JP6103538B2 - 繊維強化プラスチック及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化プラスチック及びその製造方法に関し、湿式スクラバーのタンクについて、破損し難く長寿命化を図り、かつ破損した場合においても容易に補修が可能な繊維強化プラスチック及びその製造方法に関する。
従来より、排ガスから有害成分等を除去する装置として、湿式スクラバーが用いられている。即ち、湿式スクラバーは、排ガス中の有害成分やダストを、吸収液の液滴や液膜中に捕集して分離、または化学反応で無害化する。一般的には、当該排ガスが流通する管状のタンク内には、プラスチックや磁器等が充填された状態で(以下、充填されるプラスチックや磁器等を「充填物」と呼ぶ)、水等の液体が反応液として噴霧され、当該反応液の液膜に排ガスが接触されて捕集または中和される。
このような湿式スクラバーのタンクの素材として、近年、繊維強化プラスチック、即ちFRP(Fiber Reinforced Plastics)が採用される場合がある(特許文献1参照)。
ここで、硫化水素等の酸性の排ガスの中和用に湿式スクラバーが利用される場合、アルカリ性の反応液が使用される。このため、FRPのうち、排ガスや反応液と接触する部分は、耐酸性及び耐アルカリ性の樹脂を採用する必要がある。特に、FRPに含まれるガラス繊維はアルカリによる浸食されるため、このようなアルカリによる侵食を防ぐ層であって、排ガスや反応液と接触する層として、ガラス繊維を含まず、耐酸性及び耐アルカリ性の樹脂を含む、いわゆる耐食層がFRPに形成されている。
特開平04−9083号公報
しかしながら、このような従来のFRPが採用されたタンクでは破損し易かった。
ここで、FRPの耐食層の面に対して、熱硬化樹脂に比べて強度の高いポリエチレンシートやフッ素樹脂シートを貼り付ける手法も従来存在する。しかしながら、強化層を構成する樹脂との接着性が悪く、製作時の施工が困難な上、破損時の補修においても、施工が困難であることから、湿式スクラバーのタンクの素材として、破損時の補修が比較的容易なFRP(繊維強化プラスチック)を採用するのが好適であることには変わりない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、反応液にアルカリ性の液を使用する湿式スクラバーのタンクの素材として、従来より破損し難く長寿命化を図れ、かつ破損した場合においても容易に補修が可能な繊維強化プラスチックを提供することを目的とする。
本発明の一側面の繊維強化プラスチックは、
ガラス繊維を織ったガラスクロスに樹脂を含浸させた強化層と、
耐食層と、
が所定方向にその順番で積層された部位を少なくとも含み、
前記耐食層は、
炭素繊維を織ったカーボンクロスに樹脂を含侵させたカーボンクロス層と、
耐食性を有する不織布であるサーフェスマットに樹脂を含侵させたサーフェス層と、
樹脂単体で形成される樹脂層と、
が前記所定方向にその順番で積層されて構成されている、
ことを特徴とする。
さらに、前記強化層と前記耐食層とを接合し、これらを前記所定方向にその順番で積層する部位を生成する、ガラスチョップマットに樹脂を含侵させたガラスチョップ層をさらに有することができる。
この場合、前記耐食層に包含される前記樹脂は、耐酸・耐アルカリ性を有していることができる。
本発明の一側面の繊維強化プラスチックの製造方法は、
ガラス繊維に樹脂を含侵させた強化層と、
耐食層とを、
所定方向にその順番で積層する部位を生成し、
少なくとも当該部位を含む繊維強化プラスチックを製造する製造方法であって、
炭素繊維を織ったカーボンクロスに樹脂を含侵させたカーボンクロス層と、
耐食性を有する不織布であるサーフェスマットに樹脂を含侵させたサーフェス層と、
樹脂単体で形成される樹脂層と、
が前記所定方向にその順番で積層されるように、
前記耐食層を生成することで、
繊維強化プラスチックを製造することを特徴とする。
この場合、
前記強化層と前記耐食層とをガラスチョップマットに樹脂を含侵させたガラスチョップ層で接合し、前記所定方向にその順番で積層する部位を生成し、少なくとも当該部位を含む繊維強化プラスチックを製造することができる。
また、
前記樹脂単体の層を生成し、
前記サーフェスマットに樹脂を含侵させることで、前記サーフェス層を生成し、
前記カーボンクロスに樹脂を含侵することで前記カーボンクロス層を生成することによって、
前記カーボンクロス層と、前記サーフェス層と、前記樹脂層とが前記所定方向にその順番で積層されてなる前記耐食層を生成することができる。
本発明によれば、反応液にアルカリ性の液を使用する湿式スクラバーのタンクの素材として、従来より破損し難く長寿命化を図れ、かつ破損した場合においても容易に補修が可能な繊維強化プラスチックを提供することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る繊維強化プラスチックから形成されるタンクを含む、湿式スクラバーの側面図である。 本発明が適用される繊維強化プラスチックの基になる、基本繊維強化プラスチックの積層構造を示す図である。 図1の湿式スクラバーに適用される、本発明の一実施形態に係る繊維強化プラスチックの積層構造を示す図である。 図3の繊維強化プラスチックの耐食層に含まれるカーボンクロスの外観構成の概略を示す正面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る繊維強化プラスチックから形成されるタンクを含む、湿式スクラバーの側面図である。
図1に示すスクラバー1は、上方から順に、噴霧部11と、タンク12と、ガス取り込み部13とを備えている。
噴霧部11は、反応液を、下方のタンク12の内部に向けて噴霧する。
タンク12は、その内部に充填物(図示せず)が充填されており、下方から供給される排ガスを上方に流通させる。
ガス取り込み部13は、排ガスを取り込み、上方のタンク12に流通させる。
ここで、排ガスや反応液等の環境流体が腐食性流体の場合、タンク12は、当該腐食流体との接触面を有するため、耐腐食性材料を採用する必要がある。
例えば、タンク12の素材として、耐食性の高い金属、具体的には例えばSUS316L材等を適用することができる。しかしながら、このような金属を採用すると、その材料コストや接合部の管理の煩雑さ(溶接棒管理やボルト、パッキン等の種類の管理)の点で問題が生ずる。
このため、タンク12の素材としては、金属と比較すると、樹脂とガラス繊維からなるガラス繊維強化プラスチック(FRP)を採用するとよい。このため、本実施形態では、タンク12の材質として、ガラス繊維強化プラスチックが採用されている。
ただし、単なる従来のガラス繊維強化プラスチックではなく、タンク12の素材として好適な繊維強化プラスチックが、本実施形態では適用されている。
ここで、このようなスクラバー1のタンク12の素材として好適な繊維強化プラスチックを、本発明者らが発明するに至った経緯を説明する。
図2は、本発明が適用される繊維強化プラスチックの基になる、繊維強化プラスチック(以下、「基本繊維強化プラスチック」と呼ぶ)の積層構造を示している。
なお、基本繊維強化プラスチックで形成されるタンク12を、後述の本発明が適用される繊維強化プラスチックで形成されるタンク12と明確に区別すべく、以下、「タンク12O」と呼ぶ。
なお、図2において、左方がタンク12Oの外部の面(表面)を示し、右方がタンク12Oの内部の面(反応液及び排ガスが接触する面)を示している。
タンク12Oを形成する基本繊維強化プラスチックは、外部の面(左方)から内部の面(右方)に向けて、トップコート51と、強化層52と、ガラスチョップ層53と、耐食層54とがその順番に積層されて、構成される。
トップコート51は、タンク12Oの外部の面を保護するための樹脂層である。
強化層52は、ガラス繊維を織ったガラスクロスに樹脂を含侵させることにより、強度を増加させた層である。
ガラスチョップ層53は、強化層52と、耐食層54を接合するための層である。
耐食層54は、耐酸性及び耐アルカリ性の層であり、タンク12O内を流通する排ガスや反応液による強化層52への浸食を防止する層である。
ここで、主に樹脂の差異の観点から、強化層5と耐食層54とについて、さらに詳しく説明する。
一般的に、繊維強化プラスチック(FRP)の耐食性は、環境流体(腐食性流体)中における、物質、温度、圧力等によって異なり、また、含浸される樹脂の種類や結合状態等によって大幅に異なる。
繊維強化プラスチックに使用される樹脂としては、オルソフタル酸系、ビニルエステル系等があるが、耐食性の観点からは、ビニルエステル系が、オルソフタル酸系に比較して耐食性に優れているため好適である。
ただし、耐食性の優れたビニルエステル系樹脂等は、オルソフタル酸系と比べ値段が高い。このため、環境流体(腐食性流体)と接触する部分、即ち耐食性が必要な部分である耐食層54のみに、これらの耐食性の優れた樹脂が適用され、タンク12の本体を構成する部分である強化層52に、安価な(その分耐食性に劣る)オルソフタル酸系樹脂等が適用されるのが一般的である。
例えば、スクラバー1が、酸性の硫化水素ガス等の腐食性流体を排ガスとして処理する場合、当該酸性の硫化水素ガスに対して、アルカリ性の苛性ソーダ等を反応液として適用することが一般的である。この場合、スクラバー1のタンク12Oにおける排ガス及び反応液の環境流体と接触する耐食層54は、酸とアルカリの両方に対して耐食性をもつビニルエステル系樹脂を用いる必要がある。
即ち、タンク12Oの本体部を構成する強化層52は、苛性ソーダ等のアルカリ性のものに対して耐食性がないガラス繊維を含んでいる。当該ガラス繊維が、アルカリ性の反応液(苛性ソーダ等)を含む環境流体に曝露しないように、当該環境流体に耐食性がある樹脂(耐酸性及び耐アルカリ性の樹脂)を含む耐食層54が設けられている。
また、耐食性の劣るオルソフタル酸系樹脂等で強化層が構成されている場合、耐食層54が劣化した場合、ガラス繊維のみではなく、樹脂も当然に劣化が進行する。
具体的には、耐食層54は、外部の面(左方)から内部の面(右方)に向けて、サーフェス層62と、樹脂層61とがその順番に積層されて、構成される。
樹脂層61は、耐酸性及び耐アルカリ性の樹脂から形成される層である。
サーフェス層62は、耐酸性及び耐アルカリ性の樹脂並びにサーフェスマットから形成される層である。サーフェスマットは、ガラスやカーボン、アラミド繊維等の材質にからなる不織布である。ただし、材質は、これらに特に限定されず、排ガスや反応液の性状により適宜選択される。
このような基本繊維強化プラスチックから形成されるタンク12Oは、高温の硫化水素を処理する場合、アルカリ性の苛性ソーダ等を反応液として使用すると破損し易い状況であった。
そこで、本発明者らは、その原因について、次のように解析した。
即ち、酸性の排ガスがタンク12Oの内部を流通したり、アルカリ性の反応液がタンク12Oの内部に噴霧されると、これらの排ガスや反応液の環境流体(腐食性流体)は、タンク12Oの内面の耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)に接触する。
腐食性流体のみがこの耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)に接触する場合、当該耐食層54に含む樹脂の劣化は少なく、耐久性が問題となる場合は少ない。
しかしながら、タンク12Oの内部には、スクラバー1の排ガスと反応液との接触面積を増加させ処理効率を上げるため、セラミックやプラスチック製の球体等の充填物が存在する。この充填物が、運転中に処理ガスや処理液の流れにより移動し、その結果、耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)に摩擦や打撃力が加えられること、即ち物理的に摩擦接触が生ずることになる。
この充填物による物理的な摩擦接触によって、耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)に亀裂が生じたり、削られることにより、ガラスチョップ層53がタンク12Oの内部の面に露出することになる。
ここで、耐食層54は、上述の如く耐酸及び耐アルカリ性を有しているのに対して、ガラスチョップ層53は、上述の如くガラスを材質としているため、アルカリ性の反応液により侵食される。さらに、強化層52は、上述の如くガラスクロスに樹脂を含侵させて強化したものであるところ、当該ガラスクロスがアルカリ性の反応液により侵食される。
即ち、充填物による物理的な摩擦接触によって耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)に亀裂が生じたり、削られることによって、アルカリ性の反応液がガラスチョップ層53に直接接触するようになり、ガラスチョップ層53が侵食される。すると、アルカリ性の反応液はさらに強化層52にも直接接触するようになり、強化層52のガラス繊維が侵食されて、強化層52の強度が下がり、タンク12Oが破損してしまう。
特に、タンク12Oを形成する基本繊維強化プラスチックの耐性温度は、耐アルカリ性を持つ熱硬化樹脂を使用した場合の仕様としては80度程度なっているところ、硫化水素等の排ガスを処理する場合の排ガス温度は80度近くになる場合が多く、基本繊維強化プラスチックが柔らかい状態となり、タンク12Oの破損を速めている。
このように、基本繊維強化プラスチックから形成されるタンク12Oの破損の原因は、充填物による物理的な摩擦接触と、反応液のアルカリ性とが複合されたものである。
また、耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)において、剥離に至らないまでも、微小なクラック(亀裂)が生じた場合にも、そのクラックを通して、アルカリ性の反応液が侵入する。耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)のクラックを通って侵入したアルカリ性の反応液は、上述したようにガラス繊維を溶解し、溶解したガラス繊維部分がさらに反応液の通る溝を形成するため、強化層52の内部まで浸透し、欠陥部分となるため、耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)の表面に微小なクラックのみで、目視では欠陥が確認できない場合においても、ガラスチョップ層53、さらには強化層52に欠陥が生じる場合がある。
このように、基本繊維強化プラスチックから形成されるタンク12Oは、強化層52の内部に欠陥部分が生じた場合、の欠陥部分を放置しておくと、タンク12Oの破損につながるため、当該欠陥部分を特定して補修する必要がある。
しかしながら、このような強化層52内部の欠陥部分はガラス繊維を溶解しながら進行するため、必ずしも耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)のクラックと一致するとは限らないため、当該欠陥部分を特定することは容易ではない。このため、タンク12Oの点検補修する場合は、耐食層54(樹脂層61やサーフェス層62)のクラック部分のみならずその周囲も含めた広範囲を剥離させた上で、強化層52に影響している部分(欠陥部分)を特定し、剥離された箇所を再積層するため、長時間と高コストが必要になってしまう。
ここで、基本繊維強化プラスチックの強度を増加させる手法としては、鋼製のパイプを追加し強度を増した上で、鋼製のパイプを熱硬化性樹脂でコーティングし、耐食性を持たせる手法や、樹脂に気泡を入れ軽量化した層を有することで強化する手法が存在する。
しかしながら、基本繊維強化プラスチックの強度を増加させる手法を採用しても、耐食層54の破損やクラックを起因とする基本繊維強化プラスチックの破損や欠陥の対策にはならない。
そこで、本発明者らは、上述の対策として、充填物による物理的な摩擦接触に対して強い耐食層を有する、繊維強化プラスチックを発明した。
図3は、本発明の一実施形態に係る繊維強化プラスチックの積層構造を示している。
なお、本発明が適用される繊維強化プラスチックで形成されるタンク12を、上述の基本繊維強化プラスチックで形成されるタンク12Oと明確に区別すべく、以下、「タンク12N」と呼ぶ。
なお、図3において、左方がタンク12Nの外部の面(表面)を示し、右方がタンク12Nの内部の面を示している。
タンク12Nを形成する本実施形態の繊維強化プラスチックは、外部の面(左方)から内部の面(右方)に向けて、トップコート51と、強化層52と、ガラスチョップ層53と、耐食層71とがその順番に積層されて、構成される。
トップコート51、強化層52、及びガラスチョップ層53は、図2の基本繊維強化プラスチックと同様のものであるため、ここではその説明は省略する。
本実施形態の繊維強化プラスチックの耐食層71は、外部の面(左方)から内部の面(右方)に向けて、カーボンクロス層83と、サーフェス層82と、樹脂層81とがその順番に積層されて、構成される。
樹脂層81、及び、サーフェス層82は、図2の基本繊維強化プラスチックと同様のものを採用することができるため、ここではその説明は省略する。
図4は、カーボンクロス層83の外観構成の概略を示す正面図である。
図4に示すように、カーボンクロス層83は、縦横に複数のカーボン(炭素)繊維が編み込んで形成されるシートに対して、樹脂を含侵することで形成される層である。
カーボン繊維は、上述の如く、耐酸性及び耐アルカリ性を有している。このようなカーボン繊維が縦横に編む込まれることによって、充填物による物理的な摩擦接触によっても破損しない強度が、カーボンクロス層83に備えられる。
このような耐食層71の製造手法は、図3の積層構造が成立するような手法であれば足りるが、本実施形態では次のような手法が採用されている。
即ち、先ず、図4に示すような、カーボン繊維を縦横に編み込んだカーボンクロスが生成され、当該カーボンクロスに対して樹脂が含侵されることで、カーボンクロス層83が生成される。
ここで、カーボン繊維の編み込みによって生じる隙間(図4参照)を「目」と呼ぶことにすると、目が大きすぎると樹脂の塊が生じる等してカーボンクロス層83の強度が低下する一方、目が小さすぎると樹脂が入らずカーボンクロス層83の生成が困難なものとなる。よって、目の大きさを適切にすることは、カーボンクロス層83の生成にとって重要な要素である。
また、カーボンクロスはカーボン繊維を編む際に、編みやすさを向上させるため、繊維の表層を加工しているものが多く、縦横に編み込んだカーボンクロスに対して樹脂を含侵する際に、目に樹脂がうまく入り込むように、カーボン繊維の表層をアセトン等で洗浄することは、カーボンクロス層83の生成にとって重要な要素である。
また、カーボンクロス層83の生成に際し、カーボンクロス層83の目の隙間に対して、ガラスチョップ層53を生成するガラス繊維がはみ出す場合も考えられるので、カーボンクロス層83を構成するカーボンクロスは複数枚以上で構成されると好適である。
次に、カーボンクロス層83に対して、サーフェス層82の基になるサーフェスマットに樹脂が含侵される。これにより、カーボンクロス層83に積層されたサーフェス層82が生成される。
さらに、カーボンクロス層83に積層されたサーフェス層82に対して、樹脂がコーティングされることで、樹脂層81が形成される。
このようにして、本実施形態では、タンク12Nの外部の面(左方)から内部の面(右方)に向けて、カーボンクロス層83と、サーフェス層82と、樹脂層81とがその順番に積層されることで、耐食層71が生成される。
以上まとめると、本実施形態の繊維強化プラスチックは、例えば次のような効果を奏することができる。
即ち、図3に示す本実施形態の繊維強化プラスチックの耐食層71を採用することで、図2の基本繊維強化プラスチックの耐食層54と比較すると、タンク12Nの内部の面(右方)からみて、カーボンクロス層83が、ガラスチョップ層53の前にさらに積層されることになる。
従って、充填物による物理的な摩擦接触によって、耐食層71のうち、樹脂層81やサーフェス層82(図2の基本繊維強化プラスチックの耐食層54)がたとえ亀裂が生じたり、削られたとしても、カーボンクロス層83が未だ存在する。
このカーボンクロス層83は、耐アルカリ性を有し、かつ、充填物による物理的な摩擦接触に対して破損しないだけの強度を有しているので、ガラスチョップ層53がタンク12Nの内部の面に露出することはほぼ無くなる。
その結果、タンク12Nは、タンク12Oと比較すると、破損し難くなり長寿命化を図ることが可能になる。また、耐食層71の欠陥部分(クラック部部分)のみを剥離して補修をすればよいため、補修が容易となり、ひいては、点検補修の短時間化とコスト低下を図ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、繊維強化プラスチックの製造方法については、上記実施形態では、耐食層については、内側から積層していく方法が採用されたが、特にこれに限定されず、その逆の方法、即ち、外側から積層していく方法を採用してもよい。
1 スクラバー, 11 噴霧部, 12,12O,12L タンク, 13 ガス取り込み部, 51 トップコート51, 52 強化層, 53 ガラスチョップ層, 54 耐食層, 61 樹脂層, 62 サーフェス層, 71 耐食層, 81 樹脂層, 82 サーフェス層, 83 カーボンクロス層

Claims (4)

  1. ガラス繊維を織ったガラスクロスに樹脂を含浸させた強化層と、
    耐食層と、
    が所定方向にその順番で積層された部位を少なくとも含み、
    前記強化層と前記耐食層とを接合し、これらを前記所定方向にその順番で積層する部位を生成する、ガラスチョップマットに樹脂を含侵させたガラスチョップ層をさらに有し、
    前記耐食層は、
    炭素繊維を織ったカーボンクロスに樹脂を含侵させたカーボンクロス層と、
    耐食性を有する不織布であるサーフェスマットに樹脂を含侵させたサーフェス層と、
    樹脂単体で形成される樹脂層と、
    が前記所定方向にその順番で積層されて構成されている、
    繊維強化プラスチック。
  2. 前記耐食層に包含される前記樹脂は、耐酸・耐アルカリ性を有している
    請求項1記載の繊維強化プラスチック。
  3. ガラス繊維に樹脂を含侵させた強化層と、
    耐食層とを、
    所定方向にその順番で積層する部位を生成し、
    少なくとも当該部位を含む繊維強化プラスチックを製造する製造方法であって、
    炭素繊維を織ったカーボンクロスに樹脂を含侵させたカーボンクロス層と、
    耐食性を有する不織布であるサーフェスマットに樹脂を含侵させたサーフェス層と、
    樹脂単体で形成される樹脂層と、
    が前記所定方向にその順番で積層されるように、前記耐食層を生成し、
    前記強化層と前記耐食層とをガラスチョップマットに樹脂を含侵させたガラスチョップ層で接合することによって、前記所定方向にその順番で積層する部位を生成し、少なくとも当該部位を含む繊維強化プラスチックを製造する
    繊維強化プラスチックの製造方法。
  4. 前記樹脂単体の層を生成し、
    前記サーフェスマットに樹脂を含侵させることで、前記サーフェス層を生成し、
    前記カーボンクロスに樹脂を含侵することで前記カーボンクロス層を生成することによって、
    前記カーボンクロス層と、前記サーフェス層と、前記樹脂層とが前記所定方向にその順番で積層されてなる前記耐食層を生成する、
    請求項3に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
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