし、これらの場合、ワイヤハーネスの長さは、各第1コネクタ11,21の引出位置に応じた長さとなる。
また、上述した実施形態では、本発明にいうワイヤハーネス製造装置の一例として、電線クリップ523,813を用いて電線13,23を整列させる形態のワイヤハーネス製造装置5,8が例示されている。しかしながら、本発明にいうワイヤハーネス製造装置はこれに限るものではなく、例えば、複数の第1コネクタ11,21に圧接された複数本の電線13,23が幅広の粘着シートにおける粘着面の直上を通過するようにコネクタ移動し、コネクタ移動後には特に整列等を行うことなくローラ等で粘着面に貼付する形態のもの等であってもよい。
また、上述した第1実施形態では、本発明にいう第1圧接手段及び第2圧接手段の各一例について、いずれも、電線13の圧接を、第1圧接スタンプ532や第2圧接スタンプ534を移動機構537でスライド移動させつつ2回に分けて行う形態が例示され、第2実施形態では、本発明にいう第1圧接手段及び第2圧接手段の各一例について、いずれも、電線23の圧接を、第1圧接スタンプ821cや第2圧接スタンプ821dで1回で一括して行う形態が例示されている。しかしながら、本発明にいう第1圧接手段及び第2圧接手段は、いずれもこれに限るものではない。本発明にいう第1圧接手段及び第2圧接手段は、いずれも、第2コネクタの個数よりも少ない回数であれば、3回以上の回数に分けて行う形態であってもよい。
なお、上述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。