近年、上記被操作装置としてプリンタを適用し、操作者が、操作端末に備えられた操作手段を適宜に操作することで無線通信を介して印刷装置に所望の印刷を行わせるシステムが提唱されつつある。例えばこのようなシステムにおいて、印刷装置に接続可能な操作端末を携帯する操作者が、出先で所望の印刷を行いたい場合に、手近にある適宜のプリンタに対し印刷操作を行い、当該所望の印刷を容易かつ手軽に実行できれば非常に便利である。しかしながら、上記従来技術では、そのような点までは特に配慮されていなかった。
本発明の目的は、操作者の手近にある適宜のプリンタを操作可能とし、容易かつ手軽に印刷を実行することができる、プリンタ、及び印刷処理プログラム、並びに印刷処理方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願第1発明は、被印刷媒体に印刷を行うプリンタであって、前記被印刷媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印刷媒体への印刷を実行する印刷手段と、前記搬送手段及び前記印刷手段を制御するプリンタ制御手段と、前記プリンタ制御手段に対して情報送受信可能に有線接続され、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備え、前記プリンタを特定可能なプリンタ識別情報を前記IC回路部に記憶したプリンタ用無線タグと、前記プリンタ用無線タグとの第1無線通信により前記IC回路部から取得されたプリンタ識別情報を用いて当該プリンタを特定して操作端末により送信された印刷データを、前記第1無線通信とは異なる第2無線通信により取得する印刷データ取得手段と、を有し、前記プリンタ制御手段は、前記印刷データ取得手段により取得された前記印刷データの印刷を前記被印刷媒体に対し実行するように、前記搬送手段及び前記印刷手段を互いに連携して制御することを特徴とする。
本願第1発明のプリンタには、プリンタ用無線タグが設けられている。プリンタ用無線タグは、プリンタ制御手段と有線接続されており、プリンタを特定可能なプリンタ識別情報をIC回路部に記憶している。操作者の適宜の操作により、操作端末がプリンタ用無線タグに対し第1無線通信により読み取りを行うことで、上記プリンタ識別情報が操作端末で取得される。その後、操作端末は、取得したプリンタ識別情報を用いて当該プリンタを特定することで、第2無線通信により印刷データを送信する。送信された印刷データは、プリンタの印刷データ取得手段によって取得される。これにより、プリンタ制御手段の制御に基づき、搬送手段及び印刷手段が連携し、上記取得された印刷データを被印刷媒体に印刷することができる。
以上のようにして、本願第1発明においては、操作端末が、プリンタ用無線タグを用いてプリンタを特定した後に、印刷データを送信してプリンタに対し印刷を行わせる(=印刷操作)。これにより、例えば操作端末を携帯する操作者が出先で所望の印刷を行いたい場合に、手近にあるプリンタに対し確実に印刷操作を行い、当該所望の印刷を容易かつ手軽に実行することができる。
また、本願第1発明においては、通信距離が比較的短い無線タグ(プリンタ用無線タグ)との無線通信(第1無線通信)によってプリンタの特定が行われる。この結果、操作者は、まず、上記印刷操作を行いたいプリンタに対し、操作端末を近接(又は略接触、以下同様)させてプリンタ識別情報を取得させる必要がある。これにより、例えば複数のプリンタが近接して配置されている場合であっても、操作者は、印刷操作の対象とする1つのプリンタを感覚的に容易に認識し、確実に印刷操作を行うことができる。また、それら複数のプリンタのうち1つのプリンタに対し操作端末を近接→当該プリンタを特定し印刷データを送信→次のプリンタに対し操作端末を近接→当該プリンタを特定し印刷データを送信→・・という手順を繰り返すことで、当該複数のプリンタを短時間の間(又はほぼ同時に)に次々に印刷操作し、各プリンタに所望の印刷を行わせることもできる。
第2発明は、上記第1発明において、前記プリンタ用無線タグの前記IC回路部は、前記プリンタ識別情報としての前記プリンタのアドレス情報を記憶しており、前記印刷データ取得手段は、前記プリンタ用無線タグとの第1無線通信により前記IC回路部から取得された前記アドレス情報を用いて当該プリンタを特定して前記操作端末により送信された印刷データを、前記第2無線通信により取得することを特徴とする。
これにより、アドレス情報を用いて操作端末がプリンタを容易に特定し、確実に接続を行って印刷データを送信することができる。
第3発明は、上記第1又は第2発明において、印刷動作に係わる所定の状態量を取得する状態量取得手段を有し、前記プリンタ用無線タグの前記IC回路部は、前記状態量取得手段により取得された前記状態量を記憶し、前記印刷データ取得手段は、前記プリンタ用無線タグとの第1無線通信により前記IC回路部から取得された前記状態量及び前記プリンタ識別情報に基づき、前記状態量が所定の条件に整合するか否かにより当該プリンタを選択するとともに前記プリンタ識別情報を用いて当該プリンタを特定することで、前記操作端末により送信された、前記印刷データを前記第2無線通信により取得することを特徴とする。
本願第3発明においては、例えばプリンタが電池駆動であった場合の電池残量や、プリンタに収納されている被印刷媒体の種類や被印刷媒体の残量、等の印刷動作に係わる状態量が状態量取得手段によって取得される。取得された状態量はプリンタ用無線タグのIC回路部に記憶される。これにより、操作端末がプリンタ用無線タグに対し第1無線通信により読み取りを行った際、上記状態量が上記プリンタ識別情報とともに操作端末で取得される。この結果、操作端末は、取得された上記状態量が、印刷データを送信して印刷を実行可能な所定の条件に合致するか否かを判断することができる。例えば、上記電池残量が所定のしきい値以上であるか、被印刷媒体の種類が送信しようとする印刷データに対して整合しているか否か、被印刷用紙媒体の残量が所定のしきい値以上であるか又は送信しようとする印刷データに対して整合しているか否か、等を操作端末が判断する。そして、操作端末は、状態量が上記所定の条件に合致している場合に限り、当該状態量に対応したプ
リンタを印刷データの送信対象として選択し、上記取得されたプリンタ識別情報を用いて当該プリンタを特定することで、第2無線通信により印刷データを送信する。
以上のようにして、本願第3発明においては、操作端末が、印刷データの送信対象として不適当なプリンタには異なる無線通信路の接線をせず印刷データを送信しないようにすることができるので、操作者が意図する上記所望の印刷を円滑かつ確実に実行することができる。
上記目的を達成するために、第4発明は、プリンタを特定可能なプリンタ識別情報を記憶したプリンタ用無線タグと第1無線通信により情報送受信可能な第1通信手段と、前記第1無線通信とは異なる第2無線通信により前記プリンタと情報送受信可能な第2通信手段と、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を制御する端末制御手段と、を有する操作端末に備えられた前記端末制御手段に対し、第1通信手段を介し、前記プリンタ用無線タグから前記プリンタ識別情報を取得する情報取得手順と、前記情報取得手順で取得された前記プリンタ識別情報を用いて前記プリンタを特定しつつ、当該特定したプリンタに対して、前記第2通信手段を介して所望の印刷データを送信する印刷データ送信手順と、を実行させる。
本願第4発明の印刷処理プログラムが操作端末で実行されると、情報取得手順で、プリンタに設けられたプリンタ用無線タグに対し第1通信手段を介し読み取りが行われ、プリンタ用無線タグに記憶されたプリンタ識別情報が取得される。その後、印刷データ送信手順で、取得したプリンタ識別情報を用いて当該プリンタを特定しつつ、当該特定したプリンタに対し第2通信手段を介し印刷データが送信される。これにより、送信された印刷データは、プリンタによって取得され、上記取得された印刷データが被印刷媒体に印刷される。
以上のようにして、本願第4発明においては、操作端末が、プリンタ用無線タグを用いてプリンタを特定した後に、印刷データを送信してプリンタに対し印刷を行わせる(=印刷操作)。これにより、例えば操作端末を携帯する操作者が出先で所望の印刷を行いたい場合に、手近にあるプリンタに対し確実に印刷操作を行い、当該所望の印刷を容易かつ手軽に実行することができる。
また、本願第4発明においては、通信距離が比較的短い無線タグ(プリンタ用無線タグ)との無線通信(第1無線通信)によってプリンタの特定が行われる。この結果、操作者は、まず、上記印刷操作を行いたいプリンタに対し、操作端末を近接(又は略接触、以下同様)させてプリンタ識別情報を取得させる必要がある。これにより、例えば複数のプリンタが近接して配置されている場合であっても、操作者は、印刷操作の対象とする1つのプリンタを感覚的に容易に認識し、確実に印刷操作を行うことができる。また、それら複数のプリンタのうち1つのプリンタに対し操作端末を近接→当該プリンタを特定し印刷データを送信→次のプリンタに対し操作端末を近接→当該プリンタを特定し印刷データを送信→・・という手順を繰り返すことで、当該複数のプリンタを短時間の間(又はほぼ同時に)に次々に印刷操作し、各プリンタに所望の印刷を行わせることもできる。
第5発明は、上記第4発明において、前記端末制御手段に対し、前記IC回路部から前記プリンタ識別情報としての前記プリンタのアドレス情報を取得する、前記情報取得手順と、前記アドレス情報を用いて前記プリンタを特定しつつ前記印刷データを送信する、前記印刷データ送信手順と、を実行させることを特徴とする。
これにより、アドレス情報を用いて操作端末がプリンタを容易に特定し、確実に接続を行って印刷データを送信することができる。
第6の発明は、上記第4又は第5発明において、前記端末制御手段に対し、前記IC回路部から、前記プリンタの印刷動作に係わる所定の状態量と前記プリンタ識別情報とを取得する、前記情報取得手順と、前記情報取得手順で取得された前記状態量が所定の条件に合致するか否かを判定する判定手順と、前記判定手順により前記状態量が所定の条件に合致すると判定されたとき、対応する前記プリンタ識別情報を用いて前記プリンタを特定しつつ前記印刷データを送信する、前記印刷データ送信手順と、を実行させることを特徴とする。
本願第6発明においては、例えばプリンタが電池駆動であった場合の電池残量や、プリンタに収納されている被印刷媒体の種類や被印刷媒体の残量、等の印刷動作に係わる状態量が当該プリンタにおいて取得される。取得された状態量はプリンタ用無線タグのIC回路部に記憶される。そして、操作端末の端末制御手段が、情報取得手順で、上記状態量を上記プリンタ識別情報とともに取得する。そして、判定手順で、当該取得された上記状態量が、印刷データを送信して印刷を実行可能な所定の条件に合致するか否かを判断する。例えば、上記電池残量が所定のしきい値以上であるか、被印刷媒体の種類が送信しようとする印刷データに対して整合しているか否か、被印刷用紙媒体の残量が所定のしきい値以上であるか又は送信しようとする印刷データに対して整合しているか否か、等が判断される。そして、端末制御手段は、状態量が上記所定の条件に合致し上記判定手順の判定が満たされる場合に限り、当該状態量に対応したプリンタを印刷データの送信対象として選択し、印刷データ送信手順で、上記取得されたプリンタ識別情報を用いて当該プリンタを特定することで、印刷データを送信する。
以上のようにして、本願第6発明においては、操作端末が、印刷データの送信対象として不適当なプリンタには異なる無線通信路の接線をせず印刷データを送信しないようにすることができるので、操作者が意図する上記所望の印刷を円滑かつ確実に実行することができる。
上記目的を達成するために、第7発明は、プリンタを特定可能なプリンタ識別情報を記憶したプリンタ用無線タグと第1無線通信により情報送受信可能な第1通信手段と、前記第1無線通信とは異なる第2無線通信により前記プリンタと情報送受信可能な第2通信手段と、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を制御する端末制御手段と、を有する操作端末が実行する、印刷処理方法であって、第1通信手段を介し、前記プリンタ用無線タグから前記プリンタ識別情報を取得する情報取得手順と、前記情報取得手順で取得された前記プリンタ識別情報を用いて前記プリンタを特定しつつ、当該特定したプリンタに対して、前記第2通信手段を介して所望の印刷データを送信する印刷データ送信手順と、を有することを特徴とする。
本願第7発明においては、情報取得手順で、プリンタに設けられたプリンタ用無線タグに対し第1通信手段を介し読み取りが行われ、プリンタ用無線タグに記憶されたプリンタ識別情報が取得される。その後、印刷データ送信手順で、取得したプリンタ識別情報を用いて当該プリンタを特定しつつ、当該特定したプリンタに対し第2通信手段を介し印刷データが送信される。これにより、送信された印刷データは、プリンタによって取得され、上記取得された印刷データが被印刷媒体に印刷される。
以上のようにして、本願第7発明においては、操作端末が、プリンタ用無線タグを用いてプリンタを特定した後に、印刷データを送信してプリンタに対し印刷を行わせる(=印刷操作)。これにより、例えば操作端末を携帯する操作者が出先で所望の印刷を行いたい場合に、手近にあるプリンタに対し確実に印刷操作を行い、当該所望の印刷を容易かつ手軽に実行することができる。
また、本願第7発明においては、通信距離が比較的短い無線タグ(プリンタ用無線タグ)との無線通信(第1無線通信)によってプリンタの特定が行われる。この結果、操作者は、まず、上記印刷操作を行いたいプリンタに対し、操作端末を近接(又は略接触、以下同様)させてプリンタ識別情報を取得させる必要がある。これにより、例えば複数のプリンタが近接して配置されている場合であっても、操作者は、印刷操作の対象とする1つのプリンタを感覚的に容易に認識し、確実に印刷操作を行うことができる。また、それら複数のプリンタのうち1つのプリンタに対し操作端末を近接→当該プリンタを特定し印刷データを送信→次のプリンタに対し操作端末を近接→当該プリンタを特定し印刷データを送信→・・という手順を繰り返すことで、当該複数のプリンタを短時間の間(又はほぼ同時に)に次々に印刷操作し、各プリンタに所望の印刷を行わせることもできる。
第8発明は、上記第7発明において、前記情報取得手順は、前記IC回路部から前記プリンタ識別情報としての前記プリンタのアドレス情報を取得し、前記印刷データ送信手順は、前記アドレス情報を用いて前記プリンタを特定しつつ前記印刷データを送信することを特徴とする。
これにより、アドレス情報を用いて操作端末がプリンタを容易に特定し、確実に接続を行って印刷データを送信することができる。
第9発明は、上記第7又は第8発明において、前記情報取得手順は、前記IC回路部から、前記プリンタの印刷動作に係わる所定の状態量と前記プリンタ識別情報とを取得し、かつ、前記情報取得手順で取得された前記状態量が所定の条件に合致するか否かを判定する判定手順をさらに有し、前記印刷データ送信手順は、前記判定手順により前記状態量が所定の条件に合致すると判定されたとき、対応する前記プリンタ識別情報を用いて前記プリンタを特定しつつ前記印刷データを送信することを特徴とする。
本願第9発明においては、例えばプリンタが電池駆動であった場合の電池残量や、プリンタに収納されている被印刷媒体の種類や被印刷媒体の残量、等の印刷動作に係わる状態量が当該プリンタにおいて取得される。取得された状態量はプリンタ用無線タグのIC回路部に記憶される。そして、操作端末の端末制御手段が、情報取得手順で、上記状態量を上記プリンタ識別情報とともに取得する。そして、判定手順で、当該取得された上記状態量が、印刷データを送信して印刷を実行可能な所定の条件に合致するか否かを判断する。例えば、上記電池残量が所定のしきい値以上であるか、被印刷媒体の種類が送信しようとする印刷データに対して整合しているか否か、被印刷用紙媒体の残量が所定のしきい値以上であるか又は送信しようとする印刷データに対して整合しているか否か、等が判断される。そして、端末制御手段は、状態量が上記所定の条件に合致し上記判定手順の判定が満たされる場合に限り、当該状態量に対応したプリンタを印刷データの送信対象として選択し、印刷データ送信手順で、上記取得されたプリンタ識別情報を用いて当該プリンタを特定することで、印刷データを送信する。
以上のようにして、本願第9発明においては、操作端末が、印刷データの送信対象として不適当なプリンタには異なる無線通信路の接線をせず印刷データを送信しないようにすることができるので、操作者が意図する上記所望の印刷を円滑かつ確実に実行することができる。
本発明によれば、操作者の手近にある適宜のプリンタを操作可能とし、容易かつ手軽に印刷を実行することができる。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<システム構成>
図1に、本実施形態が適用される操作端末200を、操作対象である携帯型プリンタ100とともに示す。図1において、携帯型プリンタ100と操作端末200とによって、印刷システムPSが構成されている。携帯型プリンタ100と操作端末200とは、適宜の相互認識無線通信、この例ではブルートゥース(登録商標)通信、により、情報送受信可能に接続されている。
操作端末200は、例えば、上記相互認識無線通信に対応する機能を備えたPDA(携帯情報端末)やスマートフォン(PDA機能を備えた携帯電話)等の情報端末である。この操作端末200は、タッチパネル201と、例えば操作ボタン202とを有している。タッチパネル201は、液晶ディスプレイ等により各種情報やメッセージを表示する表示機能を有すると共に、上記操作ボタン202と併せて操作者が所望の指示や情報を入力可能である。したがって、以降、タッチパネルの上記表示機能部分を単に「表示部201」と称し、タッチパネルの上記操作機能部分と上記操作ボタンとを、単に「操作部202」と称する。操作端末200は、この例では、相互認識無線通信を介して携帯型プリンタ100に印刷データを送信し、携帯型プリンタ100により所望の印刷を実行させることができる。
<プリンタの構成>
図2及び図3を用いて、上記携帯型プリンタ100の概略構成について説明する。
携帯型プリンタ100は、全体が略直方体形状に形成されたハウジング102を備えている。ハウジング102の図中奥側の上面には、カバー部材103が開閉可能に設けられている。印刷時には、このカバー部材103の隙間(図示省略)に被印刷用紙S(被印刷媒体;後述の図4参照)が挿通される。図2中においてハウジング102の手前側に位置する側面は、当該携帯型プリンタ100の背面部分に相当し、この背面部分にはバッテリ室カバー104が着脱可能に設けられている。当該バッテリ室カバー104を取り外した状態では、バッテリ電源107(図3参照)を収容するバッテリ収納室105がハウジング102の背面部分に開口する。
ハウジング102内には、プラテンローラ111(搬送手段)とサーマルラインヘッド112(印刷手段)とが設けられている。プラテンローラ111は、ハウジング102の内部で回転自在に支持されており、図示しない駆動機構により回転駆動されることで被印刷用紙Sを搬送する。サーマルラインヘッド112は、上記プラテンローラ111に接離自在に設置されており、印刷時にはプラテンローラ111に所定の圧接力で接触し、その間に挿通された被印刷用紙Sに所望の印刷を行う。
通常の場合は、カバー部材103を閉じた状態で隙間の搬送路に被印刷用紙Sを挿通することで、プラテンローラ111により被印刷用紙Sが搬送され、当該被印刷用紙Sに対しサーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われる。なお、紙詰まりを取り除くには、カバー部材103を開けた状態にする。この時、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされるため、容易に用紙を引き出すことが可能になる。
ハウジング102は、トップカバー121、アンダーカバー131、及び2つのサイドカバー(図示省略)で構成されている。
<プリンタ及び操作端末の機能的構成>
図4を用いて、携帯型プリンタ100及び操作端末200の機能的構成を説明する。
図4において、携帯型プリンタ100は、被印刷用紙Sに所望の印刷を行う上記サーマルラインヘッド112と、上記プラテンローラ111と、制御回路143と、例えばRAMやROM等からなるメモリ144と、上記操作端末200との間でプリンタ側アンテナ141を介して行われる上記相互認識無線通信の制御を行う通信制御部142と、プリンタ用無線タグTとを有している。
プリンタ用無線タグTは、携帯型プリンタ100を特定可能なプリンタ識別情報P(例えばアドレス情報。後述する図7(a)参照)を記憶したIC回路部150と、IC回路部150に接続されたタグアンテナ151とを有している。また、IC回路部150は、当該IC回路部150の回路素子の作動を制御する制御部157と、例えばデュアルポートタイプのメモリとして構成されたメモリ部155とを備えている。メモリ部155の一方のポート155aは制御部157と接続されている。また、メモリ部155の他方のポート155bは外部出力端子であり、有線接続部154を介して上記制御回路143と接続されている。
操作端末200は、CPU203(端末制御手段)と、例えばRAMやROM等からなるメモリ204と、上記操作部202と、上記表示部201と、ソリッドステートドライブ装置(SSD)等から成り各種情報を記憶する大容量記憶装置205と、第1アンテナ208Aを備えたRFID用無線送受信部208(第1通信手段)と、第2アンテナ206Aを備えた相互認識無線通信制御部206(第2通信手段)とを備えている。
RFID用無線送受信部208は、CPU203の制御に従い、上記プリンタ用無線タグTのタグアンテナ151と第1アンテナ208Aとの間の無線通信(第1無線通信)により、携帯型プリンタ100固有の上記プリンタ識別情報Pを取得する。この例では、13.56MHz帯を使った近距離無線通信方式を利用して通信距離を10cm未満のエリアに限定している。
相互認識無線通信制御部206は、CPU203の制御に従い、第2アンテナ206Aと上記プリンタ側アンテナ141との間の上記相互認識無線通信(第2無線通信)により、操作端末200から携帯型プリンタ100へ印刷データを送信するための制御を行う。こちらの通信においては、通信距離を10m〜100m程度の範囲として想定している。
CPU203は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって携帯型プリンタ100との間で各種の指示信号・情報信号の送受を行うようになっている。なお、ROMに記憶されたプログラムには、後述の図8や図17のフローに示す印刷処理方法を実行するための印刷処理プログラムが含まれている。
上記大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)には、文字スタイルやフォント等の所定の書式の種類ごとに、印刷指令をプリンタコード(詳細は省略)に変換するためのプログラムが記憶されている。
次に、図5及び図6を用いて、操作端末200内における処理上の機能的構成及び処理の流れについて説明する。
図5において、操作端末200の上記メモリ204上に、少なくとも1つのアプリケーションプログラムAPと、プリンタドライバPDのそれぞれのプログラムが展開して起動しており、相互に指示信号と情報信号を送受信可能である。そしてアプリケーションプログラムAPはプリンタドライバPDに対して信号を送受し、またプリンタドライバPDは上記大容量記憶装置205と信号を送受信すると共に、上記通信制御部206及び通信制御部142同士の相互認識無線通信を介して携帯型プリンタ100と信号を送受信する。
これらアプリケーションプログラムAPとプリンタドライバPDは、いずれも操作端末200が備える1つの上記CPU203によって実行される。すなわち、例えば公知のタイムシェアリングシステム(TSS)などの時分割での割り込み制御によって、CPU203においてそれぞれ個別に独立して実行される。またプリンタドライバPDについては、操作端末200の基本OSに予め組み込まれたものでもよいし、他のアプリケーションと同様にOS上で個別に起動されるプログラムであってもよい。
ここで、アプリケーションプログラムAPとしては、文書作成や画像作成用のアプリケーションプログラム、例えば文書作成・管理用の文書管理用アプリケーションプログラムや、写真やイラスト等の画像作成・管理用の画像管理用アプリケーションプログラムなどがある。そして、アプリケーションプログラムAPは、操作者による操作部202の操作に対応して印刷指令を含む印刷ジョブを生成し、その生成された印刷ジョブは、アプリケーションプログラムAPからプリンタドライバPDへと出力される。
そして、図6に示すように、プリンタドライバPDは、アプリケーションプログラムAPから出力された上記印刷ジョブを受け付け、印刷ジョブに含まれる印刷指令を対応するプリンタコードに変換する。そして、携帯型プリンタ100に対してこの変換したプリンタコード(印刷データ)を出力する。携帯型プリンタ100は、プリンタドライバPDから入力されたプリンタコードに基づいて、必要な各種処理を行い、その後必要な印刷を行う。なお、上述した、図8のフローに示す印刷処理方法を実行するための印刷処理プログラムは、上記アプリケーションプログラムAPとプリンタドライバPDとの両方を含むプログラムである。
<本実施形態の特徴>
本実施形態の特徴は、操作端末200が、まず、プリンタ用無線タグTとの通信(第1無線通信)によって上記プリンタ識別情報Pを取得した後、その取得されたプリンタ識別情報Pを用いて携帯型プリンタ100を特定し、相互認識無線通信(第2無線通信)によって印刷データを送信することにある。
すなわち、図7(a)に示すように、まずプリンタ用無線タグTとの操作端末200との通信が行われることで、プリンタ用無線タグTのIC回路部150に記憶されていた、上記プリンタ識別情報Pが操作端末200で取得される。これにより、図示の例では、表示部201に、アドレスが取得されたことを表す「Got address!」の文字と、通信日時「2011−10−30 00:06:17」と、上記プリンタ識別情報Pとしてのアドレス情報「″001987xxxxxx″」等が表示されている。
その後、図7(b)に示すように、操作端末200は、上記取得したアドレス情報を用いて当該携帯型プリンタ100を特定することで印刷データを相互認識無線通信により送信する。携帯型プリンタ100は、当該送信された印刷データを用いて、被印刷用紙Sへの印刷を実行する。
<操作端末の制御手順>
上記の内容を実現するために操作端末200の上記CPU203によって実行される、上記印刷処理プログラムに基づく制御内容を図8を用いて説明する。
まずステップS10で、CPU203は、プリンタ用無線タグTの応答を求める問いかけ信号を生成し、RFID用無線送受信部208及び第1アンテナ208Aを介し、携帯型プリンタ100のプリンタ用無線タグTに送信する。
その後、ステップS20で、CPU203は、上記問いかけ信号に対する上記プリンタ用無線タグTからの応答信号が、第1アンテナ208A及びRFID用無線送受信部208を介し受信されたか否かを判定する。応答信号が受信されるまではステップS20の判定が満たされず(S20:NO)、ループ待機する。応答信号が受信されると、ステップS20の判定が満たされ(S20:YES)、ステップS30に移行する。なお、このステップS20が各請求項記載の情報取得手順に相当する。
ステップS30では、CPU203は、上記ステップS30で取得された応答信号に含まれる、上記携帯型プリンタ100固有のプリンタ識別情報P(この例ではアドレス情報)を抽出して取得する。その後、ステップS40に移る。
ステップS40では、CPU203は、ステップS40で取得された上記アドレス情報を用いて携帯型プリンタ100を送信先として特定する。
その後、ステップS50で、CPU203は、相互認識無線通信制御部206を介した相互認識無線通信により、上記ステップS40で特定した携帯型プリンタ100に対し、試行信号(問いかけ信号)を送信する。携帯型プリンタ100では、通信制御部142を介して制御回路141が上記試行信号を受信すると、携帯型プリンタ100が操作端末200と通信可能であれば、それに対する応答信号が出力される。したがって、操作端末200のCPU203は、当該応答信号を上記相互認識無線通信制御部206を介して受信することで、その携帯型プリンタ100が通信可能なプリンタであると認識することができる。
その後、ステップS60で、CPU203は、上記相互認識無線通信制御部206を介しての携帯型プリンタ100に対する通信が成功したか否か、言い換えれば、上記ステップS50における問いかけ信号に対応する応答信号が受信されたか否か、を判定する。通信が成功しなければ、ステップS60の判定が満たされず(S60:NO)、後述のステップS80に移行する。一方、通信が成功していればステップS60の判定が満たされ(S60:YES)、ステップS70に移行する。
ステップS70では、CPU203は、操作者による上記操作部202での適宜の操作により上述のようにして生成されアプリケーションAPから出力された上記印刷ジョブに含まれる印刷指令を、プリンタドライバPDを用いてプリンタコードに変換する。その後、CPU203は、この変換により生成されたプリンタコード、言い換えれば印刷データを、相互認識無線通信制御部206を介して、上記通信相手として特定された携帯型プリンタ100に相互認識無線通信により送信する。なお、このステップS70が各請求項記載の印刷データ送信手順に相当する。なお、後述するように、携帯型プリンタ100は、通信制御部142を介して上記出力されたプリンタコードを受信することにより、当該、プリンタコードで指示された内容の所望の印刷をサーマルラインヘッド112により被印刷用紙Sに対して実行する。
一方、ステップS80では、CPU203は、表示部201に表示信号を出力して所定のエラー表示を表示させる。
上記ステップS70又はステップS80が完了したら、このフローを終了する。
<プリンタの制御手順>
図9を用いて、携帯型プリンタ100の制御回路143によって実行される印刷処理内容を説明する。
ステップS260では、制御回路143は、上記図8のステップS70で操作端末200の相互認識無線通信制御部206から送信されたプリンタコードを通信制御部142を介して受信し、対応する印刷データを取得する。なお、このステップS260が各請求項記載の印刷データ取得手段に相当する(後述の変形例においても同様)。
そして、ステップS265で、制御回路143は、上記ステップS260で取得された印刷データを、例えばRAMやROM等からなる上記メモリ144に記憶する。
その後、ステップS270で、制御回路143は、プラテンローラ111及びサーマルラインヘッド112を連携して制御し、上記ステップS265でメモリ144に記憶された印刷データを用いて被印刷用紙Sに対し所望の印刷を行う。その後、ステップS275に移る。なお、このステップS270を実行する上記制御回路143が各請求項記載のプリンタ制御手段を構成する(後述の変形例においても同様)。
ステップS275では、制御回路143は、上記ステップS270で印刷が完了した内容に対応する上記印刷データを、上記メモリ144から消去する。その後、ステップS260に戻り、同様の手順を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態の操作端末200では、プリンタ用無線タグTが、サーマルラインヘッド112及びプラテンローラ111を互いに連携して制御する制御回路143と有線接続されており、携帯型プリンタ100を特定可能なプリンタ識別情報PをIC回路部150に記憶している。印刷操作実行時には、操作者は、まず、所望の携帯型プリンタ100のプリンタ用無線タグTに操作端末200を近接又は略接触させ、操作端末200がプリンタ用無線タグTに対し無線通信により読み取りを行う。これにより、プリンタ識別情報P(上記の例ではアドレス情報)が操作端末200で取得される。その後、操作端末200は、上記取得したアドレス情報を用いて当該携帯型プリンタ100を特定し、相互認識無線通信により印刷データを送信する。これにより、制御回路143の制御に基づき、サーマルラインヘッド112及びプラテンローラ111が連携し、上記取得された印刷データを被印刷用紙Sに印刷する。
以上のようにして、本実施形態では、操作端末200が、プリンタ用無線タグTを用いて携帯型プリンタ100を特定した後に、印刷データを送信して携帯型プリンタ100に対し印刷を行わせる。これにより、例えば、操作端末200を携帯する操作者が出先で所望の印刷を行いたい場合に、手近にある携帯型プリンタ100に対し確実に印刷操作を行い、当該所望の印刷を容易かつ手軽に実行することができる。
また、本実施形態においては、上述したように、通信距離が比較的短いプリンタ用無線タグTとの無線通信によって携帯型プリンタ100の特定が行われる。この結果、操作者は、まず、上記印刷操作を行いたい携帯型プリンタ100に対し、操作端末200を近接又は略接触させてプリンタ識別情報Pを取得させる必要がある(図7(a)も参照)。
これにより、例えば、図10に示すように、例えば複数(この例では3台)の携帯型プリンタ100A,100B,100Cが近接して配置されている場合であっても、操作者は、印刷操作の対象とする1つのプリンタ(携帯型プリンタ100A〜100Cのいずれか)を感覚的に容易に認識し、確実に印刷操作を行うことができる。その際、図10(a)に示すようにまず1台の携帯型プリンタ100Aに対し操作端末200を近接し当該携帯型プリンタ100Aを特定して印刷データを送信し、その後図10(b)に示すように次の携帯型プリンタ100Bに対し操作端末200を近接し当該携帯型プリンタ100Bを特定して印刷データを送信し、さらにその後図10(c)に示すように次の携帯型プリンタ100Cに対し操作端末200を近接し当該携帯型プリンタ100Cを特定して印刷データを送信する・・という手順を実行可能となる。すなわち、当該複数の携帯型プリンタ100A,100B,100Cを、図10(a)→図10(b)→図10(c)のように短時間の間に(又はほぼ同時に)次々に印刷操作し、各携帯型プリンタ100A,100B,100Cに所望の印刷を行わせることもできる。
また、本実施形態では特に、プリンタ用無線タグTのIC回路部150が、プリンタ識別情報Pとしてのアドレス情報を記憶している。これにより、上述したように、当該アドレス情報を用いて操作端末200が携帯型プリンタ100を容易に特定し、確実に接続を行って印刷データを送信することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)プリンタの状態量により、整合性を判定する場合
すなわち、上記のようにして印刷を実行させるプリンタを特定する前に、プリンタ側から操作端末へ各種状態量(詳細は後述)を送信し、当該状態量が所定の条件に合致するか否かを操作端末が判定するようにしてもよい。
<プリンタの概略構成>
このような変形例における携帯型プリンタ(プリンタ)の概略構成を図11〜図17により説明する。図11は、本変形例による携帯型プリンタの外観を表す概略斜視図である。また、図12は、携帯型プリンタの本体ケースの概略平面図であり、図13は、携帯型プリンタに装着される用紙パッケージの斜視図であり、図14は、本体ケースのピックアップローラ部の斜視図であり、図15は、携帯型プリンタの側断面図である。
図11〜図15において、本変形例の携帯型プリンタ1は、平面視A6サイズ又はA7サイズ程度の大きさで厚みが略1cm程度あるいはそれ以上の上面開放箱型の本体ケース2を有している。本体ケース2の上面には、固定カバー3と回動可能な蓋体13とが並んで設けられている。本体ケース2内には、カットシート状の被印刷媒体としての感熱紙4を複数枚収納した用紙パッケージ5を収納する用紙収容部6が形成されている。用紙収容部6は、上記蓋体13により覆われている。また、本体ケース2内における固定カバー3の近傍には、後に詳述する印刷機構部7としてのサーマルヘッド8、プラテンローラ9、ペーパーガイド10や、ピックアップローラ11及び分離ブロック12等が配置されている。プラテンローラ9及びピックアップローラ11は、感熱紙4を搬送する搬送手段を構成している。
サーマルヘッド8は、ラインヘッド型の印刷手段であり、プラテンローラ9との間に挟まれて搬送される感熱紙4にライン毎に文字や画像等を印刷する。1ライン印刷する際の印刷幅は、感熱紙4の用紙幅に略等しく設定されている。この例では、サーマルヘッド8及びプラテンローラ9は、A6サイズ又はA7サイズ程度の感熱紙4の短辺方向の長さを有している。サーマルヘッド8を印刷ヘッドとして用いるのは、被印刷媒体として感熱紙4を用いることにより、インクやインクリボンの消耗品が不要であり、かつそのための機構を省略でき、携帯型プリンタ1をコンパクトにできるからである。
感熱紙4としては、サーマルヘッド8の加熱により発色する発色層を有する感熱発色タイプのものや、過熱により穿孔される穿孔層を基材上に積層した感熱穿孔タイプのもの等、種々のものを使用できる。
上記用紙収容部6における上記印刷機構部7に近い側に、上記ピックアップローラ11と上記分離ブロック12とが配置されている。用紙収容部6内に収容された用紙パッケージ5は、上記閉止した蓋体13の本体内面側に設けた板バネ等の付勢手段15を介して用紙収容部6の底板6aに向けて付勢される。用紙パッケージ5における積層した感熱紙4のうち最下層の感熱紙4がピックアップローラ11に当接付勢される。このピックアップローラ11の回転駆動と分離ブロック12の案内係止面(不図示)との協働により、最下層の感熱紙4のみが分離ブロック12の下端とガイド板17との隙間を通過する。分離ブロック12に隣接して上記プラテンローラ9が回動可能に設けられ、プラテンローラ9の外周面に押圧コイルバネ等の付勢手段16により上記ペーパーガイド10が付勢されている。ピックアップローラ11と分離ブロック12の案内係止面(不図示)により、用紙パッケージ5から1枚だけ分離搬送された感熱紙4がプラテンローラ9とペーパーガイド10との間に搬送される。
ペーパーガイド10とサーマルヘッド8の下面とにより、上記用紙収容部6から分離搬送された感熱紙4は横向きU字状に反転されて搬送され、プラテンローラ9の印字位置まで搬送される。サーマルヘッド8の背面(上面)側には、プラテンローラ9側に付勢するコイルスプリング19のバネ掛け部が係止され、サーマルヘッド8の印字部がプラテンローラ9に当接している。そして、サーマルヘッド8により感熱紙4の上面に印字が行われ、分離ブロック12の上面と固定カバー3の端縁との隙間20から蓋体13の外側に感熱紙4が排紙される。
プラテンローラ9及びピックアップローラ11の駆動機構は、本体ケース2の長辺に沿う一方の内側面(実施形態では図12に示す感熱紙4の搬送方向側)に配置された駆動モータ22と歯車伝動機構(ギヤ列)23とからなる。プラテンローラ9の直径をピックアップローラ11の直径よりも大きくすることで、プラテンローラ9の箇所の用紙搬送速度をピックアップローラ11の箇所の用紙搬送速度より大きく設定してピックアップローラ11と分離ブロック12との箇所での用紙分離をゆっくり行い、プラテンローラ9による用紙搬送ひいては印字速度を高速化している。そのために、プラテンローラ9箇所での高速搬送に対してピックアップローラ11が連れ回り可能とするワンウェイクラッチ(図示せず)をギヤ列のプラテンローラ9より下流側に設けている。本体ケース2の一対の長辺に沿う内面には、ペーパーガイド10からプラテンローラ9側に延びる案内支持ブロック24が固定されている。
本変形例では、詳細を後述するように上記操作端末200から前述の相互認識無線通信(第2無線通信)によって印字指令及び画像データ(印刷データ)を携帯型プリンタ1に送ると、駆動モータ22が回転駆動し、ピックアップローラ11及びプラテンローラ9が同時に回転し始める。そして、ピックアップローラ11の回転により、上記積層された感熱紙4のうち最下層の感熱紙4の先端のみが分離ブロック12に衝突する。これにより、最下層の感熱紙4のみが分離されて、分離ブロック12の下面とガイド板17との間に搬送される。そして、プラテンローラ9とペーパーガイド10との間に挟持された感熱紙4は、回転するプラテンローラ9とペーパーガイド10にて挟持搬送されてサーマルヘッド8方向に移動し、サーマルヘッド8により感熱紙4の表面に所望の印字が行われる。その後、固体カバー3と分離ブロック12の背面との隙間20から、印字の行われた感熱紙4が携帯型プリンタ1外に排紙される。
<機能的構成>
携帯型プリンタ1の機能的構成を図16により説明する。図16は、上記実施形態における図4に相当する図であり、上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。図16において、携帯型プリンタ1は、上記実施形態のプリンタ100の制御回路143と同等の機能を果たすCPU41を有する。このCPU41には、ROM42、SRAM43、電池電圧検出回路45、モータ駆動回路46、サーマルヘッド制御回路47、液晶表示部48、通信制御部49、操作部51が接続されている。モータ駆動回路46には上記駆動モータ22が接続され、サーマルヘッド制御回路47には上記サーマルヘッド8が接続されている。モータ駆動回路46及びサーマルヘッド制御回路47には、電池収納部50aに収納された充電式電池50から電圧が供給される。
ROM42には、所定の各種プログラムが記憶されている。SRAM43は印字データを展開するときのワークエリアとして使用する。電池電圧検出回路45は、充電式電池50の電圧、すなわち状態量としての電池残量を検出する状態量取得手段として機能する。
モータ駆動回路46は、上記駆動モータ22を駆動する回路であり、ヘッド制御回路47は、上記サーマルヘッド8の発熱体部を制御する回路である。液晶表示部48は、所定の表示事項を表示し、ユーザに対して報知するための表示手段である。
通信制御部49は、上記実施形態のプリンタ100の通信制御部142と同等の機能を備えており、上記実施形態同様、プリンタ用無線タグTに接続されるとともに、上記操作端末200との間でプリンタ側アンテナ141を介して行われる上記相互認識無線通信の制御を行う。
プリンタ用無線タグTは、上記実施形態と同様、携帯型プリンタ1を特定可能なプリンタ識別情報P(例えばアドレス情報)を記憶した上記IC回路部150と、上記タグアンテナ151とを有している。また、IC回路部150は、上記制御部157と上記メモリ部155とを備えている。メモリ部155の一方のポート155aは制御部157と接続され、メモリ部155の他方のポート155bは、有線接続部154を介して上記CPU41と接続されている。なお本変形例の特徴として、電池電圧検出回路45で検出された充電式電池50の電圧値は、随時(あるいは適宜のタイミングで)、CPU41を介しプリンタ用無線タグTのIC回路部150で取得され、メモリ155に記憶されている。
そして、操作端末200のRFID用無線送受信部208は、CPU203の制御に従い、上記プリンタ用無線タグTのタグアンテナ151と第1アンテナ208Aとの間の無線通信(第1無線通信)により、携帯型プリンタ1固有の上記プリンタ識別情報P、及び、上記充電式電池50の電圧値、を取得する。また相互認識無線通信制御部206は、CPU203の制御に従い、第2アンテナ206Aと上記プリンタ側アンテナ141との間の上記相互認識無線通信(第2無線通信)により、操作端末200から携帯型プリンタ1へ印刷データを送信するための制御を行う。
<制御手順>
本変形例において、操作端末200の上記CPU203によって実行される、上記印刷処理プログラムに基づく制御内容を図17を用いて説明する。上記図17と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
図17に示すフローでは、図8におけるステップS20とステップS30との間に、新たにステップS110、ステップS120、ステップS130が設けられている。すなわち、操作端末200のCPU203は、まず、ステップS10で、プリンタ用無線タグTの応答を求める問いかけ信号を生成し、RFID用無線送受信部208及び第1アンテナ208Aを介し、携帯型プリンタ1のプリンタ用無線タグTに送信する。
その後、ステップS20で、CPU203は、上記問いかけ信号に対する上記プリンタ用無線タグTからの応答信号が、第1アンテナ208A及びRFID用無線送受信部208を介し受信されたか否かを判定する。応答信号が受信されるまではステップS20の判定が満たされず(S20:NO)、ループ待機する。応答信号が受信されると、ステップS20の判定が満たされ(S20:YES)、新たに設けたステップS110に移行する。なお、このステップS20が本変形例における各請求項記載の情報取得手順に相当する。
ステップS110では、CPU203は、上記ステップS30で取得された応答信号に前述のようにして含まれている、上記携帯型プリンタ1の印刷動作に係わる状態量としての上記充電式電池50の電圧値を抽出して取得する。その後、ステップS120に移る。
ステップS120では、上記ステップS110で取得された電圧値が、送信しようとする印刷データを印刷するのに十分な値であるかどうかを判定する。具体的には、例えば、上記電圧値が、所定の電圧しきい値(固定的に定められていてもよいし、上記印刷データに対応して可変に設定してもよい)以上であるか否かを判定する。上記ステップS110で取得された電圧値が印刷データを印刷するのに十分な値でない場合はステップS120の判定が満たされず、上記図8と同様のステップS80に移り、表示部201で所定のエラー表示が行われるとともに、ステップS90において、不適合要因が例えばSRAM43等のメモリ上の結果情報リストに書き込まれる。一方、上記ステップS110で取得された電圧値が印刷データを印刷するのに十分な値であった場合はステップS120の判定が満たされ、ステップS130に移る。なお、このステップS120が、各請求項記載の判定手順に相当する。
ステップS130では、CPU203は、上記ステップS20で受信された応答信号に基づき、携帯型プリンタ1が既に何らかの印刷データを含む印刷指令(印刷JOB)を受信して当該印刷JOBを実行中であるか否かを判定する。すなわち、上記プリンタ用無線タグTのIC回路部150は、随時(あるいは適宜のタイミングで)、CPU41から、上記印刷JOBを受信しているか否かのJOB有無情報又は当該印刷JOBを実行中であるか否かのJOB実行情報を取得し、メモリ155に記憶している。上記ステップS20で受信された応答信号には上記JOB有無情報及びJOB実行情報のうち少なくとも一方が含まれており、ステップS130では、それらによって上記判定を行う。
印刷JOBを実行中であった場合にはステップS130の判定が満たされ、上記図8と同様のステップS80に移り、表示部201で所定のエラー表示が行われる。印刷JOBを実行中でなかった場合にはステップS130の判定が満たされず、上記図8と同様のステップS30に移る。
ステップS30では、上記図8と同様、CPU203は、上記ステップS20で取得された応答信号に含まれる、上記携帯型プリンタ1固有のプリンタ識別情報P(この例ではアドレス情報)を抽出して取得する。
以降、ステップS40、ステップS50、ステップS60、ステップS70、及びステップS80は、前述した上記図8と同様であるので、説明を省略する。なお、上記実施形態と同様、ステップS70が本変形例における印刷データ送信手順に相当している。
以上説明した本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。すなわち、操作端末200が、プリンタ用無線タグTを用いて携帯型プリンタ1を特定した後に、印刷データを送信して携帯型プリンタ1に対し印刷を行わせる。これにより、例えば、操作端末200を携帯する操作者が出先で所望の印刷を行いたい場合に、手近にある携帯型プリンタ1に対し確実に印刷操作を行い、当該所望の印刷を容易かつ手軽に実行することができる。
また、本変形例では特に、携帯型プリンタ1が印刷データの送信対象として不適当である場合には、図17のステップS120が満たされず(又はステップS130の判定が満たされ)、ステップS30からステップS70までを経ることなくステップS80へ移行することで、CPU203は相互認識無線通信を接続することなく印刷データを携帯型プリンタ1へ送信しない。これにより、不適当なプリンタに対する無駄な無線回線の接続と印刷データの送信動作をなくし、操作者が意図する上記所望の印刷を円滑かつ確実に実行することができる。
なお、上記(1)の変形例においては、上記印刷動作に係わる状態量として、充電式電池50の電圧(電池残量)を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、携帯型プリンタ1内に設けられ公知の適宜の手法(光学的・磁気的・機械的手法)により感熱紙4を検出する感熱紙センサ160(状態量取得手段;図16参照)からの感熱紙4の種別又は枚数の検出結果を、上記プリンタ用無線タグTのIC回路部150が上記状態量としてCPU41を介して取得し、メモリ155に記憶させてもよい。この場合、上記図17のステップS110において、上記感熱紙4の種別(又は枚数)が抽出して取得され、ステップS120では、感熱紙4の種類が送信しようとする印刷データに対して整合しているか否か(あるいは、感熱紙4の残量枚数が所定のしきい値以上であるか又は送信しようとする印刷データに対して整合しているか否か)等が判断される。この場合も、上記と同様の効果を得る。さらに、メモリに記憶されている上記結果情報リストにより、不適合要因を容易に知ることができるので、操作者は、電池の充電や感熱紙の補給をすることにより目的の印刷に適合する状態とすることが可能である。
(2)その他
なお、以上においては、操作端末200と携帯型プリンタ100(又は携帯型プリンタ1)とがブルートゥース(登録商標)通信で接続される場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、操作端末200と携帯型プリンタ100(又は携帯型プリンタ1)とが、無線LANにおけるアドホック通信等の上記ブルートゥース(登録商標)通信以外の適宜の相互認識無線通信で接続される場合であっても、上記同様に本発明を適用することができ、同様の効果を得る。
また、以上は、バッテリ電源により駆動される携帯用プリンタ100(又は携帯型プリンタ1)に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、他のプリンタの例として、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷媒体に画像を形成したり文字を印刷するプリンタや、被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置等に対し、本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
なお、以上において、図4〜図6、及び図16の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図8、図9、図17に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。