以下、本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。なお、図1の例では、カラー画像形成でタンデム方式と称される複数の画像形成部を有する画像形成装置に利用される二次転写機構を備えた電子写真方式の複写機等を示している。
図1に示す画像形成装置100は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)等の各色に対応した別々の感光体ドラムを備える(以下、適宜括弧内に示した記号で色を表す場合がある)。
画像形成装置100は、各色に対応した感光体ドラム1と、帯電装置2と、走査光学装置(露光装置)3と、現像装置4と、中間転写ベルト5と、二次転写装置6と、定着装置7と、給紙カセット8と、レジストローラ9を有する。
画像形成装置100の画像形成動作時には、所定のプロセススピードで回転駆動する感光体ドラム1の表面が帯電装置2により一様に帯電し、例えば読取装置で読取られた原稿の画像情報に応じて走査光学装置3の露光により静電潜像が形成される。ここで現像装置4がトナー(現像剤)で現像を行うことにより、感光体ドラム1Y、1C、1M、1K上に色毎にトナー像が形成される。
感光体ドラム1Y、1C、1M、1K上のトナー像は、所定のプロセススピードで回転駆動する中間転写ベルト5に順番に重畳転写される(一次転写)。給紙カセット8の記録媒体Pは、レジストローラ9を介して所定のタイミングで媒体搬送路10により、二次転写装置6に搬送される。二次転写装置6により転写ベルト5上に担持されているトナー像が記録媒体Pに重畳転写される(二次転写)。記録媒体Pとしては、紙やプラスチックシート、金属シートなどが用いられる。
トナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置7に搬送される。定着装置では定着ローラ7aと加圧ローラ7bとの間で加熱・加圧されることによりトナー像が記録媒体Pに定着する。トナー像が定着した記録媒体Pは、排紙ローラ(図示せず)により表面のみ画像形成する場合は外部に排出される。表面と裏面の両面に画像形成する場合は、この後、裏面の画像形成が同様に行われてから外部に排出される。
中間転写ベルト5の上流となる位置には、テストパターンを検出するためのテストパターン検出部11が配置されている。テストパターン検出部11は、テストパターンの移動速度と通過時間でテストパターンの各色のマーク(位置検知用画像)の位置を検出する。テストパターン検出部11の詳細については後述する。
<画像形成装置の全体構成:ブロック図>
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を説明するブロック図である。図2に示す画像形成装置では、図1に示す画像形成装置と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図2に示すように、画像形成装置100は、テストパターン生成部30と、画像パス切換部31と、画像データ補正部32と、書込制御部33と、ジョブ制御部34と、コントローラ部35、スキャナ36、縮小情報算出部37、縮小情報出力部38、信号変換部39を有する。
テストパターン生成部30は、予め定められているテストパターンの画像データを生成し、画像パスデータ31に出力する。
画像パス切換部31は、画像データ補正部32に出力する画像データ311Y、311C、311M、311Kを、テストパターン画像データTPDy、TPDc、TPDm、TPDk(y、c、m、kの各色に対応)と入力された画像形成用データのどちらを用いるかを選択する。
画像データ補正部32は、画像パス切換部31から画像形成用データが入力された場合、記録媒体上に形成される画像が、記録媒体に対して適切な位置、形状、大きさで形成されるように、入力された画像データを補正する。具体的には、画像データ補正部32は、入力された画像形成用データy、m、c、kを、縮小情報出力部から出力される縮小情報に基づいて補正する。縮小情報については後述する。
画像データ補正部32は、縮小情報に基づいて補正した補正画像データ321Y、321C、321M、321Kを書込制御部33に出力する。出力は、主走査信号322Y、322C、322M、322Kに基づいて、ライン単位で出力する。詳細は後述する。
書込制御部33は、走査光学系を制御する信号を生成する。光ビームが所定位置を通過したことを示す各色のライン同期信号332Y、332C、332M、332Kが走査光学系3から入力される。当該信号に基づいて各色の主走査信号322Y、322C、322M、322Kを生成し、画像データ補正部32と信号変換部39へ出力する。
なお、主走査同期信号は、主走査方向の書き出し位置を示す信号である。
また、書込制御部33は、ジョブ制御部34またはコントローラ部35から入力するジョブ開始指示信号を基準として、各色の副走査信号323Y、323C、323M、323Kを生成し、画像データ補正部32と信号変換部39へ出力する。各色の副走査同期信号は、各感光体ドラム1の距離(例えば図2の各色の一次転写位置PyとPcとの距離)と中間転写ベルト5の線速とに基づき決定される各色間の時間差により生成される。
なお、副走査同期信号は、副走査方向の書き出し位置を示す信号である。
さらに、書込制御部33は、画像データの信号のタイミング調整も行う。タイミング調整は、内部で生成される画素クロックを基準として行う。画像データ補正部32から入力される321Y、321C、321M、321Kを前記主走査同期信号及び副走査同期信号に同期する書込信号331Y、331C、331M、331Kにタイミング調整する。書込制御部33は、タイミング調整した書込信号331Y、331C、331M、331Kを走査光学系3に出力する。
なお、書込信号331Y、331C、331M、331Kは、走査光学系3内の光源の変調信号である。
書込制御部33は、1つのジョブに対してそれぞれの色ごとに各感光体ドラム1間の距離に応じて時間差をつけて出力するよう制御している。そこで、書込制御部33に備えるバッファメモリの低減のため、例えば画像データを色ごとに時間差をつけて出力しても良い。
走査光学系3は、入力される書込信号に応じて感光体へ光ビームを走査する。走査光学系3は、各色の感光体ドラム1(例えば感光体ドラム1Y、1C、1M、1K)に対応して1つずつ備えられる。なお、図2の例では、各色の走査光学系が一体化して示され、走査光学系3として示されている。
走査光学系3は、各色に対応した感光体ドラム1上に光ビームを走査し、各感光体ドラム1上に画像(静電潜像)を形成する。形成された静電潜像は、現像装置により顕像化される。
感光体ドラム1は、走査光学系からの光ビームを入力として中間転写ベルトにトナーを一次転写する。感光体ドラム1は、各色に対応させて備えられる(1Y、1C、1M、1K)。各感光体ドラム1上で顕像化された画像は、一次転写位置(図2に示すPy、Pc、Pm、Pk)で、中間転写ベルト5上に多重に一次転写される。
中間転写ベルト5は、感光体ドラム上から各色のトナーを一次転写して重ね合わせることで画像を形成し、記録媒体へ二次転写する。
二次転写装置6は、中間転写ベルト5上に多重で転写された画像を一括して記録媒体Pに二次転写する。記録媒体P上に二次転写された画像は、図1の定着装置7により定着され、カラー画像が記録媒体Pに形成される。
このように、画像データ補正部32から出力される補正画像データ321Y、321C、321M、321Kは、各色の感光体ドラム1上で顕像化され、中間転写ベルト5上に多重に転写される。
ジョブ制御部34は、画像を形成するジョブのタイミングを制御する他、記録媒体の画像形成面を指示する画像形成面指示信号を出力する。
例えば、ジョブ制御部34は、コントローラ部35からの画像形成要求に応じて、画像形成のジョブ開始指示信号を書込制御部33に出力する。画像形成のジョブ開始指示信号は、書込制御部33に出力され、この信号を開始基準として各部のタイミング制御が図られる。なお、ジョブは、画像を中間転写ベルト5へ形成する処理を示す。
画像形成面指示信号は、上述した記録媒体の表面へ画像を形成する指示信号を、裏面へ画像形成を指示する信号に代えてもよく、表面又は裏面の両面に画像を形成する指示信号であっても良い。また、縮小情報出力部38へ画像形成面指示信号を出力する。
したがって、書込制御部33は、入力画像を形成する(テストパターン形成ではない)画像形成のジョブの場合には、画像データ転送要求信号を出力する。または、書込制御部33に副走査同期信号を入力し、書込制御部33において画像データ転送要求信号を生成するようにしても良い。
コントローラ部35は、各部の設定や制御を行う。上述した通りジョブ開始指示信号に基づいて各部のタイミング制御を行い、画像形成要求やデータ選択信号を出力する。また、画像データ転送要求信号に基づいて、各色の画像データy、m、c、kをラインごとに転送する。
スキャナ36は、走査動作を行い、センサによって情報を読み取る。例えば、記録媒体Pの四隅に画像が形成されてある縮小情報算出用テストパターン(第1のテストパターン)を読み取り、縮小情報算出部37へ算出用の情報を出力する。出力する情報は、各第1のテストパターンの座標値または第1のテストパターン間の媒体搬送方向の距離、第1のテストパターン間の媒体搬送方向の媒体搬送方向に直交方向の距離などである。
縮小情報算出部37は、入力される縮小情報算出用の情報に基づき、縮小情報を算出する。算出方法については後述する。
縮小情報出力部38は、縮小情報を出力する。縮小情報算出部37から入力される縮小情報を画像データ補正部32、信号変換部39へ出力する。
信号変換部39は、主走査信号及び副走査信号を変換し、画像データ補正部32が出力する補正画像データの出力周期及び出力タイミングが所望の通りになる信号を出力する。
具体的には、縮小情報出力部38から入力される縮小情報に基づいて、入力される主走査信号322Y、322C、322M、322K、副走査信号323Y、323C、323M、323Kを変換して変換主走査信号395Y、395C、395M、395K、変換副走査信号396Y、396C、396M、396Kを生成し、出力する。信号変換部39の構成、変換方法は後述する。
なお、本願において、記録媒体の両面に画像を形成する場合、最初に画像を形成する面を表面、表面の画像を形成した後に画像形成を行う面を裏面という。画像形成されるデータの内容や記録媒体の表裏には関係がないものである。
<縮小情報の算出方法>
縮小情報の算出方法を説明する。
図3は、縮小情報を取得するために用いるテストパターンを形成した一例と、縮小情報の算出を説明する図である。
図3(A)に示すように、例えば十字状のパターン(第1のテストパターン)90を記録媒体Tの四隅に配置する。媒体搬送方向に直交方向(主走査方向)の第1のテストパターン間の距離をLx、媒体搬送方向(副走査方向)の第1のテストパターン間の距離をLyとする。またテストパターンは1色で形成され、ここではブラック(K)で生成したもので示す。
テストパターン間の距離は、スキャナ36でテストパターン位置を取得し、スキャナ36から入力される各テストパターンの座標値から縮小情報算出部37が算出する。
図3(B)は、記録媒体の表面に図3(A)で示した第1のテストパターンを形成したものである。
次に、記録媒体の裏面にも表面と同様の第1のテストパターンを形成する。図3(C)は、上述の表面T1にテストパターンの形成が行われた後、裏面T2にテストパターンを形成したものである。
表面のテストパターン形成が行われると、記録媒体は定着装置を通過するため、記録媒体に含まれる水分が蒸発し、記録媒体の大きさが縮小する。すなわち、記録媒体の大きさは表面の画像形成時より裏面の画像形成時の方が小さくなる。そのため表裏面で同様の画像を形成しても形成位置や大きさが一致しなくなる。
図3(C)に示すように、例えば表面の画像形成時の記録媒体の大きさがT1、裏面の画像形成時の大きさがT2となり、T1よりT2の方が小さくなる。表面に形成されてあるテストパターン901は、記録媒体が縮小する前の状態で形成されたものなので、裏面に形成されるテストパターン902より記録媒体の内側に位置することになる。
表面のテストパターン間の距離Lx1、Ly1と裏面のテストパターン間の距離Lx2、Ly2を比較するとLx2>Lx1、Ly2>Ly1となり、この比によって縮小情報である縮小倍率を求めることができる。
また、縮小倍率は記録媒体の種類や画像形成条件によっては主走査方向と副走査方向の縮小倍率が異なるので、別々に求めてもよい。
縮小情報を例えば、主走査方向の倍率Ra、副走査方向の倍率Re、主走査方向の位置補正値Rc、副走査方向の位置補正値Rfとすると、下記(式1)のように算出できる。
Ra=Lx1/Lx2
Re=Ly1/Ly2
Rc=(dx1−dx2)・Ra
Rf=(dy1−dy2)・Re (式1)
なお、縮小情報は画像形成装置の製造時やサービスマン、ユーザによるメンテナンスなどの任意のタイミングで取得するものであり、画像形成条件によって別々のものを取得しておいてもよい。画像形成条件は、記録媒体の種類や画像形成条件によって対応付けて保持しておき、データ選択信号によって選択されて縮小情報出力部38から出力できる。
<縮小情報に基づいた補正の方法>
縮小情報に基づいて画像を補正する方法を説明する。
上述した方法により算出した縮小情報Ra、Re、Rc、Rfは、記録媒体の種類や画像形成条件ごとに保持され、データ選択信号によって指定されて、裏面の画像形成時に縮小情報出力部38から画像データ補正部32に出力される。
画像データ補正部32は、入力された縮小情報Ra、Re、Rc、Rfに基づいて、画像パス切換部31から入力される画像データ311Y、311C、311M、311Kを縮小及び形成する位置を調整する補正を行う。
画像補正部32の出力する補正画像データ(画像補正部32によって縮小の補正済み)321Y、321C、321M、321Kの座標系を(X,Y)、画像補正部32に入力される入力画像データ(補正前)311Y、311C、311M、311Kの座標系を(x,y)とすると、下記(式2)のように算出できる。
なお、表面の画像形成時は画像を縮小する補正は不要なので、Ra=Re=1、Rc=Rf=0とし、(式2)に基づいて算出してもよい。
<補正画像の作成方法>
次に画像データ補正部32が上述の(式2)にしたがった画像の作成方法を説明する。
画像データ補正部32は、書込制御部33から入力される各色の主走査信号322Y、322C、322M、322Kにしたがって、ライン毎に補正画像データ321Y、321C、321M、321Kを作成し、後段の書込制御部33へ出力する。算出及び出力のタイミングは副走査信号323Y、323C、323M、323Kにしたがう。
図4は、画像データ補正部32が行う補正画像データの作成方法を示す。
例えば、図4(A)に示す通り、補正画像データ201のX列目、Y行目の画素データ作成する場合、縮小情報に基づいて入力画像データ200のx列目、y行目の画素データが対応することになる。入力画像データの座標値x、yは、上述の(式2)より下記(式3)に示す逆行列を用いて算出できる。
(式3)で算出する入力画像データの任意のある1点の画素データをDijとし、Dijの座標値を(xi,yj)、xiの整数部分をxa、小数部分をα、yjの整数部分をya、小数部分をβとすると図4(B)のように示せる。
補正画像データの各画素データを作成するには対応する入力画像データDijの周辺画素D(xa,ya)、D(xa+1,ya)、D(xa,ya+1)、D(xa+1,ya+1)から補間して算出する。
なお、用いる周辺画素が画像領域外になる場合(例えばxaまたはyaが0未満になる時)は、あらかじめ指定した値(例えば0またはあらかじめ取り込んでおく記録媒体の自体の色に相当する値)を該当する画素の画素データとして用いる。
補間算出は、例えばニアレストネイバー法、バイリニア法、バイキュービック法を用いる。
上述の条件で補間算出をバイリニア法で行う場合、下記(式4)の通りになる。
Dij(xi,yj)=(1−α)・(1−β)・D(xa,ya)+α・(1−β)・D(xa+1,ya)+(1−α)・β・D(xa,ya+1)+α・β・D(xa+1,ya+1) (式4)
また、上述の(式4)では重み係数に面積比を用いているが、これに代えてDijと周辺の各画素との距離比を重み係数に用いてもよい。
なお、モアレを抑止するため、ローパスフィルタ処理などをあわせて行ってもよい。
<補正画像データの出力と信号変換部の構成>
補正画像データは、(式3)及び(式4)を用いて作成されるので、作成には入力画像データの複数のラインを参照する(以下、参照する入力画像データのラインを参照ラインと呼ぶ)。参照ラインのデータは、記憶領域に保持されている必要がある。
表面の画像形成時(縮小補正なし、Re=1)は、補正画像データを1ライン作成し、出力する毎に、入力画像データの次のラインが入力され、参照ラインとして保持される。この時、参照ラインのうち最も古いラインのデータが記録領域から消去される。
裏面の画像形成時(縮小補正あり、Re≠1)は、参照ラインのライン数は副走査方向の倍率Reに依存する。例えば、Mライン分の補正画像データを作成するにはM/Reラインの参照ラインが必要となる。
通常、裏面は形成する画像データを縮小するのでRe<1である。Re<1の時、表面の画像形成時のように主走査信号322Y、322C、322M、322Kにしたがって入力画像データを1ライン毎入力すると、必要な参照ラインが記憶領域に保持されてなく、補正画像データの作成に問題が生じる。
信号変換部39は、上述の問題を解決するために、画像データ補正部32が補正に用いる主走査信号、副走査信号を調整する。
図5に信号変換部39の構成と各構成部に関する入出力信号のタイミングチャートを示す。
信号変換部39は、図5(A)に示すように副走査信号変換部391、主走査信号変換部392、カウンタ393、ラインカウンタ394を有する。
副走査信号変換部391は、ラインカウンタ394がジョブ開始指示信号からカウントしたライン数が、所定のライン数に達した時、変換副走査信号396Y、396C、396M、396Kを出力する。
主走査信号変換部392は、表面の画像形成(画像の縮小を行わない)の場合は、入力される主走査信号322Y、322C、322M、322Kを変換なく変換主走査信号395Y、395C、395M、395Kとして出力する。
主走査信号変換部392は、裏面の画像形成(画像の縮小を行う)の場合は、縮小情報出力部38から入力される副走査の倍率Reに基づいて、入力される主走査信号322Y、322C、322M、322Kの周期TLineをRe倍に変換した信号を変換主走査信号395Y、395C、395M、395Kとして出力する。変換主走査信号をTLineのRe倍に相当するだけ出力した時、カウンタ393のリセット信号を出力する。
カウンタ393は、画素クロックまたは所定の周波数のクロックが入力され、変換主走査信号395Y、395C、395M、395Kの出力数(周期)をカウントする。
ラインカウンタ394は、ジョブ開始信号をカウントのスタート(トリガ)とし、ジョブ開始信号からのライン数をカウントする。
副走査信号変換部391が変換副走査信号を出力開始する所定のライン数は、ジョブ開始指示信号から副走査信号323Y、323C、323M、323Kが出力されるまでの遅延時間Tdy(またはTdc、Tdm、Tdk)をライン数に換算した遅延ライン数から1ライン減じたライン数である。遅延時間については後述する。
これにより、変換副走査信号396Y、396C、396M、396Kは、副走査信号323Y、323C、323M、323Kに対して先行したラインを出力するため、変換副走査信号396Y、396C、396M、396Kに同期した画像データが入力されると、出力するラインの生成に必要な入力ラインをあらかじめ取得しておくことが可能である。
図5(B)は、信号変換部39の各構成の動作を説明する図である。ここではY(イエロー)について説明する。他の色も同様に動作する。
(a)ジョブ開始指示信号が、ジョブ制御部34から信号変換部39に入力される。
(b)副走査信号323Yが、書込制御部33から信号変換部39に入力される。この時、副走査信号323Yは(a)ジョブ開始指示信号よりTdy1の遅延がある。
(c)画像形成領域Yは、画像データ補正部32の出力する補正画像データの1フレームである。(b)副走査信号323Yがアサートされるタイミングから出力される。
(d)変換副走査信号396Yは、信号変換部39が縮小情報に基づいてジョブ開始指示信号からの遅延時間をTdy2となるようにタイミング調整した信号である。図5(A)に示すように副走査信号変換部391が縮小情報からTdy2を計算し、所定のタイミングで変換副走査信号396Yを出力する。
(e)以降のタイミングチャートは、(c)の一部204を拡大したタイミングチャートである。
(e)主走査信号322Yは、走査光学系3が出力する332Yに基づいて生成された信号で、1ラインの周期Tlineごとに一定間隔で書込制御部33から入力される。
(f)補正画像データ321Yは、画像データ補正部32が書込制御部33に出力する補正画像データである。(e)主走査信号322Yに同期して出力される。
図中の斜線部が有効な画像データの範囲を示すもので、斜線部内に記載されている文字は出力しているライン数を表す。
(g)変換主走査信号395Yは、信号変換部39が書込制御部33からの入力される(e)主走査信号322Yを縮小情報に基づいて変換した信号である。主走査信号322Yの周期Tline1を縮小情報である副走査方向の倍率Reで乗算した周期Tline2(Tline2=Re・Tline1)が(g)変換主走査信号395Yの周期である。
図5(A)に示すように主走査信号変換部392が縮小情報からTline2を計算し、所定のタイミングで変換主走査信号395Yを出力する。
例えば、縮小率が0.5%である時、Re=0.995となり、(e)主走査信号322Yが200回入力される間に、(g)変換主走査信号395Yは201回入力される。
(h)入力画像データ311Yは、画像パス切換部31から画像データ補正部32に入力される画像データである。(h)入力画像データ311Yが画像データ補正部32によって補正されて(f)補正画像データ321Yとなる。(h)入力画像データ311Yは、(g)変換主走査信号395Yに同期して入力される。
(f)補正画像データ321Yと同様に図中の斜線部が有効な画像データの範囲を示すもので、斜線部内に記載されている文字は出力しているライン数を表す。
ジョブ制御部34は、信号変換部39から入力される変換主走査396Yにしたがって画像データ転送要求信号を出力する。当該画像データ転送要求信号に基づいて、コントローラ部35がライン毎に画像データy、c、m、kを画像パス切換部31に出力し、この画像データを画像パス切換部31が画像データ補正部32に(h)入力画像データ311Yとして入力される。
(f)補正画像データ321Yのデータが縮小の補正をされた裏面用のものか縮小の補正をされていない表面用のものかに関らず、(e)主走査信号322Y及び(f)補正画像データ321Yの周期Tline1が同じ(一定)である状態が、画像が一定間隔で出力されている状態である。
なお、変換主走査信号の周期Tline2は、縮小情報Reと主走査信号の周期Tline1から算出された値で正確である必要はなく、平均値として満足するものでよい。例えば、図5(B)の場合であれば、(e)主走査信号322Yが200回入力される間に、(g)変換主走査信号395Yは常に201回である必要はなく、201回以上であってもよい。
このように、主走査信号の周期を縮小情報に基づいて変換し、変換された信号に同期して画像データを入力する。補正の処理に必要な参照ラインを過不足なく保持するため、メモリの削減が可能となる。
<第2実施形態>
<画像形成装置の全体構成:ブロック図>
図6は、第2実施形態に係る画像形成装置の全体構成を説明するブロック図である。図6に示す画像形成装置では、図2に示す画像形成装置と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
図6に示すように、画像形成装置101は、感光体ドラム1と、走査光学系3と、中間転写ベルト5と、二次転写装置6と、テストパターン検出部11と、テストパターン生成部30と、画像パス切換部31と、画像データ補正部32と、書込制御部33と、ジョブ制御部34と、コントローラ部35と、スキャナ36と、縮小情報算出部37と、縮小情報出力部38と、信号変換部39と、色ずれ量算出部40と、色ずれ量出力部41と、色ずれ量合算部42を含む。
テストパターン検出部11は、中間転写ベルト5上に形成された色ずれ検出用テストパターン(第2のテストパターン)を読み取る。例えば反射形フォトセンサ等である。テストパターン検出部11は、例えば、第2のテストパターンが、図6に示す読取位置Psに来たときにサンプリングするようにタイミング制御される。
色ずれ量算出部40は、理想値とのずれを色ずれ量の変化量として算出する。色ずれ量の変化量は、テストパターン検出部11が出力する検出結果を用いて算出する。また、色ずれ量算出部40は、算出した色ずれ量の変化量と、色ずれ量出力部41に保持されている色ずれ量の変化量(その時点までの色ずれ量の変化量)とを用いて新しい色ずれ量を算出する。なお、色ずれ量の変化量を算出する手順等については後述する。
色ずれ量出力部41は、色ずれ量を色ごとに保持し、出力する。色ずれ量出力部41は、色ずれ量算出部40から新しい色ずれ量が得られると、保持している色ずれ量を更新する。これにより、例えば温度変化等により色ずれ量が変動しても、温度変化等に対応した色ずれ量を保持することが可能となる。
色ずれ量合算部42は、色ずれ量出力部41から得られる色ずれ量に基づく補正と縮小情報出力部38から得られる縮小情報に基づく補正を合算した補正を行うのに用いる合算情報を算出し、画像データ補正部32へ出力する。色ずれ量に基づく補正と縮小情報に基づく補正を合算した補正の方法については後述する。
ジョブ制御部34により画像を形成する信号が出力された時、合算情報を出力する。
また、合算情報に代えて色ずれ量、縮小情報を出力するでもよい。
画像パス切換部31は、画像形成のための画像データ(y、c、m、kの各色に対応)と、テストパターン生成部30から出力される第2のテストパターン画像データ(TPDy、TPDc、TPDm、TPDk)とを切り換えて出力する。
テストパターン生成部30は、テストパターン画像データの出力を行う。テストパターン出力指示信号を受信すると、第2のテストパターンを生成し、画像パス切換部31に出力する。
テストパターン生成部30は、例えば第2のテストパターンとして、色(例えばY、C、M、K)ごとに異なるテストパターン(TPDy、TPDc、TPDm、TPDk)を生成する。なお、第2のテストパターンは、中間転写ベルト5上に形成される画像の色ずれを検出するために用いられる。
<第2のテストパターンのジョブタイミング>
図7は、ジョブタイミングを説明するためのタイミングチャートの一例である。なお、図7では、例えば、第2のテストパターンのジョブTPが、画像(1)〜(3)が形成されるごとに実行される例が示されている。図7に示す(1)〜(5)の数字は、画像のうち何枚目のジョブかを示している。
図7(a)は、第2のテストパターンの画像形成のジョブ開始指示信号TP1、TP2、画像の画像形成のジョブ開始指示信号(1)〜(5)を示している。図7(a)に示す各信号の下矢印は、各ジョブの開始時刻を示している。
また、図7(b)〜(e)は、それぞれ中間転写ベルト5上の各点(図6に示す一次転写位置Py、Pc、Pm、Pk)における各色(Y、C、M、K)のジョブタイミングを示している。
例えば、図7(b)は、感光体ドラム1Y上に顕像化された画像が、中間転写ベルト5の一次転写位置Pyで転写されるジョブタイミングを示している。なお、転写のタイミングは、図7(a)に示す画像形成のジョブ開始指示信号TP1から、各部での処理・遅延時間が加算された時間(遅延時間)Tdy後であり、各ジョブの開始時刻は、対応する画像形成のジョブ開始指示信号から同一の遅延時間Tdy後となる。
図7(c)は、同様に、感光体ドラム1C上に顕像化された画像が、中間転写ベルト5の一次転写位置Pcで転写されるジョブタイミングを示している。なお、図7(c)に示すジョブ開始時刻からの遅延時間Tdcは、上述した遅延時間Tdyに、一次転写位置Pyと一次転写位置Pcとの距離と、中間転写ベルト5の線速とに基づき決定される時間差が加わったものになる。
同様に、図7(d)は、一次転写位置Pmでのジョブタイミングを示し、図7(e)は、一次転写位置Pkでのジョブタイミングを示している。
図7(f)は、テストパターン検出部11の読取位置Psを通過する第2のテストパターンの通過タイミングを示している。一次転写位置Pyと読取位置Psとの距離に応じて、ジョブ開始時刻からの第2のテストパターンの通過時間が決まる。
なお、テストパターン検出部11は、誤検出の防止及び省電力のため第2のテストパターンの通過タイミング付近以外動作しないようにしておいてもよい。
図7(g)は、テストパターン検出部11による第2のテストパターンの検出が完了する時刻を示しており、色ずれ量のサンプリング点に相当する。図7(g)に示すジョブ開始時刻からの遅延時間Tdsは、遅延時間Tdyに、一次転写位置Pyと読取位置Psとの距離に第2のテストパターンの長さを加えた距離と、中間転写ベルト5の線速とに基づき決定される時間差が加わったものになる。
なお、色ずれ量の算出時間τ後に新しい色ずれ量に更新される。
したがって、図7(g)に示す色ずれ量の算出時間τ後に出力されるジョブ(図7の例ではTP2以降)に対して、各色とも更新された色ずれ量が参照される。すなわち、遅延時間Tdsに色ずれ量の算出時間τを加えたものが、第2のテストパターンのジョブ開始時刻から色ずれ量の更新までの時間となる。この時間は、例えば、色ずれ量保持値を常にその時点での色ずれ量になるように制御する制御系にとっては無駄な時間となる。
また、図7に示す第2のテストパターンのジョブ間隔Tsが制御系にとってのサンプリング周期となり、上述した無駄な時間(遅延時間Tds+算出時間τ)よりも長くなるよう設定している。色ずれ量の変動は、温度変化が主因となり、比較的遅く(緩やかに変化)、例えば数分間隔で変化していく。
そこで、上述したサンプリング周期(Ts)は、これよりも十分短くすれば良い。例えば第2のテストパターンのジョブ間隔Tsを数秒と設定した場合、毎分60枚の画像形成可能な装置では、数枚に一回の割合で第2のテストパターンを形成していくことになる。図7の例は、3枚に1つの第2のテストパターンが挿入された例である。上述したサンプリングの時間精度は、厳密である必要はない。
図7(h)は、二次転写装置6におけるジョブタイミングを示している。図7(h)に示すタイミングで、記録媒体に通常画像(1)〜(4)が転写される。なお、第2のテストパターンは、二次転写装置6の転写ベルトが離間されるため、記録媒体に転写されることはない。
<第2のテストパターンの形成領域>
図8は、第2のテストパターンの形成領域の一例を示す図である。なお、図8は、中間転写ベルト5を上方から垂直方向に見た図である。中間転写ベルト5の直交方向を画像が形成される際の主走査方向(x軸方向)とし、中間転写ベルト5の移動方向を副走査方向(y軸方向に対して負方向)とする。
テストパターン検出部11は、例えば3箇所に配置され、それぞれ主走査方向に対して一列の位置、例えば配置位置11a、11b、11cに配置される。
図8に示す斜線部は、画像形成領域50−1〜50−4である。画像形成領域50−2〜4は、図7の画像形成のジョブ開始指示信号(1)〜(3)にそれぞれ対応した画像形成領域である。副走査方向の画像形成領域50の間(いわゆる紙間)には、第2のテストパターンを形成する色ずれ検出用テストパターン形成領域51a、51b、51cが示されている。
また、画像形成領域50−4の後方領域には、一定間隔空けた次の色ずれ検出用テストパターン形成領域52a、52b、52cが示されている。この色ずれ検出用テストパターンが形成されるタイミングは、例えば、図7で説明したTP1、TP2のタイミングで形成される。上述した色ずれ検出用テストパターン形成領域の間隔は、厳密に一定距離である必要はなく、紙間に挿入するようジョブが制御されると良い。
上述した色ずれ検出用テストパターン形成領域51a〜51c、52a〜52cは、その主走査方向の位置が、例えばテストパターン検出部11の配置位置11a、11b、11cの位置とそれぞれ一点鎖線a、b、c上で対応している。
なお、第2のテストパターンは、画像形成領域外に形成する場合、中間転写ベルト5のどの位置に形成してもよい。また、画像形成領域内でも他の形成される画像を重複しない限りはどの位置に形成してもよい。
例えば中間転写ベルト5の主走査方向両端の形成領域53a、53cに形成し、テストパターン検出部11を配置位置11d、11eに配置すると良い。
これにより、色ずれ検出用テストパターン形成領域を、画像形成領域と副走査方向に排他的に配置する必要がなくなり、更には、テストパターン形成を行う回転位置のタイミングも画像ジョブや紙間に合わせる必要がなくなるため、テストパターン形成位置や間隔を自由に選択することが可能となる。
<第2のテストパターンの構成例>
図9は、第2のテストパターンの構成例を示す図である。なお、図9におけるx軸は主走査方向を示し、y軸が副走査方向を示している。図9に示すように、第2のテストパターンは、例えば主走査方向に平行な直線パターン60と、主走査方向と45度の角をなす斜線パターン61とを一対のパターンとして構成される。また、このパターンは、各色(例えば図9の例ではC、K、Y、M)順に副走査方向に並べた構成とすると良い。
上述の第2のテストパターン(点線枠内)を中間転写ベルト5の主走査方向に複数形成(例えば図8の例では、色ずれ検出用テストパターン形成領域51a〜51c、又は52a〜52cの3箇所)し、これを1組の第2のテストパターンとすると良い。
<テストパターン検出部11の構成例>
図10は、テストパターン検出部11の構成を説明するための図である。図10に示すように、テストパターン検出部11は、例えば反射形フォトセンサ等であり、発光部70と受光部71とが一対として構成されている。テストパターン検出部11は、発光部70が、中間転写ベルト5に向かって光を照射し、受光部71が中間転写ベルト5から反射された反射光を受光し、受光した光を電気信号に変換する。
例えばテストパターンが、中間転写ベルト5上に形成されていない(トナーが無い)状態では反射光量が強く、テストパターンが形成されている(トナーが存在する)状態では照射光が散乱して、受光部71で受光する反射光量が減る。
そこで、例えば反射光量に予め閾値を設けておくことで、中間転写ベルト5上に形成されているテストパターンの有無を検出することが可能である。
例えば、色ずれ量算出部40は、一定周期でサンプリングを行うA/D変換器等を備え、受光部71から得られる電気信号(センサ出力信号)を、A/D変換器等で変換して信号処理を行う。
これにより、中間転写ベルト上に形成された各テストパターン(例えば直線パターン60等)の中心位置が、センサ位置(テストパターン検出部の位置)を通過した時間を求める。また、各テストパターンが通過した時間と中間転写ベルト5の進行する線速度から各テストパターンの中心位置の距離を測定することが可能となる。
<色ずれ量算出方法>
次に、上述した図9に示す第2のテストパターンの検出結果から色ずれ量を算出する方法を説明する。色ずれの主な成分としては、スキューずれ、副走査方向のレジストずれ(例えば、「マージンずれ」、「オフセットずれ」ともいう)、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれ等がある。
なお、色ずれ検出用テストパターンから色ずれ量を算出する手法については、例えば特許第3773884号に開示されている手法を用いることができるが、これに限定されるものではなく、他の手法を用いても良い。以下に、例えば基準色ブラック(K)に対する各色(C、M、Y)の色ずれ量の算出方法について説明する。
まず、テストパターン検出部11により測定した第2のテストパターン間の距離を図9に示す第2のテストパターンを用いて定義する。例えば単位はmmとする。基準色Kの直線パターン60Kと対象色(例えばC)の直線パターン60Cとの測定された距離をL1cとして、M、Yも同様にL1m、L1y(未図示)とする。
また、同色の直線パターン60と斜線パターン61との測定された距離をL2とし、添え字にその色を表す。例えばシアン(C)であればL2cとする。
さらに、基準色Kの直線パターン60Kと対象色(例えばC)の直線パターン60Cとの理想的な距離(すなわちテストパターン生成部30が生成するパターン間の距離)をL1refとする。
KとYの直線パターン間の距離も同一でありL1refとし、KとMとの直線パターン間の距離はその倍で2×L1refとする。テストパターン検出部11の位置a、b、cそれぞれで測定される距離はそれぞれ_a、_b、_cを付けて区別する。また、テストパターン検出部11の配置位置11aと配置位置11c間の距離をLacとする。
上述のように、測定された距離を定義すると、色ずれ量の各成分の算出は以下のように表すことが可能である。例えば、各色(C、M、Y)のブラック(K)に対するスキューずれdは、下記(式5)から得られる。
d(C)=(L1c_c−L1c_a)/Lac
d(M)=(L1m_c−L1m_a)/Lac
d(Y)=(L1y_c−L1y_a)/Lac (式5)
また、各色(C,M,Y)のブラック(K)に対する副走査方向のレジストずれfは、下記(式6)から得られる。
f(C)=((0.25・L1c_a+0.5・L1c_b+0.25・L1c_c)−L1ref)・κ
f(M)=((0.25・L1m_a+0.5・L1m_b+0.25・L1m_c)−2・L1ref)・κ
f(Y)=((0.25・L1y_a+0.5・L1y_b+0.25・L1y_c)−L1ref)・κ (式6)
ここで、κは上述したように距離の単位を[mm]から[dot]に変換する係数である。また、各色(C、M、Y)のブラック(K)に対する主走査方向の倍率誤差aは、下記(式7)から得られる。
a(C)=((L2c_c−L2k_c)−(L2c_a−L2k_a))/Lac
a(M)=((L2m_c−L2k_c)−(L2m_a−L2k_a))/Lac
a(Y)=((L2y_c−L2k_c)−(L2y_a−L2k_a))/Lac (式7)
また、各色(C、M、Y)のブラック(K)に対する主走査方向のレジストずれcは、下記(式8)から得られる。
c(C)=((L2c_a−L2k_a)−Lbd・a(C))・κ
c(M)=((L2m_a−L2k_a)−Lbd・a(M))・κ
c(Y)=((L2y_a−L2k_a)−Lbd・a(Y))・κ (式8)
ここで、Lbdは走査光学系内で色ごとに備えられ、光ビームが通過した際にライン同期信号332を生成する同期検知センサと、テストパターン検出部11aとの距離を示す。Lbd・a(C)の項は主走査方向の同期位置となる同期検知センサから、テストパターン検出部11aまで走査する期間に主走査方向の倍率誤差によって生じる位置ずれをレジストずれから減じて校正する項である。
なお、第2のテストパターンを、上述した形成領域53の位置に形成する場合は、(式6)を(式6−1)に変えれば良く、他の各ずれ成分は同一式で求められる。
f(C)=((0.5・L1c_a+0.5・L1c_c)−L1ref)・κ (式6−1)
また、色ずれ検出用テストパターンは、図に示した以外にも様々なパターンが提案されているため、これらのパターンを適用して各種色ずれ量の成分を求めるようにしても良い。
<色ずれ量に基づく補正方法>
次に、色ずれ量に基づく補正方法について説明する。画像データ補正部32へ入力される画像(すなわち入力画像データ又は第2のテストパターン)の座標系を(x,y)と表記する。また、補正画像データ311Y,311C,311M,311Kの座標系を(x',y')と表記する。また、中間転写ベルト5上に形成される座標系を(x",y")と表記する。
このとき、上述のように算出された各色(Y、C、M)のブラック(K)に対する各成分の色ずれ量を用いて、書込制御部33以降で生じる色ずれは、各色それぞれ(式9)の座標変換で表せる。
なお、(式7)のずれ量aは、主走査方向の倍率誤差を表すため、主走査方向の全体倍率はg=1+aとなる。
したがって、画像データ補正部32では、色ごとに上記の色ずれ量(g、c、d、f)を用いて、(式10)の行列A(以下適宜、色ずれ変換行列と呼ぶ)の逆行列A−1(以下適宜、色ずれ補正行列と呼ぶ)を求める。また、下記に示す(式11)の座標変換を行い、下記(式11)に示すように、中間転写ベルト5上に形成される画像の色ずれを補正する。
<縮小に基づいた補正と色ずれ量に基づいた補正をあわせた補正方法>
縮小情報に基づいた補正と色ずれ量に基づいた補正を行う方法について説明する。
縮小の補正と色ずれの補正の両方の補正をして画像を形成する場合、下記(式12)のように算出する。
上述の(式12)のように、色ずれ補正行列と縮小情報に基づいて画像を倍率変換する行例(以下適宜、倍率変換行列と呼ぶ)を乗じて算出する。これによって、色ずれの補正と縮小の補正を両方行うことができる。
なお、下記(式14)に示す色ずれ補正行列と倍率変換行列の乗算を予め合算してあるもの(以下適宜、合算行列と呼ぶ)を用いてもよい。
上述の(式14)の合算行列を用いる場合、(式12)に代えて下記(式15)を用いることで、毎座標ごとに色ずれ補正行列と倍率変換行列の乗算を別個に行うより計算量を少なくすることができ、処理時間の短縮が可能となる。
また、表面の画像形成(縮小の補正なし)の場合には、Ra=Rf=1、Rc=Rf=0の値を縮小情報出力部38が出力し、色ずれ量合算部42はC=A
−1を出力する。
<色ずれ量算出処理>
次に、図11を用いて、色ずれ量算出部40により実行される色ずれ量算出処理について説明する。図11は、色ずれ量算出処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下のフローは、各色(Y、C、M)において実行される。
図11に示すように、色ずれ量算出部40は、色ずれ量の初期値を設定し(S10)、設定した色ずれ量の初期値を色ずれ量出力部41に保持する。なお、色ずれ量の初期値は、色ずれ量なし(g=1、c=0、d=0、f=0)としたり、前回使用時と同じ使用環境である場合は初回から高画質に画像形成できるように、前使用時の色ずれ量を色ずれ量出力部41に保持させて、色ずれ量の初期値としたりしても良い。
また、色ずれを補正せずに、第2のテストパターンを形成し、形成した第2のテストパターンの検出結果を用いて、上述のように色ずれ量を算出する色ずれ量初期値検出処理で得られた色ずれ量を初期値としてを設定しても良い。なお、第2のテストパターンは複数組形成し、その検出結果の平均を算出し、誤差を平滑化しても良い。
次に、画像データ補正部32は、色ずれ量出力部41の色ずれ量を参照して色ずれ補正行列(逆行列A−1)を求め、補正した第2のテストパターンを中間転写ベルト5上に形成し、テストパターン検出部11により第2のテストパターンを検出(サンプリング)する(S11)。ここで、検出するタイミングは、上述した画像形成のジョブ開始指示信号により定められ、そのタイミングまでは待機状態となる。
次に、色ずれ量算出部40は、S11の処理で得られた検出結果を用いて、上述した(式2)〜(式5)に基づき、色ずれ量の変化値を算出する(S12)。ここで、S11の処理で得られる検出結果は、色ずれ量出力部41で保持されている色ずれ量を用いて補正されたものであるため、S12の処理で算出される色ずれ量は、保持されている色ずれ量からの変化分となる。そこで、例えばn番目の第2のテストパターンにより得られる変化量として添え字nを付け、例えば変化値△a(n)、△c(n)、△d(n)、△f(n)として表す。
次に、色ずれ量算出部40は、S12の処理により得られた変化値△a(n)、△c(n)、△d(n)、△f(n)を用いて、新しい色ずれ量a(n)、c(n)、d(n)、f(n)を算出する(S13)。例えば保持されている色ずれ量(n−1番目のテストパターンにより算出された結果をa(n−1)、c(n−1)、d(n−1)、f(n−1)とする。)に、S13の処理で得られた色ずれ量の変化値をそれぞれ加算して、a(n)=a(n−1)+△a(n)とする。同様に他の成分c(n)、d(n)、f(n)も算出する。
ここで、1組の、第2のテストパターンを用いて算出した色ずれ量には、第2のテストパターン形成時の誤差や、センサの読取り誤差等が含まれる場合がある。
したがって、上述の加算により得られる値が、誤差(ノイズとして作用する)に反応してばらついてしまう場合もある。この誤差(ノイズ)の影響をなくすため、例えば下記(式16)により色ずれ量の変化値に所定の係数を掛けた値を加算して、新しい色ずれ量a(n)、c(n)、d(n)、f(n)を算出しても良い。これによりノイズ成分が平滑化され、高精度な色ずれ量を得ることが可能となる。
a(n)=a(n−1)+Kp・△a(n) (式16)
また、下記(式17)を用いて、いわゆる比例積分型(PI)制御となるように、新しい色ずれ量a(n)、c(n)、d(n)、f(n)を算出しても良い。
a(n)=a(n−1)+Kp・△a(n)+Ki・Σ△a(n) (式17)
なお、他の成分c(n)、d(n)、f(n)も同様に算出することができる。
上述した(式16)において、Σ△a(n)は1〜nまでの色ずれ量の変化値△a(n)の積算値、Kpは比例ゲイン係数、Kiは積分ゲイン係数である。比例ゲイン係数Kpと積分ゲイン係数Kiとにより制御帯域が決まり、制御帯域より高周波成分のノイズが制限される。
すなわち、第2のテストパターンを複数組形成して平均値を求める必要がなくなり、1組の短い第2のテストパターンにより、十分に精度良く色ずれ量が求めることが可能となる。また、上述した制御帯域以下の変動に対して追従して色ずれ量を求めることが可能となる。更に、色ずれ量の変化値△a(n)の積算値も反映しているため、定常誤差を低減することが可能となる。
また、上述した制御帯域は、温度変化等の緩やかな変動に対して追従するように色ずれ量を求めれば良い。したがって、例えばサンプリング周期を数秒間隔とすれば、制御帯域はサンプリング周期の数十分の1〜数百分の1で良く、こうなるように比例ゲイン係数Kp及び積分ゲイン係数Kiを決めれば良い。
また、a、c、d、fの各要素に要求される制御帯域が異なる場合(例えば温度変化に敏感な要素等)は、各要素に対する比例ゲイン係数Kp、積分ゲイン係数Kiのみ変えても良い。また、各要素に対する比例ゲイン係数Kp、積分ゲイン係数Kiを変えて制御帯域を互いに異なるようにして、各要素の色ずれの補正が互いに干渉しないようにしても良い。
次に、色ずれ量出力部41により記録されている色ずれ量(色ずれ量の保持値)をS13の処理で得られた新しい色ずれ量a(n)、c(n)、d(n)、f(n)に更新する(S14)。
次に、処理は終了か否か判断(S15)し、画像形成処理が終了している等により処理が終了したと判断した場合には(S15において、YES)、処理を終了する。また、画像形成処理が継続している等により、処理は終了していないと判断した場合(S15において、NO)、S11の処理に戻り、更新された色ずれ量を用いて補正された第2のテストパターンを形成し、この第2のテストパターンを検出する。
上述した色ずれ量算出処理により、色ずれ量を更新していくことで、経時変化にも追従してその時点での色ずれ量を算出し、通常画像はこの色ずれ量に基づき補正されるため、常時色ずれが補正された画像を形成することが可能となる。
なお、上述した色ずれ量の各成分うち、主走査方向のレジストずれ、副走査方向のレジストずれは、書込制御部33の主走査同期信号の遅延又は副走査同期信号のライン単位の遅延により補正しても良い。したがって、これらの成分の色ずれ量の整数部は書込制御部33へ出力して(図6の色ずれ量算出部40からの点線で示す)、それぞれの同期信号の遅延制御を行い、小数部のみ色ずれ量出力部41に記録して画像データ補正部32により補正しても良い。
<他の色ずれ量算出処理>
次に、図12を用いて、色ずれ量算出部40により実行される他の色ずれ量算出処理について説明する。図12は、他の色ずれ量算出処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示すフローチャートは、図11のフローチャートと比較してS23の処理が加わった点が異なる。したがって、図12のS20〜S22の処理は、図11のS10〜S12の処理と同一の処理であり、図12のS24〜S26の処理は、図11のS13〜S15の処理と同一の処理であるため、ここでの説明は省略する。
図12に示すように、S22の処理で算出された色ずれ量の変化値△a(n)、△c(n)、△d(n)、△f(n)が、予め設定された所定範囲内に含まれるか否か判定する(S23)。
所定範囲内に含まれる場合(S23において、YES)には、S24の処理に進み、所定範囲内に含まれない場合(S23において、NO)には、検出エラーとして色ずれ量の変化値を反映させることなく、S21の処理に戻る。この場合には、例えば上述した加算も行わない。
例えば中間転写ベルト5に傷等がある場合には、そこを通過した時のテストパターン検出部11による検出結果が異常値を示したり、第2のテストパターンの形成領域付近の傷により算出される色ずれ量の変化値が実際とは異なる値を示したりする場合がある。
そこで、S23の処理を設けて、S24の処理の色ずれ量の算出に反映しないようにすることで異常値により制御系が乱されることなく安定して色ずれ量を求めることが可能となる。なお、定期的に短時間で色ずれ量の変化値を検出する場合には、色ずれ量の変化値は通常大きくない。したがって、S23の処理では、異常の判定値を小さめ(例えば数十ミクロン等)に設定することで、傷等による異常値を容易に判別することが可能となる。
また、1つの要素において異常値が検出された場合には、別の要素においても傷等の影響を受け、正常な色ずれ量の変化値が検出できない場合もある。したがって、1つの要素において異常値が検出された場合は、他の要素の色ずれ量の算出及び更新を行わないようにしても良い。
<画像形成のジョブ開始指示>
次に、図13を用いて、上述した書込制御部33による画像形成のジョブ開始指示について説明する。図13は、ジョブ制御部の画像形成のジョブ開始指示の流れを示すフローチャートである。
図13に示すように、書込制御部33は第2のテストパターンの生成要求ありか否かを判別する(S30)。第2のテストパターンの生成要求ありと判断した場合には(S30において、YES)、画像形成のジョブ開始指示信号を出力し、第2のテストパターンの出力指示信号を出力する(S31)。
なお、第2のテストパターンの生成要求は、書込制御部33内に別途、前回の第2のテストパターン出力指示から所定の時間(図7におけるTs)経つと生成要求信号を出力するルーチンを持ち行われる。
次に、第2のテストパターンの出力時間に相当する時間(図7におけるTtp)だけ待機して(S32)、待機の間、他のジョブが出力されないように制御した後、処理を終了する。
一方、書込制御部33は、第2のテストパターンの生成要求なしと判断した場合(S30において、NO)、画像形成要求がありか否か判断する(S33)。画像形成要求ありと判断した場合(S33において、YES)、画像形成のジョブ開始指示信号を出力し、画像データ転送要求を行う(S34)。画像形成要求がないと判断した場合(S33において、NO)、S30の処理に戻る。
次に、画像データの出力時間に相当する時間(図7におけるTprint、画像形成する記録媒体サイズにより異なる)だけ待機し(S35)、待機の間、他のジョブが出力されないように制御した後、処理を終了する。
上述した処理の流れにより、第2のテストパターン及び通常画像の画像形成のジョブ開始指示を行うことにより、第2のテストパターンが通常画像の画像領域に重なることなく、定期的に形成することが可能となる。
なお、前述した図6の画像形成装置100、後述する図15の画像形成装置102においても同様の流れである。
<ハードウェア構成>
次に、上述した画像形成装置101が有する色ずれ量算出部40、色ずれ量出力部41、色ずれ量合算部42、書込制御部33等として機能させるためのプログラム等を実行するハードウェア構成の一例について説明する。
図14は、各部を機能させるためのプログラムを実行するハードウェア構成図である。
A/D変換器80は、テストパターン検出部11から得られた信号(センサ出力)を、ディジタルデータへ変換する。A/D変換器80は、I/O(入出力)ポート84と接続される。なお、A/D変換器80は、フィルタ処理等の信号処理を行う信号処理部やバッファメモリ等を介してI/Oポート84と接続されても良い。
I/Oポート84は、A/D変換器80及び外部ブロック等と接続され、CPU81との入出力信号のやり取りを行う。また、画像形成要求信号の入力や画像形成のジョブ開始指示信号の出力、画像データ補正部32への色ずれ量の更新等は、I/Oポート84を介して行われる。
なお、上述した外部から得られる縮小情報は、I/Oポート84を介して入手し、I/Oポート84を介して縮小情報出力部38に設定、保持される。
CPU81は、I/Oポート84を介して外部との入出力を行い、上述した色ずれ量の算出や、ジョブ開始制御等の処理を実行する。また、CPU81は、メモリバス85を介してRAM82及びROM83と接続される。ROM83には、色ずれ量を算出するためのプログラムや各種プログラムが格納されている。
なお、前述した図6の画像形成装置100、後述する図15の画像形成装置102においても同様の構成である。
<第3実施形態>
<画像形成装置の全体構成:ブロック図>
図15は、第3実施形態に係る画像形成装置の全体構成を説明するブロック図である。図15に示す画像形成装置では、図6に示す画像形成装置と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
図15(A)に示すように、画像形成装置102は、感光体ドラム1と、走査光学系3と、中間転写ベルト5と、二次転写装置6と、テストパターン検出部11と、テストパターン生成部30と、画像パス切換部31と、画像データ補正部32と、書込制御部33と、ジョブ制御部34と、コントローラ部35と、スキャナ36と、縮小情報算出部37と、縮小情報出力部38と、信号変換部39と、色ずれ量算出部40と、色ずれ量合算部42と、合算色ずれ量出力部46を含む。
第3実施形態が第2実施形態と異なる点は、色ずれ量の特性データを要因(成分)ごとに区分している点である。すなわち、第3実施形態では、色ずれ量の特性データが、線形な特性を示す要因に対応する線形特性データと、非線形な特性を示す要因に対応する非線形特性データとに区分され、別々に保持される。
線形特性データと非線形特性データは、図15(B)に示すように合算色ずれ量出力部46で合算して出力される。
合算色ずれ量出力部46は、非線形成分データ出力部43と、線形成分データ出力部44と、色ずれ量特性合算部45を有する。
合算色ずれ量出力部46は、線形成分データ出力部44から得られる色ずれ量の線形特性成分と、非線形成分データ出力部43から得られる非線形特性成分とを加算し、色ずれ量の特性データを算出する。次に、色ずれ量合算部42は、算出した色ずれ量の特性データに基づく補正と縮小情報に基づく補正を合算した補正を行うのに用いる合算情報を算出し、画像データ補正部32へ出力する。
ジョブ制御部34により画像を形成する信号が出力された時、合算情報を出力する。
また、合算情報に代えて色ずれ量、特性データ、縮小情報を出力するでもよい。
<非線形成分>
図16は、色ずれの他の要因を説明するための図である。図16(A)は、光学系の精度ずれ等に起因した走査曲がり(ボウ)の一例を示す図であり、図16(B)は、主走査方向に高次(3次以上)の成分を持った曲がり特性の一例を示す図である。
図16(A)及び図16(B)に示すように、色ずれの要因としては、主走査方向や副走査方向の距離に関して線形特性を示す線形成分だけでなく、当該距離に関して非線形特性を示す非線形成分も含まれる。なお、図16(A)及び図16(B)の例は、いずれも主走査曲がりとして説明する。
さらに、非線形特性を示す色ずれ要因として、主にf−θレンズの精度ずれに起因して、感光体ドラム上での主走査方向の走査速度が均一でなく、主走査位置によって速度に偏差が生じ、形成される画像が主走査倍率の部分倍率が異なる倍率偏差もある。
本実施形態では、上述した非線形成分の色ずれを補正するとともに、上述した記録媒体の縮小に合わせて画像を形成する。
<色ずれ量の特性データ>
図17は、非線形成分の色ずれ量の特性データを説明するための図である。図17(A)は、主走査位置xに対する主走査方向の位置ずれ(色ずれ)特性△xの一例を示し、図17(B)は、主走査位置xに対する副走査方向の位置ずれ特性△yの一例を示している。なお、ずれ特性△xは、例えば主走査方向の部分倍率偏差に起因し、ずれ特性△yは、例えば主走査まがり(ボウ)に起因する。
図17(A)〜図17(B)において、ずれ特性△x(x)、ずれ特性△y(x)をそれぞれ多項式で近似すると下記(式18)(式19)のように表せる。
△x(x)=α0+α1・x+α2・x2+α3・x3+・・・ (式18)
△y(x)=β0+β1・x+β2・x2+β3・x3+・・・ (式19)
(式18)及び(式19)において、それぞれ0次と1次の項が線形性を表し、2次以降の高次成分が非線形性特性を表す。これらの非線形特性を示す2次以降の高次成分の和をそれぞれ関数f(x)、g(x)とおくと、(式18)及び(式19)は下記(式18−1)、(式19−1)のようになる。
△x(x)=α0+α1・x+f(x) (式18−1)
△y(x)=β0+β1・x+g(x) (式19−1)
また、(式18)、(式18−1)における0次の係数α0は、主走査レジストずれ(マージンずれ)を意味し、1次の係数α1は、主走査全体倍率ずれを意味する。同様に、(式19)(式19−1)における0次の係数β0は、副走査レジストずれ(マージンずれ)を意味し、1次の係数β1はスキューずれを意味する。
また、図17(C)は、主走査方向の位置ずれの非線形特性を示す関数f(x)を示し、図17(D)は、副走査方向の位置ずれの非線形特性を示す関数g(x)を示している。
上述したように、例えば装置内の温度の変化等により光学系や支持部材等に変形が生じて、色ずれ量が経時的に変化することがある。上述した(式18)、(式18−1)、(式19)、(式19−1)のうち、どの係数が温度変化等による変動量が大きいかは、光学系等の構成(各構成要素や支持部材の材質等を含む)により異なる。
本実施形態は、例えば線形特性要因に区分される要因(上式のα0、α1、β0、β1の項)の温度変化に対する変動量が大きく、非線形特性要因に区分される要因(上式のf(x)、g(x))の温度変化に対する変動量がほとんどない(色ずれ許容値に対して十分小さい)場合に好適な形態となっている。
図17(E)は、温度変化により主走査方向の色ずれ量の線形成分が変化した例を示し、図17(F)は、温度変化により副走査方向の色ずれ量の線形成分が変化した例を示す。上述した式の係数α0、α1、β0、β1が大きく変動し、それぞれ変動後をα0'、α1'、β0'、β1'としている。なお、非線形特性f(x)、g(x)は、変化しないものとする。
また、図17(G)は、非線形特性f(x)を折線近似したf'(x)を示し、図17(H)は、非線形特性g(x)を折線近似したg'(x)を示している。図17(G)及び図17(H)の例は、例えば主走査方向に等間隔に8つの領域に分割され、各領域において非線形特性を直線の折線近似とした例が示されている。このような場合、画像データの補正算出が簡便化される。
図17(G)及び図17(H)に示すように、非線形特性f(x)、g(x)とも同一の領域で分割することにより、後述する色ずれ変換行列の領域数を少なくすることが可能となり、補正算出が簡便となる。折線近似の精度を上げるためには、領域数を増やせば良い。
なお、上述した領域間隔は等間隔とする必要はなく、例えば非線形特性を示す曲線の極大・極小点が領域の境界となるようにして、非線形特性の曲線と折線近似線との差が少なくなるようにすると良い。
図17(G)の主走査方向のずれ、非線形特性(折線近似)の各領域の傾きは、主走査部分倍率の全体倍率からの偏差となる。したがって、この傾きを△a(i)(iは領域番号)とすると、各領域の主走査部分倍率は、主走査全体倍率ずれα1に各領域の傾き△a(i)を加算した値となる。
また、主走査レジストずれ(マージンずれ)α0に、各領域の始点におけるオフセット(これを△c(i)(iは領域番号)とする)を加算すると、各領域の主走査レジストずれとなる。
同様に、図17(H)の副走査方向のずれ、非線形特性(折線近似)の各領域の傾きは、各領域における全体スキューずれからの偏差となる。したがって、この傾きを△d(i)(iは領域番号)とすると、各領域のスキューずれは、全体スキューずれβ1に各領域の傾き△d(i)を加算した値となる。
また、副走査レジストずれ(マージンずれ)β0に、各領域の始点におけるオフセット(△f(i)(iは領域番号)とする)を加算すると、各領域の副走査レジストずれとなる。
上述した線形特性要因に区分される要因、スキューずれ、副走査方向のレジストずれ(マージンずれ、オフセットずれともいう)、主走査方向の全体倍率ずれ、主走査方向のレジストずれの各要因(成分)の色ずれ量の算出方法は、上述した通りであり、図9に示す色ずれ検出用テストパターンの検出結果から算出される。
次に、非線形特性要因に区分される要因、すなわち、上述したf(x)、g(x)、又は折線近似線を算出する方法を説明する。この非線形特性は、製造時やユニットの交換、サービスマンやユーザによるメンテナンス等の任意のタイミングで取得する。例えば、図18に示すテストパターンを画像形成してスキャナ等の画像読取装置で読み取り、読み取った画像データから非線形特性を取得する。
なお、画像読取装置は、外部の装置であっても良いし、内部に備えられたものでも良い。
また、画像読取装置は、中間転写ベルトに形成されたテストパターンを読み取るものでも良く、その場合には、記録媒体に二次転写する必要はなくなる。
<非線形特性を取得するためのテストパターン>
図18は、非線形特性を取得するために画像形成されるテストパターンを示す図である。図18(A)は、中間転写ベルト又は記録媒体に形成される非線形特性検出用テストパターンの配置位置の一例を示し、図18(B)は、図18(A)に示すテストパターンを拡大して示している。
図18(A)の例では、例えば十字状のテストパターン92(第3のテストパターン)が、主走査方向(x)に13個、副走査方向(y)に9個、等間隔に配置されている。なお、第3のテストパターン92の個数はこの限りではなく、第3のテストパターン92の配置は等間隔でなくても良い。
図18(B)に示すように、第3のテストパターン92は、具体的には、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの各色L字型のパターン(それぞれ92C、92M、92Y、92K)が、主走査方向にPx分、副走査方向にPy分、離れて配置されている。
本実施形態では、第3のテストパターン92を画像形成し、読み取った画像データから、主走査位置j、副走査位置kのそれぞれの位置に配置される第3のテストパターン92のうち、各色のL字形状のパターンの頂点(主副直線の交点)を求める。
また、理想値Px又はPyからのずれを計測して、その付近での色ずれ量を求める。ここで、主走査位置j、副走査位置kにおける色ずれ量を、例えば△xjk(主走査方向ずれ)、△yjk(副走査方向ずれ)とする。
図18(A)の例では、例えば主走査方向に13個、副走査方向に9個形成された第3のテストパターン92のそれぞれについて色ずれ量を求める。
例えば、主走査方向に非線形特性を持つ例について説明すると、主走査位置jごとに、副走査方向(k=1〜9)における主走査方向ずれ△x、副走査方向ずれ△yから平均を取り、これを△xj(主走査方向ずれ)、△yj(副走査方向ずれ)とする。このようにして、例えばノイズ成分や検出誤差等をキャンセルするようにする。
これにより、例えば主走査位置jに対する色ずれ量(△xj、△yj)が得られる。これをプロットした例が、上述した図17の(A)、図17(B)に相当する。主走査位置jは実際の距離xに換算する。
上述したように、主走査位置jに対する色ずれ量(△xj、△yj)から0次成分と1次成分を引いたものが非線形特性である。したがって、求めた色ずれ量(△xj、△yj)の近似直線から0次成分と1次成分とを引くことにより、f(x)、g(x)が得られる。
更に、上述したように、非線形特性f(x)、g(x)の折線近似線を求めても良い。例えば、主走査方向に分割する領域数を14(主走査方向のテストパターン数13に1を加えたもの)とする。ここで、j=1〜13における各色ずれ量(△xj、△yj)を結び、これらの近似直線を引いた値を△xj'、△yj'とすると、これらを結んだ線が折線近似線f'(x)、g'(x)として得られる。
例えば、領域(1)の主走査部分倍率の全体倍率からの偏差△a(1)は、(△x2'−△x1')/Lx(Lxは、例えばj=1と2に配置するテストパターン間の距離)となる。このように、各領域(i)で、領域の始点位置xと、始点でのオフセット△c(i)及び△f(i)、その領域の傾き△a(i)及び△d(i)を求めるように算出する。また、この算出結果を、色ずれ量の非線形成分データとして、非線形特性データ出力部41に保持する。
なお、主走査方向に分割する領域数は、主走査方向パターン数に一致させずに間引いて、より簡単にしても良く、パターン数を増やすことで、より折線近似線の精度を上げるようにしても良い。
上述した第3のテストパターン92の画像形成時には、画像データ補正部32において画像を補正せずに、上述のように求めた非線形特性をそのまま特性データとして、非線形特性データ出力部41に保持すれば良い。また、画像データ補正部32において、その時点で保持している色ずれ量に応じて補正するようにして第3のテストパターン92を画像形成する。上述のように求めた非線形特性は、保持してある特性データからの差分であるので、これを加算して非線形特性データ出力部41に更新して保持しても良い。
なお、上述したように主走査方向に非線形特性を持ち、これを主走査方向に分割した領域で折線近似線により表すとき、上述した(式6)に示す色ずれ変換行列Aを領域ごとに求め、領域ごとにこの逆行列を求めて座標変換を行うようにしても良い。このような場合、上述した主走査曲がり(ボウ)や、主走査部分倍率偏差等の非線形性特性を示す色ずれ要因に対しても、精度良く補正することが可能となる。
すなわち、各領域の色ずれ変換行列をAiとして、行列の要素を下記(式20)のように定義すると、各要素は下記(式21)の4つの式として表せる。また、変換する画像の主走査座標xに応じて、対応する領域の色ずれ変換行列Aiを選択し、この逆行列により座標変換を行うようにする。
gi=g+△a(i)
ci=c+△c(i)
di=d+△d(i)
fi=f+△f(i) (式21)
ここでg,c,d,fは、上述した(式5)〜(式8)により得られる値である。また、△a(i)、△c(i)、△d(i)、△f(i)は、主走査方向ずれ及び副走査方向ずれの非線形特性(折線近似線)の各領域に対応するオフセットと傾きである。
上述したように、これらの特性、すなわち各領域の色ずれ変換行列は、温度変動とともに変化する。したがって、上述した図11のフローチャートと同様に、色ずれ量算出部40において各領域の色ずれ量を算出し、色ずれ量を更新すれば、経時変化にも追従して常にその時点での色ずれ量が求められ、それを保持することが可能となる。
更に、温度変動による変化の少ない非線形特性が予め取得されているため、これを加算した色ずれ量を用いて通常画像は補正されるため、常時色ずれ補正された画像を形成することが可能となる。
なお、色ずれ量の算出は、上述した図12によるフローチャートで適宜変更しても良い。すなわち、S23の処理において、S22の処理で算出された色ずれ量の変化値のうち、何れの領域の1つでも所定範囲外であれば検出エラーとして色ずれ算出に色ずれ量の変化値を反映させることなく、S21の処理に戻る。これにより、例えば傷等による異常値は容易に判別でき、色ずれ量が正確に算出することが可能となる。
また、本願発明による画像形成装置の一連の制御動作を示すフローチャートを図19に示す。画像形成装置は、ジョブ制御開始指示制御を行う(S40)。当該動作は上述の図13で説明した動作であり、テストパターンまたは画像データに基づく画像形成のいずれかが行われる。
次に、前段の処理(S40)でテストパターンが形成されたかを判断する(S41)。テストパターンが形成された場合(S41において、YES)、そのテストパターンに基づいて補正量データを算出する(S42)。補正量データは、第1実施形態の場合は縮小情報、第2実施例形態の場合は縮小情報または色ずれ量、または合算の計算結果、第3実施例形態の場合は、縮小情報または色ずれ量(線形成分または非線形成分)、または合算の計算結果である。
補正量が算出された場合はその算出結果に基づいて補正量データを更新する(S43)。縮小情報が算出された場合は信号変換部39や画像データ補正部32へ、色ずれ補正量が算出された場合(第2実施形態、第3実施形態)は、画像データ補正部32及び信号変換部39へ出力される。
処理は終了か否か判断(S44)し、画像形成処理が終了している等により処理が終了したと判断した場合には(S44において、YES)、処理を終了する。また、画像形成処理が継続している等により、処理は終了していないと判断した場合(S44において、NO)、S40の処理に戻り、次のジョブ開始指示を行う。
以上のような流れで制御されることで、通常画像は各補正量データ基づき補正されるため、常時各補正された画像を形成することが可能となる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。